出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "ロケット" – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2020年5月) |
H-IIAロケットロケット16号機の打ち上げ
H-IIBロケット2号機の打ち上げ
ラムダ4Sロケット
ロケット︵英: rocket︶は、自らの質量の一部を後方に射出し、その反作用で進む力︵推力︶を得る装置︵ロケットエンジン︶、もしくはその推力を利用して移動する装置である。
空気などの外部の物質を使用しない点でジェットエンジンなどとは区別される。
狭義にはロケットエンジン自体をいう。広義にはロケットエンジンを推進力とし、人工衛星や宇宙探査機などのペイロードを搭載したローンチ・ヴィークル全体をロケットということも多い。
日本では、地上から照射されたマイクロ波やレーザービームをリフレクターで反射し、空気の電離によるプラズマ発生時の爆発などを推進力とし、燃料を使わないローンチ・ヴィークルも﹁ロケット﹂と呼ばれる[1]。
推力を得るために射出する推進剤や、推進剤を動かすエネルギー源によって様々な方式がある。燃料の化学反応を用い、燃料自体を推進剤とする化学ロケット︵化学燃料ロケット︶が最もよく使われ、ロケットを話題にするときは、暗黙のうちに化学ロケットを前提にしていることが多い。
日本語の﹁ロケット﹂は英語 rocket の借用語である。﹁自己推進する飛翔体﹂を表す語としての rocket は、﹁糸巻き棒﹂を意味するイタリア語 roccha の指小語 rocchetto に由来し、元々は糸巻き棒のような形状をした花火を指していた[2]。
ロケットの方式で良く知られているものとしては、その使用するエネルギー源から分類して、化学ロケット、電気ロケット、原子力ロケットがある。
化学ロケットは、燃料の燃焼︵化学反応︶によって生じる熱エネルギーを利用し、燃料自体を推進剤として噴射するもので、効率は最も悪いが利用しやすい。また、短時間に大きな推力を発生させることができる。実用化されたロケットのほとんどは化学ロケットである。
電気ロケットは、イオン推進など、推進剤を電気的に加速して噴射するものである。人工衛星や宇宙探査機などのスラスターとして実用化されている。大きい推力を得ることは難しいが、長期間の使用に向く。
原子力ロケットは、推進剤を原子炉で加熱して噴射するもの、ロケットの後方で核爆弾を爆発させて推進力を得るもの︵パルス推進︶など複数の種類があるが、安全性の問題はもちろん、核兵器の宇宙空間への持ちこみを禁じた宇宙条約や宇宙空間での核爆発を禁止する部分的核実験禁止条約の制限により実用化されていない。オリオン計画やダイダロス計画といった構想が知られる。﹁原子力推進﹂も参照。
なお、ロケットが推進する原理を﹁噴射したガスがロケットの後方の空気を押すから﹂と誤って考える人もいる。かつて﹃ニューヨーク・タイムズ﹄が、この誤解に基づき、真空中でロケットは飛べないと主張して、ロケット工学開拓者の一人であるロバート・ゴダードを批判する記事を掲載したという逸話がある[3]。実際にはロケットは真空中でも推進可能であり、明らかな誤解である。これは作用・反作用の法則において、ロケットを質点A、空気を質点Bとみなしたことによる。こういう解釈であれば、ロケット推進の作用を空気が受け止め、その反作用で推進力が生まれるので、真空ではロケットは推進不可能という結論になる。実際にはロケットの推進を作用・反作用の法則で説明する場合は、ロケットを質点A、ロケットの噴射するガスを質点Bとみなすべきなのである。つまりロケットとロケットの噴射ガスを同一の質点Aとみなしたことによる誤解である。あるいはロケット自体とロケットの噴射ガスに運動量保存の法則をあてはめれば、真空中でもロケットが推進できることは容易に納得できるはずである。こうしたロケットの原理を示す式が、ツィオルコフスキーの公式である。
化学ロケットでは、その最大の貨物は自らを宇宙空間まで運ぶ推進剤である。これは地球から長距離を航行しようとする際に大変な非効率をもたらすが、宇宙空間に中継地点を設けることである程度緩和されるのではないかと考えられている。アポロ計画の月着陸船が月から帰還する時に必要としたロケットが、地球からの打ち上げに使われたサターンロケットに比べて驚くほど小さかったことからわかるように、重力が小さい場所から発進すればそれほど多くのエネルギーは必要としないのである。衛星軌道上に基地︵宇宙ステーション︶を設け、そこまで分割運搬した部品を組み立てて大きなロケットを建造し、そこから出発させるという方法などが考案されている。
