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分岐器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
両渡り線から転送)
分岐器の例
身延線甲斐岩間駅

[1][2]: railroad switch, turnoutpoint[3]

構造

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片開き分岐器の概略図

12412



 (1) 



 (2) 



 (3) [4]





使4

A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L

[5][5]



[6] 

ノーズ可動式分岐器

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[7]
可動式ノーズの概略図

[8][9]2[10] 22×

種類

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形状による分類

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Y



9:14:17:33:12:13:2
内方分岐 外方分岐(画像左方の本線が基本線、小田急電鉄新松田駅)
内方分岐
外方分岐(画像左方の本線が基本線、小田急電鉄新松田駅












 ()

scissors crossingSC

22002 JIS E 1311

使

Single slip switchSSS

1

Double slip switchDSS

12

 (Outside slip switch)

22使


シングルスリップ
シングルスリップ
  • シングルスリップ(阪神尼崎駅)
    シングルスリップ(阪神尼崎駅)
  • ダブルスリップ
    ダブルスリップ
  • ダブルスリップ(ミュンヘン中央駅)
    ダブルスリップ(ミュンヘン中央駅
  • アウトサイドスリップ(ドイツ)
    アウトサイドスリップ(ドイツ)
  • ダブルスリップとアウトサイドスリップの併用(ドイツ)
    ダブルスリップとアウトサイドスリップの併用(ドイツ)
     







    23





    23

    番数

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    分岐器において基準線から分岐線が分かれる角度については、角度を直接規定する方式と、両線の開きとそれに要する長さの比率に基づいて規定する方式の2種類に大別される。世界的に広く採用されているのは後者の方式で、日本ではこの比率を示す数値について「番数」と称している。分岐器の番数の定義や呼称・表記方法は、国によって次の通り差異がある。

    中心線法

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    • 中心線法英語: Centre line method[11])は、クロッシング(フログ)部において交差する軌間線の接線の角度(交差角)または軌道中心線の交点における接線の角度(分岐角)を、角の中心線の長さと両接線の開きの比率をもって示し、「No.15」(=15番)のように番号(番数)として呼称する。交差番数または分岐番数Nと、交差角または分岐角θとの関係は次の式で表される。
    • イギリス[11]・北米・日本などで採用。

    直角法

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    : Right angle method / Cole's method[11]190-1:9=190m9CIS1/11=111 in 99Nθ

    CIS[11]

    二等辺三角形法

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    • 交差角または分岐角が成す二等辺三角形の等辺と底辺の長さの比で番数を示す二等辺三角形法英語: Isosceles triangle method[11])は路面電車などの軌道分岐器で用いられることが多い[12]。交差番数または分岐番数Nと、交差角または分岐角θとの関係は次の式で表される。

    日本

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    [13][14][14][15][16]


    810[13][17] [13]2[14]

    [13]使[13]
    クロッシング番数
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    かつて「轍叉番号(てっさばんごう)」とも呼ばれた。JIS E 1301で、クロッシング番数およびその角度は次のように規定されている[13]

    クロッシング番数 クロッシング角 備考[14]
    4番 14°18' 8番クロッシング角の2倍
    5番 11°26' 10番クロッシング角の2倍
    6番 9°32' 12番クロッシング角の2倍
    7番 8°10' 14番クロッシング角の2倍
    8番 7°09' 計算式により算出
    9番 6°22'
    10番 5°43'
    12番 4°46'
    14番 4°05'
    16番 3°34.5' 8番クロッシング角の1/2
    20番 2°51.5' 10番クロッシング角の1/2

    89101214[14]

    [14][18]
    456781012142

    16208101/2

    ドイツ

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    ドイツにおいて、クロッシング番数 (Herzstückverhältnis) は分子を1とした単位分数を用いて示す(8番=1:8)。番数はヨーロッパ標準の直角法を用いている。ドイツ連邦鉄道 (DB) および現在のドイツ鉄道 (DBAG) では、番数を含め次の形式で分岐器類を分類呼称している。

    例:EW 60-500-1:12 L Fz H

    略号 意味 略号の例
    EW 分岐器の形式 単純分岐 (EW)、外方分岐 (ABW)、内方分岐 (IBW)、複分岐 (DW)、片複分岐 (EinsDW)
    60 レール種類 UIC60レール (60)、S49レールb(49 - ドイツ国有鉄道、ドイツ連邦鉄道、ドイツ国営鉄道)、S54レール(54 - ドイツ連邦鉄道)、R65レール(65 - ドイツ国営鉄道)
    500 曲線半径 分岐線の曲線半径。単位m。
    1:12 番数 単位分数で表記する。例では12番。
    L 分岐方向 左 (L)、右 (R)
    Fz ポイント部構造 弾性トングレール (Fz)、弾性ポイントブレード (Fsch)、ピボット式トングレール (Gz)
    H 枕木材質 木製 (H)、木製のうち広葉樹材 (Hh)、鋼製 (St)、コンクリート (B)

