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なお、受信機のスイッチを自動的にオンにして行う放送として[[緊急告知FMラジオ]]などがあるが、これらは法令に基づく緊急警報信号を使用していないことが異なる{{efn2|いずれに対応した受信機も起動できるように、法令に基づく緊急警報信号と受信機のスイッチを自動的にオンにするその他の信号を併用する例︵[[長岡移動電話システム|FMながおか]]︶もある。}}。
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なお、受信機のスイッチを自動的にオンにして行う放送として[[緊急告知FMラジオ]]などがあるが、これらは法令に基づく緊急警報信号を使用していないことが異なる{{efn2|いずれに対応した受信機も起動できるように、法令に基づく緊急警報信号と受信機のスイッチを自動的にオンにするその他の信号を併用する例︵[[長岡移動電話システム|FMながおか]]︶もある。}}。
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[[地上デジタル放送]]や[[ワンセグ]]・[[フルセグ]]を搭載している[[カーナビゲーションシステム]]には、緊急警報放送を受信すると強制的に放送されているチャンネルへ変更し現在地から最も近い[[避難所]]へ[[ナビゲーション]]する機能が付属している{{efn2|[[パナソニック]]のカーナビである[[Strada]]のCN-HW800Dなど。運転中でも強制的に変更されるが[[事故]]などの[[危険]]防止のため、走行中は音声と避難所へのナビのみとなる。}}。
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[[日本の地上デジタルテレビ放送|地上デジタル放送]]や[[ワンセグ]]・[[フルセグ]]を搭載している[[カーナビゲーションシステム]]には、緊急警報放送を受信すると強制的に放送されているチャンネルへ変更し現在地から最も近い[[避難所]]へ[[航法|ナビゲーション]]する機能が付属している{{efn2|[[パナソニック]]のカーナビである[[Strada]]のCN-HW800Dなど。運転中でも強制的に変更されるが[[事故]]などの[[危険]]防止のため、走行中は音声と避難所へのナビのみとなる。}}。
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緊急警報放送は、B-CASカードやテレビのカードスロットの故障への考慮から、テレビにB-CASカードが挿入されていない状態でも受信が可能 |
NHKでの緊急警報放送は、B-CASカードやテレビのカードスロットの故障への考慮から、テレビにB-CASカードが挿入されていない状態でも受信が可能なように運用している<ref>2022年1月のフンガ・トンガ噴火と3月の地震で発表された際にシャープのテレビLC-32E9で確認済み</ref>{{信頼性要検証|date=2023-01-05}}。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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該当する地域の住民の生命・財産の保護のため、[[放送局]]が'''緊急警報信号'''︵Emergency Warning Signal, 略称‥EWS<ref>[[#kokubun2006|国分と伊藤、2006年]]、140ページ</ref>︶と呼ばれる特別な信号を前置したうえで臨時に行う放送であり、[[1985年]][[9月1日]]から[[日本放送協会]] (NHK) および13の民間放送局で導入を開始した<ref>{{Cite journal|和書|title=放送日誌(60年9月)|journal=月刊民放|issue= |
該当する地域の住民の生命・財産の保護のため、[[放送局]]が'''緊急警報信号'''︵Emergency Warning Signal, 略称‥EWS<ref>[[#kokubun2006|国分と伊藤、2006年]]、140ページ</ref>︶と呼ばれる特別な信号を前置したうえで臨時に行う放送であり、[[1985年]][[9月1日]]から[[日本放送協会]] (NHK) および13の民間放送局で導入を開始した<ref>{{Cite journal|和書|editor=日本民間放送連盟|title=放送日誌(60年9月)|journal=月刊民放|volume=15|issue=12|publisher=日本民間放送連盟|date=1985-12-01|pages=50|id={{NDLJP|3471000/26}}}}</ref><ref>{{Cite book|和書|editor=日本放送協会|title=NHK最新気象用語ハンドブック|publisher=日本放送出版協会|date=1986-11-20|pages=223|id={{NDLJP|9673200/123}}}}</ref>。また、NHKでは同日に初めての試験放送を実施している<ref>{{NHKアーカイブス|A198509011159001300100|緊急警報試験信号︵L︶}}</ref>。
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以下の条件のいずれかに該当する場合に行われる([[放送法施行規則]]第82条{{efn2|平成23年総務省令第62号による改正前は第17条の27。}}および[[無線局運用規則]]138条の2に規定している<ref name="bqa76"/><ref name="itej61-6-761"/>。 |
