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日本語の方言のアクセント

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
N型アクセントから転送)
日本語の方言のアクセント概観
  京阪式およびその亜種
  東京式
  N型
  無型
  京阪-東京 中間型
  東京-無 中間型



西西2[1][2]


[]


[3]

[3]1211調調[3]使調調調

調

2

[]


[4]21551355

各種のアクセント[編集]

日本語のアクセント分布

東京式アクセント[編集]


西西西[5][6][7]西212345
東京式アクセント
  語例 内輪 中輪 外輪
1拍名詞 第1類 蚊・子・血
第2類 名・葉・日
第3類 木・手・目
2拍名詞 第1類 牛・風・鳥 ○○
第2類 石・音・紙 ○○
第3類 足・犬・山
第4類 糸・笠・空
第5類 雨・猿・春
2拍動詞 第1類 行く・着る ○○
第2類 有る・見る

調123[8]2[8]

沿2[9][10][11][12]2452aeoiu212345[13][14]

242[iu]52[15]45[16]

212453123[17][18]

京阪式および類似の諸アクセント[編集]

京阪式[編集]


HL2HHL/L[3]L1L[19][20]2[20][21]25L2245
京阪式アクセント
  語例 アクセント型
1拍名詞
[注 1]
第1類 蚊・子・血 H○
第2類 名・葉・日 H
第3類 木・手・目 L○
2拍名詞 第1類 牛・風・鳥 H○○
第2類 石・音・紙 H
第3類 足・犬・山 H
第4類 糸・笠・空 L○○
第5類 雨・猿・春 L○
2拍動詞 第1類 行く・着る H○○
第2類 有る・見る L○○

1[22]

[]


212345[23]231414調[23]4()1[24]

[]


212345[25]2[26][26]

垂井式[編集]


[27]

C25142314235

514235B[28][29]B23522[30][31]

BC212345[28][29]A41

讃岐式[編集]


西[32]231西[3] ! & 213!2!4&5&232121324調2調[6]5[33][34]

21322a, e, o2[34]224135[35][36][37]12345[38][36]

[]


2154223[5][5]

[]


2512345[5]H !L1H2H3!4L5L[6]

[]


 !()[6]調23212[39]21!23455[40][6]3H!HHLL[39][5]

21232iu2aeo[41]12322123[42][40]23[5][42]455[40][41]

2123455[29][43]西12345[44]

[]


西21523414523[28][5]

[29]145233HLLHH[5]

[]


212345[23][23]

1231454545452[22]

212345[23]

各方言の比較表[編集]

2拍名詞のアクセント
語例 京阪式 垂井式
C型
垂井式
B型
垂井式
A型
伊吹島
[注 2]
西讃岐 粟島
川之江
など
徳島県
出合
石川県
白峰
福井県
今庄
佐渡両端 佐渡中央
今須
八幡浜
三重県
長島式
三重県
古江
岡山県
寒河
内輪
中輪
東京式
第1類 牛・風 H○○ ○○ ○○ ○○ H○○ !○○ !○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○
第2類 石・音 H H !
第3類 足・山 H !○○ !○○
第4類 糸・空 L○○ ○○ ○○ L○○ &○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○ ○○
第5類 雨・猿 L○ L○ &○ ○○ ○○ ○○

上がり目を弁別するアクセント[編集]



[]


11113[45]


[]


[45][46][47]調23[45]

23212調調調[48]

N[]


NN3[49]

九州西南部式[編集]


西2西[50]AB112A3B212A345B調[49]A2132B[51][52]鹿A1B[52][53]鹿AB[49][5]

隠岐のアクセント[編集]


西3/[54]32[5]西[49]
隠岐のアクセント
2拍名詞 語例 知夫 別府 五箇
第1類 風・口 低高/中低-高 低高/低高-低 低高/中低-高
第2類・第3類 音・山 高低/高高-低 高低/高高-低 高低/低高-低
第4類・第5類 空・雨 低高/中低-高 低高/低高-高 中低/中低-低

福井嶺北[編集]


[55][56][57]214523[5]1452322[13][57]調調[13][55]調姿[13]

調沿3[57]沿4[44][58][59]調212345[58][59][44]

一型アクセント[編集]


鹿[21][21]

[]


[60]

 []


[61][5]



245調12調[62]

無アクセント[編集]


[21]

[]


N[63]

