コショウ
コショウ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1a. コショウの葉と果実 1b. 黒胡椒(左)と白胡椒(右) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Piper nigrum L. (1753)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
pepper |
コショウ︵胡椒︶は、コショウ科コショウ属に属するつる性植物の1種︵学名: Piper nigrum; 図1a︶、またはその果実を原料とする香辛料のこと︵英: pepper; 図1b︶である。インド原産であるが、世界中の熱帯域で広く栽培されている[2]。
果実には強い芳香と辛みがあり、香辛料としてさまざまな料理に広く利用され、﹁スパイスの王様﹂ともよばれる。精油が香気成分となり、アルカロイドのピペリンやシャビシンが刺激・辛味成分となる。果実の処理法などによって、黒胡椒︵ブラックペッパー︶や白胡椒︵ホワイトペッパー︶などに分けられる。15世紀以降のヨーロッパの東方進出は、コショウ貿易による利益も関わっていた。
コショウの英名は﹁pepper﹂であるが、これはサンスクリット語で同属別種であるヒハツ︵インドナガコショウ︶を意味する﹁pippali﹂に由来しており、古くに名前の取り違えが起こったと考えられている[3][注 1]。植物の学名の起点であるリンネの﹃植物の種﹄︵1753年︶で記載された植物︵つまり最初に学名が与えられた植物︶の1つである[4]。
トウガラシ︵ナス科︶やオニシバリ︵ジンチョウゲ科︶、またサンショウ︵ミカン科︶の果実を﹁胡椒﹂とよぶことがある[5]。
特徴[編集]
つる性の木本︵藤本=とうほん︶であり、長さはときに10m以上になり、節は膨らみ、節から不定根を出して他物に絡み付く[1][6][7][8]︵下図2a、b︶。葉は互生、葉柄は長さ1-2cm、葉身は卵形から長卵形、10-15 × 5-9 cm、先端は尖り、無毛で革質、表面は光沢がある暗緑色、葉脈は掌状で5-7︵-9︶脈、中央の脈は基部から 1.5-3.5 cm の部分で分枝する[1][6][7]︵下図2c︶。
野生株では単性花︵雄花と雌花が別︶をつけ雌雄異株︵雄花と雌花が別の個体につく︶のものが多いが、栽培される系統のものは雌雄同株︵雄花と雌花が同じ個体につく︶であり、また様々な程度で両性花をつける[3][7]。野生型では果実量が少ないが、栽培されるものでは両性花率が高い系統ほど果実量が多いことから、栽培の歴史の中でこのような系統が選択されてきたと考えられている[3]。花期は6–10月︵中国の場合︶、穂状花序を形成し、花梗は葉柄とほぼ同長、花穂は長さ約 10 cm、葉と対生状につく[6][7]︵下図3a、d︶。苞はへら形から楕円形、およそ 3-3.5 × 0.8 mm、花被を欠く[7]。雄しべは2個、花糸は太く短い[7]︵下図3d︶。雌しべの子房は球形、柱頭は3–4︵–5︶個[7]︵下図3d︶。
果穂は長さ 15–17 cm ほどになり、50–60個の果実からなる[6][8]︵上図3b、c︶。個々の果実は核果、1個の種子を含み、球形で直径 5-6 mm、未熟果実は緑色だがこれを天日干しすると黒色︵→#青胡椒、#黒胡椒︶、熟した果実は赤色になる︵→#赤胡椒、#白胡椒︶[1][6][7][9]︵上図3b、c︶。
染色体数は2n = 48, 52, 104, 128 が報告されており、栽培の歴史の中で著しい染色体倍加が起こったと考えられ、また他種との交雑の可能性も示唆されている[3]。
分布[編集]
原産地はインド南西部マラバール地方とされるが[10][11]、すでに紀元前1世紀ごろには東南アジア熱帯域で栽培されていたと考えられている[3]。2020年時点では、東南アジア、アフリカ、中南米の熱帯域で広く栽培されている[1][12][10]︵下記の#産地、図4参照︶。人間との関わり[編集]
香辛料[編集]
コショウの果実には強い芳香と強烈な辛みがあり、最もよく使われる香辛料︵スパイス︶の1つであるため、﹁スパイスの王様 (king of spice)﹂ともよばれる[1][5][9][13][14]。コショウの辛さは、塩辛さとは異なる辛さである[15]。コショウは肉料理、魚料理、野菜料理、スープなどさまざまな料理に使われ︵下図5︶、またハムやソーセージの製造にも利用される[9][6]。他にもソースやケチャップなどの調味料の原材料ともなる[9]。
