「おにぎり」の版間の差分
Zanteikaigyou (会話 | 投稿記録) |
タグ: モバイル編集 モバイルアプリ編集 Androidアプリ編集 |
||
(9人の利用者による、間の16版が非表示) | |||
34行目: | 34行目: | ||
'''おにぎり'''または、'''おむすび'''、'''握り飯'''︵にぎりめし︶は、ご飯を三角、俵、円柱形などに成形し、海苔でつつんだ日本の食べ物。白米の中に梅干しや昆布、塩鮭など酸味、塩味のある具材を入れることが多い。
|
'''おにぎり'''または、'''おむすび'''、'''握り飯'''︵にぎりめし︶は、ご飯を三角、俵、円柱形などに成形し、海苔でつつんだ日本の食べ物。白米の中に梅干しや昆布、塩鮭など酸味、塩味のある具材を入れることが多い。
|
||
== 特徴 == |
|||
携行性に優れて |
携行性に優れていて、手づかみで食べられることから、[[日本]]で古くから今日に至るまで[[携行食]]や[[弁当]]として重宝されている。元々は残り飯の[[保存]]や携行食として発達したが、その後は[[常食]]としてのおにぎりが主流となり、現代では[[コンビニエンスストア]]や[[スーパーマーケット]]でも販売されている。携行する必要がない[[居酒屋]]や[[定食]]屋でも提供されるほど、日本の[[食文化]]に定着している。日本のコンビニエンスストアや[[外食]]・[[中食]]店の[[海外]]進出、日本滞在経験を持つ[[外国人]]の増加に伴い、世界各国でおにぎりが販売されるようになっている{{refnest|group="注"|一例として、アグリホールディングスが[[シンガポール]]や[[アメリカ合衆国]]で、おにぎり販売店﹁SAMURICE﹂を展開している{{Sfn|﹃日経SYSTEMS 2017年10月26日発売号﹄|2017|pp=68-69}}。}}。
|
||
== 歴史 == |
== 歴史 == |
||
65行目: | 66行目: | ||
現代型の握り飯︵おにぎり︶の直接の起源は、[[平安時代]]の﹁[[屯食]]﹂︵とんじき︶という食べ物と考えられている{{r|"吉海_20181023"}}。この頃の﹁屯食﹂は大型の楕円形︵1合半︶で、使われているのは蒸した[[もち米]]であった{{r|"吉海_20181023"}}。﹁屯食﹂が意味するものは時代によって異なり、[[江戸時代]]に入ると公家社会では現在の握り飯のことを﹁屯食﹂と呼ぶようになった{{r|"吉海_20181023"}}。
|
現代型の握り飯︵おにぎり︶の直接の起源は、[[平安時代]]の﹁[[屯食]]﹂︵とんじき︶という食べ物と考えられている{{r|"吉海_20181023"}}。この頃の﹁屯食﹂は大型の楕円形︵1合半︶で、使われているのは蒸した[[もち米]]であった{{r|"吉海_20181023"}}。﹁屯食﹂が意味するものは時代によって異なり、[[江戸時代]]に入ると公家社会では現在の握り飯のことを﹁屯食﹂と呼ぶようになった{{r|"吉海_20181023"}}。
|
||
=== 中世 |
=== 中世から近代 === |
||
{{Anchors|細見図会-藤沢_画像}}[[ファイル:Tōkaidō gojūsan tsugi saiken zu'e, Fujisawa by Hiroshige.jpg|thumb|[[歌川広重]]﹃東海道五十三次細見図会 藤沢﹄<ref>{{国立国会図書館デジタルコレクション|1309950|東海道五十三次細見図会 藤沢|format=EXTERNAL}} </ref><hr />未完の[[名所絵|名所]][[浮世絵]][[連作 (作品)|揃物]]﹃東海道五十三次細見図会﹄︵全10図︶のうちの1図。[[弘化]]2年-3年︵[[1845年|1845]]-[[1846年]]︶頃の刊行。[[版元|板元]]は[[村鉄]]。<br />画面中央に見える[[藤沢宿]]へ向かう[[東海道]]中、見晴らしのよい所にある草っ原で一休みする旅人達の風俗が描かれている。画面の下段中央で三角形を成している3人は[[四国遍路]]︵画には﹃順禮‥順礼 =[[巡礼]]﹄﹃[[金刀比羅宮|金毘羅]]参り﹄とある︶で、塩むすびと[[漬物]]を詰めたおにぎり[[弁当]]を開けて食べている。]]
|
{{Anchors|細見図会-藤沢_画像}}[[ファイル:Tōkaidō gojūsan tsugi saiken zu'e, Fujisawa by Hiroshige.jpg|thumb|[[歌川広重]]﹃東海道五十三次細見図会 藤沢﹄<ref>{{国立国会図書館デジタルコレクション|1309950|東海道五十三次細見図会 藤沢|format=EXTERNAL}} </ref><hr />未完の[[名所絵|名所]][[浮世絵]][[連作 (作品)|揃物]]﹃東海道五十三次細見図会﹄︵全10図︶のうちの1図。[[弘化]]2年-3年︵[[1845年|1845]]-[[1846年]]︶頃の刊行。[[版元|板元]]は[[村鉄]]。<br />画面中央に見える[[藤沢宿]]へ向かう[[東海道]]中、見晴らしのよい所にある草っ原で一休みする旅人達の風俗が描かれている。画面の下段中央で三角形を成している3人は[[四国遍路]]︵画には﹃順禮‥順礼 =[[巡礼]]﹄﹃[[金刀比羅宮|金毘羅]]参り﹄とある︶で、塩むすびと[[漬物]]を詰めたおにぎり[[弁当]]を開けて食べている。]]
|
||
[[鎌倉時代]]末期頃からは、[[米#粳米と糯米|うるち米]]が使われるようになった。当時の握り飯は飯をただ握り固めたものか焼き固めたもので、表面に[[海苔]]を貼り付ける形式が生まれたのは海苔の[[養殖業|養殖]]が普及し、加工された[[四角形|四角い]]板海苔が﹁[[アサクサノリ|浅草海苔]]﹂として広く販売されるようになった[[江戸時代]]後期の[[元禄]]年間以降と見られている。ただし[[幕末]]間近の[[嘉永]]6年︵[[1853年]]︶に編纂された﹃[[守貞謾稿]]﹄には、握り飯に海苔を巻くとは記載されておらず、一説でははるかに時代を下って[[1930年]]︵昭和5年︶に[[神戸]]沖で行われた[[観艦式]]の際の海苔景気がきっかけであったともいわれている{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|p=36}}。海苔は栄養もあり、表面に貼り付ければ食べる際に手に飯粒が付着しない。その便利さも相まって海苔は握り飯に欠かせない食材になったとしている。
|
[[鎌倉時代]]末期頃からは、[[米#粳米と糯米|うるち米]]が使われるようになった。当時の握り飯は飯をただ握り固めたものか焼き固めたもので、表面に[[海苔]]を貼り付ける形式が生まれたのは海苔の[[養殖業|養殖]]が普及し、加工された[[四角形|四角い]]板海苔が﹁[[アサクサノリ|浅草海苔]]﹂として広く販売されるようになった[[江戸時代]]後期の[[元禄]]年間以降と見られている。ただし[[幕末]]間近の[[嘉永]]6年︵[[1853年]]︶に編纂された﹃[[守貞謾稿]]﹄には、握り飯に海苔を巻くとは記載されておらず、一説でははるかに時代を下って[[1930年]]︵昭和5年︶に[[神戸]]沖で行われた[[観艦式]]の際の海苔景気がきっかけであったともいわれている{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|p=36}}。海苔は栄養もあり、表面に貼り付ければ食べる際に手に飯粒が付着しない。その便利さも相まって海苔は握り飯に欠かせない食材になったとしている。
|
||
⚫ |
横浜市都筑区の[[上の山遺跡]]にある墓から出土した、調理痕からおにぎりと考えられる炭化米塊の中から、3枚の[[銭貨|銭]]が発見された。2004年には[[磯子区]]の[[東漸寺 (横浜市磯子区)|東漸寺貝塚]]からも4枚の銭入りのおにぎりが発見され、2016年に報告された[[埼玉県]][[桶川市]]の大平遺跡の出土品の解析結果には[[永楽通宝]]の入ったおにぎりが含まれていた{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|pp=54-56}}{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|p=117}}<ref>{{Cite web |url=https://www.saimaibun.or.jp/about/kankou/houkokusyo/ |title=報告書︵近刊︶ |publisher=埼玉県埋蔵文化財調査事業団 |access-date=2023-10-29}}</ref>。このことから中世の関東南部では﹁銭入りおにぎりを墓に入れる﹂という習慣があったことは確かで、当時のおにぎりに具材を入れることがまったくなければ、銭を入れるという発想が生じるとは考え難く、少なくとも15世紀後半には具材入りのおにぎりが存在していた可能性が高いようである{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|pp=54-56}}。さらに古くは、1221年の[[承久の乱]]で武士に配られたおにぎりに[[梅干し]]が入っていたという記録もある{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=26-27}}。
|
||
⚫ | |||
⚫ |
また、握り飯は古くから[[戦場]]における携行食︵[[兵糧]]︶としても活用された。米は[[糖質]]を多く含むためすばやくエネルギーとなり、これに梅干しが加わると塩分とクエン酸による疲労回復効果もあり、戦地での携行食として非常に合理的であった{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=28-30}}。[[大日本帝国陸軍]]では兵食の基本となる米麦飯を1合ずつ球形に握り、それを1食当たり2個携行するのが標準であった。しかし水分を多く含むため、高温多湿な[[熱帯]]環境下では[[腐敗]]しやすく、逆に[[寒冷地]]では凍結しやすいという欠点があることから{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=80-83}}、[[乾パン]]などさらに保存性に優れた[[レーション]]も開発され、正式採用された。日本にも[[小麦]]や[[石臼]]などは古くから伝わっていたが、近代まで製粉技術があまり普及しなかったことに加えて、日本人は小麦粉よりも米を好んできたようである{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=80-85}}。
|
||
⚫ |
横浜市都筑区の[[上の山遺跡]]にある墓から出土した、調理痕からおにぎりと考えられる炭化米塊の中から、3枚の[[銭貨|銭]]が発見された。2004年には[[磯子区]]の[[東漸寺 (横浜市磯子区)|東漸寺貝塚]]からも4枚の銭入りのおにぎりが発見され、2016に報告された[[埼玉県]][[桶川市]]の大平遺跡の出土品の解析結果には[[永楽通宝]]の入ったおにぎりが含まれていた{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|pp=54-56}}{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|p=117}}<ref>{{Cite web |url=https://www.saimaibun.or.jp/about/kankou/houkokusyo/ |title=報告書︵近刊︶ |publisher=埼玉県埋蔵文化財調査事業団 |access-date=2023-10-29}}</ref>。このことから中世の関東南部では﹁銭入りおにぎりを墓に入れる﹂という習慣があったことは確かで、当時のおにぎりに具材を入れることがまったくなければ、銭を入れるという発想が生じるとは考え難く、少なくとも15世紀後半には具材入りのおにぎりが存在していた可能性が高いようである{{Sfn|﹃おにぎりの文化史﹄|2019|pp=54-56}}。
|
||
=== |
=== 現代 === |
||
