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* 源公役の[[佐藤蛾次郎]]は、第8作だけは[[ポスター]]に名を連ねたものの、撮影直前に交通事故にあい緊急入院したため出演していない。 |
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* 源公役の[[佐藤蛾次郎]]は、第8作だけは[[ポスター]]に名を連ねたものの、撮影直前に交通事故にあい緊急入院したため出演していない。 |
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* 映画の舞台に使用した柴又の団子屋が、実際に「とらや」に屋号を変更したため、作中の「とらや」の屋号は、第40作から「くるまや」に変わる。 |
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* 映画の舞台に使用した柴又の団子屋が、実際に「とらや」に屋号を変更したため、作中の「とらや」の屋号は、第40作から「くるまや」に変わる。 |
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* 柴又の店舗「とらや」で撮影されていたのは第4作までで、それ以降は[[松竹大船撮影所]]のセットである。 |
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* [[出川哲朗]]は若手時代に、第37作から第41作の5作品に端役で出演し、全ての出演シーンでなぜかはちまきをしている。第37作・第39作ではセリフもある。本人のコメントによると、撮影現場で渥美清に「君は普段何をしてるのかね?」と尋ねられたという。また、第37作では[[エド・はるみ]]も端役で出演している。第50作では出版社の編集者役で出演した。 |
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* [[出川哲朗]]は若手時代に、第37作から第41作の5作品に端役で出演し、全ての出演シーンでなぜかはちまきをしている。第37作・第39作ではセリフもある。本人のコメントによると、撮影現場で渥美清に「君は普段何をしてるのかね?」と尋ねられたという。また、第37作では[[エド・はるみ]]も端役で出演している。第50作では出版社の編集者役で出演した。 |
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* 第46作には、本作と同時上映として製作されていた『[[釣りバカ日誌]]』の主人公である[[西田敏行]]演じるハマちゃんが[[カメオ出演]]している。釣具を背負ったハマちゃんが釣りに向かう途中、くるまやの前を通って、おばちゃんと会話を交わすというもので、松竹の二大シリーズ間で[[クロスオーバー作品|クロスオーバー]]が行われた。 |
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* 第46作には、本作と同時上映として製作されていた『[[釣りバカ日誌]]』の主人公である[[西田敏行]]演じるハマちゃんが[[カメオ出演]]している。釣具を背負ったハマちゃんが釣りに向かう途中、くるまやの前を通って、おばちゃんと会話を交わすというもので、松竹の二大シリーズ間で[[クロスオーバー作品|クロスオーバー]]が行われた。 |
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* 2001年(平成13年)8月4日、奇しくも渥美清の5回目の命日に、[[柴又八幡神社古墳]]において帽子や顔の輪郭などが「寅さん」にそっくりな埴輪が出土した<ref name="trivia">{{Cite book |和書 |author=フジテレビトリビア普及委員会 |year=2004 |title=トリビアの泉〜へぇの本〜 5 |publisher=[[講談社]] }}</ref>。その後、複製が寅さん記念館に展示された。この埴輪は[[下総型人物埴輪]]と呼ばれる6世紀後半のもので埴輪としても帽子を被っており、大きさは約35cmで、この埴輪を見た山田洋次は驚いたという<ref name="trivia" />。新聞で紹介されたときは「君は寅さんのご先祖様かい?」という見出しがついた。 |
