「国粋主義」の版間の差分
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'''国粋主義'''(こくすいしゅぎ、{{lang-en|nationalism}}<ref>{{Cite book |和書|author1=[[小西友七]] |author2=[[南出康世]] |year=2006 |title=ジーニアス英和辞典 第4版 |publisher=[[大修館書店]] |page=1292 |isbn=978-4-469-04170-5 }}</ref>)とは、[[国家主義]]、[[民族 |
'''国粋主義'''︵こくすいしゅぎ、{{lang-en|nationalism}}<ref>{{Cite book |和書|author1=[[小西友七]] |author2=[[南出康世]] |year=2006 |title=ジーニアス英和辞典 第4版 |publisher=[[大修館書店]] |page=1292 |isbn=978-4-469-04170-5 }}</ref>︶とは、'''[[国家主義]]'''、[[民族主義]]と同じく'''[[ナショナリズム]]'''︵{{lang|en|Nationalism}}︶、ナショナリティ︵{{lang|en|Nationality}}︶の[[日本語]]における[[翻訳|訳語]]の一つ<ref name="西田">{{Cite web |author=西田毅 |url=https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B2%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9-64067#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29 |title=国粋主義 こくすいしゅぎ |accessdate=2020-01-21 |website=[[コトバンク]] |work=日本大百科全書 (ニッポニカ) }}</ref>。
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[[近代]][[日本]]においては |
[[近代]][[日本]]においては[[欧化主義]]に対抗して<ref name="世界大百科">[https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B2%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9-64067#E4.B8.96.E7.95.8C.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E7.AC.AC.EF.BC.92.E7.89.88 世界大百科事典 第2版] [[コトバンク]]. 2018年10月23日閲覧。</ref>、日本の[[文化]]・[[伝統]]の独自性を強調・発揚し<ref name="世界大百科"/><ref name="ブリタニカ">[https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B2%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9-64067#E3.83.96.E3.83.AA.E3.82.BF.E3.83.8B.E3.82.AB.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.20.E5.B0.8F.E9.A0.85.E7.9B.AE.E4.BA.8B.E5.85.B8 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典] [[コトバンク]]. 2018年10月23日閲覧。</ref><ref name="大辞林">[https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B2%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9-64067#E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.9E.97.20.E7.AC.AC.E4.B8.89.E7.89.88 大辞林 第三版] [[コトバンク]]. 2018年10月23日閲覧。</ref>、これを[[保守]]しようとする[[政治イデオロギー|政治思想]]である<ref name="大辞林"/>。'''[[日本主義]]'''とも呼ばれる<ref name="世界大百科"/>。 |
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広義には |
広義には[[国家主義]](ナショナリズム)や[[愛国主義]]の極端な一形態を指し<ref name="マイペディア">[https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E7%B2%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9-64067#E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.E3.83.9E.E3.82.A4.E3.83.9A.E3.83.87.E3.82.A3.E3.82.A2 百科事典マイペディア] [[コトバンク]]. 2018年10月23日閲覧。</ref>、[[ドイツ]]の[[ナチズム]]や[[イタリア]]の[[ファッショ]]までも含む場合もある<ref name="マイペディア"/>。 |
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== 日本における国粋主義 == |
