| この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "テレビアニメ" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2009年9月) |
概要
標準的な事例としては、1回分を30分︵CMなども含めたテレビ放送時間︶とする連続作品として制作されるほか、5分から15分の短編アニメ作品や、レギュラー放送番組の長編特別番組、単発の長編特別番組なども存在する。
世界的に多くの作品は児童・ファミリー向けで、﹁アニメは子供のもの﹂という認識は、世界初の連続商業テレビアニメ﹃鉄腕アトム﹄︵当時はテレビマンガと称された︶放送時から基本的に変化はないが、アニメに拒否感を示す者の割合は減少傾向にある。ハイターゲット向けのテレビアニメは1970年代の終盤あたりから日本を中心に増加傾向にある。これはアニメを視聴して成長した層が増加したことによるが、﹁アニメはおたくのもの﹂という認識も広まりつつある[1][2]。
野村総合研究所は、テレビアニメの録画率は他ジャンル番組と比べて際立って高く、特にBS放送で顕著になるという調査結果を発表している[3]。
インターネット配信が普及した現在でも﹁テレビ放送の実績が海外の視聴者には特別に映る﹂という理由から先行して有料配信の後、﹁海外戦略の為に宣伝﹂と位置づけてテレビ局の放送枠を購入して放送する事例もある[4]。
作品に関しては﹁日本のテレビアニメ作品一覧﹂を参照。
標準フォーマット
30分枠番組の構成はおおむね以下の通り︵ここでは﹃マシュマロ通信﹄の本放送版を基本にして記述する︶だが、作品によっては﹁実写パートとの混成﹂となるものもあり、下記のフォーマットと異なる場合もある。
基本的に本編︵約24分︶と、CM︵約6分︶の合計で30分となる。CMは15秒単位で制作されるため、各パートも15秒が基本単位で、警告︵啓発︶とアイキャッチの合計は15秒、テーマ曲は90秒︵60秒・150秒︶になる。
CM放送が放送法などの関連法令で禁じられている公共放送のNHKや、WOWOW・アニメ専門チャンネルなどの有料衛星放送においてもローカル局へ放送権を販売するなどの2次利用のため、上記のフォーマットを採用している。その場合、本来のCMの時間を視聴者から寄せられたイラストなどの紹介コーナーやミュージッククリップ、番組等の宣伝を加えて25 - 30分枠として放送している。
(一)警告︵啓発︶‥5秒
●ポケモンショック以降、﹁テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見よう﹂など、登場人物から視聴者への呼びかけがある。ポケモンショック以前の番組の再放送でも字幕が表示されるようになる。これは同事件から長年が経った現在でも、少なくとも全日枠作品ではおおむね徹底されている。なお警告パートがない作品も多く、本編冒頭の字幕で挿入する・警告自体がない︵特に深夜アニメ︶・CMが警告を兼ねている例もある[注釈 1]。
●常時接続の普及によりインターネット上で違法配信が問題視されるようになると、﹁インターネットへのアップロードは著作権法で禁止されている﹂旨の警告文が深夜アニメを中心に表示される︵本編Aパートの冒頭で表示する場合もある︶。
●作品によっては﹁本作品はフィクションであり、実在の人物・事件とは関係ない﹂旨のテロップも表示されることがある。
●作品のジャンルに応じた特別な警告カットやテロップが挿入されるケースもある。
●﹃遊☆戯☆王デュエルモンスターズ﹄では﹁ルールとマナーを守って楽しくデュエルしよう!!﹂というカットが表示された。
●自動車の暴走描写がある﹃頭文字D﹄や﹃湾岸ミッドナイト﹄などでは﹁劇中の法律に違反する行為を真似しないように﹂などと表示される。
●賭博を行う描写のある﹃賭ケグルイ﹄では﹁賭博行為は法律で禁止されている﹂旨のテロップが表示される。
●登場人物の言動に差別用語やその他問題のある表現を含む場合、事前に﹁時代考証や作品の資料性を考慮して一部不適切な表現を含む﹂旨のテロップが表示される。
(二)アバンタイトル:10秒
●作品によって有無が異なる。ある場合はオープニング曲の前に数分程度の本編Aパートのイントロダクションが挿入される。毎回、作品解説の同じ映像が挿入されることもある。
(三)オープニング主題歌︵オープニングアニメーション︶‥1分30秒
●大半は同じ映像を繰り返し使用するが、新キャラクター・新メカが登場すると一部シーンを差し替えることもある。多くの作品はメインスタッフをここでクレジットする。
●作品自体が5分前後の短編アニメの場合、放送枠の都合上などで全てのスタッフ・キャストクレジットをオープニングアニメーション︵あるいはエンディングアニメーション︶内に集約する場合もある。
●近年の多くの作品では1クール単位で主題歌を入れ替える傾向が強い。中には毎回のように入れ替えるケースもある︵エンディング主題歌も同様︶。
●オープニング主題歌のイントロダクションをアバンタイトルのラストシーンに被せるように挿入する演出や、最終回などでオープニング主題歌を飛ばして本編に入る場合もある。
(四)提供クレジット:10秒
●放送局のアナウンサー︵ローカルセールス番組の場合は各放送局ごとに異なることが多い︶が読み上げることが多いが、本編のナレーションや主要キャラクターを担当する声優が提供のアナウンスをするケースも増えている︵提供クレジット#出演者・声優によるアナウンスも参照︶。
●ローカル局の深夜アニメの場合、スポンサードネットによる放送が非常に少なく、大半が番組販売の形で放送されるため提供クレジットが省略され、背景の表示のみになることもある。
●﹁今週のハイライト﹂的文章や、﹁局からの案内﹂などのテロップを挿入する例もある。
●本編の放送時間の関係上などから、提供クレジットパートを省略し、Aパートの冒頭でスポンサークレジットを挿入する作品も増加傾向にある[注釈 2]。
(五)CM1:1分30秒
●作品によってはオープニング終了後、本編Aパートに入るものもある︵その場合は後のCMパートがその分だけ長めに設定されることが多い︶。
(六)本編Aパート‥10分
●Aパートの冒頭で、現在放送中の話数︵助数詞[注釈 3]︶とサブタイトルが表示される。
●作品によっては、話数の併記がないサブタイトルのみ[注釈 4] の場合もあれば、Aパートのアイキャッチ[注釈 5] か、Bパートのラスト[注釈 6] でサブタイトルが表示されることもある。中には、サブタイトルが複数回表示される作品[注釈 7] や特定の回のみ変更されるパターンもあり、サブタイトルが全く表示されない作品もある。
●Aパート/Bパートは、定形の時間枠ではなく、おおむね合計で20分になる。作品の演出により、CMが本編にかからないように割り振るなど、時間配分は変更される。また、警告︵啓発︶とアイキャッチなどで増減する。
●2010年頃に入ると本編中に各種宣伝テロップを挿入する作品が急増している。
(七)アイキャッチ‥5秒
●作品毎に大きく異なる。全く使用されない場合や、A/Bパートに番組タイトルロゴを挿入する、A/Bパートのいずれかに挿入する、演出上の意図でCMに関係なく場面転換に挿入するなど様々である。同じ映像を使用するものや、内容に応じて準備された数種類の映像を使用する。CMのないNHKやAT-Xの放送分でも挿入されることがある。
(八)CM2:1分30秒
(九)アイキャッチ‥5秒
(十)本編Bパート‥10分
(11)エンディング主題歌︵エンディングアニメーション︶‥1分30秒
●おおむ概ねの傾向はオープニング主題歌と同じであるが、毎回変わる担当スタッフや担当キャストクレジットは大抵はここで表示する。
●エンディングアニメーション内に次回予告を挿入する例もある。
●最終話にてエンディングアニメーション映像を新規に制作︵大抵は作品の後日談か総集編的なもの︶したり、専用のエンディング主題歌を用意する場合もある。
(12)CM3:1分30秒
●作品によってはそのまま次回予告へ入るために省略されるか、次回予告後に回されることもある。
(13)次回予告‥30秒
●次回に放送される予定の映像を使用する。ただし、一部作品では本編の放送時間の関係上、先述のようにエンディングアニメーション内に次回予告映像もしくは次回タイトルを流すものも存在するほか、次回予告自体が存在しない作品もある。
●近年では主にMBS製作作品の場合に改編期が迫ると新番組告知CMを放送する時間を捻出するため次回予告の放送時間を短縮したり、本編中では放送せずに正規サイズのものを各公式サイト・動画配信サイトで次回予告を公開する事例が増えている。
(14)提供クレジット‥10秒
(15)エンドカード‥5秒
●作品によっては有無が異なる。同じ作品でも、挿入の有無は局により異なり、局ごとに別々の例もある。また、再放送にあたって新規に制作される作品もまれに存在する。
(16)CM4‥1分20秒
●作品によってはエンディング主題歌を流した後か次回予告前後にCパート︵短編アニメなど︶やミニコーナーを挿入するものもある。
作品や放送局によっては、放送開始時刻から暫くCMを流してから本編放送開始、というケースも多く見られる。
また再放送にあたっては、再放送枠自体が通常の30分よりやや短い場合など、放送枠の都合上によりCM放送時間を捻出するためにOP・EDや次回予告、場合によっては本編の一部がカットされる事例がある。特に通常のフォーマットより本編が長めに制作された作品でこれが顕著になる。
制作過程
日本初の30分テレビアニメシリーズ[6]﹃鉄腕アトム﹄で、制作プロダクション主宰の手塚治虫が同時に原作者の立場であり、自身の作品のアニメ版著作権を放送局に売り渡すことに難色を示したことに放送局も同意し、その後も同じ方式が踏襲された。放送局が直接アニメ制作会社を子会社として設立するなどの方法で制作に関与したり、著作権を買い取ったアニメ番組も初期には存在したが、版権ビジネスが成立しないために現在では存在しない。
制作現場の空洞化およびその影響