また、ロケットを使わない静止軌道までの運搬方法として軌道エレベータなどが実際に検討されている。
新型のロケットを開発する場合、成否はロケットエンジンの開発にかかっていると言っても過言ではなく、計画遅延の原因はエンジン開発の難航が占める割合が大きい。
1960年代 - 80年代にかけて、米国はスペースシャトルのエンジン以外、新型の液体燃料ロケットエンジンの開発には消極的であり、欧州等に比べて出遅れた。その結果、1990年代からロシアが開発した液体燃料ロケットエンジンを導入してライセンス生産している。
固体燃料ロケットの模式図
固体燃料ロケットとは、常温で固体の燃料と酸化剤︵の混合物︶を用いるロケットである。古くは火薬、最近の例では合成ゴムと酸化剤を混合成型したものなどが使われている。
固体燃料は常温では飛散しないため管理︵保管︶が楽、構造が簡単な割に安価で大推力が得られる、体積が︵液体燃料に比べ︶小さいなどの利点を持つ。
反面、単位重量の推進剤で単位推力を発生させ続けられる秒数を示す比推力が悪いため効率が悪く、推力の制御が難しいこと、またいったん点火したら、燃料を全て消費するまで燃焼を停止させるのはほとんど不可能であることなどの欠点を持つ。
こうした特性から、常に発射可能な状態で保管しておかなければならない軍事用途、大推力を求められる宇宙ロケットの一段目や補助ブースターに広く使用されている。
液体燃料ロケットの模式図
液体燃料ロケットは、液体の燃料と酸化剤を用いるロケットである。固体燃料ロケットとは違い、推力の制御が容易であること、いったん燃焼を停止させたものを再度点火するのが可能であることなどの長所を持つが、その反面、燃料を送り出すための高圧ポンプや複雑な配管システムが必要とされるなど、構造が複雑になり、その分高価になるという欠点も持つ。
初期には常温保存が可能なヒドラジン︵燃料︶と四酸化二窒素︵酸化剤︶、ケロシン︵燃料︶と液体酸素︵酸化剤・極低温︶、などが用いられたが、最近はより高い比推力が得られる液体水素︵燃料︶と液体酸素︵酸化剤︶の組み合わせが、各国の基幹ロケットの主流となっている︵アメリカのスペースシャトル、ヨーロッパのアリアン5、日本のH-IIAなど︶。
このロケットの場合、酸素と水素を化合させるだけなので、排気ガスは有毒物質を一切含まない水蒸気だが、実際には、液体水素・液体酸素エンジンだけでは離床時の推力が不十分なので、固体燃料の補助ロケットを使用する。この固体燃料補助ロケットの排気にはオゾン層や環境に悪影響を及ぼすハロゲン化合物が含まれる。ロケット自体の開発も困難を極める。
また、人工衛星の軌道制御や姿勢制御のための小型ロケットには、過酸化水素やヒドラジンを触媒で分解させて噴射する、構造が簡単な一液式ロケットも用いられる。
なお、一般に燃焼室の冷却には燃料自体が使用される。上記の液体酸素・液体水素のエンジンでは、燃焼室の温度は三千度にも達するが、これだけの高温に耐えられる素材は現在のところない。その対策として、燃焼室の壁やノズルの中部には細いパイプや溝が何百本も張りめぐらされており、推進剤をその中を循環させることにより蒸発潜熱により熱を奪うというシステム(再生冷却)や推進剤の一部を燃焼室の内壁に沿って流すフィルム冷却やアブレーション冷却、ニオブ製のノズルスカートによる放射冷却が採用される。
ハイブリッド推進システムの模式図
ハイブリッドロケットは、化学ロケットの一種で、燃料と酸化剤がそれぞれ異なる相を持ったロケットである。一般的には、固体の燃料と液体の酸化剤が用いられる。固体燃料ロケットの特徴である構造の簡易性と液体燃料ロケットの特徴である推力調整を可能とするが、同時に固体燃料ロケットと液体燃料ロケットの両方の欠点も併せ持つ。このため長らく実用化を見なかったが、スペースシップワンではハイブリッド・ロケットエンジンが採用された。
このため現在宇宙ロケットの分野では、効率が良い液体燃料ロケットが主流であり、固体燃料ロケットはブースターなどの補助推力として用いられる。一方、定期的に打ち上げる高高度気象観測ロケットや、発射準備時間が短いミサイル等では固体燃料ロケットが主流である。
以下に、燃料ではなく形態によるロケットの分類を示す。これらの方式の効率を計算するときは全てツィオルコフスキーの公式に基づく。
最初期のロケットの姿であり、ペイロードを必要な速度・高度まで1基の打ち上げロケット(段)で運んでしまうロケットのこと。下記の多段式ロケットの対になる方式である。
