出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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=== 廃車 === |
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=== 廃車 === |
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2002年8月12日付で2681Fが廃車された<ref name="JTB近鉄電車_p168" /><ref name="rf_201802 特集" /><ref name="may-928" />。製造当初より冷房装置搭載の通勤車が廃車されるのは近鉄では初の事例である。[[2020年]]3月、鮮魚列車の廃止により高安検車区に配置されていた2683Fの3両編成1本が廃車となり、形式消滅してしまった(:o;) |
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2002年8月12日付で2681Fが廃車された<ref name="JTB近鉄電車_p168" /><ref name="rf_201802 特集" /><ref name="may-928" />。製造当初より冷房装置搭載の通勤車が廃車されるのは近鉄では初の事例である。[[2020年]]3月、鮮魚列車の廃止により高安検車区に配置されていた2683Fの3両編成1本が廃車となり、形式消滅してしまった。
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== 2610系 == |
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== 2610系 == |
2020年3月21日 (土) 13:15時点における版
![曖昧さ回避](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5f/Disambig_gray.svg/25px-Disambig_gray.svg.png) |
この項目では、1970年に登場した2600系電車について説明しています。1940年に製造された初代2600形については「参宮急行電鉄2200系電車」をご覧ください。 |
近鉄2600系電車︵きんてつ2600けいでんしゃ︶とは、近畿日本鉄道︵近鉄︶が保有した電車︵一般車両︶である。
本稿では近鉄通勤車初の冷房車である2680系電車、冷房付きクロスシート車の2610系電車、近鉄のロングシート車として初の冷房車である2800系電車についても紹介する。
概要
1960年代当時の大阪線や名古屋線の急行は、2200系や2250系などの旧型車が運用されていたが、老朽化が進んでいたこと、特に2200系は戦前製で半鋼製車であることから、長大トンネル区間での保安面を考慮し、新型車を導入することになった[1][2][3][4]。一方で普通列車についても、大阪線旧型車の1400形や名古屋線に残った17m - 19m級車両の旧型形式の代替として冷房装置を搭載した新規系列を導入することとなった[5]。
大阪線2410系や名古屋線1810系以前の大阪線・名古屋線用一般車両では走行機器の差異[* 1]で形式と運用が区別されていたが、2600番台系列および2800系の登場以降は大阪線と名古屋線の一般車両は共通設計で投入されるようになった[6][* 2]。いずれの形式も車体設計は通勤形一般4扉車の1810系や2410系を踏襲し[8]、前面には排障器が取り付けられたが、2600番台系列に関しては座席からの展望性を考慮して側窓の天地寸法がロングシートの2800系よりも80mm大きく、窓框の高さも50mm低い[8]。落成時の化粧板の色は関西私鉄標準の薄茶色で、製造当初にビニール地であった2600系を除いて、座席モケットはエンジ色である[8]。
2600系列は大阪線・名古屋線の急行用車両として登場し、当初は伊勢方面への観光輸送・長距離利用者の利便に応え、同時に大阪口での通勤輸送や大阪線山間部区間での地域輸送、団体専用列車など、多目的な輸送の両立を考慮した対面式固定クロスシート車として製造されたが[1][4][9]、2610系においては若干改善が図られたとはいえシートピッチ・幅ともに狭く、肘掛が省略されたため構造的に問題のあったクロスシートであった[10]。名古屋線急行で多用されていた2800系においてもトイレが省略されたことで急行運用の際に問題が生じてきており、3扉転換クロスシートの車内設備を備えた5200系や4扉デュアルシートの車内設備を備えた5800系L/Cカーが登場した後は固定クロスシート車のロングシート化、ロングシート車のトイレ増設、L/Cカー改造などの各種改造を経て現在でも多数の車両が在籍している。