以下の条件のいずれかに該当する場合に行われる([[放送法施行規則]]第82条{{efn2|平成23年総務省令第62号による改正前は第17条の27。}}および[[無線局運用規則]]138条の2に規定している<ref name="bqa76"/><ref name="itej61-6-761"/>。 |
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緊急警報放送の開始・終了の際に使用される緊急警報信号には第1種開始信号、第2種開始信号、終了信号の3種ある<ref name="bqa76">[[#bqa76|日本技術士会 防災Q&A 7.6]]</ref>。 |
緊急警報放送の開始・終了の際に使用される緊急警報信号には第1種開始信号、第2種開始信号、終了信号の3種ある<ref name="bqa76">[[#bqa76|日本技術士会 防災Q&A 7.6]]</ref>。 |
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* 第1種信号は 各自治体([[都道府県]]、並びに[[市区町村]])の首長から避難指示や緊急安全確保の発動がなされた場合などに送信される(第1種、第2種ともに約16秒間鳴らされる)。 |
* 第1種信号は 各自治体︵[[都道府県]]、並びに[[市区町村]]︶の首長から避難指示や緊急安全確保の発動がなされた場合などに送信される︵第1種、第2種ともに約16秒間鳴らされる︶。ローカル放送で行われると推測される{{要出典|date=2024年6月}}が運用実績がない。
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* 第2種信号は (大)津波警報が発表された時のみ送信される。第1種信号は強制的に動作するが、第2種信号は受信側で動作させない設定が可能である(特に、海岸や川の河口から遠く離れている地域や内陸の地域)。 |
* 第2種信号は (大)津波警報が発表された時のみ送信される。第1種信号は強制的に動作するが、第2種信号は受信側で動作させない設定が可能である︵特に、海岸や川の河口から遠く離れている地域や内陸の地域︶。NHKでは全国放送で実施されている。
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* 終了信号は、第1種開始信号や第2種開始信号が送信された場合、すみやかに送信される(おおむね10分以内であり、信号音は2秒間で4回鳴らされる)。 |
* 終了信号は、第1種開始信号や第2種開始信号が送信された場合、すみやかに送信される(おおむね10分以内であり、信号音は2秒間で4回鳴らされる)。 |
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* 試験信号は、終了信号と同一であるが開始信号を送信することなく終了信号のみが送信された場合を意味しており、受信機が正常に動作するかを確認するための信号である(事実上、緊急警報放送の定期放送ともされている)。 |
* 試験信号は、終了信号と同一であるが開始信号を送信することなく終了信号のみが送信された場合を意味しており、受信機が正常に動作するかを確認するための信号である(事実上、緊急警報放送の定期放送ともされている)。 |
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=== 放送の制限 === |
=== 放送の制限 === |
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緊急警報放送はその役割から、放送法施行規則第82条及び無線局運用規則第138条に、規定された理由以外での使用をしてはならないとしている。しかしながら、[[2010年]][[3月7日]]に放映された﹃[[サンデーモーニング]]﹄ ([[TBSテレビ|TBS]]) において、前週の2010年[[2月28日]]に放映した内容を録画放映した際に、[[チリ地震 (2010年)|チリ地震]]による大津波警報・津波警報・津波注意報が日本各地に発表されたときの緊急警報放送が入ったままのVTRを放映し、一部受信機が動作した事例が存在する。この事例では番組終了間際に終了信号の送信が行われた<ref>{{Cite news|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2010/03/07/kiji/K20100307Z00000950.html|title=誤作動 |
緊急警報放送はその役割から、放送法施行規則第82条及び無線局運用規則第138条に、規定された理由以外での使用をしてはならないとしている。しかしながら、[[2010年]][[3月7日]]に放映された『[[サンデーモーニング]]』 ([[TBSテレビ|TBS]]) において、前週の2010年[[2月28日]]に放映した内容を録画放映した際に、[[チリ地震 (2010年)|チリ地震]]による大津波警報・津波警報・津波注意報が日本各地に発表されたときの緊急警報放送が入ったままのVTRを放映し、一部受信機が動作した事例が存在する。この事例では番組終了間際に終了信号の送信が行われた<ref>{{Cite news|url=https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2010/03/07/kiji/K20100307Z00000950.html|title=誤作動?TBS番組の録画放映で緊急警報受信 |newspaper=スポニチアネックス|publisher=スポーツニッポン新聞社|date=2010-03-07|accessdate=2022-01-16}}</ref>。 |
