阿毘達磨大毘婆沙論
阿毘達磨大毘婆沙論 | |
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अभिधर्म महाविभाष शास्त्र), 梵: Mahāvibhāṣa | |
基本情報 | |
宗教 | 仏教 |
時期 | 西暦150年ごろ |
阿毘達磨大毘婆沙論︵あびだつま だいびばしゃろん、梵: Mahāvibhāṣa[1]︶は、仏教の注釈書の1つ。略称として、﹃大毘婆沙論﹄や﹃婆沙論﹄が用いられる傾向にある。また、これらの略称を用いる際には主に玄奘訳の﹃阿毘逹磨大毘婆沙論﹄を指す。
概要[編集]
本論は説一切有部の教説をまとめたとされる﹃発智論﹄に対する浩瀚な注釈書である。玄奘の伝える伝説によれば、カニシカ王がカシミールで主宰した結集の際の論蔵であるとされるが、定かではない。 本論は、玄奘訳の﹃阿毘逹磨大毘婆沙論﹄に対応するサンスクリット写本断片が一部発見されているものの、完全な梵本や蔵本は発見されていない。 それに対して漢訳においては玄奘による漢訳200巻︵﹁新訳﹂と略称する︶をはじめ、浮陀跋摩による漢訳60巻︵﹁旧訳﹂と略称する︶、僧伽跋澄による漢訳14巻︵﹃鞞婆沙﹄と略称する︶が存在する。 旧来、これらは同本異訳と見なされる傾向にあったが、近年の研究ではこれらは異本別訳と捉える傾向にある。派生・影響[編集]
﹃阿毘曇心論﹄、﹃阿毘曇心論経﹄、﹃雑阿毘曇心論﹄、および﹃倶舎論﹄が本書の教理をまとめた綱要書であるとするのが木村泰賢以来、半ば定説化した学説である[2]。脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 木村泰賢「大毘婆沙論結集の因縁に就て」(『木村泰賢全集』6、明治書院)
- 河村孝照「法救造五事毘婆沙論についての検討 - 大毘婆沙論研究の一環として - 」(『印度学仏教学研究』13-2)
- 桝田善夫「阿毘達磨大毘婆沙論の一特相」(『佛教大学仏教文化研究所所報』2)
- 田中教照「使品より見た『阿毘曇心論』の位置」『印度學佛教學研究』第36巻第1号、JAPANESE ASSOCIATION OF INDIAN AND BUDDHIST STUDIES、1987年、28-35頁。
- 石田, 一裕 (2015年). “仏典は書き換えられるのか?―― 『大毘婆沙論』における「有別意趣」の考察を通して――”. 印度學佛教學研究 (日本印度学仏教学会) 63 (3): 1282-1288. doi:10.4259/ibk.63.3_1282.