2600系
2600系は、1970年に4両編成2本と2両編成2本の計12両が製造された[8][12][4][* 3]。当時の日本では初の片側4扉車体にトイレと全席クロスシートを備える車両であった[8]。電算記号︵他社でいう編成記号︶はQである。
車内インテリア
車内設備は、座席は4人掛け対面式固定クロスシートで、扉間に2ボックスが設置された。4扉とクロスシートの両立のため、ボックス長は1,320mmで国鉄近郊形車両︵当時の標準1,420mm︶よりも狭く、シートは肘掛が省略され、背摺りもロングシート並みに低い設計であった[4]。座席表地はビニールクロスである[8]。扉部分には団体列車運用を想定して収納式補助席も設けられており[8][12]、補助席使用時には乗降扉は700mmしか開かないようになっていた[12]。空調設備にはラインデリアを装備した[1][8][12]。
トイレはク2700形とサ2750形に和式が1箇所ずつ設置され[12]、処理方式は貯蔵タンク式である。また、トイレや運転席のないモ2650形は定員210名と当時国内最大を誇り[11]、これは後述の2680系モ2680形︵奇数︶、2610系モ2660形も同様であった[11]。
主要機器・性能
編成
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← 大阪上本町・近鉄名古屋 鳥羽 →
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4両編成
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Tc ク2700形
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M モ2650形
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T サ2750形
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Mc モ2600形
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2両編成
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Tc ク2700形
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Mc モ2600形
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転属
1979年に全車両が富吉検車区に転属したが[2]、1998年に2601F・2604Fが再び大阪線高安検車区所属に変更された[13]。
改造・車体更新
1979年に冷房装置が装備され[2][4][* 4]、同時にパンタグラフが下枠交差式に交換された。車内は座席の背ずりを高く改修し、ビニールクロスの座席表地はモケット化され、一部座席はボックス長を広げている[4]。
1989年から車体更新工事を行い[2][12]、内外装材の交換、方向幕装置の取り付け、トイレの改修が行われた。なお、本系列は繁忙期の団体列車運用を考慮して全座席がクロスシートで残された[12]。
廃車
2002年2月から2004年1月にかけて全車両が除籍・廃車解体されて形式消滅している[2][4]。
2680系
主要機器・性能
台車は新造であるが、制御装置・主電動機などの電装品は1971年に廃車となった特急車10000系﹁ビスタカーI世﹂からの流用である[14][10][16]。
駆動装置はWNドライブで、主電動機は三菱電機MB-3020-C (125kW) を装備し[14][10]、制御装置は1C8M制御の三菱電機製ABF-178-15MDH電動カム軸式抵抗制御であるが[11][10][15]、直列・並列切り替えを手動で行う特急用制御装置の流用のため、主電動機4個永久直列2群の並列制御に固定されており、直並列制御は行えないようになっている。
台車は新造品が用意されており、両抱き式踏面ブレーキの近畿車輛製シュリーレン式空気ばね台車のKD-72系を装着する[11][10]。
制動方式は発電ブレーキ併用の電磁直通ブレーキで、抑速ブレーキも装備する[15]。集電装置はモ2680形奇数車に2基搭載し[20]、空気圧縮機はク2780形、電動発電機はモ2680形偶数車に搭載する[14]。最高速度は110km/hを確保している。
