勝利
勝利︵しょうり︶は、争いごとなどに勝つこと。対義語は敗北。
なお、多くのスポーツなどにおいて勝利でも敗北でもない引き分けが存在するが、このことを敗北と引き分けを合わせたものとして未勝利と呼ばれる。戦争においての勝敗は、戦争・作戦目的を達成したか否かによって判定される。
解説
英語Victoryはラテン語のvictoriaに由来し、用語はもともと戦争に適用され、一般的な軍事作戦の後の個人的な戦闘である決闘での、または広義にあらゆる競争で達成された成功を指していた。戦役において軍事作戦の成功は戦略的勝利 (Strategic_victory) を意味し、軍事交戦の成功は戦術的勝利 (Tactical_victory) を意味する。人間の感情の観点から言えば、勝利には強い高揚感が伴い、人間の行動においては、戦闘前および戦闘中の過剰なエンドルフィンの蓄積に関連して、戦闘前の脅威の表示と同様の動きやポーズを示すことがよくあるし、勝利のダンスと勝利の叫び・鬨︵雄たけび︶は、物理的暴力が勃発する前に行われる戦争のダンスと戦争の叫びに類似している。ヴィクトリアという用語の起源となった古代ローマで報告された勝利時の行動の例として、69年のバタヴィアの反乱でガイウス・ユリウス・キウィリスに勝利した後、クィントゥス・ペティリウス・ケリアリスに仕えたバタヴィの傭兵たちの勝利の歌︵タキトゥスの記録による︶、また、579年の戦勝祝賀会でランゴバルド人が歌ったオーディンへの﹁忌まわしい歌﹂などが挙げられる。生贄動物はヤギで、ランゴバルド人は勝利の賛歌を歌いながらその頭の周りで輪になって踊った。またローマ共和国とローマ帝国は、凱旋式や戦勝記念塔︵トラヤヌスの記念柱など) やアーチなどの記念碑を建てて勝利を祝う。トロフィーとは、もとは敵の武器 (スポリア) や体の一部 (首狩りの場合など) など、敗北した側から取られた勝利の証なのであった。
神話では、ギリシャのニーケーやローマのヴィクトリアのように、勝利を神格化することがある。勝利したエージェントは英雄であり、しばしば怪物と白兵戦を行っているように描かれている︵ドラゴンを倒す聖ジョージ、アヒを倒すインドラ、ミッドガルドの蛇を倒すトールなど︶。ローマ神話のソル・インウィクトゥス︵﹁無敵の太陽﹂"the Invincible Sun"︶は、キリスト教におけるキリストの形容詞となった。タルソスのパウロは、キリストの復活を死と罪に対する勝利として示している (コリントの信徒への手紙一、15:55) 。
ラテン語からの英単語victory︵14世紀︶は、古英語のsigeに取って代わり、ゴート語のsigis︵𐍃𐌹︶、古高ドイツ語のsigu、現代ドイツ語のSieg︵SigibertやSigurdなど、ゲルマン語の名前に頻繁みられる特徴︶、ケルト語のsegoやサンスクリット語のsáhas︵सहस्︶までと同義語である。
古くからある﹁Vサイン﹂には、手のひらを外側に向けたものと、手のひらを内側に向けたものの2つの形式がある。米国では、2つの手信号は同じ﹁勝利﹂を意味する[1]。
ピエロ・デラ・フランチェスカ作﹁復活﹂、1460年
釈迦は、私たち自身の中に不滅が存在し、自分自身を征服するために行動することは彼の勝利であり、私たちの勝利であると強調した。﹁千の戦いに勝つよりも、自分自身に勝つ方が良い。そうすれば、勝利はあなたのものになる。それは、天使にも悪魔にも、天国にも地獄にも、あなたから奪うことはできない。﹂仏陀の勝利は私たちのものであり、それは心の座に永遠に残り、数多くの人生の中で展開されたとする。
﹃バガヴァッド・ギーター﹄第2章38節では、クリシュナがアルジュナに語りかけた平静さが示されている。﹁このすべて︵宇宙︶に浸透している、破壊できないものであることを知ってください。誰も破壊できないもの︵アートマン︶を破壊することはできません。﹂と述べ、その後クリシュナはアルジュナに新たに発見した明晰さをもって行動するよう指示した後、﹁勝利と敗北、利益と損失、喜びと苦痛を同様に扱う。戦いの準備をしなさい。そうして戦えば罪は負わないだろう。﹂と述べた。罪と美徳は心の問題であり、身体の問題ではないとした。