[[ファイル:ボーナス振込日のひるごはん。 (6514042721).jpg|thumb|海苔巻きおにぎりであること以外、江戸時代と大差ない現代の廉価なおにぎり弁当]] |
[[ファイル:ボーナス振込日のひるごはん。 (6514042721).jpg|thumb|海苔巻きおにぎりであること以外、江戸時代と大差ない現代の廉価なおにぎり弁当]] |
||
おにぎりと言えば従来は一般家庭で作られるものであったが、[[第二次世界大戦後]]の[[戦後復興期|復興期]]を経て[[高度経済成長#日本の例|高度経済成長期]]へ突入してゆく日本社会において、[[1952年]](昭和27年)に[[スーパーマーケット]]、次いで[[1971年]](昭和46年){{Refnest|group="注"|1971年(昭和46年)[[7月11日]]、[[ココストア]]の1号店として藤山台店がオープンしており、これが日本初のコンビニとされる<ref name=Excite_20161117>{{Cite news |和書 |author=[[川合登志和]] |date=2016-11-17 |title=「日本のコンビニ1号店」が閉店 45年の歴史に幕 |url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1479357376055/ |publisher=[[エキサイト]]株式会社 |newspaper=エキサイトニュース |accessdate=2020-04-21 }}</ref>。翌月には北海道で[[セイコーマート]]が1号店を開店{{r|Excite_20161117}}。[[ファミリーマート]]1号店は[[1973年]](昭和48年)に、[[セブン-イレブン]]1号店は[[1974年]](昭和49年)5月15日に{{r|Excite_20161117}}、ローソンは[[1975年]](昭和50年)6月14日にオープンしている。}}に[[コンビニエンスストア]]という新しい[[小売]][[業態]]が登場してくる。 |
おにぎりと言えば従来は一般家庭で作られるものであったが、[[第二次世界大戦後]]の[[戦後復興期|復興期]]を経て[[高度経済成長#日本の例|高度経済成長期]]へ突入してゆく日本社会において、[[1952年]](昭和27年)に[[スーパーマーケット]]、次いで[[1971年]](昭和46年){{Refnest|group="注"|1971年(昭和46年)[[7月11日]]、[[ココストア]]の1号店として藤山台店がオープンしており、これが日本初のコンビニとされる<ref name=Excite_20161117>{{Cite news |和書 |author=[[川合登志和]] |date=2016-11-17 |title=「日本のコンビニ1号店」が閉店 45年の歴史に幕 |url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1479357376055/ |publisher=[[エキサイト]]株式会社 |newspaper=エキサイトニュース |accessdate=2020-04-21 }}</ref>。翌月には北海道で[[セイコーマート]]が1号店を開店{{r|Excite_20161117}}。[[ファミリーマート]]1号店は[[1973年]](昭和48年)に、[[セブン-イレブン]]1号店は[[1974年]](昭和49年)5月15日に{{r|Excite_20161117}}、ローソンは[[1975年]](昭和50年)6月14日にオープンしている。}}に[[コンビニエンスストア]]という新しい[[小売]][[業態]]が登場してくる。 |
||
161行目: | 162行目: | ||
== 地域による呼称 == |
== 地域による呼称 == |
||
﹁おむすび﹂﹁握り飯﹂や、単に﹁むすび﹂﹁にぎり﹂などと呼ばれる。﹁握りまま﹂︵[[青森県]]︶、﹁おにんこ﹂︵[[栃木県]]︶、﹁にんにこ﹂︵[[和歌山県]]︶といった、[[日本語の方言]]もある。
|
﹁おむすび﹂﹁握り飯﹂や、単に﹁むすび﹂﹁にぎり﹂などと呼ばれる。﹁握りま︵ん︶ま﹂︵[[青森県]]、[[秋田県]]等︶、﹁おにんこ﹂︵[[栃木県]]︶、﹁にんにこ﹂︵[[和歌山県]]︶といった、[[日本語の方言]]もある。
|
||
歴史的には、古くは﹁握飯﹂︵にぎりいい︶と呼ばれていたものが﹁握り飯﹂︵にぎりめし︶に変化し、[[女性語]]の﹁おにぎり﹂になったと考えられる。﹁おにぎり﹂﹁おむすび﹂どちらも握り飯の丁寧語であるが、後者の呼び名は元は子供語、御所の[[女房言葉]]であった{{Sfn|﹃日本語大辞典 第3巻﹄|1972|p=48}}{{Sfn|﹃日本語大辞典 第4巻﹄|1972|p=698}}{{r|"吉海_20181023"}}。また、国語学者の[[吉田金彦]]は﹁おむすび﹂は﹁おにぎり﹂や﹁握り飯﹂と比べて婉曲的な表現で丁寧な語感があり、[[寿司]]にも握りがあり、上等であるが、むすびはない、むすびは飯だけの粗末な響きがあるとしている{{Sfnp|吉田|1996|p=57}}。
|
歴史的には、古くは﹁握飯﹂︵にぎりいい︶と呼ばれていたものが﹁握り飯﹂︵にぎりめし︶に変化し、[[女性語]]の﹁おにぎり﹂になったと考えられる。﹁おにぎり﹂﹁おむすび﹂どちらも握り飯の丁寧語であるが、後者の呼び名は元は子供語、御所の[[女房言葉]]であった{{Sfn|﹃日本語大辞典 第3巻﹄|1972|p=48}}{{Sfn|﹃日本語大辞典 第4巻﹄|1972|p=698}}{{r|"吉海_20181023"}}。また、国語学者の[[吉田金彦]]は﹁おむすび﹂は﹁おにぎり﹂や﹁握り飯﹂と比べて婉曲的な表現で丁寧な語感があり、[[寿司]]にも握りがあり、上等であるが、むすびはない、むすびは飯だけの粗末な響きがあるとしている{{Sfnp|吉田|1996|p=57}}。
|
||
176行目: | 177行目: | ||
; [[三角形]] |
; [[三角形]] |
||
: 高さの無い[[三角柱]]の形。握りやすいので一般的である。[[関東地方]]発祥といわれ、山形に握った頂点に[[神 (神道)|神]]が宿ると信じられたため、三角形になったとの説もある<ref name="onigiri-japan_487"/>。コンビニエンスストアで販売されているおにぎりの主流の形状である<ref name="onigiri-japan_487" /><ref name="日経_20141122">{{Cite news |和書 |author=大阪経済部 草塩拓郎 |date=2014-11-22 |title=関西の主流おにぎり 昔は俵型︵謎解きクルーズ︶ |url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASHD10H3S_R11C14A1AA1P00/ |publisher=[[日本経済新聞社]] |newspaper=[[日本経済新聞]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref>。
|
: 高さの無い[[三角柱]]の形。握りやすいので一般的である。[[関東地方]]発祥といわれ、山形に握った頂点に[[神 (神道)|神]]が宿ると信じられたため、三角形になったとの説もある<ref name="onigiri-japan_487"/>{{Sfn|おにぎりと日本人|p=58}}。コンビニエンスストアで販売されているおにぎりの主流の形状である<ref name="onigiri-japan_487" /><ref name="日経_20141122">{{Cite news |和書 |author=大阪経済部 草塩拓郎 |date=2014-11-22 |title=関西の主流おにぎり 昔は俵型︵謎解きクルーズ︶ |url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASHD10H3S_R11C14A1AA1P00/ |publisher=[[日本経済新聞社]] |newspaper=[[日本経済新聞]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref>。
|
||
; 俵形 |
; 俵形 |
||
: 米俵と同じ形。言い換えれば、横に倒した[[円柱 (数学)|円柱]]形。弁当箱に収まりやすく[[幕の内弁当]]で用いられる。かつては[[関西]]の標準型であった{{r|"kb-Nipp-多田_握り飯"}}<ref name="onigiri-japan_487" />{{r|"日経_20141122"}}。
|
: 米俵と同じ形。言い換えれば、横に倒した[[円柱 (数学)|円柱]]形。弁当箱に収まりやすく[[幕の内弁当]]で用いられる。かつては[[関西]]の標準型であった{{r|"kb-Nipp-多田_握り飯"}}<ref name="onigiri-japan_487" />{{r|"日経_20141122"}}。
|
||
; [[円形]] |
; [[円形]] |
||
: 高さの無い円柱形。主に[[東北地方]]で見られる<ref name="onigiri-japan_487" />。 |
: 高さの無い円柱形。主に[[東北地方]]で見られる<ref name="onigiri-japan_487" />。球形を押しつぶしたような形であり、おにぎりを︵特に味噌を塗って︶焼くことが多かった東北地方で、網の上で転がらないように変化したものと考えられる{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=122-123}}。
|
||
; [[球体|球形]] |
; [[球体|球形]] |
||
: 文字どおりの球の形。[[手毬]]形。[[九州]]に多いが、日本全国に分布する<ref name="onigiri-japan_487" />。方向性がないので、美しく球形にするのが難しい。
|
: 文字どおりの球の形。[[手毬]]形。[[九州]]に多いが、日本全国に分布する<ref name="onigiri-japan_487" />。方向性がないので、美しく球形にするのが難しい。
|
||
200行目: | 201行目: | ||
=== 具 === |
=== 具 === |
||
おにぎりに入れる具は白飯と相性が良く、味の濃い物︵[[防腐]]の意味もある︶が多い。炊き込みご飯や混ぜ込みご飯のように、ご飯自体に味が付いている場合は、具を包み込まないのが一般的である。
|
おにぎりに入れる具は白飯と相性が良く、味の濃い物︵[[防腐]]の意味もある︶が多い{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=152-154}}。炊き込みご飯や混ぜ込みご飯のように、ご飯自体に味が付いている場合は、具を包み込まないのが一般的である。
|
||
具は中央に埋め込まれるのが一般的だが、[[スパムむすび]]の[[スパム]]([[ランチョンミート]])や[[マツタケ|松茸]]などのように、表面に張り付ける具もある。 |
具は中央に埋め込まれるのが一般的だが、[[スパムむすび]]の[[スパム]]([[ランチョンミート]])や[[マツタケ|松茸]]などのように、表面に張り付ける具もある。 |
||
206行目: | 207行目: | ||
[[梅干し]]や[[削り節]]、[[コンブ|昆布]]などの[[佃煮]]が、昔からの定番である。これは携帯食として利用されていた頃は高い保存性、殺菌作用が具材に求められていたからであり、味付けも腐りにくいように塩分を濃くしていた。具が入らない場合は﹁塩むすび﹂になる。
|
[[梅干し]]や[[削り節]]、[[コンブ|昆布]]などの[[佃煮]]が、昔からの定番である。これは携帯食として利用されていた頃は高い保存性、殺菌作用が具材に求められていたからであり、味付けも腐りにくいように塩分を濃くしていた。具が入らない場合は﹁塩むすび﹂になる。
|
||
2014年︵平成26年︶の日本での調査では、好きな具は、[[サケ|鮭]]、梅干し、[[辛子明太子|明太子]]、[[ツナ#ツナ缶|ツナ]]、昆布、[[たらこ]]、その他、[[カツオ|かつお]]、[[タカナ|高菜漬]]の順であった<ref>{{ |
