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[[1963年]]に設立。[[数理科学]]を含む[[数学]]全般を対象とする、[[日本]]で初めて設立された[[研究所]]である。設立にあたっては﹁自然科学、工業技術との関連に重きをおくもの﹂{{Sfn|できるまで|1984|p=72}}とされ、[[コンピュータ]]の開発に伴って、数学の応用範囲が拡大されている現実に対応するため、数理科学の総合研究を目的として発足した。
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附属施設として計算機構研究施設がある。 |
附属施設として計算機構研究施設がある。 |
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数理科学全般に関する国内唯一の[[共同利用・共同研究拠点]]である。毎年80回以上の研究集会、共同研究︵必ずしも公開されない研究会︶等を開催しており |
数理科学全般に関する国内唯一の[[共同利用・共同研究拠点]]である。毎年80回以上の研究集会、共同研究︵必ずしも公開されない研究会︶等を開催しており{{Sfn|1_沿革と現況|2012|p=2}}、国際研究拠点として活動しその充実を目指している。参加者は約4500人に上る。共同研究や、セミナー、研究集会などに参加する海外研究者も多く訪れている。
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所員は設立以来40から50人。雑用が少なく、講義が義務ではない。大学院では研究者の養成を目的としており、定員は修士課程、博士後期課程で各10名で、主として指導教員による一対一の個人指導による教育が行われている。
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所員は設立以来40から50人。雑用が少なく、講義が義務ではない。大学院では研究者の養成を目的としており、定員は修士課程、博士後期課程で各10名で、主として指導教員による一対一の個人指導による教育が行われている。
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設置している科学技術計算用高速計算機は、[[流体力学]]等の応用数学の問題に使用され、多くの成果を上げている。 |
設置している科学技術計算用高速計算機は、[[流体力学]]等の応用数学の問題に使用され、多くの成果を上げている。 |
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附属計算機構研究施設は理論的成果に基づいた先端的ソフトウェア技術の研究開発を目的としており、様々なソフトウェアが開発されてきた。1980年代に立石電機(現:[[オムロン]])らと共同開発した、かな漢字変換による[[日本語入力システム]]「[[Wnn]]」は、現在でも[[携帯電話]]等の組込機器に広く使われている |
附属計算機構研究施設は理論的成果に基づいた先端的ソフトウェア技術の研究開発を目的としており、様々なソフトウェアが開発されてきた。1980年代に立石電機(現:[[オムロン]])らと共同開発した、かな漢字変換による[[日本語入力システム]]「[[Wnn]]」は、現在でも[[携帯電話]]等の組込機器に広く使われている{{Sfn|1_沿革と現況|2012|p=3}}。 |
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2022年8月4日 (木) 12:34時点における版
京都大学数理解析研究所 | |
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正式名称 | 京都大学数理解析研究所 |
英語名称 | Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University |
略称 | RIMS |
所在地 |
![]() 〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 北緯35度1分49.1秒 東経135度47分8.9秒 / 北緯35.030306度 東経135.785806度 |
所長 | 熊谷隆 |
活動領域 | 数学、数理科学 |
設立年月日 | 1963年5月1日 |
発行雑誌 | Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences、講究録別冊 |
出版物 | RIMS Preprint、数理解析研究所講究録 |
