JR九州キハ200系気動車
JR九州キハ200系気動車 | |
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キハ200系(2001年) | |
基本情報 | |
運用者 | 九州旅客鉄道 |
製造所 |
新潟鐵工所→新潟トランシス 日本車輌製造 九州旅客鉄道小倉工場 |
製造年 |
キハ200形:1991年 - 2004年 キハ220形:1997年 - 2009年 |
製造数 |
キハ200形:48両 キハ220形:18両 |
改造年 | BE220形:2023年 |
改造数 | BE220形:1両 |
主要諸元 | |
編成 |
2両編成(キハ200形) 両運転台付単行車(キハ220形) |
軌間 | 1,067 mm |
最高速度 | 110 km/h |
車両定員 |
52(席)+70(立)=122名(0番台) 56(席)+70(立)=126名(1000番台) |
自重 |
33.8t(0番台) 33.5t(1000番台) 36.5t(キハ220形) |
編成重量 | 67.3t |
全長 | 21,300 mm |
全幅 | 2,994 mm |
全高 | 4,050 mm |
車体 | 普通鋼 |
台車 |
ロールゴム式ボルスタレス台車 DT600K・TR600K 円錐積層ゴム式ボルスタレス台車 DT600KA・TR600KA(キハ220形) DT600KC・TR600KA(キハ220形220番台) |
動力伝達方式 | 液体式 |
機関 |
DMF13HZA SA6D140HE-2(キハ220形220番台) |
機関出力 | 331 kW(450 PS)× 1 |
変速機 | R-DW4(キハ220形200番台以外) |
制動装置 |
電気指令式空気ブレーキ (直通予備ブレーキ付き) 排気ブレーキ |
保安装置 | ATS-SK形、ATS-DK形、EB装置、防護無線 |
概要[編集]
筑豊本線・篠栗線の輸送改善用として新設された快速列車﹁赤い快速﹂用の車両として開発され、その後指宿枕崎線・大村線の快速列車用として投入された。1997年︵平成9年︶以降は老朽化したキハ58・65系の置き換え用に増備が再開され、九州地区の非電化各線で運用されるようになった。 当時増備されていた811系電車に準じた接客設備と、後述する爪クラッチ式変速機に代表される先進的機構が高く評価され、1992年に﹁鉄道友の会﹂の第32回ローレル賞を受賞した[4]。車両概説[編集]
本項では各番台に共通するものを説明する。車体[編集]
普通鋼製20m車体で、片側3箇所にステップ付きの両開き扉を設置しており、前面は貫通扉を設けた構造となっている。ブレーキシステムを電気指令式とし、自動空気ブレーキの在来車両との併結は考慮していないため、連結器は電車と同じ密着式のものを採用しているが、非常時に在来車と連結するための中間連結器を装備している。 側窓は幅984mm、高さ930mmの大型2連窓で立席者の視界を改善するため811系のものよりも10mm高い大きさとなっている。側窓のうち開閉可能な窓は一部のみで、固定窓については中央にあるロールカーテン縦桟のために一見2連窓に見えるが、実際には大型の1枚窓となっている。 デザインは水戸岡鋭治率いるドーンデザイン研究所が手がけており、赤一色で客用ドアのみステンレス無塗装の銀色である。長崎地区の車両は、青一色に客用ドアを赤色として側窓下部に﹁SEA SIDE LINER﹂のロゴが標記されている。鹿児島地区の車両は製造当初は赤であったが、1995年︵平成7年︶にキハ200-7・5007が﹁いぶすきキャンペーン﹂の一環として黄一色に、客用ドアをステンレス無塗装の銀色として、側窓の下等に﹁NANOHANA﹂のロゴを入れたものに変更され、1997年から他の車両も順次同じ色に塗り替えられたが、これらの車体色の黄色は実際の菜の花であるアブラナの花色とは異なり山吹色に近い。 上記いずれの車体色においても各ドアには813系と同様に数字が記されている。 鹿児島地区の車両のうち特別快速﹁なのはなDX﹂用のキハ220-1102は車体に表記されているロゴが他の車両と異なっていた[注 2]。車内[編集]
天井付近の室内見付は811・813系と共通の曲面を使用せず傾斜した幕板で構成したものとなっている。室内の壁と床面、座席モケットには当初からドーンデザイン研究所のテキスタイルデザインが展開されている。座席は幅1015mm、シートピッチ910mmの転換式クロスシート︵車端部は固定式だがシートピッチは960mmと広くなっている︶を採用している。機器類[編集]
