警笛
警笛(けいてき)は、交通機関等で自らが近づくことを他の通行対象に知らせるための音(警告音)またはそれを発する保安用具。
自動車や鉄道車両、船舶等において警告音を発する装置は警音器(けいおんき)ともいう。特に自動車では一般にクラクション(klaxon)やホーン(horn)と呼ぶ。
このほか、警察官が警告時などで用いるホイッスル(呼子笛)も警笛という(ホイッスルまたは呼子笛を参照)。
名称[編集]
自動車[編集]
船舶[編集]
船舶では汽笛︵きてき︶という。ちなみに﹁霧笛﹂とは、船舶の汽笛による霧中信号を指すこともあるが、正式には霧信号所による音波信号のことである。鉄道車両[編集]
鉄道車両では蒸気で吹鳴するものを汽笛、圧縮空気で吹鳴するものは空気笛︵または空笛︶と称する[4]。これらはホイッスルとも呼ばれるが、これは1836年にアメリカの蒸気機関車に初めて汽笛を取り付けたジョージ・ホイッスラーの名前に由来する[5][6]。自動車[編集]
自動車では﹁クラクション﹂または﹁ホーン﹂と呼ばれることがある。ホーンスイッチ部のトランペットマークから俗にラッパとも。 警笛を鳴らすためには警笛用のスイッチを操作する。警笛用スイッチは運転中に手の届く範囲に設置されており、大抵はステアリングのどこかに取り付けられている。警笛用のスイッチは、操作している間のみ通電し電気的・電磁的に音を発生させ続けるものが主流である。通常、取付位置はボンネット内先頭部に取り付けられている。不協和音を出すことにより危険を回避するものである[7]。また、取り付け位置を大規模に衝突させたり、車両火災が発生した場合に回路が残存している場合、バッテリーが切れたり回路が焼け切れる、あるいは措置をするまで鳴動し続けることがある[8]。 本来は危険防止のために使用する警音器であるが、防犯上などのため安全装置の作動として警音器が鳴ることもある︵後述︶。 日本では1930年(昭和5年︶に宮本喇叭製造所︵現在の宮本警報器︶の電気ホーン国産化により軍用車に採用されたのが始まりである。装備に関する基準[編集]
欧州[編集]
国連欧州委員会︵UN/ECE︶の多国間協定である自動車の構造及び装置に関する規則︵UN/ECE規則︶には127の項目があり︵2010年2月現在︶、そこには警音器︵警音器はAudible Warning Devices︶の項目もある[3]。1995年からは欧州域外からの参加も可能となっている[3]。日本では2009年までに約40項目でUN/ECE規則が国内基準として採用されている[3]。日本[編集]
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使用に関する基準[編集]
日本[編集]
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違反となる使用例[編集]
●お礼や挨拶でクラクションを鳴らす行為︵サンキュークラクション、サンキューホーン︶[18][16] ●前を走る車が遅い時にクラクションを鳴らす行為[16] ●青信号になっても動かない車に合図としてクラクションを鳴らす行為[16]インド[編集]
インドではクラクションの音が都市生活における環境音の1つになっているとさえいわれており、デリーでは騒音公害の70%がクラクションによるものである[19]。 法律上、病院や学校、信号機付近などはクラクションの禁止区域となっているほか、交通渋滞中にクラクションを鳴らす行為も禁止されており、罰金が定められているものの実際に科せられる例はほとんどないという[19]。 対策も検討されており、例としてムンバイの主要交差点では、クラクションによる騒音が85デシベルを超えると赤信号の待ち時間がリセットされる信号機を、2019年より試験的に導入している[20]。安全装置等による作動[編集]