編成
← 大阪上本町・近鉄名古屋
鳥羽 →
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Tc ク2780形
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M モ2680形 (奇数)
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Mc モ2680形 (偶数)
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転属
1979年3月に全車が名古屋線富吉検車区に転属した[14][2][15]。
改造
1979年に2610系と同一の座席に交換(補助席は存置)され[2][21]、1991年には車体外装材の交換・前面および側面方向幕設置と座席のロングシート化を中心とする車体更新が行われた[2][15][16][* 5][* 6]。
2012年10月に車体連結部の転落防止幌設置およびATS-SP設置工事が行われた[22]。
鮮魚列車への転用
つり革のない車内
2001年に2683Fが1481系の代替として鮮魚列車に改造された[2][16][21]。鮮魚列車としては3代目となる[19]。
車体塗装はマルーンレッドを基調として前面に白帯を入れたデザインとして一般車両と区別させた[16][21]。車内はつり革関係の装備品撤去以外ほとんど手が加えられておらず、側面方向幕は撤去されたが、正面方向幕は残され、鮮魚列車での運転時には﹁鮮魚﹂︵漢字表記のみ︶の表示を掲出して運行した[16][21]。
廃車
2002年8月12日付で2681Fが廃車された[2][16][21]。製造当初より冷房装置搭載の通勤車が廃車されるのは近鉄では初の事例である。2020年3月、鮮魚列車の廃止により高安検車区に配置されていた2683Fの3両編成1本が廃車となり、形式消滅してしまった。
2610系
2610系は、大阪線で運用されていた2200系の老朽化に伴う代替と通勤圏拡大に伴う長距離輸送のサービス向上のため、2600系・2680系の量産版として1972年に登場した[23]。
1972年11月から1976年10月にかけて4両編成17本68両が製造された[24][10][3]。新造時は全編成が明星検車区に配置され[24]、2611F - 2620Fは大阪線用[25]、2621F - 2627Fは名古屋線用として区分されていた[25]。電算記号はX︵10番台、X11 - X27︶[26]。
車内インテリア
車内設備は2600系に準拠するが各所に改良が加えられ[9]、座席表地はモケットとなり、補助席は省略された[23]。ボックス長を1,400mmに拡大し[10]、背摺りの高さを当時の一般的な固定クロスシート車と同等とし、混雑対策として立席面積を当時の近鉄標準のロングシート車の5%減に留める設計を行っているが、肘掛は省略された。長距離用として付随車のサ2760形にはトイレが設置されている[3][23]。
冷房装置は集約分散式ユニットクーラーで他にラインデリア、熱交換型換気装置︵ロスナイ︶が装備されている。最初の6編成 (2611F - 2616F) は2680系と同じ8,500kcal/hのCU-15を5台とロスナイ1台搭載でキセは個別型であったが、1973年製の2次車以降は10,500kcal/hのCU-19を4台とし、キセも連続型に変更された[18]。同時に新製時から前面方向幕も装備されるようになった。
主要機器・性能
性能は2600系と同一であり、駆動装置や主電動機、制御装置、ブレーキ方式、集電装置の配置も2600系に準じている[24][10][3]。集電装置は菱形パンタグラフのPT42をMc車に1基、M車に2基を搭載した[18]。
台車は2680系と同一の近畿車輛製KD-72系︵電動車はKD-72Dを、付随車はKD-72Eを装着︶を採用したが[10][27]、ク2711 - ク2716とサ2761 - サ2766の12両はKD-66Cを装着し[10][27]、ク2721 - 2724とサ2771 - 2774の8両は2200系が使用していた金属ばね台車の近畿車輛KD-49Cを流用した[10][27] (後年空気ばね台車に交換) 。2625F以降は電動車をKD-72F、付随車をKD-72Gとした[27]。いずれの台車も両抱き式踏面ブレーキである。
空気圧縮機と電動発電機はク2710形に装備した[11]。
編成
← 大阪上本町・近鉄名古屋 鳥羽 →