コストカットや人手不足などの事情から、およそ40年前からアニメーションの実制作の少なからぬ部分(特にセルや背景の作画)が中国や韓国など日本国外の制作会社に外注されており、日本国内のコンテンツ産業はそれを支える根底の部分で空洞化が指摘されている。また、これにより作画の過程でキャラクターや作風まで知られることになるため、別作品で盗用されたり、作画監督への指示が十分に行き届かずに意図した通りの作画にならない崩壊も生じている。
2000年代に入り深夜アニメの本数が増加するに比例するかのように制作トラブルも増加傾向にあり、放送スケジュールにまで影響を及ぼす事例も相次いでいるのが現状である。
製作委員会
1980年代頃から出版社やレコード会社、広告代理店などがテレビ局の放送枠を買い取り、パッケージ販売を前提とした形態の作品が急増している。
題材
題材は幅広く、多種多様なものが使用されている。
詳細はCategory:アニメのジャンルを参照。
対象年齢層別の特徴
作品によっては下記にある複数の層をターゲットとした作品も存在する。
ファミリー・一般向けアニメ
年代や男女を問わず家族全員で鑑賞して楽しめる作品。
基本的に嫌悪感を引き起こすような性的・暴力描写がなく健全な娯楽作品。長寿番組化されてレギュラー番組として定着している作品も多い。
開始当初は子供向けや少年向けから転換した作品の方が圧倒的に多く、少女向けから転換した作品は、非常に少ない。
子供向けアニメ
視聴対象が主に中学生以下を対象として企画・製作され、制作費用はスポンサー企業が担うことが多い。
子供の精神的成長は年単位で進むため作品企画時に玩具などの対象年齢が設定され、また原作や漫画版掲載の漫画雑誌などには対象年齢が明確に設定されている場合が多い。
一定の年齢に達すると︵大きいお友達など除いて︶作品に対する興味や関心が失われ、視聴をやめる︵﹁卒業﹂する︶ケースが多い。
玩具展開と作品のストーリー展開が連動していることが多く、放送期間は1年間の作品が多い[注釈 8]。児童向けドラマとして放送される特撮作品もテレビアニメと同じ部署が担当していることから、同様の形態を採っている。
少年向け・少女向けアニメ
性別による身体的な特徴が発達し始め、子供から大人の身体に変化する思春期を迎える小学生高学年、中学生が主な視聴対象で、高校生以上を対象にした作品も増加し対象年齢層が広がっている。
基本的に少年漫画[注釈 9]や少女漫画を原作とする作品が主体である。
戦闘要素を主としたものや、恋愛、友情や学校︵学園︶生活、クラブ活動など、作品の舞台や主題として実生活で関心の高いものが扱われることが多い。
2000年代までは全日帯に放送され、幼児や小学校低学年の視聴者が今よりも多かったことから、子供向けアニメとしての性格も兼ねていたが、ネット配信での視聴が定着化した2010年代以降、全日帯に編成される方が少なくなった替わりに、深夜アニメとして放送される方が主流となったため、小学校低学年までの視聴者が少なくなった。
男性向けアニメ
10代後半以上のアニメファン︵アニオタ︶男性を視聴対象に深夜アニメとして製作されることが多い。1970年代終盤以降のアニメの視聴層の高年齢化に伴い増加傾向にあり、日本で制作されるのが一般的になる。
視聴層が限定されるマニアックな内容であることから、青年漫画・成人向け漫画・ライトノベル・コンピュータゲームを原作とする作品を主とし、2000年代中盤までは、アダルトゲームを原作したアニメが作品のほとんどを占めていた。
全日帯に編成されるのは1980年代前半までであり、1980年代中盤から1990年代終盤まではOVAでの展開が主となり、深夜アニメとしての展開は2000年代以降からである。
女性向けアニメ
従来はアニメを見ないと思われていたF1層を対象に、フジテレビで2005年から深夜アニメ帯で﹃ノイタミナ﹄と呼ばれるアニメ枠で放送が始まった。
少女向け作品と同様の少女漫画原作作品に加え、女性漫画やレディースコミックを原作とした作品もこのジャンルに加わる。
また、2006年以降も同様の層を意識したアニメ放送枠が複数設けられている。アニメ化と実写映画、テレビドラマ化が同時に行われる事例がある。
放送枠
全日帯(6:00 - 24:00)
この時間帯に本放送されるテレビアニメを当項では便宜上﹁全日枠アニメ﹂と呼ぶことにする。
(一)プライムタイム︵19:00 - 23:00︶・ゴールデンタイム︵19:00 - 22:00︶
●地上波キー局系列での19時台で放送作品は年々減少の一途を辿り、2019年秋改編でテレビ朝日系列にて放送されていた﹃ドラえもん﹄と﹃クレヨンしんちゃん﹄が土曜夕方へ時間変更となり、民放キー局で放送している19時台の新作アニメは一旦消滅したが[7][注釈 10]、2020年秋改編でテレビ東京系列にて放送されている﹃ポケットモンスター︵第7シリーズ︶﹄が日曜夕方から金曜19時台に枠移動したため[注釈 11]、民放キー局で放送される19時台のアニメが約1年ぶりに復活する形となった。
●NHK Eテレでは以前から平日・日曜の19時台に再放送を中心として複数のアニメが放送されている。上述した民放キー局でのアニメ枠消滅と入れ替わる形で新作アニメの放送も定期的に行われるようになったため、﹁NHKを含む地上波キー局で放送されるレギュラー放送の新作テレビアニメ﹂自体は︵改編時期を除けば︶途切れず維持されているといえる。
●アニメ評論家の藤津亮太は﹁アニメでは視聴率が稼げず、広告主から敬遠される傾向にあるため﹂と解説している[8]。
●一方でTOKYO MXやBS11などのネットワークに属しない独立局ではキー局系列と比べると採算ラインが低いことから、ゴールデンタイム帯で放送される新作アニメもある[9]。
●1976年のMBS制作・TBS系列﹃花の係長﹄や1984年のフジテレビ系列﹃ドタンバのマナー﹄︵1986年3月まで︶、1987年のテレビ東京系列﹃マンガ日本経済入門﹄、1989年のTBS系列﹃ギミア・ぶれいく﹄内で放送された﹃笑ゥせぇるすまん﹄、2000年のテレビ東京系列﹃ラブひな﹄が、22時台に放送されたことがある。その後は、テレビ東京やNHKで22時台末にフライングスタートを実施した深夜アニメが若干ある程度である。
●2010年代に入ると、TOKYO MXが新作UHFアニメや再放送枠および関連情報番組を同時間帯︵および連続して23時台︶に放送している。そのほかKBS京都やサンテレビでもTOKYO MXからの同時ネット番組を中心に新作アニメのプライム帯の放送を行うことがある。
●このほか、主に2000年代後半頃から日本テレビ系﹃金曜ロードSHOW!﹄枠やフジテレビ系﹃土曜プレミアム﹄枠など、21時〜23時前後の2時間枠において単発のアニメ特別番組を年1〜2回のペースで定期的に放送している。
(二)ノンプライム︵6:00 - 19:00/23:00 - 24:00︶
●早朝帯︵5:00 - 6:00前後︶‥後述の理由により、近年ではローカル局では多くの作品が主に土日のこの時間帯に遅れネットしている。
●平日の朝帯︵6:00 - 8:00︶‥テレビ東京は7時台前半に子供向け番組を放送しており、それに内包する形で短編アニメを放送することがある︵かつては平日帯の朝アニメ枠が存在したが、﹃チャージ730!﹄開始に伴いレギュラー放送枠は廃止︶。過去には他系列キー局でも放送されていたが、ワイドショー番組の拡大で現在は存在しない。
●平日の午前帯︵8:00 - 11:30︶‥日本テレビ製作の夕刻帯アニメは、系列局の読売テレビ︵ytv︶では1988年10月から夕刻帯にバラエティ番組﹃ざまぁKANKAN!﹄の放送のため、学生層が視聴困難なこの時間帯に遅れネットされていた︵後に平日早朝に移動した作品もある︶。2016年4月改編で日本テレビでも﹃それいけ!アンパンマン﹄が金曜夕方からこの時間帯に移動となった。また、NHK Eテレは午後帯も含めて情緒教育目的の短編アニメが多く放送されている。
●平日の夕刻帯︵16:00 - 19:00︶‥17 - 18時台では1990年代前半まで在京キー局の多くで存在したが、4大キー局ではニュース番組や情報番組に移行したため現存せず、テレビ東京でも段階的に放送枠が縮小・ローカルセールス枠に移行されたため金曜日のみの放送となっている。ただし一部ローカル局ではこれらの番組の後続で後述する地域限定短編アニメが放送されることが稀にある。
●またテレビ東京系列局のテレビ大阪とテレビ愛知では18:30枠が過去作アニメ再放送枠であったため、他の系列局で同時ネット作品が別の時間帯で遅れネットされたりネット自体がされなかった作品もあり、編成の都合で頻繁に放送日時が変更されることもあった。TXN系列では局によってローカルセールス枠である17:25 - 18:25︵金曜のみ - 17:55︶枠を再放送、もしくは未放送作品・新作UHFアニメのネット枠としている。
●地方局でも16 - 17時台にアニメを放送する局が多く存在したが、自社制作の夕方ワイド番組の台頭やニュース番組枠の拡大などで大幅に激減し、多くは早朝帯や深夜帯などに場を移している。
●独立局では再放送番組を中心に放送されている。また、BS11では一部番組が18時台に放送されることがある。
●夜23時帯 ‥﹁全日枠アニメ﹂﹁深夜アニメ﹂の両方に属する枠。近年のキー局においては、2020年4月からNHK Eテレで月曜22時50分 - 23時15分にレギュラー放送のアニメ枠が設定されていた。
●過去にはテレビ東京系列にて土曜23時台で散発的に放送されたほか、2016年10月から2018年3月までNHK総合でも同じく土曜23時台に新作アニメが放送された︵同年4月からは日曜24時台に移動︶。同様の事例として、過去に2006年に日本テレビ系列で﹃NANA﹄を﹃バリューナイト﹄枠で放送したことがある。
●TOKYO MXでは、新作UHFアニメや再放送枠および関連情報番組を同時間帯にも放送している。一部作品はBS11でも同時ネットされており、そのほか群馬テレビやとちぎテレビでもアニプレックスが製作する作品を中心にTOKYO MXから同時ネットで新作アニメ及び再放送作品が放送されている。
