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「租税」の版間の差分

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{{pp-vandalism|small=yes}}


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{{課税}}

{{読み仮名|'''税制'''|ぜいせい}}(租税制度)は、歳入([[財政]])の根幹および[[政治]]や[[経済]]([[経世済民]])の要因となる。商売や契約・取引などの行為および所得や有形無形の財産などに対して税を賦課することを{{読み仮名|'''課税'''|かぜい}}、課税された税を納めることを{{読み仮名|'''納税'''|のうぜい}}、徴収することを{{読み仮名|'''徴税'''|ちょうぜい}}、それらについての事務を{{読み仮名|'''税務'''|ぜいむ}}という。政府の財政状況において租税徴収額を減額することを{{読み仮名|'''減税'''|げんぜい}}、逆に増額することを{{読み仮名|'''増税'''|ぞうぜい}}という。

{{読み仮名|'''税制'''|ぜいせい}}(租税制度)は、歳入([[財政]])の根幹および[[政治]]や[[経済]]([[経世済民]])の要因となる。商売や契約・取引などの行為および所得や有形無形の財産などに対して税を賦課することを{{読み仮名|'''課税'''|かぜい}}、課税された税を納めることを{{読み仮名|'''納税'''|のうぜい}}、徴収することを{{読み仮名|'''徴税'''|ちょうぜい}}、それらについての事務を{{読み仮名|'''税務'''|ぜいむ}}という。政府の財政状況において租税徴収額を減額することを{{読み仮名|'''減税'''|げんぜい}}、逆に増額することを{{読み仮名|'''増税'''|ぞうぜい}}という。



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政府は、[[国家]]の基盤的機能を維持するため、個人から[[生殺与奪の権利]]を取り上げ、[[社会的ジレンマ]]や[[外部性]]([[フリーライダー]])を回避する施策を検討しなければならない。租税には、次の3つの機能・効果があるとされている。

政府は、[[国家]]の基盤的機能を維持するため、個人から[[生殺与奪の権利]]を取り上げ、[[社会的ジレンマ]]や[[外部性]]([[フリーライダー]])を回避する施策を検討しなければならない。租税には、次の3つの機能・効果があるとされている。



#[[公共サービス]]の費用調達機能 - 「[[市場の失敗]]」という言葉に象徴される[[市場経済]]のもとでは提供困難なサービス(軍事、国防、裁判、警察、公共事業など)の提供のための費用を調達するための機能<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p6-7 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。

#[[公共サービス]]の費用調達機能 - 「[[市場の失敗]]」という言葉に象徴される[[市場経済]]のもとでは提供困難なサービス(軍事、裁判、警察、消防、公共事業など)の提供のための費用を調達するための機能<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p6-7 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。

#[[所得]]の再分配機能 - 自由(私的財産権の保護)と平等(生存権の保障)は、究極的には矛盾する考え方であるが、今日の多くの国では、いわゆる[[福祉国家]]の理念のもと、国家が一定程度私的財産に干渉することもやむを得ないことと考えられている。このような考え方に基づいて持てる者から持たざる者に[[富の再分配|富を再分配]]する機能<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p7 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。

#[[所得]]の再分配機能 - 自由(私的財産権の保護)と平等(生存権の保障)は、究極的には矛盾する考え方であるが、今日の多くの国では、いわゆる[[福祉国家]]の理念のもと、国家が一定程度私的財産に干渉することもやむを得ないことと考えられている。このような考え方に基づいて持てる者から持たざる者に[[富の再分配|富を再分配]]する機能<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p7 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。


#[[]]調 - [[]]調[[|]]退調[[]]調調[[]]<ref> p8   26611</ref>

#[[]]調 - [[]]調[[|]]退調[[]]調調[[]]<ref> p8   26611</ref>



調[[]]調''''''調[[|]][[]][[]]([[]])<ref>[[]]KK2019pp.151-154</ref>

調[[]]調''''''調([[]])<ref>[[]]KK2019pp.151-154</ref>



[[]][[]][[]]<ref> 2019pp.128-129</ref>[[]][[]]1

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== 租税の基本原則 ==

== 租税の基本原則 ==

租税制度に関する一般的な基本原則として、[[アダム・スミス]]の4原則や[[アドルフ・ワーグナー (経済学者)|ワグナー]]の4大原則・9原則、[[リチャード・マスグレイブ|マスグレイブ]]の7条件などの租税原則が知られており、それらの理念は「公平・中立・簡素」の3点に集約できる<ref name="zeicho2">税制調査会『[https://www.cao.go.jp/zei-cho/history/1996-2009/etc/2000/zeicho.html わが国税制の現状と課題 -21世紀に向けた国民の参加と選択-]』2000年(1-2-2. 税制の基本原則)。</ref>。それらは[[トレードオフ]]の関係に立つ場合もあり同時に満たされるものではなく、公正で偏りのない税体系を実現することは必ずしも容易ではない。種々の税目を適切に組み合わせて制度設計を行う必要がある<ref name="zeicho">税制調査会『[https://www.cao.go.jp/zei-cho/history/1996-2009/etc/2000/zeicho.html わが国税制の現状と課題 -21世紀に向けた国民の参加と選択-]』2000年(1-2-1. 租税の種類と税体系)。</ref>。

租税制度に関する一般的な基本原則として、[[アダム・スミス]]の4原則や[[アドルフ・ワーグナー (経済学者)|アドルフ・ワグナー]]の4大原則・9原則、[[リチャード・マスグレイブ|マスグレイブ]]の7条件などの租税原則が知られており、それらの理念は「公平・中立・簡素」の3点に集約できる<ref name="zeicho2">税制調査会『[https://www.cao.go.jp/zei-cho/history/1996-2009/etc/2000/zeicho.html わが国税制の現状と課題 -21世紀に向けた国民の参加と選択-]』2000年(1-2-2. 税制の基本原則)。</ref>。それらは[[トレードオフ]]の関係に立つ場合もあり同時に満たされるものではなく、公正で偏りのない税体系を実現することは必ずしも容易ではない。種々の税目を適切に組み合わせて制度設計を行う必要がある<ref name="zeicho">税制調査会『[https://www.cao.go.jp/zei-cho/history/1996-2009/etc/2000/zeicho.html わが国税制の現状と課題 -21世紀に向けた国民の参加と選択-]』2000年(1-2-1. 租税の種類と税体系)。</ref>。



{| class="wikitable" style="margin:1em 5%; font-size:95%"

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::負担は普遍的に配分されるべきこと。特権階級の免税は廃止すべきこと。

::負担は普遍的に配分されるべきこと。特権階級の免税は廃止すべきこと。

:;課税の公平性

:;課税の公平性

::負担は公平に配分されるべきこと。すなわち、各人の負担能力に応じて課税されるべきこと。負担能力は所得増加の割合以上に高まるため、累進課税をすべきこと。なお、所得の種類に応じ担税力の相違などからむしろ異なった取扱いをすべきであること。