単段式ロケットは、多段式ロケットに必要な切り離し装置などがないため構造が簡単で、製作技術や制御技術があまり高くなくても作れる。またロケットが小型であれば多段式にするより単段式ロケットの方が効率も良い。しかし大型ロケットの場合、時間が経って不必要になった空の燃料タンクやエンジンもずっと輸送することになり、効率が劣る。
V2ロケットなどの短距離弾道ミサイルや気象観測用ロケット、模型ロケットなど小型のロケットであれば、多段式にすると機構の複雑さから重量が増えて却って非効率的になってしまうため、単段式ロケットが使われることも多い。
単段式ロケットの将来像として、単段式宇宙往還機も研究されている。
デルタ IV ヘビーは、1段、2段を使用する多段式ロケットであり、1段にコモン・ブースター・コア3基を使用するモジュラーロケットでもある。中央の1本は1段目として使用され、両側の2本は補助ロケットとして使用される。
ロケットが十分な速度を得るためには、移動体本体の質量は全体に比してできるだけ小さいことが望ましい。このため、空になった推進剤タンクやそれを燃焼させるエンジンを収容する部分は必要ない質量として切り離すという仕組みがコンスタンチン・ツィオルコフスキーにより考案され、現在も使われている。これを多段式ロケットという。
例えば人工衛星打ち上げ用の3段式ロケットの場合、最下部の1段目のエンジンを噴射させて1段目自身と2段目と3段目とそれに乗った衛星を上昇させ燃料を使い切ったら1段目を切り離す。その後2段目のエンジンを噴射して2段目自身と3段目と衛星をさらに上昇させて燃料を使い切ったら切り離す。その後3段目のエンジンを噴射して任意の地点で衛星を切り離して目的の軌道に投入することになる。人工衛星を軌道上で周回させ続けるには第一宇宙速度まで加速させる必要があるが、化学ロケットは技術的な制約により多段式でなければ第一宇宙速度を得ることは困難であり、現在の衛星打ち上げロケットは全て多段式である。
この理屈で言うと、理論上は、非常に小さく区切られた燃料タンクと小型のロケットエンジンを、使い終わったら片っ端から切り離していくのが一番効率的になるのだが、実際には小型化にも限度があるし、あまり段数が多いと制御が難しくなり、切り離し装置の重量や容量も増えるため、構造効率が低くなり総重量全体に占める推進剤の割合が下がり、技術面で現実的ではない[注 1]。加えてロケットエンジンの数も段数に応じて増えるため、コストも上昇する。このため現在主流の人工衛星打ち上げ用ロケットは殆どが2 - 3段式の構成である。
無重力空間のみで動くロケットの場合、各々の段の比推力は目的に応じて推進剤を選択することにより自由に決められるために1段目や2段目が非力で3段目のみ強力なエンジンを積むといったことも問題なくできるが、地球など天体の引力圏内にあるロケットの場合は、下のロケットが非力︵具体的に言うと、上に載っているペイロードおよび全てのロケットの重量と自分自身の重量の和未満︶では飛び上がることができない。
そのために、後述するクラスター方式などと併せ、下の段ほど強力にして、上の段に行くに従い出力も小さくなっていく。
また、離床時に大きな推力が必要なので、下段には推力が高いが比推力の低い推進剤を、上段には推力は低いが比推力の高い推進剤を用いる。
レール上を発射台に向かうソユーズTMA-3打ち上げ用のソユーズFG。クラスター化された5基のエンジンの計20個のノズルが見える。1段と2段を使用する多段式ロケットでもある。
クラスターロケットとは、多数のロケットエンジンを束ねて構成されるロケットのこと。多段式ロケットと共にツィオルコフスキーにより考え出された方式。
エンジン1基あたりの出力は高いほど望ましいのだが、新しい大型のエンジンを開発するには燃焼室の振動、耐久性、エンジン自体の質量増加、エンジンを作るのに必要なコストなどの問題を解決するため、莫大な時間と費用がかかる。
クラスター方式は手持ちの信頼性の高いエンジンを流用して推力を増やせる堅実な方法であり、ソ連がアメリカに先んじてスプートニクやボストークを打ち上げるのを可能とした。
しかしエンジンの数が増えると制御が困難になり、N1ロケット︵一段目は30基のエンジン︶の失敗は、ソ連の有人月旅行計画の失敗へとつながった。
旧ソ連のR-7︵現在も直系の子孫であるソユーズロケットが使われている︶が代表的なもので、一段目は5基のエンジン︵ノズルは20個︶を持つ。他のクラスターロケットには同じく旧ソ連製のプロトン︵一段目に6基︶やエネルギア、アメリカのサターンIおよびIB︵1段目に8基︶、ファルコン9︵1段目に9基︶日本のH-IIBロケット︵1段目に2基︶などがある。