2014年︵平成26年︶の日本での調査では、好きな具は、[[サケ|鮭]]、梅干し、[[辛子明太子|明太子]]、[[ツナ#ツナ缶|ツナ]]、昆布、[[たらこ]]、その他、[[カツオ|かつお]]、[[タカナ|高菜漬]]の順であった<ref>{{Cite web2 |url=http://www.gohan.gr.jp/result/14/Q2.html |title=Q2. おむすびの具では何が一番好きですか?|ごはんを食べよう国民運動―ごはんを中心とした日本型食生活のよさを見直しましょう― |work=ごはんを食べよう国民運動推進協議会 |df=ja |date=2014-01-17 |access-date=2018-10-25 |archive-url=https://web.archive.org/web/20181028033709/http://www.gohan.gr.jp/result/14/Q2.html |archive-date=2018-10-28}}</ref>。
|
||
=== 包み === |
=== 包み === |
||
217行目: | 218行目: | ||
# 側面一周に巻く。 |
# 側面一周に巻く。 |
||
また、海苔以外に長野県では[[ノザワナ|野沢菜]]、富山県や石川県、福井県︵昆布の一大消費地︶では[[とろろ昆布]]、和歌山県では[[タカナ|高菜]]の漬物︵[[めはりずし]]︶、[[鹿児島県]][[奄美地方]]の[[徳之島]]や[[奄美大島]]では﹁たまごおにぎり﹂として[[薄焼き卵]]を使うなど、地域性が出る物で包んだおにぎりや、[[チキンライス]]を薄焼き卵で包んだ[[オムライス]]風おにぎりなどもある。沖縄県では[[蒲鉾]]で包んだ[[バクダンおにぎり]]も存在する。
|
また、海苔以外に長野県では[[ノザワナ|野沢菜]]、富山県や石川県、福井県︵昆布の一大消費地︶では[[とろろ昆布]]{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=136-139}}、和歌山県では[[タカナ|高菜]]の漬物︵[[めはりずし]]︶{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=136-139}}、[[宮崎県]]の[[肉巻きおにぎり]]{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=136-139}}、[[山口県]]では甘くない[[きな粉]]をまぶした﹁きなこにぎり﹂{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=136-139}}、[[鹿児島県]][[奄美地方]]の[[徳之島]]や[[奄美大島]]では﹁たまごおにぎり﹂として[[薄焼き卵]]を使うなど、地域性が出る物で包んだおにぎりや、[[チキンライス]]を薄焼き卵で包んだ[[オムライス]]風おにぎりなどもある。沖縄県では[[蒲鉾]]で包んだ[[バクダンおにぎり]]も存在する。
|
||
一方、包みを施さずに[[ふりかけ]]類をまぶすという技法もある。[[ゴマ|胡麻]]︵黒または白︶、[[田麩]]、[[のりたま]]、[[柚子胡椒]]などが使用される。具を入れない﹁塩むすび﹂では、少量の胡麻を表面に振る物もある。地域によっては[[きな粉]]をまぶしたり、味噌を塗ったりする例もある<ref>{{Cite web |url=http://www.gohan.gr.jp/furusato_musubi/ |title=ふるさとのおむすび |publisher=ごはんを食べよう国民運動推進協議会 |accessdate=2017-01-08 }}{{リンク切れ|date=2020年4月20日}}</ref>。
|
一方、包みを施さずに[[ふりかけ]]類をまぶすという技法もある。[[ゴマ|胡麻]]︵黒または白︶、[[田麩]]、[[のりたま]]、[[柚子胡椒]]などが使用される。具を入れない﹁塩むすび﹂では、少量の胡麻を表面に振る物もある。地域によっては[[きな粉]]をまぶしたり、味噌を塗ったりする例もある<ref>{{Cite web |url=http://www.gohan.gr.jp/furusato_musubi/ |title=ふるさとのおむすび |publisher=ごはんを食べよう国民運動推進協議会 |accessdate=2017-01-08 }}{{リンク切れ|date=2020年4月20日}}</ref>。
|
||
257行目: | 258行目: | ||
炊き込みご飯などの和風味付け・具あり飯を揚げるバリエーションもある。中にとろける[[チーズ]]を仕込んだり、[[ケチャップ]]や[[カレー]]などの洋風味付け・具あり飯を揚げ、洋風出汁︵[[スープ]]︶をかける洋風バリエーションもある。洋風バージョンは[[コロッケ|ライスコロッケ]]に似ている。
|
炊き込みご飯などの和風味付け・具あり飯を揚げるバリエーションもある。中にとろける[[チーズ]]を仕込んだり、[[ケチャップ]]や[[カレー]]などの洋風味付け・具あり飯を揚げ、洋風出汁︵[[スープ]]︶をかける洋風バリエーションもある。洋風バージョンは[[コロッケ|ライスコロッケ]]に似ている。
|
||
⚫ | |||
{{Anchors|ポークたまごおにぎり|おにポー|PTO|ポーク玉子おにぎり_画像}}[[ファイル:ポークタマゴおにぎり 白米 (37271579650).jpg|thumb|ポーク玉子おにぎり(中央)]] |
|||
沖縄県には、海苔巻きおにぎりの概念と[[ポーク玉子]]を組み合わせた「'''[[ポークたまごおにぎり|ポーク玉子おにぎり]]'''」<ref group="注">出典ではない映像等資料:{{Cite news |和書 |author=mai |date=2019-10-08 |title=沖縄ソウルフード「ポークたまごおにぎり」が大ボリュームで超ジャンクだった! まるでハンバーガーのよう!! |url=https://rocketnews24.com/2019/10/08/1274815/ |publisher=株式会社[[ソシオコーポレーション]] |newspaper=[[ロケットニュース24]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref>があり、「'''おにポー'''」の[[略称]]でも親しまれている。後述する「[[#おにぎらず|おにぎらず]]」と似通っているが、発祥も普及もこちらが早い。[[第二次世界大戦後]]の[[アメリカ合衆国による沖縄統治]]時代に[[アメリカ軍]]によって持ち込まれた缶入りポークランチョンミートが、「ポーク」という略称で一般家庭の食材として定着し、様々な料理の素材として用いられるようになっていったが{{r|PR-TIMES_20190317}}、スライスして両面を焼いた「ポーク」を、[[総菜]]としての[[卵料理]]と組み合わせたのが、沖縄の[[大衆食堂]]の[[定食]]メニュー「ポーク玉子」であり、そこから派生して、焼いた薄切り「ポーク」と折り畳んだ[[薄焼き卵|薄焼き玉子]]の組み合わせを基本の具材とした海苔巻きおにぎり風の料理が、一般的なポーク玉子おにぎりである{{r|PR-TIMES_20190317}}。 |
|||
沖縄のソウルフードと呼ぶ人も多いポーク玉子おにぎりは{{r|"沖縄T_20191109"}}、当地では、[[スーパーマーケット]]や[[コンビニエンスストア|コンビニ]]、そしてほとんどの大衆食堂でも売られているが{{r|PR-TIMES_20190317}}、[[2014年]](平成26年)7月に那覇市松尾の[[牧志公設市場|第一牧志公設市場]]で開店した{{r|"琉球新報_20190510"}}専門店「ポークたまごおにぎり本店」(2000年〈平成12年〉11月創業。本社所在地:那覇市。自称他称の[[通称]]:ポーたま{{r|"@press_20200221"}})は売れ行き好調で、2020年(令和2年)2月時点で、沖縄県内に4店舗、福岡県[[福岡市]][[博多]]櫛田表参道に[[フランチャイズ]]の1店舗(2018年12月1日開店)、そして初の海外進出となった[[ハワイ]]・[[ワイキキ]]に1店舗(2020年2月29日開店)を展開している{{r|"@press_20200221"|"琉球新報_20190510"|"日経_20191220"}}。なお、ハワイはポークランチョンミートの消費量がアメリカ一多い土地柄で{{r|"@press_20200221"}}、ポーク玉子おにぎりの起源といわれることのある'''[[スパムむすび]]'''がよく食べられている。この企業は「'''PTO''' ('''P'''ork '''T'''amago '''O'''nigiri)」という[[合言葉]]のような呼称([[頭字語]])も生み出している{{r|"しらべぇ_20150323"}}。現在では競合する専門店も複数ある。 |
|||
=== おにぎらず === |
=== おにぎらず === |
||
270行目: | 265行目: | ||
[[うえやまとち]]の長期連載[[料理・グルメ漫画|料理漫画]]『[[クッキングパパ]]』の COOK.213(第213話)「超簡単おにぎり おにぎらず」(1990年〈平成2年〉[[wikt:初出|初出]]・初掲載<ref name=講談社_20141007>{{Cite web |title=今ネットで話題の、握らないおにぎり「おにぎらず」。実は『クッキングパパ』発なんです。超簡単レシピの誕生の裏には、子育てと格闘する荒岩家の感動秘話がありました——。 |url=https://morning.moae.jp/news/1574 |publisher=[[講談社]] |website=『[[モーニング (漫画雑誌)|モーニング]]』公式ウェブサイト |date=2014-10-07 |accessdate=2020-04-20 |archive-url=https://web.archive.org/web/20141011005624/https://morning.moae.jp/news/1574 |archive-date=2014-10-11}}</ref>{{r|"読売_20150304"}}。1991年〈平成3年〉5月23日刊行の[[単行本]]第22巻{{r|講談社_20141007|"kb-泉_おにぎらず"}}収録)で紹介されたものがオリジナルであり、考案者は漫画家本人の夫人<ref name="産経_20150125">{{Cite news |和書 |date=2015-01-25 |title=『クッキングパパ』発握らぬおにぎり「おにぎらず」人気 「BENTO」に続くジャパニーズ・クールとなるか |url=https://www.sankei.com/article/20150125-DOOQYV272NLAXNLRGXMC4CLLRU/ |publisher=産業経済新聞社 |newspaper=産経ニュース |accessdate=2015-12-24}}</ref>。 |
[[うえやまとち]]の長期連載[[料理・グルメ漫画|料理漫画]]『[[クッキングパパ]]』の COOK.213(第213話)「超簡単おにぎり おにぎらず」(1990年〈平成2年〉[[wikt:初出|初出]]・初掲載<ref name=講談社_20141007>{{Cite web |title=今ネットで話題の、握らないおにぎり「おにぎらず」。実は『クッキングパパ』発なんです。超簡単レシピの誕生の裏には、子育てと格闘する荒岩家の感動秘話がありました——。 |url=https://morning.moae.jp/news/1574 |publisher=[[講談社]] |website=『[[モーニング (漫画雑誌)|モーニング]]』公式ウェブサイト |date=2014-10-07 |accessdate=2020-04-20 |archive-url=https://web.archive.org/web/20141011005624/https://morning.moae.jp/news/1574 |archive-date=2014-10-11}}</ref>{{r|"読売_20150304"}}。1991年〈平成3年〉5月23日刊行の[[単行本]]第22巻{{r|講談社_20141007|"kb-泉_おにぎらず"}}収録)で紹介されたものがオリジナルであり、考案者は漫画家本人の夫人<ref name="産経_20150125">{{Cite news |和書 |date=2015-01-25 |title=『クッキングパパ』発握らぬおにぎり「おにぎらず」人気 「BENTO」に続くジャパニーズ・クールとなるか |url=https://www.sankei.com/article/20150125-DOOQYV272NLAXNLRGXMC4CLLRU/ |publisher=産業経済新聞社 |newspaper=産経ニュース |accessdate=2015-12-24}}</ref>。 |