23452A12B345C3453[64]ABCABCABCACB[65][64]
金武方言の2拍名詞のアクセント(音が上がる位置を[で表す)[66]
系列 語形
A系列 第1類 kaʒi
第2類 ʔutu
B系列 第3類 jaːma[ː
第4類 ʔiːta[ː
第5類 ʔaːmi[ː
C系列 第3類 haː[ma
第4類 naː[ka
第5類 saː[ru

アクセントの類型[編集]

方言アクセントの種類[67]





弁別特徴
(アクセント
核・声調)
下位分類
(名称)
型の区別 型の数 地域 人口比












核あり・
声調なし
昇り核
アクセント
昇り核の
位置
n拍につき
n+1
東北北部 5%前後
下げ核
アクセント
下げ核の
位置
東北北部を除
く「東京式アク
セント」地域
60%以上
核あり・
声調あり
下げ核+声調
アクセント
下げ核の
位置と、
開始の音調
1拍語は3種、
2拍語は4種、
3拍語以上は
n拍につき
2n-1
「京阪式アク
セント」地域
20%強
N





核なし・
声調あり
2型アクセント 全体の
ピッチパ
ターン
2 九州西南部、
琉球
5%前後
3型アクセント 3 島根県隠岐、
琉球
1型アクセント 1 宮崎県都城
市・小林市、
鹿児島県志布
志市・曽於市
10%強












不定 無型アクセント なし 不定 東北南部・関
東北部、九州
中部



2334nn+1[3]

西23[68]N[3]

N調調調調[53]調調鹿2A1B2調[ 3]調2調

[]


212

3(2)2-23-3()[69]-33-3[69]5()()[70]2-2-3()[ 4][70]3-3[69]

/[69]2使[71]3-3()(-3)()(-3)1(-3)()(-3)[72][69]3[69]2-3-2()[72]

-2HL-2++++[69]

53-2[73])(2)(4)2-3[74]

西鹿AABB[69]西[69][70]

()()3-32-2()())[70]

3[69]

歴史[編集]

京都アクセントの変遷[編集]

京都アクセントの変遷[75]
  語例 名義抄式
(平安後期)
補忘記式
(室町)
現代
1拍
名詞
第1類 子・蚊 高(高)〜高高(高)
第2類 名・日 降(低)〜高低(低)※
第3類 木・手 低(高)〜低低(高)
2拍
名詞
第1類 風・鳥 高高(高)
第2類 石・音 高低(低)※
第3類 犬・山 低低(高) 高低(低)
第4類 糸・空 低高(高) 低低(高)
第5類 猿・雨 低降(低)※
3拍
名詞
第1類 形・魚 高高高(高)
第2類 小豆・女 高高低(低)※ 高低低(低)
第3類 力・二十歳 高低低(低)※
第4類 頭・男 低低低(高) 高高低(低) 高低低(低)
第5類 朝日・命 低低高(高) 高低低(低)
第6類 雀・兎 低高高(高) 低低低(高)
第7類 薬・兜 低高低(低)※
2拍
動詞
第1類 行く・着る 高高
第2類 有る・見る 低高
3拍
動詞
第1類 上がる・明ける 高高高
第2類 動く・起きる 低低高 高低低 高高高
低低高[注 5]
3拍
形容詞
第1類 赤い・暗い 高高降 高高低 高低低
第2類 白い・高い 低低降 高低低

[ 6]調調調調[76][77]()()[78][79]

南北朝時代の変化では、以下の通り、語頭に「低」が2拍以上続く語に変化が起こり、最後の「低」だけを残してそれより前の「低」が「高」に変化した。[80]

名義抄式から補忘記式への変化
  • 低低→高低(2拍名詞第3類)
  • 低低低→高高低(3拍名詞第4類)
  • 低低高→高低低(3拍名詞第5類、2拍名詞第3類+1拍助詞、3拍動詞第2類)
  • 低低降→高低低(3拍形容詞第2類)

この変化により補忘記式では1拍目が低ければ2拍目は必ず高くなったが、その後の変化で上がり目が後退し、現代京都では低い拍が連続するようになっている。

方言の比較による祖アクセントの推定[編集]