コショウを用いた料理
種類[編集]
コショウは収穫のタイミング(未熟果、完熟果)や乾燥方法、外皮(外果皮・中果皮)の除去などの違いにより、黒胡椒、白胡椒、青胡椒、赤胡椒の4種類に分けられる。
コショウは様々な形態で利用され、ホール︵原形の粒の状態、粒胡椒︶、あらびき︵粗挽き︶、パウダー︵粉末状︶などが市販されている[9][6]。また、使うたびにペッパーミル︵図10︶を用いてホールを挽いたほうが新鮮な風味を得ることができるとされる[6]。
異なる種類の胡椒を混ぜて使うこともあり、日本で市販品には黒胡椒と白胡椒を混合したものもある[31]。また塩などと混ぜた﹁味付塩こしょう﹂として市販されているものもある[32]。
コショウの消費期限は、製造方法や保管状況にもよるが、おおよそ2-3年である[33]。挽いた後のものは、挽く前︵ホール︶より香味が飛びやすい。また﹁黒胡椒﹂﹁白胡椒﹂の乾燥させたものは、﹁青胡椒﹂﹁赤胡椒﹂といった乾燥させる前のものより長持ちしやすくなる[要出典]。大航海時代など物流が発達する前は﹁青胡椒﹂﹁赤胡椒﹂は原産地での香辛料や食材として使用されていたのに対し、原産地から離れていたヨーロッパでは﹁黒胡椒﹂﹁白胡椒﹂が使用されていた。現在は物流が発達したことや世界各地でコショウの生産が行えるようになったこと、さらに各国の料理が世界中に広まっていることからこの区別はなくなっている[要出典]。
薬用[編集]
コショウの果実にはアルカロイドであるピペリンなどが含まれており、薬効を期待した料理や外用薬に使われることがある[10][13]。抗菌、食欲増進、消化促進、健胃、駆風、発汗促進、利尿、鎮痛などの作用があるとされ、食欲不振、消化不良、胃弱、嘔吐、下痢、腹痛、腹部膨満、歯痛などに使われる[13][10]。また、抗がん作用、抗酸化作用、止瀉作用も報告されている[34][35]。脂肪燃焼作用やエネルギー代謝の亢進によるダイエット効果、また他の成分の吸収率を高めることで一緒に摂取した医薬品の作用を増強する効果があるとして健康食品に使用されることもあるが、多量に摂取した場合に他の医薬品と相互作用を示すことから、健康被害が発生する可能性を否定できず注意が必要ともされる[34][36]。成分[編集]
アルカロイドであるピペリン︵piperine 下図11a︶やシャビシン︵chavicine 下図11b︶、ピペラニン (piperapine︶、これらの構成要素であるピペリジン︵piperidine 下図11c︶などが辛み成分となり、また精油であるピネン︵pinene 下図11d︶、リモネン︵limonene 下図11e︶、カリオフィレン︵caryophyllene 下図11f︶、ピペロナール︵piperonal 下図11g︶などが香り成分となる[6][3][8][37]。
コショウでくしゃみが出るのは、辛味成分であるピペリンが鼻腔の神経を刺激するためである[38][39]。
産地[編集]
コショウはインド原産であるが、世界中の熱帯域で広く栽培されている。2021年時点の生産量︵ただしコショウ属の他種を含む︶はベトナムが最大であり、以下ブラジル、インドネシア、ブルキナファソ、インドと続いている[40]︵表1︶。国 | 生産量 (トン) |
---|---|
ベトナム | 288,167 |
ブラジル | 118,057 |
インドネシア | 81,218 |
ブルキナファソ | 67,983 |
インド | 64,816 |
スリランカ | 42,485 |
中国 | 33,356 |
マレーシア | 31,636 |
タジキスタン | 21,269 |
メキシコ | 9,841 |
世界 | 793,818 |
2021年の日本のコショウ輸入︵9079トン︶においては、マレーシア産︵38.1%︶、インドネシア産︵31.2%︶、ベトナム産︵26.4%︶のものがほとんどを占めている[41]。
コショウの取引においては、産出国名や地名を付して下記のようによばれることがある[8]︵上図6e︶。
●インド産‥マラバル胡椒、テリチェリー胡椒、アレッピー胡椒
●インドネシア産‥ランポン胡椒、ムントク胡椒
●マレーシア産‥サワラク胡椒
●ブラジル産‥ブラジル胡椒
栽培[編集]
実生から栽培されることもあるが、ふつう挿し木が用いられる[3][8][11]。コショウはつる植物であるため支持物が必要であるが、乾燥して日射が強いインドなどでは日陰になるように生きた樹木を支持物とすることがあり︵上図4a︶、雨量や曇天が多いマレーシアなどでは枯れ木やコンクリート柱を支持物とする[3]︵上図4b–d、下図12a︶。挿し木3年目ぐらいから花をつけて果実を形成しはじめ、7–8年後に最盛期を迎え、以降15-20年間収穫できるという[8][11]︵下図12b、c︶。