::負担は公平に配分されるべきこと。すなわち、各人の負担能力に応じて課税されるべきこと。負担能力は所得増加の割合以上に高まるため、累進課税をすべきこと。なお、所得の種類などに応じ担税力の相違などからむしろ異なった取扱いをすべきであること。

'''租税行政上の原則'''

'''租税行政上の原則'''

:;課税の明確性

:;課税の明確性

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租税制度は仕組みの異なるさまざまな税目から成り立っている<ref name="zeicho" />。それぞれの税目には長所と短所があり、観点の違いによって様々な分類方法がある<ref name="zeicho" />。

租税制度は仕組みの異なるさまざまな税目から成り立っている<ref name="zeicho" />。それぞれの税目には長所と短所があり、観点の違いによって様々な分類方法がある<ref name="zeicho" />。



{{Wide image|Revenue of Government 2020 in OECD.svg|800px|OECD各国の主要税収構造(種類別, GDPに占める比率%)<br>

=== 所得税・消費税・資産課税 ===

青は所得税、橙は法人税、緑は社会保険(被用者)、赤は社会保険(雇用者)、紫は給与税、桃は資産税、灰は消費税、薄緑は物品税}}


=== 所得税・消費税・資産課税など ===

{{OECD平均の税収構造}}

{{OECD平均の税収構造}}


[[|]][[|]]<ref name="zeicho" />OECD

税負担の尺度となる課税ベースに着目した分類として、「[[所得税]]」「[[消費税]]」「資産課税」などがある<ref name="zeicho" />。OECD諸国における各国平均の課税割合を右に記す。



; 所得

; 所得税

: 個人の所得に対して課税される個人所得課税([[所得税]]など)と、法人の所得に対して課税される法人所得課税([[法人税]]など)がある<ref name="zeicho" />。累進課税による特性として、経済自動安定化機能([[ビルト・イン・スタビライザー]])をもたらすとされる<ref name="zeicho" />。

: 個人の所得に対して課税される個人所得課税([[所得税]]など)と、法人の所得に対して課税される法人所得課税([[法人税]]など)がある<ref name="zeicho" />。累進課税による特性として、経済自動安定化機能([[ビルト・イン・スタビライザー]])をもたらすとされる<ref name="zeicho" />。

: 所得控除、[[医療費控除]]をはじめ、年金貯蓄や住宅投資などに対する優遇措置など、納税者の負担軽減のための様々な制度を導入しやすいことが利点でもある反面、それらの制度が既得権化すると公平性を損なうだけでなく、課税ベースの縮小によって税収調達機能の低下、非効率化といった問題を生じる<ref>森信茂樹「[https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10248500/www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r102/r102_02.pdf グローバル経済下での租税政策 ─消費課税の新展開─]」『フィナンシャル・レビュー』 2011年1号(通巻102号)、財務省財務総合政策研究所、p.11。</ref>。また、納税者個々の収入を把握し的確に課税し徴収する必要があるため正確な徴税が行いにくく、この制度を有効に活用するには税務当局の能力の向上が必須となる。このため3つの課税ベースのうちでもっとも開発が遅れ、所得課税が租税全体において大きな役割を果たすのは国家の徴税能力の向上した近代以降のことである。また同じ理由で、納税・徴税者双方に大きな事務的な負担がかかる課税である<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p12 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。このことから、所得課税は先進国の税収において大きな割合を占めることが多いが、発展途上国においてはそれほどの重要性を持たないことが多い。

: 所得控除、[[医療費控除]]をはじめ、年金貯蓄や住宅投資などに対する優遇措置など、納税者の負担軽減のための様々な制度を導入しやすいことが利点でもある反面、それらの制度が既得権化すると公平性を損なうだけでなく、課税ベースの縮小によって税収調達機能の低下、非効率化といった問題を生じる<ref>森信茂樹「[https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10248500/www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r102/r102_02.pdf グローバル経済下での租税政策 ─消費課税の新展開─]」『フィナンシャル・レビュー』 2011年1号(通巻102号)、財務省財務総合政策研究所、p.11。</ref>。また、納税者個々の収入を把握し的確に課税し徴収する必要があるため正確な徴税が行いにくく、この制度を有効に活用するには税務当局の能力の向上が必須となる。このため3つの課税ベースのうちでもっとも開発が遅れ、所得課税が租税全体において大きな役割を果たすのは国家の徴税能力の向上した近代以降のことである。また同じ理由で、納税・徴税者双方に大きな事務的な負担がかかる課税である<ref>『「税と社会貢献」入門 税の役割とあり方を考える』p12 伏見俊行・馬欣欣共著 ぎょうせい 平成26年6月1日第1刷</ref>。このことから、所得課税は先進国の税収において大きな割合を占めることが多いが、発展途上国においてはそれほどの重要性を持たないことが多い。

; 消費

; 消費税


: <ref name="zeicho" />[[]][[]][[]]<ref>2011p.13</ref>[[]]<ref name="ReferenceA"> p13   26611</ref><ref>[[]][https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10248500/www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r102/r102_05.pdf  ]20111102p.74</ref>

: <ref name="zeicho" />[[]][[]][[]]<ref>2011p.13</ref>[[]]<ref name="ReferenceA"> p13   26611</ref><ref>[[]][https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10248500/www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list6/r102/r102_05.pdf  ]20111102p.74</ref>

