瑜伽師地論
﹃瑜伽師地論﹄︵ゆがしじろん、梵: Yogācārabhūmi-śāstra, ヨーガーチャーラ・ブーミ・シャーストラ︶は、大乗仏教唯識派の重要な文献。
概要[編集]
表題は﹁ヨーガ行者の階梯についての論﹂の意。100巻、弥勒菩薩説、唐・玄奘訳︵大正蔵・30︶。ただし、チベット訳では無着所説という。 世親の兄である無著(asaṅga, असङ्ग︶が、兜率天に住む弥勒菩薩︵maitreya मैत्रेय)の説を聞いて著したといわれている。瑜伽行︵yogācāra︶の観法を詳説したものである。内容[編集]
本書は、瑜伽行者が認識する対象(境)、修行、果を明らかにしたもので、阿頼耶識説、三性三無性説、唯識説、その他のさまざまな問題が詳しく説かれている。 組織は5つからなり、第1本地分では、三乗の思想を、 (一)五識身相応地 (二)意地 (三)有尋無伺地 (四)無尋唯伺地 (五)無尋無伺地 (六)三摩哂多地 (七)非三摩哂多地 (八)有心地 (九)無心地 (十)聞所成地 (11)思所成地 (12)修所成地 (13)声聞地 (14)独覚地 (15)菩薩地 (16)有余依地 (17)無余依地 の17地に分けて説き、第2の摂決択分では本地の中の要義を説明し、第3の摂釈分では諸経の儀則を解釈し、第4の摂異門分では経典中の諸法の名義を解釈し、第5の摂事分では三蔵の要義を解釈している。 なお、これらの部分訳がある。 ●﹃菩薩地持経﹄10巻 北涼 曇無讖訳 菩薩地 ●﹃菩薩善戒経﹄9巻 宋 求那跋摩訳 菩薩地 ●﹃十七地論﹄5巻(散佚) 梁 真諦訳 本地分の初め ●﹃決定蔵経﹄3巻 梁 真諦訳 摂決釈分の初め 本書に影響をうけた論書に、次のようなものがある。 ●﹃顕揚聖教論﹄20巻 ●﹃大乗阿毘達磨集論﹄7巻 ●﹃摂大乗論﹄無著著 ●﹃摂大乗論釈﹄世親著 ●﹃仏性論﹄世親著 ●﹃成唯識論﹄護法著 なお、下記は菩薩地と同じ名前であり、菩薩地に基づいて内容を発展したものである。- 『大乗荘厳経論』13巻(mahāyānasūtrālaṅkāra)