新約聖書では、イエス・キリストの死に対する勝利と、その勝利をクリスチャンの信者が分かち合ったことは、聖パウロと聖ヨハネの著作﹃ヨハネ文書﹄の中で言及されている︵例、ヨハネの手紙一 15:57、Ⅰヨハネ5:4︶。
宗教
スポーツ
野球
勝利投手に記録される投手の勝利数・最多勝利は野球記録によると、アメリカ大リーグの通算最多記録はサイ・ヤングの511勝、日本プロ野球の通算最多記録は金田正一の400勝。なお、ニグロリーグのサチェル・ペイジの記録は少なくとも511以上とされるが、記録が不備で正確な数字はわかっていない。いずれも、投手の起用方法などの変化により現代野球では更新はきわめて困難とみられている。「勝利投手」も参照
アイスホッケー
アイスホッケーにおいて、勝利ゴールテンダーに記録されるGK記録、決勝点が決まった時点での自軍ゴールテンダーに記録される。NHLの通算最多記録はマーティン ・ブロデューアの691勝。
アメリカンフットボール
アメリカンフットボールにおいて、勝利クォーターバックに記録されるQB記録。NFLの通算最多記録はトム・ブレイディの243勝︵2021シーズン終了時点︶。「NFLのクォーターバック通算勝利数の一覧」も参照
大相撲
●大相撲における通算勝利数とは、番付についてからの本場所での勝利数を数えたもので、番付外にあったときの勝敗は算入しない。ただし、幕下付出などの場合には、番付にのっていないときでも勝利数に算入する。 ●大相撲における幕内勝利数とは、幕内︵前頭・小結・関脇・大関・横綱のいずれか︶の番付に在位している間における勝利数のことである。 ●大相撲における横綱勝利数とは、横綱の番付における勝利数のことである。ちなみに、横綱は現在まで73人しか誕生していない。 ●大相撲における大関勝利数とは、大関の番付における勝利数のことである。 ●大相撲における関脇勝利数とは、関脇の番付における勝利数のことである。 ●大相撲における小結勝利数とは、小結の番付における勝利数のことである。 ●太字は2022年1月場所終了現在において現役力士である。通算勝利数
2022年1月場所終了現在順位 | 四股名 | 通算勝利数 | 通算在位場所数 | 最高位 |
---|---|---|---|---|
1位 | 白鵬翔 | 1,187勝 | 122場所 | 横綱 |
2位 | 魁皇博之 | 1,047勝 | 140場所 | 大関 |
3位 | 千代の富士貢 | 1,045勝 | 125場所 | 横綱 |
4位 | 大潮憲司 | 964勝 | 157場所 | 小結 |
5位 | 北の湖敏満 | 951勝 | 109場所 | 横綱 |
6位 | 旭天鵬勝 | 927勝 | 140場所 | 関脇 |
7位 | 若の里忍 | 914勝 | 140場所 | 関脇 |
8位 | 安美錦竜児 | 907勝 | 135場所 | 関脇 |
9位 | 大鵬幸喜 | 872勝 | 87場所 | 横綱 |
10位 | 寺尾常史 | 860勝 | 140場所 | 関脇 |
幕内勝利数
2022年1月場所終了現在
順位 | 四股名 | 幕内勝利数 | 幕内在位場所数 | 最高位 |
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1位 | 白鵬翔 | 1,093勝 | 103場所 | 横綱 |
2位 | 魁皇博之 | 879勝 | 107場所 | 大関 |
3位 | 千代の富士貢 | 807勝 | 81場所 | 横綱 |
4位 | 北の湖敏満 | 804勝 | 78場所 | 横綱 |
5位 | 大鵬幸喜 | 746勝 | 69場所 | 横綱 |
6位 | 琴奨菊和弘 | 718勝 | 92場所 | 大関 |
7位 | 稀勢の里寛 | 714勝 | 85場所 | 横綱 |
8位 | 日馬富士公平 | 712勝 | 78場所 | 横綱 |
9位 | 武蔵丸光洋 | 706勝 | 73場所 | 横綱 |