; 資産課税

; 資産課税など


: <ref name="zeicho" />[[]][[]][[]]<ref name="ReferenceA"/>

: <ref name="zeicho" />[[]][[]][[]]<ref name="ReferenceA"/>

近年では就労の促進や所得再分配機能の強化を目的として、所得課税などに対する[[給付付き税額控除]]の導入も進んでいる<ref>鎌倉治子「[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3050381 諸外国の給付付き税額控除の概要(調査と情報 -Issue Brief- 678号)]」国立国会図書館、2010年、表紙, pp.1-2。</ref>。給付付き税額控除は制度の複雑化や過誤支給、不正受給などの課題を伴う反面、課税最低限以下の層を含む低所得世帯への所得移転を税制の枠内で実現でき、労働供給を阻害しにくい制度設計も可能であることから<ref group="注">給付付き税額控除と並んで近年注目される[[ベーシックインカム]]については、[[就労可能]]な個人の労働意欲(就労インセンティブ)を損ないかねないという見方がある一方、それが労働市場に与える影響に関して現在様々な見解がある。ボランティアなど社会的活動への報酬として位置づけるという意見、稼得所得による給付額の逓減が無いことにより労働供給へのマイナス効果は小さいという意見、税制全体として給付の財源を賄うため累進課税の負担が増えると間接的に労働供給の阻害要因になるという意見など。(佐藤、p.93)</ref>、格差是正や消費税などの逆進性対策に適するとされる<ref>鎌倉、pp.1-11。佐藤、pp.73, 74。[[森信茂樹]]「[http://www.japantax.jp/iken/file/100401_2.pdf 給付付き税額控除の具体的設計]」『税経通信』922号、税務経理協会、2010、pp.38-40。</ref><ref group="注">森信2010では、給付付き税額控除をその政策目的によって勤労税額控除、児童税額控除、消費税逆進性対策税額控除の3種に分類している。ただし、森信「[http://www.japantax.jp/iken/file/080613.pdf 給付付き税額控除の4類型と日本型児童税額控除の提案]」(『国際税制研究』[https://www.nouzeikyokai.or.jp/yomimono/kenkyu/20.html 第20号]、納税協会、2008年、pp.24-34)では、現金給付の代わりに社会保険料の控除を行うオランダ型の社会保険料負担軽減税額控除も1類型に加えて4分類としている(白石浩介「[http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/pdf/j42d02.pdf 給付つき税額控除による所得保障]」『会計検査研究第』[http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/index41-50.html 42号]、会計検査院、2010年、p.1)。</ref>。勤労所得や就労時間の条件を加味して就労促進策の役割を担う勤労税額控除は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、スウェーデン、カナダ、ニュージーランド、韓国など10か国以上が導入している<ref>鎌倉、pp.2, 3。</ref>。子育て支援を目的とする児童税額控除はアメリカ、イギリスなどが採用しているほか、ドイツやカナダなども同趣旨の給付制度を設けている<ref>鎌倉、pp.2-6, 9。</ref><ref group="注">ドイツとカナダの児童手当は税額控除を伴わない給付のみの制度であるが、ドイツの児童手当は所得税法で規定されており児童控除との選択制、カナダでは税務当局である歳入庁が執行している(鎌倉、pp.6, 9)。</ref>。消費税の逆進性緩和を目的とする消費税逆進性対策税額控除はカナダやシンガポールなどが導入している<ref>鎌倉、pp.2, 8。</ref>。

近年では就労の促進や所得再分配機能の強化などを目的として、所得課税などに対する[[給付付き税額控除]]の導入も進んでいる<ref>鎌倉治子「[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3050381 諸外国の給付付き税額控除の概要(調査と情報 -Issue Brief- 678号)]」国立国会図書館、2010年、表紙, pp.1-2。</ref>。給付付き税額控除は制度の複雑化や過誤支給、不正受給などの課題を伴う反面、課税最低限以下の層を含む低所得世帯への所得移転を税制の枠内で実現でき、労働供給を阻害しにくい制度設計も可能であることから<ref group="注">給付付き税額控除と並んで近年注目される[[ベーシックインカム]]については、[[就労可能]]な個人の労働意欲(就労インセンティブ)を損ないかねないという見方がある一方、それが労働市場に与える影響に関して現在様々な見解がある。ボランティアなど社会的活動への報酬として位置づけるという意見、稼得所得による給付額の逓減が無いことにより労働供給へのマイナス効果は小さいという意見、税制全体として給付の財源を賄うため累進課税の負担が増えると間接的に労働供給の阻害要因になるという意見など。(佐藤、p.93)</ref>、格差是正や消費税などの逆進性対策に適するとされる<ref>鎌倉、pp.1-11。佐藤、pp.73, 74。[[森信茂樹]]「[http://www.japantax.jp/iken/file/100401_2.pdf 給付付き税額控除の具体的設計]」『税経通信』922号、税務経理協会、2010、pp.38-40。</ref><ref group="注">森信2010では、給付付き税額控除をその政策目的によって勤労税額控除、児童税額控除、消費税逆進性対策税額控除の3種に分類している。ただし、森信「[http://www.japantax.jp/iken/file/080613.pdf 給付付き税額控除の4類型と日本型児童税額控除の提案]」(『国際税制研究』[https://www.nouzeikyokai.or.jp/yomimono/kenkyu/20.html 第20号]、納税協会、2008年、pp.24-34)では、現金給付の代わりに社会保険料の控除を行うオランダ型の社会保険料負担軽減税額控除も1類型に加えて4分類としている(白石浩介「[http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/pdf/j42d02.pdf 給付つき税額控除による所得保障]」『会計検査研究第』[http://www.jbaudit.go.jp/effort/study/mag/index41-50.html 42号]、会計検査院、2010年、p.1)。</ref>。勤労所得や就労時間の条件を加味して就労促進策の役割を担う勤労税額控除は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、スウェーデン、カナダ、ニュージーランド、韓国など10か国以上が導入している<ref>鎌倉、pp.2, 3。</ref>。子育て支援を目的とする児童税額控除はアメリカ、イギリスなどが採用しているほか、ドイツやカナダなども同趣旨の給付制度を設けている<ref>鎌倉、pp.2-6, 9。</ref><ref group="注">ドイツとカナダの児童手当は税額控除を伴わない給付のみの制度であるが、ドイツの児童手当は所得税法で規定されており児童控除との選択制、カナダでは税務当局である歳入庁が執行している(鎌倉、pp.6, 9)。</ref>。消費税の逆進性緩和を目的とする消費税逆進性対策税額控除はカナダやシンガポールなどが導入している<ref>鎌倉、pp.2, 8。</ref>。



=== 国税と地方税 ===

=== 国税と地方税 ===

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== 租税負担率 ==

== 国民所得に対する負担率 ==

===租税負担率と社会保障負担率===

[[国民所得]]に占める租税の総額(国税と地方税を合わせた租税収入金額を国民所得で除した額)を'''租税負担率'''という<ref name="nomura">{{Cite web |url=https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A02494.html |title=国民負担率 |publisher=[[野村証券]] |accessdate=2020-06-28}}</ref>。また、国民所得に占める社会保障負担額の総額([[医療保険]]や[[年金保険]]などを合わせた社会保障負担額を国民所得で除した額)を'''社会保障負担率'''といい、国民全体の所得に占める租税と社会保障費の負担の割合を'''国民負担率'''(national burden ratio)という<ref name="nomura" />。なお、国民負担率に次世代の国民負担(財政赤字分)を加味して算出した割合を'''潜在的国民負担率'''という<ref name="nomura" />。


{{Main2|各国の租税負担率一覧|:en:List of countries by tax revenue to GDP ratio}}

{{Main2|各国の租税負担率一覧|:en:List of countries by tax revenue to GDP ratio}}

[[国民所得]]に占める租税の総額(国税と地方税を合わせた租税収入金額を国民所得で除した額)を'''租税負担率'''という<ref name="nomura">{{Cite web|和書|url=https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A02494.html |title=国民負担率 |publisher=[[野村証券]] |accessdate=2020-06-28}}</ref>。

