一党独裁制
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政党政治 |
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一党独裁制︵いっとうどくさいせい︶とは、単一の政党が国家の政治権力を独占的に掌握している体制のこと[1]。
狭義には政党制として単一政党のみが認められている体制︵一党制。ソ連やナチス・ドイツなど。︶であり、広義には制度的には複数政党制だが特定の政党が事実上の一党独裁を行っている状態︵ヘゲモニー政党制。社会主義時代の東欧諸国や中華人民共和国など。︶のこと[1]。
一党独裁はフランス革命における山岳派支配を古代ローマの独裁官個人による独裁と対比して用たのが始まりで、ソ連などの左翼党による革命独裁と、ドイツのナチス党、イタリアのファシスト党などの右翼的反革命独裁のタイプがある[1]。また第2次世界大戦後は植民地から解放された発展途上国で伝統社会を近代化していくための多様な形の一党独裁が実現されている[2]。
一党独裁は軍事・官僚行政機構の高度な集中と政党への従属や、文化的・イデオロギー的一元化の強制を伴いやすい[1]。
概要[編集]
ジョヴァンニ・サルトーリは、一党独裁を3つのカテゴリーに分類した[2]。 (一)全体主義一党制‥イデオロギー指向が強く,強制力,抽出力,動員力が大きい[2]。 (二)権威主義一党制‥イデオロギー指向は弱く抽出力も動員力も小さい[2]。 (三)プラグマティズム一党制‥イデオロギーの凝集性は低く,組織は散漫,多元的なものとなりやすい[2]。 また、サルトーリは、複数の政党が存在していても、一つの支配政党の衛星政党にすぎないような体制をヘゲモニー政党制と呼び、ヘゲモニー政党制を一党独裁は、政党間の競合性がない、非競合的な政党制であるとした[3]。 国家を強力に統制することが可能であるものの、国家権力の暴走が起こりやすいことが問題となる。また、支配政党への反対者には、政治的権利や言論の自由などが保障されず、粛清・国外追放・投獄が行われるなど、人権が守られない体制になりがちである。例えば、ソ連の衛星国家であった東ドイツでは、刑法の規定によって支配政党であるドイツ社会主義統一党・東側諸国の支配者・盟主であるソ連を批判するだけで1年から8年の懲役刑が科された[4]。 一党独裁により経済発展を強力に推進する開発独裁体制は、やがて経済発展が一段落すると複数政党制へ移行する場合がある。一方で先進国並みの経済発展を実現したものの、選挙制度を操作して一党独裁制を維持しているシンガポールのような政党制も存在する。一党優位制[編集]
詳細は「一党優位政党制」を参照
一党独裁国家ではない、議会制民主主義国家でも、複数の政党が選挙で争っているが,結果として一つの政党が圧倒的な優位を長期保持している政党制を、イタリアの政治学者ジョヴァンニ・サルトーリは一党優位制と呼ぶ[5]。日本における1955-1993年までの55年体制下の自民党政権、1932~76年の44年間政権与党であり続けたスウェーデンの社会民主労働党の例がある[5]。