「スペイン語」の版間の差分
Sasajima Buendía (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし |
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| states = 話者人口上位5か国、[[メキシコ]]、[[コロンビア]]、[[アルゼンチン]]、[[スペイン]]、[[米国]]。スペイン語を公用語とする国は21カ国。
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| states = 話者人口上位5か国、[[メキシコ]]、[[コロンビア]]、[[アルゼンチン]]、[[スペイン]]、[[米国]]。スペイン語を公用語とする国は21カ国。
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| region = [[イスパノアメリカ]]、[[イベリア半島]]、その他の旧スペイン[[植民地]] |
| region = [[イスパノアメリカ]]、[[イベリア半島]]、その他の旧スペイン[[植民地]] |
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| speakers = 約4億8023万人(母国語、第一言語)、その他の西語話者を含め約5億7700万人<ref name=cervantes2018>セルバンテス文化センター [https://cvc.cervantes.es/lengua/espanol_lengua_viva/pdf/espanol_lengua_viva_2018.pdf ”El español: una lengua viva informe 2018”]</ref> |
| speakers = 約4億8023万人(母国語、第一言語)、その他の西語話者を含め約5億7700万人<ref name=cervantes2018>セルバンテス文化センター {{PDFlink|[https://cvc.cervantes.es/lengua/espanol_lengua_viva/pdf/espanol_lengua_viva_2018.pdf ”El español: una lengua viva informe 2018”]}}</ref> |
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| rank = 2-3(基準によって順位は異なる) |
| rank = 2-3(基準によって順位は異なる) |
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| fam1 = [[インド・ヨーロッパ語族]] |
| fam1 = [[インド・ヨーロッパ語族]] |
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| fam8 = [[西イベリア語]] |
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| nation = [[#話者分布|下記参照]] |
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| agency = {{flagicon|ESP}} [[スペイン王立アカデミー]]([[:es:Real Academia Española|Real Academia Española]], RAE; [http://www.rae.es/], [[スペイン語アカデミー |
| agency = {{flagicon|ESP}} [[スペイン王立アカデミー]]([[:es:Real Academia Española|Real Academia Española]], RAE; [http://www.rae.es/], [[スペイン語アカデミー協会]] ([[:es:Asociación de Academias de la Lengua Española|Asociación de Academias de la Lengua Española]], ASALE; [http://www.asale.org/]) |
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| iso1 = es |
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| iso2 = spa |
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| sil = SPN |
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| map = [[File:Hispanophone global world map language 2.svg|300px|スペイン語圏の分布]] |
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| mapcaption = {{legend|#000080|スペイン語を公用語とする国や地域}} |
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{{legend|#0000ff|公用語ではないが25%以上の割合で話されている国や地域}} |
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{{legend|#0080ff|10 - 20%の割合で話されている国や地域}} |
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{{legend|#78c0ff|5 - 9.9%の割合で話されている国や地域}} |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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{{色}} |
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[[ファイル:Castellano-Español.png|thumb|right |
[[ファイル:Castellano-Español.png|thumb|right|{{legend|#FF0000|'''castellano(カステリャーノ)'''と呼ばれている国・地域}} |
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{{legend|#0000FF|'''español(エスパニョール)'''と呼ばれている国・地域}} |
{{legend|#0000FF|'''español(エスパニョール)'''と呼ばれている国・地域}} |
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スペイン語は、アメリカ州のうち[[イスパノアメリカ]]、[[スペイン]]、その他の旧スペイン植民地などの地域における主要言語で、スペイン語を第一言語とするものが約4億8023万人さらに第二言語として日常使用しているものを含め約5億7700万人の話者がいると推定されている<ref name=cervantes2018/>。スペイン語を公用語としている国と地域の数は21以上あり、世界で[[英語]]︵約80の国・地域︶、[[フランス語]]︵約50の国・地域︶、[[アラビア語]]︵約27の国・地域︶に次ぐ4番目に多くの国で使用されている言語である。[[国際連合]]においては、英語、フランス語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[アラビア語]]と並ぶ、6つの公用語の1つである。[[インターネット]]においては、利用者全体の約8%がスペイン語使用であり、[[英語]]︵約27%︶と[[中国語]]︵約23%︶に次ぐ第三の言語である<ref>{{cite web |url=http://www.internetworldstats.com/stats7.htm |title=Internet World Users by Language |date=2010 |publisher=Miniwatts Marketing Group|accessdate=2012-06-09}}</ref>。︵[[インターネットにおける言語の使用]]参照︶
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スペイン語は、アメリカ州のうち[[イスパノアメリカ]]、[[スペイン]]、その他の旧スペイン植民地などの地域における主要言語で、スペイン語を第一言語とするものが約4億8023万人さらに第二言語として日常使用しているものを含め約5億7700万人の話者がいると推定されている<ref name=cervantes2018/>。スペイン語を公用語としている国と地域の数は21以上あり、世界で[[英語]]︵約80の国・地域︶、[[フランス語]]︵約50の国・地域︶、[[アラビア語]]︵約27の国・地域︶に次ぐ4番目に多くの国で使用されている言語である。[[国際連合]]においては、英語、フランス語、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[アラビア語]]と並ぶ、6つの公用語の1つである。[[インターネット]]においては、利用者全体の約8%がスペイン語使用であり、[[英語]]︵約27%︶と[[中国語]]︵約23%︶に次ぐ第三の言語である<ref>{{cite web |url=http://www.internetworldstats.com/stats7.htm |title=Internet World Users by Language |date=2010 |publisher=Miniwatts Marketing Group|accessdate=2012-06-09}}</ref>。︵[[インターネットにおける言語の使用]]参照︶
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日本では、一般的にスペイン語と呼ばれることが多いが、'''イスパニア語'''<ref>{{Cite web|title=イスパニア語の紹介|イスパニア語|上智で学べる外国語|上智大学 言語教育研究センター|url=http://www.sophia-cler.jp/study/es/|website=上智大学 言語教育研究センター|accessdate=2020-09-06|language=ja}}</ref>、'''カスティージャ語'''<ref>{{Cite web|title=久保建英は「ほぼ完璧」、日本人サッカー選手の明暗分ける語学力事情|url=https://diamond.jp/articles/-/210160?page=2|website=ダイヤモンド・オンライン|accessdate=2020-09-06}}</ref>、'''カスティーリャ語'''<ref>{{Cite web|title=スペインは多言語の国 {{!}} 大阪・神戸でスペイン語を学ぶなら、スペイン語教室 ADELANTE|url=https://adelante.jp/noticias/aprender/idioma-oficial-de-espana/|website=スペイン語教室ADELANTE|date=2018-06-01|accessdate=2020-09-06|language=ja}}</ref>などと呼ばれることもある。日本におけるスペイン語の漢字表記は「西班牙語」。漢字表記を略して'''西語'''と表記されることもある。スペイン語において「スペイン語」を意味する名詞は、“{{lang|es|castellano}}”(カステリャーノ、もしくはカステジャーノ{{Efn|発音については[[ジェイスモ]]を参照。}}) または“{{lang|es|español}}”(エスパニョール)。エスパニョールはスペイン ({{lang|es|España}}) の言葉という意味。カステリャーノは[[カスティーリャ]]地方の言語という意味。[[南アメリカ|南米]]ではカステジャーノということが多く、[[メキシコ]]など[[中央アメリカ|中米]]諸国と[[カリブ海]]諸国ではエスパニョールしか使われない。カステリャーノという名称は、スペイン国内で地方言語を使う地域においては「自分たちの言葉ではない他所者の言葉」という意味で使われる。南米では逆に「本場[[カスティーリャ]]から受け継いだ正しいスペイン語」という意味で用いられる。 |