コショウ栽培には連作障害が起こることがあり、植物寄生性線虫が発生したり[42]、フザリウム菌などによる病害が起こりやすくなる[43]。南米での栽培では、これにより壊滅的な被害が発生したことがある[43]。コショウ栽培は、肥料代や労力のわりに価格が安いこともあり、放置される農園もある[出典無効][44]。
年 | 生産量 (トン) | 耕地面積(ha) | 耕地面積あたりの生産量(kg/ha) |
---|---|---|---|
1961 | 71,318 | 153,209 | 465.5 |
1971 | 110,391 | 202,499 | 545.1 |
1981 | 161,581 | 234,175 | 690.0 |
1991 | 284,310 | 359,202 | 791.5 |
2001 | 359,405 | 466,816 | 769.9 |
2011 | 419,450 | 541,403 | 774.7 |
2021 | 793,818 | 678,215 | 1,170.5 |
一方、21世紀に入ると情報技術の進歩により、物流状況や市場価格がいち早く確認できるようになったため、生産調整が可能になったこと、また中華人民共和国やインドなど、人口の多い地域で需要が増大したことで、コショウの価格は再び上昇し、2005年から2015年の間に、横浜港での通関単価は1 kg当たり1607円と約5倍に達した[45][41]。日本での通関単価はその後下落し、2020年には1 kg当たり471円になったが、2021年には1 kg当たり631円[41]と上昇した︵表3︶。
年 | 輸入量(トン) | 金額(億円) | 通関単価(円/kg) |
---|---|---|---|
2011 | 8,855 | 54.98 | 621 |
2012 | 8,130 | 63.53 | 781 |
2013 | 8,514 | 74.81 | 879 |
2014 | 8,833 | 104.04 | 1,178 |
2015 | 9,068 | 140.15 | 1,546 |
2016 | 8,741 | 115.26 | 1,319 |
2017 | 8,193 | 82.67 | 1,009 |
2018 | 9,485 | 60.94 | 642 |
2019 | 9,714 | 49.11 | 506 |
2020 | 9,428 | 44.37 | 471 |
2021 | 9,079 | 57.29 | 631 |
歴史[編集]
コショウは、古代からインド地方の重要な輸出品であった。紀元前4世紀の初め頃、古代ギリシアの植物学者テオフラストゥスは﹃植物誌﹄の中でコショウと長コショウ︵ヒハツ︶について記している[46]。ヨーロッパでは、古くからコショウは貴重品であり、紀元1世紀のローマの博物学者大プリニウスは1ポンド︵約500 g︶の長コショウの価値は15デナリウス、白コショウは7デナリウス、黒コショウは4デナリウスと記録している[47][48]。古代の地中海世界では、長コショウが成熟したものが黒コショウになると考えられており、その間違いは、16世紀にガルシア・デ・オルタによって改められるまで続いた[49]。長コショウは白・黒コショウよりも高額に扱われていたが、中世盛期に入ると黒コショウなどと競合するようになり、中世後期にはヨーロッパでは使われなくなっていった[48]。
冷蔵技術が未発達であった時代には、腐りかけの肉の匂いを隠すためや、その防腐作用のためにコショウが珍重されたといわれることが多い[50][51]。しかし贅沢品であるコショウを入手できるような人は裕福であり、新鮮な肉を入手できたはずであったとも考えられている[52]。また、確かにコショウに含まれるピペリンなどには殺菌作用があるが、香辛料としての使用量程度では有効ではなく[53]、より効果的な保存法である塩漬けは当時から使われていた。しかし、コショウなどの香辛料は、長期保存された肉の風味をよくすることには有用であったと考えられている[51]。
