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「阿毘達磨倶舎論」の版間の差分

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==概要==

==概要==

世親が作成した『アビダルマ・コーシャ・カーリカー(本頌)』 ({{lang-sa-short|Abhidharma-kośa-kārikā}}) の600余の本頌に、世親自ら註釈を書き加えたものが『アビダルマ・コーシャ・バーシャ(釈)』 ({{lang-sa-short|Abhidharma-kośa-bhāṣya}}) で、一般に『倶舎論』という時は後者の『釈』 (bhāṣya) のことを指す。

世親が作成した『アビダルマ・コーシャ・カーリカー(本頌)』 ({{lang-sa-short|Abhidharma-kośa-kārikā}}) の600余の本頌に、世親自ら註釈を書き加えたものが『アビダルマ・コーシャ・バーシャ(釈)』 ({{lang-sa-short|Abhidharma-kośa-bhāṣya}}) で、一般に『倶舎論』という時は後者の『釈』 (bhāṣya) のことを指す。


[[]] ({{Lang|sa|abhidharma}}, [[]])  "{{Lang|sa|abhi}}+{{Lang|sa|dharma}}" <ref> [[]]1969<ref/>{{Lang|sa|kośa}}, 

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本論の特徴は説一切有部の伝統的な教理に対して、[[経量部]]の立場から批判が加えられている部分がある点に特色がある。

本論の特徴は説一切有部の伝統的な教理に対して、[[経量部]]の立場から批判が加えられている部分がある点に特色がある。

このことから本論のの立場は古来より「理長為宗」や「拠理為宗」として表現された<ref>木村誠司[2013]「『倶舎論』にまつわる噂の真相」『駒沢大学仏教学部研究紀要』 (71), 242-224<ref/>。

このことから本論のの立場は古来より「理長為宗」や「拠理為宗」として表現された<ref>木村誠司[2013]「『倶舎論』にまつわる噂の真相」『駒沢大学仏教学部研究紀要』 (71), 242-224</ref>。

また、このように伝統的な教理解釈に異を称えることから、伝統的な教理を尊んだ[衆賢]]は『順正理論』によって『倶舎論』の解釈を批判した。

また、このように伝統的な教理解釈に異を称えることから、伝統的な教理を尊んだ[衆賢]]は『順正理論』によって『倶舎論』の解釈を批判した。

近年の研究では世親の「経量部」の立場の多くは『瑜伽論』にトレースできることが指摘されている<ref>袴谷憲昭[1986]「Purvacarya考」『印仏研』34(2), 859-866<ref/>。

近年の研究では世親の「経量部」の立場の多くは『瑜伽論』にトレースできることが指摘されている<ref>袴谷憲昭[1986]「Purvacarya考」『印仏研』34(2), 859-866</ref>。



== テキスト ==

== テキスト ==

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また、『本頌』『釈』共にウイグル語訳の断片が発見され、研究されている<ref>Masahiro Shōgaito[2014]The Uighur Abhidharmakośabhāṣya : preserved at the Museum of Ethnography in Stockholm.(Turcologica / herausgegeben von Lars Johanson, Bd. 99)

また、『本頌』『釈』共にウイグル語訳の断片が発見され、研究されている<ref>Masahiro Shōgaito[2014]The Uighur Abhidharmakośabhāṣya : preserved at the Museum of Ethnography in Stockholm.(Turcologica / herausgegeben von Lars Johanson, Bd. 99)

Harrassowitz, 2014 <ref/>。

Harrassowitz, 2014 </ref>。



== 構成 ==

== 構成 ==


2015年11月4日 (水) 15:42時点における版


: Abhidharma-kośa-bhāya︿


 (: Abhidharma-kośa-kārikā) 600 (: Abhidharma-kośa-bhāya)  (bhāya)   (abhidharma, )  "abhi+dharma" [1]kośa, 


[2] []] [3]


(Ngor Monastery)1934 19461967

11

1560651

5590, 4089, Chos mngon pa'i mdsod kyi tshig le'ur byas pa

1

1155822564

2155930651

5591, 4090, Chos mngon pa'i mdsod kyi bshad pa

[4]


598608

(一), dhātu-nirdeśa - 

(二), indriya-nirdeśa - 

(三), loka-nirdeśa - 

(四), karma-nirdeśa - 

(五), anuśaya-nirdeśa - 

(六), mārgapudgala-nirdeśa - 

(七), jñāna-nirdeśa - 

(八), samāpatti-nirdeśa - 

(九), pudgala-viniścaya, [ātmavāda-pratiedha]


文献

  • 桜部建『倶舎論の研究 界・根品』(法蔵館、1969年、新装版2011年)
  • 山口益舟橋一哉『倶舎論の原典解明 世間品』(法蔵館、1955年、新装版2012年)
  • 舟橋一哉『倶舎論の原典解明 業品』(法蔵館、1987年、新装版2011年)
  • 小谷信千代本庄良文『倶舎論の原典研究 随眠品』(大蔵出版、2007年)
  • 桜部建・小谷信千代『倶舎論の原典解明 賢聖品』(法藏館、1999年)
  • 桜部建・小谷信千代・本庄良文『倶舎論の原典研究 智品・定品』(大蔵出版、2004年)
  • Louis de La Vallé Poussin(1971). L'Abhidharmakośa de Vasubandhu, Institut belge des hates études chinoises, Bruxelles, 1971
  • Lodrö Sangpo (2012). Abhidharmakosa-Bhasya of Vasubandhu: The Treasury of the Abhidharma and Its Commentary (4 vols). Motilal Banarsidass Publishers (Pvt. Limited). ISBN 978-8120836075.

論文

関連項目

外部リンク

  1. ^ 桜部建『倶舎論の研究 界・根品』(法蔵館、1969年
  2. ^ 木村誠司[2013]「『倶舎論』にまつわる噂の真相」『駒沢大学仏教学部研究紀要』 (71), 242-224
  3. ^ 袴谷憲昭[1986]「Purvacarya考」『印仏研』34(2), 859-866
  4. ^ Masahiro Shōgaito[2014]The Uighur Abhidharmakośabhāṣya : preserved at the Museum of Ethnography in Stockholm.(Turcologica / herausgegeben von Lars Johanson, Bd. 99) Harrassowitz, 2014