関取
表示
関取︵せきとり︶とは、大相撲の番付の階級の総称であり、幕内、十両の力士を指す。これに対し、幕下以下の力士は取的︵正しくは力士養成員︶という。
概要[ソースを編集]
呼称は﹁名乗っただけで関所を通ることができる﹂ことに由来している[1]。 力士は十両に昇進することで、一人前の力士として認められる。関取は一人前力士の総称といえる。関取と取的との主な差異は以下の通り。These tables are an excerpt from 大相撲 § 力士の待遇.[編集]
地位 | 幕内(横綱 - 前頭) | 十両 | 幕下 | 三段目 | 序二段 | 序ノ口 |
---|---|---|---|---|---|---|
髷 | 大銀杏 | 丁髷 (十両との対戦時および弓取式、巡業中の初切出演、床山の練習台、引退時の断髪式の際は大銀杏容認) | ||||
服 | 紋付羽織袴 | 着物・羽織(外套・襟巻も着用可) | 着物・羽織 | 着物(浴衣もしくはウール) | ||
帯 | 博多帯 | ベンベルグ | ||||
傘 | 番傘・蛇の目傘 | 洋傘 | ||||
履物 | 足袋に雪駄(畳敷き) | 足袋に雪駄(エナメル製) | 素足に雪駄(エナメル製) | 素足に下駄 | ||
稽古廻し | 白色・木綿 | 黒色・木綿 | ||||
取り廻し | 博多織繻子(色は事実上自由) | 黒色・木綿 | ||||
下がり | 取り廻しの共布 | 紐 | ||||
足袋の色 | 白 | 黒 | ||||
控えの敷物 | 私物の座布団(色・デザインは自由) | 共用の座布団(紫一色) | 畳に直座(幕下上位五番および十両との対戦時は十両と同じ座布団) | |||
月ごとの収入 | 月額給与 | - | ||||
場所ごとの収入 | 力士褒賞金 | 場所手当・奨励金 |
●日本相撲協会から月給ほか諸手当が支給され、場所毎に与えられる力士褒賞金、引退時の退職金等も大きく増額する。
●化粧廻しが用意され、本場所では毎日土俵入りを行う。取組も15日連続で組まれる。
●廻しは、本場所用と稽古用の廻しが別々になる。本場所用の廻しは繻子製であり﹁締め込み﹂と呼ばれている[注釈 1]。さがりも締め込みと同色のものを用い、糊付けされる。稽古用の廻しは幕下以下と同じく木綿で出来てはいるが、色は白である[注釈 2]。
●土俵下の控で座布団が用意される︵幕内は私物、十両は共用︶。
●支度部屋に明荷を持ち込むことができる︵1人一個。横綱のみ3個。陥落した者を含めて幕下以下では使えない︶。
●仕切時間が3分以上に延ばされる︵幕内は4分、十両は3分。それに対して、幕下以下は2分︶。
●場所入りにタクシーを使用することができる︵幕下以下は鉄道・バスなどの運賃が支給されるのみ︶。
●敬称として﹁関取﹂や﹁︵四股名︶関﹂と呼ばれるようになり[2]、幕下以下の力士が付け人として身の回りの世話をする。
●白い足袋と畳敷の雪駄を履くことができる︵幕下の足袋は黒。幕下・三段目の雪駄はエナメル製︶。
●正装として紋付袴の着用が許される。
●本場所や公式の場では髷を大銀杏に結う︵なお、大銀杏はあくまで正装とされるため、関取でも稽古の時など、普段結う髷は丁髷である︶。
●協会の公式の移動の際に飛行機ではビジネスクラスを利用できる。
●相撲部屋によっては個室が与えられる︵幕下以下の力士は大部屋で共同生活︶。また、食事や風呂の順番も優先される。
●結婚が許される︵同時に相撲部屋から離れて住むことも認められる︶。
●サインを書くことが許される。
●NHKなどのテレビ中継において、四股名が相撲字で表示される︵幕下以下は明朝体︶。
●外国出身関取の出身地読み上げでは﹁国名+詳細な地域・都市名﹂まで紹介される(幕下以下は原則国名のみ)。
なお、新十両昇進者は場所前の準備が多いため、番付編成会議の直後に特例として、昇進する事実のみ発表される︵正式な昇進は番付発表日付︶。
十両を経験することで、力士として一人前とみなされる。一例として、1998年の長野オリンピックの際に、力士が各国選手団の先導役を務めたが、その時にも、十両以上の力士だけでなく、幕下以下でも十両経験者が大銀杏を結って参加したことも、そうした考えに基づいたものである。
記録[ソースを編集]
以下の記録は1927年の東西合併以後のものである。年少昇進記録[ソースを編集]
順位 | 昇進年齢 | 四股名 | 最高位 |
---|---|---|---|
1位 | 17歳2か月 | 貴花田光司(貴乃花光司) | 横綱 |
2位 | 17歳9か月 | 萩原寛(稀勢の里寛) | 横綱 |
3位 | 17歳11か月 | 北の湖敏満 | 横綱 |
4位 | 18歳0か月 | 花田満(貴ノ花利彰) | 大関 |
5位 | 18歳1か月 | 若瀬川泰二 | 前頭筆頭 |
四股名は十両昇進時のもの。
年長昇進記録[ソースを編集]
順位 | 昇進年齢 | 四股名 | 最高位 |
---|---|---|---|
1位 | 34歳5か月 | 出羽の郷秀之 | 十両14 |
2位 | 32歳9か月 | 華王錦武志 | 十両6 |
3位 | 32歳9か月 | 小野錦喜三郎 | 前頭16 |
4位 | 31歳11か月 | 千代栄栄太 | (十両8) |
5位 | 31歳8か月 | 剣武輝希 | 前頭16 |
四股名は十両昇進時の四股名
太字は2023年9月場所現在現役力士
一部屋の最多関取人数[ソースを編集]
1931年1月場所の出羽海部屋の30人(幕内20、十両10)が最多。
脚注[ソースを編集]
注釈[ソースを編集]
出典[ソースを編集]
(一)^ 菅野夕霧 (2017年9月22日). “給料0円が年収1600万円に!?力士の生活が激変する運命の番付とは…”. citrus. 2020年8月29日閲覧。
(二)^ 2022年10月の記事で、12代芝田山は﹁一般の人が呼ぶには、○○関でも○○さんでもかまいませんよ﹂と、松鳳山裕也は﹁関でもさんでも、一緒ですよ﹂とそれぞれ説明している。
関取に﹁○○関﹂でなく﹁○○さん﹂と呼ぶのは失礼なのか? 芝田山広報部長と元松鳳山に聞いた 日刊スポーツ 2022年10月14日6時0分 (2022年10月14日閲覧)