自動列車停止装置︵じどうれっしゃていしそうち、ATS: Automatic Train Stop︶は、日本の鉄道において、信号の現示及び線路の条件に応じ、自動的に列車を減速させる、又は停止させる装置[1]のうち、地上信号方式を採用するものをいう[2]。
この装置の前提となる﹁信号の現示﹂については閉塞 (鉄道)、信号保安、鉄道信号機および日本の鉄道信号で説明するものとし、本記事では地上と車両の間の伝達や車両の減速・停止動作に関わるシステムについて説明する。
なお﹁線路の条件﹂については2019年現在、﹁鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準﹂において、曲線・分岐・速度を制限している構造物区間・線路終端部・列車の停止を前提に作動する踏切・下り勾配と規定されている[3]。路線や車両の最高速度について同様の機能を持つものもあるが、こちらは法令上の定義には含まれない。
ATSの種類は、信号と連動して働く衝突防止のATSと、信号と独立して働く過速度に対するATSに大別される。また、運転上の取扱い方法についても、以下のように2つに分けることができる。
●停止信号に近づいたときに警報を発し、乗務員が警報に応じた所定の取扱をしない場合に列車のブレーキを動作させる装置。︵国鉄B型・S型︶[注1]
●乗務員が信号に従った運転取扱いを行っている場合はその運転に介入せず、乗務員の︵体調不良、錯誤、故意など理由を問わず︶異常な取扱いが行われた場合にだけ介入して列車のブレーキを動作させる安全装置。
ATS装置には様々な構造があり、同一路線でも別の装置が併用・機能分担されている場合がある。以下に、その構造と分類を概説する。
車上子(写真中央○部)
列車の制御情報を地上から列車︵車上︶に伝える方式には、制御情報を連続的に車上に伝える﹁連続制御﹂、地上子など1点で情報を伝える﹁点制御﹂の2種類がある。この区別は情報の伝達に関するものであり、受けた情報に基づく速度照査の方法とは異なる。﹁点制御﹂の場合にも、速度照査に関して地上子から受けた情報を即時に照査する﹁点照査﹂の方式と、地上子からの情報を記憶して連続して照査する﹁連続照査﹂の方式がある。
制御情報を伝達するため、ATSは地上装置と車上装置によって構成されている。
地上装置とは地上に設置される、信号機の現示や速度制限などの情報を列車に送る装置であり、車上装置とは車両に搭載される、地上装置が送った情報を受け取り、条件によって自動的にブレーキを動作させる装置である。列車の速度がある値を超えた時に自動的にブレーキを動作させる機能を速度照査機能︵速照︶という。
地上装置と車上装置の違いによって、ATSは以下のように分けることができる。
打子︵うちこ︶式
信号に連動する線路上のトリップアーム︵可動打子︶で、機械的に列車のブレーキコックを操作する方式。︵点制御︶
地上子式
線路上に置かれた﹁地上子﹂を用いて、電気的に点で列車へ情報を送る方式。︵点制御︶
軌道回路式
レールに流した信号電流を用いて、電気的に列車へ情報を送る方式。︵連続制御︶
実際には、同じ制御方式でも地上子やレールに流す信号の周波数や電文︵コード︶地上子の設置場所などが事業者によって異なるため、さらに細かく分けられている。地上、車上ともに信号の周波数などを含めた方式が一致して初めてATSがシステムとして有効になる。ATSの持つ﹁地上から列車にブレーキを動作させる﹂仕組みを利用したものとして、踏切防護装置、曲線速度制限装置、分岐器速度制限装置が存在する。
軌道回路式ATSで使用される受電器(○で囲った部分)
軌道回路式とは、左右2本のレールを伝送線とし閉塞区間終端から入り口に向けて送った信号電流を車軸が短絡することで閉塞入り口には信号電流が届かなくなり、地上では在線を検知して停止信号となる回路︵軌道回路︶を利用して、車上では車軸より前に取り付けられた受電器[注2]で信号電流を受信することで、地上から車上に情報を送る方式である。連続制御可能であり、信号現示の変化に対しての追従性が良い。
軌道回路に流す信号電流の種類により商用周波数軌道回路、分倍周軌道回路、AF軌道回路[注3]、と分けられる。地上から車上に情報を送る方法としては、
●地上側で一定時間信号電流を遮断し、車上側では信号電流遮断を検知し、遮断時間で情報を識別する︵ATS-B、1号型ATSなど︶
●AF軌道回路で各信号現示に対応した周波数の信号電流を流し、これを受信する︵西武ATSなど︶[7]
●AF軌道回路で、一定周波数の搬送波を各信号現示に対応した変調周波数で変調した信号電流を流し、これを受信する︵阪急ATS、アナログATCなど︶
●AF軌道回路でデジタル信号を流し、これを受信する︵C-ATSなど︶
がある。
情報を受け渡すための地上装置一般。動作原理により変周式、トランスポンダ式などがあり、これを基準に制御する場合が「点制御」となる。ただし、「点制御」で受信した速度制限値などのデータを記憶して参照する場合には点制御でも「連続照査」「連続参照」となり、単純な「点照査」に比べ保安度は高まる。
変周式とは、車上受信器である車上子が、特定の共振周波数を持つLC回路で構成される地上子の上を通過すると、電磁結合により車上子の発振周波数が地上子の共振周波数に引き上げられるので︵これを変周作用という︶、この周波数を車上装置のフィルタ回路で検出して地上情報を得る方式をいう。地上子の共振周波数は各々の信号コマンド︵信号に対応した指令︶に対応づけられており、単変周地上子においてはLC回路の開閉による共振の有無で、多変周地上子においては各信号コマンドに対応した共振周波数のLC回路に切り替えることで、車上に情報を送る。
ATS-S地上子︵旧・新︶の内部結線図
左側が旧型、右側が外付コンデンサを取付けて電気検測車からの地上子良否検査に対応改造したもの。新型の小型地上子とは異なる
日本国有鉄道が開発したATS-S形では、車上側では車上子を含む共振回路により常時発振周波数105 kHzを発信している、その出力の一部はフィルタ回路︵105 kHz近傍の周波数しか通過できないバンドパスフィルタ︶を経由してリレーを扛上させている。地上子は、内部がコイルとコンデンサが直列接続された共振周波数130 kHzのLC共振回路で構成されており、その共振回路に地上子内蔵の制御リレー[注4]もしくは地上子制御用のリレー箱を介してケーブルが信号機の制御用継電器と接続されている。
地上子が不動作時︵信号機が停止信号以外︶には、地上子制御リレーが扛上して地上子の共振回路が無効化されているため、車上子による相互誘導による発振周波数の引き込み︵変周作用︶は起きず、車上子の発振周波数は105 kHzのままであるが、動作時︵信号機が停止信号︶には、地上子制御リレーが落下して地上子のLC共振回路が構成され、車上子の発振周波数が地上子の共振回路に引き込まれて105 kHzから130 kHzに変化する[8][9]。この時、車上子からの発振出力はフィルタ回路を通過できないためリレーが落下し、停止情報をベル鳴動および表示器の赤色灯で伝える。
元々は共振周波数が1種類だったことから、これを特に﹁単変周﹂と呼んだが、現在[いつ?]では電気検測車の車上からの地上子良否検査を可能にするため、地上子制御用リレー箱内の制御ケーブルにコンデンサ︵外付コンデンサ︶を接続して、地上子制御リレーが扛上し短絡されている不動作時の共振周波数を車上装置のフィルタ回路を通過する周波数である103 kHz付近とすることで、車上計測を可能にしている[注5]。
その後、改良された地上子は複数の共振周波数を持たせる共振回路構成になり︵これを多変周と呼ぶ︶[8]、共振回路の共振周波数に応じて地上子からの信号コマンドを送るシステムとなった。いずれも車上子の単独発振周波数の変化または、後述する脱変周式では複数の周波数を車上子から送出し、特定周波数の上昇を検知して地上子の情報を得る。
