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{{別人|x1=シンガーソングライターの|泉杏香}}

{{Infobox 作家

{{Infobox 作家

| name = 泉 鏡花<br />(いずみ きょうか)

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| debut_works = 『冠弥左衛門』(1893年)

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[[File:Izumi Kyoka-1.jpg|thumb|東京都新宿区[[神楽坂]]の泉鏡花旧居跡(2017年9月27日撮影)]]

[[File:Izumi Kyoka-1.jpg|thumb|東京都新宿区[[神楽坂]]の泉鏡花旧居跡(2017年9月27日撮影)]]

'''泉 鏡花'''(いずみ きょうか、本名:泉 鏡太郎(いずみ きょうたろう)<ref>{{Citation|和書|author=上田正昭ほか監修|editor=三省堂編修所|year=2009|title=コンサイス日本人名事典 第5版|publisher=三省堂|page=107}}</ref>、[[1873年]]([[明治]]6年)[[11月4日]] - [[1939年]]([[昭和]]14年)[[9月7日]])は、[[日本]]の[[小説家]]。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。[[小説]]のほか、[[戯曲]]や[[俳句]]も手がけた。

'''泉 鏡花'''(いずみ きょうか、本名:泉 鏡太郎(いずみ きょうたろう)<ref>{{Citation|和書|author=上田正昭ほか監修|editor=三省堂編修所|year=2009|title=コンサイス日本人名事典 第5版|publisher=三省堂|page=107}}</ref>、[[1873年]]([[明治]]6年)[[11月4日]] - [[1939年]]([[昭和]]14年)[[9月7日]])は、[[日本]]の[[小説家]]。明治後期から昭和初期にかけて活躍した。[[小説]]のほか、[[戯曲]]や[[俳句]]も手がけた。[[帝国芸術院]]会員



[[金沢市]]下新町生まれ。[[尾崎紅葉]]に師事した。『[[夜行巡査]]』『[[外科室]]』で評価を得、『[[高野聖 (小説)|高野聖]]』で人気作家になる。[[江戸]][[文芸]]の影響を深く受けた怪奇趣味と特有の[[ロマン主義|ロマンティシズム]]で、[[幻想文学]]の[[先駆者]]としても評価されている。ほかの主要作品に『[[照葉狂言]]』『[[婦系図]]』『[[歌行燈]]』などがある。

[[金沢市]]下新町生まれ。[[尾崎紅葉]]に師事した。『夜行巡査』『[[外科室]]』で評価を得、『[[高野聖 (小説)|高野聖]]』で人気作家になる。[[日本の近世文学史|江戸文芸]]の影響を深く受けた怪奇趣味と特有の[[ロマン主義|ロマンティシズム]]で、[[幻想文学]]の先駆者としても評価されている。ほかの主要作品に『[[照葉狂言]]』『[[婦系図]]』『[[歌行燈]]』などがある。



== 生涯 ==

== 生涯 ==

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=== 晩年 ===

=== 晩年 ===


[[1925]]14[[]][[]][[]][[]][[]][[]][[]]19272752[[1927]]2[[]]8[[]][[]][[|]][[]][[]][[1928]]3[[]][[|]][[]][[1929]]4[[]][[1930]]5[[1931]]6[[1932]]7[[1934]]9[[]][[1936]]11[[1937]]12[[]][[]][[1938]]13調[[1939]]147[[]]97245[[|]]10[[ ()|]][[]][[]][[]][[]][[]][[1940]]

[[1925年]](大正14年)、[[改造社]]より『番町夜講』刊行。また春陽堂より『鏡花全集』刊行開始、鏡花を師と仰ぐ[[里見弴]]、[[谷崎潤一郎]]、[[水上瀧太郎]]、[[久保田万太郎]]、[[芥川龍之介]]、[[小山内薫]]が編集委員を務めた。(1927年に完結)。この年、出会いから27年目、鏡花52歳にしてすずと入籍。[[1927年]](昭和2年)、『多神教』([[文藝春秋]])を執筆

同年7月24日、芥川自殺一報を聞き、泣き崩れるほどのショックを受ける<ref>驚き悲しむ文壇人『東京日日新聞』昭和2年7月25日(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p4 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)</ref>。同月27日、芥川の葬儀に出席。