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自動車用ミュージックホーン[編集]
自動車用品として、警笛でメロディを奏でるミュージックホーンが存在する。これは内部の円盤にスリットを刻み、モーターやエア圧で回転させることで音階の違うホーンを吹き分けて演奏する仕組みである。stebel社はゴッドファーザー 愛のテーマやラ・クカラーチャ、fiamm社も同様の仕組みの製品を製造しており、製品ごとに様々な曲目が存在した。磁気テープや半導体メモリを使用した鉄道用ミュージックホーン︵後述︶とは異なり、動作時に円盤の回転に遅れが出るとリズムが狂う欠点がある。 日本では昭和45年12月の保安基準改正により警音器の音は音量、音色が一定した連続音と定められた。これにより公道上での使用は違法となり[26]、三連や五連のホーンは暴走族のアイテムとなった[27]。船舶[編集]
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日本の船舶[編集]
鉄道車両[編集]
鉄道車両における警笛の概要を以下に述べる。
日本の鉄道車両[編集]
吹鳴方法[編集]
吹鳴の場所[編集]
警笛︵汽笛︶を鳴らす場面としては、次のような場合が挙げられる。 ●駅を発車する場合︵通常の列車では、下に挙げるごく一部の事業者を除き省略されているが、臨時・回送列車では耳にすることもある。JRのローカル線や地方私鉄など、利用者が比較的少なく本数設定も僅少な路線であると、発車や到着の合図として扱う場合もある︶小田急ロマンスカーの補助警報音が吹鳴できる形式では、駅到着時と発車時に吹鳴されることが多い。それに対して小田急30000形電車など、補助警報音を吹鳴出来ない形式は、警笛を吹鳴可能だが、吹鳴しないことが多い。 ●交通量の多い踏切や警報機、遮断機の設備がない踏切、対向列車とのすれ違い直後に通過せざるを得ない瞬間 ︵﹁離合負け防止﹂などと呼ばれる︶ ●単線並列以上の線路本数があり、別線に先行列車が踏切通過している最中、または通過し終わった直後に踏切を自列車が通過する時(﹁すれ違い警笛﹂と呼ばれる) ●ある程度以上の距離を持つトンネルや、鉄橋の通過前︵これらの施設はジョイント音の反響、風速などが強いため、徒歩巡回を行う保線員へ列車の接近を確実に予告する意がある︶ ●保線工事が行われている場合 ●警笛吹鳴表示の存在する箇所︵第4種踏切の手前など︶ ●停車場外︵駅間︶で停車していた列車が発車する場合︵信号機の停止現示からそれ以外の現示となり、発車する場合など︶ ●優等列車など通過列車が駅を通過する場合︵都市近郊駅においては列車案内装置の普及により、この場合での吹鳴は定期列車では減少傾向にあるが、臨時・回送列車、ホーム上の混雑がある場合、列車案内装置などからの予告に反して点字ブロックより内側へ退避しない利用客を運転士が目視で認めた場合など、適宜適切、効果的に用いる︶ ●停車駅に到着する場合︵主にラッシュ時などで混雑している場合、地下駅で曲線、勾配の直上、直下、直後に駅ホームが配置されている場合など︶。ホームドアが設置された駅では、警笛吹鳴の頻度は減っているが、フルスクリーンタイプ以外のホームドア設置駅では、ホームドアに沿って歩く者やもたれかかる者、ホームドアの上に乗り出して列車撮影をする者などがいるため、鳴らすこともある。また歩きスマホやで前を見ていなかったり、ヘッドフォンの装着で入線アナウンスや列車の音に気付かず、点字ブロック上やその外側を歩く者に対して鳴らすことも多い。 ●推進運転、停止位置の修正に入る場合︵逆行する場合も、順方向へ吹鳴する︶ ●駅構内・車庫で入換を行う場合 ●駅構内・車庫における検査や試験を行う場合︵機関車牽引列車の場合、前後に機関車を連結したプッシュプル方式や重連運転では、連結後に互いのブレーキテストを開始する際に吹鳴する︶ ●駅構内において、列車の編成を複数から1本の列車に連結する作業を要する場合の続行列車︵駅ホーム到着後、先行列車との併結作業に入る場合[29]︶ ●上記に付随し、1本の列車から複数の列車編成として分割作業を済ませた後、解結作業後に同一ホームの後寄りから発車する列車の発車時 ●気動車・ディーゼル機関車のエンジン始動時 ●開業一番列車︵式典列車︶[30] ●災害等で長期運休した後の試運転一番列車、復旧一番︵式典︶列車[31] ●両車に運転士が乗務し、無線を用いない・または使用できない状況における機関車の重連運転やプッシュプル運転時、前方の機関車運転士から後方の機関車運転士へ指示を送る場合 ●非常制動時 ●人身事故および踏切の無謀横断・事故、架線・信号機トラブルなどで一時不通になった直後に、運転再開された列車が当該区間を通過する場合、万が一、線路上に残っている作業員や警察官、レスキュー隊、救急隊員に対し、列車の通過を知らせるため。 ●その他の危険回避のため、非常事態、駅頭停車中の場合は係員の非常呼集︵いずれも非常時。汽笛合図の項も参照︶ ●哀悼の意︵JR西日本では、2006年以降、毎年4月25日の9時18分前後に兵庫県尼崎市の福知山線脱線事故の事故現場を通過する、尼崎駅方面へ向かう電車は、ミュージックホーンをOFFにした状態で、必ずタイフォンを長く鳴らす︵ただし、2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響で追悼式典が中止され、警笛もなかった。2022年は追悼式典こそ行われたものの、2020年、2021年に続いて警笛は鳴らされなかった。また、信楽高原鐵道は1991年に発生した信楽高原鐵道列車衝突事故の慰霊の為に毎年5月14日の10時30分すぎに滋賀県甲賀市の事故現場付近の慰霊碑を通過する列車が長めの汽笛を鳴らしている。 ●鉄道愛好家や、小児︵親子連れ︶へのサービス︵俗に﹁サービス警笛﹂などと呼ばれるもので、本来警笛を吹鳴する場所や状況でなくとも、撮影・録画者、沿線住民子息などへのサービスとして、発車時や通過時に警笛を︵電子笛、ミュージックホーンなどが装備されていれば、こちらを優先して︶比較的軽めに短く扱う場合がある。これは運転士・機関士の裁量による。蒸気機関車牽引列車は上述の構造上に加え、イベント列車でもある特性上、余程の苦情申し立てを恒常的に行う者の居所[32]付近でなければ、比較的頻繁に汽笛の取扱いを行う傾向にある。警笛のメーカー[編集]
●三菱電機 ●クラリオン ●ナブテスコ ●オジデン︵電気笛ペダル部品︶ ●日本電音 ●八幡電気産業 ●TOAエンジニアリング ●ミツバ︵JR北海道・関東鉄道など近年製作の各種気動車、阪急阪神HD鉄道事業者が装備する車両の電気笛︶ などイギリスの鉄道車両[編集]
鉄道発祥の地・イギリスの郊外列車・都市間列車・貨物列車で運用される車両においては、高音と低音のものが1本ずつ鳴り分け可能として装備されているのを耳にすることができる。同国の鉄道車両に範を得ているこの鳴り分け様式は日本でも京阪電気鉄道京阪本線系統の車両で採用例がある。この節の加筆が望まれています。 |
中国の鉄道車両[編集]
中華人民共和国[編集]
中華人民共和国の鉄道においては、3和音(3連)の空気笛が主流。過去には、蒸気機関車にも3和音の空気笛(汽笛でなく、3連ホーン)を搭載するものが在籍した。
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香港[編集]