また、この方法を発展したロケットとして1970年代にドイツでOTRAGが検討されたが、技術面や射場の選定に関する政治的理由により中止された。
日本語では打ち上げロケットと呼ばれ、地球から宇宙空間に人工衛星や宇宙探査機などのペイロードを輸送するのに使用されるロケット。打上げ機と呼ばれることもある。ペイロードが第一宇宙速度や第二宇宙速度を超え地球周回軌道や太陽周回軌道に投入される。打ち上げ能力が低軌道へ100kg未満の人工衛星を打ち上げる能力を有する概ね10トン未満の人工衛星打上げ機は超小型衛星打上げ機に分けられる。
観測ロケットは科学観測・実験のために弾道飛行を行うロケット。研究ロケットやサウンディングロケットとも呼ばれる。通常は高度50kmから1500kmへ打ち上げられる。
使い捨て型ロケットは一度のみしか実使用できない打ち上げロケットシステムのこと。
再利用型ロケット(再使用型宇宙往還機、単段式宇宙輸送機、スペースプレーン等)とは、打ち上げ後に機体を回収し再使用するロケットシステム。メリットとしては打ち上げごとに機体を製造しなくてすみ、コストダウンなどが期待される。スペースシャトルやファルコン9等一部が成功した。
ティプー・スルターン
マイソール・ロケット
ツィオルコフスキーの登場から第二次世界大戦期
[編集]
スプートニクロケットにより打ち上げられたスプートニク1号
発射台から離れるアポロ11号を乗せたサターンV 型ロケット。1969年7月16日
国際宇宙ステーションの構造物を運ぶスペースシャトル
ナチス・ドイツの崩壊前後、V2の開発に関わった人材の多くがアメリカに亡命した︵ペーパークリップ作戦︶。またこの混乱期にソ連もV2の技術を接収していた。また、そのソ連からV2の改良型であるR-2の技術を供与され、さらにアメリカでV2を解析して弾道ミサイルを開発していた貴重な人材である銭学森をアメリカとの取引で手に入れた中華人民共和国も宇宙開発とロケット開発に邁進することになる。冷戦に入り、1958年にソ連がスプートニクロケットによって世界初の人工衛星を打ち上げたことでスプートニク・ショックが起き、宇宙開発競争が始まる。1961年にはソ連がボストークロケットによりユーリイ・ガガーリンが搭乗したボストークの打ち上げを成功させ、世界初の有人宇宙飛行を成し遂げた。一方、1969年にはアメリカがサターンV型ロケットによりアポロ11号を打ち上げて世界で初めて人類を月に到達させた。
宇宙開発競争初期のロケットは、アメリカのレッドストーンやソビエトのR-7のように弾道ミサイルから弾頭を外し、代わりに人工衛星や宇宙船を取り付けたものであり、ロケットの打ち上げ技術はミサイル技術と等価であり、威嚇も含めた軍事的価値も高いために、抜きつ抜かれつの開発競争であった。軍事や情報における利用価値が認知され、現在に至るまで国家機密に属する非常に重要な技術として取り扱われている。特に偵察衛星の打ち上げは諜報活動において革新的な出来事であった。宇宙空間には国際法上、国家の領空は及ばないため、これまで諜報員や特に領空侵犯を行う偵察機を送り込んで危険を覚悟で行ってきた諜報活動のリスクを大幅に削減する成果をあげた。
1960年代から1970年代までに日本、欧州、中華人民共和国も人工衛星の打ち上げに成功し、世界の宇宙開発のプレイヤーはソ連︵後のロシア︶とアメリカと合わせて5極体制となった。日欧は宇宙科学分野に重点を置く一方、米ソ中は有人宇宙開発と宇宙の軍事利用に加え国威発揚も重視された。
冷戦終結以後はアメリカとロシアの宇宙船は宇宙空間でドッキングを行ったり、協力して国際宇宙ステーションの建設にあたるなど宇宙開発や惑星・衛星探索への利用が進んだ。中国は2003年に長征2号Fにより神舟5号の打ち上げに成功し、ソ連とアメリカに次いで世界で3番目となる有人宇宙飛行に成功した。
1990年以降、打ち上げ能力は質、量共に向上している背景にはソビエト連邦の崩壊後、冷戦期の宇宙開発競争を支えた経験豊富な旧ソビエトの技術者達が世界各地での宇宙開発に携わり、各国のロケットの開発、改良を支えていることが挙げられる。これに対してミサイル技術管理レジームがあるものの、一部において形骸化し、弾道ミサイル技術の拡散も招いている。
一般生活においても、気象衛星、放送衛星や通信衛星、GPS衛星など、宇宙ロケット関連技術は現代人の生活を支えるために欠かせないものとなった。
