中央労働委員会
中央労働委員会 ちゅうおうろうどういいんかい Central Labor Relations Commission | |
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労働委員会会館(東京都港区芝公園) | |
役職 | |
会長 | 岩村正彦 |
事務局長 | 奈尾基弘 |
組織 | |
上部組織 | 厚生労働省 |
概要 | |
法人番号 | 5000012070002 |
所在地 |
〒105-0011 東京都港区芝公園1-5-32 |
定員 | 99人(事務局職員)[1] |
年間予算 | 14億9344万5千円[2](2021年度) |
設置 | 1946年(昭和21年)3月1日 |
ウェブサイト | |
中央労働委員会 |
中央労働委員会︵ちゅうおうろうどういいんかい、略称‥中労委︵ちゅうろうい︶、英語‥Central Labor Relations Commission︶は、労使間関係の調整をつかさどる日本の中央省庁の一つであり、厚生労働省の外局である[3]。
労働組合法が規定する労働委員会の一つである。内閣に対し一定程度の独立性を有し、準立法権能︵規則制定権︶と準司法権能︵審決権︶を有する合議制の機関、行政委員会である。以下では中央労働委員会に特有の事項について述べ、都道府県労働委員会と共通する規定については労働組合法#労働委員会を参照のこと。
●本項で労働組合法については以下では条数のみ記す。
沿革[編集]
●1946年︵昭和21年︶3月1日に発足する。 ●1988年︵昭和63年︶10月1日に公共企業体などを対象とする国営企業労働委員会︵1987年3月31日までは公共企業体等労働委員会︶を統合した。 ●2008年︵平成20年︶10月1日から船員労働委員会の廃止に伴い船員に係る集団的労使紛争の調整事務を中央労働委員会および都道府県労働委員会に業務移管する。 ●2015年︵平成27年︶4月1日より地方事務所は西日本地方事務所︵大阪市、旧・近畿地方事務所︶のみとなる。北海道︵札幌市︶、東北︵仙台市︶、中部︵名古屋市︶、中国︵広島市︶、四国︵高松市︶および九州︵福岡市︶の各地方事務所と九州地方事務所沖縄分室︵那覇市︶は廃止された。主な職務[編集]
中央労働委員会は、労働者が団結することを擁護し、および労働関係の公正な調整を図ることを任務とし︵第19条の2第2項︶、以下のことを行う。 (一)船員以外の労使間について労働争議の調整 (二)船員以外の労使間について不当労働行為︵労働組合法第7条︶事件の審査 (三)船員以外の労働組合の資格審査 (四)中央労働委員会と都道府県労働委員会の手続に関する規則の制定琉球政府の中央労働委員会[編集]
復帰前の沖縄にも、琉球政府労働局の外局として、同名の中央労働委員会が存在した。現在の沖縄県労働委員会の前身である。詳細は中央労働委員会 (琉球政府)を参照のこと。所管法人[編集]
厚生労働省が主管する独立行政法人、特殊法人、特別の法律により設立される民間法人︵特別民間法人︶および特別の法律により設立される法人で中央労働委員会が主管するものは存在しない[4][5][6]。財政[編集]
2022年度︵令和4年度︶一般会計当初予算における中央労働委員会所管の歳出予算は14億9344万5千円である[2]。 厚生労働省が、主管または共管する特別会計で中央労働委員会が所管するものはない。委員[編集]
中央労働委員会は、公益を代表する公益委員、使用者を代表する使用者委員、労働者を代表する労働者委員の各15名からなる三者構成である︵第19条の3第1項︶。 使用者委員は使用者団体の推薦︵使用者委員のうち4人については、行政執行法人の推薦︶に基づいて[7]、労働者委員は労働組合の推薦︵労働者委員のうち4人については、行政執行法人職員が結成し、又は加入する労働組合の推薦︶に基づいて[8]、公益委員は厚生労働大臣が使用者委員及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する[9]︵第19条の3第2項︶。公益委員の任命については、そのうち7人以上が同一の政党に属することとなってはならない︵第19条の3第5項︶[10]。 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のために職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合には、使用者委員及び労働者委員にあっては中央労働委員会の同意を得て、公益委員にあっては両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる︵第19条の7第2項︶。なお委員の身分保障等のため、第19条の3、第19条の7の規定に依らなければ委員は罷免されることはない。 中労委の公益委員は、在任中、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない︵第19条の6︶。公益委員は特別職の国家公務員であり、職員の服務に関する国家公務員法の規定は適用されないため、改めて中労委公益委員の服務に関する規定が設けられている。 (一)政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。 (二)内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと︵常勤公益委員のみ︶。 中央労働委員会に、行政執行法人とその行政執行法人職員との間に発生した紛争その他の事件で地方において中央労働委員会が処理すべきものとして政令で定めるものに係るあっせん等に参与させるため、使用者、労働者及び公益をそれぞれ代表する地方調整委員を置く。