すべての喫煙者が肺癌になるわけではなく、また肺癌に冒された人間がすべて喫煙者とは限らないにもかかわらず、大部分の人は喫煙が肺癌を引き起こすことにかなりの確信をもっている。言い換えれば、その条件︵喫煙︶が病気を引き起こす上で必要でも十分でもなくてさえ、喫煙と肺癌の因果関係はかなりの程度まで確立されているのだ。 HIVウイルスはエイズの原因ではない、といふ奇説を發表した生物學者の説を分析する章なのだが、なんとなく氣になつたので引用してみた。この、多くの人といふのが、どういふ母集團であるかによつて、一番最後の文章の、﹁確立﹂の意味合ひが大きく變るのだが。 ポストモダニストたちが科学を恣意的な信仰と方法の集合に過ぎないと考えているのとはまったく対照的に、大部分の科学者は科学がより正確な物理的な世界という概念に向かって進んでいくことができると信じている。 00:21