スペースシャトル計画の終了など国家ないし国家連合による政策としての宇宙開発が財政面で苦しい局面に立たされている反面、民間によるロケット開発も盛んである。例えばスペースXとオービタル・サイエンシズは商業軌道輸送サービスの一環としてそれぞれ、ファルコン9でドラゴン宇宙船を打ち上げて2012年から、同様にアンタレスで打ち上げてシグナスで2013年から国際宇宙ステーションへの商業補給サービスを開始しており、ヴァージン・ギャラクティックはスペースシップツーの弾道飛行による民間宇宙旅行を計画している。今後は宇宙飛行士の輸送も含めて徐々に民間企業の自主開発したロケットによる輸送が主流になりつつある。
さらに規模は小さくなるが、アマチュアによるロケット打ち上げの試みもある。2004年5月17日には20人ほどのアメリカ人による組織﹁Civilian Space eXploration Team﹂(CSXT)によって打ち上げられた[注 2]﹁GoFast﹂が、高度115 kmに到達しアマチュアロケット史上最高高度を記録した。一般人によるロケットとして歴史に名を残した。また、同様にアマチュアの開発によるロケットでの人工衛星の打ち上げ計画もあるが、資金、技術の両面において苦戦している。[注 3]更に、日本でも企業の連合でロケット打ち上げがよく行われる。世界各国でロケット開発が浸透しているという証拠にもなっている。
現在、各国で次世代の打ち上げの主力となるロケットの開発が進行中である。それらは既存のエンジン等の部材を活用しつつこれまでの技術革新の成果を取り入れつつある。
ロケット推進の鉄道車両であるOpel-Sander Rak.3
1970年10月23日に1014.513 km/hの世界記録を樹立したブルー・フレーム
ロケットは推進力が強力であり、大気圏内において物体を飛行させるための推進力としても利用される。その最も一般的な適用例は気象観測ロケットで、高層大気の状態を観測するためにしばしば打ち上げられる。気象庁でも定期的に気象観測ロケット (MT-135) を打ち上げていたが、2001年 に運用を終了させた。
他に無重力実験や各種実験、天体観測用の試験装置を搭載したロケットが打ち上げられる場合もある。
ロケットスレッドや1975年に水蒸気ロケットを用いたドイツの磁気浮上式鉄道KOMET(Komponentenmeßtrager)による401.3km/hの記録の樹立や1978年には固体燃料ロケットを搭載したHSST-01による307.8km/hの達成等で使用された。
レンチの一種として、小型ロケットが互い違いにセットされた台座を緩める対象に取り付けて点火することで、短時間で緩めることができる「ロケットレンチ」がある。主に不発弾の錆びた信管を外すのに使われている。
モデルロケット発射の様子
ペットボトルロケットの原理
一般人が趣味として気軽に打ち上げられる本格的なロケットとしてモデルロケットがある。これは燃料に小型のものは黒色火薬、中・大型のものはコンポジット推進薬を使用したもので、コンポジット推進薬はスペースシャトルやH2-Aロケットのブースターに使用される燃料と同じ燃料である。高度は百メートルから数十キロに達するものもある。
ペットボトルロケットという教材用ロケットは、ペットボトルに水と圧縮空気を充填し、水を圧縮空気の圧力で噴射することによって推力を得る構造をもったものである。アメリカでは古くから児童・生徒の授業に採り入れられていた。多くの国で盛んに作られるようになり、科学教材として広く利用されるようになった。
火薬を使って飛ばすモデルロケットも普及し始め、日本では各地の中学校で総合教育に採り入れられている。
JETEXやタイガーロケッティのような模型飛行機向けのロケットエンジンもあった︵※JETEXは現在も継続中︶。世界の一部の愛好家の間では、ハイブリッドロケットや液体燃料ロケットも打ち上げられている。
日本国内では航空法に基づき、ロケットを打ち上げる空域によっては、打ち上げることが禁止される場合、または打ち上げる場合に事前に国土交通大臣への届出が必要な場合がある。
![[icon]](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1c/Wiki_letter_w_cropped.svg/20px-Wiki_letter_w_cropped.svg.png) | この節の 加筆が望まれています。 (2020年5月) |
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/64/Question_book-4.svg/50px-Question_book-4.svg.png) | 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2020年5月) |