香港MTRの鉄道線においては、上水以北のごく一部を除き他の交通との立体交差が実現済みであること、乗務員室と客室との仕切りは全面が窓なしの壁であること、TASCと類似のシステムが導入されている路線や車両もあり、始終着駅ホームであっても運転士(当地では「車長」)は、一般客ホーム先の柵・ガラス扉などで囲われた場所にて乗務開始、交替、引き上げを行う業務運行が確立しており、基本的に旅客への接遇・案内は行わないため、事実上「依頼警笛」が不可能なことに加え、ホームドアの設置も進捗していることから、香港域内を走行する電車の場合、警笛の取扱いは保線施工区間手前、ホームドアなし駅の混雑時などに限られ、旅行者が意識して耳にできる機会は多くない。いっぽう香港トラム・軽鉄はフートゴングも搭載し、軽めの警告には前者、危急時あるいはフートゴング鳴動にも無反応と判断した場合は、強い警告を警笛で―といった要領で、車長の裁量で使い分けを行っている。併用軌道を持つこれら軌道系電車線は、比較的頻繁に警笛類の取扱いを行う傾向にある。いずれも装備するものは電気笛で、日本のダンプカーのものと似通った甲高い警告音である。
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ミュージックホーン[編集]
小田急電鉄[編集]
先駆けとなった3000形﹁SE﹂車ではエンドレステープを用いていた。小田急電鉄では﹁ミュージックホーン﹂とは呼ばず﹁オルゴール﹂と称している。導入の経緯については﹁小田急3000形電車_(初代)#補助警報装置﹂も参照。 同社では騒音問題を鑑み、一度はオルゴール装置の使用停止・装置自体の取り外しが進められた︵詳しくは﹁小田急ロマンスカーのSE・NSE時代﹂も参照︶が、50000形﹁VSE﹂車で復活した。2012年現在では、下記で述べる稼働中の搭載車両であれば、同社線および箱根登山線内の始発駅・停車駅・終着駅において、入線・発車時に、儀礼的な鳴動を比較的耳にすることができる︵旋律の2連奏が多い。60000形﹁MSE﹂車の場合、東京メトロ千代田線内での使用制限もない模様。逆にJR御殿場線内では、後述のJR東海の規定で認めていない。無論、使用するか否かは、ハンドル扱いを行う運転士の裁量による︶。 1983年に大井川鉄道︵現・大井川鐵道︶に譲渡された3000形﹁SSE﹂車は、同社の産業遺産保存方針から小田急時代のサービスのほとんどを復活させ、オルゴールも復活したが、わずか4年後の1987年に運用を離脱している。 ●就役中の搭載車両︵すべて特急車両のみ︶ ●50000形﹁VSE﹂車 ●60000形﹁MSE﹂車 ●70000形﹁GSE﹂車 ●過去の車両︵すべて特急車両のみ︶ ●3000形﹁SE﹂﹁SSE﹂車 ●3100形﹁NSE﹂車 ●7000形﹁LSE﹂車 ●10000形﹁HiSE﹂車 ●20000形﹁RSE﹂車京王電鉄[編集]
2017年に運行を開始した京王新5000系(以下京王5000系)が2018年2月22日に登場した有料特急である﹁京王ライナー﹂運用時に鳴らされる。京王5000系は2022年12月現在で現在6編成導入されており、当時(2018年)、まだ5編成導入の時に、一編成目である5731Fは登場時には現在のものとは音色の違う音源を使用していた。だが、京王ライナー運行開始直後の2018年3月頃に、﹁京王ライナーは夜間走行時に多く運用に充てられるため、大きい音を立ててミュージックホーンを鳴らすのは迷惑だ﹂と判断され、5731Fのミュージックホーンは5732~5735の物に変更された。2019年に新編成として5736Fが登場したが、ミュージックホーンは従来の物と変化はなかった。 吹鳴方法は、運転台のマスコン横のボタンを一度押すともう一度押すまで鳴り続ける。途中で止めることはできず、最後まで鳴り続けるのが特徴。足で弱く踏むと電子ホーン、足で強く踏むと大電子ホーンが鳴る。名古屋鉄道[編集]
