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ベータマックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベータ規格から転送)
ベータマックス
Betamax、Beta(β)
メディアの種類 磁気テープ
記録容量 K-30(βI:30分)
K-60(βI:60分)
L-85(βII:20分、βIII:30分)
L-125(βII:30分、βIII:45分)
L-165(βII:40分、βIII:1時間)
L-250(βII:60分、βIII:1時間30分)
L-330(βII:80分、βIII:2時間)
L-370(βII:90分、βIII:2時間15分)
L-500(βII:2時間、βIII:3時間)
L-660(βII:2時間40分、βIII:4時間)
L-750(βII:3時間、βIII:4時間30分)
L-830(βII:3時間20分、βIII:5時間)
フォーマット アナログ
NTSCカラー、EIA標準方式)
読み込み速度 40.0 mm/s(βI・βIs)
20.0 mm/s(βII)
13.3 mm/s(βIII)
読み取り方法 水平磁気記録 回転2ヘッド・ヘリカルスキャンアジマス方式
書き込み方法 水平磁気記録 回転2ヘッド・ヘリカルスキャンアジマス方式
書き換え回数 随時オーバーライト
策定 ソニー
主な用途 映像等
大きさ 156×96×25 mm(テープ幅:12.65 mm(1/2インチ
上位規格 ED Beta
関連規格 BETACAMVHS(競合規格)
テンプレートを表示
ベータマックスのビデオデッキ(下から1、2段目の各1台と、右側最上部の1台)
テープサイズの比較。
Betamax(上)とVHS(下)
ビデオデッキの内部構造(SL-HF150)
ベータカム(左)とベータ方式(右)のビデオテープ

βBetamaxHi-Band EDExtented Definition BetaED Beta

概要

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VHSVTR1SL-63001975416510

VTRVTRVHSVTRVHS19842002VTR4001,80019845000[1][2]

VHS1980VTR(1983)FMBeta hi-fi(1983)FMHi-Band Beta(1985)VHS1987VHSS-VHS1987使ED

1988VHS2002827調姿[1]

[ 1]NECAV︿/︿V使NEC5OEM

SearsZenith ElectronicsRadioShackTATUNG1986VHS/  OEM

VHSと比較した特徴

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VHS

[3]

VHS5.8m/sβI6.973 m/sβII6.993 m/s



VHS[ 2]

βIIL-830200
VHST-160160β退VHST-210

βIIIVHS(3)βIII
VHS31987S-VHS90退

VHSVHS1990

604500303000VHS調姿[ 3]

20HDCAM20163[4][5][6]20163[2]

2009VHSVTRVTR1SL-6300[7]

名称

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BetamaxβIsβbetterMAX[3]

フォーマット概要

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ベータマックスのビデオテープ
  • 記録方式:FM ヘリカルスキャンアジマス方式
  • 記録ヘッド数:2
  • ヘッドドラム径:74.487 mm
  • ヘッドドラム回転数:約30 Hz(約1800 rpm
  • テープ幅:12.65 mm(1/2インチ
  • テープ送り速度:βI・βIs - 40.0 mm/s / βII - 20.0 mm/s / βIII - 13.3 mm/s
  • 記録トラック幅:βI - 約58 µm / βIs - 39 µm(ソニー機)・33 µm(NEC機) / βII - 29 µm / βIII - 19.5 µm
  • 信号方式:(ノーマルモード、その他のモードは記録モード一覧を参照)
    • 映像信号:周波数変調(FM)シンクチップ:3.6 MHz/白ピーク:4.8 MHz:クロマ信号:低域変換方式
    • 音声信号:2チャンネル長手方向記録(ノーマル音声トラック)、FM変調記録(Beta hi-fi)
  • テープ仕様
    • 厚み:L-500以下 - 19.0 µm / L-750 - 14.5 µm / L-830 - 12.5 µm / EL-500・EL-750(ED Metal)- 19.0 µm
    • 保磁力:60kA/m(Betamax)、124kA/m(ED Metal)
    • 残留磁束密度:180mT(Betamax)、260mT(ED Metal)

規格の経緯

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βIVHS2βIIVHSVHSSN

SN調NECβIIISNVHS

EIAJ CP-0511VTR12.7mm2JIS C 558212.65mm0.5in [8][9]

録画モードの推移

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U1K-60使VHS21/2βII

HβIβIIIβIβIs[ 4]βIIβIβI
テープ別録画時間(単位:分)
モード テープ速度 K-30 K-60 L-85 L-125 L-165 L-250 L-330 L-370 L-500 L-660 L-750 L-830
βI/βIs 40.0mm/s 30 60 10 15 20 30 40 45 60 80 90 100
βII 20.0mm/s 60 120 20 30 40 60 80 90 120 160 180 200
βIII 13.3mm/s 90 180 30 45 60 90 120 135 180 240 270 300
  • K-30 / K-60はβII登場に伴い、L-250 / L-500に表記を変更した。

Beta hi-fi

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βIIVHS調SL-J7SL-J9βNRdbxadresSuper D