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/3b/Text_document_with_page_number_icon.svg/40px-Text_document_with_page_number_icon.svg.png) | この節で示されている出典について、該当する記述が 具体的にその文献の何ページあるいはどの章節にあるのか、特定が求められています。 ご存知の方は加筆をお願いします。(2020年5月) |
●Allen, H. Julian; Eggers Jr., Alfred J. (1958) (English). A Study of the Motion and Aerodynamic Heating of Ballistic Missiles Entering the Earth's Atmosphere at High Supersonic Speeds. Ames Aeronautial Lab.: NACA. OCLC 86134556. http://naca.central.cranfield.ac.uk/reports/1958/naca-report-1381.pdf
●Baker III, A. D. (2000) (English). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World 2000-2001 : Their Ships, Aircraft, and Systems.. Annapolis: Naval Institute Press. OCLC 464566493 ISBN 1-55750-197-1, ISBN 978-1-55750-197-4.
●Béon, Yves (1997) (English). Planet Dora : a memoir of the Holocaust and the birth of the space age. translated from the French La planète Dora by Béon & Richard L. Fague. Boulder, Colorado: Westview Press, Div. of Harper Collins. OCLC 60197359 ISBN 0-8133-3272-9, ISBN 978-0-8133-3272-7.
●Buchanan, Brenda J. (2006) (English). Gunpowder, explosives and the state. Aldershot, etc.: Ashgate. OCLC 1055216815. https://books.google.co.jp/books?id=7n6Cg9znFrUC&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja ISBN 0-7546-5259-9, ISBN 978-0-7546-5259-5.
●Callaway, David W. (March 2004). “Coplanar Air Launch with Gravity-Turn Launch Trajectories” (English) (PDF). Masters Thesis. オリジナルの2007年11月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071128105951/https://research.maxwell.af.mil/papers/ay2004/afit/AFIT-GAE-ENY-04-M04.pdf.
●Chase, Kenneth (2003) (English). Firearms : A global history to 1700. Cambridge: Cambridge University Press. OCLC 942030113. https://books.google.co.jp/books?id=esnWJkYRCJ4C&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja ISBN 0-521-72240-3, ISBN 978-0-521-82274-9.
●Clary, David A. (2003) (English). Rocket man. New York City: Theia. OCLC 317785273 ISBN 0-7868-6817-1, ISBN 978-0-7868-6817-9.