ミュージックホーンという機構や着想について小田急電鉄に先を越された名古屋鉄道︵名鉄︶では、小田急のテープ式とは異なり、当時の最新技術であるトランジスタを採用した警笛であることを強調するため、ミュージックホーンを﹁トランジスタホーン﹂と謳い宣伝した。かつての名鉄では、高山本線直通列車用のキハ8000系を間合いで使用していた早朝の名古屋本線豊橋方面行き特急列車が、ミュージックホーンを連続で鳴動させながら走行していたことから、沿線住人はキハ8000系が奏でるミュージックホーンを毎日の時報代わりにしていたという逸話が残っている。また、沿線の学校ではドップラー効果の説明にミュージックホーンを用いることもあったという。 乗務員室の警笛類に関する機構は、﹁2連空気笛﹂︵1000系列︶または﹁電子ホーン+深踏みで2連空気笛﹂︵2000系以降︶の警笛ペダルと別個に、独立したミュージックホーンペダルが用意される。2000系およびそれ以降に就役した特急車両の場合は、ミュージックホーン演奏中に警笛ペダルを取り扱うと演奏キャンセル︵鳴動中止︶となる。これは、ミュージックホーンと電子ホーンの鳴動を1基のスピーカーで共用していることによる。 基本的な旋律に関しては、7000系デビューでの装備以降変わらないものとなっており︵編成による﹁個体差﹂も数多い︶、沿線住民や愛好家からは﹁どけよホーン﹂と呼ばれ親しまれている。これは、ミュージックホーンを大音量で鳴らしながら高速運転する特急の姿を見て、地元住民がいつしか﹁どーけーよー……﹂という、揶揄するような歌詞を付けるようになったものとされている[33]。旋律の作者は、ミュージックホーンの製作を担当した小糸工業︵現・コイト電工︶に依頼された作曲家であるとされる。名鉄は﹁旋律の著作権は自社にある﹂として具体的な氏名は伏せているが、7000系の開発に携わった名鉄OBの白井昭によれば﹁相当有名な人物﹂であるという[34]。 その後、8800系から1230系までは大型スピーカー機器からビブラートを効かせたスローテンポなシンセサイザー調の旋律を奏でるものとなり、さらに1600系以降は一般的な電子ホーン機器からオクターブの高いトランペット調の旋律を奏でるものとなった。 前述の白井によると、ミュージックホーンの使用を開始してから10年ほど経った頃、名鉄社内で﹁10年一途では時代遅れ﹂との意見があり、旋律を変更するよう指示され進軍ラッパ調の旋律に変更した。しかし、乗客や沿線住民らから﹁このような曲はけしからん﹂と苦情が殺到し、すぐに元の旋律に戻したという[34]。 また、名古屋鉄道創業100周年を記念して特別塗装を施した1000系1007編成﹁ブルーライナー﹂には、ミュージックホーンにも同社イメージソング﹃しなやかな風﹄の一節をアレンジした旋律が用いられ、通常運用では鳴動させることのない小駅︵例‥富貴駅など︶を含む各駅への入線、発車加速時、駅間など、運転中における数多くの場面において、早朝・深夜以外は盛んに演奏の扱いをしていた。その後、特別塗装期間の終了時にミュージックホーンも標準の旋律に戻されている。 元々は遮断機などの保安機器が未整備の踏切が多い中、列車の接近を遠方から告知する目的で、走行中は常に演奏させることを前提に採用されたミュージックホーンではあったが、近年は騒音問題に加えて前照灯の昼間点灯が広まり、接近する列車の被視認性がある程度解決され、その必要性は薄まりつつある。そのため、名鉄の看板車両におけるシンボル的装備でありながら、演奏させる機会は現状では主要ターミナル駅のプラットホームへの進入や、混雑した駅を高速で通過する必要がある場合などに限られつつある。基幹駅の名鉄名古屋駅においてもかつては盛んに演奏を聞くことができたが、近年はその回数が減少、または演奏タイミングを早める︵ホーム上にかからないよう、旋律を手前で演奏停止できるように取扱う︶など、年を追うごとに使用する場面は減少傾向にある[33]。 通常の警笛からは独立している機構上、小田急ロマンスカーの儀礼的演奏や静岡鉄道の優等列車途中駅における使用といった他事業者の同様装備と比較すると﹁装備車両において必ず耳にすることができる﹂とは限らなくなってきており、使用の一切をハンドル扱いを行う運転士の裁量に任された、いわば特殊な警笛であるといえる。