日本では、一般的にスペイン語と呼ばれることが多いが、'''イスパニア語'''<ref>{{Cite web|和書|title=イスパニア語の紹介|イスパニア語|上智で学べる外国語|上智大学 言語教育研究センター|url=http://www.sophia-cler.jp/study/es/|website=上智大学 言語教育研究センター|accessdate=2020-09-06|language=ja}}</ref>、'''カスティージャ語'''<ref>{{Cite web|和書|title=久保建英は﹁ほぼ完璧﹂、日本人サッカー選手の明暗分ける語学力事情|url=https://diamond.jp/articles/-/210160?page=2|website=ダイヤモンド・オンライン|accessdate=2020-09-06}}</ref>、'''カスティーリャ語'''<ref>{{Cite web|和書|title=スペインは多言語の国 {{!}} 大阪・神戸でスペイン語を学ぶなら、スペイン語教室 ADELANTE|url=https://adelante.jp/noticias/aprender/idioma-oficial-de-espana/|website=スペイン語教室ADELANTE|date=2018-06-01|accessdate=2020-09-06|language=ja}}</ref>などと呼ばれることもある。日本におけるスペイン語の漢字表記は﹁西班牙語﹂。漢字表記を略して'''西語'''と表記されることもある。スペイン語において﹁スペイン語﹂を意味する名詞は、“{{lang|es|castellano}}”︵カステリャーノ、もしくはカステジャーノ{{Efn|発音については[[ジェイスモ]]を参照。}}︶ または“{{lang|es|español}}”︵エスパニョール︶。エスパニョールはスペイン ({{lang|es|España}}) の言葉という意味。カステリャーノは[[カスティーリャ]]地方の言語という意味。[[南アメリカ|南米]]ではカステジャーノということが多く、[[メキシコ]]など[[中央アメリカ|中米]]諸国と[[カリブ海]]諸国ではエスパニョールしか使われない。カステリャーノという名称は、スペイン国内で地方言語を使う地域においては﹁自分たちの言葉ではない他所者の言葉﹂という意味で使われる。南米では逆に﹁本場[[カスティーリャ]]から受け継いだ正しいスペイン語﹂という意味で用いられる。
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スペイン語は[[ポルトガル語]]と似ており、かなりの水準で相互意思疎通が可能である(詳細は[[ポルトガル語#スペイン語との比較]]にて)。 |
スペイン語は[[ポルトガル語]]と似ており、かなりの水準で[[相互理解可能性|相互意思疎通が可能]]である(詳細は[[ポルトガル語#スペイン語との比較]]にて)。 |
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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[[File:Linguistic map Southwestern Europe-II.gif|thumb| |
[[File:Linguistic map Southwestern Europe-II.gif|thumb|upright=1.25| |
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[[イベリア半島]]周辺の言語分布の変遷<br>{{legend|#B3A34A|スペイン語}} |
[[イベリア半島]]周辺の言語分布の変遷<br>{{legend|#B3A34A|スペイン語}} |
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== 話者分布 == |
== 話者分布 == |
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[[File:Knowledge of Spanish EU map.svg|right|thumb |
[[File:Knowledge of Spanish EU map.svg|right|thumb|'''[[欧州連合|EU]]加盟国におけるスペイン語への理解度'''<br />濃黄色が[[母語]]地域、以下10 - 19%、5 - 9%、5%未満(灰色はEU非加盟国・地域)]] |
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[[File:Hispanophone global world map language 2.svg|thumb|right|350px|'''スペイン語圏の分布'''{{legend|#000080|スペイン語を公用語とする国や地域}}{{legend|#0000ff|公用語ではないが25%以上の割合で話されている国や地域}}{{legend|#0080ff|10 - 20%の割合で話されている国や地域}}{{legend|#78c0ff|5 - 9.9%の割合で話されている国や地域}}]] |
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スペイン語は[[国際連合|国連]]の6つの[[公用語]]︵他は[[英語]]、[[フランス語]]、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[アラビア語]]︶の一つであり、[[スペイン]]を始め、[[ブラジル]]を除く[[ラテンアメリカ|中南米]]18か国、[[北アメリカ|北米]]1か国、[[アフリカ]]2か国、計21か国における[[公用語]]である。スペイン語が公用語である国・地域は以下の通り{{Efn|スペイン語以外にも公用語がある国・地域を含む。}}。
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スペイン語は[[国際連合|国連]]の6つの[[公用語]]︵他は[[英語]]、[[フランス語]]、[[ロシア語]]、[[中国語]]、[[アラビア語]]︶の一つであり、[[スペイン]]を始め、[[ブラジル]]を除く[[ラテンアメリカ|中南米]]18か国、[[北アメリカ|北米]]1か国、[[アフリカ]]2か国、計21か国における[[公用語]]である。スペイン語が公用語である国・地域は以下の通り{{Efn|スペイン語以外にも公用語がある国・地域を含む。}}。
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* [[北アメリカ]] |
* [[北アメリカ]] |
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** {{MEX}} |
** {{MEX}}([[デ・ファクト]]) |
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* [[中央アメリカ]] |
* [[中央アメリカ]] |
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** {{BOL}} |
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** {{PRY}} |
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** {{CHL}} |
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** {{ARG}} |
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** {{URY}} |
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* [[アフリカ]] |
* [[アフリカ]] |
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** {{GNQ}} |
** {{GNQ}} |
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** {{SADR}} |
** {{SADR}}(第2公用語) |
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なお、スペインでは[[カタルーニャ州]]・[[バレンシア州]]・[[バレアレス諸島|バレアレス諸島州]]では[[カタルーニャ語]]︵バレンシア州では[[バレンシア語]]︶が、[[バスク州]]と[[ナバーラ州]]の一部では[[バスク語]]が、[[ガリシア州]]では[[ガリシア語]]が、スペイン語同様に地方公用語として認められている。
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なお、スペインでは[[カタルーニャ州]]・[[バレンシア州]]・[[バレアレス諸島|バレアレス諸島州]]では[[カタルーニャ語]]︵バレンシア州では[[バレンシア語]]︶が、[[バスク州]]と[[ナバーラ州]]の一部では[[バスク語]]が、[[ガリシア州]]では[[ガリシア語]]が、スペイン語同様に地方公用語として認められている。
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=== スペイン語話者数の推定 === |
=== スペイン語話者数の推定 === |
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[[セルバンテス文化センター]]の2017年の報告書 ”El español: una lengua viva informe 2017” によると、2017年のスペイン語を母語︵第一言語︶とする人口は約4億7700万人で、その他に約1億人が第2言語としてスペイン語を習得しており、それらの限られた能力のものを含めると約5億7200万人のスペイン語話者がいる。最大の話者人口を抱えているのがメキシコであり、総話者の4人に1人約1億2千万人がメキシコに在住している。続くコロンビア、アルゼンチン |
[[セルバンテス文化センター]]の2017年の報告書 ”El español: una lengua viva informe 2017” によると、2017年のスペイン語を母語︵第一言語︶とする人口は約4億7700万人で、その他に約1億人が第2言語としてスペイン語を習得しており、それらの限られた能力のものを含めると約5億7200万人のスペイン語話者がいる。最大の話者人口を抱えているのがメキシコであり、総話者の4人に1人約1億2千万人がメキシコに在住している。続くコロンビア、アルゼンチン、スペインがそれぞれ総話者人口の約1割の約4千万人の話者がいる<ref name=cervantes2017>セルバンテス文化センター {{PDFlink|[https://cvc.cervantes.es/lengua/espanol_lengua_viva/pdf/espanol_lengua_viva_2017.pdf ”El español: una lengua viva informe 2017”]}}</ref>。米国︵アメリカ合衆国︶に関しては、同じセルバンテス文化センターが2015年の報告で5260万人の話者という推定を出しておりこれはメキシコに次ぐ人口である<ref name="nypost.com">New York Post [https://nypost.com/2015/06/29/us-has-more-spanish-speakers-than-spain/ US has more Spanish speakers than Spain]</ref>。また米国のヒスパニック人口の3分の2がメキシコ系であり、それらを含めると総話者に占めるメキシコ系話者の比率は3人に1人となる。{{see also|アメリカ合衆国の人種構成と使用言語}}
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{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto; font-size:small" |
{| class="wikitable" style="text-align:center; margin:1em auto; font-size:small" |
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|119.57 |
|119.57 |
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|3.95 |
|3.95 |
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|スペイン語話者の4人に1人がメキシコ国内のメキシコ人、メキシコ系 |