コショウの取引における高値のさまは、1世紀のローマにおいて、コショウが同重量の金や銀と交換されたかのような表現もされる[54]。ローマが西ゴート族の王であったアラリック1世に包囲された際、ローマ市民は包囲を解いてもらう代償として金5000ポンド、銀3万ポンド、絹のチュニック4000着、緋色に染めた皮革3000枚、そしてコショウ3000ポンドを渡すことに同意した[55]。中世になると、インドとヨーロッパの間の交易はアラビア商人とイタリア商人︵ヴェネチアやジェノヴァなど︶が担っていたが[51][50]、ヴェネチアの人々はコショウを﹁天国の種子﹂と呼び、その価値を高めることもしていた[56]。十字軍や大航海時代などの目的の1つが、コショウなど東洋の香辛料獲得にあったことはよく知られている[57][58]︵下図13︶。
13. ポルトガルがヨーロッパ向けコショウ貿易を支配していた時代の インド、カリカット︵1572年︶
ヨーロッパにおいてコショウは貴重品であったが、12世紀に入ると大量のコショウが輸入されるようになったと考えられている[59]。コショウはそのため疑似通貨として使用されるようになり、税金や給料などにもコショウで支払われた例がある。この結果、希少性を失っていったことは当時の料理本の中での記載の減少でも確認できる[59]。宮廷料理を調理する王侯貴族のお抱え料理人達が書く料理本において、コショウはローマ時代は常連の香辛料であったが、中世においてはその数を減じていった。アルナルドゥス・デ・ビラ・ノバ︵1235年頃 – 1313年頃︶作とされる﹃レギメン・サニタティス﹄には、﹁コショウは農夫のソースであり、彼らはコショウを下品な豆類と混ぜて食っている﹂と書かれ、富者の上品なソースと対比させて述べている[59]。
中国では、西方から伝来した香辛料という意味で、﹁胡椒﹂と呼ばれた[注 5][5][60]。日本には中国を経て伝来しており、そのため日本でもコショウ︵胡椒︶と呼ばれる。天平勝宝8歳︵756年︶、聖武天皇の77日忌にその遺品が東大寺に献納された。その献納品の目録﹃東大寺献物帳﹄の中に﹁胡椒﹂が記されており、また当時のコショウが正倉院から発見されている[61]。奈良時代の日本ではコショウは生薬として用いられていたが、江戸時代初期に書かれた﹃雑兵物語﹄でも﹁︵戦場で︶毎朝胡椒を1粒ずつかじれば夏の暑さにも冬の寒さにも当たらない﹂としており、このころにも薬用としての需要があったことを示している[62]。
コショウは奈良時代以降も断続的に輸入され、平安時代には調味料としても利用されるようになり[63]、江戸時代にはうどんの薬味や胡椒飯として用いられていた[61]。トウガラシ︵唐辛子︶が伝来する以前は、日本でコショウは山椒と並ぶ香辛料として現在より多くの料理で利用されていた[61]。江戸期を通じて唐船を介した輸入量は年平均5.7トン︵1641年–1832年[61]︶、オランダ船を通じて78トン︵1638年時点︶[注 6]のコショウを輸入していた。現在も船場汁、潮汁、沢煮椀などの吸い物類を中心に、薬味としてコショウを用いる日本料理は残存している[65][66][67][疑問点]。
日本では、トウガラシはその伝来当初、コショウの一種として﹁南蛮胡椒﹂や﹁高麗胡椒﹂などと呼ばれていた[68][69]。このため、現在でも九州地方を中心に、唐辛子を﹁胡椒﹂と呼ぶことがある[70]。九州北部で製造される柚子胡椒や、沖縄のコーレーグス︵高麗胡椒︶の原料はコショウではなくトウガラシである。﹁胡椒﹂をトウガラシの意味で用いる地域では、他地域で胡椒とよばれるものを﹁洋胡椒﹂と呼んで区別することもある[70]。
14. ヒハツモドキ
同じコショウ属 (Piper) の中には、コショウと同様に香辛料として利用される種がいくつか含まれる。インドなどに分布するヒハツ︵P. longum、インドナガコショウ︶は古くからヨーロッパに輸入され、コショウと混同されていたこともある[75]。また類似種であるヒハツモドキ︵P. retrofractum、ジャワナガコショウ︶は沖縄を含む東南アジアを中心に栽培されており、同じく香辛料として用いられる[76]︵図14︶。沖縄でつくられる﹁島胡椒﹂[注 8]は、ヒハツモドキを原料とする。その他に同属のカヴァやキンマは嗜好品に利用される。
日本には、類似種としてフウトウカズラ︵風藤蔓、Piper kadzura︶が関東以西の海岸近くに自生しているが、果実にはコショウのような辛味はない[77]。
文学に現れる胡椒[編集]