京王電鉄、小田急電鉄、東武鉄道などの信号ATSがこの多変周方式で、東武ATS (TSP) は周波数の一部をパターン発生地上子に割り当てている︵信号ATSとは別に過速度・過走防止ATSがある︶。
最近の分類では意味の薄れた﹁多変周 - 単変周﹂を避け﹁多情報 - ︵単情報︶﹂と整理されている。またATSシステムとしては多数の変周周波数を使用しても、単機能地上子として1周波数ということもある。
JR西日本が開発したATS車上装置であるATS-SW2形は脱変周式と呼ばれる共振周波数検出方式を採用しており、スペクトラム拡散方式により、車上装置から車上子にATS地上子で使用されている共振周波数帯域の複数の周波数を常に送信しており、車上子と地上子が電磁結合すると、地上子では共振電流が流れ、車上子では地上子から発信される共振周波数の信号スペクトルの受信レベルが上昇して、それをFFT方式によるスペクトル解析で共振周波数帯域の複数の周波数ごとの信号スペクトルの受信レベル変化によるピーク周波数を検知して共振周波数を検出している[10]。
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ATS-S形の構成図と常時発振周波数および共振周波数の流れ。A: 増幅器︵105 kHzを発信︶、B: 車上子、C: 地上子、D: フィルター回路︵105 kHzだけを通過させる︶、E: リレー、赤の矢印の線は、増幅器から発信される常時発振周波数105 kHzの流れ、黒の矢印の線は、地上子からの共振周波数130 kHzの流れ。
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ATS-S形の地上子と地上子制御用リレー箱の内部結線図。A: コイル、B: 内部抵抗、C: コンデンサー、D: 外付コンデンサー、E: 地上子制御リレー︵QRリレー︶の接点、F: 地上子制御リレー︵QRリレー︶、G: ケーブル。
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トランスポンダ︵地上子︶とは、鉄道ではデジタル情報送受地上子のことで、送信機能のみのものも含めて呼んでいる。ATS-P形で知られる様になったが、それ以前にも新幹線には多数使われている。元々はトランスミッタ︵送信機︶とレスポンダ︵応答機︶で構成される通信機器のことであり、問い合わせに対して応答するもの、もしくは中継器を指していて、多くの情報を高品質と高速度で伝達する機能を有している。
トランスポンダ式地上子を使用している、ATS-P形の基本的な地上設備は、符号処理器 (EC) と中継器 (RP) と地上子で構成されており、地上子と車上子との間の送受信に使用される周波数︵搬送波︶は、有電源地上子又は無電源地上子から車上子に送信する際は1708 kHz、車上子から有電源地上子に送信する際は3000 kHz、車上子から無電源地上子に送信する際は245 kHz[注6]を使用しており、変調方式はFSK変調︵Frequency Shift Keying : 周波数偏移︶を使用している[注7]。通信方式は双方向での情報伝達が可能なよう二重通信方式を使用しており、64 kbpsの伝送速度で、HDLCのフレーム構成に準拠した電文構成により、1フレームあたり88又は96ビットのデジタル信号が、繰り返し伝送されている。また、地上装置と車上装置の間では、そのデジタル信号を一旦変換︵変調︶してから、送受信を行うため、その変換手段としてモデムを使用しており、その変調器 (MOD) と復調器 (DEMO) を使用して、送信の際では、変調器にデジタル信号を入力して変調波を出力させ、受信の際では、復調器に変調波を入力してデジタル信号を復元させることにより、情報を得られるようになっている。
列車の速度を計測し、その速度が許容された速度の範囲内であるか否かを照合することを速度照査(そくどしょうさ)と言う。
列車が線路上の2点を通過するのにかかった時間から速度を計測する方法を時素式と言う。計測を地上側で行う方式(地上時素式)と車両側で行う方式(車上時素式)がある。速度を客観的に測定することができる点で優れているが、原理的に「特定の地点において制限速度を上回っている場合に停止させる」以外の機能を持たせることができない。2019年現在も多くの事業者で使用されているが、パターン照査を導入するために演算式へ移行ないし併用する事業者が増えている。
地上側に設置された列車検出装置でタイマーを起動して一定時間停止地上子を有効にし、この間に列車が停止地上子に到達した場合に列車を停止させる。常時有効な停止地上子を配置することで絶対停止機能を兼ねることができる点で優れているが、地上子に電源が必要である。1960年代に伊豆急行が採用したほか、国鉄分割民営化後にはJR東日本・JR北海道・JR貨物でも採用された。
2基一対の地上子を車上子が通過する時間を車両側で計測し、一定時間以下であった場合に列車を停止させる。地上子の電源を省略できる点で優れているが、その性質上0 km/hの速度照査が不可能であるため速度照査そのものには絶対停止機能を持たせることができない。1960年代に名古屋鉄道が採用したほか、国鉄分割民営化後にはJR東海・JR西日本・JR四国・JR九州でも採用された。
地上側から車両側へ制限速度に関する情報を送信し、車両側が保有する距離や速度に関する情報と照らし合わせて列車を減速または停止させる方法。連続的な照査、さらには制限速度を運転曲線に従って徐々に下げるパターン照査が可能である点や、常用制動機能を付加することが可能である点で優れているが、車両側の距離や速度に関する情報は基本的に車軸の回転から得るためあくまで理論値である。1960年代に東京急行電鉄・京浜急行電鉄・京成電鉄が採用したほか、1980年代以降にパターン照査を導入した事業者は、すべてこの方式か、あるいはこの方式との併用である。
ATSが導入される前は、「車内警報装置」(車警)という自動列車保安装置が使用されていた。この装置は文字通り「警報」を発生させるのみであり、自動的に列車を停止させる機能はなかった。また、かつて東京・大阪・名古屋の各地下鉄の一部路線で使用していた「打子式ATS」についても述べる。
日本国有鉄道では、線区によってA形、B形、C形の3種類の車内警報装置が使われていた。これらのうち、B形はATS-B形に、C形はATS-S形へと発展した。
東海道本線の全区間に1960年までに導入を完了した[11]。
方式はAF軌道回路式で、1300 Hz の搬送波に 20 Hz︵進行・注意信号︶または 35 Hz ︵停止信号︶を振幅変調した電流をレールに流し、車上の受電器で受信する。列車は通常時は 20 Hz の信号電流を受信し、車内の表示器にはそのことを示す白色灯が点いている。注意信号を現示している信号機を通過すると 35 Hz を受信し、車内の表示器には赤色灯が点灯するとともにベルが鳴る。また、停止信号を冒進し、信号電流が受信されなくなった時は赤色灯が明滅しブザーが鳴る。運転士が確認ボタンを押すとベルまたはブザーが鳴り止む[12]。
主に信号方式が非自動の区間で使われた。方式は#B形(軌道電流形)・S形(地上子形)(ATS-S形)を参照。
京阪神急行電鉄︵現在の阪急電鉄︶で1963年に使用開始[16]。車内に信号機の現示を表示し、制限速度を超えた場合に警報が鳴動した。これを元として阪急形ATSがつくられた[17]。方式は前述のA形と同様のAF軌道回路式︵ただし使用している周波数は異なる︶。
線路の脇に設置された、打子式ATSのトリップアーム
(地下鉄博物館の展示物)
打子式ATSのトリップアームが動作する様子。停止現示から注意現示へ上がると、トリップアームが下がる。(ニューヨーク市地下鉄ハーレム125丁目駅)
国鉄・JRでは実用として使用されたことはないが、打子式ATSが1927年︵昭和2年︶に東京地下鉄道︵現在の東京メトロ銀座線︶の開業時に採用された。