ウェブサイト | 京都大学数理解析研究所 |
概要
1963年に設立。数理科学を含む数学全般を対象とする、日本で初めて設立された研究所である。設立にあたっては﹁自然科学、工業技術との関連に重きをおくもの﹂[1]とされ、コンピュータの開発に伴って、数学の応用範囲が拡大されている現実に対応するため、数理科学の総合研究を目的として発足した。 附属施設として計算機構研究施設がある。 数理科学全般に関する国内唯一の共同利用・共同研究拠点である。毎年80回以上の研究集会、共同研究︵必ずしも公開されない研究会︶等を開催しており[2]、国際研究拠点として活動しその充実を目指している。参加者は約4500人に上る。共同研究や、セミナー、研究集会などに参加する海外研究者も多く訪れている。 所員は設立以来40から50人。雑用が少なく、講義が義務ではない。大学院では研究者の養成を目的としており、定員は修士課程、博士後期課程で各10名で、主として指導教員による一対一の個人指導による教育が行われている。 大研究部門制︵1999年︶を取っていることもあり、分野ごとの教員数は特に定まっておらず、長期的にはかなりの変動がある。設立当初は解析、応用解析などの趣が強かったが、現在は純粋数学の研究の方が盛んである。 日本における数学研究の中心的存在で、著名な数学者が所属した。例えばフィールズ賞受賞者の広中平祐・森重文、ウルフ賞・ショック賞受賞者の佐藤幹夫、ガウス賞受賞者の伊藤清、ファルカーソン賞︵2003年︶受賞者の藤重悟・岩田覚︵現東大教授、元京都大学数理解析研究所教授︶、ポアンカレ賞受賞者の荒木不二洋︵国際数理物理学会会長を務める︶、チャーン賞︵2018年、アジア初︶受賞者の柏原正樹などである。 研究集会の報告集は、﹁数理解析研究所講究録﹂︵英: RIMS Kōkyûroku︶が年数十巻程度、査読ありの﹁数理解析研究所講究録別冊﹂︵英: RIMS Kōkyûroku Bessatsu︶が年十巻程度、それぞれ刊行されている[3]。沿革
概略
本研究所に先立って、数学系研究所として統計数理研究所が設立されており、設立にあたって、確率・統計に関係のある研究部門を除いた9研究部門と計算機室を設置することが認められた。 9部門・1施設︵計算機室︶の設置を、予定では3部門ずつ増設して4年間で完成ということであったが、実際には初年︵1963年︶度から毎年2部門増となり、9部門と1施設の完成に5年を要し、建築はさらに1年遅れた。 建物については、初年度は建物がなく、土木学教室の一部を借り受けて研究室とし、下阿達町にあった木造庁舎の一部を事務室として使用した。初年度の工事は年度末には完了し、手狭ではあるが離れ離れで不便であった研究室と事務室とが同じ建物の中にまとまることができた。その後、第2期工事︵1964年度末完了︶、第3期工事︵1966年度末完了︶、第4期工事︵1968年度︶を経て、6年を要して研究所が完成した。計算機室の整備を第5年度にしたのは、当時電子計算機の進歩が急速で、予定された予算でなるべく性能の良い計算機を設備したかったからである。 1975年、理学研究科に﹁数理解析専攻﹂が設置され、数理解析研の独立した大学院教育を開始する。1994年、大学院重点化に伴い、数理解析専攻は大学院理学研究科の﹁数学・数理解析専攻﹂の﹁数理解析系﹂として再編され︵﹁数学系﹂は理学部数学教室の大学院︶、現在に至る。 1999年に3大研究部門︵基礎数理・無限解析・応用数理︶と1附属施設︵附属数理応用プログラミング施設︶に改組し、これが現在の数理解析研の基本的な体制になっている。 2009年に本館の耐震補強工事が行われ、建物の外観や内部設備が一新された。ただし、本館のスペース不足は否めず、現在は、本部キャンパス等にも部分的に居室・セミナー室を確保している。 2013年に創立50周年を迎えた。年表
●1963年 数学と数理科学に関する総合研究を目的とする全国共同利用研究所として設置[4]。初年度に2つの研究部門が設置され、1969年までに当初計画されていた9研究部門が完成する[4]。 ●1970年 所員の広中平祐がフィールズ賞を受賞[5]。 ●1971年 附属数理応用プログラミング施設︵現在の附属計算機構研究施設︶を設置[4]。 ●1990年 森重文がフィールズ賞を受賞[5]。 ●1999年 最終的に設置された13の研究部門を、3大研究部門︵基礎数理研究部門・無限解析研究部門・応用数理研究部門︶と1つの附属施設︵附属数理応用プログラミング施設︶に改組し、現在の体制となる[4]。 ●2006年 ●伊藤清名誉教授がガウス賞を受賞[5][6]。野村グループの寄付により、伊藤清博士ガウス賞受賞記念数理解析寄附研究部門が設置される︵2007年度から3年間運営︶[4]。 ●数理解析先端研究センター︵後に数理解析研究交流センターと名称変更︶設置[4]。 ●2012年 量子幾何学研究センターを設置[4]。 ●2018年 柏原正樹がチャーン賞を受賞[5]。教育と研究
