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優陀夷︵うだい、梵語‥Udaayin ウダーイ、ウダーイン、音写‥鄔陀夷、烏陀夷 等他、訳‥出現 等他︶は、釈迦仏の弟子の一人である。また弟子中で、勧導第一の弟子と称される。
同名別人[編集]
仏典には、ウダーイの名前が非常に多く登場し、似た名前もあるので混同しやすい。テーラガータ︵長老の詩︶の689-704偈の註によると、Udaayiと呼ばれる人が3人いて、
(一)黒優陀夷︵Kaaludaayi=Laaludaayi︶
(二)大優陀夷︵Mahaaudaayi︶
(三)優陀夷︵Udaayin、本項の人︶
に分けられると記されている。﹁長老の詩﹂684-704の偈の註では、2の大優陀夷は特筆する所伝が無いので割愛し、3のウダーイを第3の本項の優陀夷とし、しばしば問題を起して仏より叱責を受けたとして、経律に多く出てくるウダーイをラールダーイとする。しかしスリランカ所伝のManorathapurani︵以下Mano︶では、﹁長老の詩﹂のウダーイを、四無礙解を得たカールダーイ迦留陀夷とする。したがって﹁長老の詩﹂註とは一致しないなど、人物の認定が一致していないのが現状である。
また、出身や来歴、伝記上から3人のウダーイを分類すると、
(一)釈迦仏と同日に生まれ、クシャトリア出身で、かつて仏が太子の朋友で、仏が成道中に、使者をして仏を故郷カピラ城に迎えたウダーイ。﹁長老の偈﹂などはカールダーイと同一人物と見る。
(二)カピラ城のバラモン種にして、仏が成道後に帰城した後に出家したウダーイ。﹁長老の詩﹂では単にウダーイとし、Manoでは彼をカールダーイとする。
(三)よく問題を起していたウダーイは、パーリ語系の註釈書ではラールダーイと呼ばれている。ただし四分律や十誦律等多くの漢訳仏典で、愚悪にして常に問題を起すウダーイを迦留陀夷とする。本項以外の人物の所伝については迦留陀夷、ラールダーイ等を参照されたい。
本項の優陀夷は、2の釈迦族のカピラ城にてバラモンとして生まれたウダーイである。日が出た時に生まれたのでウダーイン︵出現︶と名付けられたという。後に太子が出家、成道して釈迦仏となって帰城した際に帰仏出家して、悟りを得て、仏を龍や象にたとえて讃偈を歌ったといわれる。