熊野川
熊野川 | |
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中流 | |
水系 | 一級水系 新宮川(熊野川) |
種別 | 一級河川 |
延長 | 183 km |
平均流量 |
119.2 m³/s (相賀観測所 2002年) |
流域面積 | 2,360 km² |
水源 | 山上ヶ岳 |
水源の標高 | 1,719 m |
河口・合流先 | 熊野灘(和歌山県・三重県) |
流域 | |
熊野川︵くまのがわ︶は、奈良県、和歌山県および三重県を流れる新宮川水系の本流で一級河川。下流の熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域は、﹁紀伊山地の霊場と参詣道﹂の一部として世界遺産に登録されている。
なお、1970年に一級河川の指定を受けた当初は新宮川︵しんぐうがわ︶であったが、地元では熊野川の呼称が定着しており、変更の要望が多かったため1998年4月9日に法定名称が熊野川と変更された。水系名は新宮川水系のままである。
名前[編集]
熊野川の名前は下流域の﹁熊野﹂という地名から来た。江戸時代の﹃熊野参詣記﹄によると﹁岩田川、畿田川、音無川の三流落合を巴ケ淵と云う、夫より下を熊野川という九里八丁也﹂とし、本宮より下流を﹁熊野川﹂と言うことが分かる[1]。 天川村、五條市内では天ノ川︵てんのかわ︶と呼ばれ、﹁高天原﹂に由来すると言われる[2]。 十津川村内では十津川︵とつかわ︶と呼ばれ、都や津︵港︶から遠い川、つまり﹁遠つ川﹂という意味である[3][4]。 河口付近の新宮川は和歌山県側の熊野速玉大社のある﹁新宮﹂という地名に由来する。一方、三重県側の旧鵜殿村付近では明治初期から昭和前期頃まで音無川と呼ばれる[1]。地理[編集]
奈良県吉野郡天川村の大峰山脈山上ヶ岳、大普賢岳、弥山・八経ヶ岳の辺りに源を発する。天川村から西へ向かい五條市大塔町で90度向きを変え南へ、十津川村などを南流し、和歌山県に入る。大台ケ原を源流とする北山川を併せ、しばらく三重県との県境に沿って流れ、紀宝町・新宮市で熊野灘に注ぐ。 本流で十津川村を縦断する﹁十津川水系﹂の他に北山村、下北山村、上北山村を流れる﹁北山川水系﹂があり、和歌山県新宮市熊野川町宮井で合流する。厳密には北山川は熊野川の支流であるが、北山川の流路延長もかなり長いのでこれを本流とする見方もある。北山川には、瀞峡・瀞八丁︵国の特別名勝︶と呼ばれる大峡谷が形成されている。 奈良県内では流域の大部分で急峻な所を流れるため、川全体としてダムが多い。和歌山県内に入るととたんに川幅が広くなり、流れも穏やかになる。水の色は普通の川のように緑色ではなく青色で独特の色をしている。水に石灰が混ざって水色になっている。河川施設[編集]
前述の通り急峻なため、ダムが多い。参考画像[編集]
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河口付近(左手三重県・右手和歌山県)
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北山川との合流地点
流域の自治体[編集]
歴史[編集]
流域は木材の生産が盛んであり、かつてはその木を筏に組んで流していた︵木材流送︶。1950年10月には53000石 (単位)が流送されている[5]。現在でも観光用としてではあるが筏下りが行われている。
国の史跡﹁熊野参詣道﹂の一つとして指定されている。川が史跡に指定されるのは珍しい。
2004年7月7日、﹁紀伊山地の霊場と参詣道﹂の﹁熊野参詣道中辺路﹂の一部として、熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域がユネスコの世界遺産に登録された。現在、世界遺産で唯一の﹁水上の参詣道﹂である。
治水[編集]
河口が砂州により以前より狭くなっており、完全に塞がってしまったこともあった。その後、三重県側の一部が開いたが、再び塞がった場合 新宮市内の市田川に水が逆流する恐れがある。国土交通省紀南河川事務局は、自然現象なので様子を見守っていきたいとしているが、周辺の漁協などからは魚の遡上に悪影響を及ぼすので開削して欲しいとの要望がある。脚注[編集]
(一)^ ab“県史Q&A - 62 熊野川の呼び名”. 三重県. 2019年9月7日閲覧。
(二)^ “Blue Signal 2017 vol.170 1月号”. JR西日本. 2019年9月7日閲覧。
(三)^ “十津川の﹁歴史﹂ | 村について | 十津川村”. www.vill.totsukawa.lg.jp. 2019年9月7日閲覧。
(四)^ “十津川村と十津川警部”. 日本実業出版社. 2019年9月7日閲覧。
(五)^ ﹁すごい木材景気 ひところの五倍出す﹂﹃日本経済新聞﹄昭和25年11月17日3面