日本国憲法第53条
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本国憲法 第53条︵にほんこく︵にっぽんこく︶けんぽうだい53じょう︶は、日本国憲法の第4章にある条文で、国会の臨時会について規定している。
条文[編集]
日本国憲法、e-Gov法令検索。 第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。沿革[編集]
大日本帝国憲法[編集]
東京法律研究会 p.10 第四十三條 臨時緊急ノ必要アル場合ニ於テ常會ノ外臨時會ヲ召集スヘシ 臨時會ノ會期ヲ定ムルハ勅命ニ依ルGHQ草案[編集]
﹁GHQ草案﹂、国立国会図書館﹁日本国憲法の誕生﹂。日本語[編集]
第四十八条 内閣ハ臨時議会ヲ召集スルコトヲ得国会議員ノ二割ヨリ少カラサル者ノ請願アリタルトキハ之ヲ召集スルコトヲ要ス英語[編集]
Article XLVIII. The Cabinet may call special sessions and shall do so on petition of not less than twenty per cent of the members of the Diet.憲法改正草案要綱[編集]
﹁憲法改正草案要綱﹂、国立国会図書館﹁日本国憲法の誕生﹂。 第四十八 内閣ハ国会ノ臨時会ノ召集ヲ決定スルコトヲ得ルモノトシ何レカノ議院ノ総議員四分ノ一以上ニ当ル者ノ要求アリタルトキハ其ノ召集ヲ決定スルコトヲ要スルコト憲法改正草案[編集]
﹁憲法改正草案﹂、国立国会図書館﹁日本国憲法の誕生﹂。 第四十九条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。運用[編集]
臨時会は、年始から初夏にかけての常会︵通常国会︶が終わった後、秋から初冬にかけて開かれることが多く[1]、また参議院議員通常選挙直後︵8月上旬︶にも、参議院の要職を選出するために数日間開かれる[1][2]。 これらはいずれも内閣が自発的に開くことが多い。稀に内閣が開催に消極的で、野党が本条後段を根拠にして開催を要求することがある。 議院の総議員の4分の1以上の要求によって召集された例は、2015年︵平成27年︶10月までに34回あった[3][4]。一方、2003年︵平成15年︶11月、2005年︵平成17年︶11月、2015年︵平成27年︶10月に本条に基づき臨時会の要求があったときには、翌年1月に行われる常会召集が要求から合理的な期間内であるからという理由で臨時会が召集されなかった[3][4][5]。 また、この条文には開催期限の規定が存在しない。2017年︵平成29年︶6月22日には野党から召集要求が内閣に提出され、これを受けた安倍内閣は9月28日に召集するという閣議決定を、9月22日に行った。9月28日には国会が召集されたが、冒頭解散を行ったため、衆議院は解散され、参議院も日本国憲法第54条の規定に基づき閉会となった。日本共産党衆議院議員の赤嶺政賢、社会民主党衆議院議員照屋寛徳、会派沖縄の風所属参議院議員の糸数慶子︵沖縄社会大衆党委員長︶、伊波洋一らが、﹁安倍内閣が適切な時期に議会を召集しなかった﹂ことで、国会議員としての権能を果たす機会を奪われたとして、国家賠償法に基づく賠償を求めて那覇地方裁判所に提訴した。2020年︵令和2年︶に那覇地裁は開催時期が適切かどうかは司法判断の対象となるとした上で、被告による賠償請求は要件を満たしていないとして、開催期間が合理的かどうかは判断を行うまでもないとして請求を棄却した[6]。関連条文[編集]
●国会法第3条参考文献[編集]
●東京法律研究会﹃大日本六法全書﹄井上一書堂、1906年︵明治39年︶。 ●辻雅之﹃ポケット図解 日本の政治がよーくわかる本―永田町の動向を読み解く基礎知識﹄秀和システム、2006年︵平成18年︶。ISBN 978-4798013718。関連項目[編集]
●臨時会脚注[編集]
出典[編集]
(一)^ ab辻雅之 p.30
(二)^ ﹁参議院のあらまし﹂、参議院
(三)^ ab“拒否なら異例 憲法規定の要求は37回目”. 共同通信. (2015年10月22日) 2015年11月12日閲覧。
(四)^ ab“憲法53条で﹁臨時国会開け﹂ 政府側消極的、なぜ?”. テレビ朝日. (2015年10月21日) 2015年11月12日閲覧。
(五)^ “安倍首相答弁 憲法軽視の反省見えぬ”. 東京新聞. (2016年1月6日) 2016年1月13日閲覧。
(六)^ “平成30(ワ)803 憲法53条違憲国家賠償請求事件 判決全文” (pdf). 最高裁判所. 2020年8月7日閲覧。