||
[[2014年]](平成26年)9月初旬、日本最大の料理レシピサイト「[[クックパッド]]」の人気検索キーワードに「おにぎらず」が突然ランクインし{{r|講談社_20141007}}、これをクックパッドがクックパッドニュースの特集ページで紹介したことをきっかけに{{r|講談社_20141007}}<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/articles/2811|title=話題の「おにぎらず」って一体なんだ? |work=クックパッド|date=2014-09-28|accessdate=2015-12-24}}</ref>好評を博して一気にウェブメディアに拡散した{{r|講談社_20141007}}<ref name="読売_20150129">{{Cite web |url=https://www.yomiuri.co.jp/komachi/plus/kuragetlogy/20150129-OYT8T50056.html |title=作れば納得 簡単! おいしい! 「おにぎらず」の魅力 |work=大手小町 |publisher=読売新聞社 |date=2015-01-29 |accessdate=2015-12-24 |archive-url=https://web.archive.org/web/20150201040355/https://www.yomiuri.co.jp/komachi/plus/kuragetlogy/20150129-OYT8T50056.html |archive-date=2015-02-01}}</ref>。人気となった理由について、クックパッドでは「簡単で作りやすい」「いろんな具がはさめる」「小さな子供も食べやすい」ことを挙げている<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/articles/3092|title=驚くほどの大ブレイク! 【おにぎらず】が大人気の3つの理由(わけ)とは? |work=クックパッド|date=2014-10-26|accessdate=2015-12-24}}</ref>。[[2015年]]3月16日には、海苔メーカー各社からおにぎらず専用海苔も発売され、人気商品となっ |
[[2014年]]︵平成26年︶9月初旬、日本最大の料理レシピサイト﹁[[クックパッド]]﹂の人気検索キーワードに﹁おにぎらず﹂が突然ランクインし{{r|講談社_20141007}}、これをクックパッドがクックパッドニュースの特集ページで紹介したことをきっかけに{{r|講談社_20141007}}<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/articles/2811|title=話題の﹁おにぎらず﹂って一体なんだ? |work=クックパッド|date=2014-09-28|accessdate=2015-12-24}}</ref>好評を博して一気にウェブメディアに拡散した{{r|講談社_20141007}}<ref name="読売_20150129">{{Cite web |url=https://www.yomiuri.co.jp/komachi/plus/kuragetlogy/20150129-OYT8T50056.html |title=作れば納得 簡単!おいしい!﹁おにぎらず﹂の魅力 |work=大手小町 |publisher=読売新聞社 |date=2015-01-29 |accessdate=2015-12-24 |archive-url=https://web.archive.org/web/20150201040355/https://www.yomiuri.co.jp/komachi/plus/kuragetlogy/20150129-OYT8T50056.html |archive-date=2015-02-01}}</ref>。人気となった理由について、クックパッドでは﹁簡単で作りやすい﹂﹁いろんな具がはさめる﹂﹁小さな子供も食べやすい﹂ことを挙げている<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/articles/3092|title=驚くほどの大ブレイク!︻おにぎらず︼が大人気の3つの理由︵わけ︶とは? |work=クックパッド|date=2014-10-26|accessdate=2015-12-24}}</ref>。[[2015年]]3月16日には、海苔メーカー各社からおにぎらず専用海苔も発売され、人気商品となった<ref>{{Cite news |url=https://www.asahi.com/articles/ASH3J51FVH3JPLFA003.html |title=﹁おにぎらず﹂もっと手間いらず 専用のりが大ヒット |newspaper=朝日新聞 | date=2015-03-16 |accessdate=2015-12-24 |archive-url=https://web.archive.org/web/20150316202114/https://www.asahi.com/articles/ASH3J51FVH3JPLFA003.html |archive-date=2015-03-16}}</ref>。2015年の﹁[[今年の一皿]]﹂に選出されている<ref>{{Cite web |和書|url=https://gri.gnavi.co.jp/dishoftheyear/2015/|title=2015年﹁今年の一皿﹂|website=ぐるなび総研﹁今年の一皿﹂公式サイト|accessdate=2024-04-04}}</ref>。
|
||
クックパッドが紹介した﹃クッキングパパ﹄の元祖おにぎらずの作り方は以下の通り<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/recipe/2831394|title=クッキングパパの元祖おにぎらず|work=クックパッド|date=2014-10-10|accessdate=2015-12-24}}</ref>。
|
クックパッドが紹介した﹃クッキングパパ﹄の元祖おにぎらずの作り方は以下の通り<ref>{{Cite web|url=http://cookpad.com/recipe/2831394|title=クッキングパパの元祖おにぎらず|work=クックパッド|date=2014-10-10|accessdate=2015-12-24}}</ref>。
|
||
286行目: | 281行目: | ||
=== その他 === |
=== その他 === |
||
{{Anchors|バリエーションと派生形 (その他)}} |
{{Anchors|バリエーションと派生形 (その他)|ポークたまごおにぎり|おにポー|PTO|ポーク玉子おにぎり_画像}}[[ファイル:ポークタマゴおにぎり 白米 (37271579650).jpg|thumb|ポーク玉子おにぎり(中央)]] |
||
* [[きりたんぽ]] - 秋田県の名物。元々は、マタギが食事のときにおにぎりを木の棒に差して焼いたのが起源という説がある。 |
|||
* [[天むす]] |
* [[天むす]] |
||
* |
* たぬきおにぎり - 天つゆで味付けした[[天かす|天かす︵揚げ玉︶]]入りおにぎり。別名﹁悪魔のおにぎり﹂<ref>{{Cite web |和書|url=https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00006748/|title=悪魔のおにぎり︻つゆと天かすでやみつき︼|website=キッコーマン|accessdate=2024-04-04}}</ref>。
|
||
* [[肉巻きおにぎり]] |
* [[肉巻きおにぎり]] |
||
* [[しぐれ肉巻きおにぎり]] |
* [[しぐれ肉巻きおにぎり]] |
||
294行目: | 290行目: | ||
* [[バクダンおにぎり]] |
* [[バクダンおにぎり]] |
||
* [[ジュンドッグ]] |
* [[ジュンドッグ]] |
||
⚫ | |||
* オニササ - 沖縄県[[石垣市]]では、[[ふりかけ]]をまぶした、または炊き込みご飯︵[[雑炊#ジューシー|ジューシー]]︶の三角おにぎりと[[ウスターソース]]などを付けた[[鶏肉]]の笹身[[フライ (料理)|フライ]]を[[ポリ袋]]に入れて、握り[[寿司]]のように合体させて食べる﹁[[オニササ]]﹂という食べ方がある。[[沖縄県立八重山農林高等学校]]の生徒が近所の知念商会というスーパーマーケットでおにぎりと[[おかず]]を購入する中で考案した。現在は石垣市内の多くの食品店、総菜店で買ったおにぎりでこの食べ方をする人が見られる。
|
|||
* [[オニササ]] - 主に[[沖縄県]][[石垣市]]で食される、おにぎりと[[鶏肉|ささみ]]フライを合体させる食べ方 |
|||
* [[ライスバーガー]] - [[ハンバーガー]]のうち、[[バンズ]]の代替品にご飯を使用したものは﹁ライスバーガー﹂と呼ばれる。米食の多い日本ではハンバーガーショップで定番メニューとなっており、和風に味付けした肉系の具材を挟む場合が多い。おにぎりと同じく立ったままでも手軽に食べられるものではあるが、作られてすぐの温かい状態で食べることを前提にするものが多い。ご飯を上下2つに分けているため、おにぎりと比べ大きな具材を使える。
|
|||
* [[ライスバーガー]] - [[ハンバーガー]]の[[バンズ]]の代替品にご飯を使用したもの |
|||
* ご馳走おにぎり - 具材を贅沢に使用し、目印として具材を三角おにぎりの頂部にも載せたもの。専門店も登場し、2023年の﹁[[今年の一皿]]﹂に選出された<ref>{{Cite web2 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231204/k10014277161000.html |title=﹁今年の一皿﹂に﹁ご馳走おにぎり﹂華やかさ話題 専門店も |work=[[日本放送協会|NHK]] |df=ja |date=2023-12-04 |access-date=2023-12-04}}</ref><ref>{{Cite web2 |url=https://www.oricon.co.jp/news/2304816/full/ |title=﹃今年の一皿﹄は﹁ご馳走おにぎり﹂ 華やかさがSNSで話題に、精米消費を後押し |work=[[オリコン|ORICON NEWS]] |df=ja |date=2023-12-04 |access-date=2023-12-04}}</ref>。
|
|||
== 各国における現状 == |
== 各国における現状 == |
||
{{節スタブ}} |
{{節スタブ}} |
||
日本と同じ米作地帯である[[中華人民共和国]]、 |