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* 2001年(平成13年)8月4日、奇しくも渥美清の5回目の命日に、[[柴又八幡神社古墳]]において帽子や顔の輪郭などが「寅さん」にそっくりな埴輪が出土した<ref name="trivia">{{Cite book |和書 |author=フジテレビトリビア普及委員会 |year=2004 |title=トリビアの泉〜へぇの本〜 5 |publisher=[[講談社]] }}</ref>。その後、複製が寅さん記念館に展示された。この埴輪は[[下総型人物埴輪]]と呼ばれる6世紀後半のもので埴輪としても帽子を被っており、大きさは約35cmで、この埴輪を見た山田洋次は驚いたという<ref name="trivia" />。新聞で紹介されたときは「君は寅さんのご先祖様かい?」という見出しがついた。 |
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* さくらと博が住む川沿いの家は、毎回同じではなく変わっている。 |
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*[[1986年]]8月は、[[山田洋次]]監督の『[[キネマの天地]]』が公開されたため、『男はつらいよ』シリーズは制作されていないが、寅さんファミリー総出演である。主人公の小春(演:[[有森也実]])の父親である喜八を「渥美清」が演じ、親子役で「倍賞千恵子」がゆき(弘吉の妻)、「前田吟」が弘吉(ゆきの夫、都電の運転手)、「吉岡秀隆」が満男(息子)。その他でも健二郎(演:[[中井貴一]])の下宿のおかみ(貞子)を「三崎千恵子」、健二郎の父親(島田庄吉)を「下條正巳」、留置場の男(留吉)を「佐藤蛾次郎」、撮影所の小使(トモさん)を「笠智衆」が演じている。 |
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*[[1986年]]8月は、[[山田洋次]]監督の『[[キネマの天地]]』が公開されたため、『男はつらいよ』シリーズは制作されていないが、寅さんファミリー総出演である。主人公の小春(演:[[有森也実]])の父親である喜八を「渥美清」が演じ、親子役で「倍賞千恵子」がゆき(弘吉の妻)、「前田吟」が弘吉(ゆきの夫、都電の運転手)、「吉岡秀隆」が満男(息子)。その他でも健二郎(演:[[中井貴一]])の下宿のおかみ(貞子)を「三崎千恵子」、健二郎の父親(島田庄吉)を「下條正巳」、留置場の男(留吉)を「佐藤蛾次郎」、撮影所の小使(トモさん)を「笠智衆」が演じている。 |
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* 正月映画としての公開が毎年の恒例(1990年以降。1971~1989年は1988年を除き毎年お盆と正月の公開)だったことから、「寅さん」は冬の季語にもなっている。 |
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* 正月映画としての公開が毎年の恒例(1990年以降。1971~1989年は1988年を除き毎年お盆と正月の公開)だったことから、「寅さん」は冬の季語にもなっている。 |
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この項目では、「男はつらいよ」シリーズ全般について説明しています。
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柴又駅前にたつ「フーテンの寅」こと車寅次郎の銅像