|スペイン語話者の4人に1人がメキシコ国内のメキシコ人、メキシコ系アメリカ人を含めると総話者に占める比率は3人に1人となる。 |
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|コロンビア |
|コロンビア |
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|ドミニカ共和 |
|ドミニカ共和国 |
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|10.17 |
|10.17 |
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|97.6% |
|97.6% |
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== 方言 == |
== 方言 == |
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[[ファイル:Spain languages.svg|thumb|right |
[[ファイル:Spain languages.svg|thumb|right|alt=スペイン国内の言語分布|{{Legend|#DFF1B5|[[カスティーリャ語|'''スペイン語'''('''カスティーリャ語''')]]、スペイン全土で公用語}} |
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{{Legend|#F59152|'''[[カタルーニャ語]]'''('''[[バレンシア語]]を含む''')、地方公用語}} |
{{Legend|#F59152|'''[[カタルーニャ語]]'''('''[[バレンシア語]]を含む''')、地方公用語}} |
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{{Legend|#818181|'''[[バスク語]]'''、地方公用語}} |
{{Legend|#818181|'''[[バスク語]]'''、地方公用語}} |
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409行目: | 417行目: | ||
*** エストゥレマドゥーラ方言([[:es:Dialecto extremeño|Dialecto extremeño]]) |
*** エストゥレマドゥーラ方言([[:es:Dialecto extremeño|Dialecto extremeño]]) |
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*** カナリア方言([[:es:Dialecto canario|Dialecto canario]]) |
*** カナリア方言([[:es:Dialecto canario|Dialecto canario]]) |
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* [[ラテンアメリカ]]における各方言([[:es:Español de América|Español de América]]) |
* {{anchors|ラテンアメリカスペイン語|ラテンアメリカ・スペイン語}}[[ラテンアメリカ]]における各方言([[:es:Español de América|Español de América]]) |
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** [[アンデス・スペイン語]] |
** [[アンデス・スペイン語]] |
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** [[カリブ・スペイン語]] |
** [[カリブ・スペイン語]] |
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* hija : 娘(イハ) < {{lang-la-short|filia}} ({{lang-fr-short|fille}}, {{lang-it-short|figlia}}) |
* hija : 娘(イハ) < {{lang-la-short|filia}} ({{lang-fr-short|fille}}, {{lang-it-short|figlia}}) |
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* harina : 小麦粉(アリナ) < {{lang-la-short|farina}} ({{lang-fr-short|フランス語 farine}},{{lang-it-short|イタリア語 farina}}) |
* harina : 小麦粉(アリナ) < {{lang-la-short|farina}} ({{lang-fr-short|フランス語 farine}},{{lang-it-short|イタリア語 farina}}) |
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* hacer : 作る・する︵アセル︶ < {{lang-la-short|facere}} ({{lang-fr-short|フランス語 faire}}, {{lang-it-short|イタリア語 facere}})}}。強勢のある e, o の多くは ie, ue に二重母音化。-ct- の多くは -ch- に変化。-ll- はフランス語の -ill-, イタリア語の -gli- に対応する。cl-, pl- の多くはllに変化。現在の音素 {{ipa|θ}} は古くはç {{ipa| |
* hacer : 作る・する︵アセル︶ < {{lang-la-short|facere}} ({{lang-fr-short|フランス語 faire}}, {{lang-it-short|イタリア語 facere}})}}。強勢のある e, o の多くは ie, ue に[[二重母音化]]︵[[音割れ (言語学)|音割れ]]︶。-ct- の多くは -ch- に変化。-ll- はフランス語の -ill-, イタリア語の -gli- に対応する。cl-, pl- の多くはllに変化。現在の音素 {{ipa|θ}} は古くはç {{ipa|t͡s}}, z {{ipa|d͡z}} であり、別音素だった。語頭の s + 閉鎖音は前にeが付加︵''prótesis''︶され、esc-/esqu-, esp-, est- となった。母音間のdは消滅していることが多い。語頭にあるあとに母音が続くiと母音にはさまれた強勢のないiはyに変化した。yは本来半母音だったが、摩擦音で発音されるのが一般的になった。二重母音における {{ipa|-i}} の音は英語のそれと同じように語頭や語中では -i, 語末では -y とつづる︵他のロマンス系言語の多くはyは外来語以外に用いない︶。vは古くは {{ipa|v}} と発音したが、bと同じ {{ipa|b}} に変化し、その後、借用語において原語のvのつづりをbに置き換える傾向がある。一方、wはvに置き換えられることがある。
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スペインで話されているスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では、発音、アクセントが若干異なる。それ以外にも、地方により発音に差異が出ることがある。 |
スペインで話されているスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では、発音、アクセントが若干異なる。それ以外にも、地方により発音に差異が出ることがある。 |
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** [[プエルトリコ]]や[[ドミニカ共和国]]では、j 音 {{IPA|x}} になることがある([[ブラジルポルトガル語]]と同じ変化)。 |
** [[プエルトリコ]]や[[ドミニカ共和国]]では、j 音 {{IPA|x}} になることがある([[ブラジルポルトガル語]]と同じ変化)。 |
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** [[ペルー]]や[[ボリビア]]の一部の地方ではザ行音になることがある。 |
** [[ペルー]]や[[ボリビア]]の一部の地方ではザ行音になることがある。 |
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[[File:S aspiration in Spanish.png|thumb |
[[File:S aspiration in Spanish.png|thumb|緑の地域は音節末の「s」を/h/と発音する。紫の地域は/s/のままで発音する。]] |
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* '''s''': サ行音 [[無声歯茎摩擦音|{{IPA|s}}]]。 |
* '''s''': サ行音 [[無声歯茎摩擦音|{{IPA|s}}]]。 |
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** スペイン南部や中南米の一部では音節末の s をハ行音 [[無声声門摩擦音|{{IPA|h}}]] で発音するか、ほとんど発音しないことがある。 |
** スペイン南部や中南米の一部では音節末の s をハ行音 [[無声声門摩擦音|{{IPA|h}}]] で発音するか、ほとんど発音しないことがある。 |
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501行目: | 509行目: | ||
** 特に子音の前、および語頭では {{IPA|k}} を発音せず、{{IPA|s}}となりやすい<ref name="DiccionarioDelEspañolModerno" />。
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** 特に子音の前、および語頭では {{IPA|k}} を発音せず、{{IPA|s}}となりやすい<ref name="DiccionarioDelEspañolModerno" />。
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** México {{IPA|ˈme̞xiko̞}} のように、一部の固有名詞などでは j 音 {{IPA|x}} で発音する。 |
** México {{IPA|ˈme̞xiko̞}} のように、一部の固有名詞などでは j 音 {{IPA|x}} で発音する。 |
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* '''y''': スペインやメキシコなどではヤ行音に近い[[有声硬口蓋摩擦音|{{IPA|ʝ}}]] が標準とされるが、ジャ行に近い[[有声歯茎硬口蓋摩擦音|{{IPA|ʑ}}]]が用いられることも多い。スペイン語の標準を規定する |
* '''y''': スペインやメキシコなどではヤ行音に近い[[有声硬口蓋摩擦音|{{IPA|ʝ}}]] が標準とされるが、ジャ行に近い[[有声歯茎硬口蓋摩擦音|{{IPA|ʑ}}]]が用いられることも多い。スペイン語の標準を規定するスペイン王立アカデミーでは、日本語のヤ行の子音に近い[[有声硬口蓋摩擦音|{{IPA|ʝ}}]] を標準としている。
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**[[ブエノスアイレス]]近郊ではシャ行音 [[無声後部歯茎摩擦音|{{IPA|ʃ}}]]。 |
**[[ブエノスアイレス]]近郊ではシャ行音 [[無声後部歯茎摩擦音|{{IPA|ʃ}}]]。 |
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** 語頭に来る場合、nの後ろに来る場合はジャ行になりやすい。とはいえスペイン語ネイティブはこの二つを区別せず、同じ音の異音だと考えている為、どちらで発音しても良い。
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** 語頭に来る場合、nの後ろに来る場合はジャ行になりやすい。とはいえスペイン語ネイティブはこの二つを区別せず、同じ音の異音だと考えている為、どちらで発音しても良い。
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542行目: | 550行目: | ||
