エウテルペー

ムーサであるエウテルペーとウーラニアー。ポンペオ・バトーニ（1708-1787）の『アポロンと二人のムーサ』より部分。

エウテルペー︵古希: Εὐτέρπη, Euterpē︶は、ギリシア神話の女神で、9柱の文芸の女神ムーサたち︵ムーサイ︶の1柱である。抒情詩のムーサ。長母音を省略してエウテルペとも表記される。

﹁喜ばしい女﹂の意で、ギリシア語の Ευ ︵ふさわしい︶と τέρπ-εω ︵喜ばす︶から。

ゼウスとムネーモシュネーの娘であり、カリオペー、クレイオー、メルポメネー、エラトー、テルプシコラー、タレイア、ポリュムニアー、ウーラニアーと姉妹。各ムーサイに役割が与えられた時に﹁快を与えるもの﹂として性格付けられ、後には抒情詩のムーサとされた。アウロスないしはフルートを持った姿で描かれる。

アウロスの発明者だとも言われているが、その点ではマルシュアースの方が有名である。アポロドーロスによると、エウテルペーはストリューモーン河によって身ごもり、男の子レーソスを生んだ。レーソスはトラーキア人を統べることとなったが、トロイアでディオメーデースによって殺害された。

ギャラリー

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  ジョヴァンニ・バリオーネ『エウテルペー、抒情詩を司るムーサ』（1620年） アラス美術館所蔵
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  ジュゼッペ・ファニャーニ『エウテルペー』（1869年） メトロポリタン美術館所蔵
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  ヨハン・ハインリヒ・ティシュバイン『エウテルペー』（1782年） カッセル市立美術館所蔵
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  アルノルト・ベックリン『エウテルペー』（1872年） ダルムシュタット州立博物館所蔵
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  ベルヴェデーレ宮殿の庭園にあるエウテルペーの像
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  エウテルペーの像 バチカン美術館所蔵
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  エウテルペーの像

参考文献

• アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
• 『ギリシア悲劇IV エウリピデス（下）』田中美知太郎訳、ちくま文庫（1986年）
• ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫（1984年）
• ホメロス『イリアス（上・下）』松平千秋訳、岩波文庫（1992年）
• 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店（1960年）

関連項目

• エウテルペ (小惑星)