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2023年12月2日(日本時間)23時37分頃にフィリピン付近で発生した地震で、23時56分に日本の太平洋沿岸に'''津波注意報'''が発表されたが、3日<!---午前--->0時のNHKニュースで、誤って緊急警報放送の開始信号を送出、直ちに終了信号を発するトラブルがあった<!---該当日・時間の放送から。3日19時の「NHKニュース7」で、関連ニュースの冒頭でも謝罪があった。--->。 |
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== 試験信号放送 == |
== 試験信号放送 == |
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[[日本放送協会]](NHK)とほとんどの[[民間放送|民放]]各放送局では、緊急警報放送の受信機の動作などを確認するため、[[試験放送]]を月1回程度放送している。 |
[[日本放送協会]](NHK)とほとんどの[[民間放送|民放]]各放送局では、緊急警報放送の受信機の動作などを確認するため、[[試験放送]]を月1回程度放送している。 |
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NHKは、毎月1日︵1月のみ4日 |
NHKは、毎月1日︵1月のみ4日︿曜日配列や、スポーツ中継などがある場合は5日以降の場合あり﹀︶正午前の11時59分から12時に、[[NHK総合テレビジョン|総合テレビ]]、[[NHKラジオ第1放送|ラジオ第1]]、[[NHK-FM放送|FM放送]]でいずれも各放送局別で{{efn2|北海道地方はかつては平日は各局別・土日はすべての地域が[[NHK札幌放送局|札幌局]]からの放送だったが、現在は平日・休日を問わず、すべての地域で札幌からの放送である。}}、総合テレビの[[ワンセグ]]も含めて試験信号放送を送出している<ref name="bqa76"/>{{efn2|該当日に実施できない場合はその月の後日に延期する場合もある。最近では、2017年12月1日にテレビ・ラジオ共に[[皇室会議]]に関する報道特別番組のため、12月11日に延期となったほか、2019年4月1日もテレビ・ラジオ共に新元号︵[[令和]]︶発表に伴う報道特別番組のため、4月8日に延期し、2019年5月1日もテレビ・ラジオ共に新天皇・[[徳仁]]の即位に伴う報道特別番組のため、5月8日に延期となった。2021年8月1日もテレビ・ラジオ共に東京オリンピック放送のため、閉会式翌日の8月9日に延期し、2021年9月1日もテレビ・ラジオ共に東京パラリンピック放送のため、閉会式翌日の9月6日に延期となった。}}。なお、ラジオ・FMの同時配信を行う﹁[[NHKネットラジオ らじる★らじる]]﹂及び民放ラジオポータル﹁[[radiko]]﹂では試験信号放送自体︵アナウンス・信号音共通︶完全にカットされ、この間はクラシック︵[[フィラー]]︶音楽を流している。{{efn2|ネットラジオの開始当初はこの間のみ完全無音だった。ネットラジオのラジオ第1・FM放送の番組表では﹁緊急警報試験信号﹂と表記されているが、ネットラジオにおける試験信号放送は一切行っていない。}}テレビの同時配信を行う[[NHKプラス]]では試験信号放送は配信されているが、見逃し配信の対象外である。
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NHKでの緊急警報放送試験信号の流れ(アナウンス音源は[[内藤啓史]]アナウンサーの声) |
NHKでの緊急警報放送試験信号の流れ(アナウンス音源は[[内藤啓史]]アナウンサーの声) |
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; 凡例 |
; 凡例 |
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:* ○: |
:* ○:可聴音を出して試験放送を実施している局 |
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:* △:試験放送は行っているものの |
:* △:試験放送は行っているものの可聴音域の信号音が重畳しない局 |
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:* ×:試験放送を実施していない局 |
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==== テレビ ==== |
==== テレビ ==== |
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== 第2種信号での運用 == |
== 第2種信号での運用 == |
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NHKで緊急警報放送の第2種信号運用︵大津波・津波警報︶が行われる場合は、[[衛星放送]]も含めたテレビ・ラジオ全チャンネル︵[[NHK総合テレビジョン|G]]・[[NHK教育テレビジョン|E]]・[[NHK |