== アルファベット == |
== アルファベット == |
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{| |
{|class="wikitable" |
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! 大文字 !! 小文字 !! 文字名称 |
! 大文字 !! 小文字 !! 文字名称 |
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|- |
|- |
||
| A || a || a: ア |
| A || a || a: ア |
||
|- |
|- |
||
| B || b || be: ベ<br |
| B || b || be: ベ<br/>be grande: ベグランデ(大きい「ベ」の意味、vと区別する)<br/>be alta: ベアルタ(高い「ベ」の意味)<br/>be larga:ベラルガ(長い「ベ」の意味)<br/>be de burro:ベデブロ(「[[ロバ]]のベ」) |
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|- |
|- |
||
| C || c || ce: セ |
| C || c || ce: セ |
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|- |
|- |
||
| Ch || ch || che: チ |
| (Ch) || (ch) || (che: チ<sup></sup>ェ) ※1994年に廃止決議、後述 |
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|- |
|- |
||
| D || d || de: デ |
| D || d || de: デ |
||
563行目: | 571行目: | ||
| H || h || hache: アチェ(単語中では発音しない) |
| H || h || hache: アチェ(単語中では発音しない) |
||
|- |
|- |
||
| I || i || i: イ<br |
| I || i || i: イ<br/>i latina: イラティーナ([[ラテン語]]の「イ」の意味、y と区別する) |
||
|- |
|- |
||
| J || j || jota: ホタ |
| J || j || jota: ホタ |
||
571行目: | 579行目: | ||
| L || l || ele: エレ |
| L || l || ele: エレ |
||
|- |
|- |
||
| Ll || ll || elle: エジェ、エリェ |
| (Ll) || (ll) || (elle: エジェ、エリェ<br/>doble ele: ドブレエレ) ※1994年に廃止決議、後述 |
||
|- |
|- |
||
| M || m || eme: エメ |
| M || m || eme: エメ |
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577行目: | 585行目: | ||
| N || n || ene: エネ |
| N || n || ene: エネ |
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|- |
|- |
||
| {{lang|es|Ñ}} || {{lang|es|ñ}} || {{lang|es|eñe}}: エニェ |
| {{lang|es|Ñ}} || {{lang|es|ñ}} || {{lang|es|eñe}}: エニェ |
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|- |
|- |
||
| O || o || o: オ |
| O || o || o: オ |
||
585行目: | 593行目: | ||
| Q || q || cu: ク |
| Q || q || cu: ク |
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|- |
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| R || r || erre: エレ([[歯茎ふるえ音]] {{IPA|r}}) |
| R || r || erre: エレ([[歯茎ふるえ音]] {{IPA|r}}) |
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| S || s || ese: エセ |
| S || s || ese: エセ |
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| U || u || u: ウ |
| U || u || u: ウ |
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| V || v || uve: ウベ<br |
| V || v || uve: ウベ<br/>ve chica: ベチカ(小さな「ベ」の意味、bと区別する)<br/>ve baja: ベバハ(低い「ベ」の意味)<br/>ve corta: ベコルタ(短い「ベ」の意味)<br/>ve de vaca: ベデバカ(「[[ウシ]]のベ」) |
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| W || w || uve doble: ウベ |
| W || w || uve doble: ウベドブレ<br />doble u: ドブレウ<br/>doble ve: ドブレベ<br/>ve doble: ベ・ドブレ |
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| X || x || equis: エキス |
| X || x || equis: エキス |
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| Y || y || ye: イェ/ジェ<br |
| Y || y || ye: イェ/ジェ<br/>i griega: イグリエガ([[ギリシア語]]の「イ」の意味、iと区別する) |
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| Z || z || zeta: セタ |
| Z || z || zeta: セタ |
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|} |
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[[二重音字]]の[[ch]]と[[ll]]は1994年に{{仮リンク|スペイン語アカデミー協会|en|Association of Academies of the Spanish Language}}において独立した一字としての扱いをやめることが決議され<ref>{{Cite web|url=https://www.rae.es/espanol-al-dia/exclusion-de-ch-y-ll-del-abecedario|title=Exclusión de «ch» y «ll» del abecedario|publisher=Real Academia Española|accessdate=2023-2-21}}</ref>、2010年には[[スペイン王立アカデミー]]発行の{{仮リンク|スペイン語正書法|en|Spanish orthography}}においても廃止された<ref>{{Cite web|url=https://www.rae.es/sites/default/files/Principales_novedades_de_la_Ortografia_de_la_lengua_espanola.pdf|title=Principales novedades de la última edición de la Ortografía de la lengua española (2010)|publisher=Real Academia Española|accessdate=2023-2-21}}</ref>。
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<sup>*</sup>[[ch]], [[ll]] 1994年以降、これらの文字を独立した一字として扱うことはやめた。また現在では、[[王立スペイン語アカデミー]]の発行する辞書でも独立した文字としては扱っていない。 |
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Ñは現在でも独立した文字として扱われており、辞書の索引でもNとは区別されているほか、スペイン語キーボードでは専用のキーが存在する。 |
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すでに述べられている通り、rは通常語頭を除き歯茎はじき音{{IPA|ɾ}}で発音されるが、アルファベットとして発音する場合、歯茎ふるえ音{{IPA|r}}が用いられる。また、語頭の歯茎ふるえ音{{IPA|r}}はr一文字で表記される関係上、rrで始まる単語は存在しないため、ch, llと異なり辞書の索引に見出しとして載りえず、公式に一文字として扱われたことはない。 |
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{{スペイン語アルファベット}} |
{{スペイン語アルファベット}} |
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** 再帰代名詞を用いる構文が発達していて、利害・相互的行為・受動・無人称・強意など多くの意味を表す。 |
** 再帰代名詞を用いる構文が発達していて、利害・相互的行為・受動・無人称・強意など多くの意味を表す。 |
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** a + 名詞と同一のものを指示する間接目的格代名詞が動詞の前に置かれるという、いわば[[抱合語|抱合]]的な現象がある。たとえばLa canción ''le'' gustó a Rodrigo. ﹁その歌はロドリゴの気にいった﹂では''le''は﹁彼に﹂を意味する間接目的格代名詞で、a Rodrigoを指している。
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** a + 名詞と同一のものを指示する間接目的格代名詞が動詞の前に置かれるという、いわば[[抱合語|抱合]]的な現象がある。たとえばLa canción ''le'' gustó a Rodrigo. ﹁その歌はロドリゴの気にいった﹂では''le''は﹁彼に﹂を意味する間接目的格代名詞で、a Rodrigoを指している。
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** 2人称の代名詞は[[親称]] tú︵複数形vosotros/as︶と[[敬称]] usted︵複数形ustedes︶を使い分ける。中南米では古いスペイン語で使われていたvosが相手に対する[[侮蔑#蔑 |
