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古式を守るアルメニアの降誕祭[編集]
教会暦における日付・期間[編集]
教会暦におけるクリスマスの日付。黄色が12月24日、緑色が12月25日を表す。常用時とは異なり、教会暦の日界は日没であるため、24日︵常用時︶の日没から25日︵常用時︶の日没までが12月25日、即ちクリスマスである
西方教会[編集]
各国において[編集]
欧米諸国全般[編集]
イギリス[編集]
ドイツ語圏・ベネルクス[編集]
ナチス・ドイツ時代[編集]
ナチス・ドイツにおけるクリスマスは、ナチ党のイデオロギーと整合させるための努力の賜物であった。ユダヤの出自を持つ、ユダヤ人の救世主イエスの誕生を記念する行事であるクリスマスは、ナチスの人種主義と折り合いをつけるのが困難な催しであった。そのため、1933年から1945年まで政府当局は民間行事としてのクリスマスからそうした宗教的側面を排除し、キリスト教の出現以前から催されてきたゲルマン人伝統の祝祭︵ユール︶であることを強調しようとした。その流れの中で賛美歌の歌詞やクリスマスの飾り付けは世俗化されたが、教会や家庭における祝われ方は本来のキリスト教的な様式のままであった。
イタリア[編集]
イタリアのほとんどの地域では、プレゼントを持って来るのは魔女のベファーナとされる。
スカンディナヴィア諸国を中心とする北欧のクリスマスは「ユール」と呼ばれ、12月13日の聖ルチア祭から始まる。古代ゲルマン人の冬至祭の影響を色濃く残しており、ユール・ゴート(ユールブック)と呼ばれる、ワラで作ったヤギを飾ること、妖精がプレゼントを持って来てくれることなど、独自の習慣が見られる。また、クリスマスの時期は真冬であるため、小鳥たちがついばめるように、ユールネックという麦の穂束を立てる習慣もある[75]。
ポーランド[編集]
ポーランドのクリスマスはキリスト教世界の多くの国と同じく、もっとも大きな年間行事の一つである。クリスマスの儀式は古代から何世紀にもかけ徐々に発展してきた。カトリック教会によるポーランドのキリスト教化が行われる中で、一部の非キリスト教の古い宗教的な習慣が結びつき、その後、地域の伝承や様々な民俗文化と相互に影響を与えながら広まった。クリスマス・イヴの日には装飾され光るクリスマスツリーが居間に飾られ、また大抵は教会の外や公共スペースにおかれる[76]。ポーランドにおいて、クリスマスは「Boże Narodzenie」(ボジェ・ナロゼニェ、神の誕生)と呼ばれる[77]。
ロシア[編集]
ルーマニア[編集]
アメリカ合衆国[編集]
ハワイ[編集]
ハワイのクリスマスは、西欧諸国と同様、毎年行われる重要な祝祭の一つである。
ハワイにおける祝祭としてのクリスマスは、この地を訪れたプロテスタントの宣教師が紹介したもので、1820年以降に始まったと考えられている[82][83]。その伝統的な要素のほとんどは宣教師が持ち込んだものである[84][85]。ハワイの住人が今日のような形でクリスマスを祝う以前には、マカヒキという祭りがあった。このマカヒキが催される4カ月の間、すべての争いは禁じられていた。当時からすでに﹁あらゆる人へ平穏と善意があるように﹂という祝祭としてのクリスマスのエッセンスがあったといえる[82]。
メキシコ[編集]
インドネシア[編集]
風習と由来[編集]
クリスマスツリー[編集]
サンタクロース[編集]
イギリスやアメリカなどのクリスマスではサンタクロースが強調されるが、この原型はオランダの民間伝承の「シンタクラース」、またさらに遡ると古代アナトリアに実在した聖人・ミラのニコラオスだと考えられている。
法定祝日[編集]
日本において[編集]
戦国時代から江戸時代[編集]
1552年︵天文21年︶に周防国山口︵現在の山口県山口市︶において、カトリック教会︵イエズス会︶の宣教師・修道司祭であるコスメ・デ・トーレスらが、日本人信徒︵キリシタン︶を招いて降誕祭のミサを行ったのが、日本で初めてのクリスマスである[注 20]。しかし、その後江戸幕府の禁教令によってキリスト教が禁止されたので、明治の初めまでの200年以上の間、隠れキリシタン以外には受け入れられることはなかった。