﹃男はつらいよ﹄︵おとこはつらいよ︶は、渥美清主演、山田洋次原作・監督︵一部作品除く︶のテレビドラマおよび映画シリーズである。主人公の愛称から﹁寅さん﹂︵とらさん︶シリーズとも称される。
テキ屋稼業を生業とする﹁フーテンの寅﹂こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の柴又に戻ってきては、何かと大騒動を起こす人情喜劇で、毎回旅先で出会った﹁マドンナ﹂に惚れつつも失恋するか身を引くかして、成就しない。寅次郎の恋愛模様を日本各地の美しい風景を背景に描く。
概要
﹃男はつらいよ﹄は最初、1960年代半ばから、鶴田浩二や高倉健、池部良らを主役脇役に据えて発展させた東映﹁ヤクザ映画﹂のパロディとして企画された[1][2]。安藤昇が助監督時代の山田洋次に﹃男はつらいよ﹄の原案を伝えたという説がある[3][4]。高倉は山田監督による﹃幸福の黄色いハンカチ﹄﹃遥かなる山の呼び声﹄に出演。この両作品で渥美清、倍賞千恵子とも共演している。
1968年︵昭和43年︶ - 1969年︵昭和44年︶に、フジテレビが制作・放送したテレビドラマが最初で、柴又の帝釈天が舞台ではなかった。このテレビ版はヒットしたが、最終話でハブ酒を作ってひと儲けしようとした寅次郎が、奄美大島にハブを取りに行って逆にハブに咬まれ、毒が回り死んだという結末に視聴者から多数の抗議が殺到して、映画化につながった。
映画シリーズは、松竹によって1969年︵昭和44年︶8月27日に第1作が公開され、1995年︵平成7年︶までに渥美が参加した48作が、1997年︵平成9年︶と、2019年︵令和元年︶に特別編が公開された。
山田洋次が全作の原作・脚本を担当。第3作︵監督‥森崎東︶、第4作︵監督‥小林俊一︶を除く46作を監督した。第5作で山田が再び監督し、シリーズを完結させる予定であったが、あまりのヒットに続編の製作が決定した。
以降、全作品がヒットして松竹のドル箱シリーズとなり、30作を超えた時点で世界最長の映画シリーズ︵作品数︶としてギネスブック国際版にも認定された︵年数では﹃007﹄シリーズの方が長い︶。山田は全50作完結を構想し、第49作﹃寅次郎花へんろ﹄準備中に渥美の死去により、1995年︵平成7年︶に公開された第48作﹃男はつらいよ 寅次郎紅の花﹄をもって終了︵打ち切り︶になった。その後、ファンからのラブコールが多かったとのことで、﹃男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花﹄を再編集し、新撮影分を加えた﹃男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇﹄が1997年︵平成9年︶- 1998年︵平成10年︶に公開された。
渥美が収録に参加した映画シリーズ48作の配給収入は464億3000万円[5]、観客動員数は7957万3000人[5] を記録。ビデオソフトは1996年7月末までにセル用とレンタル用の合計で85万本が流通している[6]。
1969年︵昭和44年︶の映画第1作公開から50周年に当たる2019年︵令和元年︶12月27日には、旧作の名場面に新撮部分を加えた第50作﹃男はつらいよ お帰り 寅さん﹄が公開[7][8][9]。2018年︵平成30年︶9月6日に誕生50周年を迎える来夏頃に“50作目”となる新作映画を公開することが6日、都内で行われた﹃50周年プロジェクト﹄会見で発表された。“22年ぶり”となる新作には、シリーズ全49作を4Kデジタル修復した映像と、新たに撮影される映像が使用される。あわせて、2年をかけて4Kデジタル修復されたシリーズ全49作のBlu-ray Disc発売と全国劇場公開、東京都葛飾区柴又の寅さん記念館のリニューアルオープン、山田洋次監督の小説﹃悪童 小説 寅次郎の告白﹄の刊行、BSテレ東の企画﹃やっぱり土曜は寅さん!﹄による全49作のテレビ放送、などが行われた[10]。
テレビドラマ
フジテレビ系列で1968年10月3日から1969年3月27日まで毎週木曜日22時00分 - 22時45分に放送された。脚本は山田洋次・稲垣俊・森崎東らが手掛けた。全26話だが、映像は第1話と最終話しか現存していない︵後述︶。