また、国民所得に占める社会保障負担額の総額([[医療保険]]や[[年金保険]]などを合わせた社会保障負担額を国民所得で除した額)を'''社会保障負担率'''という。

===国民負担率===

国民全体の所得に占める租税負担率と社会保障負担率の合算を''' [[国民負担率]]'''(national burden ratio)という<ref name="nomura" />。なお、国民負担率に次世代の国民負担(財政赤字分)を加味して算出した割合を'''潜在的国民負担率'''という<ref name="nomura" />。



== 徴収方式 ==

== 徴収方式 ==


<ref>[http://www.zeirishikai-urawa.com/contents/startup/cat/2012/10/28-2346.html   ]201726</ref>20<ref>[https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/058.pdf ]202088</ref>[[]]

<ref>[http://www.zeirishikai-urawa.com/contents/startup/cat/2012/10/28-2346.html   ]201726</ref>20<ref>[https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/058.pdf ]202088</ref>[[]]


== 租税の歴史 ==

== 租税の歴史 ==


[[]][[]]

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租税制度は主に次のような変遷を遂げた<ref>山本守之『租税法の基礎理論』改訂版125 - 131ページ</ref>。

租税制度は主に次のような変遷を遂げた<ref>山本守之『租税法の基礎理論』改訂版125 - 131ページ</ref>。



=== 古代 ===

=== 古代 ===


[[|]][[]][[]][[]][[]][[]][[]]

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[[古代エジプト]]の[[パピルス]]文書に当時の農民に対する厳しい搾取と免税特権をもつ神官・書記に関する記述がある。

[[古代エジプト]]の[[パピルス]]文書に当時の農民に対する厳しい搾取と免税特権をもつ神官・書記に関する記述がある。

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=== 日本 ===

=== 日本 ===

{{main|日本の租税#日本における租税の歴史}}

{{main|日本の租税#歴史}}



=== 中国 ===

=== 中国 ===

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*3)消費への課税によって浪費を抑制し、倹約を奨励するので、勤勉な人が報われるので公平である。倹約は貯蓄と投資を促す<ref name="mor41-8"/>。

*3)消費への課税によって浪費を抑制し、倹約を奨励するので、勤勉な人が報われるので公平である。倹約は貯蓄と投資を促す<ref name="mor41-8"/>。



[[ホッブズ]]は1642年の「市民論」で財産への課税は浪費家と倹約家の区別を無視することになり、倹約家が重負担となるので、消費税の方が財産税よりも公平であると論じた<ref name="mor41-8"/>。[[労働価値説]]を唱えた経済学者[[ウィリアム・ペティ]]や[[重商主義]]経済学者[[ジェームズ・ステュアート]]も内国消費税を支持した<ref name="mor41-8"/>。ステュアートは租税を富のバランスを促進するための政策と見ており、国内の奢侈的需要による価格高騰が輸出を困難にする場合には、内国消費税や輸出奨励金によって是正することができると論じた<ref>[[木村元一]]「重商主義租税論の一体系-ジェームズ・ステュアートとの財政論その二」一橋論叢31巻4号、p297-300,1954-04</ref>。


[[]]1642<ref name="mor41-8"/>[[]][[]][[]]{{| ()|en|James Steuart (economist)|label=}}<ref name="mor41-8"/><ref>[[]]-314p297-300,1954-04</ref>


他方、経済学者[[アダム・スミス]]は『[[国富論]]』第5篇で[[財産税]]や[[所得税]]と比べて[[消費税]]は収入比例的な課税を実現できないために不平等であると論じた<ref name="mor49-55">諸富徹,p.49-55</ref>。スミスは国防、司法、公共事業の三つを国家の仕事とし、これらを遂行するための経費を賄うために租税は徴収されるとみなした<ref name="mor49-55"/>。スミスは租税は、[[利潤]]、[[地代]]、[[賃金]]の三つの本源的所得に課税されると論じ、直接税としての所得税を提唱した<ref name="mor49-55"/>。

他方、経済学者[[アダム・スミス]]は『[[国富論]]』第5篇で[[財産税]]や[[所得税]]と比べて[[消費税]]は収入比例的な課税を実現できないために不平等であると論じた<ref name="mor49-55">諸富徹,p.49-55</ref>。スミスは国防、司法、公共事業の三つを国家の仕事とし、これらを遂行するための経費を賄うために租税は徴収されるとみなした<ref name="mor49-55"/>。スミスは租税は、[[利潤]]、[[地代]]、[[賃金]]の三つの本源的所得に課税されると論じ、直接税としての所得税を提唱した<ref name="mor49-55"/>。

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==== 租税国家の確立 ====

==== 租税国家の確立 ====

1733年、ウォルポール内閣は内国消費税改革に試みたが反対された<ref name="mor41-8"/>。しかし、[[オーストリア継承戦争]]や[[七年戦争]](1754年-1763年)に続いて、[[フランス革命戦争|フランス干渉戦争]]では戦費のための政府債務が4000万ポンドにまで膨張した<ref name="mor41-8"/>。1796年、[[ウィリアム・ピット (小ピット)|ウィリアム・ピット]]首相は直接査定税を引き上げ、内国消費税の課税対象を拡大、1798年には富裕層への直接税トリプルアセスメント(Triple Assessment)を導入した<ref name="mor41-8"/>。しかし、これは馬車、家屋、窓、柱時計などの「外形標準」から推定される所得に課税するもので、現実の所得に対するものでなく、また十分な収入にならなかったため半年しか実施されなかった<ref name="mor41-8"/>。[[1799年]]に世界で初めて'''[[所得税]]'''が導入された<ref name="mor41-8"/><ref name=ikd>[[池田浩太郎]]「イギリス所得税の先駆的諸税について」一橋論叢35巻1号,p80.及び「イギリス所得税前史」成城大学経済研究 (7), p117, 1957-12</ref>。土地家屋や海外財産の所得、商工業や給与による所得などを源泉としたため、現実の所得を総合的に正確に把握できるようになった<ref name="mor41-8"/>。1803年には申告納税ではなく、源源泉徴収方式に切り替えられ、5つの所得源ごとに課税されるシェデュール制(shedule)となった<ref name="mor41-8"/>。1815年の[[ナポレオン戦争]]終結直前には総戦費の20%に当たる1480万ポンドの税収となった<ref name=ita>板倉孝信「英国における所得税廃止論争 (1816年) の再検討:―麦芽税廃止論争との関連性を中心に―」年報政治学 67(2), 2016年,日本政治学会,p289</ref>。これ以降、[[産業革命]]による[[資本主義]]の発達を背景に[[所得税]]を中心とした所得課税が世界に普及していく。ただし初期の所得課税は高額所得者に対するもので、税収総額としてはわずかなものであった<ref>「租税の基礎研究」p43 石川祐三著 時潮社 2010年3月25日第1版第1刷</ref>。