日本と同じ米作地帯である[[中華人民共和国]]、[[台湾]]、[[朝鮮半島]]︵[[大韓民国|韓国]]と[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]︶、[[タイ王国|タイ]]の一部でも、おにぎりは作られる。世界的に炊飯前に米を研ぐという風習はあまりなく、そうして炊かれた飯は冷めると味が落ちる。調味しない飯を食す習慣も持つ中国や朝鮮半島では﹁炊いた飯は温かい状態で食べるもの﹂という意識が強い。おにぎりなどの冷や飯に対し﹁施しを受けた下賤な者が仕方なく食べる物﹂﹁やむを得ない場合の携行食﹂といった悪いイメージが根強い{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=62-69}}。また、これらの国では米を素手で触ることへの抵抗が大きい。中国で[[箸]]が発明され、日本を含む東アジアに広まっていったが、日本では︵[[インド]]などの宗教的な理由ではない︶[[手食文化]]が比較的残った{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=70-73}}。しかし近年は、日本においても他人の握ったおにぎりを食べることに抵抗を感じる人が増えてきている{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=160-161}}<ref>{{Cite web2 |url=https://www.news-postseven.com/archives/20150503_319989.html?DETAIL |title=他人が握ったおにぎり食べられない人が増加 社会の変化影響 |work=[[NEWSポストセブン]] |df=ja |date=2015-05-03 |access-date=2024-04-27}}</ref>。
|
||
中国では「[[飯糰]]」(ファントゥアン、「飯団子」の意)と呼ぶ。[[福建省]]には「草包飯」(ツァオバオファン、cǎobāofàn)というおにぎりの一種があるが、これはご飯の中に肉、[[ソーセージ]]、[[シイタケ|椎茸]]などを具として入れ、これらを編んだ草の袋に詰め込んで携行するものである。 |
中国では「[[飯糰]]」(ファントゥアン、「飯団子」の意)と呼ぶ。[[福建省]]には「草包飯」(ツァオバオファン、cǎobāofàn)というおにぎりの一種があるが、これはご飯の中に肉、[[ソーセージ]]、[[シイタケ|椎茸]]などを具として入れ、これらを編んだ草の袋に詰め込んで携行するものである。 |
||
305行目: | 304行目: | ||
タイでは、おにぎりに不適な[[インディカ米]]を主食としているが、うるち米ではなく[[もち米]]︵カオニャオ︶を主食とする[[イーサーン|タイ東北部]]では、球状にまとめた米飯を草の葉に包んで携行するという習慣が伝統的に見られる。
|
タイでは、おにぎりに不適な[[インディカ米]]を主食としているが、うるち米ではなく[[もち米]]︵カオニャオ︶を主食とする[[イーサーン|タイ東北部]]では、球状にまとめた米飯を草の葉に包んで携行するという習慣が伝統的に見られる。
|
||
ベトナムでは「[[コムナム]]」というおにぎりの一種があり、[[携行食]]とされるが、戦時中の貧困を想起させるとして否定的に捉えるベトナム人もいる<ref>Hanh Nguyen ''Brushing the World Famous: The Story of My Life'' Page 6 2005 "Every day, I walked to school with my books and my lunch which consisted mostly of “cơm nắm” (compressed rice) and salted sesame or salted peanuts."</ref><ref>{{Cite web |title=SUSHIに続き世界へ広がる日本の「おむすび」 |url=https://sushitimes.co/2018/08/21/20180821_1/|website=SUSHI TIMES |date=2018-8-21 |access-date=2024-02-09|language=ja}}</ref>。 |
|||
⚫ | |||
⚫ | |||
⚫ | 日系企業の[[コンビニエンスストア]]が台湾や[[上海市|上海]]などに上陸し普及するようになって、現地で日本式のおにぎりも人気を博した。これを受けて、日本の米に近い品種の米を使ったおにぎりが、現地の食品工場で製造され販売されるようになった。 |
||
⚫ | 日系企業の[[コンビニエンスストア]]が台湾や[[上海市|上海]]などに上陸し普及するようになって、現地で日本式のおにぎりも人気を博した。これを受けて、日本の米に近い品種の米を使ったおにぎりが、現地の食品工場で製造され販売されるようになった。 |
||
韓国では、朝鮮半島では﹁{{Lang|ko|주먹밥}}﹂︵チュモクパプ、﹁握りこぶし飯﹂または﹁げんこつ飯﹂の意︶などと呼称する。日本のコンビニおにぎりを参考に[[1990年代]]初頭、コンビニでの販売が開始されたが<ref name="東経日報_20090501">{{Cite news |和書 |author=黒田勝弘 |date=2009-05-01 |title=<随筆>◇キムパプ︵ノリ巻き︶礼賛論◇ 産経新聞 黒田勝弘 ソウル支局長 |url=http://www.toyo-keizai.co.jp/news/essay/2009/post_925.php |publisher=東洋経済日報社 |newspaper=[[東洋経済日報]] |accessdate=2013-02-25 }}</ref>、発売当初は定着しなかった。
|
|||
具を[[キムチ]]入りにしたり、海苔や精米の開発をするなどの創意工夫により、[[2000年代]]初頭から売れ始め、現在では |
韓国では、日本の屯食に近い「{{Lang|ko|주먹밥}}」(チュモクパプ、「握りこぶし飯」または「げんこつ飯」の意)という食べ物が古来からあり、日本のコンビニおにぎりを参考に[[1990年代]]初頭、コンビニでの販売が開始されたが<ref name="東経日報_20090501">{{Cite news |和書 |author=黒田勝弘 |date=2009-05-01 |title=<随筆>◇キムパプ(ノリ巻き)礼賛論◇ 産経新聞 黒田勝弘 ソウル支局長 |url=http://www.toyo-keizai.co.jp/news/essay/2009/post_925.php |publisher=東洋経済日報社 |newspaper=[[東洋経済日報]] |accessdate=2013-02-25 }}</ref>、発売当初は定着しなかった。その後、先述の好ましくない印象を払拭するため名称を「[[キムパプ#種類|三角キムパプ]]」と改め{{Sfn|おにぎりと日本人|pp=62-65}}、具を[[キムチ]]入りにしたり、海苔や精米の開発をするなどの創意工夫により、[[2000年代]]初頭から売れ始め、現在ではコンビニのみならず、専門店もできるほどの人気食品となった<ref name=MAFF_200303>{{Cite web |date=2003-03 |title=「韓国における食品マーケットの変化と可能性 - 平成14年度 貿易情報海外調査報告書 III |url=https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/seminar/pdf/2002_seminar.pdf |publisher=[[農林水産省]] |website=公式ウェブサイト |format=PDF |accessdate=2020-04-20 }}</ref><ref name=KBN_200108>{{Cite news |和書 |date=2001-08 |title=韓国「おにぎりブーム」仕掛け人は本多さん |url=https://megalodon.jp/2009-0615-1229-17/www.kbn-japan.com/KN0100016.htm |newspaper=KBNコリアンビジネスネットワーク 韓国ニュース |accessdate=2020-04-20 |chapter=元記事は『朝日新聞』2001年8月21日 }}</ref><ref name=KBN_20020820>{{Cite news |和書 |date=2002-08-20 |title=日本式三角おにぎりがコンビニを制覇 |url=https://megalodon.jp/2009-0615-1231-20/www.kbn-japan.com/KN020820-01.htm |newspaper=KBNコリアンビジネスネットワーク 韓国ニュース |accessdate=2020-04-20 |chapter=元記事は『朝鮮日報』 }}</ref>。韓国でのコンビニの売上に占める割合では、2006年度には40%以上にまで達したが、2007年度には[[パン]]食志向に押されて30%台となった<ref>2008年8月27日MDtoday [http://www.mdtoday.co.kr/mdtoday/index.html?no=63322 {{lang|ko|입 맛 서양화, 경기불황에 저렴하고 품질 좋은 빵 제품 인기}}](海苔巻きから調理パンまで、コンビニもいろいろ)(韓国語)</ref>。 |
||
[[ハワイ州|ハワイ]]では、{{信頼性要検証範囲|[[スパム]](ランチョンミート)を具にしたおにぎり|date=2020年4月22日|title=名前以外には、おにぎり的特徴が見られない。おむすびと結び付いた歴史的経緯があるならまた話は別ですが、形状はどう見ても江戸前寿司のほうが近いですよね。}}が「[[スパムむすび]]」という名称で販売されている。 |
[[ハワイ州|ハワイ]]では、{{信頼性要検証範囲|[[スパム]](ランチョンミート)を具にしたおにぎり|date=2020年4月22日|title=名前以外には、おにぎり的特徴が見られない。おむすびと結び付いた歴史的経緯があるならまた話は別ですが、形状はどう見ても江戸前寿司のほうが近いですよね。}}が「[[スパムむすび]]」という名称で販売されている。 |
||
355行目: | 354行目: | ||
<ref name="kb-知恵蔵mini_おにぎらず">{{Cite web |date=2015-01-29 |title=おにぎらず |url=https://kotobank.jp/word/おにぎらず-1701580 |author=[[朝日新聞出版]]『[[知恵蔵]]mini』|publisher=[[コトバンク]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
<ref name="kb-知恵蔵mini_おにぎらず">{{Cite web |date=2015-01-29 |title=おにぎらず |url=https://kotobank.jp/word/おにぎらず-1701580 |author=[[朝日新聞出版]]『[[知恵蔵]]mini』|publisher=[[コトバンク]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
||
<ref name="kb-泉_おにぎらず">{{Cite web |title=おにぎらず |url=https://kotobank.jp/word/おにぎらず-1701580 |author=[[小学館]]『デジタル大辞泉プラス』|publisher=コトバンク |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
<ref name="kb-泉_おにぎらず">{{Cite web |title=おにぎらず |url=https://kotobank.jp/word/おにぎらず-1701580 |author=[[小学館]]『デジタル大辞泉プラス』|publisher=コトバンク |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
||
<!--※以下は「ポーク玉子おにぎり」関連。--> |
|||