あらすじ(テレビドラマ)
東京の東の外れ、葛飾区柴又に帝釈天こと名刹題経寺がある。門前町には名物の草団子を商う店が軒を連ねている。その中に﹁とら屋︵とら家︶﹂と言う江戸時代から続く老舗があった。そこには主人の車竜造(森川信)と妻のつね(杉山とく子)、そして両親と長兄を亡くし、腹違いの次兄は行方知れずになったままの姪さくら(長山藍子)が暮らしている。日々何事も無く平凡な毎日を過ごしている﹁とら屋﹂一家のもとに行方不明だったさくらの兄・寅次郎︵渥美清)が1968年︵昭和43年︶夏、18年ぶりに帰って来た。感動の対面を果たす兄と妹。ただしすぐに人相の悪い怪しげな寅次郎の仲間達が押しかけて来てどんちゃん騒ぎを始める。あまりの非常識な振る舞いにさくらの怒りを買った寅次郎は翌日反省し再び旅に出て二度と帰らない事を決める。ところが柴又の町内を出ないうちに近所に住む恩師の散歩先生︵東野英治郎︶の娘で幼馴染みの坪内冬子︵佐藤オリエ︶に出会い一目惚れ、冬子恋しさにそのまま﹁とら屋﹂に居つくことになる。旅暮らしでいつかは一獲千金が実現する事を夢見ながらテキ屋稼業をしている寅次郎は平穏なとら屋の日常を過激なまでに変えてしまう。可愛いさくらの為に奮闘努力を誓う寅次郎だがほとんど空回りに終わる。さくらといい仲だった恋人の道夫︵横内正︶との間に入ってぶち壊しにしたり、次から次へと変な知り合いを連れて来たり、警察のご厄介になったり、テレビに出て大恥をさらしたり、はたまた急にアメリカ航路に密航して心配させたり大騒動続きである。そんな寅次郎の破天荒な生き様を最初は煙たがっていたさくら達だが次第に刺激を与えられることを楽しむようになる。それと共に寅次郎の悪気が無く憎めない人柄を愛するようになって行く。その後さくらは寅次郎が仮病で入院した時に知り合った医師の諏訪博士︵井川比佐志︶と結婚、体調を崩した竜造は﹁とら屋﹂をたたむ事を決意、散歩先生は亡くなり、冬子も恋人の藤村︵加藤剛︶との結婚を決めた。心の拠り所が無くなった寅次郎は一獲千金を狙い弟の雄二郎︵佐藤蛾次郎︶を引き連れて奄美大島までハブを捕まえに行く。時は流れ、さくらのお腹に赤ちゃんが授かった頃、突然雄二郎がやって来る。奄美大島でハブに噛まれて絶命した寅次郎の遺品と言う帽子を携えて…。信じられないさくら。その夜、さくらのアパートにひょっこりと寅次郎が現れる。やっぱり生きてたんだ!喜ぶさくらだが寅次郎はすぐに姿を消す。慌てて外へ出ると寅次郎は愛唱歌﹁喧嘩辰﹂を歌いながら去って行く。追いかけるさくらが公園にきたところで寅次郎の姿はフッと消えてしまう。心配して駆けつけた博士の腕の中でいつまでも泣き続けるさくらだった。
登場人物(テレビドラマ)
●車寅次郎︵別名フーテンの寅、通称寅さん又は寅ちゃん︶‥渥美清
●車さくら︵戸籍上は車櫻。寅の腹違いの妹︶‥長山藍子
●車竜造[注 1]︵寅の叔父。通称おいちゃん又はおじちゃん[注 2]︶‥森川信
●車つね︵竜造の妻。通称おばちゃん︶‥杉山とく子
●坪内冬子︵マドンナ。寅とさくらの幼馴染︶‥佐藤オリエ
●坪内散歩︵寅の恩師で英語の先生。冬子の父︶‥東野英治郎
●諏訪博士︵ひろしと読むが寅ははかせと呼ぶ。寅の担当医。物語終盤にさくらと結婚する︶‥井川比佐志
●川又登︵寅の舎弟でとら屋の従業員︶‥津坂匡章
●染子︵寅の実母、京都の連れ込み旅館の女将︶‥武智豊子
●川島雄二郎︵自称・寅の実弟。タネ違いの弟。その髪形から寅はドイツの鉄兜と呼ぶ︶‥佐藤蛾次郎
●山本久太郎︵通称Qさん。寅の昔の仲間で泥棒として登場︶‥佐山俊二
●鎌倉道夫︵さくらの恋人︶‥横内正
●マクナマラ︵画家︶‥マーティ・キーナート
●しののめの銀蔵︵寅の親分︶‥杉狂児
●中村タミ子︵寅の昔馴染み︶‥市原悦子
●高橋英吉︵タミ子の内縁の夫︶‥田中邦衛
●マスター︵スナックの店主︶‥田武謙三
●愛子︵喫茶店のウエイトレス︶‥寺田路恵
●アケミ︵竜造の浮気相手︶‥宮本信子
●岡村亀雄︵寅の同級生︶‥塚本信夫
●畠山三太郎︵寅の昔の仲間︶‥谷幹一
●畠山ツル子︵三太郎の妻︶‥春川ますみ
●藤村薫︵バイオリニスト。冬子の恋人︶‥加藤剛