8[[]][[]][[|]][[]][[]][[1928]]3[[]][[|]][[]][[1929]]4[[]][[1930]]5[[1931]]6[[1932]]7[[1934]]9[[]][[1936]]11[[1937]]12[[]][[]][[1938]]13調[[1939]]147[[]]97245[[|]]10[[ ()|]][[]][[]][[]][[]][[]][[1940]]20246[[ (宿)|]]<ref name=":0">稿2 https://twitter.com/izumikyokamuse/status/1728687762407330254

https://twitter.com/izumikyokamuse/status/1790269436047601873</ref>。



== 略歴 ==

== 略歴 ==

*[[1873年]](明治6年) - [[石川県]][[金沢市]]下新町に生まれる。本名、鏡太郎。

*[[1873年]](明治{{0}}6年) - [[石川県]][[金沢市]]下新町に生まれる。本名、鏡太郎。

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*[[1880年]](明治13年) - 市内養成小学校に入学。

*[[1880年]](明治13年) - 市内養成小学校に入学。

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*[[1903年]](明治36年) - 紅葉が急逝。

*[[1903年]](明治36年) - 紅葉が急逝。

*[[1907年]](明治40年) - [[やまと新聞]]に『[[婦系図]]』を連載。

*[[1907年]](明治40年) - [[やまと新聞]]に『[[婦系図]]』を連載。

*[[1913年]](大正2年) - 『[[夜叉ヶ池 (戯曲)|夜叉ヶ池]]』『[[海神別荘]]』を発表。

*[[1913年]](大正{{0}}2年) - 『[[夜叉ヶ池 (戯曲)|夜叉ヶ池]]』『[[海神別荘]]』を発表。

*[[1919年]](大正8年) - [[婦人画報]]に『[[由縁の女]]』を連載。

*[[1919年]](大正{{0}}8年) - [[婦人画報]]に『[[由縁の女]]』を連載。

*[[1925年]](大正14年) - [[春陽堂書店|春陽堂]]より『鏡花全集』を刊行。

*[[1925年]](大正14年) - [[春陽堂書店|春陽堂]]より『鏡花全集』を刊行。

*[[1928年]](昭和3年) - [[肺炎]]に罹患する。各社の[[円本]]で鏡花集が刊行される。

*[[1928年]](昭和{{0}}3年) - [[肺炎]]に罹患する。各社の[[円本]]で鏡花集が刊行される。

*[[1937年]](昭和12年) - [[東京日日新聞]]、[[大阪毎日新聞]]に『薄紅梅』を連載。[[帝国芸術院]]会員になる。

*[[1937年]](昭和12年) - [[東京日日新聞]]、[[大阪毎日新聞]]に『薄紅梅』を連載。[[帝国芸術院]]会員になる。

*[[1939年]](昭和14年) - [[中央公論]]に『[[縷紅新草]]』を発表。9月7日、[[肺癌|癌性肺腫瘍]]のため東京市麹町区下六番町の自宅で逝去<ref>[[工藤寛正|岩井寛]]『作家の臨終・墓碑事典』(東京堂出版、1997年)31頁</ref>。

*[[1939年]](昭和14年) - [[中央公論]]に『[[縷紅新草]]』を発表。9月7日、[[肺癌|癌性肺腫瘍]]のため東京市麹町区下六番町の自宅で逝去<ref>[[工藤寛正|岩井寛]]『作家の臨終・墓碑事典』(東京堂出版、1997年)31頁</ref>。

*[[1973年]](昭和48年) - [[泉鏡花文学賞]]が制定。

*[[1973年]](昭和48年) - [[泉鏡花文学賞]]が制定。

*[[1999年]](平成11年) - 生家跡に[[泉鏡花記念館]]が開館。

*[[1999年]](平成11年) - 生家跡に[[泉鏡花記念館]]が開館。

*[[2024年]](令和{{0}}6年) - 墓所が[[雑司ヶ谷霊園]]から菩提寺の[[圓福寺 (新宿区)|円福寺]](東京・神楽坂)に移転<ref name=":0" />。