<ref name=PR-TIMES_20190317>{{Cite news |和書 |author=株式会社 花研 |date=2019-03-17 |title=【ポーク玉子の歴史】- 「ばんからラーメン」から【角煮たまごおにぎり】が新登場!~沖縄県で愛されるソウルフードと、ばんからラーメンの角煮がマリアージュ~ - プレスリリース |url=https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000029839.html |publisher=株式会社 [[PR TIMES]] |newspaper=PR TIMES |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
|||
<ref name="沖縄T_20191109">{{Cite news |和書 |date=2019-11-09 |title=世界狙う「沖縄のソウルフード」 まずはハワイ進出へ |url=https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/495162 |publisher=沖縄タイムス社 |newspaper=[[沖縄タイムス]] |accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
|||
<ref name="琉球新報_20190510">{{Cite news |和書 |date=2019-05-10 |title=ポーク卵おにぎり進化 高級品登場、専門店は海外進出 |url=https://ryukyushimpo.jp/news/entry-915650.html |publisher=琉球新報社 |newspaper=[[琉球新報]] |accessdate=2020-04-20 |quote=人気の火付け役となった﹁ポークたまごおにぎり本店﹂は、︵...略...︶。ポークたまごおにぎり本店は、2014年7月に那覇市松尾の第一牧志公設市場に開店。︵...略...︶昨年12月にはついに沖縄を飛び出し、福岡市にフランチャイズ店がオープンした。}}</ref>
|
|||
<ref name="@press_20200221">{{Cite news |和書 |author=ポークたまごおにぎり本店株式会社 |date=2020-02-21 |title=海外初出店!沖縄のソウルフード“ポーたま”がハワイに進出 ポークたまごおにぎり本店がワイキキに新店を2月29日オープン - プレスリリース |url=https://www.atpress.ne.jp/news/206373 |publisher=[[ソーシャルワイヤー]]株式会社 |newspaper=@press(アットプレス)|accessdate=2020-04-20 }}</ref> |
|||
<ref name="日経_20191220">{{Cite news |和書 |date=2019-12-20 |title=ポークたまごおにぎり本店が那覇空港に新店﹁ハワイにも﹂ |url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53601720Q9A221C1LX0000/ |publisher=[[日本経済新聞社]] |newspaper=[[日本経済新聞]] |accessdate=2020-04-20 |quote=那覇空港では国内線ターミナルビル内の店舗に続く2店目となる。︵...略...︶。県外では18年12月に福岡市に出店している。}}</ref>
|
|||
<ref name="しらべぇ_20150323">{{Cite news |和書 |author=しらべぇ編集部 |date=2015-03-23 |title=呼び名は﹁PTO﹂!パクパク・食べたい・沖縄グルメ﹁ポーク玉子おにぎり﹂|url=https://sirabee.com/2015/03/23/22810/ |publisher=株式会社NEWSY |newspaper=しらべぇ |accessdate=2020-04-20 |quote=PTO︵ポーク玉子おにぎり︶という言葉をつくり、豪快な具を挟んだPTOのみを販売するPTOが主役の店。}}</ref>
|
|||
}} |
}} |
||
== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
||
*<!--よしだ-->{{Cite book |和書 |editor=[[吉田金彦]] 編 |date=1996-09-27 |title=衣食住語源辞典 |publisher=[[東京堂出版]] |oclc=836628984 |ref={{SfnRef|吉田|1996}} }}ISBN 4-490-10434-0、ISBN 978-4-490-10434-9。
|
* <!--よしだ-->{{Cite book |和書 |editor=[[吉田金彦]] 編 |date=1996-09-27 |title=衣食住語源辞典 |publisher=[[東京堂出版]] |oclc=836628984 |ref={{SfnRef|吉田|1996}} }}ISBN 4-490-10434-0、ISBN 978-4-490-10434-9。
|
||
* {{Cite book |和書 |author=[[増淵敏之]] |title=おにぎりと日本人 |publisher=[[洋泉社]] |date=2017-12-19 |isbn=978-4-8003-1340-9 |ref={{SfnRef|おにぎりと日本人}}}} |
|||
<!--※以下は編著者が法人。--> |
<!--※以下は編著者が法人。--> |
||
*<!--か‥河出-->{{Cite book |和書 |editor=[[横浜市歴史博物館]] 監修 |date=2019-04-04 |title=おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語 見るだけで楽しめる! |publisher=[[河出書房新社]] |series=視点で変わるオモシロさ! |oclc=1101857582 |ref={{SfnRef|﹃おにぎりの文化史﹄|2019}} }}ISBN 4-309-22761-9、ISBN 978-4-309-22761-0。
|
* <!--か‥河出-->{{Cite book |和書 |editor=[[横浜市歴史博物館]] 監修 |date=2019-04-04 |title=おにぎりの文化史 おにぎりはじめて物語 見るだけで楽しめる! |publisher=[[河出書房新社]] |series=視点で変わるオモシロさ! |oclc=1101857582 |ref={{SfnRef|﹃おにぎりの文化史﹄|2019}} }}ISBN 4-309-22761-9、ISBN 978-4-309-22761-0。
|
||
*<!--し‥小学館-->{{Cite book |和書 |editor=日本大辞典刊行会 |date=1972 |title=日本国語大辞典 第3巻 うは~おのん |edition=初版 |publisher=小学館 |series=[[日本国語大辞典]] |oclc=873627391 |ref={{SfnRef|﹃日本語大辞典 第3巻﹄|1972}} }}ISBN 4-09-522003-1、ISBN 978-4-09-522003-1。
|
* <!--し‥小学館-->{{Cite book |和書 |editor=日本大辞典刊行会 |date=1972 |title=日本国語大辞典 第3巻 うは~おのん |edition=初版 |publisher=小学館 |series=[[日本国語大辞典]] |oclc=873627391 |ref={{SfnRef|﹃日本語大辞典 第3巻﹄|1972}} }}ISBN 4-09-522003-1、ISBN 978-4-09-522003-1。
|
||
* {{Cite book |和書 |editor=日本大辞典刊行会 |date=1972 |title=日本国語大辞典 第4巻 おは~かつほ |edition=初版 |publisher=小学館 |series=日本国語大辞典 |oclc=1135449635 |ref={{SfnRef|﹃日本語大辞典 第4巻﹄|1972}} }}ISBN 4-09-520004-9、ISBN 978-4-09-520004-0。
|
* {{Cite book |和書 |editor=日本大辞典刊行会 |date=1972 |title=日本国語大辞典 第4巻 おは~かつほ |edition=初版 |publisher=小学館 |series=日本国語大辞典 |oclc=1135449635 |ref={{SfnRef|﹃日本語大辞典 第4巻﹄|1972}} }}ISBN 4-09-520004-9、ISBN 978-4-09-520004-0。
|
||
<!--※書籍以外--> |
<!--※書籍以外--> |
2024年6月3日 (月) 21:19時点における最新版
おにぎり | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() おにぎりの例 | |||||||
別名 | 握り飯、握飯、握り、結び、御結び、結び飯、おつくね | ||||||
発祥地 |
![]() | ||||||
主な材料 | 米 | ||||||
197 kcal (825 kJ) | |||||||
|
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/43/%E5%B0%8F%E6%96%99%E7%90%86%E3%83%90%E3%83%AB%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89_%E7%89%B9%E8%A3%BD%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A.jpg/220px-%E5%B0%8F%E6%96%99%E7%90%86%E3%83%90%E3%83%AB%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89_%E7%89%B9%E8%A3%BD%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/52/Onigiri_at_an_onigiri_restaurant_by_zezebono_in_Tokyo.jpg/220px-Onigiri_at_an_onigiri_restaurant_by_zezebono_in_Tokyo.jpg)
特徴[編集]
携行性に優れていて、手づかみで食べられることから、日本で古くから今日に至るまで携行食や弁当として重宝されている。元々は残り飯の保存や携行食として発達したが、その後は常食としてのおにぎりが主流となり、現代ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも販売されている。携行する必要がない居酒屋や定食屋でも提供されるほど、日本の食文化に定着している。日本のコンビニエンスストアや外食・中食店の海外進出、日本滞在経験を持つ外国人の増加に伴い、世界各国でおにぎりが販売されるようになっている[注 1]。歴史[編集]
先史時代[編集]
杉谷チャノバタケ遺跡出土[編集]
1987年︵昭和62年︶11月12日[2]、能登半島の中央部にある眉丈山の丘陵部南東の尾根に所在する弥生時代の高地性環濠集落遺跡である杉谷チャノバタケ遺跡[gm 1]︵所在地は石川県鹿島郡中能登町金丸。炭化米発見当時は鹿西町金丸︶の弥生時代中期︵約2000年前︶層に属する竪穴建物の壁際から、握り飯と思われる炭化した米粒の塊が単独で出土した[2][3]。この炭化米から人間の指によって握られた痕跡が発見されており、当初﹁最古のおにぎり﹂として報道された[2][3]。その後の研究では、炊かれて握られたものというより、おそらく蒸された後に焼かれたものであり、言わば粽︵ちまき︶に近いものとされた[2][4]。それ以降、この遺物は学術上﹁粽状炭化米塊︵ちまきじょう たんかまい かい。表記揺れ‥チマキ状炭化米塊︶﹂と呼ばれている。 中能登町では﹁道の駅織姫の里なかのと﹂で粽状炭化米塊のレプリカを展示している[5]。北金目塚越遺跡出土[編集]