    現在のドイツ鉄道で主に使われている分岐器の例である(分岐器呼称のxxはレール種類に応じた任意の数字が入る)。

    単純分岐器 ノーズ 許容通過速度
    EW xx-190-1:7,5/6,6(分岐半径190m、7.5番/6.5番) 可動 40 km/h
    EW xx-190-1:7,5(分岐半径190m、7.5番) 可動 40 km/h
    EW xx-190-1:9(分岐半径190m、9番) 固定 40 km/h
    EW xx-300-1:9(分岐半径300m、9番) 可動 50 km/h
    EW xx-500-1:12(分岐半径500m、12番) 可動 60 km/h
    EW xx-500-1:14(分岐半径500m、14番) 固定 60 km/h
    EW xx-760-1:14(分岐半径760m、14番) 可動 80 km/h
    EW xx-1200-1:18,5(分岐半径1200m、18.5番) 可動 100 km/h
    EW xx-2500-1:26,5(分岐半径2500m、26.5番) 可動 130 km/h
    曲線分岐器(一例)
    ABW xx-215-1:4,8(分岐半径215m、4.8番) 可動 40 km/h

    またICEが運行するマンハイム-シュトゥットガルト高速線およびハノーファー-ヴュルツブルク高速線用に開発された高速分岐器 (Schnellfahrweichen) には次のようなものがある。分岐器呼称末尾の「-fb」は弾性可動ノーズ付きを示す。複心曲線使用の分岐器は分岐線側を異なる半径の曲線を組み合わせたものにしており、EW 60-7000/6000-1:42の場合、トングレール部は半径7000m、分岐器中央部より後方は半径6000mとなっている。

    分岐器呼称 許容通過速度
    基準線側 / 分岐線側
    EW 60-1200-1:18,5-fb(分岐半径1200m、18.5番) 280 km/h / 100 km/h
    EW 60-2500-1:26,5-fb(分岐半径2500m、26.5番) 280 km/h / 130 km/h
    複心曲線使用分岐器
    EW 60-6000/3700-1:32,5-fb(分岐半径6000m+3700m、32.5番) 280 km/h / 160 km/h
    EW 60-7000/6000-1:42-fb(分岐半径7000m+6000m、42番) 280 km/h / 200 km/h

    1998使 (Klothoidenweichen) EW 60-10000/4000-1:3910000m4000m10000m

    220km/h40.15EW 60-16000/6100-1:40,15-fb-2使42EW 60-7000/6000-1:42-fb1169.2m
    分岐器呼称 許容通過速度
    基準線側 / 分岐線側
    EW 60-3000/1500-1:18,5(分岐半径3000m-1500m-3000m、18.5番) 330 km/h / 100 km/h
    EW 60-4800/2450-1:24,26(分岐半径4800m-2450m-4800m、24.26番) 330 km/h / 130 km/h
    EW 60-10000/4000-1:39(分岐半径10000m-4000m-10000m、39番) 330 km/h / 160 km/h
    EW 60-16000/6100-1:40,15(分岐半径16000m-6100m-16000m、40.15番) 330 km/h / 220 km/h

    チェコ、スロバキア

    [編集]
    画面中央手前で分岐しダイヤモンドクロッシングおよびダブルスリップスイッチを経て左上奥の短いホームに至る配線は、段階式分岐器時代は直線だったが、比率式分岐器に置換えた際、わずかなクロッシング角の違いから直線にすることができず、途中に曲線が入った(チェコ・プラハ中央駅

    1918 (kkStB)  (MÁV)  (ČSD) 1970:Soustava stupňových výhybek, :Sústava stupňových výhybiek[19]

    6°7°150m200m30km/h40km/h

    6° (4°+2°) 7° (5°+2°) 6°7°4°+2°5°+2°110°12°7°5°+2°使


    10° (5°+5°) 230m

    6°40km/h5°500m60km/h)4°800m80km/h)3°6'1200m100km/h)3

    1970S49R65:Soustava poměrových výhybek, :Sústava pomerových výhybiek

    300m50km/h190m40km/h1:991:12121:1414100km/h1:18,518.51:7,57.51:661:6,56.5

    0.65 m/s²
    番数 曲線半径 許容通過速度
    1:6(6番) 150 m 30 km/h
    1:7,5(7.5番) 150 m 30 km/h
    1:7,5(7.5番) 190 m 40 km/h
    1:9(9番) 190 m 40 km/h
    1:9(9番) 300 m 50 km/h
    1:11(11番) 300 m 50 km/h
    1:12(12番) 500 m 60 km/h
    1:14(14番) 760 m 80 km/h
    1:18,5(18.5番) 1200 m 100 km/h
    1:26,5(26.5番) 2500 m 120 km/h