●土・日曜日の午前帯︵6:30 - 11:00︶‥放送期間は1年間かそれ以上の長期放送となる作品・シリーズが多い。1990年代後半、日曜朝に玩具会社・出版社がスポンサーの﹁子供向け﹂作品のベルト枠が登場し、義務教育の週休2日制の施行によってテレビ東京の土曜朝枠にも登場した。2017年4月改編ではMBS・TBS各1枠をベルト枠化した﹃アニメサタデー630﹄が登場するも、2019年6月をもって廃枠︵MBS枠は深夜枠の﹁スーパーアニメイズム﹂へ事実上移動︶となった。
●日曜日の昼間帯︵14:00 - 14:30︶‥1982年10月、﹃超時空要塞マクロス﹄が該当時間帯に放送された。当時のアニメファンや﹁メカと美少女﹂の要素を強く求める﹁同人誌的なユーザを狙った﹂商売として数の見込める、アニメファン層を対象とした該当作はヒットし、後のOVA・深夜アニメに続く流れの始まりであり、閉塞の始まりとされている[10]。
●土・日曜の夕刻帯︵16:30 - 19:00︶‥現在では前述の﹃ドラえもん﹄と﹃クレヨンしんちゃん﹄のように、ゴールデンタイムから移動した枠が多く存在する一方、番組開始からレギュラー放送が一貫して同じ時間で放送されている枠は、2019年10月現在で、フジテレビ系列の﹃ちびまる子ちゃん﹄と﹃サザエさん﹄しか存在しない。
●MBS製作・TBS系列全国ネットの土6︵一部地域は遅れネット︶→日5枠も存在する。﹃日5﹄枠は前述の﹃アニメサタデー630﹄へ枠移動する形でいったん廃枠となっていたが、2022年4月より再放送を経る形で放送が再開される。
深夜帯(23:00 - 翌日5:00)
一般的には23:00 - 翌日5:00の間に深夜番組として本放送されるアニメ作品を指す(23:00 - 24:00は前述の全日帯アニメと重複)。
放送開始時はゴールデンタイムが22、23 - 24時 - 翌日5時に朝の番組が始まる直前までを深夜帯としていたことやプライムタイム・ノンプライムの区分がなかったこと、また特定の層を対象にした作品が多い(全日枠と比べてマイナーなジャンルなど)などの特徴があり、アニメのジャンルとして区別されることもある。
特殊な例
番組編成の都合による変則的な事例で、全日枠アニメが地方局やBS局では深夜帯に[注釈 12]、逆に深夜アニメが地方局やBS局では全日枠で放送される[注釈 13] 事例もある。また、シリーズによって全日枠と深夜枠が入れ替わった事例がいくつかある[注釈 14]。
最近では関東圏の独立局を中心に深夜アニメ放送時間帯の前倒しがすすんでいる。特にTOKYO MXでは週末を中心にプライムタイムに属する22時から関連番組を含めて放送を行っている。また選挙特番放送時などの際は放送時間をさらに前倒してゴールデンタイム帯にて深夜アニメの放送も行う場合もある。
放送形態・放映権
原則としてネット形態に関しては民放のケースで記述する。
ネットワークセールス番組の場合は原則として﹁製作局と同一系列局﹂でのネットとなるが、系列局のない地域では同じくスポンサードネット︵スポンサー付き︶か、番組販売︵スポンサーなし︶での放送となる。
全日帯で放送される子供向け[注釈 15] の場合、系列外の遅れネットでもスポンサードネット[注釈 16] されることがあるが、深夜アニメでは放送局を限定しての制作委員会・スポンサーによる放送枠買取か、番組販売による放送が主流を占める。ローカルセールス番組の場合はその限りでなく、特にローカル局製作番組や制作委員会方式の番組では地域ごとに系列が異なるケースも見られる。
制作局の放映権契約が切れた後は、放送キー局の系列外局でも再放送されることもある。
また、長期シリーズ番組の場合にはシリーズ途中・作品ごとで異なる系列での放送に変更されるケースも稀に見られる。下記以外ではリメイクに際して放送局が変更されたり、﹃ガンダムシリーズ﹄や﹃デジタルモンスター﹄シリーズなど、1作から数作ごとに系列が異なるシリーズも少なくない。
- 例
放送サイクル
テレビ局の編成サイクルは1クール︵3か月、13週︶が基本単位で、3か月で計12 - 13回程度の放送枠を﹁1クール﹂とするのが基本になっている。
シリーズの最初の1クールの放送が終了してから続編の制作が決定した場合、続編は通称﹁2期﹂︵または﹁第2シリーズ﹂など︶とも呼ばれる。
1990年代までは1年単位︵約50話前後︶が最も一般的であったが、その後の情勢の変化で、全日枠アニメは6か月︵2クール︶、深夜アニメは3か月から6か月を放送期間とする放送権契約が主流になった。
放送期間は、民放局の場合は視聴率や関連商品の売り上げなどで︵続編・シリーズ化を入れて︶延長されることもあれば[注釈 18]、スポンサーの倒産や視聴率不振などの理由で打ち切り[注釈 19] や、放送枠が早朝・深夜枠などに変更される例もある[注釈 20]。また、原作が存在する作品で原作の連載が終了していない作品の場合、アニメオリジナルエピソードを間に挟むか、スポーツ中継の編成を通常よりも多めにすることで原作漫画とアニメ版の原作エピソードとの追いつきを防いだり[注釈 21]、あるいは打ち切り漫画に近い形で終結させたり[注釈 22]、期間をおいて続編を再開させる事例もある[注釈 23]。
深夜アニメでは、2002年頃から地上波デジタルテレビ放送準備工事に伴う放送休止や、事件・事故・災害の発生に伴う臨時の報道特別番組やスポーツ中継の延長などで放送枠が逼迫し、その影響で最終話まで放送できない事例も多発していた。その防止策として、企画当初から本編のエピソード数を通常の1クール︵12話~13話︶より1 - 3話程度削減し、全10話前後で終了する構成の作品も増加している[注釈 24]。
基本的な放送パターン
民放アニメの放送・配信の順番
ここでは基本的に放送に関してはローカルセールス枠番組の場合で解説する。
基本的にほとんどの作品が在京キー局や、首都圏の独立局︵TOKYO MXなど︶で先行して放送され、続いて近畿・中京圏など主要地域の民放で放送される。その他の地方局やBS放送ではさらに遅れネットか未放送となる傾向が強く、地上波未放送地域では有料のアニメ専門チャンネル頼みになるケースも未だ見られる。
ただしフジテレビ系列深夜アニメ﹃ノイタミナ﹄枠の場合は、2015年4月現在ではサガテレビを除いて地上波レギュラーネット局で同日ネットとなっている︵一部局では同時ネット。かつてはBSフジでもネットしていたが打ち切りとなった︶。MBSの深夜アニメ枠﹃アニメイズム﹄も、2015年4月より地上波レギュラーネット局で同日ネットとなった。また、AT-Xなどアニメ専門チャンネル製作委員会参加番組の一部には、出資局で最速放送となる事例もある。
2010年代なかばに入ると、テレビ東京とBSテレ東[注釈 25]、あるいはTOKYO MXなどの主要独立局とBS11やBSフジ[注釈 26] などのBS局との組み合わせによる、それぞれ﹁大都市圏は︵独立局の︶地上波、地方はBS﹂といった役割分担の形で、低コストでの全国同時ネットを実現させている番組が、特に後者において徐々に増加している︵BS11の調査では同局の視聴者の8割が地方在住者であった[14]︶。
また、同じく少数派ではあるが﹁関東・関西圏の独立局のみでの同時ネット﹂は、TOKYO MX・KBS京都・サンテレビでの﹃有頂天家族︵第1期のみ︶﹄﹃ご注文はうさぎですか??﹄﹃ラブライブ!サンシャイン!!﹄﹃ろんぐらいだぁす!﹄﹃BanG Dream!︵第1期のみ︶﹄﹃カードファイト!ヴァンガード︵2018年版︶﹄などが挙げられる︵いずれもBS局や広域局・他地域局で放送される場合は遅れネット︶。
インターネット配信の場合、地上波全国同時ネット番組であっても視聴率の兼ね合いもあり基本的に最速テレビ放送の後になる︵﹁見逃し配信﹂と銘打つケースも多い︶。ただし日本テレビ製作深夜アニメ作品やMBS製作﹃TIGER & BUNNY﹄、TOKYO MX・BS11・ABC共同製作﹃アルドノア・ゼロ﹄、﹃ReLIFE﹄﹃ひなこのーと﹄などのように、最速放送局と同時配信、あるいは︵有料ながらも︶最速放送局より先行配信[4]、更に近年では最速放送局よりも更にいち早く無料配信を行うケースも登場している。また、﹃亡念のザムド﹄などWebアニメとして配信されたものを後日テレビ放送するケースも散見される。
スポンサー
民放で放送する場合、制作費・放送費用・CMの広告料を﹁提供﹂するスポンサーが必要不可欠となる。スポンサーの要望が作品設定に多大な影響を与え︵これは子供向け特撮番組でも同様である︶、これを作品に違和感なく反映させることが担当アニメーターの力量を測るバロメーターとなっていた。
商業テレビアニメの開始時から、その多くが子供向け番組であったため、主要なスポンサーは、商品単価の低い子供向けの商品︵玩具、食品、生活用品、教材など︶の製造・販売を手がける企業が主要スポンサーであった。また、30分の放送枠であったことから、テレビ局の営業収益面において不利であり、同時間帯で20%〜30%台の高視聴率のアニメより、視聴率10%強のクイズ番組・トーク番組・ドキュメンタリー番組・テレビドラマなど、商品単価が高く収益の大きい家電・自動車・化学工業などの大手企業が主要なスポンサーの番組が営業収益面で有利な傾向があった。また﹃世界名作劇場﹄シリーズなど、一社提供番組もあったが、時と共に減少して行った。
更に深夜アニメの場合、製作委員会関連のものだけでなく﹁スポットCM枠を埋められるか﹂も重要になるため、経済力の低い地域や民放衛星放送では、なかなか埋められるだけのスポンサーを獲得する事が厳しい状況にある︵後者の場合はローカルスポンサーが付きにくい性質を抱えているため︶。
放送技術・素材の変化
放送素材の変化
放送技術の変化
16:9のワイド画面の登場、ハイビジョン放送に対応した液晶テレビ機種の登場・BSデジタル放送や地上波デジタル放送︵地デジ︶の開始によりハイビジョン環境が普及するようになると、それに合わせて16:9サイズ制作作品が増えていったが、登場当初はハイビジョン対応の制作・放送機材などが非常に高価で、NHK BS-hiでの放送作品以外はSD画質をアップコンバートするものが主流であった。