●井原西鶴の﹃日本永代蔵﹄に胡椒の日本伝来事情の記述がある[71]。昔は胡椒は中国から輸入していたが、唐人は日本で栽培されないよう胡椒粒に熱湯をかけてから引き渡していたので、日本で蒔いても芽が出なかったとしている。ある時、高野山で一度に三石︵約540リットル︶もの胡椒を蒔いたら2本だけ根を生やし、それから日本国中に胡椒が広がったのだという[注 7]。 ●胡椒が登場する落語として、﹃くしゃみ講釈﹄、﹃棒鱈﹄、﹃胡椒の悔やみ﹄がある[72][73][疑問点]。 ●近松門左衛門の﹃大経師昔暦﹄に﹁女房のやきもちとうどんに、胡椒はお定まり﹂とあり、当時、うどんの薬味にはコショウが使われていたようだ。[74]近縁種[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
(一)^ サンスクリットでは、コショウは﹁maricha﹂とよばれ、現在でもマレー語圏ではこの名でよばれている[3]。
(二)^ abcピンクペッパーはおそらくコショウではなく、コショウボクの果実である[16]。
(三)^ ただし英語の﹁green pepper﹂は、ピーマンやシシトウガラシなど甘味種のトウガラシを意味することもある[25]。
(四)^ ﹁ピンクペッパー﹂はコショウボク︵ウルシ科︶やセイヨウナナカマド︵バラ科︶の果実を意味することも多い[1][8][16][27][28]。また赤胡椒を直訳して﹁レッドペッパー﹂とすることがあるが、この語はふつう赤唐辛子︵ナス科︶のことを指す[29]。
(五)^ 胡はソグド人など中国から見て西方・北方の異民族を指す字であり、椒はカホクザンショウなどサンショウ属︵ミカン科︶の香辛料を指す字である。
(六)^ 仕入価格で3万3150ギルダー[64]、現代[いつ?]の3億6500万円程度。なお現代[いつ?]の日本の輸入量は年8000トン程度、国際相場1トン30万円から100万円程度。
(七)^ ただし実際にはコショウは熱帯性の植物であり、日本では育たない。
(八)^ ヒバーチ、ピパーツなどともよばれる。
出典[編集]
(一)^ abcdefghijklmnopqrstuvw“Piper nigrum”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。
(二)^ “世界一使われているスパイス!胡椒の歴史・種類・使い方など解説”. macaroni (2018年9月20日). 2023年7月2日閲覧。
(三)^ abcdefghijkl堀田満﹁コショウ﹂﹃植物の世界﹄ 9巻、朝日新聞社出版︿週刊朝日百科﹀、1997年、51頁。ISBN 9784023800106。
(四)^ Linnaeus, Carolus (1753) (ラテン語). Species Plantarum. Holmia[Stockholm]: Laurentius Salvius. p. 28
(五)^ abc"胡椒". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(六)^ abcdefghi"コショウ". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年9月13日閲覧。
(七)^ abcdefgh“Piper nigrum”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年9月18日閲覧。
(八)^ abcdefghijkl“胡椒の産地”. 日本胡椒協会. 2021年9月18日閲覧。
(九)^ abcde“こしょう/Pepper”. S&B FOODS. 2021年9月18日閲覧。
(十)^ abcde難波恒雄﹁薬膳原理と食・薬材の効用 (2) 薬膳に用いる身近な食物﹂﹃日本調理科学会誌﹄第33巻第1号、2000年、105頁、doi:10.11402/cookeryscience1995.33.1_100。
(11)^ abc“こしょうの栽培の様子”. S&B FOODS. 2021年9月20日閲覧。
(12)^ “世界のコショウ︵胡椒︶生産量 国別ランキング・推移”. GLOBAL NOTE. 2021年9月18日閲覧。
(13)^ abc"コショウ". 食の医学館. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(14)^ Ghosh, S.; Kumar, A.; Sachan, N.; Chandra, P. (2020). “Re-exploring an epicentre spice with immense therapeutic potentials: black pepper (Piper nigrum)”. Current Nutrition & Food Science 16 (9): 1326-1337. doi:10.2174/1573401316666200316120944.