古代[編集]
北川表の上遺跡出土[編集]
北川表の上遺跡︵きたがわおもてのうえ いせき︶は、多摩丘陵の谷戸群に発する沖積平野を流れる鶴見川の支流・早渕川流域に所在した遺跡である︵港北ニュータウン遺跡群の1つ︶[14]。現行行政区画は神奈川県横浜市都筑区早渕三丁目にあたり、現在﹁味の民芸 港北ニュータウン店﹂が所在する付近に分布していた[gm 3]。港北ニュータウンの造成に伴って1983年︵昭和58年︶から1987年︵昭和62年︶にかけて発掘調査が行われたあと消滅したが、1984年︵昭和59年︶の発掘調査で、古墳時代後期︵5世紀後半- 6世紀後半、約1500[15]-約1400年前[14]︶の竪穴建物跡から握り飯と見られる炭化米の最大長約15cmという大きな塊8個が弁当箱に収められた形で出土している[14][16][15]。5軒の建物址を留めるこの集落は、弥生時代後期から古墳時代にかけて早渕川流域の拠点的集落として営まれていたと考えられている[14]。初出[編集]
奈良時代初期の養老5年︵西暦721年︶に成立した地誌﹃常陸国風土記﹄の﹁筑波郡﹂条には以下の註釈があり[17]、現在知られている限りで、ここに見られる﹁握飯︵当時の読み‥にぎりいひ、現代の読み‥にぎりいい︶﹂が、握り飯やおにぎりと様々に呼ばれる料理の記録上の初出である[17]。 ︽ 原 文︾ ︿風俗說云二握飯筑波之國一。﹀︿以下略之﹀ [18]現代型の所出[編集]
中世から近代[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/72/T%C5%8Dkaid%C5%8D_goj%C5%ABsan_tsugi_saiken_zu%27e%2C_Fujisawa_by_Hiroshige.jpg/220px-T%C5%8Dkaid%C5%8D_goj%C5%ABsan_tsugi_saiken_zu%27e%2C_Fujisawa_by_Hiroshige.jpg)
現代[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/33/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9%E6%8C%AF%E8%BE%BC%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%82%8B%E3%81%94%E3%81%AF%E3%82%93%E3%80%82_%286514042721%29.jpg/220px-%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9%E6%8C%AF%E8%BE%BC%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%82%8B%E3%81%94%E3%81%AF%E3%82%93%E3%80%82_%286514042721%29.jpg)
包装開発史[編集]
業者が作り置きのおにぎりを提供するにあたっては、包装技術の革新が普及の鍵を握っていた。優れた包装の開発がこの市場の成立と拡大を可能にした。 1978年︵昭和53年︶に日本のセブン-イレブンが﹁パリッコフィルム方式﹂と呼ばれるおにぎり専用のフィルム包装システムを開発し、国内で売り出した[29][30]。作り置きの海苔巻きおにぎりといえば、それ以前には、巻かれた海苔が飯の水分に触れているために少なからずしっとりしているもので、本来の海苔がもつ﹁口融けがよく柔和な﹃しっとり﹄﹂と﹁爽やかさにも繋がる﹃パリパリ﹄﹂というそれぞれに魅力的な2種類の食感と風味のうちの前者しか味わえないものであったが、パリッコフィルム方式では食べる直前まで海苔と飯がフィルムで隔てられていて食べる段になって初めておにぎりとして完成する形を執っているため、パリパリの食感と風味を消費者に届けることが可能になったのである[29]。この新しさは消費者に大いに受け入れられ、以来、パリパリおにぎりがコンビニエンスストアの主力商品になった[29]。 ただ、パリッコフィルムはそれを剥がして海苔で巻くまでの作業が煩雑であった[29]。1970年代後半、長野県の惣菜屋が手軽に海苔を巻ける画期的なパッケージを考案したことでそれが変わる。そのパッケージに目をつけた問屋が実用化し、人気を博した[29]。その頃、コンビニの数はまだ少なく、パリパリおにぎりはどこでも買えるわけではなかったため、個人経営のパリパリおにぎり専門店が各地に生まれ、パリパリおにぎりブームが起きた[29]。また、そのフィルムは家庭用に販売されたことで、﹁家庭で作るおにぎりの海苔はしっとりしているもの﹂というそれまでの常識も覆った[29]。![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/09/%E8%A1%8C%E6%A5%BD%E3%81%AE%E3%81%8A%E4%BE%9B%E3%81%AB%21%21_%283779490693%29.jpg/220px-%E8%A1%8C%E6%A5%BD%E3%81%AE%E3%81%8A%E4%BE%9B%E3%81%AB%21%21_%283779490693%29.jpg)
コンビニとスーパーマーケットのおにぎり[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/82/Onigiri_at_a_convenience_store_by_typester_in_Kamakura.jpg/220px-Onigiri_at_a_convenience_store_by_typester_in_Kamakura.jpg)
専門店など[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/1d/Onigiri_shop_by_WordRidden_near_Akihabara_station%2C_Tokyo.jpg/220px-Onigiri_shop_by_WordRidden_near_Akihabara_station%2C_Tokyo.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/74/Onigiri_in_Kyoto_for_sale_March_16_2020_01-54PM.jpeg/220px-Onigiri_in_Kyoto_for_sale_March_16_2020_01-54PM.jpeg)
家庭のおにぎり[編集]
家庭で作られるものは、遠足や外出に携行するための弁当の主食および、作り置きの昼食などのために、用意されている。形状は様々で、俗に﹁バクダンおにぎり﹂と呼ばれる大きな球形に握り、海苔を巻いたおにぎりもある。作り方によって保存性が変わる。東日本では海苔は焼き海苔を巻いて風味を味わう傾向だが、西日本では味付海苔を巻いて味わう傾向にある[34]。ふるさとおにぎり百選[編集]
記念日[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/38/23.3.22_%EF%BC%92%EF%BC%AC%EF%BD%8F%EF%BD%87%E3%83%BB%EF%BC%92%EF%BC%A3%EF%BD%8D%EF%BD%8C%E3%83%BB%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%A2%EF%BC%9A%E7%B5%A6%E9%A3%9F%E6%94%AF%E6%8F%B4%EF%BC%88%E5%B1%B1%E7%94%B0%E5%9C%B0%E5%8C%BA%EF%BC%89%E2%91%A2_%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%B4%BE%E9%81%A3%E6%B4%BB%E5%8B%95_50.jpg/220px-23.3.22_%EF%BC%92%EF%BC%AC%EF%BD%8F%EF%BD%87%E3%83%BB%EF%BC%92%EF%BC%A3%EF%BD%8D%EF%BD%8C%E3%83%BB%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%A2%EF%BC%9A%E7%B5%A6%E9%A3%9F%E6%94%AF%E6%8F%B4%EF%BC%88%E5%B1%B1%E7%94%B0%E5%9C%B0%E5%8C%BA%EF%BC%89%E2%91%A2_%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%81%BD%E5%AE%B3%E6%B4%BE%E9%81%A3%E6%B4%BB%E5%8B%95_50.jpg)
年表[編集]
近世以前[編集]
●弥生時代中期︵紀元前1800年代︶ - おにぎり的特徴が無いわけではない既知で最古の遺物/能登半島にある眉丈山丘陵部で営まれていた集落︵現・杉谷チャノバタケ遺跡︶にて、粽状炭化米塊︵※発見当時は﹃最古のおにぎり﹄と考えられた︶の埋没層が形成された時期。 ●弥生時代後期後半︵3世紀︶ - 相模平野の北金目台地で営まれていた集落︵現・北金目塚越遺跡︶にて、おにぎり状炭化米の埋没層の形成期。 ●古墳時代後期︵5世紀後半- 6世紀後半︶ - 多摩丘陵に発する鶴見川水系・早渕川流域の拠点的集落︵現存しない北川表の上遺跡︶にて、大きなおにぎり状炭化米の埋没層の形成期。 ●養老5年︵721年、奈良時代初期︶ - 握り飯という料理の初出記録/﹃常陸国風土記﹄の成立。﹁筑波郡﹂の条に﹁握飯﹂の記述あり。 ●平安時代 - 現代型の握り飯の直接の起源である﹁屯食︵とんじき︶﹂という食べ物があった。 ●鎌倉時代末期頃 - この頃からうるち米が使われるようになった。 ●室町時代 - 口承文芸として御伽草子﹃おむすびころりん﹄が成立したと考えられる。 ●元禄年間︵1688-1704年間、江戸時代前期︶ - 海苔の養殖が普及したことで四角い板海苔が﹁浅草海苔﹂の名で江戸の市場に登場し、一説には、これを機に海苔巻きおにぎりが生まれたという︵※昭和5年起源説と相剋︶。 ●文化元年︵1804年、江戸時代中期︶ - 小林一茶が俳諧集﹃文化句帖﹄を刊行。所収の句に﹁雲の峰立や野中の握飯﹂あり。 ●嘉永6年︵1853年、幕末間近︶ - ﹃守貞謾稿﹄が編纂される。握り飯についての記述多数あり。ここには握り飯に海苔を巻くとは記載されておらず、海苔巻きおにぎり元禄起源説の反証的史料となっている。近現代[編集]
●1898年︵明治31年︶ - 正岡子規が俳句集﹃月見﹄を刊行。所収の句に﹁稍醉ひし月の酒宴や握飯﹂あり。 ●1930年︵昭和5年︶ - このころ日本は海苔景気に沸いており、一説には、神戸沖で観艦式が行われた際に海苔巻きおにぎりが生まれたという︵※元禄起源説と相剋︶。 ●アメリカによる沖縄統治時代︵1945年-1972年間︶ - 沖縄県にて、この時代にポーク玉子おにぎりが登場し、普及する。 ●1978年︵昭和53年︶ - 包装開発史の始まり/日本のセブン-イレブンがおにぎり専用フィルム包装システムを開発し、美味で衛生的かつ大量生産販売が可能なおにぎり市場の道を拓く。製造販売業各社による包装形態を中心とした開発史がここに幕を開ける。 ●1984年︵昭和59年︶ - 北川表の上遺跡の古墳時代後期層からおにぎり状炭化米が出土する。 ●1986年︵昭和61年︶ - 食糧庁︵現・農林水産省総合食料局︶らが﹁ふるさとおにぎり百選﹂を選定。 ●1987年︵昭和62年︶11月12日 - 杉谷チャノバタケ遺跡の弥生時代中期層から粽状炭化米塊が出土し、当初は﹁最古のおにぎり﹂と見なされた。 ●1990年︵平成2年︶ - うえやまとちの長期連載料理漫画﹃クッキングパパ﹄の第213話でおにぎらずが描かれる。 ●2000年︵平成12年︶12月26日 - ﹁ごはんを食べよう国民運動推進協議会﹂が阪神・淡路大震災の日である﹁1月17日﹂を﹁おむすびの日﹂に制定︵日本記念日協会認定︶。震災当時のボランティアの炊き出しへの感謝が籠められている。 ●2001年︵平成13年︶12月 - 高級おにぎりが日本の販売市場に登場。和紙を使った包装の登場。 ●2002年︵平成14年︶10月1日 - 当時の石川県鹿西町が﹁6月18日﹂を﹁おにぎりの日﹂に制定︵日本記念日協会認定︶。 ●2010年4月24日 - Unicode 6.0.0 に emoji︵世界規格の絵文字︶🍙 が実装される。 ●2013年︵平成25年︶2月 - 任意団体おにぎり協会が設立。 ●2013年︵平成25年︶10月24日 - 東京都渋谷区渋谷にて、日本おにぎり協会の設立。 ●2014年︵平成26年︶2月20日 - 任意団体おにぎり協会が一般社団法人おにぎり協会として法人登記。 ●2014年︵平成26年︶ ●1月17日 - 第13回﹁おむすびの日﹂で行われた好きな具ランキング。順位は、1. 鮭、2. 梅干し、3. 明太子、4. ツナ、4. 昆布、5. たらこ。 ●7月 - 沖縄県那覇市にて、ポーク玉子おにぎりの専門店が初めて開店する。 ●9月初旬 - 料理レシピサイト﹁クックパッド﹂の人気検索キーワードに﹁おにぎらず﹂が突然ランクインし、これを機にブーム化する。 ●2015年︵平成27年︶6月19日 - 石川県中能登町が﹁11月18日﹂を﹁おにぎりの日﹂に制定︵日本記念日協会認定︶。 ●2018年︵平成30年︶11月30日 - ﹁ミシュランガイド東京2019﹂のビブグルマンで世界で初めて﹁おにぎり﹂のカテゴリが登場。地域による呼称[編集]