このシステムはアメリカ・ニューヨーク市地下鉄やドイツ・ベルリンSバーンで同種のシステムが導入されていたのを参考に導入されたもので、実用的なものとしては日本で最初に採用されたATSである。
帝都高速度交通営団︵現在の東京地下鉄︶丸ノ内線・大阪市交通局 ︵現在のOsaka Metro︶︵大阪市営地下鉄御堂筋線・四ツ橋線・4号線︵中央線︶︶・名古屋市交通局︵名古屋市営地下鉄︶東山線でも採用されていた[18]。日本国内の地下鉄路線においてこのタイプのATSを使用していたのは、全て第3軌条方式の集電システムを使用していた路線であった。
線路の脇に設置されたトリップアーム︵可動打子︶を地上子、台車下部の軸箱付近に設置されたトリップコックを車上子として用いる[18]。トリップアームは閉塞信号機のほぼ直下にあり、信号機が停止現示の時にアームが立ち上がり、その状態で列車が通過するとアームがトリップコックに当たる[18]。トリップコックはブレーキ管に接続されており、これが開かれて減圧するため非常ブレーキがかかる[注8]。列車が在線している区間の閉塞信号機と、その1つ手前の信号機が連続して停止現示を示す﹁重複式﹂とすることで2個目の停止信号手前で停止する仕組みとなっている。なお、ブレーキ管減圧後、トリップコックレバーは自動的に復帰する[19]。
停止信号現示以外に警戒信号現示でもトリップアームが立ち上がる路線もあった。その場合、警戒現示が続いていても、列車が手前のある地点を通過してから一定時間後にトリップアームが下がるように設定されていた。つまり、列車が警戒信号に従って徐行していれば、トリップアームは既に下がっていて、そのまま通過できる。トリップアームが下がる前に進入すれば速度超過と判定されて非常ブレーキがかかるという、簡潔な方法ながら確実な速度照査を行なっていた[注9]。
大阪市営地下鉄︵当時︶では1号線︵御堂筋線︶の混雑緩和を目的として建設された2号線︵谷町線︶東梅田-谷町四丁目間開業の際︵1967年3月︶にWS-ATCが導入されて以降、新規開業線区では全てATCが導入されるようになった。さらに既開業線区についても1970年︵昭和45年︶の大阪万博開催に伴う輸送力増強策の一環[注10]としてまず1969年︵昭和44年︶12月に中央線で、続いて1970年︵昭和45年︶2月に御堂筋線で打子式ATSの使用停止・撤去[注11]とWS-ATCへの全面切り替えが実施された。最後に残った四つ橋線も1972年︵昭和47年︶11月9日の玉出 - 住之江公園間がWS-ATC設置で開業するのに合わせて既開業区間にもWS-ATCを導入して打子式ATSが使用停止・撤去され、これをもって大阪市電気局による1号線開業以来の打子式ATSが全廃となった。
これに対し、単純な機構ながらも高い信頼性を持つことから、営団地下鉄︵当時︶銀座線・丸ノ内線では1990年代まで、名古屋市営地下鉄東山線では2000年に入ってからも打子式ATSの使用が続けられていた。しかし、物理的手法による限界からスピードアップ時の安全確保に対応することができず、銀座線では1993年︵平成5年︶、丸ノ内線では1998年︵平成10年︶に使用を終了している。
名古屋市営地下鉄東山線が2004年︵平成16年︶で使用を終了したことにより、日本の鉄道事業法や軌道法に基づく鉄道で、この方式を用いたATSは全てATCに置き換えられ、消滅した[注12][注13]。
大手私鉄各社で採用されているATSには、1967年︵昭和42年︶1月に運輸省︵現在の国土交通省︶通達[66]により﹁速度照査機能﹂の付加と﹁常時自動投入﹂が義務づけられたが、詳細な仕様は各社の裁量に任されたため、多くの種類が存在する。機能が強化された背景には、日本の大手私鉄の実状として、都市部を除く平均的な国鉄線区と比べ、駅間距離が短い、分岐器を含め急曲線が多い、高頻度運転を行う、乗車率が高いことなどがある。
設置が義務付けられた速度照査機能は、最終的な冒進速度照査を20 km/h以下としているため、確認扱いさえすれば最高速度︵ATS-Sx区間の運転最高速度は130 km/h︶で冒進可能な国鉄・JRのATS-B、ATS-S、後の改良型ATS-Sxと比較して、衝突事故に対する安全性が高い。運輸省通達ATS設置後の区間においては、運転士の停止信号見落としを原因とする重大事故が発生していない。
地方私鉄においては、JRや大手私鉄と同一・類似方式のATSが採用されていることが多い。また、独自のパターン照査を導入した例もある。しかしながら、通達の基準に該当しない中小事業者ではATS整備が遅れた所も多く、ATS未整備の路線において停止信号冒進による衝突事故が発生し、事故後にATSを導入するという後手の対策となりがちであった。1987年︵昭和62年︶4月に運輸省省令で全国の鉄道会社にATSの原則設置義務付けを行ない、1990年︵平成2年︶には全国の地方運輸局を通じて早期設置の申し入れをおこなったが、2001年︵平成13年︶の京福電気鉄道︵現在のえちぜん鉄道︶の正面衝突事故を契機に、国土交通省から中小事業者に対し、ATS整備の指示と、補助金が支給されたことにより、未設置路線へのATS設置が促進された。
1967年︵昭和42年︶運輸省通達は当時の国鉄には適用されず、JR発足の前日である1987年︵昭和62年︶3月31日付けで廃止されたため、JR各社に適用されることはなかった。一方、鉄道に関する技術上の基準を定める省令[注57]が2002年︵平成14年︶3月31日から施行され、ATS設置の判断が従来の認可制から届出制に変わった。また、2006年︵平成18年︶3月の技術基準改定で、曲線、分岐器、線路終端などの線路の条件に応じた速度照査機能が必須となったため、安全性の向上と現行ダイヤの維持を目的としたATSの改良やATC化を発表した私鉄もある。
国鉄のATS-S型に近いが、地上子を2つ並べて、その2つの地上子を通過する時間によって速照する方式である。国鉄のATS-Sの改良型に似ている。地上子の間隔により照査速度を任意に設定可能で、地上との相対速度で計測するので速度計と関与がない。名古屋鉄道、京阪電気鉄道、南海電気鉄道で採用。
M式ATS地上子
終端部の例(佐屋駅)
名古屋鉄道で使用されている変周式の車上タイマー方式の自動列車停止装置である。M式ATSという別名を持つ。
2つの地上子の間を0.5秒以内で通過すると動作するようになっている。
1965年︵昭和40年︶に須ヶ口駅 - 鳴海駅間に設置されたのを皮切りに1968年︵昭和43年︶までに鉄道線全線︵軌道法適用区間である豊川線を含む︶で設置を完了した。
地上子は共振周波数130 kHzでATS-Sロング地上子と同じだが、2基1対の速度照査を構成して冒進速度を20 km/h - 5 km/hに押さえており、Sxなど他の多くの変周式地上子とは異なり進行方向に向かって右側に設置されているため、名古屋本線との共用区間となるJR飯田線・豊橋駅 - 平井信号場間にもATS-PTとともに設置されている。
グループ会社である豊橋鉄道の渥美線でも1500 V昇圧後の1997年︵平成9年︶に同型のATSを採用した。
京阪電気鉄道で使用されている自動列車停止装置の一種である。前述の名古屋鉄道方式とは速度照査などの基本的な構造はほぼ同一であるものの、速度制限などの取り扱い方法は異なる。
京阪電車の信号による速度制限は、絶対停止0 km/h・警戒25 km/h・注意45 km/h・減速65 km/h、進行の5種類である。警戒・注意・減速の現示による速度制限を5 km/h上回ると直ちにATSによる非常ブレーキがかかり、完全停止するまで復旧できない[67]。同社は、JR福知山線事故後、京阪本線枚方公園駅・淀駅 - 中書島駅・深草駅・鳥羽街道駅 - 東福寺駅間に存在する急カーブに速度照査ATSを直ちに設置した。これらの急カーブの曲線通過速度は直前の走行速度に比べ25 - 40 km/hの差がある。カーブにおける速度照査の方法はパターン照査の原理に似ている。たとえば、制限速度60 km/hカーブに対し、制限開始地点200 m手前で100 km/h以上であれば直ちに非常ブレーキ、150 m手前で90 km/h以上であれば非常ブレーキ、100 mで…、50 mで…というように順を追って速度照査と非常ブレーキ管理をしており、制限開始地点までに﹁絶対減速﹂を試みている。オレンジのカバーがかけられているATS地上子がこれに該当する。