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Tc ク2710形
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M モ2660形
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T サ2760形
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Mc モ2610形
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転属
5800系の登場に伴い、L/Cカーに改造された2626F・2627Fおよび試作改造L/Cカーの2621Fは富吉検車区に転属した[25][13]。これに伴い、名古屋線で運用されていた2622F - 2624Fが高安検車区、2625Fが明星検車区に転属した[13]。なお、1998年時点では2611F・2614F - 2620F・2625Fが明星検車区、2612F・2613F・2622F - 2624Fが高安検車区、2621F・2626F・2627Fが富吉検車区の配置となっていた[28]。
改造
- 車体更新
2610系L/Cカー改造車
1996年に2621F[25][3]、1997年に2626F・2627Fの4両編成3本が車体更新時にL/Cカーに改造された[10][3]。座席を昼間時はクロスシート、ラッシュ時はロングシートに切り替えできる画期的な座席を導入したもので、試作車として先行改造された2621Fでの試用を経て、新造された5800系および量産改造車を導入することになった[3]。なお、量産改造車は試作車の2621Fと異なり、仕切り壁の幅が広げられ、客室側窓のロールカーテンがフリーストップ式化、車体側面二枚窓のサッシ中央が黒塗装化された。
2011年から2012年1月にかけて車体側面窓下に貼られていたL/Cマークが検査時の車体再塗装の際に撤去されたが、車体前面のエンブレムは存置されている。
B更新
L/Cカー仕様の編成では2008年から2015年にかけてB更新が高安検修センターにて行われたが、更新内容は3編成で異なる。
2621F
第一陣として2008年には試作車の2621FにB更新が行われた[31]。更新内容は前述の内装材の交換のほか、座席と転換装置の交換・車端部ロングシートのヘッドレスト撤去となっている。
2626F
2015年5月には量産改造車の2626FにB更新が行われた[34]。更新内容は前述の内装材の交換のみで、2800系2811F・2813F・2815Fと仕様を極力統一した。
2627F
2015年12月には量産改造車の2627FにB更新が行われ[34][35][38]、2015年12月21日に高安検修センターを出場した後、同年12月23日には営業運転に復帰した[35][38]。
●設計コンセプト
本編成ではリニューアル工事のコンセプトとしてリニューアル工事施工車両の改善内容をアピールすることを目的に[38]、既存車両のコーポレートイメージ向上を図ると共に、インテリアデザインはシックで上品な高級感のある印象を目指したものとされた[38]。
●車内インテリア
車内化粧板は側面窓側は明るめグレーを基調とし、車内妻面と乗降扉および扉付近仕切り壁は黒色を基調にした化粧板に交換した[35][38]。車内床面は新規性を重視して茶色を基調に、中央部からのドット柄を展開することによってグラデーションのように演出したデザインとされた[35][38]。
デュアルシートと優先席を除いた車端部ロングシートのモケットは22000系更新車に準じたグレー系を基本に模様デザインを変更して背面に黒色を基調としたラインを追加し[38]、優先席部分はオレンジ系に同じく黒色を基調としたラインを追加して黒色ラインの部分にはピクトグラムを入れて一般席との区別を容易とした[38]。仕切り壁のモケットは座席の背面部分と同様の黒色系に交換した[35][38]。
3200系や5200系などのVVVFインバータ制御車両で行われたLED式車内案内表示器とドアチャイムの設置改造は見送られたが[38]、モ2627形を除いた各車両優先席部分の床面表示と6人掛けとなるモ2677形の優先席側にスタンションポールを設置し[38][* 8]、優先席部分のつり革と仕切り壁握り棒をオレンジ色に交換して安全性の向上を図ると共に、側面扉端部に黄色テープを配して床面を黄色を基調とした耐摩擦仕様に交換して視認性も向上させたものとされた[35][38]。