地方調整委員は、中央労働委員会の同意を得て、政令で定める区域ごとに厚生労働大臣が任命する︵第19条の10︶。 中央労働委員会に会長を置く。会長は、委員が公益委員のうちから選挙する。会長は、中央労働委員会の会務を総理し、中央労働委員会を代表する。中央労働委員会は、あらかじめ公益委員のうちから委員の選挙により、会長に故障がある場合において会長を代理する委員を定めておかなければならない︵第19条の9︶。会長の選挙に関する事項は総会の付議事項とされていて︵労働委員会規則第5条︶、委員全員で選挙することになる。2021年2月27日現在の会長は、東京大学教授︵就任時。現・名誉教授︶の岩村正彦[11]。会長の職務は労働組合法・労働関係調整法に掲げる職務のほか、国家行政組織法でいう外局の長としての各種の権限を有している。事務局[編集]
中央労働委員会にその事務を整理させるために事務局を置き、事務局に会長の同意を得て厚生労働大臣が任命する事務局長及び必要な職員を置く︵第19条の11第1項︶[12]。一般職の在職者︵事務局職員︶数は2020年7月1日現在で92人︵男性72人、女性20人︶となっている[13]。事務局長および事務局の職員は一般職の国家公務員であるため、その勤務条件、服務などについては国家公務員法の適用を受ける。労働委員会が行う不当労働行為事件の審査については、審査期間が著しく長期化しており[14]、また、救済命令等に対する取消率についても高い水準となってきた︵平成16年12月1日政発第1201001号︶ことから、2005年︵平成17年︶以降は法曹資格を持つ事務局職員が配置され、行政訴訟事案を含む、高度な法的専門性が求められる業務を担当している。 厚生労働省定員規則に定められている定員は、99人︵事務局職員︶となっている[1]。 20年度の予算定員は101人。うち、特別職は2人︵常勤の委員︶[2]。 採用、職員団体について、厚生労働省の記事を参照。脚注[編集]
(一)^ ab﹁厚生労働省定員規則︵平成13年1月6日厚生労働省令第3号︶﹂(最終改正‥令和4年12月9日厚生労働省令第166号)
(二)^ abc令和4年度一般会計予算 (PDF) 財務省
(三)^ 中央労働委員会は、労働省設置法によって労働省の外局となったが、労働組合法および労働関係調整法で明かに規定されている中労委の権限は、中労委が合議制の機関たるの性質上当然労働大臣の指揮監督を受けることなく独立に遂行するものであり、地方労働委員会についても、これと同様に取り扱われたい。しかし、これは労組法および労調法で明記された労働委員会の権限に属する事項に関するものであって、委員会の予算、事務局の人事は、当然労働大臣、都道府県知事の監督を受けるが、労政課は、その限度において地労委の事務に関与することは差支えない。しかし、そのために地労委の職務遂行を妨害するような事態の発生することのないように戒められたい︵昭和24年6月9日発労第33号︶。
(四)^ “独立行政法人一覧︵令和4年4月1日現在︶” (PDF). 総務省. 2022年12月9日閲覧。
(五)^ “所管府省別特殊法人一覧︵令和4年4月1日現在︶” (PDF). 総務省. 2022年12月9日閲覧。
(六)^ “特別の法律により設立される民間法人一覧︵令和4年4月1日現在‥34法人︶” (PDF). 総務省. 2022年12月9日閲覧。
(七)^ 使用者代表委員は使用者団体の推薦に基き、行政官庁が委嘱するものであって、当該個人が使用者たると否とを問わない︵昭和23年5月17日労発第231号︶。
(八)^ 労働委員会の労働者代表委員は労働組合から推薦されたものではあるが個人として当該委員に委嘱されたものであって推薦母体の代表者ではない。従って委員が推薦労働組合の組合員の資格を失っても委員の資格を失うものではなく、又推薦母体から解任の要求があっても本人の意思に反して退職させられることはない︵昭和22年6月23日鹿児島県教育民生部長あて厚生省労政課長通知︶。
(九)^ ﹁両議院の同意﹂﹁内閣総理大臣が任命﹂﹁公益委員のうち2人以内は常勤可﹂﹁公益委員の欠格事項﹂については、1988年︵昭和63年︶の中労委と国営企業労働委員会との統合により、統合後の中労委では、国営企業職員の労働関係に関する事務を所掌することになるため設けられたものである︵昭和63年9月20日労発95号︶。該当する企業がなくなった現在でも特定独立行政法人→行政執行法人等の職員の労働関係に直接関わる可能性があること等から、重要な役割を果たすことを考慮して規定は残っている。
(十)^ 内閣総理大臣は、公益委員のうち6人が既に属している政党に新たに属するに至った公益委員を直ちに罷免するものとする︵第19条の7第4項︶。内閣総理大臣は、公益委員のうち7人以上が同一の政党に属することとなった場合︵第4項の規定に該当する場合を除く。︶には、同一の政党に属する者が6人になるように、両議院の同意を得て、公益委員を罷免するものとする。ただし、政党所属関係に異動のなかった委員を罷免することはできないものとする︵第19条の7第5項︶。
(11)^ 第36期中央労働委員会委員名簿中央労働委員会
(12)^ 労働委員会の事務局職員の任命については、会長の同意を必要とするが、職員の罷免について法律上は会長の同意を必要としない︵昭和24年10月4日労発第391号︶。
(13)^ ﹁一般職国家公務員在職状況統計表︵令和2年7月1日現在︶
(14)^ 労働事件は事実上5審制︵都道府県労委→中労委→地裁→高裁→最高裁︶となっていて、労働紛争の早期解決という観点からは弊害となっている。