●テレビ番組 小川宏ショー出演者本人(特別出演)‥小川宏、露木茂、田代美代子
スタッフ(テレビドラマ)
ネット局(テレビドラマ)
製作
1966年にフジテレビで放送されていた、渥美清主演の連続テレビドラマ﹃おもろい夫婦﹄が大ヒットしており、これをきっかけに昭和40年代の同局では、渥美の連続ドラマが毎年のように放送されていた。本作は第3作にあたる。
制作は、フジテレビと当時の渥美の所属事務所の高島事務所。テレビ版は松竹の制作ではない。企画と演出はフジテレビ制作部のディレクター兼プロデューサー︵当時︶の小林俊一。同局の編成部では白川文造が係わった。
1968年夏、新人監督となった山田洋次がフジテレビから渥美主演のドラマの脚本の依頼を受けたことで本作の企画が始まった[10]。本作の原点となったのはフランスの国民的作家・マルセル・パニョルによる喜劇﹁マルセイユ3部作﹂︵﹃マリウス﹄︿1929年﹀、﹃ファニー﹄︿1932年﹀、﹃セザール﹄︿1936年﹀︶で、学生時代に演劇好きの友人から戯曲を借りて読み﹁なんとここには日本人しか分からないと思っていた落語や浪花節の人情の世界がマルセーユを舞台にしてたっぷりと描かれているではないか﹂と感銘を受けた山田は後にフジテレビから渥美主演のテレビシリーズの脚本執筆を打診された際に青春時代に読んだ同シリーズを思い出し、﹁マリウスは博で、ファニーはさくら。セザールは渥美さんが演じた寅さん﹂と同シリーズに登場する愛すべき人物たちを中心にさらに熊五郎・八五郎・ご隠居といった古典落語の登場人物も重ね合わせて本作の登場人物たちを構築[16][17]。主人公の﹁寅さん﹂については、執筆に先立って﹁ゆっくり話がしたい﹂と主演の渥美と東京・赤坂の旅館で対面し、まるで名人の落語を聞くかのように驚異的な記憶力とテキ屋の口上など豊かな話術で笑わせる渥美から﹁この人は本当に頭がいい人だな。こういう人が愚かな男を演じると面白い話ができるのでは﹂﹁落語に出てくる熊さんのようなキャラクターが、この人ならできるんじゃないか﹂との着想を得て、落語の熊さんと結びつけながら﹁下町の不良少年のなれの果て﹂という﹁寅さん﹂のキャラクターを創造していった[10][18]。柴又帝釈天の舞台設定は、助監督時代に作家の早乙女勝元との打ち合わせの折に帝釈天参道で食事したことを思い出し、戦災から逃れた風情の残る街並みと﹁葛飾、柴又、帝釈天﹂の語感が良さから決定。ほどなく門前の団子屋の設定も決まった[10]。
企画段階でのタイトルは﹃愚兄賢妹﹄という番組名だったが、フジテレビの営業から﹁愚兄賢妹では堅苦しくて番組として売り難い﹂と言われたため、タイトルを変更することになる。そして、北島三郎が唄っていた﹃意地のすじがね﹄の中にあった﹁つらいもんだぜ男とは﹂という歌詞をヒントに、小林俊一が﹃男はつらいよ﹄と命名した。
他にも、同時期にTBS系列で放送されていた渥美清主演のテレビ映画﹃泣いてたまるか﹄の、最終話のタイトルが﹁男はつらい﹂であり、この回の脚本を山田洋次が書いていたことも決め手となった。他にも渥美清が良く口ずさむ歌が北島三郎であり、その作詞者が星野哲郎であることも主題歌の作詞を依頼する決め手になった。
音楽の山本直純に関しては小林俊一がドラマを企画する際に好んで依頼していたのが山本であり、一連の渥美ドラマでも同様に山本直純に依頼した。
放送とその後
船山馨原作のベストセラー小説をドラマ化した﹃石狩平野﹄︵脚本‥早坂暁、主演‥南田洋子︶が不調で、1年の放送期間が半年に短縮された[注 3]。これにより、秋の番組編成に穴が空いてしまったため、本作の放送時間が木曜22時となる。今でこそ木曜22時は﹁木曜劇場﹂で定着しているが、当時のこの時間帯は他局が圧倒しており、大苦戦が続いたフジは同局の渥美ドラマの人気で打破したい思惑もあった。
放送開始当初こそ視聴率は苦戦を続けたが、回数を重ねる毎に少しずつ上昇していき、番組終了までに最高で20パーセント台を達するまでになった。視聴率としては高いとは言えないが、当時の状況を思えば大健闘の数字である。