10位 | 貴乃花光司 | 701勝 | 75場所 | 横綱 |
横綱勝利数
2022年1月場所終了現在
順位 | 四股名 | 横綱勝利数 | 横綱在位場所数 |
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1位 | 白鵬翔 | 899勝 | 84場所 |
2位 | 北の湖敏満 | 670勝 | 63場所 |
3位 | 千代の富士貢 | 625勝 | 59場所 |
4位 | 大鵬幸喜 | 622勝 | 58場所 |
5位 | 輪島大士 | 466勝 | 47場所 |
6位 | 朝青龍明徳 | 463勝 | 42場所 |
7位 | 曙太郎 | 432勝 | 48場所 |
8位 | 貴乃花光司 | 429勝 | 49場所 |
9位 | 柏戸剛 | 407勝 | 47場所 |
10位 | 栃錦清隆 | 292勝 | 28場所 |
大関勝利数
2022年1月場所終了現在
順位 | 四股名 | 大関勝利数 | 大関在位場所数 | 最高位 |
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1位 | 魁皇博之 | 524勝 | 65場所 | 大関 |
2位 | 千代大海龍二 | 515勝 | 65場所 | 大関 |
3位 | 貴ノ花利彰 | 422勝 | 50場所 | 大関 |
4位 | 北天佑勝彦 | 378勝 | 44場所 | 大関 |
琴欧洲勝紀 | 47場所 | 大関 | ||
6位 | 武蔵丸光洋 | 353勝 | 32場所 | 横綱 |
貴ノ浪貞博 | 37場所 | 大関 | ||
8位 | 小錦八十吉 (6代) | 345勝 | 39場所 | 大関 |
9位 | 稀勢の里寛 | 332勝 | 31場所 | 横綱 |
10位 | 豊山勝男 | 301勝 | 34場所 | 大関 |
関脇勝利数
2022年1月場所終了現在
順位 | 四股名 | 関脇勝利数 | 関脇在位場所数 | 最高位 |
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1位 | 魁皇博之 | 192勝 | 21場所 | 大関 |
2位 | 武双山正士 | 177勝 | 20場所 | 大関 |
3位 | 琴光喜啓司 | 176勝 | 22場所 | 大関 |
4位 | 長谷川勝敏 | 164勝 | 21場所 | 関脇 |
御嶽海久司 | 18場所 | 大関 | ||
6位 | 琴錦功宗 | 156勝 | 21場所 | 関脇 |
7位 | 栃東大裕 | 149勝 | 17場所 | 大関 |
8位 | 若の里忍 | 144勝 | 17場所 | 関脇 |
9位 | 豪栄道豪太郎 | 132勝 | 15場所 | 大関 |
10位 | 大麒麟將能 | 120勝 | 14場所 | 大関 |
小結勝利数
2022年1月場所終了現在
順位 | 四股名 | 小結勝利数 | 小結在位場所数 | 最高位 |
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1位 | 高見山大五郎 | 118勝 | 19場所 | 関脇 |
2位 | 安芸乃島勝巳 | 106勝 | 15場所 | 関脇 |
3位 | 琴錦功宗 | 104勝 | 13場所 | 関脇 |
土佐ノ海敏生 | 13場所 | 関脇 | ||
5位 | 栃煌山雄一郎 | 99勝 | 14場所 | 関脇 |
6位 | 稀勢の里寛 | 91勝 | 12場所 | 横綱 |
7位 | 出羽錦忠雄 | 87勝 | 14場所 | 関脇 |
8位 | 魁皇博之 | 79勝 | 11場所 | 大関 |
9位 | 武双山正士 | 78勝 | 11場所 | 大関 |
10位 | 若の里忍 | 76勝 | 9場所 | 関脇 |
囲碁
囲碁界における勝利数の記録には、非公式棋戦やイベント席上での対局、アマチュア相手の置き碁などは算入しない。2017年、趙治勲が史上初の1,500勝を達成した︵現役︶。