1983Beta hi-fiFMVHS1VHSVHS-HiFi

Beta hi-fiBeta hi-fiVHS-HiFiHiFiDCVHS-HiFihi-fihi-fihi-fihi-fi[10]

Hi-FiSL-HF300FM3.6MHz4.0MHz400kHzHi-BandβIIβII

Hi-Fi1SONYSL-HF77FM3.6MHz4.0MHz

Beta hi-fiHi-FiHiFiBeta hi-fiBetaPlus

Hi-Bandベータ

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ハイファイ音声導入後に行ったFMキャリアの高周波数化の実績を踏まえ、正式にFMキャリアのさらなる高周波数化を施して解像度低下を補い、狭幅ヘッド使用による隣接トラックの影響排除と併せた再生画の再調整を施し、総合的な画像の品質向上を図ったものが「Hi-Bandベータ[注釈 5]」フォーマットである。 同時に、より高画質な記録と当時流行しつつあったビデオ編集時のダビングによる画質劣化を抑える目的で、テープ速度をβI相当に速めることで磁気情報量を増した「βIsモード」を開発(旧βI規格とは異なる)、それのさらなる高解像度化を図った「SHB Hi-Bandモード」(SHB-βIs、当初はスーパーハイバンドと銘打たれていたが商標登録に支障したため名称を変更)も続けて開発・搭載し、「高画質録画ならベータ」というイメージ戦略を展開した。

EDベータ

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EDベータテープ。誤消去防止用のツメがスライド式になっており、場所も異なる。元の場所には穴が開いており、ツメが折れた状態となっている

EDBeta

VHSS-VHSEDED-βIIED-βIIIS-VHSEDTV

ED使FM9.3MHz500TVS-VHS使S-VHS[ 6]

330BS350430S-VHS400ED500S-VHSEDEDS-VHS

EDEDTVEDTV19886EDEDC-5073使1995DVDVEDDVi.LINK

記録モード一覧

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  • ノーマルベータフォーマット - ソニー(全モード)・ベータフォーマット参入各社(βII・βIIIのみ対応)
    • βI(本来のベータマックスの基本モード・録画は最初期のソニー機のみ対応)
    • βII(ベータマックス・ベータフォーマットの実質的標準モード、βI に対する2倍モード)
    • βIII(ベータマックス・ベータフォーマットの長時間モード、βI に対する3倍モードで、βIIからは1.5倍に相当)
  • Beta hi-fiフォーマット - ソニー及びベータフォーマット参入各社
    • βII(高音質記録対応のフォーマット・ノーマルベータ機での再生では画像にノイズが入る弊害あり)
    • βIII(高音質記録対応のフォーマット・ノーマルベータ機での再生では画像にノイズが入る弊害あり)
  • Hi-Bandベータフォーマット - ソニー・NEC・パイオニア(βIs対応)、アイワ・東芝・三洋電機(輸出用機)(βII・βIIIのみ対応)
    • βIs(Hi-Band βIIを基本としてテープ速度を高めた規格で、βIモードとの互換性はない)
    • SHB-βIs(βIsモードを更にハイバンド化・βIsモードでの再生も可能 ソニーの中・高級機のみに搭載)
    • βII(Beta hi-fiフォーマットをベースにした高画質モード・ノーマル音声機もあり)
    • βIII(Beta hi-fiフォーマットをベースにした高画質モード・ノーマル音声機もあり)
  • EDベータフォーマット - ソニー
    • ED-βII(EDベータ対応機種のみで録画再生可能)
    • ED-βIII(EDベータ対応機種のみで録画再生可能)
記録モード一覧
ノーマル Beta hi-fi Hi-Band SHB Hi-Band ED Beta
FM輝度信号シンクチップ 3.6MHz 4.0MHz 4.4MHz 4.8MHz 6.8MHz
FM輝度信号白ピーク 4.8MHz 5.2MHz 5.6MHz 6.0MHz 9.3MHz
周波数偏移 1.2MHz 2.5MHz
水平解像度 240本 270本 280本 500本
録画モード βI(一部機種)
/ βII / βIII
βII / βIII βIs(一部機種)
/ βII / βIII
βIs βII / βIII
テープ 酸化鉄 メタル

ビジネス戦略の失敗

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ビデオ戦争

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VTR1960U1/2VTR[11]1974U19769VHSVTR[11][12]1973[13][14]VXVTR1976VHS[11]

技術への偏りとアンチ・ユーザーフレンドリー

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VHS11Beta hi-fiHi-Band[ 7]VHSHi-FiβIβIsβNR

βIK-60602βIIL-500500K-30L-250K-60L-500

L-660βIII4βII240L-750βIII430βII3L-830βIII5βII320LT使1980βIs2L-1000βIs2βII4βIII6


高画質モードの活用不足

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Hi-BandHiFiHi-BandVHS

EDHDVS使EDEDV-9000

Hi-BandEDS-VHSS-VHS-C8Hi-88Hi-BandED

劣勢と新聞広告

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VHSOEMVHS[11]OEMOEM[12]VHSVHS1984???12544![11][15][ 8][ 9]