(15)^ 太田静行、古堅あき子、日下兵爾 ほか﹁鹹味に及ぼすコショウの影響﹂︵PDF︶﹃調理科学﹄第16巻、一般社団法人日本調理科学会、1983年、122-126頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.16.2_122、ISSN 0910-5360、NAID 110001171688。
(16)^ abc"ピンクペッパー". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(17)^ abcdefg“こしょう物語”. こしょう本舗. 2021年9月18日閲覧。
(18)^ ab“ブラックペッパー/Black pepper”. S&B FOODS. 2021年9月19日閲覧。
(19)^ "ブラックペッパー". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(20)^ “コショウ”. 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園. 2023年5月27日閲覧。
(21)^ ab“ホワイトペッパー/White pepper”. S&B FOODS. 2021年9月19日閲覧。
(22)^ ab"ホワイトペッパー". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(23)^ abSteinhaus, M.; Schieberle, P. (2005). “Role of the fermentation process in off-odorant formation in white pepper: on-site trial in Thailand”. Journal of Agricultural and Food Chemistry 53 (15): 6056–6060. doi:10.1021/jf050604s.
(24)^ abcd“グリーンペッパー/Green pepper”. S&B FOODS. 2021年9月19日閲覧。
(25)^ "グリーンペッパー". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(26)^ ﹁いま、食べたいのはアジアごはん﹂﹃Hanako﹄第1140巻2017年9月14日号、マガジンハウス、2017年、072頁。
(27)^ ab吉田よし子﹃香辛料の民俗学﹄中央公論社︿中公新書﹀、1988年、115頁。ISBN 978-4121008824。
(28)^ “ピンクペッパー/Green pepper”. S&B FOODS. 2023年6月13日閲覧。
(29)^ "レッドペッパー". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(30)^ “カンポット レッドペッパー”. こしょう本舗. 2021年9月18日閲覧。
(31)^ “テーブルコショー 20g”. S&B FOODS. 2021年9月19日閲覧。
(32)^ “味付塩こしょう”. S&B FOODS. 2021年9月19日閲覧。
(33)^ “スパイスなんでもQ&A”. Spice of Life. House Foods. 2021年9月19日閲覧。
(34)^ ab長谷川ら 2010.
(35)^ Bezerra, D. P.; Castro, F. O.; Alves, A. P. N. N.; Pessoa, C.; Moraes, M. O.; Silveira, E. R.; Costa-Lotufo, L. V. (2006). “In vivo growth-inhibition of Sarcoma 180 by piplartine and piperine, two alkaloid amides from Piper”. Brazilian Journal of Medical and Biological Research 39: 801-807. doi:10.1590/S0100-879X2006000600014.
