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{{読み仮名|'''野球'''|やきゅう|{{lang-en-short|baseball}}}}は、2つの(基本的には9人編成の)[[チーム]]が攻撃と守備を交代しながら、各頂点に4つの[[wikt:塁|ベース]]を持つ菱形の区画において得点を競い合うベースボール式スポーツである<ref name="Oxford Dictionary">Oxford Dictionary. "A ball game played between two teams of nine on a diamond-shaped circuit of four bases." [https://en.oxforddictionaries.com/definition/baseball]</ref>。「[[フィールド]]」や「[[野球場]]」、「[[スタジアム]]」と呼ばれる場所で行われる。[[イギリス]]から[[アメリカ合衆国]]に渡った[[移民]]が持ち込んだスポーツが元型・祖型になっているとされるが、1845年にアメリカで現在の形・ルールの基礎がつくられたことから、一般の地とされている。[[1869年]]には最初のプロチームが生まれ、アメリカで有数の人気スポーツとなり、国民的娯楽となった<ref name="nipponica">スーパーニッポニカ「野球」、[[神田順治]]、[[森岡浩]] 執筆。</ref>。野球は楽しい |
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== 概説 == |
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2024年5月16日 (木) 02:22時点における版
野球 | |
---|---|
打撃を行う打者(デビッド・オルティーズ、当時レッドソックス所属)と捕手および審判(アンパイア) | |
統括団体 | 世界野球ソフトボール連盟 |
起源 |
(18世紀中頃) イングランド (19世紀) アメリカ合衆国(現代版) |
特徴 | |
身体接触 | 無[注釈 1] |
選手数 | 9人(DH制を採用する場合10人) |
男女混合 | 無 |
カテゴリ | 屋外・屋内競技 |
ボール | ボール (野球) |
競技場 | 野球場 |
実施状況 | |
オリンピック | 1992年 - 2008年、2021年、2028年 |
世界選手権 |
1938年 - 2011年(IBAFワールドカップ) 2013年 - (ワールド・ベースボール・クラシック) |
ワールドゲームズ | 1981年 |
概説
野球は、2つのチームが攻撃と守備を交互に繰り返して得点を取り合い、得点数の多いか少ないかに基づいて勝敗を競う競技である。点数の多いチームが勝利を手に入れる[2]。 1チーム9人ずつ︵DH制を採用する場合は10人︶で構成された2チームが守備側と攻撃側に分かれ、守備側の投手が投げたボールを攻撃側の打者がバットで打ち、設置された4つのベース︵塁︶を反時計回りに進み、一周することで得点を得る。両チームは攻撃と守備をそれぞれ交互に9回ずつ︵7回以下ずつの場合もある,中学生以下の場合の公式戦では7回まで︶行い、その間に挙げた得点の多さを競う[2]。 4つのベースは、それぞれ一塁︵ファースト・ベース︶、二塁︵セカンド・ベース︶、三塁︵サード・ベース︶、本塁︵ホーム・ベース︶と言う。なお、大会やリーグによってルールの細部に相違点があり、たとえば予め定めた以上の一方的展開になった場合や気象条件等により途中で試合を打ち切るコールドゲームの規定、攻撃時に投手と呼ばれるポジションの選手の代わりに攻撃専門の選手を使う指名打者︵DH︶制度の有無、審判員の人数等細かな違いがあり、大会やリーグごとにそれぞれの環境に最適と考えられる制度を採用している。 アメリカが発祥の地および本場であり、アメリカのメジャーリーグベースボール︵MLB︶が主導している。他の国で行われる野球のルールも、基本的にはアメリカのベースボールのルールを模倣したり、アメリカでルールの修正・変更があれば、たいていはアメリカを﹁後追い﹂する形で修正・変更されている。国際大会が開催される場合も、基本的にアメリカのルールが基準になっている。 ﹁baseball︵ベースボール︶﹂という名称は、4つのbase︵ベース︶を使用するという特性を由来としている[2]。