レンタルビデオ

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1988年頃にはベータを重点的に取り扱った全国的なレンタルビデオ店「Hit☆Land」をソニー、および直営店が展開し、VHS専門に傾き始めていたビデオレンタルでベータをなんとか取り持とうとしたが、すでにVHSしか出さないビデオソフトも多数出始めていた影響を受け、そのまま衰退した。

ユーザーの傾向

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VHSVHSHi-FiVHSHi-FiED1993Beta hi-fiHi-BandEDSL-200D

ベータ神話

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VHS

VHSS-VHS3YC3ED1990ED1990S-VHSSALON1993EDW-VHS

Hi-BandVHSHi-BandVHSSNSN1.2MHzVHS調EDHi-BandED使

VHSVHS2[16]VHS調

年表

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1975
510 - VTR1 SL-6300 TV

7 - TV1 SL-7300 

19773
βII SL-8100 βIIX2

VTR1 V-5200 βII

VTR1 VTC-9000 βII

  3OEM

19783 -  SL-8300 

19796 -  SL-J7 

1980
11 - SL-J9 [17]J9

19818 -  SL-J10 

19823 - 8cmVIDEO PROFEELSL-F11 
1BetamovieBMC-100P

1983
4 - Beta hi-fiVTR1 SL-HF77 

7 - 1BetamovieBMC-100 

10 - HiFiBeta hi-fiBetaPlusSL-HFR30 

1984
125 - 1?

126 - 2?

127 - 3?

128 - 4!

1985
2 - 5.6MHz Hi-Band VTRBetaPROSL-HF900 10270

7 - 5.6MHz Hi-Band Hi-Band Betamovie BMC-600 

9 -  SL-HF705 

1986
2 - 5.6MHz Hi-Band VTRBetaPRO IISL-HF900mkII 

9 - 6.0MHz Super Hi-Band VTRBetaPRO3000SL-HF3000 280

11 -  SL-HF1000D 

1987
2 - 6.0MHz SHB Hi-Band Betamovie PRO BMC-3000 

101 - ED VTR1EDBataPROEDV-9000 500

19886 - EDED CAMEDC-50 

199011 - SL-2100 15

199341 - VTR SL-200D 

2002827 - VTR[18]

2009101 - VTR1SL-630000038[7]

20151110 - 20163[2]

その他

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MMII

SONY MUSIC TVβII200VHS160VHS9992VHS2

退VHS[15][19]19802VHS[19]VHSCMBlu-ray DiscHD DVDHD DVD[20]HD DVDBlu-ray Disc[21]

8[22][23]

198312LD-7000OEMLASERMAXLDP-150


Beta規格ビデオデッキの愛称

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Betamax

VV-AUTOVIEWSTAR

βCORDMICONIC

BetaTECHNICA

Beta5VISTACK

AVIMAXAV-5M(198,000)SV-5M(60,000)SC-V10(18,000)19839[24]8使

AV/HiVista

Betamovie使

ベータが登場した作品

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18VHS

 ()

iPodSPED

脚注

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注釈

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(一)^ BETAMAX19749619791130139868320191130

(二)^ VHS1990VHSS-VHS

(三)^ 使

(四)^ βIβIsβIβIsβII/βIIIβIβIsβIVTRβIsβIsβI

(五)^ SuperBeta

(六)^ VHS使W-VHS

(七)^ Beta hi-fihi-fiHi-BandHi-BandHi-BandEDED

(八)^ 1988VHS

(九)^ 1988VHS退退1988113

出典

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(一)^ abVTR2002827

(二)^ abcMV20151110

(三)^ abSony History 2 1 

(四)^  HDCAM VTR

(五)^ VTR2014106

(六)^   - 20151123

(七)^ abVTR222009101

(八)^ JEITA20079

(九)^ 調1520051129

(十)^ Betahi-fi

(11)^ abcdeSony History 2 2 

(12)^ ab (PDF)  11 20053

(13)^ VTR : 152009121-130doi:10.20784/jamsjsaam.15.0_121ISSN 13412205CRID 1390001288106513536 

(14)^ VHS (PDF) 6200311

(15)^ ab× 12011119

(16)^  201425-26 

(17)^  

(18)^ VTR2,000!Phile-web2002827

(19)^ ab /  /  : 1970. 22012340CRID 1050282677540705536hdl:10638/5175ISSN 2186-2265 

(20)^ CESBlu-rayHD DVD調BP Tech-On!2007118

(21)^ Blu-ray DiscCDGirlsBP Tech-On!2007410

(22)^ 20071012

(23)^ Sony History 2 20 

(24)^ ASCII 198310, p. 95.

参考文献

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  • パーソナルメディア刊『ファースト・フォワード―アメリカを変えてしまったVTR』 ISBN 978-4-89362-039-2
  • 「ASCII 1983年10月号」第7巻第10号、株式会社アスキー出版、1983年10月1日。 

関連項目

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外部リンク

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