●Crosby Jr., Alfred Worcester (2002) (English). Throwing Fire: Projectile Technology Through History. New York City: Cambridge University Press ISBN 0-521-79158-8, ISBN 978-0-521-79158-8.
●日本語訳‥アルフレッド・ウースター・クロスビー 著、小沢千重子 訳﹃飛び道具の人類史─火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで﹄紀伊國屋書店、2006年5月6日︵原著2002年︶。 ISBN 4-314-01004-5、ISBN 978-4-314-01004-7。
●Emme, Eugene Morlock, ed (Autumn 1963). “The History of Rocket Technology: The Redstone, Jupiter and Juno” (English). Technology and Culture (Detroit, Michigan: Published by the Wayne State University Press for the Society for the History of Technology) IV (4). doi:10.2307/3101379. OCLC 39186548.
●von Braun, Wernher "Journal Article The Redstone, Jupiter, and Juno" pp. 452-465.
●Esnault-Pelterie, Robert (01 janvier 1913), “Considérations sur les résultats d'un allégement indéfini des moteurs.” (French), Journal de physique theorique et appliquee ([Paris]: [publisher not identified]), OCLC 43942743
●Glasstone, Samuel (1965) (English). Sourcebook on the space sciences.. Princeton, N.J.: D. Van Nostrand Company. OCLC 232378
●Government Accountability Office (GAO) (02 June 1972) (English) (PDF), Cost Benefit Analysis Used in Support of the Space Shuttle Program, Washington, DC: General Accounting Office, US Government, http://archive.gao.gov/f0302/096542.pdf
●Hutchings Goddard, Robert; Smithsonian Institution (1919) (English) (PDF). A Method of Reaching Extreme Altitudes. Washington, DC: Smithsonian Institution. OCLC 3430998. http://www.clarku.edu/research/archives/pdf/ext_altitudes.pdf
●Hutchings Goddard, Robert (October 2002) (English). Rockets. Mineola, N.Y.: Dover Publications. OCLC 968074468 ISBN 0-486-17434-4, ISBN 978-0-486-42537-5.
●Hansen, James R. (1987) (English). Engineer in Charge: A History of the Langley Aeronautical Laboratory, 1917-1958.. The NASA History Series, sp-4305. Washington, DC: Scientific and Technical Information Office, National Aeronautics and Space Administration (NASA). OCLC 246830126. http://history.nasa.gov/SP-4305/sp4305.htm
●Harford, James J. (1997) (English). Korolev: How One Man Masterminded the Soviet Drive to Beat America to the Moon. New York City: John Wiley & Sons. OCLC 468307292 ISBN 0-471-14853-9, ISBN 978-0-471-14853-1.
●Hassan, Ahmad Y. (a), “Gunpowder Composition for Rockets and Cannon in Arabic Military Treatises In Thirteenth and Fourteenth Centuries” (English), History of Science and Technology in Islam, http://www.history-science-technology.com/Articles/articles%202.htm 2008年3月29日閲覧。
●Hassan, Ahmad Y. (b) (English), Transfer Of Islamic Technology To The West, Part III: Technology Transfer in the Chemical Industries, オリジナルの2008年3月9日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20080309003120/http://www.history-science-technology.com/Articles/articles%2072.htm 2008年3月29日閲覧。
●Houchin, Roy F. (2006) (English). US hypersonic research and development : the rise and fall of Dyna-Sour, 1944-1963. Space power and politics. London: Routledge. OCLC 479016661 ISBN 0-415-36281-4, ISBN 978-0-415-36281-8.
●Hunt, Linda (1991) (English). Secret agenda : the United States government, Nazi scientists, and project paperclip, 1945 to 1990. New York City: St. Martin's Press. OCLC 930398641 ISBN 0-312-05510-2, ISBN 978-0-312-05510-3.
●Huzel, D. K.; Huang, D. H. (01 January 1971) (English), NASA SP-125, Design of Liquid Propellant Rocket Engines (2nd ed.), Washington, D.C.: NASA, https://ntrs.nasa.gov/search.jsp?R=19710019929&hterms=sp-125&qs=Ntt%3Dsp-125%26Ntk%3DAll%26Ntx%3Dmode%26N%3D0
●Johnson, David W. (June 1995). “Contents and commentary on William Moore's a treatise on the motion of rockets and an essay on naval gunnery” (English). International Journal of Impact Engineering (Oxford, New York City: Pergamon Press) 16 (3). OCLC 105570427.