現代方言の比較からその共通祖先(祖語)に想定されているアクセントの区別を類と言う。琉球語を除く、現代方言の比較から再建される類は、大部分において名義抄式アクセントに見られるアクセントの区別と一致すると考えられている。京都では南北朝期の変化によって類が統合した。類の統合を・で、区別を/で表示すると、2拍名詞では第1/2・3/4/5類という区別をするようになり、3拍名詞では第1/2・4/5/6/7類という区別体系になった(3拍名詞第3類は所属語が少なく規則的に対応しないため比較に用いられない)。例えば2拍名詞では「低低」だった第3類が「高低」になって第2類と統合した。アクセントの変化においては、一度統合してしまった類は、その区別を再び獲得することはできない。「音・月・犬・石・足・紙 」などの語彙が同じアクセントになってしまったら、このうち「石・音・紙」が「高低」で「月・犬・足」が「低低」だったという区別を復元するのは不可能である。ところが、外輪東京式アクセントでは、2拍名詞は第1・2/3/4・5類という類の区別をしており、3拍名詞では第1・2/4/5/6・7類(大分の場合)となっている。外輪東京式では、京阪式では失われた2拍名詞第2・3類や3拍名詞第2・4類の区別があり、しかも外輪東京式は東北地方や大分県など日本の離れた地域に散在している。また、讃岐式アクセントでは、2拍名詞は第1・3/2/4/5類という区別体系である。こうした事実から、比較言語学の手法を用いることにより、全ての類を区別するアクセントを祖アクセントとして想定し、これが各地で別々の変化・類の統合を起こして現代方言のアクセントができたと考えることができる。

祖語に想定される類がそれぞれどういったアクセントの型を持っていたか、また、それがどう変化して現代方言の多様な方言アクセントが成立したかを巡っては、様々な説が出されているが、広く受け入れられているものはまだない。

金田一春彦の説[編集]

京阪式[注 7]から中輪東京式への変化(金田一説)
  語例 京阪式 →中間形 →東京式
1拍
名詞
第1類 子・蚊 こが
第2類 名・日
第3類 手・木 てが
2拍
名詞
第1類 風・鳥 かぜが ぜが
第2・3類 石・山 しが
第4類 糸・空 いと いとが とが
第5類 猿・雨 さる るが
3拍
名詞
第1類 形・魚 かたちが たちが
第2・4類 小豆・頭 あずきが ずき
第3・5類 力・命 からが らが
第7類 兜・便り とが かぶ ぶとが
2拍
動詞
第1類 行く・着る いく
第2類 有る・見る ある
3拍
動詞
第1類 上がる・明ける あがる がる
第2類 動く・起きる ごく
3拍
形容詞
第1類 赤い・暗い あか かい
第2類 白い・高い ろい
3拍一段動詞第2類+て 起きて・掛けて おき きて
3拍形容詞第2類連用形 白く・高く しろ ろく

[26][81]

(一)1退

(二)

36[5]

退122退[5]212345退

233435231[5]

[]


[82]

使21H西A3H西B[82]


祖語に「下降式」やアクセント核を再建する説[編集]

(本土)日本祖語のアクセント(上野説)[6]
1拍名詞 2拍名詞 3拍名詞
語例 語例 語例
1 !○(高) 1a !○○(高中) 1a !○○○(高高中)
2 !(降) 1b !○(高降) 1b !○○(高高降)
3 _○(低) 2 !○(高低) 2 小豆 !○○(高中低)
4 _(昇) 3 _○○(低低) 3 !○○(高低低)
5 _(昇降) 4 _○(低高) 4 _○○○(低低低)
  5 _○(低降) 5a _○○(低低高)
6 胡麻 _○(昇高) 5b 朝日 _○○(低低降)
7 _○(昇低) 6 _○○(低高高)
  7a _○○(低高低)
7b _○(低高降)
8 翡翠 _○○(昇高高)
9 _○○(昇低低)

2131西調[6]31西西西ABAB[83][49]21調35[6]

37[84]35!52[6]!_()[6]

[85]2452[5][85]

23457調調6調245-45L522調[77]

[]


BC2C1C[86]BC調245BC[7]

[]


()[87][88][89]

S.調調212345[90][91]

3[84]

[92][26][92]

[93] 

脚注[編集]

注釈[編集]



(一)^ 12

(二)^ 

(三)^ 鹿

(四)^ -3

(五)^ 

(六)^ 17

(七)^ 

出典[編集]



(一)^ 1103-104

(二)^ 2180

(三)^ abcdefg1989

(四)^ 11131-132

(五)^ abcdefghijklmnop1977

(六)^ abcdefghij(2006)

(七)^ ab(2017)

(八)^ ab(1997)70

(九)^  11150-151

(十)^ 19824 164-167281

(11)^ 1997612-14

(12)^ 20051517-20

(13)^ abcd((2003))

(14)^ (1983)971

(15)^ 調 () 187192015doi:10.14989/doctor.k18719NAID 500000943435 

(16)^ (2021):2453:

(17)^  1997181

(18)^ 1993

(19)^ (2002), p. 55.