一部の資料では﹁3か月間13回を放送を延長して26回になった﹂という記述があるが実際は最初から半年間26話の予定であり、13話説は小林俊一が山田洋次を説得する際に出した打開案に過ぎない。
最終話で寅次郎は、ハブ狩りで一儲けしようと奄美大島に出かけるが、そのハブに噛まれて死んでしまう。寅次郎を死なせたことで、視聴者からはテレビ局に抗議の電話が殺到、これが映画化に繋がった。しかし、当時はまだテレビ番組の地位が、映画から見てかなり低く見られていた時代であった。松竹は、テレビ番組の映画化に難色を示していたが、山田洋次と松竹プロデューサー上村力の説得に折れる形で映画化された︵当時、松竹の社長であった城戸四郎が山田の意見を汲みいれた︶[20]。
テレビドラマ版エピソード
寅次郎が首に下げているお守りは成田山新勝寺のもの、帽子は渋谷道玄坂の店で作られた特注品であり、撮影の邪魔にならないようにツバが既製品より短く作られている。帽子やシャツ、雪駄も手製であり、テレビ版終了後の打ち上げで商品としてそれぞれスタッフが一つずつ持ち帰ったものの、映画を製作にするにあたり慌ててすべて取り戻したという逸話がある。最終回の舞台は奄美大島であるが、これは沖縄が当時米軍統治下であり、ロケは徳之島で行われた。以上のエピソードは﹁テレビドラマ版DVD﹂の特典映像スタッフによる座談会で明らかにされている。
映像の現存状況
テレビ版の映像は、フジテレビのライブラリーには第1話と最終話だけしか現存していない。その理由としては、以下の事柄も関係している。
●当時のVTRの規格が2インチで、機器・テープ共に高価だった。
●当時は著作権法などの絡みで、番組の資料保存が制約されていた。
●番組保存の概念が希薄だったことや、白黒番組が二次使用で商売になることは想定しなかった。
そのため当時、ビデオテープは放送後に別の作品へ使い回され、内容が上書き消去されるのが普通であった。
現存する第1話と最終話については渥美清の没後、同局の情報番組﹃ビッグトゥデイ﹄で、追悼企画としてノーカットで再放送されたほか、1997年2月にフジテレビよりVHSで、2008年8月に松竹よりDVDでソフト化された。これらの映像ソフトでは、欠落した回も写真で紹介するほか、スタッフによる企画の誕生などのエピソードが収録されている。横浜市にある放送ライブラリーでは、第1回を閲覧することができる。2015年5月10日と2016年1月9日に、BSフジにて第1話と最終話が一挙放送された。
関連商品
- VHS
-
- 男はつらいよ・完全復刻オリジナルテレビ版(1997年2月21日、フジテレビジョン、PCVC-30568)
- DVD
-
- テレビドラマ版「男はつらいよ」(2008年8月27日、松竹 映像商品部、DB-0264)
- 第1話、最終話と特典映像(インタビュー、最終話までのあらすじ紹介)を収録
放映リスト
話数 |
放送日 |
脚本 |
演出 |
とらや関係者以外の出演者 |
備考
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第1話 |
1968年 10月3日 |
山田洋次 稲垣浩一(稲垣俊) |
小林俊一 |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ |
寅とさくら18年ぶりの再会
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第2話 |
10月10日 |
山田洋次 |
諏訪博士:井川比佐志 川又登:津坂匡章 澤田雅美 |
寅、仮病で入院 舎弟・川又登が住み込むようになる
|
第3話 |
10月17日 |
稲垣俊 |
大宮部長:浜田寅彦 鎌倉正夫:松本克平 鎌倉道夫:横内正 道夫の母:中村美代子 高野ひろみ |
寅の失言でさくらの縁談がストップ
|
第4話 |
10月24日 |
稲垣俊 |
諏訪博士:井川比佐志 鎌倉道夫:横内正 道夫の母:中村美代子 |
傷心のさくらのためにハワイ旅行に以降とするが…
|
第5話 |
10月31日 |
山田洋次 |
山本久太郎:佐山俊二 田武謙三 平岡奈津美 |
旅行会社の倒産でハワイ旅行は中止に 寅が店の留守番をしていると、 久太郎という泥棒が入り意気投合