** 2人称の代名詞は[[親称]] tú︵複数形vosotros/as︶と[[敬称]] usted︵複数形ustedes︶を使い分ける。中南米では古いスペイン語で使われていたvosが相手に対する[[侮蔑#侮蔑表現の分類と種類|蔑称]]として用いられることがある。vosは元々は相手に対する尊称であったが現在は親称・蔑称の意味に成り代わっている。日本語の﹁貴様﹂のようなもの。ただし、一部では親称として用いられることもあり、特にアルゼンチンでは全国でvosのみが使われるといっても構わない。2人称複数である vosotros/as は、vos と otros︵﹁他﹂の複数形︶が接合したものである。なお、vosotros/as が使用されるのはスペインと[[赤道ギニア]]に限られ、[[中南米]]やスペインの[[アンダルシア州|アンダルシア]]、[[カナリア諸島]]では親称としてもustedesが一般的に使用される。usted は vuestra merced︵直訳すれば﹁あなたの厚意﹂︶︵表記として単数の場合UdやVd、複数形でUdsやVdsが使われるが、これはUとVが母音と子音にわかれる前の影響で、発音はウステとウステデスとなる︶が2人称尊称として︵主に騎士が主君に対して︶用いられ、短縮されたもので、動詞の活用は3人称である。Tú と usted の用法はスペインと中南米では違いがあり、スペインでは改まった場面でなければ、接客など初対面でも tú を使うことがよくあり、また、部下が上司に対して tú を使うこともよくある。しかし、中南米では、tú を使うのは親しい人や目下の人に限られる。ただし、[[キューバ]]ではスペイン同様 tú をよく使う。
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** 1人称複数の nosotros/as は古スペイン語では nos で男女の区別もなかった。nosotros/asはnosとotros/as (=others)を同格的に並べた表現から生まれた。<ref>Lyle Campbell(1998) ''Historical Linguistics'' p. 243</ref>Vosotros/as も同様で、vos だったが、vos が単数の敬称として使われるようになると複数形はそれと区別するため (vos otros/vos otras→) vosotros/vosotras となった。Vos を敬称として初めて用いたのは宮廷においてで、vosotrosももともと貴族の言葉である。宮廷文化をもたないアンダルシアや中南米では vosotros の使用は浸透せず、ustedes が汎用2人称複数となった。 |
** 1人称複数の nosotros/as は古スペイン語では nos で男女の区別もなかった。nosotros/asはnosとotros/as (=others)を同格的に並べた表現から生まれた。<ref>Lyle Campbell(1998) ''Historical Linguistics'' p. 243</ref>Vosotros/as も同様で、vos だったが、vos が単数の敬称として使われるようになると複数形はそれと区別するため (vos otros/vos otras→) vosotros/vosotras となった。Vos を敬称として初めて用いたのは宮廷においてで、vosotrosももともと貴族の言葉である。宮廷文化をもたないアンダルシアや中南米では vosotros の使用は浸透せず、ustedes が汎用2人称複数となった。 |
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* [[冠詞]] |
* [[冠詞]] |
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| hablas || comes || vives |
| hablas || comes || vives |
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!二人称単数 (voseo) |
!二人称単数 ([[ボセオ|voseo]]) |
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|hablás||comés||vivís |
|hablás||comés||vivís |
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* [[スペインの言語]] |
* [[スペインの言語]] |
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* [[中世スペイン語]] |
* [[中世スペイン語]] |
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* [[ポルトガル語]] |
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* [[タガログ語]] - フィリピンの公用語。歴史的経緯からスペイン語からの借用語が多く見られる。 |
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* [[ラディーノ語]](ユダヤ・スペイン語) |
* [[ラディーノ語]](ユダヤ・スペイン語) |
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* [[日本語]] - [[ハポニョール]] |
* [[日本語]] - [[ハポニョール]] |
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* [[セルバンテス文化センター]] |
* [[セルバンテス文化センター]] |
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* [[イベロアメリカ首脳会議]] |
* [[イベロアメリカ首脳会議]] |
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* {{仮リンク|ヒスパノフォン|en|Hispanophone}} ([[スペイン語圏]]) |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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{{Wikipedia|es}} |
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{{Wiktionarycat|スペイン語}} |
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* [http://www.rae.es/rae.html Real Academia Española(スペイン王立アカデミー)] {{es icon}} |
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* [http://www.asale.org/ASALE/asale.html Asociación de Academias de la Lengua Española(スペイン語アカデミー連合)] {{es icon}} |
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* [http://dele.jp/ DELE(外国語としてのスペイン語検定試験)] |
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* [http://www.casa-esp.com/link-examen.html スペイン語技能検定] |
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* [http://www.coelang.tufs.ac.jp/modules/es/index.html 東外大言語モジュール | スペイン語] - [[東京外国語大学]]によるスペイン語学習サイト |
* [http://www.coelang.tufs.ac.jp/modules/es/index.html 東外大言語モジュール | スペイン語] - [[東京外国語大学]]によるスペイン語学習サイト |
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* [https://www.nhk.or.jp/gogaku/spanish/index.html NHK語学番組 | スペイン語の番組] |
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* [https://spanishto-english.com/ Spanish to English] {{es icon}} |
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* {{Kotobank}} |
* {{Kotobank}} |
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[[Category:パラグアイの言語]] |
[[Category:パラグアイの言語]] |
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[[Category:ウルグアイの言語]] |
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[[Category:イ |
[[Category:イベロ・ロマンス語]] |
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[[Category:ロマンス諸語]] |
2024年6月18日 (火) 12:00時点における最新版
スペイン語 | |
---|---|
español | |
発音 | IPA: [espaˈɲol] |
話される国 | 話者人口上位5か国、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、スペイン、米国。スペイン語を公用語とする国は21カ国。 |
地域 | イスパノアメリカ、イベリア半島、その他の旧スペイン植民地 |
話者数 | 約4億8023万人(母国語、第一言語)、その他の西語話者を含め約5億7700万人[1] |
話者数の順位 | 2-3(基準によって順位は異なる) |
言語系統 | |
公的地位 | |
公用語 | 下記参照 |
少数言語として 承認 |
![]() ![]() |
統制機関 |
![]() |
言語コード | |
ISO 639-1 |
es |
ISO 639-2 |
spa |
ISO 639-3 |
spa |
SIL | SPN |
![]() スペイン語を公用語とする国や地域
公用語ではないが25%以上の割合で話されている国や地域
10 - 20%の割合で話されている国や地域
5 - 9.9%の割合で話されている国や地域 |
概要[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/0f/Castellano-Espa%C3%B1ol-es.png/220px-Castellano-Espa%C3%B1ol-es.png)
歴史[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ec/Linguistic_map_Southwestern_Europe-II.gif/280px-Linguistic_map_Southwestern_Europe-II.gif)
話者分布[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e2/Knowledge_of_Spanish_EU_map.svg/220px-Knowledge_of_Spanish_EU_map.svg.png)
![スペインの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9a/Flag_of_Spain.svg/25px-Flag_of_Spain.svg.png)
![メキシコの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fc/Flag_of_Mexico.svg/25px-Flag_of_Mexico.svg.png)
![グアテマラの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ec/Flag_of_Guatemala.svg/25px-Flag_of_Guatemala.svg.png)
![ホンジュラスの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Flag_of_Honduras.svg/25px-Flag_of_Honduras.svg.png)
![エルサルバドルの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/34/Flag_of_El_Salvador.svg/25px-Flag_of_El_Salvador.svg.png)
![ニカラグアの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/19/Flag_of_Nicaragua.svg/25px-Flag_of_Nicaragua.svg.png)
![コスタリカの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f2/Flag_of_Costa_Rica.svg/25px-Flag_of_Costa_Rica.svg.png)