2000年代後半に入ると、放送局や制作会社においてハイビジョン対応の制作・放送機材への更新が進むにつれて、民放作品でもハイビジョン制作の作品が次第に増加し︵長寿番組の場合は途中でハイビジョン制作に移行して行った︶、地アナ放送終了後の現在、新規に制作されるテレビアニメは全て16:9ハイビジョン制作になっている。地上波民放各局では16:9サイズで制作された作品を地上波デジタル放送では額縁放送︵場合によっては画面の左右カットの4:3サイズ︶放送の放送局も存在したが、地上アナログ放送廃止に向けて全てフルサイズ放送に移行した︵独立局各局でもキー局およびその系列局よりは遅れたが、対応を完了させた︶。
なお、2009年9月期までのTBS製作作品[注釈 28] や、かつてのテレビ東京系列局製作作品の一部においては、16:9ハイビジョンマスターでも地上波ではデジタル放送も含めて4:3左右サイドカットとなっていた。
元々﹁4:3の画面﹂で制作・放送された作品の一部においては、地デジへの完全移行との兼ね合いから映像左右にその作品専用のサイドパネルを付けた形での放送に変更したものもある[注釈 29]。
音声放送
かつてはモノラル放送が主流であったが、VTR素材納入が一般化した1990年代半ば頃からステレオ放送が主流となった。デジタル放送の進展とともに5.1chサラウンド放送を行う番組も登場している[注釈 30]。
字幕放送
全日枠作品ではキー局に関してはほぼ全ての新規作品で字幕放送に対応している(同時ネット局や遅れネットのローカル局では未対応の局が多い)。
深夜アニメではTBS・MBS、フジテレビ製作作品で字幕放送が行われている。
連動データ放送
音楽・アニメソング
スタッフクレジットとは別に、全日枠アニメの場合はオープニング、エンディングには歌詞字幕が挿入される事例も多い(深夜アニメではごく少数しかない)。
作品によって歌詞字幕の漢字にルビのあるもの、漢字を用いないものもある。しかし近年では歌詞字幕の使用率は低下し、2000年代以降は歌詞字幕がない作品の方が多い(商業用テレビアニメ放送開始時の1960年代も少なかった)。
アニメソングの変遷
商業用テレビアニメ放送開始時から、タイトルや歌詞に作品名・キャラクター名が挿入されているものがシリーズ通して使用された。1970年前後から、アニメソング︵略称﹁アニソン﹂︶を専門で歌うアニメソング歌手が登場した。
1980年代前半に放送された﹃うる星やつら﹄は、シリーズ途中でオープニング・エンディング曲を変える試みを行った。これがレコード会社に大きなビジネスチャンスとなり、以後、長期シリーズに関しては主題歌を1〜2クールで変える作品が多くを占めるようになる。
1980年代以降はレコード会社のタイアップ戦略により、ソニーミュージックグループ・エイベックス・グループ・ビーイングなど各レコード会社の新人セールスの重要な要素の一つとなる一方、2016年時点では作品に出演する声優︵および声優ユニット︶自ら歌唱するアニメソングも増加傾向にあり、更にはキャラクターソングやアニメ派生の2次元アイドルが人気を集め、既存のアニメソング歌手を取り巻く環境は厳しくなっていると指摘されている[16]。
2000年代頃から1つのアニメ作品に対しエンディングが毎回異なる楽曲ないしアニメーションを用いる作品も登場したり[注釈 31]、または︵基本の曲や歌詞は同一ながらも︶歌唱の出演声優を毎回変えたり、次第に声優の人数を増やすなどの演出も登場するようになった[注釈 32]。
一つの作品シリーズに複数のレコード会社・音楽出版社・芸能プロダクションが主題歌制作に関わることもあり、JASRACおよび各社で保有する著作権との調整の結果、以下の例も見られるようになる。
- ベスト盤CD制作の際に、主題歌の多くを、もしくはサウンドトラックを制作している会社が代表して発売する[注釈 33]。
- 映像パッケージ版を発売する際に権利調整が難航した結果、オリジナル版の主題歌を使えなかった[注釈 34]、もしくはその曲を使用したパートを丸々未収録にした[注釈 35]。これは「テレビ放送用」と「映像ソフト用」で個別の契約が必要になり、著作権料支払いのシステムが異なるためで、同様の理由で既存の楽曲をテレビ放送版の劇中でそのまま使用した場合、(権利者の許可が出ない場合)ソフト化にあたっては別の曲への差し替えが行われる場合がある。
公式サイト
インターネット環境の普及と共に、番組公式サイトを製作会社もしくは製作局で開設している。現在ではTwitterなどSNSでの専用アカウントも開設する事例が殆どである。
表現の自主規制
自主規制の基準
放送事業者が自主的に放送基準・番組基準(放送コード)を定めて運用することが電波法、放送法により規定されている。将来、映像コンテンツ倫理連絡会議が設置が予定されている。
放送倫理・番組向上機構(BPO)
欧米諸国や豪州ではテレビ番組に対して明確なレイティング認定を行う公的機関があるが、日本には同様の公的機関が存在しない。
代わりに「番組を監視して罰するのではなく、放送事業者が自主的に問題を解決するために視聴者と放送局の仲介をする」[17] NHKと民放連加盟会員各社による任意団体「放送倫理・番組向上機構」(BPO)がその役割を担っており、「放送事業者は放送倫理・番組向上機構判断に従い忠実に守るとの合意」[17] 上に番組制作が行われている。
放送倫理・番組向上機構 (BPO)の回答要請
自主規制の運用
上記のように日本国内の放送事業者全体で統一された表現規制基準は存在せず、製作局もしくはネット局でバラつきが見られるのが現状である。
2000年代以降、全般的には表現規制が緩い傾向がある深夜番組であるはずの深夜アニメでも、一部放送局を中心に表現規制が厳格化する傾向にある。
自主規制の内容
放送問題用語
基本的に、原作・脚本・構成の段階で問題になる用語や表現は削除するか、支障のない表現に変更される。また、同様の理由でアニメ化に際し、問題のあるタイトルの語句が変更される場合もある[注釈 36]。一方で演出上あえて意図的に抵触する言葉を使い﹁自主規制音﹂や隠喩的な表現で演出をする作品も存在する。
しかし、制作当時に﹁自主規制の対象外であった言葉や表現が使用された作品﹂の再放送とパッケージ化がされる場合、自主規制対象と判断された部分がカットされ、会話が途切れるなどの問題が発生した。その後、著作権の一種である著作者人格権を考慮し、﹁原作者のオリジナリティを尊重して原版のまま放送する﹂﹁作品の時代設定を考慮する﹂﹁差別を助長する意図はない﹂などの諸注意の文面を入れた上で、該当語句をノーカットで放送する場合もある。
映像演出
上記の一件以降、特に点滅の表現が厳しく規制されており[19]、銃撃戦のシーンなど減光や残像処理が行われている。過去の作品の再放送やパッケージ化においても同様の処理が行われることが多くなっている。
飲酒・喫煙の描写
年齢設定が未成年の登場人物の飲酒、喫煙シーンがほとんど描かれなくなり、描かれる場合も「未成年の飲酒(喫煙)は法律で禁止されている」旨の注意が表示(記述)されるようになっている事がほとんどである。
性的・暴力描写
変遷
1980年代‥ゴールデンタイムの作品の一部は、暴力・流血描写にシルエット演出を施すことで残虐な人体破断・爆裂などを表現的に抑えた上で放送した[注釈 37]。﹃キン肉マン﹄では、ラーメンマンがブロッケンマンをキャメルクラッチで身体を真っ二つにして殺害するシーンが、ラーメンマンがブロッケンマンを麺の生地のように身体を捏ね、ラーメンの手打ち麺にして食べてしまうという、シュールなギャグシーンに差し替えられている。
2000年代‥銃撃された人の流血が暴力的な表現として規制対象となる。
性的描写
1980年代‥ゴールデンタイムの作品の一部に、女性キャラクターの下着姿や乳首などを露出するお色気︵エロ︶場面を含むもの[注釈 38] が存在していた。
2000年代‥簡単に予約録画可能な機器︵DVD、BD︶が家庭で普及し、児童層がリアルタイムで視聴することが少ない深夜アニメ枠も自主規制の強化が行われ、児童の興味を引きつける萌え・ロリ・エロ︵半裸、パンチラなど︶の表現を多用したい製作会社は表現規制の厳しいテレビ東京以外の局を模索する傾向に走り、独立局、BS/CS局などに移行するようになった。
2007年以降、女性のセミヌードや下着が映る描写も湯気や閃光などの白ボカシなどで乳首や局部を隠す事例が増えているが、AT-Xでは対象年齢の制限を設けることにより、本来の映像でかつプライム・ノンプライムの時間帯で、曜日も問わずに放送されている︵無料放送時[注釈 39] には一切視聴できない︶。
作品の設定上から性的刺激が強い場面を多用する場合、テレビ局側の自主規制基準を見越して当初の意図通りの内容を﹁ディレクターズカット版﹂などのパッケージ化販売が前提になっている事例もある。
深夜アニメの一部では、女性キャラのスカートが大きく捲れているシーンでも、下着をあえて描かず、臀部やビキニラインを見せることで﹁下着ではないので規制対象ではない﹂とする自主規制を逆手にとったお色気シーンも存在する。
商標・著作権など
大抵は実在する企業名・商品名︵商標︶などを用いないよう改変される事例がほとんどだが、一部には企業側の承認済み、もしくはタイアップ︵宣伝︶の一環として実在の名前が使われる事例もある[注釈 40]。
類似の事例として、実在の街を舞台とした作品でリアリティを出すため、各店舗の協力を得た上で実在の店名や看板などが背景に使われることもある[注釈 41]。
放送自粛・中止
作品と直接的な関係はないが、事件や事故、自然災害などにより、放送局の判断で行われる。
宗教関係
実在の宗教に触れる際、歴史上の宗教家や信者への中傷や侮辱がないよう配慮されなければならないが、特にイスラム教に関する規制が厳しく、聖典のクルアーン︵コーラン︶や音楽が不適切に引用されたことが判明し、テレビアニメやOVAで当該のシーンの改訂を余儀なくされたこともある。