(36)^ “ピペリン”. 森田草楽堂. 2021年9月19日閲覧。
(37)^ 飯島陽子﹁香辛料・ハーブとその香り~香気生成メカニズムとその蓄積﹂﹃におい・かおり環境学会誌﹄第45巻第2号、2014年、132-142頁、doi:10.2171/jao.45.132。
(38)^ ﹁コショウでくしゃみ、なぜ?﹂﹃朝日新聞東京版﹄、朝日新聞社、2006年1月31日、2023年6月13日閲覧。
(39)^ NEWS ONLINE 編集部 (2019年3月28日). “コショウを吸うとクシャミが出るのは﹁ピペリン﹂のせい?”. NEWS ONLINE. ニッポン放送. 2023年6月13日閲覧。
(40)^ abcd“piper spp.”. FAOSTAT. Food and Agriculture Organization of the United Nations. 2023年5月23日閲覧。
(41)^ abc“コショウの輸入”. 横浜税関. 2023年5月27日閲覧。
(42)^ 中園和年、Ramirez J. A.、浜田正博、松田明﹁ドミニカ共和国の胡椒栽培における植物寄生性線虫︵植物線虫︶﹂﹃日本応用動物昆虫学会大会講演要旨﹄第36号、1992年、222頁、NAID 110001086347。
(43)^ ab“アマゾンのアグロフォレストリ”. ブラジル移民の100年. 国立国会図書館. 2021年9月23日閲覧。
(44)^ ﹁胡椒栽培と放置故障園﹂大阪府社会科研究会
(45)^ “コショウ高騰 世界的需要増に生産者売り急がず”. 神奈川新聞. (2015年6月29日) 2021年9月23日閲覧。
(46)^ Akbar, S.; Akbar, S. (2020). “Piper nigrum L. (Piperaceae) (Syn.: Piper aromaticum Lam.)”. Handbook of 200 Medicinal Plants: A Comprehensive Review of Their Traditional Medical Uses and Scientific Justifications. Springer Nature. pp. 1437-1442. doi:10.1007/978-3-030-16807-0_148. ISBN 978-3-030-16807-0
(47)^ Philippe Hyman (1980年6月). “Connaissez-vous le poivre long?” (フランス語). L'Histoire. 2022年2月4日閲覧。
(48)^ abDalby, A. (2002). “Long pepper”. Dangerous Tastes: The Story of Spices. University of California Press. pp. 89–90. ISBN 978-0520236745
(49)^ ドルビー 2004, pp. 139–148.
(50)^ ab神戸保﹁胡椒﹂﹃生活衛生﹄第28巻第4号、大阪生活衛生協会、1984年、242-242頁、doi:10.11468/seikatsueisei1957.28.242、ISSN 0582-4176、NAID 130003723517。
(51)^ abc青島均 (2011). 嗜好品の香りと健康 : 香りで健康に過ごそう. フレグランスジャーナル社. ISBN 978-4894792029
(52)^ Dalby, A. (2000). Dangerous Tastes: The Story of Spices. British Museum Press. p. 156. ISBN 978-0714127200
(53)^ Dorman, H. J. D. & Deans, S. G. (2000). “Antimicrobial agents from plants: antibacterial activity of plant volatile oils”. Journal of Applied Microbiology 88 (2): 308–316. doi:10.1046/j.1365-2672.2000.00969.x.
(54)^ 高橋 1990, pp. 249–250
(55)^ Norwich, J. (1989). Byzantium: The Early Centuries. Knopf. pp. 134. ISBN 978-0394537788
(56)^ 高橋 1990, p. 252
(57)^ 高橋 1990, p. 247, 269
(58)^ 高橋和良 (2014). “香辛料の歴史・文化的役割について”. におい・かおり環境学会誌 45 (2): 100-107. doi:10.2171/jao.45.100.