![パナマの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ab/Flag_of_Panama.svg/25px-Flag_of_Panama.svg.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bd/Flag_of_Cuba.svg/25px-Flag_of_Cuba.svg.png)
![ドミニカ共和国の旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9f/Flag_of_the_Dominican_Republic.svg/25px-Flag_of_the_Dominican_Republic.svg.png)
![プエルトリコの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/28/Flag_of_Puerto_Rico.svg/25px-Flag_of_Puerto_Rico.svg.png)
![ベネズエラの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/06/Flag_of_Venezuela.svg/25px-Flag_of_Venezuela.svg.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/21/Flag_of_Colombia.svg/25px-Flag_of_Colombia.svg.png)
![エクアドルの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e8/Flag_of_Ecuador.svg/25px-Flag_of_Ecuador.svg.png)
![ペルーの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cf/Flag_of_Peru.svg/25px-Flag_of_Peru.svg.png)
![ボリビアの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b3/Bandera_de_Bolivia_%28Estado%29.svg/25px-Bandera_de_Bolivia_%28Estado%29.svg.png)
![パラグアイの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/27/Flag_of_Paraguay.svg/25px-Flag_of_Paraguay.svg.png)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/78/Flag_of_Chile.svg/25px-Flag_of_Chile.svg.png)
![アルゼンチンの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1a/Flag_of_Argentina.svg/25px-Flag_of_Argentina.svg.png)
![ウルグアイの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/fe/Flag_of_Uruguay.svg/25px-Flag_of_Uruguay.svg.png)
![赤道ギニアの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/31/Flag_of_Equatorial_Guinea.svg/25px-Flag_of_Equatorial_Guinea.svg.png)
![西サハラの旗](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/26/Flag_of_the_Sahrawi_Arab_Democratic_Republic.svg/25px-Flag_of_the_Sahrawi_Arab_Democratic_Republic.svg.png)
スペイン語話者数の推定[編集]
セルバンテス文化センターの2017年の報告書 ”El español: una lengua viva informe 2017” によると、2017年のスペイン語を母語︵第一言語︶とする人口は約4億7700万人で、その他に約1億人が第2言語としてスペイン語を習得しており、それらの限られた能力のものを含めると約5億7200万人のスペイン語話者がいる。最大の話者人口を抱えているのがメキシコであり、総話者の4人に1人約1億2千万人がメキシコに在住している。続くコロンビア、アルゼンチン、スペインがそれぞれ総話者人口の約1割の約4千万人の話者がいる[6]。米国︵アメリカ合衆国︶に関しては、同じセルバンテス文化センターが2015年の報告で5260万人の話者という推定を出しておりこれはメキシコに次ぐ人口である[7]。また米国のヒスパニック人口の3分の2がメキシコ系であり、それらを含めると総話者に占めるメキシコ系話者の比率は3人に1人となる。国 | 人口 | 話者率 | 西語 話者 |
限定話者 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
メキシコ | 123.52 | 96.8% | 119.57 | 3.95 | スペイン語話者の4人に1人がメキシコ国内のメキシコ人、メキシコ系アメリカ人を含めると総話者に占める比率は3人に1人となる。 |
コロンビア | 49.25 | 99.2% | 48.85 | 0.39 | 総話者数の約1割である。 |
アルゼンチン | 44.04 | 98.1% | 43.21 | 0.84 | |
米国[注釈 6] | 325.70 | 13.2% | 42.93 | 15.08 | プエルトリコは別計上。セルバンテスの2015年の報告では米国のスペイン語話者は5260万人と推定しており、メキシコに次ぐ第2位の話者数となる[7]。 |
スペイン | 46.52 | 92.1% | 42.85 | 3.68 | |
ペルー | 31.83 | 86.6% | 27.56 | 4.26 | |
ベネズエラ | 31.43 | 97.3% | 30.58 | 0.85 | |
チリ | 18.14 | 95.9% | 17.40 | 0.74 | |
エクアドル | 16.78 | 95.7% | 16.06 | 0.07 | |
グアテマラ | 16.54 | 78.3% | 12.95 | 3.59 | |
キューバ | 11.42 | 99.7% | 11.39 | 0.03 | |
ボリビア | 11.15 | 83.0% | 9.25 | 1.89 | |
ドミニカ共和国 | 10.17 | 97.6% | 9.93 | 0.02 | |
ホンジュラス | 8.89 | 98.5% | 8.75 | 0.12 | |
パラグアイ | 6.95 | 67.9% | 4.72 | 2.23 | |
エルサルバドル | 6.35 | 99.7% | 6.33 | 0.00 | |
ニカラグア | 6.22 | 97.1% | 6.04 | 0.18 | |
コスタリカ | 4.95 | 99.3% | 4.91 | 0.03 | |
パナマ | 4.10 | 91.9% | 3.77 | 0.33 | |
プエルトリコ | 3.41 | 99.0% | 3.38 | 0.03 | 米国領 |
ウルグアイ | 3.46 | 98.4% | 3.40 | 0.06 | |
赤道ギニア | 0.85 | 74.0% | 誤植 | 0.22 | 誤植: 原典に誤植あり。ウルグアイの話者数が反復している。 |
小計 | 455.93 | 94.6% | 431.51 | 24.42 | 米国以外の西語を公用語とする国の合計 |
合計 | 781.65 | 60.6% | 473.81 | 38.62 | 米国も含む |
国 | 人口 | 話者率 | 西語 話者 |
限定話者 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
アルジェリア | 0.18 | 0.05 | |||
オーストラリア | 0.12 | 0.38 | |||
ベリーズ | 0.17 | 0.02 | |||
ブラジル | 0.46 | 0.10 | |||
カナダ | 0.41 | 0.29 | |||
イスラエル | 0.13 | 0.05 | |||
日本 | 0.11 | ||||
スイス | 0.12 | ||||
フィリピン | 0.003 | 0.46 | 母語レベルの話者の数は少ないが、スペインは旧宗主国であり学習者の数は多い。 | ||
モロッコ | 0.007 | 1.53 | 母語レベルの話者の数は少ないが、隣国であり限定的な話者の数は多い。 | ||
EU(スペイン以外) | 1.40 | 30.98 | |||
その他 | 0.13 | 0.40 | |||
合計 | 3.23 | 34.24 |
方言[編集]
![スペイン国内の言語分布](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/ae/Spain_languages.svg/220px-Spain_languages.svg.png)
- スペインにおける方言
- スペイン語北部方言(Dialecto castellano septentrional)
- カスティーリャ方言
- レオン方言(Castellano leonés)
- ラ・リオハ方言(Dialecto riojano)
- アラゴン方言(アラゴン語とは別)
- スペインの二言語地域におけるスペイン語バリエーション
- スペイン語南部方言(Dialectos castellanos meridionales)
- マドリード方言(Castellano de Madrid)
- ラ・マンチャ方言(Dialecto manchego)
- ムルシア方言(Dialecto murciano)
- アンダルシア方言(Dialecto manchego)
- エストゥレマドゥーラ方言(Dialecto extremeño)
- カナリア方言(Dialecto canario)
- スペイン語北部方言(Dialecto castellano septentrional)
- ラテンアメリカにおける各方言(Español de América)
- アンデス・スペイン語
- カリブ・スペイン語
- リオプラテンセ・スペイン語
- メキシコ・スペイン語(Español mexicano)
音韻[編集]
音韻対応[編集]
語頭にあったfの多くはhになり、その後発音上は消滅[注釈 8]。強勢のある e, o の多くは ie, ue に二重母音化︵音割れ︶。-ct- の多くは -ch- に変化。-ll- はフランス語の -ill-, イタリア語の -gli- に対応する。cl-, pl- の多くはllに変化。現在の音素 /θ/ は古くはç /t͡s/, z /d͡z/ であり、別音素だった。語頭の s + 閉鎖音は前にeが付加︵prótesis︶され、esc-/esqu-, esp-, est- となった。母音間のdは消滅していることが多い。語頭にあるあとに母音が続くiと母音にはさまれた強勢のないiはyに変化した。yは本来半母音だったが、摩擦音で発音されるのが一般的になった。二重母音における /-i/ の音は英語のそれと同じように語頭や語中では -i, 語末では -y とつづる︵他のロマンス系言語の多くはyは外来語以外に用いない︶。vは古くは /v/ と発音したが、bと同じ /b/ に変化し、その後、借用語において原語のvのつづりをbに置き換える傾向がある。一方、wはvに置き換えられることがある。 スペインで話されているスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では、発音、アクセントが若干異なる。それ以外にも、地方により発音に差異が出ることがある。母音[編集]
母音は a, e, i, o, u の5つで、日本語とほぼ同じである。ただし、uは標準日本語の﹁う﹂よりも口をすぼめて発音する。 長音、促音は無いが、アクセントのある母音はやや長めに発音されることが多いので日本語話者には長音に聞こえることがある。二重母音・三重母音[編集]
母音のうち a, e, o を強母音、i︵語末のyを含む︶、uを弱母音とする。強母音 + 弱母音、弱母音 + 強母音、弱母音 + 弱母音の連続は二重母音、弱母音 + 強母音 + 弱母音の連続は三重母音となり、いずれも一音節で発音する。その場合の弱母音は、スペイン語学では音節主音の前の位置にある場合は半子音 (semiconsonante)[8]、音節主音の後ろの場合は半母音 (semivocal)[9]と呼んで区別する。国際音声記号 (IPA) では半子音のiは [j]︵ヨッド︶[10]、uは [w]︵ワウ︶[11]、また半母音はそれぞれ [i̯]、[u̯] で表記する[12]。弱母音 + 弱母音の場合、音節主音は後の母音である。 強母音 + 強母音の連続は母音接続で、二重母音とはならず、leer のように同じ強母音字が連続する場合を含め[注釈 9]、別の音節として発音する。また、弱母音字でもアセント (acento)[注釈 10]がある場合 (í, ú) は強母音として扱う。 後述するように gue, gui, que, qui のuは黙字であり、二重母音の一部ではない。quiero のようにさらに母音字が続く場合は、黙字のuを無視したうえで、上記の規則に従う。ディエレシス︵分音記号、クレマ︶がある güe, güi の üe, üi は二重母音である。アクセント[編集]