== 家族 ==

== 家族 ==

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* 着物の描写が丁寧で細密なことは鏡花作品の特徴だが、これは[[三越]]婦人部の発行していた『時好』というカタログ雑誌を知り合いの女性からわけてもらい、それを見て研究したものだという。鏡花はこれを紅葉に教えられた取材の方法であるといっている。

* 着物の描写が丁寧で細密なことは鏡花作品の特徴だが、これは[[三越]]婦人部の発行していた『時好』というカタログ雑誌を知り合いの女性からわけてもらい、それを見て研究したものだという。鏡花はこれを紅葉に教えられた取材の方法であるといっている。

* 著書の[[装訂]]、挿絵の大半は[[鏑木清方]]か[[小村雪岱]]によるもので、ことに雪岱はその号を鏡花が名づけて以来の名コンビだった。色の好みもはっきりしていて、紺のような濃い色を嫌った。小村雪岱『日本橋桧物町』(新版は[[平凡社ライブラリー]])に鏡花の回想記がある。清方も[[2006年]]に鏑木清方記念美術館刊で『鏑木清方挿絵図録 泉鏡花編』が出されている。

* 著書の[[装訂]]、挿絵の大半は[[鏑木清方]]か[[小村雪岱]]によるもので、ことに雪岱はその号を鏡花が名づけて以来の名コンビだった。色の好みもはっきりしていて、紺のような濃い色を嫌った。小村雪岱『日本橋桧物町』(新版は[[平凡社ライブラリー]])に鏡花の回想記がある。清方も[[2006年]]に鏑木清方記念美術館刊で『鏑木清方挿絵図録 泉鏡花編』が出されている。


* [[]][[]]

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* 幽幻院鏡花日彩居士という[[戒名]]は、弔問に訪れた文人たちが各々撰した中より[[佐藤春夫]]のものが選ばれたといわれる。

* 幽幻院鏡花日彩居士という[[戒名]]は、弔問に訪れた文人たちが各々撰した中より[[佐藤春夫]]のものが選ばれたといわれる。

* 『鏡花全集』は[[大正]]末期に[[春陽堂]]で全15巻(復刻版がエムティ出版、[[1994年]])が、没後は[[岩波書店]]から全28巻が1940 - 42年(昭和15 - 17年)に刊行。1973 - 76年(昭和48 - 51年)と1986 - 88年(昭和61 - 63年)に、新たに別巻(資料集ほか)を加え復刊されるまで、戦後しばらくは古書値が高価だった。

* 『鏡花全集』は[[大正]]末期に[[春陽堂]]で全15巻(復刻版がエムティ出版、[[1994年]])が、没後は[[岩波書店]]から全28巻が1940 - 42年(昭和15 - 17年)に刊行。1973 - 76年(昭和48 - 51年)と1986 - 88年(昭和61 - 63年)に、新たに別巻(資料集ほか)を加え復刊されるまで、戦後しばらくは古書値が高価だった。

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*:(こだま)新次は墓参の帰りの夜道で何者かに誰何されているとき、操に再会した。(有明)山の上のほうからお秀が自分を呼ぶ声がしきりに聞こえるが操は返事をしないように言う。やがてその操が富の市に変わり、お秀を捉えてそのまま谷底へ落ちていく。そのとき、有明の月明かりの中に母の姿が見えて、夢から醒めた。(柴垣)新次は紫谷家の柴垣伝いの近所の医者に通っていたが、そこでお秀の息子新三郎の薬瓶を偶然見た。薬局で聞くと、新三郎の病気はすでに快癒し、今はお秀が病気がちと聞いた。(几帳)深水家の元奉公人友吉からお秀の病気の原因が富の市であることを聞く。富の市はもともと自分が良家の跡取りであることをかさにきて、お秀に想いを寄せ執念深く毎日のように紫谷家に上りこんでいるのであった。(三日月)お秀の子新三郎が乳母に連れられ友吉の家にやって来て新次と偶然会う。新三郎は三日月の様に母親の病気平癒を祈るのであった。

