拍子
(拍子記号から転送)
拍子︵ひょうし︶は、一般には、拍や拍の連なりのこと。西洋音楽では強拍に連なるいくつかの拍の集まりの繰り返しを言う。日本では﹁三三七拍子﹂という言葉でわかるように、この言葉は、西洋音楽の定義の﹁拍子﹂とは異なる使われ方をする。アラブ古典音楽のイーカーア︵イーカー︶やインド古典音楽のターラ︵サンスクリット読み︶を﹁何々拍子﹂と表現することがあるが、これも西洋音楽の定義の﹁拍子﹂とは異なる。
以下、本項においては、西洋音楽のそれについて述べる。
西洋音楽における拍子[編集]
西洋音楽において拍子とは、拍の連なり︵拍節︶において、拍に重軽が生じたとき、ひとつの重である拍︵﹁強拍﹂という︶とそれに後続する1つないしいくつかの軽である拍︵﹁弱拍﹂という︶の集まりが︵原則として︶周期的に繰り返され、強拍から次の強拍まででひとつのまとまりを感ずることをいう。 ひとつの強拍に連なる拍の数によって、2拍子、3拍子、4拍子などと呼ぶ。また、ひとつの拍を示す音価を添えて、4分の2拍子、2分の3拍子と呼ぶ。楽譜には、五線の下半分に音価、上半分に拍数を書く。これを拍子記号という。なお楽譜上では、ひとつの拍を示す音価が付点音符の場合、便宜上本来の拍子と異なる数字を書き記すことがある。なお、2分の2拍子を、4分の4拍子をと書くことがある。これは中世フランスの音楽家、フィリップ・ド・ヴィトリーが音楽理論書﹃Ars Nova﹄︵1325年頃︶で用いた記譜法に由来する。﹃Ars Nova﹄では、音価の分割について3分割を完全分割、2分割を不完全分割とし、完全分割による3拍子は完全を意味する正円﹁○﹂で表し、不完全分割による2拍子や4拍子は正円の一部が欠けた﹁C﹂によって表していた[1]。中には﹁Common time (ありふれた拍子) の頭文字Cを図案化したもの﹂と解説する書もあるが[2]、これは誤りである。 楽譜に書くとき、ひとつの強拍に連なる拍のまとまりを、小節と呼ぶ。西洋音楽における拍子の歴史[編集]
ルネサンス音楽︵15世紀から16世紀頃︶以前は、曲全体に統一された拍子を与えることは一般的でなかった。一つの曲の中で拍の強弱の周期は様々に変化し、多声音楽では強拍の位置が声部ごとに異なるのが普通であった。しかし、舞曲ではステップを踏むために必要であったため、拍子がつけられていた。バロック音楽︵17世紀から18世紀半ば頃︶以後は舞曲のスタイルが踏襲されたため、西洋音楽は拍子をもつようになった[3]。この節の加筆が望まれています。 |
単純拍子[編集]
西洋音楽においては、すべての拍子を2拍子ないし3拍子の組み合わせに適用する傾向があり、これを単純拍子と呼ぶ。また、2拍子の複合拍子である4拍子を単純拍子に加えることもある。