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Cは、ラテン文字︵アルファベット︶の3番目の文字。小文字は c。ギリシア文字のΓ︵ガンマ︶に由来し、キリル文字のГは同系である。
キリル文字のСは別字で、ラテン文字のSに相当する文字である。
筆記体
ジュッターリーン体
大文字、小文字とも半円形ないし不完全な円である。
フラクトゥールではのようである。
ギリシア文字のΓ︵ガンマ︶が﹁く﹂の字の角度で書かれたものを丸めた形に由来する[1]。古ラテン語期には /k/ 音および /g/ 音の双方をこの文字で表していたが、のちにやや変形した Gが別文字として分化し /g/ 音を担うようになるとともに、Cはもっぱら /k/ を表すようになった。
ラテン語期を経て俗ラテン語期に入ると前舌母音の前に位置する場合に限り軟音化が進んだ︵音価節参照︶。
いっぽうラテン文字を使う西/南スラブ系の言語などではCを [ts] と発音する用法が発達した。19世紀にサンスクリットの研究が進むと、サンスクリットの持つ子音 [c] および [cʰ] ︵いずれも日本語のチャ行に近い音︶を︵chおよび chh ではなく︶cおよびchで表すことが定着し、cを常にこのような音価に用いる用法は、後にはインドネシア語の正書法などに受け継がれた。
●拉‥ケー
●英: cee︵スィー︶/siː/
●蘭・葡‥セー
●仏・西‥セ
●越‥セー、コー
●波‥ツェ /tsɛ/
●独・洪・捷・斯‥ツェー /tseː/, /tsɛː/
●エス‥ツォー
●伊‥チ /tʃi/
●羅‥チェ /tʃe/
●尼‥チェー
●土‥ヂェ /dʒe/
●日‥シー /ɕiː/
現代では多くの言語の正書法や音標記号などにおいて用いられるが、その流儀は大きく2つに分類できる。
Cの置かれた位置によって2種類の音を表す正書法[編集]
元々のラテン語の cは常に [k] で発音されるものだった[2]が、俗ラテン語時代になると転訛しはじめ、c の直後に“前舌母音”︵ e · i · y · æ ︶が来る場合に限り、その影響を受けて、c を [c] ︵﹁ティ﹂と﹁キ﹂の間のような子音︶や [ʧ] ︵﹁チャチュチョ﹂のような子音︶で発音するようになった。これを軟音化と呼ぶ。
[k]と発音するのを﹁固い (hard) c﹂、摩擦音 (/s/) や破擦音で発音するのを﹁柔らかい (soft) c﹂と呼ぶ (en:Hard and soft C)。
時代が下りロマンス諸語が分化するにつれ、この音はさらに多様な音へと分化した。現在のロマンス諸語の正書法は、こうした自然の音変化を受け継いだものである。また、フランス語の影響を大きく受けた英語でも、同様の読み方をする[3]。
●e · i [4] の前の cを [ʧ] と発音する - イタリア語、ルーマニア語
︵例︶ イタリア語: cielo ﹇チエーロ﹈ ﹁空﹂ ︵ < 俗ラテン語: celo ﹇チェーロ﹈﹇キェーロ﹈ < ラテン語: cælum ﹇カェルム﹈ ︶
●e · i ( · y [4] ) の前の cを [s] と発音する - フランス語、英語、ポルトガル語、スペイン語︵ラテンアメリカ︶、カタルーニャ語など。
︵例︶ フランス語: ciel ﹇スィエル﹈ ﹁空﹂ ︵ 由来は上に同じ ︶
●e · i [4] の前の cを [θ] と発音する - スペイン語︵スペイン本土︶
︵例︶ スペイン語: cielo ﹇シエロ﹈ ﹁空﹂ ︵ 由来は上に同じ ︶
どの言語においても、a · o · u · l · r などの前の cはラテン語時代と変わらない [k] 音を保っている[5]。
また、フランス語やルーマニア語などでは語末に cを置く単語がいくらかあり、これらも [k] で発音する[6]。
︵例︶ フランス語: lac ﹇ラック﹈ ﹁湖﹂、ルーマニア語: bec ﹇ベック﹈ ﹁電球﹂
英仏語のCとヨーロッパの言語[編集]
上記以外のヨーロッパ圏の言語では cをこのように使い分けることはないが、ラテン語やフランス語、英語などから cを含む単語を借用する場合、e · i · y ( · ä [7] ) の前の cを z, c, s などに、a · o · u · l · r の前の cは kに、それぞれ置き換えて用いるのが伝統的であった。一例を挙げれば:
●ドイツ語: Konzert ﹇コンツェルト﹈
●チェコ語: koncert ﹇コンツェルト﹈
●スウェーデン語: konsert ﹇コンセート﹈
いずれも英語やフランス語の concert ﹁コンサート、演奏会﹂の借用で、各言語の規則にしたがって字を置き換えたものである。
ベトナム語[編集]
ベトナム語の正書法﹁クオック・グー﹂では cはつねに [k] を表すが、その位置は a, o, u などの前[8]や音節末[9]に限られる。
その他の場所では [k] 音に kや qを用いる。
