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ノルウェイの森

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ノルウェイの森
著者 村上春樹
イラスト 装幀:村上春樹
発行日 1987年9月4日
発行元 講談社
ジャンル 長編小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 268(上巻)
260(下巻)
コード ISBN 4-06-203515-4(上巻)
ISBN 4-06-203516-2(下巻)
ウィキポータル 文学
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ホンダ・N360 本田技研工業が1967年から1972年まで生産・販売していた軽自動車。キズキの親が所有していた車[23]
グレート・ギャツビー F・スコット・フィッツジェラルドの長編小説。アメリカがバブル景気に沸く狂騒の20年代の堕落パーティーをフィールドとし、1925年に出版された。村上春樹の翻訳書は2006年に新潮社より刊行された。
「十八歳の歳の僕にとって最高の書物はジョン・アップダイクの『ケンタウロス』だったが何度か読みかえすうちにそれは少しずつ最初の輝きを失って、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビイ』にベスト・ワンの地位をゆずりわたすことになった。そして『グレート・ギャツビイ』はその後ずっと僕にとっては最高の小説でありつづけた」[24]と記されている。ワタナベと同じ寮に住む永沢さんは「『グレート・ギャツビイ』を三回読む男なら俺と友だちになれそうだな」[25]と言い、ワタナベと友だちになる。
また、阿美寮でワタナベが「僕はジェイ・ギャツビイが対岸の小さな光を毎夜見守っていたのと同じように、その仄かな揺れる灯を長いあいだ見つめていた」と語る場面がある[26]
F・スコット・フィッツジェラルド 直子はワタナベに「ねえ、自分のこと普通の人間だという人間を信用しちゃいけないと書いていたのはあなたの大好きなスコット・フィッツジェラルドじゃなかったかしら? あの本、私あなたに借りて読んだのよ」と発言している[27]。直子が引用した言葉は2017年の最新作『騎士団長殺し』で再び引用される[注 3]
ディア・ハート ヘンリー・マンシーニの1964年の作品。アンディ・ウィリアムズが歌ったバージョンも、マンシーニが「ヘンリー・マンシーニ・アンド・ヒズ・オーケストラ」名義で発表したバージョンも共にヒットした。直子の大好きな曲として登場する。ワタナベは直子へのクリスマス・プレゼントに「ディア・ハート」の入ったレコードを選び、レイコは直子の"お葬式"で同曲を最初に演奏している[29][30]
エウリピデス 古代アテナイ三大悲劇詩人のひとり。ワタナベと緑が受講している「演劇史II」の授業で、エウリピデスの『エレクトラ』がテキストに使われている[31]
ハンフリー・ボガート アメリカの映画俳優。ワタナベは、緑と初めて出会ったときに「ねえ、あなたってなんだかハンフリー・ボガートみたいなしゃべり方するのね。クールでタフで。」と評されている[32]
グリーン・ホーネット アメリカのヒーロー物のテレビ番組・ラジオ番組。映画デビュー前のブルース・リーが助演していたことで知られる。緑は高校時代の同級生の思い出話をする際、同番組を引き合いに持ち出し、「車は運転手つきで、その運転手たるや『グリーン・ホーネット』に出てくる運転手みたいに帽子かぶって白い手袋はめてるのよ。なのにその子、自分のこと恥ずかしがってるのよ。信じられないわ。信じられる?」と発言している[33]
性的人間 大江健三郎が1963年に著した中編小説。緑はワタナベに「『戦争と平和』もないし、『性的人間』もないし、『ライ麦畑』もないの。それが小林書店。そんなもののいったいどこがうらやましいっていうのよ? あなたうらやましい?」と発言するシーンがある[34]
アップル・レコード ビートルズが1968年に設立したレコードレーベル。大学2年の秋の日曜日(1969年10月頃)、ワタナベは昼食に誘われ緑の家に行く。緑はアップル・レコードのりんごのマークが大きく印刷されたネイビー・ブルーのTシャツを着て一心不乱に料理を作る[35]