*:(こだま)新次は墓参の帰りの夜道で何者かに誰何されているとき、操に再会した。(有明)山の上のほうからお秀が自分を呼ぶ声がしきりに聞こえるが操は返事をしないように言う。やがてその操が富の市に変わり、お秀を捉えてそのまま谷底へ落ちていく。そのとき、有明の月明かりの中に母の姿が見えて、夢から醒めた。(柴垣)新次は紫谷家の柴垣伝いの近所の医者に通っていたが、そこでお秀の息子新三郎の薬瓶を偶然見た。薬局で聞くと、新三郎の病気はすでに快癒し、今はお秀が病気がちと聞いた。(几帳)深水家の元奉公人友吉からお秀の病気の原因が富の市であることを聞く。富の市はもともと自分が良家の跡取りであることをかさにきて、お秀に想いを寄せ執念深く毎日のように紫谷家に上りこんでいるのであった。(三日月)お秀の子新三郎が乳母に連れられ友吉の家にやって来て新次と偶然会う。新三郎は三日月の様に母親の病気平癒を祈るのであった。

*『五之巻』(1896年)小説

*『五之巻』(1896年)小説

*:(山桜)ミリヤアドが教室で生徒に[[山桜]]の色を質問すると、[[大和魂]]という答えが返ってきて、その答えを認めないミリヤアドと生徒とでもめたのであった。(女浄瑠璃)ミリヤアドは美人なので、授業を受けるのは女浄瑠璃を聞きにいくようなものだという評判がたっていた。(なざれの歌)新次は上京したあと、[[ナザレ]]の歌を歌う教会の催しに参加して、そこで偶然ミリヤアドに再会した。(翡翠)ミリヤアドは参加者の要望で渋々オルガンを弾きながらナザレの歌を歌った。そして参加者からの翡翠の贈り物も受け取らず新次とともに会場をあとにした。

*:(山桜)ミリヤアドが教室で生徒に[[ヤマザクラ|山桜]]の色を質問すると、[[大和魂]]という答えが返ってきて、その答えを認めないミリヤアドと生徒とでもめたのであった。(女浄瑠璃)ミリヤアドは美人なので、授業を受けるのは女浄瑠璃を聞きにいくようなものだという評判がたっていた。(なざれの歌)新次は上京したあと、[[ナザレ]]の歌を歌う教会の催しに参加して、そこで偶然ミリヤアドに再会した。(翡翠)ミリヤアドは参加者の要望で渋々オルガンを弾きながらナザレの歌を歌った。そして参加者からの翡翠の贈り物も受け取らず新次とともに会場をあとにした。

*『六之巻』(1896年)小説

*『六之巻』(1896年)小説

*:(卯月朔日)ミリヤアドは学校での自分の境遇を考えると病気がちになってしまった。新次は卯月朔日が[[エイプリルフール]]であることに気づき、ミリヤアドを元気づけるために牛乳と偽って塩を入れた米の研ぎ汁を飲ませるという悪戯をした。(みなし児)その夜、ミリヤアドの家に行くと、長襦袢に扱きという姿でミリヤアドが突然現れ、エイプリルフールの仕返しをされた。ミリヤアドの父は米国人で日本人の母を残しミリヤアドだけを連れて帰国して、それ以来母は行方知れずになっていた。(袖の雨)ミリヤアドと同居人の高津は、自分らの不遇を嘆き、袖に落涙するのであった。(母上)ミリヤアドは長襦袢を着たまま、自分を新次の母親と思ってよい、今日はエイプリルフールだから自分が新次の母親だという嘘にだまされなさいと言った。(坂の下)高津がもってきた菓子を新次が一口食べると、それは綿を細工したもので菓子ではなくエイプリルフールの仕返しをまたされてしまう。その後、ミリヤアドの病気が急に悪化し高津が医者を呼びに行った。

*:(卯月朔日)ミリヤアドは学校での自分の境遇を考えると病気がちになってしまった。新次は卯月朔日が[[エイプリルフール]]であることに気づき、ミリヤアドを元気づけるために牛乳と偽って塩を入れた米の研ぎ汁を飲ませるという悪戯をした。(みなし児)その夜、ミリヤアドの家に行くと、長襦袢に扱きという姿でミリヤアドが突然現れ、エイプリルフールの仕返しをされた。ミリヤアドの父は米国人で日本人の母を残しミリヤアドだけを連れて帰国して、それ以来母は行方知れずになっていた。(袖の雨)ミリヤアドと同居人の高津は、自分らの不遇を嘆き、袖に落涙するのであった。(母上)ミリヤアドは長襦袢を着たまま、自分を新次の母親と思ってよい、今日はエイプリルフールだから自分が新次の母親だという嘘にだまされなさいと言った。(坂の下)高津がもってきた菓子を新次が一口食べると、それは綿を細工したもので菓子ではなくエイプリルフールの仕返しをまたされてしまう。その後、ミリヤアドの病気が急に悪化し高津が医者を呼びに行った。

