目梨郡
目梨郡︵めなしぐん︶は、北海道︵根室国︶根室振興局の郡。
人口4,314人、面積397.72km²、人口密度10.8人/km²。︵2024年4月30日、住民基本台帳人口︶
以下の1町を含む。
●羅臼町︵らうすちょう︶
郡域[編集]
1879年︵明治12年︶に行政区画として発足した当時の郡域は、上記1町に標津郡標津町の一部︵崎無異・薫別・古多糠・忠類︶を加えた区域にあたる。名称の由来[編集]
アイヌ語に由来する。由来となったアイヌ語の﹁メナㇱ︵menas︶﹂には﹁東﹂﹁東風﹂の2つの意があり、そのどちらであるかははっきりしていない。アイヌ語研究者の山田秀三は﹁東︵の土地︶﹂の意と解釈するにとどめている[1]。 なお、もともとは現在の目梨郡のほか、現在の標津付近を含む地方名だった[1]。歴史[編集]
郡発足までの沿革[編集]
江戸時代の目梨郡域は、松前藩によって開かれたネモロ場所に含まれた。松前藩の﹁新羅之記録﹂によると、元和元年から元和7年頃、メナシ地方の蝦夷︵アイヌ︶が、100隻近い舟に鷲の羽やラッコの毛皮などを積み、松前で交易したと記録されている。寛政元年、蝦夷の人々が蜂起したクナシリ・メナシの戦い︵寛政蝦夷蜂起︶が勃発、メナシ地方でも多数の和人が殺害される。同年、羅臼温泉が発見された。 江戸時代後期、目梨郡域は東蝦夷地に属していた。南下政策を強力に進めるロシアの脅威に備え寛政11年目梨郡域は天領とされた。文政4年に一旦松前藩領に復したものの、安政2年再び天領となり会津藩が警固をおこなった。また、羅臼神社の創立は安政年間と伝わる。安政3 - 4年ころ知床半島硫黄山の噴火があった。安政6年の6藩分領以降は会津藩領となった。戊辰戦争︵箱館戦争︶終結直後の1869年、大宝律令の国郡里制を踏襲して目梨郡が置かれた。郡発足以降の沿革[編集]
明治9年の大区小区
- 第25大区
- 5小区 : 忠類村、薫別村、崎無異村、植別村
- 第25大区
●明治12年︵1879年︶7月23日 - 郡区町村編制法の北海道での施行により、行政区画としての目梨郡が発足。
●明治13年︵1880年︶7月 - 根室郡外八郡役所︵根室花咲野付標津目梨国後得撫新知占守郡役所︶の管轄となる。
●明治15年︵1882年︶2月8日 - 廃使置県により根室県の管轄となる。
●明治18年︵1885年︶1月 - 根室郡外九郡役所︵根室花咲野付標津目梨国後得撫新知占守色丹郡役所︶の管轄となる。
●明治19年︵1886年︶
●1月26日 - 廃県置庁により北海道庁根室支庁の管轄となる。
●2月 - 根室支庁が廃止。
●明治30年︵1897年︶11月5日 - 郡役所が廃止され、根室支庁の管轄となる。
●大正12年︵1923年︶4月1日
●北海道二級町村制の施行により、植別村︵二級村、単独村制︶が発足。︵1村︶
●忠類村・薫別村・崎無異村が標津郡標津村の一部となる。
●昭和5年︵1930年︶7月1日 - 植別村が改称して羅臼村︵二級村︶となる。
●昭和18年︵1943年︶6月1日 - 北海道一・二級町村制が廃止され、北海道で町村制を施行。二級町村は指定町村となる。
●昭和21年︵1946年︶10月5日 - 指定町村を廃止。
●昭和22年︵1947年︶5月3日 - 地方自治法の施行により北海道根室支庁の管轄となる。
●昭和36年︵1961年︶8月1日 - 羅臼村が町制を施行して羅臼町となる。︵1町︶
●平成22年︵2010年︶4月1日 - 根室支庁が廃止され、根室振興局の管轄となる。
行政[編集]
特記なき場合﹃根室・千島歴史人名事典﹄による[2]。 根室郡外八郡長代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 和田正苗 | 明治13年(1880年)7月15日 | 明治18年(1885年) | 花咲郡の一部から色丹郡が分立 |
- 根室郡外九郡長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 松下兼清 | 明治18年(1885年) | 明治19年(1886年) | |
2 | 広田千秋 | 明治19年(1886年)12月 | 明治22年(1889年) | |
3 | 細川碧 | 明治22年(1889年)7月 | 明治23年(1890年)7月 | |
4 | 高岡直吉 | 明治23年(1890年)8月11日 | 明治28年(1895年)12月3日 | |
5 | 林悦郎 | 明治28年(1895年)12月18日 | 明治30年(1897年)11月5日 | 根室郡外九郡役所を廃し根室支庁を置く。 |
脚注[編集]
- ^ a b 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日、225頁。ISBN 978-4-88323-114-0。
- ^ 根室・千島歴史人名事典編集委員会 2002, 364頁.
参考文献[編集]
- 根室・千島歴史人名事典編集委員会 編『根室・千島歴史人名事典』根室・千島歴史人名事典刊行会、2002年。
- 角川日本地名大辞典 1 北海道