●例1‥﹃ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース﹄︵OVA版︶﹃Adventure 6 -報復の霧-﹄の中で、DIOがアラビア語の書物を読みながら主人公一行の殺害を部下に命じるシーンがあり、この書物の文章がクルアーンの一節﹁雷電章﹂の引用であることが判明した[22]。これを視聴したイスラム教徒が﹁イスラム教に対する侮辱で受け入れられない﹂として反発。原因は制作スタッフがアラビア文字の資料を探したところ、それがクルアーンであることを知らずに転写したためであった︵原作ではクルアーンは描かれておらず、イスラム教を侮辱する意図は一切含まれていない︶。これに対し、集英社と制作会社︵A.P.P.P︶は﹁イスラームとその文化についての理解を一層深めるべく、努力する所存﹂と謝罪し、該当DVDの出荷を停止。その後の2009年2月より原作の該当箇所を訂正した改訂版が販売再開された[23]。
●例2‥﹃ノラガミ ARAGOTO﹄︵全13話︶で、作中のBGMにてイスラム教の音楽が不適切に使用されていたことが判明したため、公式サイトで謝罪のコメントを掲載するとともに、当該の音楽が収録されたサウンドトラックが回収され、Blu-ray Disc/DVDの発売を延期することとなった[24]。この影響でBSフジの放送分が9話をもって打ち切られ[注釈 42]、代替策として、2016年1月に残りの10話〜13話がBS11で放送された。
表現の法的規制
テレビアニメ史
詳細は、「アニメの歴史・深夜アニメ史・UHFアニメ史」を参照。
アニメブーム
顕著な成長を遂げている時期を「アニメの成長期」もしくは「アニメブーム」と呼ぶ。以下の分類において参考にした関連書籍の略称を挙げる。
- 増田:増田弘道『アニメビジネスがわかる』/津堅:津堅信之『アニメーション学入門』/氷川:氷川竜介『世紀末アニメ熱論』
以下、便宜上アニメブームを3つに分けて解説しているが、評論家によっては主に『鉄腕アトム』によって引き起こされたアニメブームを第一次としないために、第二次・第三次がそれぞれ繰りあがって、第一次・第二次と呼ばれる場合がある。
第一次アニメブーム
発生期間
1963年〜1960年代末。﹃鉄腕アトム﹄の放送開始からアニメ定着期まで。︵増田︶
1960年代。︵津堅︶。
﹃鉄腕アトム﹄による第一の衝撃︵氷川︶。
発生要因・結果
﹃鉄腕アトム﹄のヒット。およびこれを受けての新規事業参入者によるテレビアニメの新作数の増加。子供の間でのアニメの定着。︵増田︶
第二次アニメブーム
発生期間
1977年〜1991年。﹃さらば宇宙戦艦ヤマト﹄公開からOVA発売タイトルピークまで。︵増田︶
1970年代後半〜1980年代後半︵津堅︶。
﹃ヤマト﹄、﹃ガンダム﹄による第二の衝撃︵氷川︶。
﹃さらば宇宙戦艦ヤマト﹄の公開前後を第一次アニメブームと分類︵小川びい[25]︶。
1977年〜1985年を第一次アニメブームと分類︵藤津亮太[26]︶。
発生要因・結果
﹃さらば宇宙戦艦ヤマト﹄のヒット。およびこれを受けての青年層のマーケット開拓。ビデオの普及による新たなビジネスモデルの登場。︵増田︶
第三次アニメブーム
発生期間
1995年〜現在。﹃新世紀エヴァンゲリオン﹄放映からテレビアニメ製作数を更新中の現在まで。︵増田︶
1990年代後半︵津堅︶。
﹃新世紀エヴァンゲリオン﹄による第三の衝撃︵氷川︶。
﹃新世紀エヴァンゲリオン﹄前後を第二次アニメブームと分類︵小川びい[25]︶。
発生要因・結果
﹃新世紀エヴァンゲリオン﹄のヒット。その後、﹃ポケットモンスター﹄﹃もののけ姫﹄﹃千と千尋の神隠し﹄などのメガヒットが続くことによって起きた、さらなるアニメ視聴者層の拡大。メディアの多様化、増加。ファイナンスシステムの多様化。収益構造の多様化。デジタル技術による生産性の向上。︵増田︶
1990年代後半以降の主な動き
1990年代後半の視聴率低下はアニメ業界に多大な影響を及ぼした[27]。フジテレビのアニメプロデューサーで執行役員も務める清水賢治によると、﹁少子化の影響や塾通いの増加による子供たちの夕刻〜19時台の在宅率の低下が大きい﹂と語り、一時はアニメ自体の放送を取り止めることも検討されたほどであり、結局は土日の朝枠に移動させる動きが主流になったという[9]。
さらにファミコンなど家庭用ゲーム機の普及で子供の関心がゲームに移ったことで、アニメ関連の玩具売り上げ低下によって玩具メーカーがスポンサーから撤退し、夕方からゴールデンタイムにかけての放送枠確保が難しくなっていた[27]。
上記の動きはアニメ業界の衰退に発展するとの危惧を持つ関係者もおり、テレビ東京︵広報・IR部長‥大木努︶は﹁アニメはもう子供たちのファーストチョイスではない﹂と述べている[28]。
その影響でキー局各局ではゴールデンタイム枠放送作品が激減し、テレビ東京系列では2000年代前半に最大6枠あったゴールデンタイムのアニメ作品の総本数は増減を繰り返した末、2018年9月をもって木曜19時台放送枠2本が日曜夕方枠へ移行により、ゴールデンタイム帯から全面撤退し[29]、テレビ朝日系列の金曜日の2枠も、2019年9月をもって土曜夕方枠へ移行し、ゴールデンタイム帯から撤退したため、キー局各局からゴールデンタイム枠放送作品が一時的に消滅することになった。
その後、2020年10月の改編で、テレビ東京系列の﹃ポケットモンスター﹄が日曜夕方から金曜19時台枠への移動により、民放キー局で放送される19時台のアニメが約1年ぶりに復活、現在はキー局の5系列のうち︵レギュラーとして︶同時間帯のアニメ枠を持っているのは、テレビ東京系列の金曜19時台枠のみである。
一方で独立局各局においては、キー局各局と比べると採算ラインが低いことから、ゴールデンタイム帯で放送するアニメもある[9]。
勢力を拡大しつつあった深夜アニメに関しても、2008年に発生したリーマン・ショックの影響などから2010年頃に本数が減少するなどの影響が出ている[30][31]。
視聴層の二極化とパッケージ販売(ビデオソフト化)による制作費回収システム
1995年の﹃新世紀エヴァンゲリオン﹄の商業的成功によりコアなファン対象の作品が多数制作され、放映権料の高いゴールデンタイムではなく、夕方の放送を中心に多数の制作会社が参入し、放送枠が不足すると深夜枠の開拓が始まった[27]。大量生産に有利なデジタルアニメが普及し、テレビ東京や独立局、BS局やCSアニメ専門チャンネルなどで放送作品も増加したが、過剰な数の作品制作と負担の増加により、作画やシナリオを崩壊させる品質の低下、更には制作スケジュールの遅延による放送スケジュールの破綻に至る事例が続出、1クールの放送枠を﹁完走﹂すら出来ない事態まで至る作品まで出た。
一方で小・中学校の週休2日制度導入で視聴が可能となった土・日曜日の午前枠の玩具会社・出版社がスポンサーの﹁子供向け﹂作品と、アニメブームで誕生したアニオタというコンテンツ自体に消費指向を向ける層にパッケージ販売・ソフトのレンタルなどで多数の作品を供給し、収益をあげるための深夜枠︵主に三大都市圏の独立局で放送される通称UHFアニメやBS/CSチャンネルで放送される作品を含む︶での﹁マニア向け﹂の商品宣伝をする製作委員会方式作品[注釈 43] の二極化が進行している。
﹁テレビアニメ放送作品のメディア化﹂という形でパッケージ販売を行い、利益を回収することが2000年代までの﹁テレビアニメの経済﹂の主流の一つであり、テレビアニメとして見た場合、かつての作品と比べて販売計画の企画段階から﹁目的﹂と﹁手段﹂が逆となるタイトルも少なくない[32]。
スポンサー料の安い、視聴率が低い放送枠のターゲットはアニメの関心が強いおたく層であり、パッケージ販売のためのプロモーションの性格も強い。そのため製作委員会各社がスポンサーとなり、番組枠を買い取って放送するケースも多い。特に深夜枠放送作品は、DVDおよびBlu-ray Discなどのパッケージ販売が主な収益だったことから、付加価値を高めて購買意欲を刺激する必要があり、以下の事情により本放送とは異なる改訂・増補がなされる場合もある。
(一)放送の修正︵リテイク︶
●制作スケジュール破綻、またはそれに近い状態になったエピソードが多発した作品に多く見られる。クレジットやテロップの修正も含まれる。
(二)表現規制を制作意図に戻す。
●お色気や流血など刺激の強い表現で、テレビ放送時に規制されたものを本来の状態に戻すために、追加もしくは差し替えが行われる。また﹁自主規制音﹂の部分が、別音声として収録された作品もある︵﹃ハヤテのごとく!﹄・﹃生徒会役員共﹄など︶。
●逆に版権・著作権の問題などからソフト化の際に規制が追加されたり、内容が一部改変されるケースも少ないながら存在する。例として﹃銀魂﹄ではテレビ放送版で流れたパロディ元の原曲が、映像ソフト版では別の曲に差し替えられることも多い。
(三)画面枠︵アスペクト比︶の変更。
●2009年9月期までのTBS製作作品や、かつてのテレビ東京製作作品の一部では、﹁16:9﹂の画面サイズマスターを地上波での放送時には画面の両端をカットし、﹁4:3﹂のサイズで放送する例がほとんどであった︵2009年当時は地上デジタル放送が普及途上にあり、受信できない地域が多かったため︶。パッケージ化の際には元の﹁16:9﹂として販売される。
(四)全バージョンの収録
●CMなどの放送用の素材を特典として収録。
●パッケージ版の販促を意図して、放送地域別︵衛星放送を含む︶に一部シーンの別バージョンを放送する作品では[注釈 44]、全バージョンが収録されている。
(五)未放送部分の収録
●本編の一部・結末を放送せず、またその部分を別売りにする手法に対して視聴者の不満は大きいが、パッケージ販売に制作費を大きく依存する深夜アニメ制作の難しさが浮き彫りになっている。
●本編のエピソードの一部を放送しない - 作品全体の内容の理解には支障がないが、パッケージ版で背景や人間関係がより深く理解できるといった内容になっている。未放送回の存在は事前にウェブサイトなどで告知されていることが多い。