なお、日本語の﹁野球﹂という名称は、明治期に日本で中馬庚が作った和製漢語である︵後述︶。 本記事では、ベースボール︵野球︶と、亜種とはしっかり区別して説明する。 本来のもの 発祥地であり、一番盛んな国であるアメリカのメジャーリーグベースボール︵MLB︶によって行われているベースボールが世界の野球の基準になっている。 発祥地で本場のアメリカではボール︵球︶はあくまで硬式である。硬式以外のボールを使うものは﹁別物﹂、別種の競技とされている。 アメリカでの球が具体的どのようなものか説明すると、MLBは最高級のボールを使っている[3]。最適な革でくるみ、縫い目もしっかり巻くように縫われている[3]。MLBの選手は最高レベルの技術でプレーするからその質に合わせたボールが使われるのである[3]。なお、MiLB︵Minor League Baseball マイナーリーグベースボール︶ではMLBと比べて少し材質が劣るボールが使われている[3]。 アメリカの高校野球や大学野球ではMLBと同じサイズのボールを使うが、密度はわずかに低い︵少しだけ軽い︶[3]。そこでは金属バットが使われるのでそれに合わせて設計されている[3]。 本場アメリカでは少年野球の段階から硬式を使う[3]。少年野球の段階から柔らかいボールは使用しない[3]。少年野球でも革でくるんだボールを使うが、芯はウール巻のものを使う[3]。 日本でも、プロ野球や社会人野球、大学野球、高校野球においては本来の硬式野球が行われているが、中学以下は軟式も多く、別競技になってしまっている。歴史
野球の起源は明確にはされていないが、イギリスの球技である「タウンボール」がイギリス系移民によってアメリカに持ち込まれた後に変化し、野球として形成されたと考える研究者が多い。1830年代から1840年代に原型が成立した後、主にアメリカの北部で盛んとなり、南北戦争(1861年 - 1865年)を機に南部にも伝えられたことでアメリカ全土において人気を博するようになった。19世紀後半を通じてルールに大幅な改良が加えられ、現在の形となった。
1869年には世界初のプロ球団であるシンシナティ・レッドストッキングスが設立され、1871年には世界初のプロ野球リーグであるナショナル・アソシエーションが設立された。このリーグ自体は5年で破綻したものの、1876年にはこれを引き継ぐ形でナショナルリーグが設立され、MLBが成立した。この頃、日本を訪問したアメリカ人によって日本に野球が伝えられた。
規則
試合形式
攻撃側は、相手チームの投手が投げたボールを打って、一塁・二塁・三塁・本塁をまわることで得点を得る。守備側は相手チームの走者が本塁に到達しないように打者や走者をアウトにする。相手チームの選手を3人アウトにできれば、攻撃に移ることができる。攻撃と守備の一巡はイニングと呼ばれる。一試合は9イニングからなり[注釈 2]、得点の合計が多いチームが勝者となる。両者の得点が等しい場合は、延長戦を行う、引き分けとするなどルール体系によって対応が分かれる。 各チームの目的は﹁より多くの得点を得て、勝つこと﹂であり、公認野球規則1.05には﹁各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする。﹂と明記されている。規則書に﹁勝つことを目的とする﹂と明確に表記されていることは、野球のルールの際立った特徴の一つでもある。チーム編成
1チームは選手9人︵指名打者制を採る場合は10人︶と監督、コーチなどで編成される。試合にはそれ以外にも控え選手がおり、日本のプロ野球では16人、日本の高校野球では11人まで控えとして途中からの試合出場ができる。しかし、一度交代により退いた選手は、その試合中は再び試合に出ることはできない。︵交代させずに︶守備位置を変えることは可能である[注釈 3]。また、守備位置を交代しても再び交代する前の守備位置に戻ることは可能である。用具
野球を行うにあたっては、様々な用具が必要であるが、選手が野球を行う上で必要となる用具のうち、代表的なものについて述べる。詳しくは各項目を参照のこと。ボール
バット
バットは滑らかな円い棒であり、打者が投球を打ち返すための用具である。
グラブ(グローブ)・ミット