== 日本における国粋主義 == |
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⚫ | 国粋主義は、[[幕末]]から台頭した[[尊王攘夷論]]を源流とし、[[明治維新]]後は[[大日本帝国]]政府による[[条約]]改正交渉や欧化政策への反発として現れる<ref name="西田"/>。政府は[[西洋文化]]の積極的導入により日本の[[近代化]]を図り、[[欧化主義]]的政策を推進していた<ref name="世界大百科"/><ref name="マイペディア"/>。 |
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{{See also|日本主義}} |
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{{See also|不平等条約#幕末・明治期日本}} |
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⚫ | 国粋主義は、[[幕末]]から台頭した[[尊王攘夷論]]を源流とし、 |
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﹁国粋主義﹂の語は、[[1888年]]、[[志賀重昂]]や[[三宅雪嶺]]らの[[政教社]]が出版していた雑誌﹃[[日本人 (雑誌)|日本人]]﹄に、政府の欧化政策に反発する志賀の論文﹁国粋保存旨義﹂が発表されたのをきっかけとして使われるようになった<ref name="世界大百科"/><ref name="マイペディア"/>。この﹁'''国粋保存旨義'''﹂が﹁国粋﹂や﹁国粋主義﹂の語源である<ref name="世界大百科"/>。志賀はこの論文で政府の欧化政策を非難し、日本本来の長所を重視することを主張した<ref name="世界大百科"/><ref name="マイペディア"/>。
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{{Quotation|徹頭徹尾日本固有の旧分子を保存し旧原素を維持せんと欲するものに非ず、只泰西の開化を輸入し来るも、日本国粋なる胃官を以て之を咀嚼し之を消化し、日本なる身体に同化せしめんとする者也|[[志賀重昂]]}} |
{{Quotation|徹頭徹尾日本固有の旧分子を保存し旧原素を維持せんと欲するものに非ず、只泰西の開化を輸入し来るも、日本国粋なる胃官を以て之を咀嚼し之を消化し、日本なる身体に同化せしめんとする者也|[[志賀重昂]]}} |
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という志賀の言葉からも分かるように、明治中期の国粋主義は排外的ナショナリズムとは異なり、欧化それ自体に反発するのではなく日本の[[文明]]を主体的に発達させるためとして[[西洋文明]]を部分的に採択するという特質があり<ref name="西田"/>、国民の対外的独立と結びつけながら圧倒的な |
という志賀の言葉からも分かるように、明治中期の国粋主義は排外的ナショナリズムとは異なり、欧化それ自体に反発するのではなく日本の[[文明]]を主体的に発達させるためとして[[西洋文明]]を部分的に採択するという特質があり<ref name="西田"/>、国民の対外的独立と結びつけながら、圧倒的な欧化主義の風潮の中で日本の[[伝統文化]]や[[生活様式]]を保存する意義を主張していた<ref name="ブリタニカ"/>。
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しかし、日本に対する包囲を進めていた欧米に対し、世論には異質の外来文化や思想に対する嫌悪感︵[[排外主義]]︶が広がっていった<ref name=" |
しかし、日本に対する包囲を進めていた欧米に対し、世論には異質の外来文化や思想に対する嫌悪感︵[[排外主義]]︶が広がっていった<ref name="ブリタニカ"/>。同じくして[[高山樗牛]]や[[木村鷹太郎]]らによって提唱された<ref name="西田"/>、建国精神に由来する国民的[[道徳]]の実践を主張する﹁'''[[日本主義]]'''﹂の影響を受ける。{{See also|日本主義}}
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こうした昭和期の歴史的な事情から、国粋主義は[[ウルトラナショナリズム]](超国家主義)や[[ファシズム]]と一元的に理解されることもある<ref name="西田"/>。 |
[[伝統主義]]や[[天皇制]]擁護の立場から、[[右翼]]の行動原理として[[社会主義]]の大衆運動に対抗しつつ<ref name="マイペディア"/>、[[昭和]]初期の[[満州事変]]から[[日中戦争]]にかけては[[ファシズム]]的な政治運動へと進展していき、[[太平洋戦争]]期には[[皇国史観]]や[[日本精神論]]といった[[ウルトラナショナリズム|超国家主義]]的[[イデオロギー]]となった<ref name="西田"/>。こうした昭和期の歴史的な事情から、国粋主義は[[ウルトラナショナリズム]](超国家主義)や[[ファシズム]]と一元的に理解されることもある<ref name="西田"/>。 |
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このように国粋主義は時代により変遷こそすれ、[[万世一系]]の[[天皇]]をいただく日本の[[国家体制]]の優位性や永続性を強調する[[国体]]論という点において一貫している<ref name="世界大百科"/>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2021年10月22日 (金) 17:35時点における版
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