一部の例外として、長崎出島のオランダ商館に出入りするオランダ人たちは、キリスト教を禁止する江戸幕府に配慮しつつ、自分たちがクリスマスを祝うため、オランダの冬至の祭りという方便で﹁オランダ正月﹂を開催していた。これには幕府の役人や、蘭学者などオランダ人と付き合いのある日本人も招かれた。また、長崎に住むオランダ通の日本人たちの間でも、これを真似て祝うことがあった。オランダ商館の者たちは江戸に出仕することもあったが、彼らを迎え入れる江戸の役人たちは、オランダ正月を参考に、オランダの料理や文物などを用意して、オランダ人たちをもてなしたと伝わる。
明治時代から大正時代[編集]
﹃子供之友﹄1914年12月号挿絵
日本でクリスマスが受け入れられたのは、1900年︵明治33年︶に明治屋が銀座に進出し、その頃からクリスマス商戦が始まったことが大きな契機であった。
大正時代になると、児童向け雑誌や少女雑誌の12月号には、表紙をはじめとしてクリスマスにまつわる話や挿絵がたくさん導入された。1925年︵大正14年︶に日本で初めてクリスマスシール︵結核撲滅の寄附金付切手︶が発行される。1922年︵大正11年︶発行の﹃言泉‥日本大辞典﹄には、﹁耶蘇降誕祭﹂という漢字表記が見られる[93]。
昭和︵戦前︶[編集]
明治以来、皇位継承に伴って日が変更される休日には天長節︵天皇誕生日︶と先帝祭︵先帝崩御日︶の2つがあった。1926年︵大正15年︶12月25日の大正天皇崩御に伴い、1927年︵昭和2年︶3月4日に当時の休日法﹁休日ニ関スル件﹂が改正され、昭和時代の先帝祭にあたる大正天皇祭︵12月25日︶が設定された。日本でクリスマスの習慣が広く普及したのは12月25日が休日となっていたこの時代からとされている。1928年︵昭和3年︶の朝日新聞には﹁クリスマスは今や日本の年中行事となり、サンタクロースは立派に日本の子供のものに﹂と書かれるまでに普及していた[94]。
昭和初期の頃、銀座、渋谷道玄坂から浅草にいたるまでの多くのカフェや喫茶店においては、クリスマス料理の献立を用意し、その店員はクリスマスの仮装をして客を迎えた。この様子を1931年︵昭和6年︶12月12日の都新聞は、﹁七千四百余のカフェと二千五百余の喫茶店に華やかにクリスマスが訪れサンタ爺さん大多忙を来たす﹂と報じた。
第二次世界大戦の最中、1944年に撮影された﹃加藤隼戦闘隊﹄では、前線部隊の食堂でクリスマスツリーが飾られているシーンが映っている。
昭和︵戦後︶から令和時代[編集]
東京・丸の内ビルディング︵2006年︶
京都タワー (2022年)
東京・新橋のケンタッキーフライドチキンでクリスマス・メニューを購入する客の列 (2010年)
1948年︵昭和23年︶7月20日に﹁国民の祝日に関する法律﹂が施行され、大正天皇祭は休日から外されたが[注 21]、以降もクリスマスは年中行事として定着し、行事も盛大に行われるようになった。また、12月23日生まれである明仁が皇位にあった平成年間には、クリスマス・イヴが天皇誕生日の振替休日となる年もあった︵1990年・2001年・2007年・2012年・2018年︶。
ショッピングセンターでは、早いところは11月上旬からクリスマスツリーが飾られ、クリスマスセールが行われる。店内にはクリスマスソングが流れ、洋菓子店ではクリスマスケーキが販売される。街中ではイルミネーションとして街路樹に豆電球︵2000年代後半~2010年代以降は主にLED︶が飾り付けられる。庭のある家庭では、庭木や家屋に電飾を施すこともある。商業施設などの場合、12月24日のクリスマス・イヴに、イベントを開くことがある。
日本では12月26日になると、クリスマスの飾りが一転して門松などの正月飾りに付け替えられたり、小売店などでも正月準備用や大掃除用商品の陳列・販売が中心となる、神社仏閣への初詣の宣伝が流れる、BGMも﹃お正月﹄が流れるのが特徴である。これは﹁クリスマス﹂を神聖な宗教行事としてではなく、商業行事としてみなすために起こる状況である[注 22]。1月1日の﹁カウントダウンイベント﹂が盛んになる12月31日深夜まで、イルミネーションがそのままにされている場合もある。