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*[[瀧の白糸|滝の白糸]]

*[[瀧の白糸|滝の白糸]]

**1933年版([[新興キネマ]]、[[溝口健二]]監督)出演・[[入江たか子]]、[[岡田時彦]]

**1933年版([[新興キネマ]]、[[溝口健二]]監督)出演・[[入江たか子]]、[[岡田時彦]]

**1946年版([[大映]]、[[木村恵吾]]監督)出演・[[水谷八重子]]、[[夏川大二郎]]

**1946年版([[大映]]、[[木村恵吾]]監督)出演・[[水谷八重子 (初代)|水谷八重子]]、[[夏川大二郎]]

**1952年版(大映)出演・[[京マチ子]]、[[森雅之 (俳優)|森雅之]]

**1952年版(大映)出演・[[京マチ子]]、[[森雅之 (俳優)|森雅之]]

**1956年版(大映)出演・[[若尾文子]]、[[菅原謙二]]

**1956年版(大映)出演・[[若尾文子]]、[[菅原謙二]]

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**1929年版(日活、溝口健二監督)出演・岡田時彦、[[梅村蓉子]]

**1929年版(日活、溝口健二監督)出演・岡田時彦、[[梅村蓉子]]

**1956年版(大映)出演・[[淡島千景]]、山本富士子、若尾文子

**1956年版(大映)出演・[[淡島千景]]、山本富士子、若尾文子

**2014年 シネマ歌舞伎 グランドシネマ版([[松竹]])出演・[[坂東玉三郎 (5代目)|坂東玉三郎]]、[[高橋恵子]]、[[松田悟志]]

*[[折鶴お千]](1935年、松竹)出演・山田五十鈴、夏川大二郎

*[[折鶴お千]](1935年、松竹)出演・山田五十鈴、夏川大二郎

*白夜の妖女(1957年、[[日活]])出演・[[月丘夢路]]、[[葉山良二]]、[[滝沢修]]

*白夜の妖女(1957年、[[日活]])出演・[[月丘夢路]]、[[葉山良二]]、[[滝沢修]]

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*草迷宮(1983年、[[東映]])出演・[[三上博史]]、[[伊丹十三]]

*草迷宮(1983年、[[東映]])出演・[[三上博史]]、[[伊丹十三]]

*[[外科室#映画|外科室]](1992年、松竹)出演・[[吉永小百合]]、[[加藤雅也]]、[[鰐淵晴子]]

*[[外科室#映画|外科室]](1992年、松竹)出演・[[吉永小百合]]、[[加藤雅也]]、[[鰐淵晴子]]

*天守物語(1995松竹)出演・坂東玉三郎、[[宍戸開]]、[[宮沢りえ]]

*[[天守物語]]

**1995版([[松竹]])出演・坂東玉三郎、[[宍戸開]]、[[宮沢りえ]]

**2012年 シネマ歌舞伎版([[松竹]])出演・坂東玉三郎、[[市川海老蔵]]、[[中村勘九郎]]

*[[高野聖]]

**2012年 シネマ歌舞伎版([[松竹]])出演・坂東玉三郎、[[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]

*[[海神別荘]]

**2012年 シネマ歌舞伎版([[松竹]])出演・坂東玉三郎、[[市川海老蔵]]


== 舞台化作品 ==

*[[天守物語]]

:ページ 参照

*[[夜叉ヶ池 (戯曲)]]

:ページ 参照

*[[海神別荘]]