なお、京阪は2008年︵平成20年︶11月に発表したプレスリリースで、2014年︵平成26年︶度より多情報連続制御式﹁K-ATS﹂への切り替えを進め、2016年︵平成28年︶度に京阪線全線で新システムを稼働させるとし[68]、2015年︵平成27年︶12月5日より京阪本線深草駅 - 鴨東線出町柳駅間で導入された[69]。京阪線は全面的にK-ATSに切り換わったため[70]、現在はこの点制御ATSは大津線のみで使用している。
多変周式信号ATS(多変周式(点制御、連続照査型))
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地上子で車両側が信号機の現示に対応する信号を受信・記憶し、その信号に合わせた一定の速度で連続的に照査する。信号機の現示アップなどで照査速度が上がっても、次の地上子を通過して信号を受信するまでは照査を続けるか、確認ボタンを押して照査を解除する。確認ボタンが不可な会社・路線では、たとえば、警戒信号の速度制限を受けた場合、現示アップしているのにもかかわらず、長時間の低速を余儀なくされることから、タイミングによっては列車の遅延につながるという欠点がある。
●採用例
●京王電鉄︵ATC切り換えで廃止︶
●小田急電鉄︵OM-ATS[71]。D-ATS-P切り換え完了で廃止︶
●近畿日本鉄道︵順次パターン式を平行導入︶
●三岐鉄道︵北勢線︶
●養老鉄道
●伊賀鉄道
●四日市あすなろう鉄道
●西日本鉄道︵多情報式であるが多変周式ではない︶
近鉄には速度超過防止用︵曲線区間、分岐器など︶や終点用の他、転動防止用のATSもあり、これらも多変周式である。西鉄の地上子は永久磁石と高周波送信コイルを横に並べて設置したもので、コイルが無信号の状態でも照査が行われる[72]。
点制御式の多くの場合では、地上子制御リレーに異常があり制御線が断線状態となれば、地上子のLC共振回路の作用だけで特定の一意の共振周波数︵多くの場合最下位現示︶に自然と固定され、故障状態でフェイルセーフになる長所がある[注58]。
東武鉄道TSP式(多変周式・パターン照査型)・東京都交通局T形ATS
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東武鉄道TSP式ATS地上子
(写真右、左はT-DATCトランスポンダ地上子)
多変周・点制御式ATSだが、速度照査を他の方式のように信号現示に応じて階段的に行うのではなく、車上装置で発生する2段階の速度照査パターンを用いて連続的に行い、列車速度がその速度照査パターンを超過した場合に非常ブレーキが掛かる独自のATSである[73]。これは当時直通運転を実施する計画であった東京都交通局との共同開発であった。
JRのATS-Pと異なる点は、トランスポンダのように停止信号までの距離を伝送して1段階の減速パターンを発生するのではなく、信号機の現示に応じて2段階のパターン︵電車の場合60 km/hまで減速、15 km/hまで減速の2パターン︶を用いて速度照査を行う点[73]。なお、運転台上に減速パターンの速度照査発生時の照査速度を表示する表示灯があり、ATSによる減速パターンの速度照査が行なわれていることを確認できる[73]。8000系の初期修繕車までは、運転台の表示灯部に60と15と書かれた表示灯があったが、6050系や8000系の1987年以降の修繕車、9000系以降では、運転台の速度計の60 kmと15 km付近にATCの車内信号の表示に類似した表示灯があり、丸形の15と60の表示、または、60 kmと15 kmの指針外側に青色発光の三角矢印▼︵8000系の東上線・越生線用T-DATC搭載のワンマン対応車および9000系量産車・9050系、10000系以降のT-DATC搭載車[注59]︶で表示される。
東武や後述の西武においてパターン式を必要としていたのは、導入当時電車列車に比べて制動性能の劣る貨物列車が多数設定されていたことに対応するためであった。
2017年より東武鬼怒川線で運行を開始した﹁SL大樹﹂の牽引機となる蒸気機関車にも例外なく取り付けが行われたが、C11 207やC11 325は他社からの借受および譲受による導入で、車上装置は運転台に設置したものの電源装置が小型のタンク機関車のため設置が出来ず、電源車としてヨ8000形を別途繋げてジャンパケーブル接続による方式で装置を稼働させている。
ATS-TSP作動時の運転台表示、15km照査の表示灯が点灯している。(東急5000系)
後に国鉄ATCでも採用されたAF軌道回路を使ってレール又は添線に連続的にある信号の現示に対応した照査速度信号を流し、列車側はATCでも使用されている受電器でこの信号を受信して連続的にこの照査速度で照査される。信号の現示がアップした際はすぐにアップした照査速度の信号を受信することができる。ただし、地上子を併用している場合は多変周式と同様次の地上子まで照査を続ける。
●採用例
●西武鉄道
●相模鉄道︵磁石式地上子併用。ATS-Pに切り換え完了で廃止︶
●阪急電鉄
●阪神電気鉄道
●山陽電気鉄道
●西日本鉄道︵磁石式地上子併用︶
このうち西武と阪急の一部路線はパターン式ATSとなっている。阪神は運行時に﹁危険域﹂・﹁有コード﹂でランプ表示している。なお、相鉄は相鉄新横浜線開業およびJR東日本との直通運転に備えて、2014年3月30日に磁石式地上子方式のATSからJR東日本と同一の機能のATS-P型に更新された。
また、阪急のみパターンによる速度照査に抵触した場合は他社のような常用最大ブレーキではなく、非常ブレーキが動作するが照査速度以下になると自動的に緩解する[注60]。そのため阪急ではパターン式ATS導入時に電磁直通ブレーキ車を対象に、非常ブレーキを従来の空気ブレーキ管式から電気指令式へ改造する工事を実施した。
国鉄ATSのB型と同様にレールに常に電流を流し、電流を切ることによって信号を送っている。この電流を切る時間で照査速度を車両側に伝えている、また車上子はATCと同様の受電器を使用する。
東急多摩川線で使用されている、東急ATSのキャンセルループ(添線)とその標識。
東京急行電鉄がS42通達にあわせて導入した[14][15]、信号機直下に軌道に並行したキャンセルループ︵添線︶を備え、このキャンセルループに軌道回路に流れる軌道電流の逆位相の電流を流すことで擬似的に軌道電流を停止した状態をつくる。そこに車上装置がそのキャンセルループを通過した際に、その時間を計測し、1秒以下であれば速度超過と判断して非常ブレーキを動作させる[14][15]。速度照査は閉塞区間進入時毎に行われる点照査となる。ただし、次の信号機がR現示の場合には、警報が鳴り始め信号機直下のキャンセルループでは速度照査ができないので︵0 km/h照査となるので︶、信号機から60 - 80 m前方にキャンセルループが設置されていて︵運転士に分かるように線路脇に黄色四角の標識が設置されている︶、そこで15 km/h照査を行うようになっており、信号機手前で安全に停止できるようになっている。
軌道線を除く東急のほぼ全線で使用されていたが、後に運転速度が95 km/h以上になる路線︵東横線・田園都市線・目黒線、大井町線︶は新CS-ATC︵田園都市線︶あるいはATC-P︵東横線・目黒線・大井町線︶に変更され、現在は池上線・東急多摩川線のみで使用されている。
京成電鉄・北総鉄道・芝山鉄道および新京成電鉄で使用されている。また、かつては京浜急行電鉄および東京都交通局︵都営地下鉄浅草線︶でも使用されていた[74]。