    番数に関するトピックス

    [編集]

    42[20]

    使38160 km/h160 km/h
    38)


    JR199520120 km/h

    762 mm1225 km/hJR1245 km/h

    使TGV65LGV使300 km/h220 km/h

    構造上の種類

    [編集]

    滑節ポイント

    [編集]

    トングレール(分岐器の分岐部分のレール)の後端部継ぎ目部分に遊間(隙間)を設け、ポイント転換の際にトングレール後端部が滑り移動しながら動作するポイントのこと。大正14年型分岐器や側線用分岐器などに使用される。

    関節ポイント

    [編集]

    トングレール(分岐器の分岐部分のレール)の後端部継ぎ目部分に遊間(隙間)を設け、ポイント転換の際にトングレール後端部を中心にして回転するように動作するポイントのこと。50Nレール使用の本線用分岐器など、全国的に最も多く使用されてきたが、トングレール後端部継ぎ目部分での衝撃・損傷が大きいので、主要幹線では次項の弾性ポイントに更換されつつある。

    弾性ポイント(弾性分岐器)

    [編集]
    16番両開き弾性分岐器

    使[21]

    使JR160 km/h

    乗越分岐器

    [編集]





    使JR使90

    使[22][23]


    安全側線に使用されている乗越分岐器
    安全側線に使用されている乗越分岐器
  • 特殊狭軌線(軌間762 mm)用の乗越分岐器(乗越クロッシングのみを用いたもの)
    特殊狭軌線(軌間762 mm)用の乗越分岐器(乗越クロッシングのみを用いたもの)
  • 三線軌条(軌間1,067 mm・1,435 mm)の乗越分岐器
    三線軌条(軌間1,067 mm・1,435 mm)の乗越分岐器
  • 分岐器での速度制限

    [編集]

    5.5

    使100 km/h120 km/h

    ポイント融雪器

    [編集]

    [24][25][26][27][28]使[29][29][30][31][32]



    使[33][34]

    [35]



    [36][37]



    [31]



    [25][25]

    JR201414313[38]


    転てつ器

    [編集]

    [39]""[40][41]使

    構造上の種類と用途による分類[42]

    [編集]
    • 普通転てつ器
    • 三枝転てつ器
    • 脱線転てつ器
    • 乗越転てつ器
    • 脱線器

    使用動力による分類[42]

    [編集]
    • 動力転てつ器・・・電気及び空気の力等により転換するもの
    • 発条転てつ器・・・人及び発条(ばね)の力により転換するもの
    • 手動の転てつ器・・・人の力により転てつ器を転換するもの

    動力転てつ器

    [編集]

    電気転てつ機

    [編集]
    電気転てつ機と装置類。
    Aトングレール、Bスイッチアジャスター、Cフロントロッド、D接続桿、E鎖錠桿のカバー、Fスイッチアジャスターロッド、G動作桿のカバー、Hモーター、I手回しハンドル穴(蓋をされて施錠している状態)、J手回し完了表示窓、K床板、Lダイバー(転てつ棒)、踏切から撮影。

    11[43] [44] [45]NSGYS

    電空転てつ機

    [編集]

    [46][47][48]
    発条転てつ器を手動で切り替える掛員(大井川鐵道井川線 奥泉駅

    発条転てつ器(スプリングポイント)

    [編集]

    [49][50] [51]S



    使

    手動の転てつ器

    [編集]
    小湊鉄道線里見駅構内のスプリングポイント。転てつ器標識に「S」のマークがあるため、スプリングポイントであることがわかる。


    ポイントリバー(ダルマ)

    [編集]





    1122[52]
    日中線熱塩駅機回し線には、スタフ(スタフ閉塞のスタフであり外見上はタブレットの玉)をセットしないと動かせない転てつ器があった。これは当該区間が盲腸線でありスタフ閉塞という非自動閉塞区間であり、また熱塩駅自体も絶対信号機を持たない停留所でありながら分岐を持ち機回しを行う例外的なであったためである[要出典]。本来分岐器を持つ停車場には場内出発信号機の設備が必要である。この処置により、列車運転時には分岐器は常に固定された状態になり、列車が進入可能で、かつ、分岐器が操作可能(固定されていない)と言う危険な状態を避けることが出来る。つまり、分岐器を操作できるときは閉塞に進入可能な列車は当該駅に停車している(=列車がスタフを持ち込んでいる)か、もしくは閉塞に列車が進入できない(スタフを代替手段で陸送した)のどちらかであり、スタフを取り出せたならば分岐器は固定されている。