卒業 1967年公開のアメリカ映画。日本では1968年6月に公開された。ワタナベはその翌年新宿の二番館で『卒業』を見ており、「それほど面白い映画とも思えなかったけれど、他にやることもないので、そのままもう一度くりかえしてその映画を観た」とも述べている[36]
その後京都の高原のコーヒー・ハウスで再びこの映画の話題が出る。ラジオからサイモン&ガーファンクルの「スカボロー・フェア」が流れたとき、次のような会話がレイコとの間で交わされる。「この映画観ましたよ」「誰が出てるの?」「ダスティン・ホフマン」「その人知らないわねえ」[37]
ライ麦畑でつかまえて J・D・サリンジャーの長編小説。1951年に出版された。村上春樹の翻訳書は2003年に白水社より刊行された。
レイコがワタナベと初めて会ったときに、「あなたって何かこう不思議なしゃべり方するわねえ」「あの『ライ麦畑』の男の子の真似してるわけじゃないわよね」といった人物評を彼に下している[38]
シェヘラザード[注 4] 千夜一夜物語』の語り手。「もし話のつづき聞きたいんなら明日話してあげるわよ。長い話だから一度には話せないのよ」と言うレイコに、ワタナベは「まるでシエラザードですね」と応えるシーンがある[39]
ブラームスピアノ協奏曲第2番[注 5] ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)とカール・ベーム(指揮)が1967年に録音したレコードについて、レイコは次のように語る。「昔はこのレコードをすりきれるくらい聴いたわ。本当にすりきれちゃったのよ。隅から隅まで聴いたの。なめつくすようにね」[41]
デサフィナード ニュウトン・メンドンサが作詞し、アントニオ・カルロス・ジョビンが作曲したボサノヴァの曲。主な収録アルバムに、ジョアン・ジルベルトの『想いあふれて』(1959年)、スタン・ゲッツとチャーリー・バードの『ジャズ・サンバ』(1962年)、スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの『ゲッツ/ジルベルト』(1964年)などがある[注 6]。レイコは「デサフィナード」の演奏を、それぞれ阿美寮とワタナベの吉祥寺の下宿で披露している[43]
DUG 1967年、新宿の紀伊國屋書店裏にオープンしたジャズ喫茶。ワタナベと緑が入る店として数回登場する[44]
まぼろしの世界[注 7] アメリカのロックバンド、ザ・ドアーズが1967年に発表した曲。原題は "People Are Strange"。緑の「ジム・モリソンの歌にたしかそういうのあったわよね」という言葉を受けて、ワタナベは「まぼろしの世界」の歌詞(People are strange when you are a stranger)を引用する[45]
セロニアス・モンク[注 8] アメリカのジャズピアニスト。モンクの弾く「ハニサックル・ローズ(Honeysuckle Rose)」が「DUG」でかかる[46]
金槐和歌集 源実朝の歌集 1213年(建暦3年)完成。緑に「すごくってどれくらい?」と聞かれてワタナベが答える「山が崩れて海が干上がるくらい可愛い」[47]は、金槐和歌集掉尾の「山はさけ 海はあせなむ 世なりとも 君にふた心 わがあらめやも」からの引用である。
ロベール・カサドシュ フランスのピアニスト(1899年 - 1972年)。ワタナベはアルバイト先で知り合った伊東という学生のアパートで、ロベール・カサドシュの弾くモーツァルトのピアノ・コンチェルトを聴く[48]
なお、カサドシュは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』にも登場する。「ハードボイルド・ワンダーランド」の章で語り手の「私」は次のように叙述する。「ベッドに寝転んで、ロベール・カサドシュがモーツァルトのコンチェルトを弾いた古いレコードを聴いた。モーツァルトの音楽は古い録音で聴いた方がよく心になじむような気がする。でももちろんそういうのも偏見かもしれない。」[49]
テネシー・ウィリアムズ アメリカ合衆国ミシシッピ州出身の劇作家。1970年4月の水曜日、ワタナベと緑は「テネシー・ウィリアムズの戯曲についての総論・そのアメリカ文学における位置」という講義を聴く[注 9][51]
ウェディング・ベル・ブルーズ アメリカのシンガーソングライターローラ・ニーロ[注 10]が1966年に発表したデビュー・シングル。1969年、フィフス・ディメンションがカバーし、ビルボードチャートの1位を記録した。本書では「ウェディング・ベル・ブルーズ」はバート・バカラックの作品となっているが、誤りである[53]