デュアルシート部分のヘッドレストと肘掛けの化粧板は黒色に変更され[38]、車端部ロングシートのヘッドレストを撤去してブラインドカーテンの開閉を容易とさせ[35]、ブラインドカーテンのデザインを変更した[35][38]。
●その他
冷房装置は更新前をそのまま使用し、座席や転換装置も更新前を踏襲したが、運転席のモケットは客室と同様のデザインに変更された[38]。
廃車
2019年4月1日現在では本系列の廃車は発生しておらず、2621F・2626F・2627Fの3編成は富吉検車区、その他の14編成は明星検車区に所属している[39]。
アートライナー
2800系
2800系は2610系のロングシート仕様として[40]、1972年7月から1979年11月にかけて2両編成2本、3両編成4本、4両編成11本の計60両が製造された[7][6][19]。大阪線と名古屋線での共用が考慮された系列である[19]。電算記号はAX︵AX01 - AX17︶[26]。
大阪線2430系に落成当初から冷房装置を搭載したもので、冷房装置は集約分散式ユニットクーラーで他にラインデリア、熱交換型換気装置が装備されている。なお、冷房装置は最初の4編成 (2801F - 2804F) のみ5台搭載だったが[40]、1973年製の2805F以降は容量が増強され、4台搭載になった[40]。座席はロングシートで、トイレは当初全編成で省略された[25]。
増備車
増備途中から設計変更が行われ、製造当初は行先表示器を装備していなかったが、1973年製の2805F以降は前面方向幕が標準装備された。この関係で、1977年製の2814Fまでの車両では大型行先標取付ステーが省略された︵1978年から1979年にかけて増備された2815F - 2817Fでは設置︶。1976年製造の2812F以降は座席のひじ掛けが湾曲したものに変更され、座面を低めに奥行きを広くして座り心地の改善を図った。1977年製の2814F以降はロールカーテンが一段階ストップ式から三段階ストップ式に変更された。1979年製の2816F・2817Fはパンタグラフが下枠交差式に変更された[41]。
主要機器・性能
電装品は2610系と同一であり、主電動機は出力155kWのMB-3110、制御装置はABFMで1C8M制御を行う[42]。
台車は2610系と同じくKD-72系︵電動車はKD-72B、付随車はKD-72Cを装着︶採用し[43]、サ2963以降のT車台車はKD-72E、最終増備車の2816F・2817FはM車・Mc車をKD-87、T車・Tc車をKD-87Aとした[43]。
空気圧縮機はク2900形とサ2950形、電動発電機はク2900型に装備した[40]。1975年製の2809Fは付随車を脱車した3両編成運用も考慮しており、空気圧縮機がTc車に設置されている[42][40]。
集電装置は2両編成はモ2800形に2基[40][44]、3両編成と2809Fがモ2800形の運転席側に1基とモ2850形に2基[40][44]、4両編成はモ2800形の連結側に1基とモ2850形に2基搭載する[40][44]。菱形のPT42が基本であるが、2816F・2817Fは当初より下枠交差型のPT48である[41]。
編成
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← 大阪上本町・近鉄名古屋 鳥羽 →
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2両編成
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Tc ク2900形
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Mc モ2800形
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3両編成
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Tc ク2900形
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M モ2850形
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Mc モ2800形
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4両編成
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Tc ク2900形
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M モ2850形