NHKで緊急警報放送の第2種信号運用︵大津波・津波警報︶が行われる場合は、[[衛星放送]]も含めたテレビ・ラジオ全チャンネル︵[[NHK総合テレビジョン|G]]・[[NHK教育テレビジョン|E]]・[[NHK BS|BS]]・BS103ch︵旧[[NHK BSプレミアム|BSP]]︶・[[NHK BSプレミアム4K|BSP4K]]・[[NHK BS8K|BS8K]]・[[NHKラジオ第1放送|R1]]・[[NHKラジオ第2放送|R2]]・[[NHK-FM放送|FM]]︶を使って情報が伝達される︵[[サイマル放送]]も参照。この場合、テレビ副音声とR2は[[外国語放送]]︵[[英語]]、[[中国語]]、[[朝鮮語]]、[[ポルトガル語]]の4か国語で放送︶となる。全ての波を、用いて'''全'''国に'''中'''継されるため﹁全波'''全中'''﹂という別名で呼ばれることがある︵[[廣井脩]]﹁災害情報論﹂︶。[[NHKワールド]]のテレビ・[[NHKワールド・ラジオ日本|ラジオ]]の放送も含まれるが、信号音はラジオ放送のみに流れる{{efn2|2011年4月7日発生の宮城県沖の地震による津波警報発表時は[[NHKワールド#NHKワールド・プレミアム|NHKワールド・プレミアム]]でも終了時の信号音のみそのまま流れた︵発表時は独自の局内回線を受けていたため、信号音は流れていなかったが、数分後に[[関東地方]]のデジタル総合テレビの放送回線に切り替わり、地震速報テロップ・発表域テロップおよび逆L字画面による被害関連情報がそのまま流れていた︶。}}︶。
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緊急警報放送の第2種信号放送が行われる間は、Gの内容を原則としてそのまま放送する。ただし、Gの場合には地域によってローカルニュース差し替えの場合がある{{efn2|G以外の各波では、関東地方及び関東甲信越ブロック向けのローカルニュースがそのまま流れる。}}。
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緊急警報放送の第2種信号放送が行われる間は、Gの内容を原則としてそのまま放送する。ただし、Gの場合には地域によってローカルニュース差し替えの場合がある{{efn2|G以外の各波では、関東地方及び関東甲信越ブロック向けのローカルニュースがそのまま流れる。}}。
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※前述の通り、以前は東海地震の警戒宣言が発令された場合に行われる可能性があったが、結局は実績のないままであった。 |
※前述の通り、以前は東海地震の警戒宣言が発令された場合に行われる可能性があったが、結局は実績のないままであった。 |
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== 海外の類例 == |
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== 技術史と普及動向 == |
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⚫ | NHKが開発した緊急警報放送の技術は、1985年に世界で初めて |
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⚫ | NHKが開発した緊急警報放送の技術は、自動起動が特徴である。1985年に世界で初めて自動起動の警報システムを実現したとして、2016年5月に電気・電子・情報分野の技術的貢献を顕彰する[[IEEEマイルストーン]]に認定されている<ref>「報道発表 [https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/shiryou/kaichou/2016/04/002.pdf 世界の放送技術をリードした“ハイビジョン” と “緊急警報放送” が「IEEE マイルストーン」に認定]」、日本放送協会、2016年4月7日付、2023年1月16日閲覧</ref><ref name="ieee16">「[http://www.ieee-jp.org/japancouncil/jchc/adm/milestone/27ewcsbs.pdf IEEE MILESTONE (27)]」、[[IEEE]] Japan Council、2023年1月16日閲覧</ref>。 |
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=== ISDBの緊急警報放送:フィリピン、南米諸国など === |
=== ISDBの緊急警報放送:フィリピン、南米諸国など === |
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日本︵NHK︶が中心となって開発したデジタル放送方式の[[ISDB]]のうち、地上放送・衛星放送は緊急警報放送(EWBS)を実施できるよう標準化されている。フィリピンや南アメリカのいくつかの国では、日本の戦略的な技術協力によりEWBSの運用が行われている。これらの例では、日本と異なり文字スーパー表示を採用している{{efn2|映像等とは別に受信した信号により、受信機側で文字を表示する。日本の緊急地震速報での文字スーパーと同じ。}}。最初の緊急情報のみならず防災に関する続報の伝達が重視されるためで、文字情報等の伝達にワンセグの帯域を活用し、単純な警報信号というよりは、CAPや[[Lアラート]]のような防災情報の共通[[プロトコル]]の側面が強い。テレビだけではなく[[デジタルサイネージ]]︵[[電光掲示板]]︶やサイレンとの連動が行われ、一般家庭よりも役場、消防、病院などの公共の場での利用が重視されている。また運用には政府の防災機関が介在する<ref name="ieee16"/><ref name="阪口">阪口安司﹁[https://www.jtec.or.jp/activities/ARIB117ewbs.pdf EWBS 現地適合化ソリューションの考案開発など地デジ日本方式︵ISDB-T︶海外普及活動]﹂︵[https://www.jtec.or.jp/activities/ewbs.html EWBS普及促進活動]︶、一般財団法人 海外通信・放送コンサルティング協力、2022年</ref>。
