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交番相談員︵こうばんそうだんいん︶は、日本の都道府県警察において再雇用職員︵地方公務員特別職嘱託員︶として各交番に勤務している警察職員である。国家公安委員会の﹁地域警察運営規則﹂で定義されており、主に60歳から65歳の警察官OBで構成されている。
昭和後期から平成期にかけて、警察官の人手不足が深刻化し、本来は24時間警察官が詰めているべき交番が、勤務者が警邏に出る事によって一時的、もしくは日常的に無人となる﹁空き交番﹂が問題となった。
1985年︵昭和60年︶には大学生2人が介抱泥棒を捕まえて交番に連れて行ったところ空き交番であり、捕まえた学生が逆襲され刺殺される﹁平野さん事件﹂が発生、平成10年代後期に入ると地元民にも知られる警察官のいない﹁見せかけ交番﹂の存在や、平野さん事件と同様に犯人に逆襲された事例などがTV番組でも取り上げられるようになり、事態のいっそうの深刻化がみられた。
この空き交番対策として1987年に北海道警察で導入したのを皮切りに[1]、警察庁、警視庁、各府県警察では警察官OBを交番相談員として採用することを開始し、配置されたのが交番相談員である。名称は現在の﹁交番相談員﹂に決定するまで変動があり、制度発足当初は﹁市民応接員﹂などの呼称も見られた。
2020年4月30日、警視庁亀有署南水元交番で交番相談員の男性が包丁で襲われ、全治1カ月の重傷を負った[2]。2021年2月13日、埼玉県警朝霞署 志木駅東口交番で、同年4月には千葉県警印西署西白井駅前交番で、それぞれ交番相談員が刃物で襲われている[3][4]。
こうした交番が襲撃される事件が相次いでいることから、相談員が警察官と間違われることを防ぐ目的で福井県警では制服を変更、埼玉県警では制服を廃止して私服勤務としている︵後述︶[5][6]。
令和4年4月1日現在、全国で約6,300人の交番相談員が配置されている[7]。
主なな仕事内容は、 地域住民の意見・要望等の聴取、拾得物・遺失届の受理、被害届の代書及び預かり、事件・事故発生時の警察官への連絡、地理案内等である[7]。あくまでも警察の非常勤職員であり職務質問や交通取締りなど警察権に関する法的権限は無いが、ベテランの警察官OBが対応することもあって市民からの評判はおおむね良いとされ、市民の相談に迅速に対応した結果として悪徳商法の摘発に至ったケースもあり成果を上げているとされる。
制服・装備[編集]
主に肩章付き、両胸に蓋付きポケット、前閉じ部分の全てに金ボタンが着いた紺色のジャンパー︵夏季は肩章付き、両胸に蓋付きポケットの水色または白のシャツ︶とスラックスで帽子︵制帽︶も警察官の活動帽に似たデザインの物が着用されているが、国家公安委員会規則でデザインなどが詳細に定められた警察官の制服と異なり都道府県により多少のデザインの差異がある。
警察官や民間警備会社の警備員と区別するため、上衣の左胸の階級章を付ける部分には警察本部名の刺繍がされ、また背中には﹁交番相談員﹂の文字が刺繍または印刷されている。さらに上衣の胸部と右上腕部には標章を着用。
埼玉県警では、2019年10月より制服が廃止され、派手でない長ズボン・淡色系のワイシャツなど一定の条件下で私服が解禁され、帽子の着用も不要となった。これは 仕事での身軽さや、経費削減のほか軽、交番来訪者に対して相談員と警察官との見た目上の違いを明確にして、拳銃や警棒を持たない相談員がトラブルに巻き込まれるリスクを下げる狙いもある[6]。
警察官ではないので拳銃・手錠は法令上携帯することができない。護身用に特殊警棒を携帯している場合があり、また受令機︵警察無線専用のラジオ︶を持っている。
東京都の場合、各交番における交代勤務は約1200人、総人件費は年間23億円を超えるとしている。また2013年現在︵地域不明︶、報酬の支給日は毎月15日、月額約165,000円、交番相談員の通常の勤務時間は1日につき5時間45分、1週間につき28時間45分である[要出典]。任命権者は警察本部長である[8]。
位置付けは地方公務員特別職︵嘱託員︶とし各4回更新し5年まで勤務が勤務可能であるが勤務が5年を超える場合がある。