書評[編集]

  • 吉本隆明は「わが近代文学の作品で、男女の性器と性交の尖端のところで器官愛の不可能と情愛の濃密さの矛盾として、愛の不可能の物語が作られたのは、この作品がはじめてではないかとおもわれる。(中略)性器をいじることにまつわる若い男女の性愛の姿を、これだけ抒情的に、これだけ愛情をこめて、またこれだけあからさまに描写することで、一個の青春小説が描かれたことは、かつてわたしたちの文学にはなかった。」と述べている[54]

翻訳[編集]

翻訳言語 タイトル 翻訳者 発行日 発行元
英語 Norwegian Wood アルフレッド・バーンバウム 1989年 講談社英語文庫
ジェイ・ルービン 2000年5月18日 Harvill Press(英国)
2000年9月12日 Vintage Books(米国)
フランス語 La Ballade de l'impossible Rose-Marie Makino-Fayolle 2007年 Belfond
ドイツ語 Naokos Lächeln Ursula Gräfe 2001年 DuMont Buchverlag
イタリア語 Tokyo Blues[注 11] ジョルジョ・アミトラーノ 1993年 Feltrinelli
Norwegian Wood ジョルジョ・アミトラーノ 2006年5月6日 Einaudi
スペイン語 Tokio Blues, Norwegian Wood Lourdes Porta 2007年5月 Tusquest Editores
カタルーニャ語 Tòquio Blues Albert Nolla Cabellos 2005年 Edicions Empúries
ポルトガル語 Norwegian Wood Alberto Gomes 2004年 Civilização Editora (ポルトガル)
Norwegian Wood Lica Hashimoto, Neide Hissae Nagae 2005年 Estação Liberdade (ブラジル)
オランダ語 Norwegian Wood Elbrich Fennema 2008年9月 Atlas
スウェーデン語 Norwegian Wood Eiko Duke, デューク・雪子 2003年 Norstedts
デンマーク語 Norwegian wood Mette Holm 2005年 Klim
ノルウェー語 Norwegian wood Ika Kaminka 1998年 Pax forlag
フィンランド語 Norwegian Wood Aleksi Milonoff 2012年 Tammi
アイスランド語 Norwegian Wood Uggi Jónsson 2006年 Bjartur
ポーランド語 Norwegian Wood Dorota Marczewska, Anna Zielińska-Elliott 2006年 Wydawnictwo MUZA SA
チェコ語 Norské dřevo Tomáš Jurkovič 2005年 Odeon
ハンガリー語 Norvég erdő Nagy Mónika, Erdős György 2008年 Geopen Könyvkiadó Kft.
ルーマニア語 Pădurea norvegiană Angela Hondru 2002年 Polirom
スロベニア語 Norveški gozd Nika Cejan 2005年 Založba Sanje
クロアチア語 Norveška šuma Maja Tančik 2004年 Vuković & Runjić, Zagreb
ボスニア語 Norveška šuma 2009年 Šahinpašić
セルビア語 Норвешка шума Nataša Tomić 2007年 Geopoetika
ブルガリア語 Норвежка гора Людмил Люцканов 2005年 Colibri
ギリシア語 Νορβηγικό Δάσος Μαρία Αγγελίδου 2005年 Ωκεανίδα
ロシア語 Норвежский лес Андрей Замилов 2003年 Eksmo
エストニア語 Norra mets Kati Lindström 2006年3月 Varrak
リトアニア語 Norvegų giria Jūratė Nauronaitė 2005年 Baltos lankos
トルコ語 İmkansızın Şarkısı Nihal Önol 2004年 Doğan Kitap
ヘブライ語 יער נורווגי Doron B. Cohen 2000年 Keter Publishing House
中国語 (繁体字) 挪威的森林 劉惠禎黃琪玟傅伯寧黃翠娥黃鈞浩 1989年 故郷出版社
挪威的森林 頼明珠 1997年6月10日 時報文化
挪威的森林 葉蕙[56] 1991年 博益出版(香港)
中国語 (簡体字) 挪威的森林 林少華 1996年 上海訳文出版社
韓国語 상실의 시대[注 12] ユ・ユジョン 1989年 文学思想社
노르웨이의 숲 金蘭周(キム・ナンジュ) 1997年 漢陽出版
노르웨이의 숲 任洪彬(イム・ホンビン) 2008年4月10日 文士メディア
노르웨이의 숲 梁億寬(ヤン・オクグァン) 2013年9月2日 民音社
ベトナム語 Rừng Na Uy Bùi Phụng 1997年
Rừng Na Uy Trịnh Lữ 2006年 Nhã Nam
インドネシア語 Norwegian Wood Jonjon Johana 2005年7月 KPG
タイ語 ด้วยรัก ความตาย และหัวใจสลาย นพดล เวชสวัสดิ์ 2008年8月 สำนักพิมพ์กำมะหยี่
ウイグル語 نورۋېگىيە ئورمانلىقى
Norwëgiye Ormanliqi
ئابلىز نىياز
(アブリズ・ニヤズ)
2013年4月1日 شىنجاڭ گۈزەل سەنئەت - فوتو سۈرەت نەشرىياتى
(ウイグル語ラテン文字: Xinjang Güzel Sen'et-Foto Süret Neshriyati
(中国語: 新疆美術攝影出版社[58][注 13]

映画[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]



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(二)^ [21]

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(12)^ 201610槿2016[57]

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出典[編集]



(一)^ BOOK

(二)^ BOOK

(三)^ ︿1996

(四)^  197919896

(五)^   2006930180-181

(六)^ 1990628-30

(七)^ 67

(八)^ 141

(九)^ 2015910164

(十)^ 162

(11)^ 209-210

(12)^ 102

(13)^ &9200632425

(14)^ 282?20008

(15)^ . 2009622008918 - (2008731)

(16)^ 1000.   (200985). 2022118

(17)^ 100. 20095182008918 - (20041122)

(18)^ 353

(19)^  . http://www.yurindo.co.jp/static/yurin/back/391_4.html 

(20)^ 19987&93199710271030

(21)^ 119

(22)^ 

(23)^ 46

(24)^ 58

(25)^ 59

(26)^ 208

(27)^ 203-204

(28)^  2  2017224276

(29)^ 68-69

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(45)^ 44

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(47)^ 131

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(49)^ 152

(50)^ 83-87

(51)^ 194

(52)^ &231199921

(53)^ 255

(54)^ () -   -  | ALL REVIEWS (ALL REVIEWS)

(55)^ &12619988284

(56)^  : 52002467-77doi:10.15083/00035324ISSN 13440187NAID 120000873389 }

(57)^ 20161. Record China. (20161215). https://www.recordchina.co.jp/b157669-s0-c10-d0042.html 202232 

(58)^ ISBN 978-7-5469-3936-0

外部リンク[編集]