日本でもクリスマスは大きなイベントとして定着したが、やはり本場のキリスト教圏と比べるとその規模は小さいという指摘もある。2014年に旅行サイトのスカイスキャナーが発表した﹁宗教的あるいは個人的、思想的な理由などでクリスマスを祝う習慣がなく、クリスマスの大騒ぎを避けたいと思っている﹂人に勧める﹁クリスマスを避けるために行く国トップ10﹂のランキングでは、イスラム国家のサウジアラビア、アルジェリア、イランや、上座部仏教国のタイ、社会主義国家の中国や北朝鮮などを押さえ、日本が1位となっている[95]。﹁サンタをたまに見かけるかもしれないが、日本はクリスマスが祝日でなく、12月25日も人々は普段通り仕事をする﹂ためである[95]。
フライドチキンでクリスマスを祝う風潮は日本ケンタッキー・フライド・チキンによるマーケティングで定着した日本独自のものであり、海外では﹁キリストの降誕祭を安価なファーストフードで祝うのは如何なものか﹂という見方が主流である[96][97]。
個々の場合[編集]
日本のキリスト教教会︵日本基督教団甲南教会︶のクリスマス讃美礼拝、2010年
キリスト教の教会は多くの場合、キリスト教徒・またその教派の信徒であるか否かを問わず門戸を開いており、信徒でない人もクリスマスの礼拝に出席することが可能である。日本各地の、正教会の晩祷・聖体礼儀や、カトリック教会のミサ、聖公会の前夕礼拝・降誕日聖餐式に、信徒でなくても参祷することができる[注 23]。またプロテスタントの諸教会でも、非信徒の参祷を歓迎しているところが多い︵各教会堂の掲示板に﹁クリスチャンでない方もお気軽にどうぞ﹂と掲示が出る︶[注 24]。
神社仏閣[編集]
神社仏閣でも﹁クリスマス御朱印﹂などの企画が開催されることがある[98]。マリア観音を祀る岐阜県の専養寺はクリスマスを祝っている[99]。
日本のクリスマスケーキ
日本人男女を対象とした2006年︵平成18年︶の統計調査によると、クリスマスは誰と過ごすか、との質問に対し﹁家族﹂との答えが約6割と圧倒的多数を占め、またクリスマスの過ごし方は﹁家でのんびりする﹂が群を抜いて1位︵66%︶となるなど、日本人がクリスマスを家庭で過ごす傾向が明らかになった[100]。また子供たちにとってはサンタクロースがプレゼントを持って来てくれる嬉しい日である。
独身者[編集]
家族と過ごす人、恋人と過ごす人、友人と過ごす人、家で独りで過ごす人など、クリスマスの過ごし方は様々である[101]。
しかし、1930年代から、パートナーのいる人にとっては着飾ってパートナーと一緒に過ごしたり、プレゼントを贈ったりする日となっている。1931年︵昭和6年︶には、パートナーのいない"不幸な青年たち︹ママ︺"独身者には方々のレストランが﹁一円均一﹂のクリスマスディナーを売り出すなどして歓迎した、とも報じられた[102]︵現在の相場に換算すると約3,000円。例えば、朝日新聞朝刊購読料が昭和6年で約1円の時代︶。
2005年︵平成17年︶11月に行われた1都3県の20~39歳の独身男女計474名のインターネット利用者を対象とした調査では調査対象者の約7割が﹁クリスマスは恋人と過ごしたい﹂と考えていると回答した[101]。
2006年︵平成18年︶、インターネットリサーチ会社、DIMSDRIVE﹃クリスマスの過ごし方﹄に関するアンケートでは、30歳代女性の43.5%が﹁自宅でパーティーなどをする﹂と回答している[103]。
これらの風潮について批判もあり、イタリアの﹁ベネルディ﹂誌は2010年12月24日、﹃クリスマスの東京 愛を祝う﹄と題した記事で、“人口の僅かしかキリスト教徒が居ないのに、多くの人がプレゼントを交換しあうほか、男女の愛の祭りとなっている”と評した[104][注 25]。多くの日本人は、宗教行事としてイベントを行ってはいない。
教育機関[編集]
クリスマスを題材にしたアメリカ映画は非常に多く、主に『素晴らしき哉、人生!』『ホームアローン』『ホームアローン2』『ジングル・オール・ザ・ウェイ』等が挙げられる。
- ケーキ
- 菓子類
- 飲みもの
- ごちそう
2000年を特に顕著とし、
米ドルのマネーサプライはクリスマスの買い物シーズンに合わせて毎年増加している。
狂騒に対する批判[編集]
宗教的中立とそれに対する批判[編集]