●本編の結末を放送しない - 2003年〜2004年のフジテレビやテレビ朝日の深夜アニメで顕著に見られ、地デジ放送準備工事に伴う放送終了時間繰り上げや特別番組やスポーツ中継などによる放送スケジュールの都合で最後まで放送できない作品が続出し、パッケージ版か衛星放送などでしか結末を視聴することができなかった。
●2011年には東日本大震災による影響︵報道特番による休止・災害描写への配慮、放送枠の不足など︶から最終回が放送できなくなった作品もある。
●﹃かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜﹄のラストシーンがDVDに収録される真の最終回への露骨な誘導であったことから、ラストシーンのセリフをとって﹁あのね商法[33]﹂などと呼ばれている。
(六)新規の映像の追加収録
●番外編・後日談・短編アニメで、本編からやや離れたパロディ色が強い内容のものを収録する作品が多い。従来の人気作品の続編や番外編をOVA、劇場版を制作するという手法の延長線上にある。一部はリリースの後日ないし先行の特別番組の形でテレビ放送するケースもある。
(七)主題歌などの音源CDを同梱
●主題歌や挿入歌・サウンドトラック・ドラマCDなどを単品として発売せず、映像ソフトの特典として同梱させる事例も増えている。一部は後日単体のアルバムとして発売されるケースもある。
(八)関係者出演の特典映像・音声を収録
●アニメ本編とは別に、オーディオコメンタリー、出演声優や制作スタッフのトーク、その作品制作の裏側に密着したドキュメンタリー、イベント、ライブなどの映像、出演声優によるバラエティ番組的な内容などを映像特典として追加収録する例も多い。
●関連イベントやライブ映像を単品ソフトとして制作・販売する事例も少なくない。
また販促の一環として作品関連のグッズ類や、各種イベント参加整理券もしくは応募券︵さらに2010年代以降、チケット優先販売申込券を同梱する事例も増えている︶を同梱することもある︵一部店舗もしくは通信販売限定のものもある︶。
2020年代にはインターネット配信による配信料が収益の柱となっており[34]、パッケージは収益よりもグッズや特典と組み合わせるファン向けのグッズとなっている。
日本のテレビアニメの放送における諸問題の現状
時間帯の競合
民放とNHKを合わせた、2局以上のチャンネルで異なるアニメ番組を同時に放送することによる競合の発生は古くから見られるが[注釈 45]、ローカル局でも土・日曜日の早朝・夕方枠にアニメ・特撮番組が集中し、競合することがある[注釈 46]。
テレビ東京の系列局と独立局を有する、東名阪地区の場合はなおさらであり、本放送のみにこだわるならば複数の録画機器か、2番組以上の同時録画が可能な録画機器を使用しないと視聴できない時間帯がほとんどであり、再放送を含むと、2020年現在では3番組以上の同時録画が可能な録画機器でないと視聴できない時間帯も多く見られる。また、BSデジタル放送では、BS-TBS[注釈 47] を除いたBS民放4局とBS11ほか各局で23 - 翌1時台に複数の番組の重複が恒常化している[注釈 48]。
地上波における時間帯の競合を回避するために枠の曜日変更を行った例も存在する[注釈 49]。
2015年4月期には同じ﹃週刊少年サンデー﹄連載原作アニメ同士による競合も発生している[注釈 50]。
再放送の減少
地上波での民放アニメ番組の地域格差の諸問題
民放向けテレビアニメは﹁地上波での放送﹂を前提に企画・製作される傾向が強い[注釈 51]。これは2010年代に入るとインターネット配信ビジネスにおける国内外不問で配信業者への販売価格が﹁︵特に日本の首都圏での︶地上波での放送した、という実績﹂の有無に大きく影響されることにあり、﹁地上波で放送されたことのない番組﹂の販売価格が不利な傾向になるためである[4]。
一方でNHKではBS放送向けに企画・製作されているものも多い。
2000年代以降、4大ネットワーク︵日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビの各系列︶の系列局における同時ネットの放送番組が減少傾向にある一方で、上記に記したコアなファン向けに急増した深夜アニメなどのローカルセールス枠放送番組の場合、大都市圏︵特に東名阪地区︶以外では余り放送されておらず、地方局で放送されても遅れネットの幅が大きい番組も多く見られる︵クール単位あるいは年単位=4クール以上の遅れに至る事例もある︶。
また、製作局での本放送時間帯が諸事情で変更ないし放送期間の延長などで編成の折り合いが付かず、一部の地方局ではシリーズ途中で打ち切られる例もたまに見られる[注釈 52]。
なお、長らく作品の舞台となる実在する地域︵またはモデルの地域︶や、原作者の出身地である地元局で放送されない事例が多かった[注釈 53][要出典]。しかし舞台となる地元側から地域おこしの一環としての要望[注釈 54] や、ファンによる聖地巡礼︵舞台探訪︶文化の定着などから製作側が当初から舞台地元局での放送を念頭に入れている事例[注釈 55] が増加し、さらに青森県弘前市を舞台にした﹃ふらいんぐうぃっち﹄では青森放送が[36]、香川県を舞台にした﹃うどんの国の金色毛鞠﹄に西日本放送が、それぞれの製作委員会に参加している。
テレビ東京系列
子会社BS局であるBSテレビ東京︵旧・BSジャパン︶は、親会社のテレビ東京の全日枠アニメはそこそこ放送している一方、深夜アニメの放送実績は2010年代半ばまでは全体的に乏しかった[注釈 56]、中には﹃たまごっち!﹄シリーズ︵途中からBSジャパンに移行︶・﹃ガンダムビルドファイターズ﹄シリーズ︵﹃ガンダムビルドダイバーズRe:RISE﹄から地上波はTOKYO MXに移行︶などがBS11で、特撮作品も混在する﹃牙狼-GARO-﹄シリーズ︵途中からTOKYO MXに移行︶が本来映画専門のスター・チャンネルでネットされたり、2010年代以降のAT-Xが製作参加しているUHFアニメの多くでBS11やBSフジで放送するなどの事例まである。
﹁テレビ東京︵系列局︶・BSテレ東との同時ネット﹂は﹃プリティーリズム・オーロラドリーム﹄で初めて実施されたが、現状ではこの形式のネット形態番組はごく少数に留まっている。
︵CSチャンネルを除いて︶BSテレ東でのみ放送したのは現時点で﹃人造昆虫カブトボーグ V×V﹄と﹃ナノ・インベーダーズ﹄のみであるが、﹃カブトボーグ﹄についてはテレビ東京側が内容面で地上波放送を拒否した結果でもある。
また、テレビアニメ自体の話ではないが、テレビ東京で放送される関連性のあるアニメ・ゲーム情報番組や声優バラエティ番組などの番組[注釈 57] もテレビ放送では関東ローカルの事例が多い︵下記の独立テレビ局においても同様の事例が多いが、こちらはBS11やBSフジなど民放BS局でネットされる場合もある︶。
インターネット配信においては2010年代以降時間帯を問わず多くの番組で実施されるようにはなっているが、︵最速のテレビ東京を基準に︶1週間以上遅れるか、有料配信のみの事例もある。
独立テレビ局
1990年代末頃から三大都市圏にある独立局での放送を念頭に置いた新作テレビアニメ、いわゆるUHFアニメの放送が始まり、2000年代半ばになると急激に増加傾向を見せた。
一部の作品は関西・中京圏ではキー局系列広域局で放送されたり、一部の地方局でも放送される事例は存在するが、これも地上波による地方の格差を拡大させる一因となった。長年優位に立っていた関東圏内でさえ、東京都を放送対象地域とするTOKYO MXの送信所が東京スカイツリーへ移転後、同局への一極集中が加速した結果、同局が受信できない地域では大きな格差が生じることになった。端的な例では関西圏では広域局で放送に対し、関東圏はTOKYO MXのみで放送、という作品も珍しくなくなっている。
2010年代に入り、BS11を始めとするBS各局が遅れ︵もしくは同時︶ネットを多くのUHFアニメで行うようになった結果、現在ではBSアンテナなどの受信環境を整えていれば、おおむね視聴可能にはなっている。また、インターネット配信も大半の作品で実施されている。
BS/CS放送の現状と弱点
●地上波のテレビアニメのBS局へのネットは、現状ではキー局のアニメを中心に不完全な状況に留まっている。これは死活問題に直結する地方局からの抵抗が強いのも理由の一つである[37]。
●アニメ専門チャンネルが製作委員会に参加している作品を最速で放送することにより付加価値を高める事例もあるが、キー局製作参加の場合はそのような事例は皆無に近い。
●共用パラボラアンテナが設置されていない場合、各自で設置する必要が発生するが、ベランダの向き[注釈 58] や物件の構造により、廊下や手すりなどの共用部分にパラボラアンテナを設置できない︵許可されない︶場合もある。また、︵共用を含む︶パラボラアンテナが古いモデルの場合、CS110°放送に対応していない。さらにAT-Xの場合、同チャンネルにおけるCS110°放送でのハイビジョン化は2018年秋まで待たねばならなかった[38]。
ケーブルテレビの区域外再放送
●ケーブルテレビのサービスエリアは市町村単位が基本であるため、対象外の地域では利用できない。また、地域によっては区域外再放送自体が地元局の同意が得られずに行われていないこともある。このほか集合住宅によってはケーブルテレビに対応していない物件もある。
NOTTV(モバキャス)
●地上アナログ放送廃止後に浮いたVHF帯を活用して放送が開始されたが、日本全国をカバーしているわけではなかった上、対応端末が限られたり、放送されているのは一部の作品に留まっていた。結局会員数が伸び悩んだため、2016年6月30日をもってサービスを終了した[39]。
インターネット配信
2000年代半ば以降、上記のパッケージ販売市場が縮小傾向にある事から、製作各社はそれに代わって海外市場を含む﹁インターネット有料配信﹂によるビジネスモデルへのシフトしており、テレビ放送よりも重要な存在となった[34]。その際、日本の首都圏における﹁テレビ放送︵地上波による放送︶の実績﹂の有無がネット配信業者への販売価格を大きく左右する[4] ことから、純粋な意味のWebアニメは少数派に留まり、ネット配信に並行して何らかの形でテレビ放送を行う形になっている。