●Marconi, Elaine M. (12 April 2004), “What is a Sounding Rocket?” (English), Research Aircraft (NASA), http://www.nasa.gov/missions/research/f_sounding.html 2006年10月10日閲覧。
●National Aeronautics and Space Administration (NASA) (2006), “Rocket staging” (English), Beginner's Guide to Rockets (NASA), http://exploration.grc.nasa.gov/education/rocket/rktstage.html 2009年6月28日閲覧。 [リンク切れ]
●Needham, Joseph (22 January1987) (English). Science and Civilisation in China: Volume 5, Chemistry and Chemical Technology, Part 7, Military Technology: The Gunpowder Epic. Cambridge: Cambridge University Press. OCLC 916144775. https://books.google.co.jp/books?id=BZxSnd2Xyb0C&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja ISBN 0-521-30358-3, ISBN 978-0-521-30358-3.
●Nowak, Tadeusz (1969) (Polish). Kazimierz Siemienowicz ok. 1600-ok. 1951. Bitwy, kampanie, dowódcy, 1969,4. Warszawa: MON Press. OCLC 254130686
●Polmar, Norman; Moore, Kenneth J.; Sekula, Allan; Stein, Sally; Sterling and Francine Clark Art Institute. Library (2004) (English). Cold War Submarines : the Design and Construction of U.S. and Soviet Submarines, 1945-2001.. Dulles, Virginia: Brassey's. OCLC 960167506 ISBN 1-57488-594-4, ISBN 978-1-57488-594-1.
●Potter, R.C.; Crocker, Malcolm J. (1966) (English). Acoustic Prediction Methods for Rocket Engines, Including the Effects of Clustered Engines and Deflected Exhaust Flow, CR-566. Washington D.C.: NASA. OCLC 37049198. https://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19660030602_1966030602.pdf
●Space History Division (18 August 1999) (English), Hale 24-Pounder Rocket, Smithsonian National Air and Space Museum, オリジナルの2007年8月18日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20070818125248/http://www.nasm.si.edu/research/dsh/artifacts/RM-Hale24pdr.htm
●Stephens, Henry Morse [in英語] (1887). "Congreve, William (1772-1828)" . In Stephen, Leslie (ed.). Dictionary of National Biography (英語). Vol. 12. London: Smith, Elder &Co. p. 9.
●Sutton, George Paul; Biblarz, Oscar (2001) (English). Rocket Propulsion Elements (7th ed.). Chichester: John Wiley & Sons. OCLC 317845694. https://books.google.co.jp/books?id=LQbDOxg3XZcC&printsec=frontcover&redir_esc=y&hl=ja ISBN 0-471-32642-9, ISBN 978-0-471-32642-7.
●Van Riper, A. Bowdoin (2004) (English). Rockets and Missiles. Greenwood technographies. Westport, Connecticut: Greenwood Press. OCLC 603640011 ISBN 0-313-32795-5, ISBN 978-0-313-32795-7.
●von Braun, Wernher; Ordway, Frederick Ira (1967, ©1966) (English). History of rocketry & space travel. New York City: Crowell. OCLC 566653
●Zaloga, Steven (2003) (English). V-2 ballistic missile 1942-52. New Vanguard, 82. Oxford, Long Island City, N.Y.: Osprey Publishing. OCLC 869386949 ISBN 1-47280-309-4, ISBN 978-1-84176-541-9.
●MSFC History Office, “Rockets in Ancient Times (100 B.C. to 17th Century)”, A Timeline of Rocket History (NASA), http://history.msfc.nasa.gov/rocketry/tl1.html 2009年6月28日閲覧。 [リンク切れ]
政府機関
情報サイト
|
---|
主要項目 |
| ![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/RocketSunIcon.svg/128px-RocketSunIcon.svg.png)
|
---|
応用 |
|
---|
有人宇宙飛行 |
|
---|
軌道・航行 |
|
---|
打ち上げ |
|
---|
主な機関 |
|
---|
その他 |
|
---|
|
---|
各国テンプレート |
|
---|
その他のロケット |
|
---|
一覧 |
|
---|
開発中または未成功、退役済みのものを含む。 |