ReactOS
ReactOS 0.4.14のデスクトップ | |
開発者 |
ReactOS 開発チーム (運営元)ReactOS Deutschland e.V.[1] |
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プログラミング言語 | C, C++ |
OSの系統 | Windowsライク (Windowsと置き換え可能な動作を目標としているが、Windowsそのものではない) |
開発状況 | 開発中(アルファ版) |
ソースモデル | FLOSS[2] |
最新開発版 | 0.4.14[3] - 2021年12月16日 [±] |
リポジトリ | |
使用できる言語 | 多言語(インストール時に日本語選択が可能) |
アップデート方式 | CD-ROM ISOイメージ、仮想ディスクイメージ形式(QEMU 、 VirtualBox、VMware )、ソースコード[4] |
プラットフォーム | IA-32, x86-64, ARM |
カーネル種別 | ハイブリッド (Windows NT系に基づく) |
影響を受けたOS | Microsoft Windows |
既定のUI | GUI (ReactOS Explorer) |
ライセンス | GNU GPL と LGPL と BSDライセンス(組み合わせ可能) |
ウェブサイト |
www |
概要[編集]
ReactOSは、2021年現在、Windows Server 2003相当の互換性︵アプリケーション及びドライバに於けるバイナリ互換性︶を目標として開発が進められているオープンソースのオペレーティングシステムである[5][6]。 前身のプロジェクトを含めると1996年から長期間にわたり開発が進められている[7]。2021年4月時点、アルファ版として扱われており、一般的ユーザが利用できる状況ではない[8]。また、動作が確認されているWindowsアプリケーションは一部にとどまっている[9]。 ReactOSは、主にC言語で実装されているが、﹁ReactOS Explorer﹂など幾つかの要素はC++によって実装されている。ARMとx64等の複数のアーキテクチャに移植が進んでおり、一部のWindows APIが実装されている。 また、複数のオープンソースソフトウェアプロジェクトと提携[10]し、その成果を多数取り入れており、特に、Windowsとの互換性においてWineプロジェクトの互換レイヤーを取り入れている[11]。名称の語源[編集]
﹁React﹂(反抗)という単語は、マイクロソフトの独占状態に対する開発チームの不満を表している[12]。歴史[編集]
開発初期[編集]
1996年頃、オープンソース開発者のグループがFreeWin95というプロジェクトを開始した[13]。このプロジェクトの目標はWindows 95のクローンとなるOSを実装することであった[13]。しかしこのプロジェクトは成果を出せずに立ち消えとなった[13]。 前述のプロジェクト参加者、ジェイソン・フィルビがプロジェクトの再スタートを呼びかけ、クローンの対象をWindows NTへと変更し、名称をReactOSに改名した。1998年、カーネルと基本的なドライバの開発を開始しReactOSプロジェクトが発足した[13]。コードの流用疑惑[編集]
2006年1月17日、ReactOSの開発者向けメーリングリストに一人の開発者から﹁ReactOSにはWindowsを逆アセンブルしたコードが含まれている﹂との投稿があった[14]。そのためプロジェクトでは議論を行った結果、公のSVNの公開、フォーラム、メーリングリストアーカイブを一時停止することを決定した。(なお、48時間後に一時停止が取り消された)[15] それに加え、コード全体の検査を行い、クリーンルーム設計のリバースエンジニアリングがされていない可能性のあるコードは発見されなかった[16]。また、全開発者に﹁クリーンルーム設計のリバースエンジニアリングのみを行う。﹂よう契約書にサインをさせた[17]。 2006年2月24日、まだ完全に監査は完了していなかったものの、活動再開の発表がなされた。コードの調査を完了させ、ソースコードの影響する部分を書き直すには何年もかかるため、この件によってプロジェクトの進行が遅れるものと考えられていたが、2008年8月末までにコードの監査は完了した[18]。なお、開発と監査は同時に進行していた。このコード監査は、新たにリポジトリを作成し、監査が終了したら、コードを元の場所から新リポジトリへと移動する、という手順で行われた。機能[編集]
ユーザーインターフェイス[編集]
ヴィジュアルスタイル Windows XP等で使用されたヴィジュアルスタイル機能が実装されており、デスクトップ外観の変更が可能である[6]。システム[編集]