1733年、ウォルポール内閣は内国消費税改革に試みたが反対された<ref name="mor41-8"/>。しかし、[[オーストリア継承戦争]]や[[七年戦争]](1754年-1763年)に続いて、[[フランス革命戦争|フランス干渉戦争]]では戦費のための政府債務が4000万ポンドにまで膨張した<ref name="mor41-8"/>。1796年、[[ウィリアム・ピット (小ピット)|ウィリアム・ピット]]首相は直接査定税を引き上げ、内国消費税の課税対象を拡大、1798年には富裕層への直接税トリプルアセスメント(Triple Assessment)を導入した<ref name="mor41-8"/>。しかし、これは馬車、家屋、窓、柱時計などの「外形標準」から推定される所得に課税するもので、現実の所得に対するものでなく、また十分な収入にならなかったため半年しか実施されなかった<ref name="mor41-8"/>。[[1799年]]に世界で初めて'''[[所得税]]'''が導入された<ref name="mor41-8"/><ref name="ikd">[[池田浩太郎]]「イギリス所得税の先駆的諸税について」一橋論叢35巻1号,p80.及び「イギリス所得税前史」成城大学経済研究 (7), p117, 1957-12</ref>。土地家屋や海外財産の所得、商工業や給与による所得などを源泉としたため、現実の所得を総合的に正確に把握できるようになった<ref name="mor41-8"/>。1803年には申告納税ではなく、源源泉徴収方式に切り替えられ、5つの所得源ごとに課税されるシェデュール制(shedule)となった<ref name="mor41-8"/>。1815年の[[ナポレオン戦争]]終結直前には総戦費の20%に当たる1480万ポンドの税収となった<ref name=ita>板倉孝信「英国における所得税廃止論争 (1816年) の再検討:―麦芽税廃止論争との関連性を中心に―」年報政治学 67(2), 2016年,日本政治学会,p289</ref>。これ以降、[[産業革命]]による[[資本主義]]の発達を背景に[[所得税]]を中心とした所得課税が世界に普及していく。ただし初期の所得課税は高額所得者に対するもので、税収総額としてはわずかなものであった<ref>「租税の基礎研究」p43 石川祐三著 時潮社 2010年3月25日第1版第1刷</ref>。



19世紀には[[資本主義]]の矛盾が露呈し、恐慌と不景気による失業には経済の自動調節では解消できないようになり、国家介入が要請されるようになった<ref name=sim18-31/>。ここにおいて近代国家の機能は[[夜警国家]]から[[福祉国家]]へと変化していき、[[生存権]]という新しい人権も生まれた<ref name=sim18-31/>。

19世紀には[[資本主義]]の矛盾が露呈し、恐慌と不景気による失業には経済の自動調節では解消できないようになり、国家介入が要請されるようになった<ref name=sim18-31/>。ここにおいて近代国家の機能は[[夜警国家]]から[[福祉国家]]へと変化していき、[[生存権]]という新しい人権も生まれた<ref name=sim18-31/>。

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[[ヘンリー・ジョージ]]は『進歩と貧困』(1879年)で土地私有制に反対し、土地から発生するあらゆる利益に課税し、その他の税を撤廃する土地単一税を提唱した<ref name="mor106-121"/>。しかし、当時の経済権力は石油の[[ジョン・ロックフェラー]]、銀行家[[ジョン・モルガン]]、鉄鋼界の[[アンドリュー・カーネギー]]などの産業金融資本家の手にあり、そうした新しい経済秩序の問題を突き止めることにはならなかった<ref name="mor106-121"/>。

[[ヘンリー・ジョージ]]は『進歩と貧困』(1879年)で土地私有制に反対し、土地から発生するあらゆる利益に課税し、その他の税を撤廃する土地単一税を提唱した<ref name="mor106-121"/>。しかし、当時の経済権力は石油の[[ジョン・ロックフェラー]]、銀行家[[ジョン・モルガン]]、鉄鋼界の[[アンドリュー・カーネギー]]などの産業金融資本家の手にあり、そうした新しい経済秩序の問題を突き止めることにはならなかった<ref name="mor106-121"/>。



当時北部の産業界を支持基盤としていた[[共和党]]の[[ウィリアム・マッキンリー]]議員は1890年、平均関税率48%という史上最高の高関税を導入した<ref name="mor106-121"/>。この保護政策は独占企業を形成していく誘因となった<ref name="mor106-121"/>。

当時北部の産業界を支持基盤としていた[[共和党 (アメリカ)|共和党]]の[[ウィリアム・マッキンリー]]議員は1890年、平均関税率48%という史上最高の高関税を導入した<ref name="mor106-121"/>。この保護政策は独占企業を形成していく誘因となった<ref name="mor106-121"/>。



一方、[[民主党 (アメリカ)|民主党]]は南部・西部の農民や労働者を支持基盤としており、高関税は独占・寡占化を促すとして反対し、所得税再導入を提唱した<ref name="mor106-121"/>。民主党の[[グロバー・クリーブランド|クリーブランド]]大統領は1893年の大統領教書で関税引き下げと小規模な所得課税に言及し、民主党マクミラン下院議員も関税は富の不公平な集中を促すとして所得税再導入を提唱し、1894年に関税所得税法案は可決した<ref name="mor106-121"/>。しかしこの法案に対して、元共和党議員の憲法学者ジョージ・エドマンズらが違憲訴訟を起こした<ref name="mor122-135">諸富徹,p.122-135</ref>。

一方、[[民主党 (アメリカ)|民主党]]は南部・西部の農民や労働者を支持基盤としており、高関税は独占・寡占化を促すとして反対し、所得税再導入を提唱した<ref name="mor106-121"/>。民主党の[[グロバー・クリーブランド|クリーブランド]]大統領は1893年の大統領教書で関税引き下げと小規模な所得課税に言及し、民主党マクミラン下院議員も関税は富の不公平な集中を促すとして所得税再導入を提唱し、1894年に関税所得税法案は可決した<ref name="mor106-121"/>。しかしこの法案に対して、元共和党議員の憲法学者ジョージ・エドマンズらが違憲訴訟を起こした<ref name="mor122-135">諸富徹,p.122-135</ref>。

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20世紀に入ると1901年恐慌や[[1907年恐慌]]が発生し、産業界は独占・寡占を強化していき、[[共和党 (アメリカ)|共和党]]も独占・寡占の弊害を認めるようになった<ref name="mor122-135"/>。共和党の[[セオドア・ルーズベルト]]大統領は、[[ジェームズ・ジェローム・ヒル]]と[[ジョン・モルガン]]らが形成した鉄道[[トラスト (企業形態)|トラスト]]、[[ノーザン・セキュリティーズ]]、[[スタンダード・オイル|スタンダード・オイル・トラスト]]、[[USスチール]]などのトラストを[[反トラスト法]]を持って告発していった<ref name="mor122-135"/><ref>当時のトラストについては浦野倫平「アメリカにおける第1次・第2次M &Aブームの特色と投資銀行」同志社商学 48(1), 1996-06,同志社大学商学会,P175-179.も参照</ref>。