走行用機関は新潟鉄工︵現‥新潟原動機︶製の331kW︵450PS︶の出力のものを2エンド側に1基装備して連結面側台車の2軸を駆動する。これに伴い排気管を車体外部の連結面に設置して室内スペースを確保しているが、両運転台付きのキハ220形では従来通り室内に排気管を貫通させている。 冷房装置は走行用機関直結のものと1エンド側に搭載したバス用の機関直結式︵デンソー製パッケージクーラー︶の2系統を備える。走行機関直結のものは冷房使用時はアイドルアップされるためエンジン音が高くなるが、運転士が力行の操作をすれば停車中や低速走行時では一旦エンジンのアイドル状態を経てから加速が始まり、中速以上ではアイドル状態を経ず直ちに加速状態となるなど力行指令との協調が図られている。 旧来の旅客用気動車では、入力軸と出力軸の回転を合わせる事が難しい等の技術的課題があり、直結段での変速は主流でなかった。本形式においては鉄道総合技術研究所と共同開発した凹凸形のクラッチ︵爪クラッチ︶と軸の回転制御を組み合わせ、直結段を2段とした新型液体式変速機を採用している。この爪クラッチ使用による変速機はJR九州の大型気動車独特のもので[注 3][5]、特徴として動力伝達効率が直結段において98.5%と[6]、従来の約90%よりも高いほか、精密な回転軸の速度同期制御により再加速時には回転数合わせのための空ぶかしを経ずに即時に動力直結が可能なため、在来気動車で困難だった﹁のこぎり運転﹂が容易になり、勾配や曲線が多い区間において運転時分短縮の効果がある。さらに331kW︵450ps︶の高出力エンジンを搭載し、キハ40系に代表される在来型気動車に比べて走行性能を向上させている。また、この変速機は自動・手動を切り替えることができる。営業運転での最高速度は110km/hであるが、最高速度が85km/h程度であることが多いローカル路線に最適化するため、自動変速での各段切替え速度は低めに設定されており、1・2段目の切替え速度はフルノッチの場合それぞれ50km/hと70km/h程度であるが、低いノッチ位置での力行時ではそれよりも低速で進段を行う[注 4]。-
TR600K台車
(0・1000番台) -
TR600KA台車
(100・1100番台以降) -
DMF13HZAエンジン
-
運転席
形式別解説[編集]
キハ200形[編集]
0番台・1000番台[編集]
5000番台[編集]
100番台・1100番台[編集]
1997年(平成9年)に豊肥本線向けとして製造された区分番台。トイレ付きの100番台と、トイレなしの1100番台の2両で1本の編成を組成する。車内は0番台・1000番台と同様の転換クロスシートで、当初からワンマン運転に対応した構造となっている。また、乗務員室の室内のスペースも従来車より広く取られている。その他の変更点としてはトイレ部分の小窓が省略されたほか、客室内の蛍光灯カバーも廃止されている。乗降扉の客室側は従来のステンレス無塗装から、長崎地区と同様の赤色塗装に変更された。
500番台・1500番台[編集]
1997年(平成9年)に香椎線向けとして3編成6両が製造された区分番台で当初は本系列初のトイレ無し、ロングシートであった。しかし全線単線で交換設備のある個所も限られている香椎線に、一部の列車だけ性能が違う本系列を走らせても効果が薄いためか、数年で3編成とも鹿児島に転属した。鹿児島転属当初はトイレがないままであったが、転属した年にトイレを設置した(トイレ付きが500番台)。
(今ではトイレがある)500番台とトイレなしの1500番台の2両で1本の編成を組成し、製造当初からワンマン運転に対応している。運用線区が駅間距離の短い通勤通学路線であることから、座席は混雑緩和のためオールロングシートとなっている。ただし、1人あたりの座面幅は平成年間の登場ながら現在のJIS規格よりも狭い国鉄時代の標準の43cmである。1500番台の助士席側後方の乗降扉横は、4人分のロングシートに代わって車椅子スペースとなっている。
550番台・1550番台[編集]
2014年(平成26年)より、0番台・1000番台の座席をロングシート化し改番された区分。500番台・1500番台では各車に設置される車いすスペースは、このグループではトイレのある550番台にしか設けられておらず、また扉付近に新設された縦の握り棒は偏芯のために荷棚に繋がる部分で折れ曲がっており、真っ直ぐである500・1500番台との相違がみられる。車番は原番に+550を足す形となっている。指宿枕崎線と大村線に投入された。2021年3月にキハ200-556+キハ200-1556・キハ200-565+キハ200-1565が長崎から鹿児島へ転属した。また、2021年(令和3年)9月には、キハ200-4+キハ200-1004がキハ200-554+キハ200-1554に改造・改番され、小倉工場から出場した。500番台・1500番台と同様にロングシートの1人当たりの幅は43cmとなっている。
新旧の番号対象は以下の通り。
- キハ200-6+キハ200-1006 → キハ200-556+キハ200-1556(2014年3月)