|
第6話 |
11月7日 |
山田洋次 東盛作(森崎東) |
マクナマラ:マーティ・キナート 坪内散歩:東野英治郎 |
寅の口上に惚れたマクナマラ青年と、寅・さくらの交流
|
第7話 |
11月14日 |
山根優一郎 |
鎌倉道夫:横内正 道夫の母:中村美代子 |
寅がアメリカ航路で密航中、さくらは道夫との仲に苦しむ。 寅が帰国しさくらは過去を清算しようとする
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第8話 |
11月21日 |
山田洋次 稲垣俊 |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ (特別出演)小川宏 露木茂 田代美代子 |
町内に下着泥が現れ、舎弟の登が疑われる。 釣り竿作戦で真犯人を捕らえた寅は評判となって 「小川宏ショー」に出演することになるが…
|
第9話 |
11月28日 |
光畑碵郎 |
坪内冬子:佐藤オリエ |
男に絡まれそうになっていた冬子を寅は助けるが…
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第10話 |
12月5日 |
山田洋次 森崎東 |
東雲の銀蔵親分:杉狂児 石山律雄 石田茂樹 |
寅はかつての恩人銀蔵親分のために熊本へ向かう
|
第11話 |
12月12日 |
山田洋次 |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ 寅の母親・染子:武智豊子 川島雄二郎:佐藤蛾次郎 賀原夏子 |
散歩先生と冬子は九州から戻ってこなかった寅を京都で発見 寅は30年前に生き分かれた実母に会いに京都に来ていた…
|
第12話 |
12月19日 |
山田洋次 東盛作(森崎東) |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ 川島雄二郎:佐藤蛾次郎 北小路:野々村潔 |
散歩先生は冬子に見合いをさせるために京都に。 寅の心中は…
|
第13話 |
12月26日 |
山田洋次 光畑碵郎 |
諏訪博士:井川比佐志 愛子:寺田路恵 |
年末柴又に戻った寅。寅不在中にさくらと諏訪の仲が進展し…
|
第14話 |
1969年 1月2日 |
山田洋次 |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ 愛子:寺田路恵 |
散歩先生の家で汁粉を食べながら人生について語る
|
第15話 |
1月9日 |
山田洋次 森崎東 |
諏訪博士:井川比佐志 山本久太郎:佐山俊二 愛子:寺田路恵 |
寅に見合い話が! 登に思い人ができるが、相手は寅に興味津々で…
|
第16話 |
1月16日 |
山根優一郎 |
中村タミ子:市原悦子 高橋英吉:田中邦衛 |
寅の元に北海道からタミ子が訪ねてくる。 次の日、「人の女房によくも手を出しやがったな!」と男が乱入し…
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第17話 |
1月23日 |
光畑碵郎 |
竹千代:松村知毅(子役) 田武謙三 |
見知らぬ子供に父ちゃんになってやると言った寅が…
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第18話 |
1月30日 |
山田洋次 |
アケミ:宮本信子 田武謙三 |
おいちゃんの浮気相手・アケミがとら屋に乗り込んできて…
|
第19話 |
2月6日 |
山田洋次 |
諏訪博士:井川比佐志 田武謙三 |
諏訪がさくらに求婚するが…
|
第20話 |
2月13日 |
山田洋次 森崎東 |
諏訪博士:井川比佐志 陶隆司 |
諏訪とさくらが婚約し、親戚への挨拶に張り切る寅だが…
|
第21話 |
2月20日 |
山根優一郎 |
諏訪博士:井川比佐志 山本久太郎:佐山俊二 |
結婚式。寅は両家を代表して挨拶をするが…
|
第22話 |
2月27日 |
山根優一郎 |
川島雄二郎:佐藤蛾次郎 山本久太郎:佐山俊二 坪内冬子:佐藤オリエ |