20世紀に入ると1901年恐慌や[[1907年恐慌]]が発生し、産業界は独占・寡占を強化していき、[[共和党 (アメリカ)|共和党]]も独占・寡占の弊害を認めるようになった<ref name="mor122-135"/>。共和党の[[セオドア・ルーズベルト]]大統領は、[[ジェームズ・ジェローム・ヒル]]と[[ジョン・モルガン]]らが形成した鉄道[[トラスト (企業形態)|トラスト]]、[[ノーザン・セキュリティーズ]]、[[スタンダード・オイル|スタンダード・オイル・トラスト]]、[[USスチール]]などのトラストを[[反トラスト法]]を持って告発していった<ref name="mor122-135"/><ref>当時のトラストについては浦野倫平「アメリカにおける第1次・第2次M &Aブームの特色と投資銀行」同志社商学 48(1), 1996-06,同志社大学商学会,P175-179.も参照</ref>。



[[革新主義時代]]と呼ばれる当時のアメリカにおいて続く[[ウィリアム・タフト|タフト]]大統領も前大統領に倣い、トラストを促進する関税を引き下げようとする<ref name="mor122-135"/>。しかし、共和党保守派の重鎮で北東部産業界の代弁者だった[[ネルソン・オルドリッチ]]は高関税を擁護し、1909年にはペイン=オルドリッチ関税法を成立させ、一部の品目の関税を引き下げつつ、鉄鉱石や石炭の税率を引き上げた

[[革新主義時代]]と呼ばれる当時のアメリカにおいて続く[[ウィリアム・タフト|タフト]]大統領も前大統領に倣い、トラストを促進する関税を引き下げようとする<ref name="mor122-135"/>。しかし、共和党保守派の重鎮で北東部産業界の代弁者だった[[ネルソン・オルドリッチ]]は高関税を擁護し、1909年にはペイン=オルドリッチ関税法を成立させ、一部の品目の関税を引き下げつつ、鉄鉱石や石炭の税率を引き上げた<ref name="mor122-135"/>。これを受けて共和党革新派は関税引き下げよりも所得税導入に向けて動き、5000$以上の所得には2%、十万$以上の所得には6%の累進税率を持つ所得税法案を目指した<ref name="mor122-135"/>。これに強い危機感を抱いたオルドリッチは法人税を先に審議させて個人所得税審議を宙吊りにしようとし、さらにタフトに憲法改正に協力することを約束した<ref name="mor122-135"/>。1909年7月に法人税法案は可決された。しかし、共和党革新派と民主党からは法人税は所得税代替とはならないと主張され、他方の保守派にも法人税導入は富裕層への課税強化に他ならないと見て不満に思うものもいた<ref name="mor122-135"/>。法人税法案に対して保険会社や不動産業者による違憲訴訟も起こったが、最高裁は「法人税は直接税ではなく、法人形態で事業を営む特権の付与に対する免許税である」と判断し、原告の請求を退けた<ref name="mor122-135"/>。法人税は財源調達手段として成功し、1910年に2100万ドルだった税収は1912年に3500万ドルにも増加した<ref name="mor122-135"/>。

た<ref name="mor122-135"/>。これを受けて共和党革新派は関税引き下げよりも所得税導入に向けて動き、5000$以上の所得には2%、十万$以上の所得には6%の累進税率を持つ所得税法案を目指した<ref name="mor122-135"/>。これに強い危機感を抱いたオルドリッチは法人税を先に審議させて個人所得税審議を宙吊りにしようとし、さらにタフトに憲法改正に協力することを約束した<ref name="mor122-135"/>。1909年7月に法人税法案は可決された。しかし、共和党革新派と民主党からは法人税は所得税代替とはならないと主張され、他方の保守派にも法人税導入は富裕層への課税強化に他ならないと見て不満に思うものもいた<ref name="mor122-135"/>。法人税法案に対して保険会社や不動産業者による違憲訴訟も起こったが、最高裁は「法人税は直接税ではなく、法人形態で事業を営む特権の付与に対する免許税である」と判断し、原告の請求を退けた<ref name="mor122-135"/>。法人税は財源調達手段として成功し、1910年に2100万ドルだった税収は1912年に3500万ドルにも増加した<ref name="mor122-135"/>。



1909年6月28日にはオルドリッチは[[憲法改正]]として[[アメリカ合衆国憲法修正第16条|修正第16条]]を提案し、この修正憲法は1913年までに42州が批准した<ref name="mor122-135"/>。

1909年6月28日にはオルドリッチは[[憲法改正]]として[[アメリカ合衆国憲法修正第16条|修正第16条]]を提案し、この修正憲法は1913年までに42州が批准した<ref name="mor122-135"/>。

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=== 社会主義者の見解 ===

=== 社会主義者の見解 ===

[[カール・マルクス]]は[[共産主義]]の到来の後に課税は不必要になることを推量し、そして「[[国家死滅]]」を期待する。[[中華人民共和国|中国]]におけること<ref group="注">現代中国の税制については[[中華人民共和国#税制という投資環境]]を参考にせよ。</ref> のような[[社会主義経済]]では、大部分の政府の歳入は企業の所有権からの運用だったので、課税は重要でない役割を果たした。そして或る人々によってそれは金銭による課税は必要でなかったことを議論された<ref>{{cite book |last =Li |first =Jinyan |title =Taxation in the People's Republic of China |publisher =Praeger |location =New York |year =1991 |isbn =0-275-93688-0 }}</ref>。

[[カール・マルクス]]は[[共産主義]]の到来の後に課税は不必要になることを推量し、そして「[[国家死滅]]」を期待する。[[中華人民共和国|中国]]におけること<ref group="注">現代中国の税制については[[中華人民共和国#税制]]を参考にせよ。</ref> のような[[社会主義経済]]では、大部分の政府の歳入は企業の所有権からの運用だったので、課税は重要でない役割を果たした。そして或る人々によってそれは金銭による課税は必要でなかったことを議論された<ref>{{cite book |last =Li |first =Jinyan |title =Taxation in the People's Republic of China |publisher =Praeger |location =New York |year =1991 |isbn =0-275-93688-0 }}</ref>。