わかりやすく言うと、ka, kê, ki, kô, ku, kwôk などと書けば済みそうなところ、わざわざ cや qを持ち込んで、ca, kê, ky, cô, cu, quôc などと表記するルールだが、もともとクオック・グーはフランス人宣教師によって考案されたものであり、考案の際にロマンス諸語的な表記法を大いに参考にしたことがこうした部分にもよく表れているといえる。
大文字 |
Unicode |
JIS X 0213 |
文字参照 |
小文字 |
Unicode |
JIS X 0213 |
文字参照 |
備考
|
C
|
U+0043
|
1-3-35
|
C
C
|
c
|
U+0063
|
1-3-67
|
c
c
|
半角
|
C
|
U+FF23
|
1-3-35
|
C
C
|
c
|
U+FF43
|
1-3-67
|
c
c
|
全角
|
Ⓒ
|
U+24B8
|
‐
|
Ⓒ
Ⓒ
|
ⓒ
|
U+24D2
|
1-12-35
|
ⓒ
ⓒ
|
丸囲み
|
🄒
|
U+1F112
|
‐
|
🄒
🄒
|
⒞
|
U+249E
|
‐
|
⒞
⒞
|
括弧付き
|
𝐂
|
U+1D402
|
‐
|
𝐂
𝐂
|
𝐜
|
U+1D41C
|
‐
|
𝐜
𝐜
|
太字
|
𝐶
|
U+1D436
|
‐
|
𝐶
𝐶
|
𝑐
|
U+1D450
|
‐
|
𝑐
𝑐
|
イタリック体
|
𝑪
|
U+1D46A
|
‐
|
𝑪
𝑪
|
𝒄
|
U+1D484
|
‐
|
𝒄
𝒄
|
イタリック体太字
|
𝒞
|
U+1D49E
|
‐
|
𝒞
𝒞
|
𝒸
|
U+1D4B8
|
‐
|
𝒸
𝒸
|
筆記体
|
𝓒
|
U+1D4D2
|
‐
|
𝓒
𝓒
|
𝓬
|
U+1D4EC
|
‐
|
𝓬
𝓬
|
筆記体太字
|
ℭ
|
U+212D
|
‐
|
ℭ
ℭ
|
𝔠
|
U+1D520
|
‐
|
𝔠
𝔠
|
フラクトゥール
|
ℂ
|
U+2102
|
‐
|
ℂ
ℂ
|
𝕔
|
U+1D554
|
‐
|
𝕔
𝕔
|
黒板太字
|
𝕮
|
U+1D56E
|
‐
|
𝕮
𝕮
|
𝖈
|
U+1D588
|
‐
|
𝖈
𝖈
|
フラクトゥール太字
|
𝖢
|
U+1D5A2
|
‐
|
𝖢
𝖢
|
𝖼
|
U+1D5BC
|
‐
|
𝖼
𝖼
|
サンセリフ
|
𝗖
|
U+1D5D6
|
‐
|
𝗖
𝗖
|
𝗰
|
U+1D5F0
|
‐
|
𝗰
𝗰
|
サンセリフ太字
|
𝘊
|
U+1D60A
|
‐
|
𝘊
𝘊
|
𝘤
|
U+1D624
|
‐
|
𝘤
𝘤
|
サンセリフイタリック
|
𝘾
|
U+1D63E
|
‐
|
𝘾
𝘾
|
𝙘
|
U+1D658
|
‐
|
𝙘
𝙘
|
サンセリフイタリック太字
|
𝙲
|
U+1D672
|
‐
|
𝙲
𝙲
|
𝚌
|
U+1D68C
|
‐
|
𝚌
𝚌
|
等幅フォント
|
Ⅽ
|
U+216D
|
1-3-35
|
Ⅽ
Ⅽ
|
ⅽ
|
U+217D
|
1-3-67
|
ⅽ
ⅽ
|
ローマ数字100
|
記号 |
Unicode |
JIS X 0213 |
文字参照 |
名称
|
ᴄ |
U+1D04 |
‐ |
ᴄ
ᴄ |
LATIN LETTER SMALL CAPITAL C
|
ᶜ |
U+1D9C |
‐ |
ᶜ
ᶜ |
MODIFIER LETTER SMALL C
|
🄲 |
U+1F132 |
‐ |
🄲
🄲 |
SQUARED LATIN CAPITAL LETTER C
|
🅒 |
U+1F152 |
‐ |
🅒
🅒 |
NEGATIVE CIRCLED LATIN CAPITAL LETTER C
|
🅲 |
U+1F172 |
‐ |
🅲
🅲 |
NEGATIVE SQUARED LATIN CAPITAL LETTER C
|
🄫 |
U+1F12B |
‐ |
🄫
🄫 |
CIRCLED ITALIC LATIN CAPITAL LETTER C
|
他の表現法[編集]
(一)^ ギリシア文字のΓは元々様々な角度で書かれていた。
(二)^
ただし、G が発明されるより前の最初期のラテン語では、[k · g] の両音兼用だった。
(三)^ オランダ語も同様。ただしラテン語やフランス語由来の語彙自体が英語よりはずっと少ない。
(四)^ abcフランス語・英語以外では cyの組み合わせは稀。
(五)^
ただし clの組み合わせは言語によって変形を被っていることが多い。例: ラテン語: clavis ﹁鍵﹂ [クラウィス] > フランス語: clé [クレ] / イタリア語: chiave [キァーヴェ] / スペイン語: llave [リャベ] / ポルトガル語: chave [シャヴィ]
(六)^ フランス語では無音の場合もある。 ︵例︶ blanc ﹇ブラン﹈ ﹁白い﹂。
(七)^ ドイツ語ではラテン語の æ を ä に置き換える。
(八)^ 正確には、a · o · ô · u · ơ · ư · ă · â の前。
(九)^ 正確には音節末では若干違った音になる。
関連項目[編集]