過去には2000年まで道路との併用区間であった犬山橋のある犬山線・犬山遊園駅 - 新鵜沼駅間で、比較的高い頻度かつ連続した演奏・使用を聞くことができた[33]。 いずれも基本的に全線で使用可能であるが、名古屋本線との共用区間として乗り入れるJR飯田線内︵豊橋駅 - 平井信号場間︶では後述のJR東海との規定の関係上、ミュージックホーンは使用されない[33]。 中京競馬場で行われる名鉄杯︵オープン特別︶では、ミュージックホーンをアレンジしたファンファーレが演奏される。このファンファーレは名鉄ブラスバンド部による生演奏となっているが、通常ファンファーレを生演奏する競馬のレースはGI競走が中心となる。また、中央競馬で独自のファンファーレが用いられるのも名鉄杯以外では宝塚記念のみである。その他、かつてのCBCラジオの番組﹁おはようCBC﹂内のコーナーでは、名鉄の生CMの冒頭でミュージックホーンが流れていた。プロ野球の私設応援団が試合中に演奏することもある。 2016年1月14日付けでその旋律を﹁音﹂の商標として出願していたが、2018年2月に特許庁から却下された[35][36]。 ●就役中の搭載車両 ●1200系 ●2000系 ●2200系 ●EL120形 - 廃車となった1600系からの部品流用[要出典] ●過去の車両 ●7000系 ●7500系 ●7300系 ●8800系 ●1000系 ●1030系・1230系 ●1600系 ●1700系 - 1600系からの改造車 ●キハ8000系 ●7700系 ●モ900形・ク2300形・ク2320形 - 瀬戸線特急近畿日本鉄道[編集]
●16200系電車 ●現在同車のみに装備されており[37]、曲目はハイドン:交響曲第101番﹁時計﹂第2楽章をアレンジしたものである。しかし、ミュージックホーンは約30秒と長い時間流れるため、走行中は通常装備の電気笛・空気笛のみ使用され、ミュージックホーンは駅停車中に繰り返し鳴らされているだけである。このため、これは厳密にはミュージックホーンと言えないもので、どちらかというとBGMスピーカーのようなものである。静岡鉄道[編集]
●1000形 ●A3000形 ●急行運転する場合に途中駅で使用。オリジナルの旋律を奏でる。2011年10月、平日ダイヤ朝の通勤通学時間帯において15年ぶりに﹁急行﹂︵下り新清水行き︶が再設定され、同時に﹁通勤急行﹂︵上り新静岡行き︶が新設されたことにより、途中駅進入時において乗客への識別・注意喚起目的で使用されているが、沿線周辺住民から騒音問題として惹起されたため、午前7時以降に使用することとし、音量は往時と比較して抑え気味の設定としている。1996年の急行列車廃止に伴い一度は使用されなくなったミュージックサイレンを﹁復活﹂させたものである。1000形乗務員室の機器配置については、デビュー当時は足元に専用のペダルが割り当てられていたものの、急行列車の設定廃止で単音鳴動の電気笛ペダルとして回路変更されたため、現在では乗務員室コンソールスイッチの﹁急行﹂および清水寄りエンドの﹁電子警報﹂を﹁ON﹂位置にした上、運転席デスク上に配置された黄色ボタンを指で1度押すことで、自動的に旋律を2連奏して鳴動停止する。上り通勤急行日吉町駅入線時は、次停車駅が終着の新静岡であるため使用を省略する場合がある。また、両端駅進入時および、駅施設直近以外の駅間において取り扱うことは通常ない。過去には300形ほかにも搭載されていた。日本国有鉄道およびJRグループ[編集]
国鉄時代においては、四国総局に配置されたキハ58系気動車の一部に1963年から1969年頃まで、第4種踏切の事故対策として﹁ミュージックサイレン﹂を搭載していた。この﹁ミュージックサイレン﹂装備車は、識別のために車体前面にキハ82系に似たヒゲ状の朱色の帯が塗装されていたが、装置の撤去後は塗装も元に戻された。2008年に四国でキハ58系が営業運行を終えるのを前に、残っていたキハ58の1両にこの﹁ヒゲ付塗装﹂が再現された。北海道旅客鉄道(JR北海道)[編集]