**1980年版([[博品館劇場]]、[[辻村ジュサブロー]]脚本・演出・美術)声の出演・[[平幹二郎]]、[[吉田日出子]]

**坂東玉三郎版については、[[海神別荘]]ページ参照


== アニメーション化作品 ==

* 『[[天守物語]]』([[2006年]])[[名倉靖博]] キャラクターデザイン・コンセプトデザイン・総作画監督

::[[フジテレビ系列]]「[[ノイタミナ]]」枠の「[[怪 〜ayakashi〜]]」にて全4話で放送された。[[坂元裕二]]脚本によるリテリング作品。



== 漫画化作品 ==

== 漫画化作品 ==

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*泉鏡花作、中川学画、[[東雅夫]]監修 『絵本 化鳥』 [[国書刊行会]]、2012

*泉鏡花作、中川学画、[[東雅夫]]監修 『絵本 化鳥』 [[国書刊行会]]、2012

*泉鏡花作、中川学画 『朱日記』 [[国書刊行会]]、2015

*泉鏡花作、中川学画 『朱日記』 [[国書刊行会]]、2015

*泉鏡花作、[[山村浩二]]画、[[アダム・カバット]]校注・解説『絵草子 月夜遊女』 [[平凡社]]、2017

*泉鏡花作、ホノジロトヲジ画 『外科室』 [[立東舎]]、2018

*泉鏡花作、ホノジロトヲジ画 『外科室』 [[立東舎]]、2018

*泉鏡花作、中川学画 『榲桲に目鼻のつく話』 [[河出書房新社]]、2019

*泉鏡花作、中川学画 『榲桲に目鼻のつく話』 [[河出書房新社]]、2019

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== 音楽化作品 ==

== 音楽化作品 ==

*[[香月修]]『オペラ・夜叉ケ池』 2013年 新国立劇場初演

*Cam Lasky 『Kyoka Hyaku 鏡花百』EPシリーズ KWAIOTO Records 2021年 -

:: 2022年に 中川学画の絵本を基にした3枚のアルバム『Anspicious Wings』(化鳥)、『Crimsons』(朱日記)、『Marmelo』(榲桲に目鼻のつく話)が発表されている。


== 泉鏡花が登場する作品 ==

== 泉鏡花が登場する作品 ==

; 映画

; 映画

* 『[[帝都物語]]』([[1988年]])[[実相寺昭雄]] 監督

* 『[[帝都物語]]』([[1988年]])[[実相寺昭雄]] 監督

::[[坂東玉三郎]]が、目方恵子([[原田美枝子]])に目方恵子(原田美枝子)加藤保憲([[嶋田久作]])への関りを助言する辻占姿の[[泉鏡花]]を演じている。

::坂東玉三郎が、目方恵子(原田美枝子)に観音力と鬼神力を解き、「あんた、近いうち鬼に会うよ」と忠告する辻占姿の泉鏡花を演じている。



; アニメーション

; アニメーション

*『OVA [[帝都物語]]』[[りんたろう]]監督 ([[1991年]])

*『[[文豪ストレイドッグス]]』TVシリーズ ([[2016年]] - )

*『[[文豪ストレイドッグス]]』TVシリーズ ([[2016年]] - )

:: 実在の鏡花は男性だが、この作品では女性に改変されている。

*『劇場版 [[明治東亰恋伽]]』([[2015年]] - [[2016年]]) [[わたなべひろし]] 監督 [[スタジオディーン]]

*『劇場版 [[明治東亰恋伽]]』([[2015年]] - [[2016年]]) [[わたなべひろし]] 監督 [[スタジオディーン]]

*『映画 [[文豪ストレイドッグス]] DEAD APPLE』([[2018年]])[[五十嵐卓哉]] 監督 [[角川ANIMATION]]

*『映画 [[文豪ストレイドッグス]] DEAD APPLE』([[2018年]])[[五十嵐卓哉]] 監督 [[角川ANIMATION]]

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;小説

;小説

*[[魚住ユキコ]]『[[明治東亰恋伽]] 紅月夜の婚約者』 [[角川ビーンズ文庫]] 2012

*[[魚住ユキコ]]『[[明治東亰恋伽]] 紅月夜の婚約者』 [[角川ビーンズ文庫]] 2012

*[[魚住ユキコ]]『[[明治東亰恋伽]] 恋月夜の花嫁』 [[角川ビーンズ文庫]] 2013

*魚住ユキコ『[[明治東亰恋伽]] 恋月夜の花嫁』 [[角川ビーンズ文庫]] 2013

*[[京極夏彦]]『書楼弔堂 破暁』 [[集英社]] 2013

::探書弐話「発心」で『冠彌左衛門』新聞連載開始三ヵ月前の泉鏡太郎が描かれる。また連載後いくつかの再掲載の中に「畠芋之助」名義の作者表記が存在する、というエピソードが記されている。