インターネット配信の現状と弱点
●権利者︵原作者や遺族など︶の意向によっては有料配信すら許諾されない場合もある[注釈 59]。
●最速放送局より遅れて配信される事例が多い。
●有料配信の場合は一部最速放送局よりも早く配信するケースがあり︵日本テレビ製作深夜アニメ番組など︶、近年ではAbemaTVで最速放送局と同時、もしくはそれよりも早く無料配信するケースも登場している。
●﹁有料配信のみ﹂を基本とする放送枠︵フジテレビ﹃ノイタミナ﹄枠やMBS﹃アニメイズム﹄枠など︶や、製作会社︵東映[注釈 60]、KADOKAWA[注釈 61] 製作作品など︶もあり、近年ではこれらに限らず特定配信サイトの﹁独占有料配信﹂作品も増えている。
●配信企業が製作委員会に加わったりプロジェクトを主導するケースもあり﹃シドニアの騎士﹄では製作会社がNetflixと直接契約し、日本国外でのインターネット配信を独占させる契約で制作費を調達した。また同じ制作会社による﹃BLAME!﹄はNetflixのオリジナルコンテンツとして制作された︵日本国内では劇場でも放映された︶。
●肖像権の都合上、声優やスタッフの出演する特番や実写パートが配信されない場合もある[注釈 62]。
●インターネット環境に影響を受けやすい。アクセス元のIPアドレスで国・地域・インターネットプロバイダなどを判別するため、IP制限により、有料の配信サービスすら受けられない場合もある。
●有料配信の場合、料金支払方法がクレジットカードやウェブマネーなどに限られ、銀行の口座自動振替には対応していないため、利便性に劣る。
違法アップロードと公式動画配信
上記のような現状を背景に、極力少ない時差︵遅れ︶で視聴するため、Winny・Shareなどのファイル共有ソフトや、日本国外の動画共有サービスを用い、作品を違法にアップロードする行為が問題になっている[40]。
動画共有サービスの場合、権利者から要請が確認できれば削除されることもあるが、YouTubeなどに比べて知名度の低い海外サイトの場合、対応が杜撰になりがちで、正当な要請でも無視されることがある。一度作品がインターネット上にアップロードされると際限なく複製され、完全に止めることはほぼ不可能になるため、パッケージ販売の収益で制作費用を回収している製作関係会社にとっては死活問題になりつつある[40][41][42]。
そのため、番組冒頭に﹁︵権利者の許諾を得ず︶インターネットにアップロードするのは違法である﹂旨のテロップを流して注意を促したり、アップロード元の放送局︵ローカル局︶を特定できるようウォーターマークを表示するなどの対策を採り、また2012年10月の改正著作権法施行により、ダウンロードにも罰則が課されるようになったが、効果はあまりないのが実情である。
公式動画配信の変遷
﹃機動戦士ガンダムSEED﹄および続編﹃機動戦士ガンダムSEED DESTINY﹄では、番組スポンサーのNTT東日本・西日本両社が提供する光サービス﹃フレッツ光﹄加入者専用サイト﹁フレッツ・スクエア﹂にて放送終了直後に配信を行なっていた︵ただし1週遅れの地域ではその遅れを反映する形での配信であった︶。
2005年4月に開設したGyaO︵現‥GYAO!︶やBIGLOBEストリーム︵後のアニメワン。2013年にサービス終了︶は、﹃B型H系﹄︵UHFアニメ︶や﹃れでぃ×ばと!﹄︵AT-X独占放送︶などで製作委員会に出資しているなど作品製作にも関与するようになり、映像画面周辺に広告を挿入し、広告収入を利用した無料配信サービスを相次いで開始したことで、地上波での放送が視聴できなくても、インターネットで視聴できる機会が大幅に増えることになった。
この場合、テレビ放送に前後した一定期間︵3日間 - 最長1週間程度︶は無料で配信し、その後は有料で配信することが多い。また、﹃亡念のザムド﹄などのようにWebアニメとして配信された作品が後日テレビ放送されるケースもある。
2007年に放送された﹃スカイガールズ﹄の場合、﹁エリアキャスト﹂と呼ばれる技術を使って﹁放送エリア外地域﹂に限ってのネット配信を行なう試みを行った[43] が、これは普及には至らなかった。
違法アップロードに対する措置も兼ねるべく、2010年7月にドワンゴが運営する動画配信サイト﹁ニコニコ動画﹂がアニメ番組の公式配信事業へ本格参入を表明。次第に期間限定ながらも無料で配信される作品も増加し、︵DVD/BDの発売後でも︶1話目のみを常時無料で配信するケースが主流になった。また、本放送終了後や2期の制作発表などに合わせニコニコ生放送で全話一挙生配信を行うケースも増加している︵後述のAbemaTVでも同様の一挙配信を行っている︶。
これに呼応するように製作側がニコニコ生放送などのネット配信を積極的に宣伝活用するケースが増え、声優やクリエイターを出演させる企画番組も続々誕生。放送に変わるアニメ公開媒体としての存在感を高めている。
2010年代半ばに入るとdアニメストア︵一部テレビアニメの製作委員会にも参加︶などの主にスマートフォン向け配信サイトの増加や、海外の大手配信サイトの日本進出など、従来の映像ソフトビジネスが頭打ち状態に入る中で海外市場も視野に入れた有料インターネット配信ビジネスが活発化している。
また、光ファイバーや各種無線アクセスサービスも次第にカバーエリアを拡大している。
TOKYO MXは2015年7月よりスマートフォン専用アプリ﹃エムキャス﹄を利用しての全国への同時配信サービスを開始している︵ただし著作権などの都合上配信されない番組もある︶[44]。
AbemaTVは2016年7月より一部新作を最速無料配信︵一部はテレビ最速放送と同時無料配信︶する﹁新作TVアニメチャンネル﹂を開設、新作テレビアニメ配信事業に参入[45]。
NHKは2020年3月より総合・Eテレの同時常時配信・見逃し配信の﹁NHKプラス﹂を開始した。
レンタルビデオ
かつてはアニメ関連のレンタルビデオ市場も規模が大きかった。
しかしネット配信の普及により、レンタルビデオ店の閉店が相次いでいる[46]。
放送局・系列別の現状
NHK
NHKでのテレビ放送は総合テレビのローカル枠を除いて全国放送であるため、全国一律で視聴可能である。ただし、地元を舞台にした作品を総合テレビの地元ローカル枠で放送する事例も稀に見られる[注釈 63]。また、深夜枠の場合は同じくローカル編成番組を優先するために他地域より遅れネットとなる事例も見られる。
現在では教育テレビ︵Eテレ︶およびBSプレミアム︵旧衛星第2テレビ (BS2)︶で多く放送している︵過去には衛星ハイビジョンテレビ (BS-hi)︵アナログ放送終了と共に閉局︶で再放送された作品もあり︶。
かつては総合テレビで多く放送していた時期もあったが、次第にEテレやBS2︵→BSプレミアム︶での放送にシフトして行き、現在では月曜0時台︵日曜深夜︶に放送の深夜アニメ枠が存在するのみである。
また、﹃日常﹄や﹃ラブライブ!﹄[47] など、民放テレビ局で本放送されたテレビアニメを︵実質︶再放送するケースもある。
日本テレビ
テレビ朝日
テレビ朝日は、2019年9月まで在京キー局の中では唯一ゴールデンタイム帯に﹃ドラえもん﹄・﹃クレヨンしんちゃん﹄といった幼年層も対象としたファミリー指向の自社製作アニメを放送していたが、一時期と比べるとこの時間帯での放送作品は減少しており[注釈 65]、2019年10月改編で両作品の土曜夕方への移動をもって、ゴールデンタイム帯から撤退した[注釈 66][50]。
在阪局の朝日放送テレビ︵ABCテレビ、旧朝日放送︶も、古くからテレビアニメ制作に力を入れている。
2017年9月、名古屋テレビ放送︵メ〜テレ・NBN︶は40年間時間帯を変えながら続けた全国ネット枠から撤退した[51]。
テレビ朝日の深夜アニメは、2007年4月から2019年9月までは断続的な放送に留まっていた[注釈 67] が、2019年10月改編から深夜アニメの放送が再開し、2020年4月改編で同局の深夜帯では初めて枠に﹁NUMAnimation﹂︵ヌマニメーション︶と付け、レギュラー新作アニメの放送を開始[注釈 68]。同年10月には同時期開始の朝日放送テレビ﹁ANiMAZiNG!!!﹂枠と合わせてテレビ朝日系列全国24局ネットに拡大し、全国ネット枠となる。
一方で2012年10月改編から深夜アニメは、朝日放送テレビが積極的となり、UHFアニメの製作委員会としても参加を始めている。
テレビ朝日は藤子関連のアニメ化作品を中心に長らく取引関係にあるアニメ制作会社・シンエイ動画を連結子会社化、ABCも2016年7月には専門子会社・ABCアニメーションを設立している。
インターネット配信ではテレビ朝日が出資しているAbemaTVにて新旧問わずアニメ番組を配信しており、在京キー局の中では独自路線を採っている。
TBS
TBSは、深夜枠を合わせると在阪準キー局の毎日放送︵MBS︶がTBSより積極的であり、全日枠では長らくMBS製作の﹃土曜18時枠︵土6︶﹄枠を経て﹃日曜17時枠︵日5︶﹄枠が主力となっていた。2017年4月改編を以て本枠が後述の﹃アニメサタデー630﹄前半枠に移行された。
一方、TBSでは土曜17:30枠で放送されていた﹃ラブ★コン﹄[注釈 69] 放送終了後は、2011年に放送された関東ローカルミニ番組﹃Suzy's Zoo﹄を最後に全日枠アニメから事実上撤退状態であったが、2016年4月改編で土曜朝7時枠に﹃カミワザ・ワンダ﹄を放送開始により、13年ぶりに﹁全日枠かつ全国ネットでのアニメ枠﹂が復活[52]、後に先述の﹃アニメサタデー630﹄後半枠に統合されたが、2019年7月改編で本枠の廃止により、子供向けアニメおよび全年齢層を対象としたファミリー・一般向けアニメから撤退した[注釈 70]。
﹃アニメサタデー630﹄の廃止後は、民放系列で唯一﹁全日帯での全国ネットのアニメ枠﹂が存在しない状態が続いていたが、2022年4月に日曜17時︵日5︶枠のアニメ枠復活と共に、約2年9ヶ月ぶりに全日枠アニメの放送が再開されている[53]。