スペイン語のアクセントは強勢アクセントである。 ●アセント (´)[注釈 10]がある語は、その音節に強勢がある。 ●アセントがない語の場合、 ●語末が母音か n, s のときは、最後から2番目の音節に強勢がある (grave, llana, paroxítona)。 ●語末が n, s 以外の子音︵yを含む︶ときは、最終音節に強勢がある (aguda, oxítona)。 ●語尾が -mente の副詞では、-mente を取り去った語に上記規則に従って第一強勢が、-mente の -men- に第二強勢︵第一強勢より弱い︶がある。例‥ últimamente (última-) [ˈultimaˌmente], solamente (sola-) [ˈsolaˌmente], igualmente (igual-) [iˈɣwalˌmente]子音[編集]
子音字 b, ch, d, f, m, n, p, r, s, y はローマ字の日本語読みとほぼ同様の感覚で単語を読むことができる。一方、c, g, h, j, l (ll), q, v, x, z はローマ字読みとかならずしも一致しない。子音の発音には地域差があり、ここで示したのは比較的広く用いられているものである。 ●/b/: b、v は同じ発音で、どちらもバ行音 /b/で発音される。 ●ただし、イタリア系移民の多いアルゼンチンの一部などではvを [v]で発音することがある。 ●発声の始めと [m] の後では通常のバ行音 [b]。 ●それ以外の位置では摩擦音化し、[β][13]。 ●[s] の前では発音しないことがある[13]。 ●/k/: ca, co, cu, que, qui, および音節末の cはカ行音 [k]。 ●que, qui は﹁ケ﹂﹁キ﹂と発音し、﹁クエ﹂﹁クイ﹂にはならない。uを発音するためには cue, cui とつづる。 ●/θ/: ce, ci, za, zo, zu, および音節末の zは、スペインの標準語では [θ]。英語の無声のth音よりも摩擦が強い[13]。スペイン南部や中南米ではセセオによりsとの区別が失われ、通常のサ行音 [s]。 ●ze、ziのつづりはほとんど使わない[14]。 ●これらの音は、15世紀以前はツァ行音 [ts] で発音していた。 ●ch: チャ行音 [ʧ]。 ●カリブ諸国などではチャ行音よりもシャ行音に近い発音になることがある。 ●d: ダ行音 /d/。 ●発声の始めと [l], [n] の後では通常のダ行音 [d]。 ●それ以外の位置では摩擦音化し、[ð]。 ●語末では [ð]、さらに無声化し [θ] となるか、ほとんど発音しないことがある。 ●f: ファ行音 [f]。 ●/g/: ga, go, gu, および音節末の gはガ行音 /g/。 ●発声の始めと [ŋ] の後では通常のガ行音 [g]。 ●それ以外の位置では摩擦音化し、[ɣ] [13]。 ●gue, gui は﹁ゲ﹂﹁ギ﹂と発音し、﹁グエ﹂﹁グイ﹂にはならない。uを発音するためにはディエレシスを使用し、güe, güi とつづる。 ●/x/: ge, gi, および jは [x]。ハ行音、ドイツ語の ach laut に近いが、それより少し奥のほうで発音する。 ●アンダルシア南西部や米国南部では通常のハ行音 [h] で発音することがある。 ●語末では発音しないことがある[13]。 ●h: 発音しない︵黙字︶。 ●l: 日本語のラ行音に近い [l]。舌先を歯茎に当てたまま息を出す接近音で、英語の clear l に相当する。 ●ll: 従来はリャ行音に近い [ʎ] が標準的な発音とされていたが、実際には多くの地域でジェイスモによりyとの区別が失われ、yと同じくヤ行に近い [ʝ] で発音する。多くの南米大陸の国々では、yとおなじくジャ行音[ʑ] で発音する方が一般的である。 ●ブエノスアイレス近郊ではシャ行音 [ʃ]。 ●単語により異なる発音をする人もいる。 ●m: マ行音 /m/。 ●語末ではン音 [n][13]。 ●n: ナ行音 /n/。 ●[b], [m], [p] の前では [m][13]。 ●[g], [k], [x] の前では [ŋ][13]。 ●ñ: ニャ行音 [ɲ]。 ●p: パ行音 [p]。 ●[s], [t] の前では発音しないことがある[13]。 ●r: ラ行音 [ɾ]。英語やフランス語の一般的なR音[注釈 11]とは異なり、はじき音で、日本語のラ行音にかなり近い。 ●語頭と [l], [n], [s] の後では後述する巻き舌音 [r]。 ●rr: 語中でのみ用いる巻き舌音 [r]。 ●プエルトリコやドミニカ共和国では、j音 [x] になることがある︵ブラジルポルトガル語と同じ変化︶。 ●ペルーやボリビアの一部の地方ではザ行音になることがある。![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/31/S_aspiration_in_Spanish.png/220px-S_aspiration_in_Spanish.png)
二重子音[編集]
以下の子音の連続は二重子音となる。分節上、単子音と同様に扱う。 + l bl, cl, fl, gl, pl + r br, cr, dr, fr, gr, pr, tr dr, tr は二重子音であるが、dl, tl は二重子音ではない。音韻的特徴[編集]
●無声音では破裂音と摩擦音が対立するが、有声音では両者が対立せず、異音の関係にある︵有声破裂音 /b/, /d/, /g/ が母音間等では摩擦音化する︶。 ●yを半母音 /j/ ではなく、摩擦音 /ʝ/ で発音する。外来語[編集]
外来語はその発音やつづりの特徴から以下のパターンが挙げられる。 (一)つづりをスペイン語風に読む。 ●jersey /xeɾˈsei/ ﹁ジャージー﹂ (二)発音を優先し、つづりを書き換える。 ●fútbol(←football) ﹁フットボール﹂ (三)原語のつづりを変えず原音に近い発音をする。分かりやすい特徴を挙げれば、jをyのように、hをjのように発音する。新しい外来語に多い。 ●jazz ﹁ジャズ﹂ /ˈʝaθ/, /ˈʤas/ ●judo ﹁柔道﹂ /ˈʝuðo/, /ˈʤuðo/ ただし yudo とつづることもある ●hardware ﹁ハードウェア﹂ /xaɾˈweaɾ/ ︵dは原音では弱く、スペイン語化したうえでdを発音すると har・dwe・arのように分節されてしまうため消滅︶ 外来語の発音については、地域や世代、個人によって多少差がある。﹁1.﹂は古い外来語でよく見られるほか、固有名詞︵商品名を含む︶でよく見られ、例えば Colgate︵コルゲート︶は﹁コルガーテ﹂と発音する。メキシコでは商品名のスペイン語化に関する法律もある。特に人名や地名を原音に近い発音をする場合、原音の確認を要する場合が多いので、スペイン語風に発音しても間違いではない︵例‥ Miami マイアミをスペイン語読みでミアミと発音︶。また、隣接するポルトガル語はスペイン語とよく似ている一方、つづりの発音の違いやアクセントの規則の違い、独特の音韻変化などがあるため、しばしばアクセント記号が付加され、スペイン語式に読み換えられる。例えばリオデジャネイロ︵Rio de Janeiro; ブラジルポルトガル語の発音は﹁ヒウ・ヂ・ジャネイル﹂に近い︶は Rio︵川の意︶が対応するスペイン語に置き換えられRío de Janeiro と表記し、﹁リオ・デ・ハネイロ﹂と発音する。また、サンパウロ︵São Paulo︶については、対応するスペイン語形のサン・パブロ︵San Pablo︶で呼ばれるのが普通である。語頭の﹁s+子音﹂は /s/ の前に /e/ を付加して発音することが多い︵付加しない人もいる︶。例えば Spain は /esˈpein/ または /ˈspein/ と発音する。アルファベット[編集]
大文字 | 小文字 | 文字名称 |
---|---|---|
A | a | a: ア |
B | b | be: ベ be grande: ベグランデ(大きい「ベ」の意味、vと区別する) be alta: ベアルタ(高い「ベ」の意味) be larga:ベラルガ(長い「ベ」の意味) be de burro:ベデブロ(「ロバのベ」) |
C | c | ce: セ |
(Ch) | (ch) | (che: チェ) ※1994年に廃止決議、後述 |
D | d | de: デ |
E | e | e: エ |
F | f | efe: エフェ |
G | g | ge: ヘ |
H | h | hache: アチェ(単語中では発音しない) |
I | i | i: イ i latina: イラティーナ(ラテン語の「イ」の意味、y と区別する) |
J | j | jota: ホタ |
K | k | ka: カ |
L | l | ele: エレ |
(Ll) | (ll) | (elle: エジェ、エリェ doble ele: ドブレエレ) ※1994年に廃止決議、後述 |
M | m | eme: エメ |
N | n | ene: エネ |
Ñ | ñ | eñe: エニェ |
O | o | o: オ |
P | p | pe: ペ |
Q | q | cu: ク |
R | r | erre: エレ(歯茎ふるえ音 [r]) |
S | s | ese: エセ |
T | t | te: テ |
U | u | u: ウ |
V | v | uve: ウベ ve chica: ベチカ(小さな「ベ」の意味、bと区別する) ve baja: ベバハ(低い「ベ」の意味) ve corta: ベコルタ(短い「ベ」の意味) ve de vaca: ベデバカ(「ウシのベ」) |
W | w | uve doble: ウベドブレ doble u: ドブレウ doble ve: ドブレベ ve doble: ベ・ドブレ |
X | x | equis: エキス |
Y | y | ye: イェ/ジェ i griega: イグリエガ(ギリシア語の「イ」の意味、iと区別する) |
Z | z | zeta: セタ |
A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | Ñ | O | P | Q | R | S | T | U | V | W | X | Y | Z | Á | É | Í | Ó | Ú | Ü |
a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | l | m | n | ñ | o | p | q | r | s | t | u | v | w | x | y | z | á | é | í | ó | ú | ü |
文法の特徴[編集]