(59)^ abc池上俊一﹁ヨーロッパ中世における食物のイメージ﹂︵PDF︶﹃浦上財団研究報告書﹄第5巻、1996年、150–157頁。
(60)^ 荒川正晴﹁ソグド人の交易活動と香料の流通﹂﹃専修大学社会知性開発研究センター古代東ユーラシア研究センター年報﹄第5号、専修大学社会知性開発研究センター、2019年3月、29-48頁、doi:10.34360/00008303、NAID 120006785685。
(61)^ abcd鈴木伸哉、南木睦彦﹁江戸の墓から出土したコショウ﹂﹃植生史研究﹄第14巻第1号、日本植生史学会、2006年、29-33頁、doi:10.34596/hisbot.14.1_29、ISSN 0915-003X、NAID 130008053002。
(62)^ 松平信興﹁鉄砲足軽小頭 朝日出右衛門﹂﹃雑兵物語﹄ 2巻、須原屋伊八 : 須原屋茂兵衛、勝村治右衛門、秋田屋太右衛門、弘化3年︵1846年︶。doi:10.11501/2583523。国立国会図書館書誌ID:2583523。"画像番号
0005.jp2-0008.jp2"。国立国会図書館デジタルコレクション、インターネット公開 。
(63)^ 鈴木晋一﹃たべもの噺﹄平凡社、1986年、68-69頁。ISBN 9784582828139。
(64)^ 行武和博﹁近世日蘭貿易の数量的取引実態: 17世紀前期オランダ商館作成﹁会計帳簿﹂の解読・分析﹂﹃社会経済史学﹄第72巻第6号、2007年、673-693頁、doi:10.20624/sehs.72.6_673。
(65)^ “船場汁”. eヘルシーレシピ. 第一三共. 2023年5月27日閲覧。
(66)^ “美味☆鯛の潮汁”. Cookpad. 2023年5月27日閲覧。
(67)^ “食べるスープ﹃沢煮椀﹄”. Cookpad. 2023年5月27日閲覧。
(68)^ "南蛮胡椒". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(69)^ "高麗胡椒". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年9月19日閲覧。
(70)^ ab神谷禎恵﹁ゆずごしょう﹂﹃日本調理科学会誌﹄第54巻第4号、2021年、201-205頁、doi:10.11402/cookeryscience.54.201。
(71)^ 朴眞珠﹁17世紀日本文学からの視点﹂﹃人文論究﹄第69巻第3/4号、関西学院大学人文学会、2020年2月20日、169-193頁、NAID 120006867561。
(72)^ 河合昌次. “落語の舞台を歩く”. 2021年9月23日閲覧。
(73)^ 河合昌次. “落語ばなし”. 2021年9月23日閲覧。
(74)^ ﹃トウガラシの世界史﹄中央公論新社、2016年2月25日、196頁。
(75)^ 山門健一﹁香りのまちづくり-その後の展開-﹂﹃沖大経済論叢﹄第20巻第1号、沖縄大学、1998年3月、37-69頁、ISSN 0387-1657、NAID 110004642240。
(76)^ NEWS ONLINE 編集部 (2021年1月23日). “﹁ヒハツ﹂﹁ヒハツモドキ﹂﹁島こしょう﹂~全部ほぼ同じコショウ”. NEWS ONLINE. ニッポン放送 . 2021年9月11日閲覧。
(77)^ "フウトウカズラ". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年9月19日閲覧。
参考文献[編集]
●﹁胡椒貿易と植付﹂﹃大阪新報﹄、1921年2月8日。 ●後藤隆郎 著、国際農林業協力協会 編﹃胡椒:その栽培から利用まで﹄国際農林業協力協会、1983年、124頁。ASIN B000J7BRPG。 ●高橋保﹁16世紀初頭までの南アジア・東南アジアにおける胡椒の生産と貿易﹂1990年、NAID 120002815816。 ●難波恒雄﹁薬膳原理と食・薬材の効用(2) : 薬膳に用いる身近な食物﹂﹃日本調理科学会誌﹄第33巻、日本調理科学会誌、2000年、100-106頁、NAID 110001170018。 ●長谷川貴志、髙橋市長、西條雅明、吹譯友秀、小倉誠、元木裕二﹁黒コショウを含有したいわゆる健康食品におけるピペリン含有量について﹂﹃千葉県衛研年報﹄第59巻、2010年、70–73頁、NDLJP:11480517。 ●アンドリュー・ドルビー 著、樋口幸子 訳﹃スパイスの人類史﹄原書房、2004年。ISBN 4562038004。関連項目[編集]
●コショウ属: ヒハツ︵インドナガコショウ︶、ヒハツモドキ︵ジャワナガコショウ、島胡椒︶、ヒッチョウカ、キンマ、カヴァ、フウトウカズラ ●成分: ピペリン、シャビシン、ピペリジン、ピネン、フェランドレン、リモネン、カリオフィレン、ピペロナール外部リンク[編集]
●“こしょう/Pepper”. S&B FOODS. 2021年9月18日閲覧。
●“ブラックペッパー”. GABAN. 2021年9月18日閲覧。
●“こしょう本舗”. 2021年9月18日閲覧。
●“日本胡椒協会”. 2021年9月18日閲覧。
●“Piper nigrum” (英語). Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。