グラブやミットは、投球、打球、送球を受けるための革で作られた用具である。形状によってミットは捕手用のキャッチャーミット・一塁手用のファーストミットの2種類があり、グラブには 投手用・二塁手用・三塁手用・遊撃手用・外野手用・満遍なく使えるオールラウンド向け等、数種類に分類することができる。そのそれぞれについて、右投げ用(左手に着用)・左投げ用(右手に着用)・両投げ用が存在する。グラブはどの形状でもすべてのポジションで使用できるが、ミットに関しては捕手と一塁手の使用についてのみ、公認野球規則の3.04、3.05にそれぞれ規定されている。投手が着用するグラブについては、グラブ全体が一色であり、商標・マーク類は白色・灰色以外であること、グラブにグラブの色と異なるものをつけてはならないことといった制限がある。
スパイクシューズ
捕手の防具
マスク︵面︶ 前頭部、顔面、喉を保護するために装着する。 プロテクター 肩、胸、腹を保護するために装着する。 ファウルカップ 股間周辺を保護するために装着する。 レガース 膝から足首までを保護するために装着する。ロージンバッグ︵ロジンバッグ︶
滑り止めの白い粉が入った袋。主にピッチャーが用い、マウンドに置いてある。打者が使用する場合もあり、ネクストバッタースボックスにも置いてある。
ユニフォーム
同じチームの選手・監督・コーチなど競技に参加する者は、同色・同形・同意匠のユニフォームと野球帽を着用する。原則として全員(少なくとも選手)の背中には背番号をつける。アンダーシャツ、ストッキング、ベルトは同色での着用が必要。スパイクもユニフォームの一部に相当するため、チームで同色にそろえる必要がある。プロ野球においてはプレイングマネージャーやベースコーチに立つ場合を除き監督がユニフォームを着ない場合がある。ボールが胸部に当たると心臓に負担が掛かり倒れてしまう(死亡・重傷事故の例もある)ことがあるので、胸部の部分にパッドを付けることが推奨されている。
グラウンド
野球に使われるグラウンドと付帯設備は野球場もしくは球場と称される。4つのベースを結ぶ正方形内は内野と呼ばれ、またその形状から「ダイヤモンド」とも呼ばれる。内野とランナーコーチボックス、ネクストバッターサークルの距離は公認野球規則で決められているが、グラウンドの大きさについては球場によって異なる。「内野」は規則上は正方形内と定められているが、慣習的には内野手が普通の守備行為を行う守備範囲も含める。
ポジション
攻守 | 日本語での名称 | 英語での名称 | 英略字 | |
---|---|---|---|---|
守備 | バッテリー | battery | ||
1 | 投手(ピッチャー) | pitcher | P | |
2 | 捕手(キャッチャー) | catcher | C | |
内野手 | infielder | IF | ||
3 | 一塁手(ファースト) | first baseman | 1B | |
4 | 二塁手(セカンド) | second baseman | 2B | |
5 | 三塁手(サード) | third baseman | 3B | |
6 | 遊撃手(ショート) | shortstop | SS | |
外野手 | Outfielder | OF | ||
7 | 左翼手(レフト) | left fielder | LF | |
8 | 中堅手(センター) | center fielder | CF | |
9 | 右翼手(ライト) | right fielder | RF | |
攻撃 | 打者(バッター) | hitter | ||
指名打者(DH) | designated hitter | DH | ||
代打(ピンチヒッター) | pinch hitter | PH | ||
走者(ランナー) | runner | |||
代走(ピンチランナー) | pinch runner | PR |
- 表中の数字は守備番号を示す。
- バッテリー(投手と捕手)を内野手の一員とみなす場合もある。
審判員
構成
チャレンジシステム
MLBでは2014年度より審判員に加え、ニューヨークにある映像センターでのインスタントビデオ判定を採用している。監督は審判員の判定に異議がある場合、1試合で1回まで(特別な試合では2回)要求することができる。もし、リクエストが成功すると、残りのリクエスト数は減らされない。7回以降は審判も要求することができる[6]。またNPBでも、2018年度より各チーム1試合で2回までビデオ判定を行える「リクエスト制度」が導入されている。
試合の展開
戦略と戦術
データと野球