﹁おむすび﹂﹁握り飯﹂や、単に﹁むすび﹂﹁にぎり﹂などと呼ばれる。﹁握りま︵ん︶ま﹂︵青森県、秋田県等︶、﹁おにんこ﹂︵栃木県︶、﹁にんにこ﹂︵和歌山県︶といった、日本語の方言もある。 歴史的には、古くは﹁握飯﹂︵にぎりいい︶と呼ばれていたものが﹁握り飯﹂︵にぎりめし︶に変化し、女性語の﹁おにぎり﹂になったと考えられる。﹁おにぎり﹂﹁おむすび﹂どちらも握り飯の丁寧語であるが、後者の呼び名は元は子供語、御所の女房言葉であった[40][41][17]。また、国語学者の吉田金彦は﹁おむすび﹂は﹁おにぎり﹂や﹁握り飯﹂と比べて婉曲的な表現で丁寧な語感があり、寿司にも握りがあり、上等であるが、むすびはない、むすびは飯だけの粗末な響きがあるとしている[42]。 東京でも古くは﹁おむすび﹂であったが、上方から新しく言葉が広まったとされ[43]、近畿地方では﹁おにぎり﹂が優勢で、九州・沖縄地方では﹁おにぎり﹂﹁にぎりめし﹂が大半を占める。また北海道、関東地方、四国では両者が拮抗し、中部地方及び中国地方では﹁おむすび﹂が優勢とする研究もある[44]。2013年︵平成25年︶の調査によると、日本全国では﹁おにぎり﹂が89%で、10%の﹁おむすび﹂を圧倒した。地域別でも全都道府県で﹁おにぎり﹂が﹁おむすび﹂を上回り、﹁おむすび﹂が比較的多いのは、中国地方の山口県︵45%︶、広島県︵38%︶等であった[45]。なお、﹁おむすびころりん﹂に関しては全国的に﹁おむすび﹂であり、﹁おにぎりころりん﹂とは言わない。構成・形状[編集]
おにぎりを構成する主な要素は、形・飯・具・包みである。形[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/05/Tawara_onigiri1.jpg/220px-Tawara_onigiri1.jpg)
飯[編集]
日本で主食として食べられるジャポニカ米で炊いたご飯は、冷めてもでん粉が硬くなりにくく、味も落ちにくいため、他の品種と比べておにぎり作りに向いている。 コンビニエンスストアなどで販売されているおにぎりの中には、﹁冷めても美味しい﹂性質が一段と高い低アミロース米が用いられることも多いが、家庭で作られる物は、普段食されているうるち米を炊いた物とするのが普通である。 一番多いのは白飯であるが、他にもチャーハン、ピラフ、チキンライス、ドライカレー、ナシゴレン、炊き込みご飯、焼きおにぎりや揚げおにぎりなど様々な味付け・調理法のバリエーションがある。 もち米を炊いた赤飯のおにぎりもある。赤飯のおにぎりは、胡麻塩の味付けのみで、具無しが普通である。具[編集]
おにぎりに入れる具は白飯と相性が良く、味の濃い物︵防腐の意味もある︶が多い[55]。炊き込みご飯や混ぜ込みご飯のように、ご飯自体に味が付いている場合は、具を包み込まないのが一般的である。 具は中央に埋め込まれるのが一般的だが、スパムむすびのスパム︵ランチョンミート︶や松茸などのように、表面に張り付ける具もある。 梅干しや削り節、昆布などの佃煮が、昔からの定番である。これは携帯食として利用されていた頃は高い保存性、殺菌作用が具材に求められていたからであり、味付けも腐りにくいように塩分を濃くしていた。具が入らない場合は﹁塩むすび﹂になる。 2014年︵平成26年︶の日本での調査では、好きな具は、鮭、梅干し、明太子、ツナ、昆布、たらこ、その他、かつお、高菜漬の順であった[56]。包み[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e8/Sesame_onigiri_closeup_Elijah.jpg/220px-Sesame_onigiri_closeup_Elijah.jpg)
包装[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7c/%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A%EF%BC%88%E3%81%AE%E3%81%9E%E3%81%BF%E4%BC%9A%E3%83%BB%E6%96%B0%E6%BD%9F%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E5%A0%B4%EF%BC%89.jpg/220px-%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A%EF%BC%88%E3%81%AE%E3%81%9E%E3%81%BF%E4%BC%9A%E3%83%BB%E6%96%B0%E6%BD%9F%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E5%A0%B4%EF%BC%89.jpg)
海苔の巻き方[編集]
あらかじめ飯に海苔を巻いておくことでしっとりして飯との一体感を増した海苔を味わうものと、食べる間近まで飯と海苔を密着させないことで乾燥した海苔のパリパリ感を楽しむものとがあり、昔から個々人によって好みが分かれる。前者を﹁直巻き︵じかまき︶﹂、後者を﹁後巻き︵あとまき︶﹂と呼ぶこともある。すぐに飯と馴染んでほぐれのよいしっとり好みに向く海苔と、簡単には形を崩さないパリパリ好みに向く海苔がある。パリパリおにぎりの市販が1978年︵昭和53年︶にコンビニエンスストアから始まり︵※詳しくは﹁#包装開発史﹂を参照のこと︶、特に三角おにぎりでこのタイプは定番化したため、コンビニおにぎり言えばパリパリ海苔︵後巻き︶のほうをイメージするが、実際に取り扱っている商品の種類では両タイプは拮抗している。一方で、専門店などで作り置きを販売する場合は、多くはしっとり海苔のおにぎり︵直巻き︶であり、そうしたものは買って手に取った時点で飯と海苔がよく馴染んでいる。また、客の目の前で作るなどする業態の専門店では、食べ始めはパリパリを楽しみ、食べ進むほどにしっとりを味わえることを売りにしている例もある。作り方[編集]
おにぎりは以下のようにして作る。 (一)ぬるま湯に浸して軽く水をきった手に塩を軽くまぶし、蒸らしたご飯を1個分のおにぎりに見合う量だけ取る。この塩を手塩という。 (二)まずは外側を軽く固める程度に握り、中央に具材を埋める。 (三)複数回に分けて回しながら均一に一気に力をかけて握り、形を整える。何回も握ると、中まで固くなる。柔らかすぎると崩れるが、固く握りすぎると食感が悪くなる。 手に付着した黄色ブドウ球菌などがおにぎりに移らないように、ラップに包んで握るのもよい。生活雑貨店等で市販のプラスチック製の﹁おにぎりの型﹂を使うと、ご飯を詰めるだけで簡単におにぎりの形に仕上がる。大量生産を目的とする弁当工場では﹁おにぎり成形機﹂が用いられる。 現在では色々な場面でおにぎりが食されている。携行性より美味しさを求めて、以下の点に配慮する。 ●口に含んだ食感が柔らかい。 ●ご飯の中に入れる具材に多様性を求める。 ●昨今の減塩対策と職種ごとに異なる発汗量を考慮し、塩分を控える。 ●海苔は好みで巻く。巻き方は様々である。バリエーションと派生形[編集]
焼きおにぎり[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bf/Yaki-Onigiri_001.jpg/220px-Yaki-Onigiri_001.jpg)
揚げおにぎり[編集]
揚げおにぎりとは、白飯を握った後、︵表面に片栗粉をまぶす方法もあり︶、フライパンや中華鍋などできつね色になるまで食用油で揚げ焼きにしたものである。油を使うので、焼きおにぎりよりもコクがある。単体で食す場合には、醤油や味噌や塩で味付けする。 さらに器に盛りつけ、刻んだ小ネギ︵アサツキ︶、三つ葉、わさび、おろし生姜、刻み海苔、梅干しなどの薬味を添え、熱々の和風出汁をかけて︵汁の具に大根などを用いてもよい︶、出汁を吸った揚げおにぎりを崩しながら食す。 あるいは器に盛りつけ、揚げおにぎりの和風出汁あんかけにする場合もある。 炊き込みご飯などの和風味付け・具あり飯を揚げるバリエーションもある。中にとろけるチーズを仕込んだり、ケチャップやカレーなどの洋風味付け・具あり飯を揚げ、洋風出汁︵スープ︶をかける洋風バリエーションもある。洋風バージョンはライスコロッケに似ている。おにぎらず[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/0/07/Onigirazu_%28Japanese_rice_sandwich%29.jpg/220px-Onigirazu_%28Japanese_rice_sandwich%29.jpg)
その他[編集]
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/9a/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A_%E7%99%BD%E7%B1%B3_%2837271579650%29.jpg/220px-%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%9E%E3%82%B4%E3%81%8A%E3%81%AB%E3%81%8E%E3%82%8A_%E7%99%BD%E7%B1%B3_%2837271579650%29.jpg)
各国における現状[編集]
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
詩歌[編集]
連歌・俳諧・俳句において、﹁おにぎり﹂﹁おむすび﹂﹁むすび﹂﹁握り飯/握飯︵にぎりめし︶﹂﹁包み飯︵つつみいい︶﹂などは同じものを意味するが、いずれも季題・季語ではない。しかしながら、詠まれることは多く、その際は﹁握り飯/握飯/にぎり飯/にぎりめし﹂という表現が好まれ、他はあまり見られない。 ●例句‥雲くもの峰みね立たつや野のな中かの握にぎ飯りめし ──小林一茶 ﹃文化句帖﹄︵文化元年甲子四十二歳 / 1804年︶[85] ●例句‥稍やや醉よひし月の酒うた宴げや握飯 ──正岡子規 ﹃月見﹄[85]︵1898年/明治31年刊︶ ●例句‥二にさ三んに人ん 若わか草くさに座ざして握り飯 ──正岡子規 ﹃若草﹄ ●例句‥陽かげ炎ろふや 野の辺べに捨てたる握飯 ──尾崎紅葉 [85] ●例句‥風の午後 髪かみ刈からす子に握むす飯びやる ──佐藤鬼房 [85] ●例句‥夏雲や ずしりと母の握り飯 ──宮坂静生 ﹃青胡桃 句集﹄[85]︵1964年/昭和39年刊︶ 他方、川柳の場合、現在では﹁おにぎり/お握り﹂﹁おむすび﹂なども数多く詠まれている。脚注[編集]
注釈[編集]
- Googleマップ
- ^ 杉谷チャノバタケ遺跡(地図 - Google マップ) ※該当施設は赤色でスポット表示される。
- ^ 北金目塚越遺跡(地図 - Google マップ) ※上に同じ。
- ^ 味の民芸 港北ニュータウン店(地図 - Google マップ) ※上に同じ。