1960年︵昭和35年︶12月、都営地下鉄1号線︵現在の浅草線︶が京成電鉄押上線との相互乗り入れで開業するに際して採用され、1967年︵昭和42年︶1月の私鉄ATS通達︵S42鉄運第11号︶で速度照査段を増やす改良をされた方式。打子式ATS以外では日本で最初のATSでもある[74]。ATSに関しては、上記のうち新京成以外の6者の中では、どの事業者の車両がどの事業者の線路を走っても問題なく作動する︵新京成の車上装置は﹁絶対停止﹂機能があるため、京成線乗り入れ対応車には切替装置が付加されている︶。古い規格ながら、保安度としてはATS-Pに準ずる優れたものである。無閉塞運転中も信号電流がなければ15 km/hの速度照査が行われることが他ATSには見られない特徴であり、唯一の欠点は設計当時の技術の限界により現行のC-ATS兼用の装置と新京成電鉄で採用されている絶対停止機能が無い[注61]ことであった。
交流50 Hzの軌道電流を常時流しておき、それを0.8秒間遮断することで45 km/h速度照査を、3秒間遮断することで非常制動停止と15 km/h速度照査を車上装置に伝達し、車上装置では、速度超過している場合に自動的にブレーキをかけ、0.8秒断では45 km/h減速した時点で緩解し、3秒断では非常制動で停止し、以降15 km/hで速度照査する[74]。それ以外の速度で照査する場合には、レールに設置した2箇所1対の検知子︵その間隔は照査する速度によって調整する︶を列車が通過する時間差が基準以下の場合に速度超過と判定して、上記のように軌道電流を遮断する。検知子は任意の場所に設置できるので、点照査であっても連続照査と同等の機能を有する。しかし、車上装置側では、地上での照査速度が45 km/h以上の場合には一律45 km/h、45 km/h未満の場合には一律非常制動と15 km/hの速度照査がかかってしまうので、地上装置で照査した速度に比べて必要以上に減速させてしまうことになる。そのため、下記のC-ATSの導入が進められている。
新京成電鉄︵一部区間︶・京成電鉄・北総鉄道・芝山鉄道︵予定︶・東京都交通局︵都営地下鉄浅草線︶・京浜急行電鉄の各鉄道事業者で使用されている、多情報連続速度照査パターン式のATSである[75]。
C-ATSは、基本仕様が相互直通運転の各社局で共通 (Common) であること、1号型ATSと同じく連続 (Continuous) 制御式速度制御 (Control) であることから、頭文字をCとしている[注62][75]。
軌道回路からデジタル伝送︵MSK変調を使用︶を用いて1号型ATSより詳細な情報︵無段階の速度照査、社局識別コード、上下線識別情報、勾配など︶を伝達でき、パターン信号を軌道に設置した短小添線から送る機能も持つ。従来の1号型ATSと異なり、無信号の場合は瞬時に非常制動が動作することで、絶対停止機能を有する。車上装置については、地上側からの信号で1号型ATSとC-ATSを自動的に切り替え可能となっている。
ATS表示器は運転台窓の左側に箱形の物が設置され、上中下3段のLED表示を行なう。条件の異なる多数の路線について1種類の車上装置で対応するため、車上データベースを用いずに地上装置主体のシステムとなっており、各社局ごとの事情に合わせて車上装置の動作・表示器の表示には相違がある。
注意・減速などの信号現示に対する制御は、信号機を通過した時点から現示に応じた速度照査を連続的に行い︵緑色の数字表示︶超過時は常用最大制動で照査速度まで減速させる︵京急では、注意信号外方のパターン信号発生点のB点で、68 km/hの速度照査を行う︶。停止現示に対しては、信号機外方のパターン信号発生点であるB点進入から絶対停止パターン制御信号が送信される。この時、車上装置ではベルが2連打し、ATS表示器には橙色の数字および都営・京成 では﹁P接近﹂京急では﹁P﹂が表示され、パターンを抵触した場合は非常制動で停止させる。絶対信号機︵場内・出発︶で停止した際は現示アップまで﹁NB﹂表示とともにマスコン・ブレーキハンドル位置に関わらずにブレーキがかかっている。なお、絶対停止パターンの照査範囲内で停止すると自動的に7.5 km/h照査︵誤出発防護機能︶に切り替わる。閉塞信号機停止現示の場合は、停止してから1分経過すると車上で自動的に15 km/h照査に切り替わり、無閉塞運転が可能になる[76]。なお、信号現示が変化すると地上装置から新しい情報が送信され、その都度確認スイッチを操作する必要はない。
曲線における制御は、曲線手前に信号発生点︵CB点︶を新たに設け、制御信号を送信する。京急・都営ではCB点通過後に速度制限パターンによる照査が行われ、﹁都営 : 緑色 (L)、京急 : 橙色︵L表示と照査速度の交互表示︶﹂速度超過時は非常制動︵京急︶又は常用最大制動︵都営︶が動作する。京成ではCB点において曲線区間の制限速度に対応した速度照査のみが行われ、速度超過時は常用最大制動が作動する。
各社局とも、ATSにより非常制動が動作した場合は新設した非常ブレーキリセットスイッチを操作して解除する。また新たに、ノッチカット機能も搭載した。これは、制限速度以上の力行︵加速︶および、停止信号直下︵絶対停止︶では、力行操作が自動的に切られる機能である。具体的には、制限速度以上に力行した場合、チン・ベル鳴動とともに緑色の﹁NC﹂表示点滅と同時に力行が強制的に遮断される。また絶対信号機停止現示で停車した場合は、赤色の﹁NC﹂表示とともに常用最大制動が動作し、信号が上位に切り替わらない限り、力行操作が不能となる。
京急では、軌道回路境界と速度制限開始地点が離れている箇所において実際の速度制限区間より手前で速度照査が行われてしまうので、本来の速度制限標識とは別にC-ATSの速度制限標識︵白地に赤抜きの数字︶が線路脇や信号機およびまくら木に設置されている[注63]。また、ホームドアを使用している駅では、ホームドア開扉時に自動的にノッチカットとなる機能が付いている。
京成線内では、信号が上位・下位に切り替わった場合、パターン信号解除した場合にも、それぞれベルが1回が鳴動する。
京急では停車駅直近に踏切道がある箇所において、停車駅に接近すると停車位置までの停車パターンが発生し、停車パターン抵触の際は常用最大制動または非常制動にて停止する。停車パターンが発生した際は、表示器に緑色で﹁停P﹂が表示され、パターンに接近した際はこの表示の点滅とチンと鳴るベル3回の鳴動が発生する。さらにパターンに最接近した際はこの表示が橙色に変化し、表示の点滅とチンと鳴るベル3回の鳴動が再度発生する。この停車パターンは5 km/h以下になると解除される。この踏切道防護システムの導入以降、C-ATS表示器には自列車の種別が表示されるようになった︵エアポート急行とエアポート快特については、それぞれ航空機のマークに﹁急﹂または﹁快﹂で表現︶。この種別表示については、手前の連動駅にて発車指示合図と共にC-ATS地上装置から種別情報が伝送されることによって、初めに種別表示の点滅がATS表示灯下部に表示され、発車後5 km/hを超えると表示の点滅が点灯に変わり、種別が確定する︵種別情報は、停車場での植付時に異なる列車種別へ上書きが可能である︶。次の連動駅まで種別情報を保持して、停車パターンが発生する。このシステムは2011年6月より使用開始している。
一方、京成の踏切防護システムは、各駅の出発信号機に対する制御システムを利用しており、その駅で停車すべき列車については出発信号機が停止現示の場合と同様の動作をする。この際、列車種別の判別は地上側の緩急行選別装置で行なわれており、車上装置への種別情報送信は行なわれない。
