阿毘達磨発智論
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阿毘達磨発智論︵あびだつま ほっちろん、梵: Jñānaprasthāna[1]︶、は説一切有部の論蔵におさめられる論書である。迦多衍尼子(カーティヤーヤニープトラ︶が著したとされる。略称として、発智論︵ほっちろん︶が用いられる傾向にある。
本書は、雑・結・智・業・大種・根・定・見の八蘊で構成され、説一切有部の教学を発展させた書である。
古来より、﹃集異門足論﹄・﹃法蘊足論﹄・﹃施設論﹄・﹃識身足論﹄・﹃界身足論﹄・﹃品類足論﹄の﹁六足論﹂に対して﹁身論﹂と呼ばれてきた。本書ではじめて六因説[2]の解釈が明確に詳細に論じられた。[要出典]
本書には玄奘訳二十巻の他に、僧伽提婆・竺仏念共訳﹃阿毘曇八犍度論﹄三十巻がある。
本書に対する膨大な注釈が﹃阿毘達磨大毘婆沙論﹄である。
名称[編集]
Abhidharma Jñāna-prasthāna śāstra は﹁知恵への道論﹂との意味になる。日本語訳[編集]
- 櫻部建・加治洋一訳 『発智論I・II』(新国訳大蔵経毘曇部1・2) 大蔵出版
脚注・出典[編集]
(一)^ ﹁仏典は書き換えられるのか? : ﹃大毘婆沙論﹄における﹁有別意趣﹂の考察を通して﹂﹃印度學佛教學研究﹄第63巻第3号、2015年3月25日、1287頁、NAID 110009936967。
(二)^ ﹃発智論﹄[大正蔵26巻920c]、猶﹃甘露味論﹄にも記述が見えるが、﹃甘露味論﹄は﹃発智論﹄の後とみなして良いであろう。cf. 櫻部[1969 pp. 113-114]﹃倶舎論の研究﹄法蔵館。