野球は、他のスポーツに比べて豊富な記録・統計が取られることから、数値化に適したスポーツであり、19世紀以来、有力選手の各種記録が試合結果と同様にファンに楽しみを提供してきた。 20世紀後半に入ると、それらの記録を統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価やチームの運営・戦略を考察する﹁セイバーメトリクス﹂が提唱され、20世紀末以降、本格的に導入するチームが増加している。中でも、2000年代初め頃のオークランド・アスレチックスがビリー・ビーンGMの下でセイバーメトリクスを軸とした低予算でのチーム運営によって黄金期を築いたことで広く受け入れられるようになり、この際ビーンが提唱した画期的な戦術は、ビーンの活動の様子を描いたノンフィクション書籍の名をとって﹁マネー・ボール﹂として認知されている。 さらに、21世紀に入ると、軍事技術を応用したスタットキャストやトラックマンといった計測機材・システムが導入されたことにより、より詳細で精緻なデータ計測・分析の他、選手やボールの動きを数値化することで選手のプレーや能力そのものの改善に繋げることが可能となっており、特にMLBにおいてプレースタイルや戦術の傾向の変化に大きく影響を及ぼしている。試合展開上の問題点
サイン盗み
第二次世界大戦後、中堅の観客席から望遠鏡を用いて捕手のサインを盗み見し、それをバッターに伝達するという手法が定着した。その後、スコアボード︵各チームの各得点などを表示する大きなボード︶の裏に潜んだ職員がサインを盗み、何らかのシグナルを送り打者に伝える形が生まれ、1970年代のインディアンスでは球場に設置されたチームロゴである先住民の目が開けば直球、閉じればカーブ、という形で伝達が行われていた[7]。MLB、NPB、日本の高校野球などでもサイン盗みでトラブルになることがしばしばある[8][9][10][11][12]。最近では、メジャーリーグで、アストロズによるサイン盗みが大問題となっている。球団史上初の世界一に輝いた2017年から翌18年にかけてサイン盗みを行っていたとされており、すでにMLBが処分。球団はジェフ・ルーノー前GM︵ゼネラルマネージャー︶とAJ・ヒンチ前監督を解雇したものの、2021年もまだ不正行為を続けていたと他球団の選手が指摘するなど、騒動は収束する気配がない。 そのやっかいな問題を解決するために、MLBは、2021年夏には、キャッチャーがピッチャーへ指示を伝えるための電子機器︵ピッチコム︶のテストを開始し[13]、2022年のシーズンからその電子機器を正式に導入した[14]︵それを使いたいバッテリーつまりキャッチャーとピッチャーが使う。従来通りのサインでいいと考えるバッテリーは使わなくてもよい︶。キャッチャーの腕にボタンが多数配置された送信専用機を巻き、ピッチャーの帽子の中に小型受信機を配し帽子の小型スピーカーから小さな音量の音声が流れる︵他の選手には聞こえないくらい、小さな音が流れる︶。本塁でのクロスプレー
各種記録
野球組織
各地域の野球
世界では主に北米のアメリカ合衆国・カナダ、欧州ではオランダ・イタリア、中南米のキューバ・ドミニカ共和国・ベネズエラ・メキシコ・プエルトリコ・ニカラグア・パナマ・オランダ領アンティル、コロンビア、東アジアの日本、大韓民国、台湾などで盛んである。とりわけパナマ、キューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、ニカラグア、台湾においては、事実上の国技として親しまれている。日本では、国技と呼ばれることは少ないものの非常に人気の高いスポーツであり[16]、﹁日本の国民的スポーツ﹂のひとつである[17]。北米
韓国
歴史
近況
ヨーロッパ
ヨーロッパではサッカーが最も人気のあるスポーツであるため、野球はマイナースポーツとされているが、欧州野球連盟には39か国が加盟しており、その中でイタリアとオランダ、ドイツの3か国ではプロリーグが存在している[21][22]。 オランダ王立野球・ソフトボール協会は、野球の問題点を明らかにするためにアンケートを行い﹁他競技に比べ、運動量が少ない﹂﹁専用のグラウンドが必要である﹂﹁ルールが複雑である﹂﹁人数を集めるのが大変﹂など数多くの課題が上がり、これらの課題を解決するために野球をより簡略化したスポーツ﹁BeeBall﹂を考案した[23]。その他の地域