2007年︵平成19年︶3月17日より都営浅草線で一部の機能が使用開始され、全線で常時70 km/h照査を行なっていた。この時期、車上装置に﹁C-ATS﹂と表示されるのは連動駅︵押上・浅草橋・新橋・泉岳寺・西馬込の各駅︶のみであり、他の区間では上段に﹁ATS﹂・下段に﹁70﹂と表示されていた。2009年︵平成21年︶2月14日ダイヤ改正より、京浜急行電鉄全線で使用を開始した。2009年︵平成21年︶3月21日からは京成電鉄でも京成上野駅構内および京成高砂駅構内下り線において使用開始され、続いて2010年︵平成22年︶7月3日からは京成本線︵京成上野駅 - 京成高砂駅間︶および金町線、同月17日からは同日開業の京成成田空港線︵成田スカイアクセス︶および一部区間で線路を共用する北総鉄道北総線でも使用開始された。なお、北総線および京成成田空港線︵北総線との供用区間︶では連動駅構内のみにC-ATSを導入している[77]。2011年︵平成23年︶2月26日からは都営浅草線の全区間にて運用が開始された[78]。2014年︵平成26年︶6月7日からは京成本線の全区間、同年12月6日からは新京成線の一部区間[79]、2015年8月22日からは押上線、同年12月12日からは千葉線と東成田線、2016年12月10日からは千原線にて運用が開始された。これによりC-ATSを採用していないのは芝山鉄道線のみとなっている。
静岡鉄道で2007年より導入開始され、2010年に全線・全車両に導入完了した連続制御ATSである。駅での誤通過防止・分岐器通過時の速度制限・終端駅の確実な停止などの機能を持っている。
運転台のATS表示器は上記のC-ATSと同様の物であるが、後述のK-ATSと同様に車上データベースを使用していて、表示内容もC-ATSとはかなり異なる。ATCで使用される受電器と車上子を装備しており、地上のレールから軌道ID・上下線・進路情報などのATS信号を受電器で受信すると車上装置がその各情報をもとに登録されたパターンを選択し、ATS信号が無信号となり受電器でATS信号が受信できなくなった地点からは車上で選択されたパターンに従って速度照査が行なわれる。この間、位置補正地上子2と位置補正地上子1からの位置情報を車上子が受信して位置補正が行なわれ、第1パターンにおいて速度超過した場合には常用ブレーキにより減速させ、続いて第2パターンにおいて速度超過した場合には非常ブレーキにより停車させる。パターン停止位置を超えた場合は絶対停止地上子により非常ブレーキが作動する[80]。
通常走行中は、表示器の上段に﹁ATS﹂とのみ表示され、パターンによる速度照査が始まると下段に﹁P﹂の文字が点滅、停止位置直前で中段に赤色の﹁10﹂︵速度照査10 km/h︶、下段に赤色の﹁L﹂が表示される。
2015年12月より京阪電気鉄道京阪本線の深草駅︵現在の龍谷大前深草駅︶ - 出町柳駅間で使用開始された多情報連続式ATSである。現在は大津線を除く全線に拡大されている。
車上データベースを使用している。上記2者と同様のATS表示器が運転台に設置されてはいるが、その表示内容は上記2者とは異なるものとなっている。
地上装置から列車に伝送された信号現示や転轍機の開通方向などの情報と、車上装置に記憶された信号機位置・勾配などの情報に基づいて、列車が走行している位置での上限速度を算出し、列車速度との常時速度照査を行う。信号現示や曲線などの情報に基づく速度制限に加えて踏切やホームでの異常にも対応する機能を備えている。地上子による位置補正および信号機直下や終端部の絶対停止地上子により非常制動を作動させる機能もある[81][82]。
ATS表示器は、上段に﹁7連﹂などのように列車の編成両数が表示される。中段にはパターン発生時の﹁P﹂や、パターンに接近した際や曲線区間などでの制限速度を超えて進入した場合、または一部条件下において前方が停止信号だった場合で自動で常用最大ブレーキがかかっている状態では﹁NB﹂が、自動で非常ブレーキがかかった際には﹁EB﹂と表示される。下段には﹁停車﹂・﹁通過﹂や、一部条件下で制限速度などが表示される。また、旧型の点制御ATS区間では下段に﹁点制御﹂と表示される。パターンに最接近した際などになる音はC-ATSのチンと鳴るベルに対し、K-ATSではピコンと鳴るチャイム︵C-ATSとは異なり、パターン区間終了までチャイムは継続される︶であり、また停車を促す目的でブッ・ブッと鳴るブザーも用意されている。その他、﹁NB﹂﹁EB﹂の表示が出た際、ビーボービーボービーボーと鳴る音も存在する。
曲線区間などに列車が制限速度を超えた状態で近づくと、﹁ピコン﹂とチャイムが鳴動し、ATS表示機には中段にパターン発生時の﹁P﹂が表示される。運転士はここで手動でブレーキを掛ける。制限速度の+5 km/hでチャイムは鳴りやみ、ATS表示機のパターン発生時の﹁P﹂は消灯する。
カーブの制限速度を超えた状態でそのカーブに入ると、自動で制限速度まで常用最大ブレーキで減速し、ATS表示機には中段には﹁NB﹂表示とともに下段には制限速度が表示される。
列車が停車する駅に近づくと、駅によっては停車を促す目的でブッ・ブッとなるブザーが鳴動し、同じく駅によっては表示機下段に﹁停車﹂が表示される。連動駅では出発信号機の現示が停車列車の場合停止現示に落ちているため、減速→注意(→警戒)の信号減速パターンが発生し、連動駅以外の場合は停止位置付近を収束点とした誤通過防止パターンが発生する。停止位置付近で列車の運転速度が8Km/hを下回ると10 km/hの頭打ちパターンが発生し、これは出発信号機付近で収束する。この速度照査は出発時刻または出発信号が進行現示になった場合に解除される。
なお、京阪線の駅に設置されている﹁30﹂﹁25﹂﹁15﹂﹁8K﹂﹁5K﹂の標はあくまでATS目安標、すなわち駅入線時に発生したATSパターンが記されている速度に当たるということであり、ここで速度照査が行われているわけではない。
駅でのホーム非常通報ボタン動作の際は、駅に入る直前までに止まれるようにパターンが生成され、﹁ピコン﹂とチャイムが鳴動し、ATS表示機には上段に﹁駅特発﹂と表示。中段にパターン発生時の﹁P﹂が表示される。この場合、停車中の場合やパターンに間に合わない場合は強制的に非常ブレーキがかかる。
K-ATSのKは自社の会社名の頭文字である﹁KEIHAN﹂の﹁K﹂から採られている。また、システムは京三製作所製のものを採用している。
なお、2021年から、最後まで残っていた点制御区間︵土居駅守口市側から西側=京橋方面︶がK-ATS化され、また同年度中には残る車庫内の線路もK-ATS化したことで、京阪線から点制御ATSは消滅した。
小田急電鉄全路線で導入されているATSであり、JRのATS-Pとは互換性がない。
これまでの地上子による情報伝送の他に、軌道回路も制御に用いるもので、地上子と軌道回路の双方からの情報で制御する︵この点はかつては相鉄が使用し、現在でも西鉄が使用中の地上子と軌道回路を併用しているATSと類似している︶。これまで地上子で伝送していた信号現示についてはレールからの伝送とし、地上子からは2つ先の閉塞区間の距離を伝送する。信号現示による最高速度はこれまで通り︵注意現示=45 km/hなど︶となるほか、信号機が下位現示である場合はその現示が示す最高速度まで減速する速度パターンが車両側で生成される。そのため速度パターンは多段制御の速度パターンとなる。また踏切支障・ホーム上の非常スイッチ操作が生じた場合も自動で非常ブレーキが作動できるようになるほか、現在よりも信号現示を増やすことも検討されている。
整備が完了したことから、第1期区間として2012年︵平成24年︶3月31日より多摩線において使用が開始され[83]、次に第2期区間として江ノ島線において、第3 - 5期区間︵3期に分割︶として小田原線の新百合ヶ丘 - 小田原間において使用を開始したのち、2015年︵平成27年︶9月12日の新宿 - 新百合ヶ丘間での使用開始をもって小田急全線への導入が完了した[84][85][86]。
トランスポンダ地上子によるデジタル情報の技術を使用したもの
編集
東武鉄道︵T-DATCを導入の東上本線を除く︶で導入されているATSであり、JRのATS-Pとは互換性がない。2013年9月現在、導入予定等の発表は行われていないが、業界誌で解説が行われている[87]。