(20)^ ab200213-15

(21)^ abcd(1986)

(22)^ ab2005沿

(23)^ abcde((2003))

(24)^ 230

(25)^ (2003)

(26)^ abcd2005西

(27)^ (2002)54

(28)^ abc((2003))

(29)^ abcd1951

(30)^ 19836322-323

(31)^  11160

(32)^ (2002)53

(33)^  11154-155160-162

(34)^ ab(2005)

(35)^  11155-156

(36)^ ab((2003), p. 167)

(37)^ (2005)

(38)^ 81982334-340

(39)^ ab (1985)

(40)^ abc198521996122

(41)^ ab19836346-348

(42)^ ab1982 1996122

(43)^  11149-150

(44)^ abc西沿38TULIP20179101-122doi:10.15083/00074112ISSN 13458663NAID 120006377758 

(45)^ abc1977

(46)^ 10200264

(47)^ 22021

(48)^ 200354-4

(49)^ abcde(2012)

(50)^ 42199812

(51)^ 42199813-14

(52)^ ab(2005) 

(53)^ ab((2010))

(54)^ 2005

(55)^ ab(1983)23

(56)^ (1997)86

(57)^ abc35TULIP20149141-154doi:10.15083/00027471ISSN 13458663NAID 120005525792 

(58)^ ab(2012) 2012161 p.63-79, doi:10.24467/onseikenkyu.16.1_63, 

(59)^ ab(2016) 2016203 p.81-94, doi:10.24467/onseikenkyu.20.3_81, 

(60)^  - 

(61)^ 19845176

(62)^ 197711 p151

(63)^ , , , , (2012)(<>N) 2012161 p.134-148, doi:10.24467/onseikenkyu.16.1_134

(64)^ ab2012)

(65)^ (2000)

(66)^ (2009)

(67)^ 2017 p68

(68)^ 19591997192

(69)^ abcdefghij(1997)

(70)^ abcd(2016)

(71)^ (2002)27

(72)^ ab(2002)24-25

(73)^ (1958)33

(74)^ (2009){2+3}54

(75)^ 200991345152-153

(76)^ (1974)199-201214-215

(77)^ ab(1977)

(78)^ 

(79)^ 5148-152

(80)^ 5155

(81)^ 2007

(82)^ ab1972

(83)^ 20082010

(84)^ ab(1951)

(85)^ ab2008

(86)^ (1979)

(87)^ ((2018), p. 351)

(88)^ (2017), p.9

(89)^ (2023) 調4

(90)^ Samuel Robert Ramsey (1979). The Old Kyoto Dialect, The Historical Development of Japanese Accent. Harvard Journal of Asiatic Studies (Harvard-Yenching Institute) 39 (1): 157-175. doi:10.2307/2718816. http://www.jstor.org/stable/2718816. 

(91)^ S. Robert Ramsey (1982). Language Change in Japan and the Odyssey of a Teisetsu. Journal of Japanese Studies (The Society for Japanese Studies) 8 (1): 97-131. doi:10.2307/132278. ISSN 00956848. http://www.jstor.org/stable/132278. 

(92)^ ab((2003))

(93)^ 107201031doi:10.15017/16874ISSN 03872823NAID 120002036035 

[]


(1986)1

(1951)1311996

(1977)5

(1989)2

, , , ︿21997ISBN 4385355347 NCID BA31434097:98011782https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002598622-00 

13020061-42doi:10.11435/gengo.130.0_1ISSN 0024-3914NAID 130008088355 

N(<>N)161201244-62doi:10.24467/onseikenkyu.16.1_44ISSN 1342-8675NAID 110009479338 

(1972) 2

20075143-163

(2003)
4 

5 

14 

15 

; (2002). . .  

(2008)1

22010723-35doi:10.15084/00000557ISSN 2185-0100NAID 110009576184 

(1977) 11

(2005)(1995)


西

沿







(2005)
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 : 16201731-34ISSN 2186-1439NAID 120006226390 

(2002) ISBN 978-4-585-08009-1

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(1951)43-65

(1979)21-22 ; () (2018). . . ISBN 9784000612685 

(1977)5

:32015112000693-108,158ISSN 04913337NAID 110002533578 

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調161201230-40doi:10.24467/onseikenkyu.16.1_30ISSN 1342-8675NAID 110009479336 

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[]


 - 調

   

   - 200517

 - U-biq

 -