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T サ2950形
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Mc モ2800形
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- モ2862・2864とサ2951 - 2954・2962・2964は落成当初から欠番である[11]。
転属・組成変更
1998年から3両編成の2801F - 2804Fは明星検車区に配置されている[44]。
落成当初大阪線所属であった4両編成の2809F・2811Fは、2811Fについては車体更新・L/Cカー改造を施工後に高安検車区から富吉検車区に転属した[25][44]。また、2809Fについては2006年7月にサ2959を脱車して3両編成に組成変更した上で高安検車区から明星検車区に転属した[29]。
落成当初名古屋線所属であった2813F・2815F・2816F・2817Fは[40]5200系の増備に伴い、1990年に高安検車区に転属したが、2813F・2815Fについては車体更新・L/Cカー改造を完了後に高安検車区から富吉検車区に転属した[44][25]。また、2817Fについては2002年に明星検車区に転属した後、2004年3月に1000系1002Fの廃車代替として明星検車区から富吉検車区に転属したが、2014年9月のダイヤ変更により、名古屋線急行の運用変更に伴い、富吉検車区から明星検車区に再度転属した[33]。
2013年6月に2両編成の2812F・2814Fは1810系1822F・1823Fの廃車代替として高安検車区から富吉検車区に転属した[45][37]。
改造
- 車体更新
1993年から1998年にかけて全編成に車体更新工事が実施され、車体外装材と内装材の交換のほかに側面方向幕も全車に装備された[6]。1998年に施工された2816F・2817Fは乗降口の雨樋取付と乗降扉床面のノンスリップ化が行われた。
B更新
2008年3月から2019年9月にかけて全編成に2回目の車体更新︵B更新︶が行われた[31][46][37][33][34]。更新内容はいずれも車体連結部の転落防止幌設置とク2900形連結側の車椅子スペース整備のほか[31][37][33][34]、トイレ付き編成はサ2950形に設置されているトイレの洋式化が行われたが[* 7]、車内の内装デザインは2816Fまで2008年以降の2610系B更新車と同一で、2817Fのみは2610系2627FB更新車に準じた新仕様の内装デザインに変更された。
トイレの設置
サ2967号車のトイレ部分
1989年に2817F、1997年から1998年3月にかけて後述のL/Cカーに改造された3編成のサ2950形に長距離運用を考慮してトイレが設置された[25][6][* 9][* 10]。
その他
2013年以降、2811F・2813F・2814F・モ2802形のパンタグラフが下枠交差型に交換されている[37][47][48]。
下枠交差型パンタグラフはシリーズ21のシングルアームパンタグラフへの換装で捻出されたものを使用している[41]。
2800系L/Cカー改造車
1997年から1998年3月にかけて2811F・2813F・2815Fの4両編成3本が車体更新時にL/Cカーに改造された[25][6]。本系列では中間車連結面の窓を封鎖して2610系2626F・2627Fと仕様を極力統一した[* 11]。
2010年7月から2011年12月にかけて車体側面窓下に貼られていたL/Cマークが検査時の車体再塗装の際に撤去されたが、車体前面のエンブレムは存置されている。
B更新
L/Cカー仕様の編成では2014年5月から2015年4月にかけてB更新が行われた[33][34]。更新内容は前述の内装材の交換のみで、座席と転換装置はB更新前を踏襲しており、車端部ロングシートのヘッドレストは存置されている。
廃車
2006年7月に先述の2809Fの3両編成化・名古屋線転属により、編成から外されたサ2959は2800系では初の廃車・除籍となり、塩浜検修車庫で解体された[29]。大阪線・名古屋線所属の機器流用車ではない新製車両の廃車解体はサ2959が初の事例となった。
2019年4月現在ではサ2959形以外に廃車となった車両は発生しておらず、高安検車区に2805F - 2808F・2810F・2816Fの6編成24両、富吉検車区に2811F - 2815Fの5編成16両、明星検車区に2801F - 2804F・2809F・2817Fの6編成19両が配置され、計59両が在籍する[39]。