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[[フィリピン]]ではEWBSの実施体制が整い、2016年から販売するテレビへのEWBS機能の搭載が義務付けられている<ref>「世界情報通信事情 > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/index.html フィリピン] > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/pdf_contents.html 監督機関・法律・政策等]」、総務省、2023年1月16日閲覧</ref>。 |
[[フィリピン]]ではEWBSの実施体制が整い、2016年から販売するテレビへのEWBS機能の搭載が義務付けられている<ref>「世界情報通信事情 > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/index.html フィリピン] > [https://www.soumu.go.jp/g-ict/country/philippines/pdf_contents.html 監督機関・法律・政策等]」、総務省、2023年1月16日閲覧</ref>。 |
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[[エルサルバドル]]、[[コスタリカ]]、[[ニカラグア]]では共通仕様でEWBSによる[[地震警報システム|緊急地震速報]](EEW)が試験導入されている<ref name="阪口"/>。 |
[[エルサルバドル]]、[[コスタリカ]]、[[ニカラグア]]では共通仕様でEWBSによる[[地震警報システム|緊急地震速報]](EEW)が試験導入されている<ref name="阪口"/>。 |
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=== アメリカ === |
=== アメリカ合衆国 === |
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{{main|緊急警報システム}} |
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[[アメリカ合衆国]]では、[[緊急警報システム]]として1950年代より多数の放送局に統一化された形式で警報を伝達するシステムが構築され、2012年現在は第3世代の[[:en:Emergency Alert System|Emergency Alert System]] (EAS)が整備され、全米のテレビ・ラジオ局を対象にしている。国家レベルの警報発信時には[[アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁|緊急事態管理庁]](FEMA)経由で国内基幹放送局に、州や郡レベルの警報発信時には州レベルの放送局に、それぞれ警報を伝達、そこから各支局に伝達して放送内容をコントロールする。ただし、日本の緊急警報放送のように受信機を強制起動するシステムではなく、合衆国政府や州政府が発信する統一形式の情報を各放送局に送り、自動化された警報文を字幕や音声で伝えるものである<ref name="nhkbr100403"/>。
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[[アメリカ合衆国]]では、[[緊急警報システム]]として1950年代より多数の放送局に統一化された形式で警報を伝達するシステムが構築され、2012年現在は第3世代の[[:en:Emergency Alert System|Emergency Alert System]] (EAS)が整備され、全米のテレビ・ラジオ局を対象にしている。国家レベルの警報発信時には[[アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁|緊急事態管理庁]](FEMA)経由で国内基幹放送局に、州や郡レベルの警報発信時には州レベルの放送局に、それぞれ警報を伝達、そこから各支局に伝達して放送内容をコントロールする。ただし、日本の緊急警報放送のように受信機を強制起動するシステムではなく、合衆国政府や州政府が発信する統一形式の情報を各放送局に送り、自動化された警報文を字幕や音声で伝えるものである<ref name="nhkbr100403"/>。
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=== イギリス === |
=== イギリス === |