オーストラリアでは1850年代にアメリカ合衆国から金鉱に来た鉱夫により、野球がもたらされた[24]。1989年に最初のオーストラリアン・ベースボールリーグ(en︶が発足したが、11年で終了した。その後2010年からMLB機構も支援する形でオーストラリアン・ベースボールリーグが発足している。 アフリカでは、オーストラリアと類似した沿革を持つ南アフリカで比較的早く野球がある程度の広がりを見せたが、それ以外の地域については普及途上である。詳細はアフリカの野球を参照。 中東地域では、2024年よりベースボール・ユナイテッドの名称でプロ野球リーグが発足する予定で、2023年11月にはプレ大会としてのショーケースが開かれている。国際大会
- ワールドカップ (IBAF)
- IBAFワールドカップ(Baseball World Cup)は、1938年から2011年まで開催されていた野球の国際大会である。国際野球連盟(IBAF)が、野球における世界選手権として主催していた。
- ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
- WBSCプレミア12は、IBAFの後継組織である世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する旗艦大会であり、原則4年に1回開催される。世界大会の再編により新設され、2015年11月に第1回大会が日本・台湾で開催された。その後、2019年には夏季オリンピック予選を兼ねて第2回大会が開催された。アンダー世代を含めた国際大会成績によるランキングシステムであるWBSC世界ランキングの順位により、上位12か国・地域の招待制で行われることから、「野球国力」を競う大会として位置づけられている。
- 夏季オリンピック
野球文化
野球の人気度
アメリカ
日本
日本プロ野球の観客動員数は2015年途中時点で読売ジャイアンツ以外の11球団が前年比で増加した[36]。また同年オリックス・バファローズ[37]、広島東洋カープ[38]はシーズン途中時点で史上最多の観客動員数を記録した他、同年シーズンの総観客数がセ・リーグが1351万900人と実数発表となった2005年以降で最多を記録[39][40]。2016年にも交流戦の観客動員数において過去最多となる1試合平均2万9447人を記録する[41][42][43][44]。以降もNPBでは観客動員数の増加が見受けられており、地元密着を主眼とした各球団の企業努力の成果とする向きもある一方で、その実態はあくまで﹁各フランチャイズ地域内でのリピーター増加を意味するものであり、﹃球団がない地域﹄を含む全国的な野球人気向上には繋がっていない﹂﹁新規のファンは増えていない﹂とする調査・分析もある[45][46]。 2010年には史上初めて日本シリーズの地上波全国中継が3試合無くなった[注釈 4][47]。日本テレビ副社長の舛方勝宏は﹁割り切っていえば、BSの普及のためにはいい。野球はBSのソフトとしては強力になってきた﹂と話し、﹁働き盛りの人は午後7時台に家に帰っていない。そういう状況で地上波では数字︵視聴率︶がとれなくなってきている。試合開始からじっくり見る団塊世代の人は、BSで見ている﹂と見解を示している[48]。台湾
台湾では1990年代後半から野球賭博や八百長が多発したことから、特にプロ野球︵CPBL︶の人気が大きく低下。チーム数も1997年の11球団をピークに減少し、2009年には創設時︵1990年︶と同じ4球団となったが[49]、2019年6月24日に味全ドラゴンズが加盟し、5球団に拡大した[50]。韓国
韓国では青少年少女の人気スポーツとなっている[19]。1982年のKBOリーグは総観客数143万人だったが、2012年には700万人を突破し[51]、2016年には観客動員数800万人超えを記録。動員数は世界のプロスポーツリーグ上位10位内に入っている[19]。ただし、その人気・実力に対して国内の競技人口は比較的少なく、日本が高校硬式野球部加盟校4,021校、部員数168,898人であるのに対し、韓国の高校野球部は67校、部員数は約2,400人である。もっとも、この傾向は野球に限ったことではなく、韓国には日本のような趣味的要素を含む部活動がほぼ存在せず、アマチュアの段階で少数精鋭化が行われるのが要因であるとされる。少数精鋭によるエリート教育はいわば韓国の文化であり、実際にプロアマともに数々の国際大会で好成績を残しているなど一定の成果を上げていはいるものの、﹁裾野を狭める﹂﹁メダル至上主義である﹂といった批判もある[52][53]。試合観戦