アートライナー
- 2809F:名泗コンサルタント(2016年3月1日[49] - )
- 2811F:赤塚「FFCパイロゲン」(2006年3月 - 2007年12月)→多気郡明和町日本遺産活動推進協会「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」(2016年6月28日[50] - 運転終了)
- 明和町ラッピング列車についてはク2911・モ2861の2両のみがラッピング車両となっている[50]。
- 2817F:志摩スペイン村「ピエロ・ザ・サーカス」(2008年5月 - 2009年8月)
2811F L/Cカー(通常塗装)※画像は、2010年9月の定期検査前
改造L/Cカー2811Fの車端部。ロングシートが3席設置されている。
改造L/Cカー2811Fの車端部。ロングシートが6席設置されている。
運用
新製時の運用
2600系列は新造から5200系登場までは大阪・名古屋 - 伊勢間の急行を中心に、1976年3月のダイヤ変更まで設定されていた名阪直通急行などの長距離運用に多用された[8]。乙特急よりも停車駅の少ない臨時列車﹁高速・伊勢志摩﹂号の運用実績や、3両編成の2680系では準急での運用実績もある。一方で2800系は通勤用旧形式車両の代替とされたため[51][5]、独立した運用は設定されなかった。
現在の運用
名古屋線所属車両
●2両編成車両
●2800系2812F・2814F
通常の定期運用ではワンマン運転対応改造の行われていない1233系、1430系と共通運用で、名古屋線の準急・普通に編成単独および他形式併結の2両 - 5両編成で使用されるほか、急行の増結編成にも使用されている[25]。
大阪線時代は2410系と共通で運用され、名古屋線には1往復のみ急行・準急の増結編成として乗り入れていた。編成単独による名張駅 - 伊勢中川駅間の普通列車、信貴線ではほとんど運用されていなかった。
●3両編成車両
●2800系2801F - 2804F・2809F
名古屋線の準急・普通を中心に運用されており[25][16]、ワンマン運転対応の編成は上記運用の他に湯の山線・鈴鹿線のワンマン列車でも運用されている[52][16][53]。
朝・夜間には山田線 (車掌乗務) でも運用される。
●4両編成車両
●2610系2621F・2626F・2627F
●2800系2811F・2813F・2815F
通常の定期運用では5800系5812F、1400系1407F、1200系1211F・1212Fと共通運用で、他形式の2両編成車と併結した6両編成で近鉄名古屋駅 - 鳥羽駅間の急行を中心に[25]運用される。団体貸切列車等に使用される際は志摩線や天理線などの通常は運用されない線区にも入線する事があり、2009年以降は志摩線活性化の一環として、﹁ペンギン列車﹂[54]、﹁サイクルトレイン﹂[55]といった臨時・団体列車での志摩線へ乗り入れる機会が多くなっている。
座席運用については、クロスシート運用とロングシート運用が混在している。
大阪線所属車両
X11編成による鮮魚列車の代走
●4両編成車両
●2610系2611F - 2620F・2622F - 2625F
●2800系2805F - 2808F・2810F・2816F・2817F
大阪線大阪上本町駅 - 青山町駅では快速急行から普通列車まで種別を問わずに運用され[10]、単独編成の他に2本併結の8両編成や他形式併結の6 - 10両編成でも運用されている。編成中のトイレの有無で運用区間が区別されており、トイレを装備していない2805F - 2808F・2810F・2816Fは1620系などの4両編成車と、編成中にトイレ装備車を連結する2610系と2817Fは共通運用化されている。トイレ無しの編成は混乱時以外では新青山トンネル越え運用に充当されない。
トイレを装備しない編成は青山町駅以西の運用を中心に、トイレ装備車を連結する編成は上記運用の他に大阪線急行の主力車両として青山町駅以東の急行系列車でも運用されている[10]。
2610系および2817Fはトイレを装備する関係で5200系およびL/Cカー、2680系鮮魚専用車両[56]の共通予備車とされているため、これらが車両検査や団体運用などで定期運用を離脱した場合は2610系が代走することがあるが、2817Fは鮮魚列車の代走に起用された実績はない。
その他
●3両編成車両
●2680系2683F
- 日曜日を除いた早朝と夕方に特定のダイヤで大阪上本町駅 - 松阪駅・宇治山田駅を鮮魚列車として運転される[16]。団体列車の扱いであるため他形式との併結や他線区への入線はほとんど無いが、車両不具合の際に5211系5211Fと併結して高安駅 - 明星駅間を走行したことがあり[57]、2016年3月6日には団体貸切列車で近鉄名古屋駅 - 湯の山温泉駅 - 賢島駅を走行した実績がある[58][59]。