組織
以下の3部門・1施設で構成されている。 ●基礎数理研究部門 ●無限解析研究部門 ●応用数理研究部門 ●附属計算機構研究施設研究
計算機の利用
数理解析研のコンピュータシステムは、専任の技術職員によって管理・保守されている。所員はもとより、内外からの多数の来訪者に安定した計算機環境を提供している。 設置している科学技術計算用高速計算機は、流体力学等の応用数学の問題に使用され、多くの成果を上げている。 附属計算機構研究施設は理論的成果に基づいた先端的ソフトウェア技術の研究開発を目的としており、様々なソフトウェアが開発されてきた。1980年代に立石電機︵現‥オムロン︶らと共同開発した、かな漢字変換による日本語入力システム﹁Wnn﹂は、現在でも携帯電話等の組込機器に広く使われている[7]。採択事業
21世紀COEプログラム ●2003年 数学、物理学、地球科学[8] ●﹁先端数学の国際拠点形成と次世代研究者育成﹂︵数理解析研究所︶教育
大学院教育
現在、京都大学大学院理学研究科に﹁数学・数理解析専攻﹂が設置され、二つの系﹁数学系﹂﹁数理解析系﹂からなる。前者は理学研究科数学教室、後者は数理解析研究所所属となり、それぞれの教員の下で研究指導を受けることになる。 なお、数学教室と数理解析研ではそれぞれに特色ある研究活動がなされているが、同時に、異分野間交流も盛んに行われている。農学部を挟んで数百メートルの距離にあるが、毎週談話会が開催されている。その他にも、多くの研究分野で数学教室と共同の研究セミナーが開催されている。歴代所長一覧
代 | 氏名 | 在任時期 | 備考 |
---|---|---|---|
初代 | 福原満洲雄 | 1963年5月 1日 - 1969年3月31日 | 理学博士 |
第2代 | 吉田耕作 | 1969年4月1972年3月31日 | 1日 -理学博士 |
第3代 | 吉澤尚明 | 1972年4月1976年3月31日 | 1日 -理学博士 |
第4代 | 伊藤清 | 1976年4月1979年4月 1日 | 1日 -東京大学 理学博士 「確率微分方程式」の確立 |
第5代 | 島田信夫 | 1979年4月1983年4月 1日 | 2日 -理学博士 |
第6代 | 広中平祐 | 1983年4月1985年1月30日 | 2日 -京都大学理学博士、ハーバード大学 Ph.D. 名誉教授 |
第7代 | 島田信夫 | 1985年1月31日 - 1987年1月30日 | 理学博士 |
第8代 | 佐藤幹夫 | 1987年1月31日 - 1991年1月30日 | 東京大学 理学博士 名誉教授 「佐藤超函数」の導入 |
第9代 | 高須達 | 1991年1月31日 - 1993年1月30日 | 東京大学 理学博士 |
第10代 | 荒木不二洋 | 1993年1月31日 - 1996年3月31日 | 京都大学 理学博士、プリンストン大学 Ph.D. |
第11代 | 齋藤恭司 | 1996年4月1998年3月31日 | 1日 -ゲッティンゲン大学 Ph.D. |
第12代 | 森正武 | 1998年4月2001年3月31日 | 1日 -東京大学 工学博士 |
第13代 | 柏原正樹 | 2001年4月2003年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第14代 | 高橋陽一郎 | 2003年4月2007年3月31日 | 1日 -東京大学 理学博士 |
第15代 | 柏原正樹 | 2007年4月2009年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第16代 | 藤重悟 | 2009年4月2011年3月31日 | 1日 -京都大学 工学博士 特任教授(2012年まで) |
第17代 | 森重文 | 2011年4月2014年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第18代 | 向井茂 | 2014年4月2017年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第19代 | 山田道夫 | 2017年4月2020年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第20代 | 熊谷隆 | 2020年4月2022年3月31日 | 1日 -京都大学 理学博士 |
第21代 | 小野薫 | 2022年4月 | 1日 - 現職東京大学 理学博士 |
所員
脚注
参考文献
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