ATS-P形と同じく、トランスポンダ地上子により、該当する信号機や次の信号機の信号現示・信号機までの距離・勾配などの情報を車両側に送信して、車両側ではそれを元に信号機までの速度照査パターンを発生させる方式であるが、ATS-P形と異なり減速 - 警戒信号に対してもパターンが発生する。また曲線や分岐器での速度制限でも、同様にトランスポンダ地上子から曲線区間や分岐器までの距離とそこでの速度制限の情報が送信されて、車両側で曲線区間や分岐器までの距離に応じた速度照査パターンと曲線区間や分岐器での速度制限を発生させ速度照査を実施する。トランスポンダ地上子から線路情報が送信されるため、他社線からの相互直通運転を容易にできる。また車両側には従来の変周式とトランスポンダ式を一体化した車上子を搭載している。
近畿日本鉄道で導入が進められているATSである。
従来の地上子により、車両側で信号機の現示に対応する信号を受信・記憶し、その信号機に合わせた一定の速度で連続的に照査する機能の他に、分岐器・曲線区間・終端での速度制限を実施するため、新たにトランスポンダ地上子を設置して、この地上子から分岐器・曲線区間・終端までの距離情報と分岐器・曲線区間での速度制限情報を車両側が受信・記憶して、分岐器・曲線区間・終端までの速度照査パターンと分岐器・曲線区間での速度制限を発生させ速度照査を実施する。また車両側には従来の変周式とトランスポンダ式とを一体化した車上子を搭載している。
南海電気鉄道で導入が進められているATSである。
従来の地上子により、車両側で信号機の現示に対応する信号を受信・記憶し、その信号機に合わせた一定の速度で連続的に照査する機能の他に、分岐器・曲線区間・終端での速度制限を実施するため、新たに変周周波数の数を増やした地上子とトランスポンダ地上子を設置して、それらによって発信される分岐器・曲線区間・終端までの距離情報と分岐器・曲線区間での車両側で受信・記憶することにより、分岐器・曲線区間・終端までの速度照査パターンと分岐器・曲線区間での速度制限を発生させ速度照査を実施する。また車両側には従来の変周式車上子とは別に新たにトランスポンダ式車上子を搭載している。
軌道法による軌道の場合には、新設軌道と併用軌道が混在している軌道と道路の路面以外の併用軌道については、続行運転や道路上にある交通信号や、海上や河川での運行上、および道路上にATS地上子の設置が困難なことから、閉塞方式自体が不要か簡略化されており、ATSなどの警報装置自体の設置が完全に義務化されていない。
ただし、軌道法適用の路線・区間でも、事実上鉄道として運用されていた路線・区間において﹁鉄道の信号・ATS﹂を運用している。かつては京阪本線など多数にのぼったが、官公庁統廃合により運輸省と建設省が統合され国土交通省となって以降は、ほとんどが鉄道法適用に切り替えられた。現在でもこの形態を取っている路線としては、名鉄豊川線と福井鉄道福武線が現存する[注64]。
台湾の中長距離鉄道を運営する台湾鉄路管理局の一部路線に、1970年代後半に導入されたもので[88]、スウェーデンのエリクソン︵当時︶製であった。注意信号の現示箇所を90 km/hを超えて進行した場合、または停止信号の600 m外方で警報が鳴動し、5秒以内にブレーキ操作をしない場合には非常ブレーキが動作する方式であった。1990年代末に、ボンバルディア製のATPが導入され、発展的解消をとげた。
中国の中長距離鉄道を運営する中国鉄路総公司の路線に、1980年代後半に導入されたもので、主に幹線区間を中心に導入された。規格は日本のATS-PやATCに準じている。曲線・勾配の速度照査は、ICカードに記録されている情報に基づいて行われる。
韓国では1969年から鉄道庁の主要路線に、日本国有鉄道のATS-Sと同格の装置が順次導入された。さらに1974年の[89]首都圏電化に伴い運行されるようになった電車には、多変周点制御車上連続速度照査式ATSが搭載された。ブレーキ弁ハンドル挿入による電源自動投入、警報後5秒以内に常用全ブレーキにより確認扱いが可能、などの機能を有しているが[90]、減速信号現示に対する照査はない。ソウルの首都圏電鉄1号線、2号線に地上設備が設けられているが、2号線はATO化される予定である。1980年代に、鉄道庁の幹線である京釜線に、5現示自動閉そく信号化に併せて、首都圏電鉄と同等の速度照査式ATSが設けられた。照査速度は高速寄りに読み替えて使用されていた。また、曲線の速度制限に対する速度照査機能も併設された。なお、京釜線、湖南線はユーロバリスを用いたATP化の途上にある。
(一)^ 場内信号機のない終端駅でもATS地上子があるため如何を問わず確認扱いは必ずある。
(二)^ 受電器はATC︵自動列車制御装置︶でも使用されている
(三)^ 鉄道の場合のAF (Audio frequency) とは慣行的に電話・通信と同様300 Hz- 3000 Hz余の周波数を指しているが、元々は可聴周波数 (16 Hz - 20,000 Hz) を指すもの。分倍周は交流電化区間などノイズの多い区間に採用されており、当初は電動発電機などの機械装置で供給されていてAFとは区別された。
(四)^ 後年になり設置された地上子は、共振周波数を変化させるリレーが一体化されている。
(五)^ 地上子の﹃空振り﹄はATSの機能喪失につながるため、地上子のQ値が一定の値以上であることを定期的に計測し保守してきた[9]。
(六)^ 電力波と呼ばれ、電力供給の無い無電源地上子から情報の供給を受ける際、車上子から電力波を無電源地上子に送信して、無電源地上子はそれをエネルギー源にして定められた内容のデジタル情報を返送する。
(七)^ 変調後の周波数は、地上→車上1708 kHz ±32 kHz、車上→地上︵情報︶3000 kHz ±32 kHzとなる。
(八)^ これは、基本的にはブレーキ管の減圧で非常ブレーキが作用する自動空気ブレーキ機能を備えた車両の運用が前提となる保安システムである。ただしトリップコックを非常ブレーキ制御線回路を遮断するための電気スイッチに置き換えれば電気指令式ブレーキ搭載車でも利用可能であり、例として営団01系電車や02系電車がある。
(九)^ これは、通常は停止信号を2つ重ねるべき箇所で、1つ目の信号機を警戒現示することで少しでも列車の間隔を詰められるようにするために行なわれた︵クロージング・イン︶。
(十)^ 打子式ATSでしかも吊掛式の旧型車が混在しており車両性能が不統一であった当時の1号線では、列車運行間隔は最短でも2分15秒で、これ以上の短縮とこれによる列車増発は不可能であった。このため新しいWS-ATC導入と同線在籍車両の全面置き換えを行って性能を統一することで最短運行間隔を15秒短縮し、2分とすることが計画された。
(11)^ ただし、四つ橋線用車両の定期検査が我孫子検車場で実施されていた関係で、同線のWS-ATC化完了までは同線との接続駅である大国町と我孫子検車場の最寄駅である我孫子の間については御堂筋線でも例外的に四つ橋線車両用として打子式ATSを残し、御堂筋線車両用のWS-ATCと併用する措置がとられていた。
(12)^ 製鉄所の構内鉄道などでは現存する。
(13)^ 鉄道事業法適用路線として上野動物園モノレールが打子式ATSを採用していた︵2012年11月時点︶。
(14)^ 例外として、伊豆急行線はATS-S装備の国鉄車両の乗り入れがあるため、国鉄車両の改造を要せずかつ私鉄に出した運輸省通達を満たすために、地上タイマー方式の速度照査機構を設置している。
(15)^ SW2形と同様にスペクトラム拡散方式でのFFT方式によるスペクトル解析で共振周波数を検知する脱変周方式を採用しており、ATS機能のみとその機能に加えて振り子制御を行うために、車両側で地上子を検知して地点信号を出力する機能の2種類がある。
(16)^ 電車の場合は0.50秒、機関車の場合は0.55秒で設定されており、車上で予め設定されている。