過去の運用
大阪線所属車両
●2両編成車両
●2600系2604F
●4両編成車両
●2600系2601F
L/Cカー登場以降、上記の2編成はラッシュ時の快速急行を中心に運用されていたが[2]、検査代走や繁忙期の団体運用以外は予備車扱いとされていた。
名古屋線所属車両
●2両編成車両
●2600系2603F
他形式の2両編成車両および2602Fと併結した4両・6両編成でラッシュ時の急行を中心に運用されていた[2]。
●3両編成車両
●2680系2681F
名古屋線の準急・普通を中心に、トイレを備えていたことから急行でも運用され[52]、大阪線所属の2610系同様に名古屋線急行車の予備編成とされており、かつては大阪 - 伊勢間の快速急行で運用された時期があった。
●4両編成車両
●2600系2602F
L/Cカー登場以降はラッシュ時の急行で運用された以外は団体貸切運用の予備車扱いとされていた[2]。
その他
2610系2621Fで試作改造され、同系列や2800系の量産改造車および5800系で実用化されたデュアルシートは厳密には近鉄で発案されたものではなく、かつて日本国有鉄道(国鉄)がクハ79929号電車で同種のアイデアに基づくロング/クロスシート可変機構を試作搭載して実験した、という前史が存在する。なお、2610系や2800系と同様に在来車から改造されたデュアルシート車両は東日本旅客鉄道(JR東日本)の205系電車3100番台(一部編成のクハ205形のみ)や209系電車3000番台が存在する。
参考文献
脚注
注釈
(一)^ 名古屋線標準軌化の後に投入された1600系および1480系以降の一般車両は車体や主電動機、台車はほぼ同一設計であるが、制御装置のメーカー (大阪線用は三菱電機製、名古屋線用は日立製作所製) と抑速制動の有無 (大阪線用は宇陀山地や青山峠を跨ぐ運用を考慮して抑速制動を標準装備していたが名古屋線用は省略) で別々の車両形式で投入されていた[6]。
(二)^ ただし、2600系が登場した翌年の1971年に2410系の増備名目で2430系が大阪線用として登場しており、当時の名古屋線には1972年に新規系列として1000系および1200系1201F︵新製時から冷房搭載済、後の1000系1002F︶が登場していたものの、名古屋線運用を前提として2200系から流用した吊り掛け駆動方式に抑速ブレーキを省略して落成したため、1977年に2800系2813Fや翌1978年に2000系が新造投入されるまで大阪線・名古屋線共通設計のロングシート車両は登場していない[7]。
(三)^ それまで2600という形式番号を使用する車両に新2200系の貴賓車を出自とするサ2600号1両が存在したが、1964年にサ3018へと改番されており、形式、個体番号ともに重複したことはない。
(四)^ 2603F・2604Fは将来のパンタグラフ増設を考慮してクーラーキセのカバーが中央に寄せて設置されている[2]。
(五)^ abロングシート化改造が行われた車両は前述のように元々クロスシート車として製造されたことから、ロングシートの背面高さは2600系列の窓框寸法に合わせて低めに取られた。座席配置も固定クロスシートの位置に合わせてあるため、車端部のロングシートは3人掛けと5人掛けとされ、乗降扉付近の一部には僅かながら立席スペースが生じている。
(六)^ abトイレ前1区画は従来の固定クロスシートで存置されている。
(七)^ ab洋式化の際にドア部のピクトグラム貼付も行われたが、トイレ室内灯の交換は省略された。
(八)^ モ2627については当該部分に主電動機の点検蓋があるために床面の優先席表示は省略されている。
(九)^ 処理方式は貯蔵タンク式であるが、室内の配色はサ2967のみ5200系︵登場時︶と同一仕様で、L/Cカーに改造された3編成のサ2950形は5800系に合わせて落ち着いた仕様となっている。
(十)^ サ2967はMc車側の車端部側面一枚窓、L/Cカーに改造された3編成のサ2950形は2610系に合わせてM車側の車端部側面二枚窓に設置された。
(11)^ 差異を挙げると、乗務員室仕切窓の高さ︵2610系は固定クロスシートの寸法、本形式はロングシートの寸法に合わせてあるため︶と大型運行標識板取付ステーの有無︵2815Fのみ取付ステー付き︶、トイレの内装︵前述のように本形式の改造車はトイレが後付けであり、設備上は同一︶となっている。
出典
関連項目
- 他社のデュアルシート車両
外部リンク