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東日本旅客鉄道(JR東日本)[編集]
西日本旅客鉄道︵JR西日本︶[編集]
●サンダーバード・しらさぎ・ダイナスター・能登かがり火・おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス・びわこエクスプレス用681系・683系︵元北越急行車を含む︶ ●はるか用281系・271系 ●くろしお用283系 ●こうのとり・きのさき・まいづる・はしだて・くろしお用287系・289系 ●サンライズ瀬戸・サンライズ出雲用285系0番台 ●TWILIGHT EXPRESS 瑞風用キハ87系寝台気動車 ●207系以降の通勤・近郊形電車︵321系・323系・125系・223系・225系・227系・521系などの通勤・近郊・一般形電車︶など、京阪神・北陸・岡山・広島地区路線に配属された、同社発足後に就役したVVVFインバータ制御車の全系列。 ●補助警報のスイッチを切って空気笛のみを鳴らすことも可能︵前述︶。 ●TWILIGHT EXPRESS 瑞風用キハ87系寝台気動車は落成時は他系列の特急型車両と同じミュージックホーンを搭載していたが、営業開始時にホイッスル風の電子警笛に変更された。この電子警笛は初代﹁トワイライトエクスプレス﹂の牽引機であるEF81形の汽笛を録音したものである。 いずれの機構も、乗務員室警笛ペダルの浅踏みで﹁補助警報演奏﹂、深く踏みこむと﹁補助警報+空気笛﹂。東海旅客鉄道︵JR東海︶[編集]
●サンライズ瀬戸・サンライズ出雲用285系3000番台 ●JR西日本と共同開発し、保守・管理・検査も同社に委託の同系同番台にのみ搭載。旋律および乗務員室警笛ペダルの機構は、同系0番台と同一。 同社は内規・協定で、同社線へ乗り入れあるいは線路の共用を行う他社車両の電気笛・ミュージックホーン︵JR東日本・JR西日本・小田急電鉄・名古屋鉄道の車両︶の鳴動を﹁警笛を取り扱った﹂とは認めていない︵自社発注・自社管理の車両に、電子警笛・電気笛類の搭載が皆無なのはこのため︶。名古屋鉄道の名古屋本線東端を運転する列車を例に取ると、JRとの共用区間である飯田線・豊橋駅 - 平井信号場間でミュージックホーンや電子警笛を単独で扱うことは︵誤用を除き︶なく、作業中標識や列車見張員に警笛の使用を求められる場合は、空気笛が吹鳴するまで警笛ペダルを強く踏み込むのが正規の運転取扱いである。また、名鉄パノラマカー運用時は同車の構造上、運転席から先頭下部に死角ができるため、対策として発車時に電気笛を扱うことが義務付けられていたが、豊橋駅発車時は上述の協定どおり空気笛の吹鳴であった。四国旅客鉄道(JR四国)[編集]
- 快速「マリンライナー」用5000系
- JR西日本223系5000番台とは系列付番こそ異なるものの、共通設計の車両であり、混結運用も有し、運転取扱い上も同一機構とする必要上で搭載。旋律および乗務員室警笛ペダルの機構は、JR西日本223系と同一。
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出発時と駅到着時に用いる。警笛よりもBGMに近い。それぞれ旋律は別のもの。
九州旅客鉄道(JR九州)[編集]
- 「海幸山幸」用キハ125形400番台
- 出発用と到着用の2種類が用意されている。出発用は発車メロディーとしても用いる。作曲は向谷実。
秋田内陸縦貫鉄道[編集]
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