== 伝記 ==

== 伝記・論考 ==

*『新潮日本文学アルバム 22 泉 鏡花』 新潮社、1985

*[[村松定孝]] 『泉鏡花研究』 [[冬樹社]]、1974。有精堂出版(定本版)、1996

*[[村松定孝]] 『泉鏡花研究』 [[冬樹社]]、1974。有精堂出版(定本版)、1996

**『あぢさゐ供養頌 わが泉鏡花』 [[新潮社]]、1988

**『あぢさゐ供養頌 わが泉鏡花』 [[新潮社]]、1988

**『ことばの錬金術師 泉鏡花』 現代教養文庫、1973、復刊1993

**『ことばの錬金術師 泉鏡花』 現代教養文庫、1973、復刊1993

*[[巖谷大四]] 『人間泉鏡花』 [[東京書籍]]〈東書選書〉、1979、オンデマンド版2000。[[福武文庫]]、1988

*[[巖谷大四]] 『人間泉鏡花』 [[東京書籍]]〈東書選書〉、1979、オンデマンド版2000。[[福武文庫]]、1988

*『鏡花論集成』[[谷沢永一]]・渡辺一考 編、立風書房、1983。友人作家の論考

*[[竹田真砂子]] 『鏡花幻想』 [[講談社]]、1989。[[講談社文庫]]、1994

*[[竹田真砂子]] 『鏡花幻想』 [[講談社]]、1989。[[講談社文庫]]、1994

*[[福田清人]]・[[浜野卓也]] 『泉鏡花 人と作品』 [[清水書院]]、新装版2017

*[[福田清人]]・[[浜野卓也]] 『泉鏡花 人と作品』 [[清水書院]]、新装版2017

*[[種村季弘]]『水の迷宮』[[国書刊行会]]、2020。作品解説ほか

*[[種村季弘]]『水の迷宮』[[国書刊行会]]、2020。作品解説ほか


=== 図版解説 ===

*『新潮日本文学アルバム 22 泉鏡花』 [[野口武彦]]評伝、新潮社、1985

*『泉鏡花 美と幻影の魔術師』平凡社 別冊太陽 日本のこころ、2010

*『鏡花の家 泉鏡花生誕一五〇年記念』[[平凡社]]、2023。[[泉鏡花記念館]] 編著



== 出典 ==

== 出典 ==

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[[Category:1873年生]]

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[[Category:1939年没]]

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[[Category:雑司ヶ谷霊園に埋葬されている人物]]


2024年6月13日 (木) 23:27時点における最新版

泉 鏡花
(いずみ きょうか)
誕生 1873年11月4日
日本の旗 日本石川県金沢市下新町
死没 (1939-09-07) 1939年9月7日(65歳没)
日本の旗 日本東京府東京市麹町区下六番町
墓地 雑司ヶ谷霊園→円福寺
職業 小説家
言語 日本語
最終学歴 北陸英和学校中退
活動期間 1893年 - 1939年
ジャンル 小説
俳句
戯曲
文学活動 ロマン主義
幻想文学
観念小説
代表作義血侠血』(1894年)
夜行巡査』(1895年)
外科室』(1895年)
照葉狂言』(1896年)
高野聖』(1900年)
婦系図』(1907年)
歌行燈』(1910年)
天守物語』(1917年、戯曲)
デビュー作 『冠弥左衛門』(1893年)
配偶者 泉すず
親族 松本金太郎(従兄弟、能楽師)
ウィキポータル 文学
テンプレートを表示
東京都新宿区神楽坂の泉鏡花旧居跡(2017年9月27日撮影)

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(一)^   52009107 

(二)^ 27251 -3p4   1994

(三)^ ab稿2 https://twitter.com/izumikyokamuse/status/1728687762407330254 https://twitter.com/izumikyokamuse/status/1790269436047601873

(四)^ 199731

(五)^ abcdef2006

(六)^ 2013

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