ファイルシステム Windowsで標準対応するファイルシステムでは、FAT32[20]に加えて、試験的ながらNTFSが利用できる[21]。 また、BtrfsやExt4といったWindowsで標準対応していない複数のファイルシステムに対応している[22]。開発[編集]
現状と今後[編集]
アーキテクチャのサポート[編集]
現在、ReactOSの開発者はReactOSの多数の移植に取り組んでいる: ●x86 ●Xbox ●PowerPC [28] ●ARM [29] ●AMD64 [30] ReactOSはHyper-V[31]、VMware、VirtualBox、QEMUのような上記のハードウェアをエミュレートもしくは仮想化するソフトウェア上でも動作することが知られている[32]。 ReactOSでも、移植性を見据えた処置が取られている。例えば、0.2.5においてはさまざまなIA-32アーキテクチャやXboxプラットフォームへの対応が追加された。また、2005年の段階で、ReactOSをPowerPCやXenアーキテクチャへと移植する作業も進行中である。ソースコード監査[編集]
開発では、法的脅威とリバースエンジニアリングに関する不安に対処するために大規模なソースコード監査が実施[33]されている。提携と再利用[編集]
ReactOSはオープンソースソフトウェアとしてWindows互換のカーネルを構築することを目的としていますが、完成したOSを作るために必要な周辺機能の多くは、より大規模のオープンソースエコシステムで既に利用可能となっています。 それらが利用可能な場合、ReactOSは既存のオープンソースプロジェクトと協力し構築を行っています[34]。 逆に、Wine[35]やCaptive NTFS[36]、Longeneなどのプロジェクトは、オープンソースのReactOSのコードベースを再利用している[37]。ネットワーク関連[編集]
ネットワーク技術でSamba TNGと協力している。Samba TNGはLSASS, SAM, NETLOGON, SPOOLSSといった多数のサービスを実装している。Samba TNGはモジュール化されているため、各サービスは容易にReactOSへと取り込むことができる[38]。Wineとの協力[編集]
国際化と地域化[編集]
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ReactOSでは多言語対応の作業も行われているが、後述するように日本語環境は十分とは言えない状況である。
多言語対応[編集]
ReactOSはバージョン0.2.2より、UTF-16を適切に扱うことができるように改良された。 これにより、文字コードとしてUTF-16を用いたアプリケーションを動作させることが可能となった。 また、ハードコードされたメッセージをリソースファイルへと移す作業も行われ、OSに組み込まれているアプリケーションの多くは国際化されたメッセージを表示することができるようになっている。 0.2.7リリース以後に大半のリソースファイルにおいて翻訳の活動が行われた。[41]
日本語表示[編集]
ロケールに日本語が指定されている場合、メッセージは日本語で表示される。しかし、新機能の追加などにより、翻訳が行われていない機能は英語で表示される。
バージョン0.3.10からは、「Systema Font」という日本語フォントが追加されたため、インストール時に日本語を選択すれば、日本語が表示できるようになった。 また、バージョン0.3.11からは、「Systema Font」から「Droid Sans Fallback」にフォントが変更され、中国語・韓国語の表示も可能になった。[42]
日本語入力[編集]
2023年現在、Nightly Buildでは日本語入力機能が一部利用可能となっている(制約あり)。 ReactOS開発者の一人である片山博文MZは、2023年4月10日に自らのブログでReactOS Nightly Build上で自作のIMEによる日本語入力が可能になったと報告した[43]。 なお片山によれば、これは古い世代の技術であるIMMによるものであり、より新しいText Services Framework(TSF)にはまだ対応していない。
脚注[編集]
関連項目[編集]
- WinFrame - Citrix社が開発していたWindowsクローン
- Windows NT
- Linspire
- Wine
- エミュレーション
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト
- ReactOS Wiki - 公式Wiki (英語)
- SourceForge.net の ReactOS プロジェクトのページ (英語)
- ReactOSまとめWiki(日本語)