- キハ200-10+キハ200-1010 → キハ200-560+キハ200-1560(2016年3月)
- キハ200-15+キハ200-1015 → キハ200-565+キハ200-1565(2017年10月)[8]
- キハ200-9+キハ200-1009 → キハ200-559+キハ200-1559(2017年12月)
- キハ200-4+キハ200-1004 → キハ200-554+キハ200-1554(2021年9月)
- キハ200-2+キハ200-1002 → キハ200-552+キハ200-1552(2021年12月)
- キハ200-1+キハ200-1001→キハ200-551+キハ 200-1551
キハ220形[編集]
1100番台[編集]
1500番台[編集]
200番台[編集]
-
キハ220形200番台
クロスシート部分 -
キハ220形200番台
ロングシート部分 -
キハ220形200番台
増備車ロングシート部分 -
キハ220形200番台
二人用座席部分 -
キハ220形200番台
車内全景 -
キハ220形200番台
増備車車内全景 -
キハ220形200番台
車椅子対応トイレ -
キハ220形200番台
出入口
初期車(左)増備車(右) -
キハ220形200番台
運転席
BE220形「BIG EYE」[編集]
沿革[編集]
1991年に直方気動車区︵現・筑豊篠栗鉄道事業部︶に片運転台のキハ200形0番台と1000番台の2両編成が配置された。その後、1992年7月15日改正での快速﹁なのはな﹂用として同番台が投入された。その後1994年︵平成6年︶3月1日のダイヤ改正では大村線経由で佐世保 - 長崎間を運行する快速﹁シーサイドライナー﹂にも投入された[注 11]。 1997年︵平成9年︶には、豊肥本線熊本近郊の輸送改善を目的に増備が再開された。このときに登場した、片運転台の100番台・1100番台、および両運転台のキハ220形1100番台はワンマン運転に最初から対応していた。三角線や鹿児島本線の一部の普通列車でも使用された。また、同年夏にはキハ200形のトイレなし・ロングシート仕様で片運転台の500番台・1500番台、および両運転台のキハ220形1500番台が香椎線に投入された。 1999年︵平成11年︶10月には、豊肥本線熊本 - 肥後大津間電化に伴い同線熊本口で運用されていた車両が、同線の肥後大津以東や香椎線、筑豊・篠栗線に転用された。ただし、豊肥本線の電化区間と非電化区間との直通列車には引き続きキハ200形が運用されている列車がある。 2001年︵平成13年︶に篠栗線・筑豊本線︵福北ゆたか線︶電化により筑豊地区配属車は長崎、鹿児島、大分などに転属した。主に大村線や豊肥本線・久大本線のローカル運用に使用されるようになった。その後、2003年︵平成15年︶3月に香椎線からは撤退し、大分地区や指宿枕崎線へ転用された。 2004年︵平成16年︶指宿枕崎線になのはなDX運行開始。キハ220-1102を指定席車両に改造の上、鹿児島に転属。2011年3月に運行終了し普通列車対応の改修をし熊本へ転属。 2006年︵平成18年︶キハ200形200番台が登場。大分に配属され、キハ31などを転配属し、最後まで残っていたキハ58系列を置き換えた。 2009年︵平成21年︶717系の代替として同年10月1日のダイヤ改正から日豊本線での運用を開始。2018年︵平成30年︶3月17日のダイヤ改正まで続けられた。 2014年︵平成26年︶には、キハ200形、キハ220形1100・1500番台で、従来のLED式運賃表示板から、キハ220形200番台に類似した液晶表示板︵レシップ製︶に変更されている。 2021年︵令和3年︶には長崎地区へのYC1系の導入および、大分地区と鹿児島地区のキハ40・47系の一部置き換えに伴い、同年3月11日にさよなら運転が行われ長崎地区から撤退。大分車両センター、熊本車両センター、鹿児島車両センターそれぞれに転属している[15][16]。運用区間[編集]
※2022年10月現在大分車両センター所属車[編集]
熊本車両センター所属車[編集]
- 鹿児島本線 熊本駅 - 八代駅[注 14](宇土駅~八代駅間は肥薩線八代駅~吉松駅間が災害で運休中のため、現在は運用なし)
- 豊肥本線 熊本駅 - 宮地駅
- 三角線 宇土駅 - 三角駅
- 肥薩線 八代駅 - 吉松駅(通常はキハ220形のみ。同区間は豪雨災害のため休止中)
鹿児島車両センター所属車[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
外部リンク[編集]
- JR九州キハ200系気動車 - 日本車両
- 台車近影: DT600K TR600K/JR九州キハ200形 - 鉄道ホビダス