深夜アニメについては、毎日放送が﹃アニメシャワー﹄枠設置後に作品数を増やしており、2019年7月よりTBS系列全28局ネットの深夜アニメ枠﹁スーパーアニメイズム﹂を開始した。開始時点で深夜アニメでは異例の全国ネット枠となったが[注釈 71]、前述のように2020年10月にテレビ朝日系列が全国ネットの深夜アニメ枠2本を設けており、2021年4月に日本テレビ系列が全国ネットの深夜アニメ枠1本を設けているため、通例枠となっていっている。
また2000年代以降はTBSなども自社製作の深夜アニメやUHFアニメに参加している。特に毎日放送はUHFアニメも多数放送していることから、準キー局としてはトップクラスの深夜アニメ放送量を誇り、作品によっては深夜アニメを中心に最速で︵TBS・TOKYO MXより先行して︶放送する場合もある。しかしながら深夜帯が逼迫しているため、TBS製作分は関西圏ではサンテレビでの放送となるか関西圏地上波未放送となる事例が多い。
テレビ東京
テレビ東京は1970年代後半からテレビアニメに力を入れている局であり、放送時間帯を問わず在京キー局の中で最も放送本数が多くその半数以上を占めている。重大な事件・事故が発生しても放送を休止することはほとんどない︵参考記事︶。
しかし1990年代後半頃から表現規制の項でも取り上げたように、それを先鋭的に行ったことに対して制作側が同局での放送を敬遠する動きも出たことや、さらには独立局を中心に放送のUHFアニメの台頭と重なって以前ほどの活気は見られなくなり、2010年代前半以降はゴールデンタイム帯でのアニメ番組の放送を大幅に削減[注釈 72]、長年続いている平日夕方6時台のアニメ枠に関しても2019年10月以降は縮小傾向にある。
深夜アニメに関しても、UHFアニメの台頭後は放送枠が増減を繰り返すなど一定しない傾向がある[注釈 73]。
全日枠と深夜枠とでフレキシブルに放送枠を変更する作品が他系列に比べて多く存在する︵詳細記事︶。
全ての系列局がテレビアニメ製作に関わった実績を持つ[注釈 74]。そのうちテレビ大阪 (TVO) [注釈 75]・テレビせとうち (TSC) は全国ネットレギュラー枠を持っている︵かつてはテレビ愛知 (TVA)もレギュラー枠を持っていた︶。特にTSCは現在東名阪地区以外で唯一の30分レギュラー枠を持ち、テレビ東京製作﹃ポケットモンスターシリーズ﹄を凌ぐ長寿シリーズを製作している︵﹃しまじろう﹄アニメシリーズ︶。
テレビ愛知などは独立局の役割を肩代わりする形で一部のUHFアニメをネットしている。
フジテレビ
フジテレビは、﹃鉄腕アトム︵第1作︶﹄・﹃Dr.スランプ アラレちゃん﹄・﹃ドラゴンボールシリーズ﹄など数々の人気作品や長寿番組・シリーズ作品などを多数輩出したが、1990年代後半以降から徐々にトーンダウンし、2006年10月改編で、ゴールデンタイム帯からアニメ枠が全て消滅。現在は日曜朝9時台と同18時台が存続している。
他系列とは異なり、FNS系列局製作作品は極めて少ない︵ただしフジテレビ製作深夜アニメに関しては、2014年10月期新規開始作品から3年ほど関西テレビ放送︵カンテレ・KTV︶が共同で製作委員会に参加したほか、2017年4月期から断続的に同局製作・TOKYO MXネットの深夜アニメを製作している︶。
深夜アニメは2000年代前半に放送トラブルが相次いだ教訓から生まれた﹃ノイタミナ﹄枠が深夜枠としては高視聴率作品を連発している。
準キー局(在阪局)
在阪局 : 古くから、毎日放送や読売テレビではキー局並にアニメ製作がなされ、朝日放送テレビも前記の2局には及ばないが製作実績がある。ただ、関西テレビが自主製作したアニメは、3本[注釈 76]︵製作委員会に参加した作品は除く︶と、他局より極めて少ない。テレビ大阪は、1982年の開局後から参入していたが、2011年3月をもってレギュラー枠から一旦撤退し、約9年間の中断を経て2020年4月よりレギュラー枠を再開している。現在では、関西テレビ以外の準キー局4局は継続してテレビアニメ製作を行っているほか、UHFアニメの一部をネットしている︵特に毎日放送の放送本数は群を抜いている︶。
毎日放送東京支社テレビ編成部プロデューサー・丸山博雄は﹁︵我々は︶全国ネットゴールデン番組枠の受け持ちが少なく、ドラマとかバラエティーなど芸能人の方が必要な番組でキー局と競争するのは難しいが、アニメでは芸能キャスティング的な発想があまりないので、準キー局でもキー局と同じ条件で勝負できるのが非常に大きい﹂という趣旨の発言を行っている[54]。
在名局
在名局 : 2022年4月現在、在名局製作によるレギュラー枠は存在しない。ただし、テレビ愛知は2021年9月まで唯一全国ネット枠を持っていたほか、メ〜テレは先述の全国ネット枠︵2017年9月まで︶に加えて深夜アニメも若干数製作した経験がある[注釈 77]。CBCテレビ︵TBS系列︶は﹃みかん絵日記﹄を皮切りにアニメ製作に参入した後、﹃琴浦さん﹄の終了を最後に一時途絶えていたが、2021年4月期に﹁やくならマグカップも﹂で久しぶりの深夜アニメを製作した。2009年7月期には関西テレビとの共同製作にて東海テレビ放送︵THK、フジテレビ系列︶も短編アニメで参入︵後に中京ローカルの短編深夜アニメ﹃かよえ!チュー学﹄も放送︶。なお、中京テレビ放送︵CTV、日本テレビ系列︶は三大都市圏のキー局および系列局で唯一テレビアニメに﹁単独での﹂製作実績が長年無かったが、2017年10月期の﹃Infini-T Force﹄では日本テレビ系列主要局と共同で製作参加し、2020年4月期の﹃継つぐもも﹄では同局も製作に参加したほか、2021年10月期には同局が初めて製作委員会の筆頭になって制作された﹃シキザクラ﹄が放送された。
地方局
独立局
三大都市圏に所在する独立局での新作テレビアニメ︵UHFアニメ︶はキー局と比べると表現規制が緩く、かつ放送料金も安いなどの理由から2000年代半ばから放送本数が急増している。
これらの多くは深夜帯かつ製作委員会方式で放送されているが、TOKYO MXなど一部作品の一部放送局で全日枠︵22時台を中心としたプライムタイム枠など︶で放送される事例がある。また、製作参加実績としてはTOKYO MXが群を抜いて多いほか、岐阜放送︵GBS︶、びわ湖放送︵BBC︶、奈良テレビ放送︵TVN︶、テレビ和歌山︵WTV︶を除く各局で何らかの形で参入実績がある。
特に首都圏のうち南関東の各局︵TOKYO MX・tvk・テレ玉・チバテレビ︶で多数放送されている[注釈 80] 一方、北関東の独立局︵群馬テレビ・とちぎテレビ︶は南関東4局と比べると放送実績が大きく水をあけられている[注釈 81]。茨城県に至っては今なお県域民放テレビ局自体が存在しない。
在阪局などローカル局製作の深夜アニメが関東圏ではキー局ではなく独立局での放送となる事例も多く見られ、BS局もしくはアニメ専門チャンネルが製作委員会に加わる作品もある︵特にBS11やBSフジやBS日テレ、AT-Xが多い︶。
現在では先述のようにBS11などの民放BS局および各種ネット配信との併用で﹁地上波全国ネットと比べると低コストでの﹂全国放送︵配信︶を行っている作品がほとんどである。また、先述のようにTOKYO MXはスマートフォンアプリ﹁エムキャス﹂を利用しての一部番組の全国配信を実施している。
なおこれらの作品のネット形態は、キー局もしくはその系列局製作のものと比べて非常に複雑なものとなっているが、ここでは詳細は割愛する。
民放BS局・スカパー!
2000年代までは各局独占放送のテレビアニメも一定数存在したが、2010年代を境に激減して現在では極めて少数派となり︵2018年の一例ではBSスカパー!の﹃グラゼニ﹄︶、何らかの形で地上波との同時期展開を行う番組が多くを占めている。
民放BS局の老舗であるWOWOWは同局独占放送、なおかつ無料のノンスクランブル枠で﹁WOWOWアニメ﹂と呼ばれるアニメ作品を多数放送していたが、2008年以降はほぼ休止状態にあった。2016年に地上波放送の作品に共同出資︵製作委員会に参加︶することで、最速で先行放送する﹁アニメプレミア﹂枠を新設、アニメ事業に復帰している。
一方、2007年に開局したBS11は、当初からアニメの放送や製作委員会への参加にも積極的であり、2010年代に入るとアニメ枠を順次拡大している︵詳細項目︶。2010年代半ばになるとBS日テレやBSフジもアニメ枠を年々拡充し、BSフジは2017年4月より深夜枠に﹃アニメギルド﹄というレーベルを設定している。また、BS日テレも2019年10月より深夜枠に﹃アニメにむちゅ〜﹄というレーベルを設定している。
なお、NHKのBSチャンネルや主な無料放送BS各局でも2015年4月より視聴率調査が開始されている[55]。
現在は日本のCSチャンネルを一手に握るスカパー!のアニメ専門チャンネル︵AT-X、キッズステーション、アニマックスなど︶でも、地上波で未放送のテレビアニメが製作・放送される事例が少数ながらある。かつてはCS放送のみであったが、2012年よりアニマックスなど一部チャンネルでBS放送も開始している︵ただし、BS放送のアニメ専門チャンネルもあくまで﹁スカパー!のチャンネル﹂扱いとなっている︶。
変則的な事例
地方局製作作品の逆ネット事情ほか
- 端的な例:
テレビアニメのイレギュラーなネット事情
一部アニメ作品でネットワークセールス枠から外れる、ローカルセールスとなる深夜枠で放送される作品や、系列の枠組みにとらわれない製作委員会方式の作品を中心に、放送該当地域に系列局があるにもかかわらず、独立局を除く系列外ネットとなるケースも散見される。
- 例:
地域限定アニメ
OVAのテレビシリーズ放送
OVAとして制作されたアニメ作品の一部には、後日特番や短期シリーズ、ないしテレビシリーズとして放送するものも存在する。中には『機動戦士ガンダムUC RE:0096』のようにテレビ放送に合わせて再編集や新規カットを追加したり、テーマ曲を新調するものもある。
放送トラブル
主に深夜アニメやUHFアニメにおいて、表現規制や制作トラブルが見られるが、新型コロナウイルスの影響で全日枠アニメでも多発している。
脚注
注釈
出典
関連項目