試合はイニング制を採用している。サッカーやバスケットボールのような時間制ではないため、試合の展開により試合時間に大きな幅があるが、概ね1試合2時間 - 3時間程度である︵MLBでは決着が付くまで無制限の延長する︶。2010年までの日本のプロ野球においては12回で決着がつかなければ引き分けにしていた。しかし、2011年に東日本大震災が発生しその影響により試合開始から3時間30分以内で決着がつかない場合は引き分けとなりこのルールは2012年シーズン終了まで採用された。なお、2013年シーズンより元の﹁12回で決着がつかなければ引き分ける﹂のルールに戻った[54]。MLBやNPBなどのプロリーグでは年間140試合を超える多数の公式戦を行うことで大きなビジネスとなっている。アメリカ
アメリカでは、ファウルボールが観客に直撃するアクシデントが立て続けに起こっている。﹁ファウルボール訴訟﹂が多発しているが、﹁危険があることを予め承知してスタジアムに来る﹂として、観客がケガしても球団側は免責されるケースが大半である。観客席以外でファウルボールによって負傷した場合は訴えが認められることがあるが、基本的には裁判しても勝ち目はない[55]。日本
競技人口
日本
日本における野球は、実際に参加するスポーツというよりは、観戦スポーツとして楽しむ人が多い傾向にある。レジャー白書2005によると、2004年時点の﹁野球・ソフトボール用品﹂に対する出費は、990億円である。﹁球技スポーツ用品﹂に対する出費6640億円の15%を占めている。 ﹁クラブ・同好会﹂の形で楽しむスポーツとしては一定の地位を占めている。内閣府による﹁体力・スポーツに関する世論調査﹂︵2007年2月調査︶では、クラブ・同好会に加入している男性のうち、22.7%が野球クラブ・同好会に加入しており、2位のゴルフ、5位テニスよりも多い。ただし、女性は5位までに含まれていなかった。 文部科学省の﹁我が国の体育・スポーツ施設﹂︵平成16年3月︶によると、﹁職場スポーツ施設﹂︵8286カ所︶においては全8286施設のうち13%︵第2位︶を﹁野球場・ソフトボール場﹂が占め、内閣府の統計と合致する。 日本では伝統的に野球が盛んだが、中学生の野球チームに所属する少年の数は2009年から14年までに28%減少したことが、公式統計で明らかになった[62]。全日本軟式野球連盟の小学生の軟式野球登録チーム数を見ても、2010年に1万4824チームから、2014年には1万2663チームまで減少し[63]、高校野球においても、硬式野球の全国の野球部員数は1997年の14万201人を底に一旦は増加に転じ2014年には史上最多となる17万312人に達するも[64][65]、同年を頂点に再び漸減傾向にある[66]。軟式に至っては、1990年度の1万9915人を頂点に右肩下がりの減少を続け、2016年度の部員総数は1990年度のほぼ半数の人数にまで減少している[67]。野球を題材にした玩具と作品
野球界を取り巻く問題
賭博と八百長
野球の試合結果を利用した︵日本においては非合法な︶賭博が一部の人間の間で行われている。そのほとんどは野球界とは無関係な人間によるものだが、野球界自身の人間も関わっていることが判明した事件もある。その一部を以下に記す。類似競技
●野球とは異なる起源を持つ競技 ●クリケット ●ラプター ●ラウンダーズ ●スティックボール ●シュラークバル ●野球から派生した競技 ●ソフトボール ●ペサパッロ ●ティーボール ●キックベースボール ●ハンドベースボール ●ラケットベースボール ●ロングベースボール ●三角ベース ●ウィッフルボール ●カラーボール野球 ●エクストリーム野球 ●ヴィンテージベースボール ●BeeBall ●キャップ投げ野球 ●ベースボール5 ●障害者向けに考案された競技 ●グランドソフトボール ●車いす野球 ●身体障害者野球脚注
注釈
出典
参考文献
- レジャー白書2005 財団法人 社会経済生産性本部 ISBN 4-9902191-1-2
- スポーツ白書2010 笹川スポーツ財団 ISBN 4-915944-26-3
関連項目
- 軟式野球、準硬式野球、硬式野球、Kボール
- アマチュア野球
- 少年野球
- 高校野球
- 大学野球
- 社会人野球
- 女子野球
- プロ野球
- 野球の各種記録
- 野球の歴史
- 野球評論家
- 野球リーグ一覧
- 野球くじ
- 野球拳
- 野球害毒論
外部リンク
- 公式
- WBSC - 世界野球ソフトボール連盟 (日本語)
- NPB - 日本野球機構 (日本語)
- セントラル・リーグ (日本語)
- パシフィック・リーグ (日本語)
- その他
- 石井研堂『明治事物起原』(国立国会図書館より)
- 『野球』 - コトバンク