    脱線転てつ器

    [編集]
    定位で脱線するようになっている転てつ器。交換駅・待避駅等で安全側線が設けられない場合に設けられるが、低速でなければ車両転覆の危険があるので、主に保留貨車の本線暴走突入防止に使われていた。定位のときの標識は赤の四角、反位のときは黄色の矢羽根形である。

    分岐器の一種とされるもの

    [編集]

    1

    DC





    2使 - 






    札幌市電で使われていたダイヤモンドクロッシング
    札幌市電で使われていたダイヤモンドクロッシング
  • ポーランド、ウッチ市電のガントレット
    ポーランドウッチ市電のガントレット
  • 六浦駅の移線器
    六浦駅の移線器
  • 非鉄軌道の分岐装置

    [編集]

    案内軌条式鉄道

    [編集]

    世界的に規格がまちまちであるため複数の方式が使用されている[53]

    自動案内軌条式旅客運送システム(AGT)

    [編集]

    AGT1983

    使使沿HI2

    札幌市営地下鉄(札幌方式)

    [編集]

    S.S.TRAM西

    2[54]

    モノレール・HSST

    [編集]

    HSST

    2使1()[55] 1使使使[55][56][55]2

    HSST

    T[57] 

    ビームリプレイスメント(軌道置換)

    [編集]



    [56]

    ALWEG195219621966

    ゴムタイヤトラム

    [編集]

    21

    TVR

    ケーブルカー

    [編集]

    使使

    超電導リニア

    [編集]

    超電導リニア(JRマグレブ)の山梨実験線では、各種方式の試験の結果、モノレールの関節可撓式に類似した「トラバーサ方式」を採用している[58]

    脚注

    [編集]


    (一)^ 

    (二)^ 

    (三)^  = 20 =2009p.53 - p.45ISBN 978-4-931273-98-6

    (四)^ 

    (五)^ abJIS E 1311:2002調

    (六)^ 10

    (七)^ 

    (八)^ 2

    (九)^ 

    (十)^ ME2

    (11)^ abcdeSatish Chandra, M.M. Agarwal (2007) RAILWAY ENGINEERING Oxford University Press India. pp.263-265

    (12)^ Dr.Rajat Rastogi Transportation Engineering - II, Lecture - 20, Crossing and Design of Turnout Department of Civil Engineering, Indian Institute of Technology. pp.9-11

    (13)^ abcdefJIS E 1301:1966調

    (14)^ abcdef  p.157819583

    (15)^ 1935

    (16)^ 使

    (17)^ 14mm JIS E 1311:2002

    (18)^ 21010255

    (19)^ Otto Plášek Soustava stupňových výhybek, Značení a soustavy a výhybek a výhybkových konstrukcí pp.21-23

    (20)^  10

    (21)^ 

    (22)^  (2019) - & sagamier.com201969

    (23)^ 7

    (24)^   [  ]. Good Design Award. 2023126

    (25)^ abc.  . 2023126

    (26)^ 

    (27)^ 

    (28)^ . FNN. 2022218

    (29)^ ab (pdf). JR. 2017412

    (30)^ Anti-Icing Formulas Prevent Train Delays. spinoff.nasa.gov. 2023224

    (31)^ ab. Google Patents. 2023126

    (32)^  - JR

    (33)^ @hankyu_ex (201713). "201713". XTwitter2023126 

    (34)^ @hankyu_ex (201713). "201713". XTwitter2023126 

    (35)^ , .   稿. withnews.jp. 2023126

    (36)^ 2016R&m12.   . 2023126

    (37)^ .  . 2023126

    (38)^  - JR

    (39)^ JIS E 3013:2022 20228257 

    (40)^ .  . 202447

    (41)^  20201124 

    (42)^ ab19841115108-109 

    (43)^ 調

    (44)^ 

    (45)^ 

    (46)^ 19841115141-144 

    (47)^ 1980423167 

    (48)^ 1960331298-302 

    (49)^ JIS E 3013:2022 20228252 

    (50)^ 

    (51)^ 201493096-97 

    (52)^ 20201124264 

    (53)^ 1981

    (54)^  (2017-06-31). .  . 20171015

    (55)^ abc(2016.07.10)

    (56)^ abThe Switch Myth The Monorail Society ()  ()

    (57)^ 2

    (58)^   524618201841pp.78-90ISSN 0288-2337 

    参考文献

    [編集]

    ISBN 978-4-931273-65-8 

    2ISBN 978-4-931273-91-7 

    1995ISBN 4-87687-163-9 

    関連項目

    [編集]