アメリカ合衆国をはじめとする欧米諸国のリベラル派は、1990年代後半頃以降、宗教的中立性と政教分離の観点から、クリスマスを祝わない立場の人に配慮して[注 27]、公共の空間に飾られたクリスマスツリーを「ホリデーツリー」、「メリー・クリスマス」(Merry Christmas)という挨拶の代わりに「ハッピー・ホリデーズ」(Happy Holidays:「楽しい休日・祝日を」)などと言い換える運動を推進してきたが、保守派・キリスト教右派団体からは批判を受けている。
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(14)^ Corinna Laughlin, Michael R. Prendergast, Robert C. Rabe, Corinna Laughlin, Jill Maria Murdy, Therese Brown, Mary Patricia Storms, Ann E. Degenhard, Jill Maria Murdy, Ann E. Degenhard, Therese Brown, Robert C. Rabe, Mary Patricia Storms, Michael R. Prendergast, Sourcebook for Sundays, Seasons, and Weekdays 2011: The Almanac for Pastoral Liturgy Archived April 7, 2015, at the Wayback Machine., LiturgyTrainingPublications, 2010, p. 29.
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(20)^ The School Journal, Volume 49. Harvard University. (1894). https://books.google.com/books?id=x_kBAAAAYAAJ&q=date+of+christmas+unimportant&pg=PA469 2009年4月2日閲覧. "Throughout the Christian world the 25th of December is celebrated as the birthday of Jesus Christ. There was a time when the churches were not united regarding the date of the joyous event. Many Christians kept their Christmas in April, others in May, and still others at the close of September, till finally December 25 was agreed upon as the most appropriate date. The choice of that day was, of course, wholly arbitrary, for neither the exact date not the period of the year at which the birth of Christ occurred is known. For purposes of commemoration, however, it is unimportant whether the celebration shall fall or not at the precise anniversary of the joyous event."
(21)^ West's Federal Supplement. West Publishing Company. (1990). "While the Washington and King birthdays are exclusively secular holidays, Christmas has both secular and religious aspects."
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外部リンク[編集]