(17)^ 列車が設定された速度以上になると非常ブレーキにより停止できるように地上側の地上子間隔を、設定された速度おいて車両側が0.5秒で通過できる間隔に設定して設置する。
(18)^ 駅付近の踏切において、列車番号情報により駅に停車するか又は通過するかを判断して踏切の警報時間の均一化を図る機能であり、車上側から車上子の常時発振周波数にその情報である360±12 kHzの周波数のMSK変調波を重畳︵重ねて︶して地上側の地上子に送信され、地上側ではその情報を地上子で受け取り、その後、信号回路の電源ケーブルを通り電子踏切装置に送られて、駅での通過又は停車を判別して踏切の警報時間を制御する。
(19)^ 108.5 kHz。
(20)^ 100 kHz - 110 kHzとの間。
(21)^ JR東海がATS-PTを導入したため一旦不要となったが、駿豆線の速度照査が車上時素式に更新されたため再び必要になっている。
(22)^ 信号機の現示表示が警戒信号 (YY) から注意信号 (Y) に変更される。
(23)^ 信号機までの距離の他に、現示コード︵その時の信号機の現示︶・地上子情報︵有電源地上子又は無電源地上子かの情報︶・信号機種別︵出発・場内・閉塞などの信号機の種類︶・次の地上子までの距離の情報を送信するとともに、信号機がG現示の場合は、2つ先の信号機がR現示として仮定して︵ただし必ずしもR現示ではないが︶、そこまでの距離情報を車上に送信する。
(24)^ 車上で作成・記憶されたパターンで使用される列車の速度検知と距離積算は、速度発電機からの出力パルスを使用する。
(25)^ JR東日本・相鉄・北越急行・東京臨海高速鉄道・伊豆急行所属車両︵JR西日本681系/683系はくたか用編成、名鉄2000系、JR東日本乗り入れ時代のJR東海373系含む︶ではゴング音が、JR西日本・智頭急行所属車両︵JR東海所属の285系含む︶では電子チャイムがそれぞれ鳴る。
(26)^ Y現示は1つ前の信号機まで、G現示は2つ前の信号機までの距離情報︵最大4000 m︶を送信して、速度照査パターンの更新を行う。
(27)^ 現示アップが発生しない場合には信号機までの距離情報又は即時停止情報か送信されるが、R現示の信号機から外方︵手前︶50 mで停車した列車が、信号機が現示アップして運転を開始した場合には、照査パターンの更新を列車に送信する。
(28)^ 信号機から手前180 m・85 m・20 m。
(29)^ 信号機から手前280 m・180 m・130 m・85 m・20 m。
(30)^ カーブでの速度制限の場合、制限速度・制限区間長・カーブまでの距離などの情報を車上に送信する。
(31)^ 下り勾配では、勾配の大きさに応じて列車の減速度にマイナスが発生するため、その値を補正値として車上に送信する。
(32)^ JR貨物所属の機関車は速度加算部分を無効にして走行する。
(33)^ ただし、交直切替は交直流車のみ、架線電圧切替は新在直通用のみ搭載。異電化や非電化進入防止は不明。例えば、﹁交直切替地上子﹂や﹁非電化区間地上子﹂通過が直流車・交流車は即時停止︵即非常ブレーキ作動︶、気動車・蒸気機関車は無効に設定している場合もある。セクション地上子も力行・停止制限対応も電気車は有効・気動車は無効である。
(34)^ 交流電化区間や異電圧区間の存在しない相鉄・北越急行・東京臨海高速鉄道・伊豆急行・JR東海・JR西日本など﹁非電化区間地上子﹂はJR各社及び各社の車両基地内の架線が無い場所がある、このコード領域を無効又は即時停止等︵未定義コード等︶にしている。
(35)^ JR西日本保有の﹁D51 200﹂は炭水車のエンジン側のドローバー付近に車上子を設置している。
(36)^ VE︵バリューエンジニアリング︶手法による省スペース化を図ったもの
(37)^ ただし、2011年7月1日の鉄道に関する技術上の基準を定める省令の改正に伴い、営業運転での使用は全面禁止となった。回送列車と試運転列車などの非営業列車の場合、は事前の申請を行った上での特例が出される。
(38)^ 電力波の245 kHz
(39)^ ただし、伊東駅 - 南伊東駅間のうち、下り線は松原トンネル入口 - 水道山トンネル中間のみATS-Si[26]、上り線はこの区間もATS-P[27]
(40)^ 但し、JR東日本およびJR西日本︵JR東海所属の285系電車を含む︶のATS-P車上装置を搭載している車両では通常通り常用最大ブレーキがかかる。
(41)^ ATS-Pでは大幅な後退運転すると誤動作をしてしまうので、構内でATS-Sxに切り替える必要がある。なお、2013年3月ダイヤ改正以降は姨捨駅に乗り入れるJR東海の車両による定期運用は消滅した。
(42)^ 騒音の多い環境での使用を考慮したため
(43)^ 最高頭打ち照査速度だけは機能している。
(44)^ JR東日本およびJR東海管内で使用
(45)^ JR西日本管内で使用
(46)^ JR東日本車・JR東海車はATS-P切換連動スイッチを開放、JR貨物車は西モードに設定して当該区間を走行する。
(47)^ 宝塚駅の福知山方にATS-PからATS-SWに切り替えているかを注意する標識がある。
(48)^ 車上子の常時発信周波数を103 kHzから73 kHzに変更し、従来の108.5 kHzと123 kHzと130 kHzの他に、新たに80 kHz・85 kHz・90 kHz・95 kHzを地上子の変周周波数として追加。その他にも踏切鳴動開始用のバックアップ列車検知器と分岐器速度照査装置を作動させるために、100.5 kHzの周波数を73 kHzに加えて地上子から送信している。
(49)^ 車上で生成されたパターンで使用される列車の速度検知と距離積算は、ATS-P形と同じく、速度発電機からの出力パルスを用いるが、2台の速度発電機を使用することにより、より精度を上げている。
(50)^ 90 kHz又は95 kHzの変周周波数を発振させる地上子。
(51)^ Pbパターンにおいては、マーカ地上子から95 kHzを受信後に走行距離3 m以内で103 kHzを受信後に消去される。
(52)^ 速度照査パターンの補正は、第2パターンだけを補正する。
(53)^ 108.5 kHzと95 kHzの地上子。
(54)^ 検知方式は、車上送受信器から車上子にスペクトラム拡散信号を送信して地上子の変周周波数を検知する、脱変周方式を使用する。
(55)^ 発振される変周周波数は、103 kHz・108.5 kHz・123 kHz・130 kHzの4種類。
(56)^ 頭打ちパターンとよばれている。
(57)^ JR各社を含む全鉄道事業者を対象としている。また、この省令の施行により従来の普通鉄道構造規則、鉄道運転規則、新幹線鉄道構造規則、新幹線鉄道運転規則は廃止された。
(58)^ 変周式の基本構造は、故障状態でも不動作が無い︵車上側が反応する︶ことを第一の設計要件とし、地上子の電子回路に故障しやすい電源および能動素子︵トランジスタやリレーなど︶を必要とせず、受動素子︵RLC等︶のみを使用しかつ無電源で動作する方式として、旧国鉄の技術陣が発明した
(59)^ T-DATCで用いる車内信号表示灯の一部をATS表示灯と共用している
(60)^ 従来の照査速度の信号によるATSブレーキの場合は、常用最大ブレーキが作動する。
(61)^ 3秒間の軌道電流無信号︵この間は空走時間となる︶により速度超過を伝達する原理上、別途方式を採用しない限り絶対停止信号を車両に伝達できない。
(62)^ ﹁多情報パターン制御式ATS﹃C-ATS﹄装置 - 相互直通運転に対応した地上データベース方式 - ﹂﹃鉄道と電気技術﹄ 2008/10 日本鉄道電気技術協会
(63)^ 標識の設置は変更前の数日に行われた。
(64)^ 名鉄豊川線は軌道線適用の事実上の鉄道線であるめため、他の名鉄鉄道線同様変周式ATSを採用している。一方、福武線は併用軌道区間が存在するため、鉄道法適用区間も含めて軌道電流式ATSを採用している。