=== 租税選択 ===

=== 租税選択 ===

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''''''[[]]{{||en|dispersed knowledge|label =}}<ref>{{cite journal |title =Tax morale and conditional cooperation |url =http://www.bsfrey.ch/articles/453_07.pdf |doi =10.1016/j.jce.2006.10.006 |accessdate =3 January 2013 |colume =35 |journal =Journal of Comparative Economies |pages =136-59 |year =2007 |last1 =Frey |first1 =Bruno S. |last2 =Torgler |first2 =Benno |deadurl =yes |archiveurl =https://web.archive.org/web/20130120090643/http://www.bsfrey.ch/articles/453_07.pdf |archivedate =20 January 2013 |df =dmy-all }}</ref>[[]][[]]

''''''[[]]{{||en|dispersed knowledge|label =}}<ref>{{cite journal |title =Tax morale and conditional cooperation |url =http://www.bsfrey.ch/articles/453_07.pdf |doi =10.1016/j.jce.2006.10.006 |accessdate =3 January 2013 |volume =35 |journal =Journal of Comparative Economies |pages =136-59 |year =2007 |last1 =Frey |first1 =Bruno S. |last2 =Torgler |first2 =Benno |deadurl =yes |archiveurl =https://web.archive.org/web/20130120090643/http://www.bsfrey.ch/articles/453_07.pdf |archivedate =20 January 2013 |df =dmy-all }}</ref>[[]][[]]


=== ジオイストの見解 ===

=== ジオイストの見解 ===

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=== 最適な課税 ===

=== 最適な課税 ===

{{main |最適課税}}

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'''[[|]]'''[[]]''''dead-weight cost[[|]][[]]outcome<ref name ="Human Capital Tax">{{cite journal |last1 =Simkovic |first1 =Michael |title =The knowledge Tax |journal =University of Chicago Law Review |ssrn =2551567 }}</ref>

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=== 税率 ===

=== 税率 ===

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== 外部リンク ==

== 外部リンク ==

* Maria S. Cox,Charles E. McLure,[https://www.britannica.com/topic/taxation/History-of-taxation History of taxation],Britannica

* Maria S. Cox,Charles E. McLure,[https://www.britannica.com/topic/taxation/History-of-taxation History of taxation],Britannica{{en icon}}

* [https://newint.org/features/2008/10/01/tax-history A SHORT HISTORY OF TAXATION]{{en icon}} - New Internationalist

* [https://onlinebusiness.northeastern.edu/blog/a-brief-history-of-taxation/A Brief History of Taxation ] Northeastern University

* [https://www.nta.go.jp/taxes/kids/index.htm 税の学習コーナー] - 国税庁

* [https://newint.org/features/2008/10/01/tax-history A SHORT HISTORY OF TAXATION],New Internationalist.

* [http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/ 税の学習コーナー(租税教育]

* [https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/education/index.htm 租税教育] - 国税庁

* [https://www.oecd.org/tax/ Tax]{{en icon}} - OECD

* [http://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/gakushu/kyoshitsu/01.htm 租税教室案内(東京国税局)]

* [http://www.oecd.org/tax/ Tax] - OECD

* {{Kotobank}}

* {{Kotobank}}




2024年1月11日 (木) 07:32時点における最新版


: tax

租税の機能


3

(一)調 - 調[1]

(二) - [2]

(三)調 - 調退調調調[3]

調調調()[4]

[5]1

租税の基本原則


44973[6][7]
租税原則[8]
アダム・スミスの
4原則
公平の原則
税負担は各人の能力に比例すべきこと。言い換えれば、国家の保護の下に享受する利益に比例すべきこと。
明確の原則
租税は、恣意的であってはならないこと。支払時期・方法・金額が明白で、平易なものであること。
便宜の原則
租税は、納税者が支払うのに最も便宜なる時期と方法によって徴収されるべきこと。
最小徴税費の原則
国庫に帰する純収入額と人民の給付する額との差をなるべく少なくすること。
ワグナーの
4大原則・9原則
































課税の明確性
課税は明確であるべきこと。恣意的課税であってはならないこと。
課税の便宜性
納税手続は便利であるべきこと。
最小徴税費への努力
徴税費が最小となるよう努力すべきこと。
マスグレイブの
7条件
十分性
歳入(税収)は十分であるべきこと。
公平
租税負担の配分は公平であるべきこと。
負担者
租税は、課税対象が問題であるだけでなく、最終負担者(転嫁先)も問題である。
中立(効率性)
租税は、効率的な市場における経済上の決定に対する干渉を最小にするよう選択されるべきこと。そのような干渉は「超過負担」を課すことになるが、超過負担は最小限にとどめなければならない。
経済の安定と成長
租税構造は経済安定と成長のための財政政策を容易に実行できるものであるべきこと。
明確性
租税制度は公正かつ恣意的でない執行を可能にし、かつ納税者にとって理解しやすいものであるべきこと。
費用最小
税務当局及び納税者の双方にとっての費用を他の目的と両立し得る限り、できるだけ小さくすべきこと。

租税法律主義


13

使


2

(一) - 

(二) - 


[7][7]
OECD各国の主要税収構造(種類別, GDPに占める比率%)
青は所得税、橙は法人税、緑は社会保険(被用者)、赤は社会保険(雇用者)、紫は給与税、桃は資産税、灰は消費税、薄緑は物品税

所得税・消費税・資産課税など

OECD各国平均の
税収構造(2014年) [9]

  個人所得税 (24%)
  社会保険 (26%)
  給与税 (1%)
  資産税 (6%)
  一般消費税 (21%)
  個別消費税 (10%)
  その他 (4%)

[7]OECD



[7][7]

調[10]3[11]



[7][12][13][14]



[7][13]

[15][ 1][16][ 2]10[17][18][ 3][19]

OECDGDP(%)
[20]

[7][21][22]

[23] [23][23][24][ 4][25]


使使[7][7]


[26][26]

[7]





[27]



[26] [28]


[7]


[6][6][6]

税の帰着



国民所得に対する負担率

租税負担率と社会保障負担率


[29]


 national burden ratio[29][29]


[30]20[31]




[32]








[33] Eisphora541[34]

101012%501310

日本

中国


75  [35]



調調78016


7


[36] 101[37]8910[37]

調21198[38]

便



1415調[39]25[39]3060002500[39][39][39]

[38]


1215  [40][41]

16251西調14[42] 1[43][43]1628[43]11[43][43]調[43]16411642[44]1643Assessed Tax)[44][45][44]Excise Duty)[44][46][44]2[44]16281689[40]

17[47][47]

[48]

1

2)

3)[48]

1642[48][48][49]

5[50][50][50]

 [51]

[50]調[50]12調[52]


162417


1755 - 176317641767[53][54]177317744(1775-1783)[53][53][53][55][53]

183[56][56]1786178955[56][56]81314使[57]使1314[56][56]

[58][58][58][59]