●主語 ●イタリア語やポルトガル語と同じく、主語の強調や意味の明確化が必要でない場合には主語をあえて表現しないことが多い。これは、一人称や二人称の場合、動詞の活用︵後述︶で主語が判別できるためである。 ●目的語 ●基本的な語順はSVOであるが、英語やフランス語に比べると語順はかなり自由度が高く、平叙文でも主語が動詞のあとに置かれることもよくある。目的語は代名詞の場合、動詞の前に置かれるが、動詞が不定詞・現在分詞・肯定命令法のときは代名詞は動詞のあとに接語化され、一つの語のように書かれる。この場合アクセント位置が移動しないようにアクセント符号の付加が必要になる場合がある。 ●他動詞の直接目的語が人を指示する定名詞句︵固有名詞、定冠詞・所有形容詞・指示形容詞がついた名詞句など︶のときにはこれに前置詞aがつく。直接目的語が人を指示しても不定の場合はaをつけなくてもよい。物を指示する目的語にはaをつけない。このような区別はイタリア語やフランス語などにはない特徴である。[17] 例 Estimo aLuisa. ﹁私はルイサを尊敬する﹂、Respetad alos ancianos.﹁老人を尊敬しなさい﹂、En la calle vi atu padre.﹁街で君のお父さんに会った﹂、Buscamos (a) una secretaria capaz.﹁私たちは有能な秘書をさがしている﹂ ●代名詞 ●再帰代名詞を用いる構文が発達していて、利害・相互的行為・受動・無人称・強意など多くの意味を表す。 ●a + 名詞と同一のものを指示する間接目的格代名詞が動詞の前に置かれるという、いわば抱合的な現象がある。たとえばLa canción legustó a Rodrigo. ﹁その歌はロドリゴの気にいった﹂ではleは﹁彼に﹂を意味する間接目的格代名詞で、a Rodrigoを指している。 ●2人称の代名詞は親称 tú︵複数形vosotros/as︶と敬称 usted︵複数形ustedes︶を使い分ける。中南米では古いスペイン語で使われていたvosが相手に対する蔑称として用いられることがある。vosは元々は相手に対する尊称であったが現在は親称・蔑称の意味に成り代わっている。日本語の﹁貴様﹂のようなもの。ただし、一部では親称として用いられることもあり、特にアルゼンチンでは全国でvosのみが使われるといっても構わない。2人称複数である vosotros/as は、vos と otros︵﹁他﹂の複数形︶が接合したものである。なお、vosotros/as が使用されるのはスペインと赤道ギニアに限られ、中南米やスペインのアンダルシア、カナリア諸島では親称としてもustedesが一般的に使用される。usted は vuestra merced︵直訳すれば﹁あなたの厚意﹂︶︵表記として単数の場合UdやVd、複数形でUdsやVdsが使われるが、これはUとVが母音と子音にわかれる前の影響で、発音はウステとウステデスとなる︶が2人称尊称として︵主に騎士が主君に対して︶用いられ、短縮されたもので、動詞の活用は3人称である。Tú と usted の用法はスペインと中南米では違いがあり、スペインでは改まった場面でなければ、接客など初対面でも tú を使うことがよくあり、また、部下が上司に対して tú を使うこともよくある。しかし、中南米では、tú を使うのは親しい人や目下の人に限られる。ただし、キューバではスペイン同様 tú をよく使う。 ●1人称複数の nosotros/as は古スペイン語では nos で男女の区別もなかった。nosotros/asはnosとotros/as (=others)を同格的に並べた表現から生まれた。[18]Vosotros/as も同様で、vos だったが、vos が単数の敬称として使われるようになると複数形はそれと区別するため (vos otros/vos otras→) vosotros/vosotras となった。Vos を敬称として初めて用いたのは宮廷においてで、vosotrosももともと貴族の言葉である。宮廷文化をもたないアンダルシアや中南米では vosotros の使用は浸透せず、ustedes が汎用2人称複数となった。 ●冠詞 ●定冠詞は性・数によって区別される︵男性単数el、女性単数la、男性複数los、女性複数las、中性lo︶。ただ、女性名詞でもアクセントのあるa、またはhaで始まる単数名詞の場合はelを使う︵例 el agua︶。前置詞a、deの後に定冠詞elが来る場合には縮約しそれぞれal、del と一語のように書かれる︵前置詞と冠詞の縮約はこの二つのみで、イタリア語やフランス語のように複雑ではない︶。中性定冠詞loは中性名詞につくわけではなく︵スペイン語に中性名詞はない︶、形容詞・所有形容詞・過去分詞・副詞についてこれらを名詞化したり、lo que の形でフランス語の ce que や英語の what のように﹁もの・こと﹂の意味を表したりする。中性定冠詞はイタリア語やフランス語にはない特徴である。例 lo bueno ﹁善良さ︵=la bondad︶、よいもの︵=las buenas cosas︶﹂、lo pasado﹁過ぎ去ったこと﹂、lo nuestro﹁私たちのもの﹂、Lo que dices es no cierto.﹁君が言うことは確かではない﹂ ●フランス語やイタリア語にあるような部分冠詞はない。 ●冠詞と名詞 ●名詞が職業・性質を表す補語になるときは、He is a student.のように不定冠詞を伴う英語と異なり、Es estudiante.のように通常は︵フランス語等と同様︶無冠詞である。逆に、Es un inutil.﹁彼は役立たずだ﹂のように軽蔑・強調の意味をもって品詞・可算を問わず不定冠詞を伴う場合がある。 ●名詞 ●名詞には男性名詞と女性名詞があるが、-oで終われば男性、-aで終われば女性という原則があるため比較的判別が容易である︵ただしdía, manoなど少数の例外あり︶。その他に-ción, -dad,-tad, tud, -umbre, -zなどで終われば女性、-aje, -i, -rなどで終われば男性といった原則がある。 ●名詞の複数形は(e)sをつけて作るが、これはラテン語の名詞の複数対格の語尾に由来し、フランス語やポルトガル語同様西ロマンス語の特徴である︵ただしフランス語においては複数形の語尾sは発音されない︶。 ●形容詞 ●形容詞は基本的に名詞に対して後置される︵例‥un coche moderno 現代の車︶が、若干の形容詞、あるいは話者の主観を述べる場合は、前置されることもある。後置される場合と前置される場合で意味が異なるものもある︵la casa nueva 新築の家-la nueva casa 新居、el gran hombre 偉大な人-el hombre grande 大きな人、など︶。また、修飾される名詞の性数に応じて変化する。moderno 現代の、を例に挙げれば、moderno︵男性単数︶, moderna︵女性単数︶, modernos︵男性複数︶, modernas︵女性複数︶と変化する。 ●前置詞 ●現代スペイン語にはフランス語のenやイタリア語のne、あるいはフランス語のyやイタリア語のciに相当する﹁前置詞+名詞﹂の代用となる副詞的代名詞は存在しない︵中世スペイン語には存在した。なおカタルーニャ語には存在する。︶。 ●動詞 ●動詞の基本形の語尾は-ar, -erまたは-irのいずれかである。 ●動詞には直説法、接続法、命令法がある。直説法は現在、点過去︵完了過去︶、線過去︵不完了過去︶、未来、過去未来︵﹁可能﹂・﹁条件﹂・﹁遡及未来﹂という語が用いられることもある︶、現在完了、直前過去完了、過去完了、未来完了、過去未来完了が、接続法では現在、過去、現在完了、過去完了が存在する︵中世には未来や未来完了も存在した︶。また、各時制で主語の人称・数に応じて6通り︵中南米では実質5通り︶に活用される。 ●完了形ではすべての動詞に対してhaberが助動詞として使われる。フランス語、イタリア語、ドイツ語などの完了形[複合時制]では、移動や状態変化の意味を含む自動詞︵非対格動詞︶の場合には助動詞として英語のbeにあたる動詞を使い、それ以外ではhaveにあたる動詞を使うが、現代スペイン語にはこのような区別がなく、この点において現代英語と似ている。 ●過去の出来事を表すのに口語ではおもに複合時制︵現在完了形︶を用いるフランス語やイタリア語とは違い、スペイン語では現代でも単純時制である点過去形︵フランス語の単純過去形・イタリア語の遠過去形に相当︶が口語・文章語を通じて広く使われており、現在完了形はむしろ英語のそれに近い使われ方をしている。ただし地域差があり、スペインの多くの地域では﹁今日﹂﹁今週﹂など現在を含む副詞をおく場合基本的に現在完了形が使われる一方、中南米やスペインのガリシア州などでは現在完了形をあまり用いない傾向がある。これは現在完了形を多用するイギリス英語と過去形を多用するアメリカ英語の関係に類似している。なお、ガリシア州でスペイン語とともに話されるガリシア語には現在完了時制が存在しない。 ●英語のbeに当たる動詞がserとestarの二つある。serはSoy española.﹁私はスペイン人です﹂のような性質を述べるときに用い、estarはEstoy cansado.﹁私は疲れている﹂のような一時的状態、Osaka está en Japón.﹁大阪は日本にある﹂のように所在を表すのに用いる︵このような区別はフランス語にはないが、イタリア語にはある︵essereとstare︶︶。またestar+現在分詞でEstoy llorando. ﹁私は泣いている﹂のように英語の進行形に似た意味を表すのはフランス語やイタリア語にはない特徴である。ただしこの形は英語の進行形ほどよく使われるわけではない。現在形の動作動詞が進行相をも表し、また過去時では線過去形︵イタリア語やフランス語の半過去形に相当︶に過去進行形的な不完了(imperfective)相を表す機能があるからである。規則動詞の現在時制における活用形[編集]
原形 | hablar(話す) | comer(食べる) | vivir(生きる、住む) |
---|---|---|---|
一人称単数 | hablo | como | vivo |
一人称複数 | hablamos | comemos | vivimos |
二人称単数 | hablas | comes | vives |
二人称単数 (voseo) | hablás | comés | vivís |
二人称複数 | habláis/hablan | coméis/comen | vivís/viven |
三人称単数(二人称の敬称含む) | habla | come | vive |
三人称複数(二人称の敬称含む) | hablan | comen | viven |
不規則動詞serの活用[編集]
叙法 | 直説法 | 接続法 | 命令法 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
単純時制 | 現在 | 点過去 | 線過去 | 未来 | 過去未来 | 現在 | 過去 | 未来 | |
1人称単数 | soy | fui | era | seré | sería | sea | fuera / fuese | fuere | - |
2人称単数 | eres | fuiste | eras | serás | serías | seas | fueras / fueses | fueres | sé |
3人称単数 | es | fue | era | será | sería | sea | fuera / fuese | fuere | sea |
1人称複数 | somos | fuimos | éramos | seremos | seríamos | seamos | fuéramos / fuésemos | fuéremos | seamos |
2人称複数 | sois | fuisteis | erais | seréis | seríais | seáis | fuerais / fueseis | fuereis | sed |
3人称複数 | son | fueron | eran | serán | serían | sean | fueran / fuesen | fueren | sean |
助動詞haberの活用[編集]
助動詞haberの活用形は、過去分詞とあわせて完了時制をつくる。下記の表では、「sido」が動詞serの過去分詞形。
叙法 | 直説法 | 接続法 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
複合時制 | 現在完了 | 過去完了 | 未来完了 | 過去未来完了 | 現在完了 | 過去完了 | 未来完了 |
1人称単数 | he sido | había sido | habré sido | habría sido | haya sido | hubiera / hubiese sido | hubiere sido |
2人称単数 | has sido | habías sido | habrás sido | habrías sido | hayas sido | hubieras / hubieses sido | hubieres sido |
3人称単数 | ha sido | había sido | habrá sido | habría sido | haya sido | hubiera / hubiese sido | hubiere sido |
1人称複数 | hemos sido | habíamos sido | habremos sido | habríamos sido | hayamos sido | hubiéramos / hubiésemos sido | hubiéremos sido |
2人称複数 | habéis sido | habíais sido | habréis sido | habríais sido | hayáis sido | hubierais / hubieseis sido | hubiereis sido |
3人称複数 | han sido | habían sido | habrán sido | habrían sido | hayan sido | hubieran / hubiesen sido | hubieren sido |
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
関連項目[編集]
- スペインの言語
- 中世スペイン語
- ポルトガル語
- タガログ語 - フィリピンの公用語。歴史的経緯からスペイン語からの借用語が多く見られる。
- ラディーノ語(ユダヤ・スペイン語)
- 日本語 - ハポニョール
- イベリア半島の言語純化運動
- スペイン語の日本語表記
- セルバンテス文化センター
- イベロアメリカ首脳会議
- ヒスパノフォン (スペイン語圏)
外部リンク[編集]
- 東外大言語モジュール | スペイン語 - 東京外国語大学によるスペイン語学習サイト
- 『スペイン語』 - コトバンク