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[[イギリス]]には緊急警報放送に近い「Protect and Survive(プロテクト・アンド・サバイヴ:防護と生存)<ref>[https://www.slideshare.net/kumicit/protect-and-survive 防護と生存(日本語訳版)]</ref>」という非常事態用マニュアルが存在し、東西[[冷戦]]時の[[1970年代]]から[[1980年代|80年代]]まで冊子がイギリス国民に配布されたほか、[[英国放送協会|BBC]]によりテレビ放映されていた{{efn2|映像構成や内容が不気味であるため、イギリスには「Protect and Survive」に恐怖心を覚えている世代が存在するという。}}。[[核攻撃]]時の[[避難]]方法から犠牲者の[[死体]]処理まで幅広くマニュアル化されている。 |
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*[[核攻撃]]時の[[避難]]方法から犠牲者の[[死体]]処理まで幅広くマニュアル化されている。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2024年6月10日 (月) 07:46時点における版
概要
信号
緊急警報信号の種類
アナログ放送
デジタル放送
地域符号
緊急警報信号には、特定の県にだけ警報を発する「県域符号」、より範囲の広い「広域符号」、全域に発する「地域共通符号」がある[7]。
放送の制限
試験信号放送
![]() |
「今から、緊急警報放送の試験信号をNHKから放送します。緊急警報受信機をお持ちの方は、受信機が信号を正しく受信するかどうか確かめてください」 (信号音:終了信号と同じく2秒間で4回鳴らされる) |
民放
民放各局でも、試験放送(夜中か早朝(局名告知前後))を行っている。以下では、緊急警報放送の試験放送を実施している局を掲載。
- 凡例
-
- ○:可聴音を出して試験放送を実施している局
- △:試験放送は行っているものの可聴音域の信号音が重畳しない局
- ×:試験放送を実施していない局
テレビ
- 青森テレビ(JNN)△(毎月1日(1月のみ2日[注 10])、オープニング局名告知前)
- 東北放送(JNN) 不明(月1回)
- 日本テレビ(NNN)△(不定期、放送休止中 / 過去は毎月1回実施していた)
- テレビ朝日(ANN)×、デジタルは停波(月1 - 2回程度、日曜の放送休止後)
- TBSテレビ(JNN)△(月1回程度、放送休止中)
- テレビ東京(TXN)×、デジタルは停波(月末日曜日、放送休止後)
- フジテレビ(FNN)△(不定期、放送休止前)
- 千葉テレビ(JAITS)
- 信越放送(JNN) 不明(毎月1日、放送休止後)
- 山梨放送(NNN)
- テレビ山梨(JNN)○、デジタルはデジタル放送専用の試験を実施(毎月1回、フィラー前)
- 新潟放送(JNN)×、デジタルはフィラー(毎月第2日曜、クロージング後)
- 富山テレビ(FNN) 不明(毎月1日、オープニング前)
- チューリップテレビ(JNN)
- 北陸放送(JNN) △(毎月第1日曜、放送休止前)
- 石川テレビ(FNN) 不明(毎月1回、オープニング前)
- テレビ金沢(NNN)
- 北陸朝日放送(ANN) 不明(毎月第1月曜、クロージング後)
- 福井テレビ(FNN)
- 静岡放送(JNN) 不明(不定期、オープニング前)
- テレビ静岡(FNN)
- 静岡朝日テレビ(ANN)
- 静岡第一テレビ(NNN) 不明(「日テレNEWS24」終了後)
- 東海テレビ(FNN)
- メ〜テレ(ANN)△(毎月第1日曜 放送休止前)
- 中京テレビ(NNN)
- 毎日放送(JNN)△(毎月第1日曜、フィラー前)
- 朝日放送テレビ(ANN)○(毎月月末日曜、通販番組前)
- 関西テレビ(FNN)△(毎月第1月曜、午後に5分間前後[12])
- 読売テレビ(NNN)△、デジタルはナレーションなし(毎月1日か2日、放送休止中)
- 岡山放送(FNN) 不明(不定期、放送休止後)
- 広島テレビ(NNN)
- 四国放送(NNN)
ラジオ
過去に実施していた民放局
受信機
低い普及率と課題
第2種信号での運用
緊急警報放送の実施例
海外の類例
ISDBの緊急警報放送:フィリピン、南米諸国など
アメリカ合衆国
イギリス
イギリスには緊急警報放送に近い「Protect and Survive(プロテクト・アンド・サバイヴ:防護と生存)[22]」という非常事態用マニュアルが存在し、東西冷戦時の1970年代から80年代まで冊子がイギリス国民に配布されたほか、BBCによりテレビ放映されていた[注 17]。核攻撃時の避難方法から犠牲者の死体処理まで幅広くマニュアル化されている。
脚注
注釈
出典
参考文献
関連法令
- 無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)第9条の3 - 緊急警報信号発生装置 - e-Gov法令検索
- 昭和60年6月1日郵政省告示第405号 無線設備規則第九条の三第五号の規定に基づく緊急警報信号の構成 - アナログ方式のデータフォーマット(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
- 平成23年6月29日総務省告示第304号 標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式第十三条第三項等の規定に基づくTMCC情報の構成 - デジタル方式のデータフォーマット(同上)
関連項目
外部リンク
- 緊急警報放送とはどのようなものか。受信する方法を知りたい、日本放送協会 (NHK)
- 緊急警報放送 - ウェイバックマシン(2015年6月3日アーカイブ分)、防災情報研究 Wiki、ウィキア