1733[48](1754-1763)4000[48]17961798Triple Assessment)[48][48]1799[48][60][48]18035(shedule)[48]181520%1480[61][62]

19調[58][58]

19 [59]


18051808[63]18121814[63]1820[63]1851[64] 1891[63][63]

(1885)

1)

2)

3)

[65] [65][65][65]

(1890)[63][63]



[58][66][67]

[63]2120)[68]30[68]


便[59]R.[59]

1918[69]

201980201954[70]


[71]調[71]1862[71]

調[71]186760010001870[71]18711872[71]1816[71]

西[71]西1892[71][71]

1879[71][71]

189048[71][71]

西[71]18931894[71][72]



 181

 123

1895412[72][72]

2019011907[72]US[72][73]

[72]1909=[72]5000$2$6[72][72]19097[72]退[72]調1910210019123500[72]

190962816191342[72]

調[72] 16

1912[72][74]403019131030001167[72]

租税に対する諸見解

支持もしくは肯定


[75][76]

反対もしくは否定


[77]

[78] 

[79] [80]


[ 5] [81]

租税選択


[82]

ジオイストの見解


Geoist[ 7][83][84][85][84] products of labour[86]

理論

ラッファー曲線


The New Palgrave Dictionary of Economics70[87]

最適な課税


dead-weight costoutcome[88]

税率


marginal tax ratemarginal rateeffective tax rate[ 8] 

脚注

注釈



(一)^ p.93

(二)^ 201034202008pp.24-3414422010p.1

(三)^ pp.6, 9

(四)^ 1986p.51

(五)^ #

(六)^ 

(七)^ [ 6]

(八)^ 

出典



(一)^  p6-7   26611

(二)^  p7   26611

(三)^  p8   26611

(四)^ KK2019pp.151-154

(五)^  2019pp.128-129

(六)^ abcd調 -2120001-2-2. 

(七)^ abcdefghijklm調 -2120001-2-1. 

(八)^ 調 2120002

(九)^ Revenue Statistics 2016 (Report). OECD. 2016. p. 35. doi:10.1787/rev_stats-2016-4-en-fr

(十)^   20111102p.11

(11)^  p12   26611

(12)^ 2011p.13

(13)^ ab p13   26611

(14)^  20111102p.74

(15)^ 調 -Issue Brief- 6782010, pp.1-2

(16)^ pp.1-11pp.73, 749222010pp.38-40

(17)^ pp.2, 3

(18)^ pp.2-6, 9

(19)^ pp.2, 8

(20)^ Revenue Statistics (Report). OECD. doi:10.1787/19963726

(21)^ pp192 ISBN 978-4-00-431403-5

(22)^ pp193 ISBN 978-4-00-431403-5

(23)^ abc7352012pp.48-49

(24)^ pp.42-44, 48

(25)^ p.50

(26)^ abc寿 ()

(27)^ 

(28)^ 2014329

(29)^ abc.  . 2020628

(30)^   201726

(31)^ 202088

(32)^ 125 - 131

(33)^  31(2), 2012-04,,p20

(34)^   (), 2,

(35)^ 21 2016.10.25

(36)^ 2730

(37)^ ab (), 2,,  :

(38)^ ab 11 2009. 6 ,p.6

(39)^ abcde,p.21-23

(40)^ ab5p.6-9,1972-03-00,

(41)^  Vol.17 2011 3 ,p143,

(42)^  

(43)^ abcdef,p.15-16

(44)^ abcdef,p.17-20

(45)^ https://www.british-history.ac.uk/no-series/acts-ordinances-interregnum/pp85-100

(46)^ Records of the Boards of Customs, Excise, and Customs and Excise, and HM Revenue and Customs,

(47)^ ab,p.35-36

(48)^ abcdefghijk,p.41-48

(49)^ -314p297-300,1954-04

(50)^ abcde,p.49-55

(51)^    ,p116-118

(52)^ 2 調127

(53)^ abcde5p.11-,131972-03-00,

(54)^ p142-144   NHK 199412251

(55)^ p60 , 2012

(56)^ abcdef5p.14-,171972-03-00,

(57)^  

(58)^ abcdef5p.18-,311972-03-00,

(59)^ abcd 

(60)^ 351,p80. (7), p117, 1957-12

(61)^  (1816) : 67(2), 2016,,p289

(62)^ p43   201032511

(63)^ abcdefgh,p.88-99

(64)^ 1891 48(1), 2007-09p30

(65)^ abcd,p.74-77

(66)^  [sacrifice theory

(67)^ 

(68)^ ab()

(69)^ 12120117251

(70)^ p95   201032511

(71)^ abcdefghijklmnop,p.106-121

(72)^ abcdefghijklmnop,p.122-135

(73)^ 12M &A 48(1), 1996-06,,P175-179.

(74)^ 2013p.134

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(76)^ Eugene C. Gerhart (1998). Quote it Completely!: World Reference Guide to More Than 5,500 Memorable Quotations from Law and Literature. W. S. Hein. p. 1045. ISBN 978-1-57588-400-4. https://books.google.com/books?id=kjwVASsTUm0C&pg=PA1045 

(77)^  www.irefeurope.org, http://www.irefeurope.org/en/content/tax-and-justice 

(78)^ Voice19787 Voice198412p308-314

(79)^  [1] 

(80)^  [2]

(81)^ Li, Jinyan (1991). Taxation in the People's Republic of China. New York: Praeger. ISBN 0-275-93688-0 

(82)^ Frey, Bruno S.; Torgler, Benno (2007). Tax morale and conditional cooperation. Journal of Comparative Economies 35: 136-59. doi:10.1016/j.jce.2006.10.006. 20 January 2013. https://web.archive.org/web/20130120090643/http://www.bsfrey.ch/articles/453_07.pdf 201313. 

(83)^ Adam Smith. 2, part 2, Article I: Taxes upon the Rent of Houses. The Wealth of Nations Book V.Chapter2 

(84)^ abMcCluskey, William J.; Franzsen, Riël C. D. (2005). Land Value Taxation: An Applied Analysis. Ashgate Publishing, Ltd.. p. 4. ISBN 0-7546-1490-5. https://books.google.com/books?id=jkogP2U4k0AC&pg=PA73 

(85)^ Archived copy. 20153292015329

(86)^ Geoge, Henry (1879). Progress and Poverty: An Inquiry ito the Cause of Industrial Depressions and of Increase of Want with Increase of Wealth 

(87)^ Fullerton, Don (2008). Laffer curve (2 ed.). Palglave Macmillan. http://www.dictionaryofeconomics.com/article?id=pde2008_L000015 201175. "The mid-range for this elasticity is around 0.4, with a revenue peak around 70 per cent." 

(88)^ Simkovic, Michael. The knowledge Tax. University of Chicago Law Review. SSRN 2551567. 

参考文献

関連項目

外部リンク