結婚式を終え虚脱状態の一家。 久太郎が寅の気持ちを冬子に伝えるのだが…
|
第23話 |
3月6日 |
光畑碵郎 |
岡村亀雄:塚本信夫 佐藤正範:森幹太 坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ |
寅が同窓会の幹事になり…
|
第24話 |
3月13日 |
山根優一郎 |
畠山三太郎:谷幹一 三太郎の妻・ツル子:春川ますみ 諏訪博士:井川比佐志 |
三太郎から、ある「ボロい金儲け」の話を聞かされる寅
|
第25話 |
3月20日 |
山田洋次 |
坪内散歩:東野英治郎 坪内冬子:佐藤オリエ 藤村薫:加藤剛 |
寝たきりになった散歩先生が寅を呼ぶ。 天然鰻の蒲焼きが食べたいという。 何とか釣り上げ蒲焼きにするが、散歩先生は息を引き取る。 傷心の冬子に恋人の藤村が寄り添うのを見て失恋を実感した寅。 それでも散歩先生の葬儀を立派につとめた。 もうこの柴又に帰るところはないことを悟った寅は…
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第26話 |
3月27日 |
山田洋次 森崎東 |
諏訪博士:井川比佐志 坪内冬子:佐藤オリエ 川島雄二郎:佐藤蛾次郎 |
散歩先生に立派な墓を建ててやりたいと 一山当てるために、寅と雄二郎は奄美大島に向かうのだが…
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映画
1969年から1995年にかけてと1997年、2019年にシリーズ全50作が公開された。
作品内容
主人公、﹁フーテンの寅﹂こと車寅次郎は、父親、車平造が芸者、菊との間に作った子供。実母の出奔後父親のもとに引き取られたが、14歳の時[21] に父親と大ゲンカをして家を飛び出したという設定。第1作は、テキ屋稼業で日本全国を渡り歩く渡世人となった寅次郎が家出から20年後に突然、倍賞千恵子演じる異母妹さくらと叔父夫婦が住む、生まれ故郷の東京都葛飾区柴又・柴又帝釈天の門前にある個人企業の御食事処・草団子屋﹁本家とらや老舗︵後に、本家くるま菓子舗に店名変更︶﹂に戻ってくるところから始まる。
各作品のパターンは、ほぼ様式化されている。寅次郎が旅先で出会うマドンナに惚れてしまい、何かと世話を焼くうちに、マドンナも寅次郎に対して信頼を寄せ親しい仲になる。その後、舞台を柴又に移し、﹁とらや﹂を舞台に賑やかな人情喜劇が展開されるが、結局、本格的な恋愛に発展することなく、最後にはマドンナの恋人が現れて寅次郎は失恋する。傷心の寅次郎は書き入れ時である正月前、もしくは盆前に再びテキ屋稼業の旅に出る、といったものである[注 4]。
マドンナが寅次郎をそれとなく誘惑したり、愛の告白︵らしきもの︶をするなど、互いが相思相愛にあることを示唆する作品も少なくないが[注 5]、この場合は、寅次郎の方が逃げ腰になり、自ら身を引く形となっている。こんな寅次郎について甥の満男は、﹁手の届かない美しい人には夢中になるけれど、その人が伯父さんに好意を持つと逃げ出してしまう﹂と端的に語っている[23]。
また、マドンナと﹁うまくいっている﹂と誤解している時点で、寅次郎が柴又に帰り、さくら達にマドンナとの楽しい体験を脚色を交えながら話す場面は、渥美清の語りが落語家のような名調子で、スタッフやキャスト達は﹁寅のアリア﹂と呼んでいた。
第42作〜48作のうち4作品では、寅次郎の相手となる通常のマドンナに加え、さくらの息子満男︵吉岡秀隆︶が思いを寄せる泉︵後藤久美子︶がマドンナとして登場するようになり、寅次郎が満男のコーチ役にまわる場面が多くなり、満男が事実上の主役になっている。渥美が病気になり快活な演技ができなくなったため、満男を主役にしたサブストーリーを作成、満男の恋の相手が必要になったため、当初は予定されていなかった泉が登場することとなる。山田監督の話によれば実現しなかった第49作で二人の結婚を描く予定だった[要出典]が、その後の第50作ではそれぞれ別の人物と結婚している。
柴又帝釈天
レギュラーとして登場する人物は、寅次郎、さくらのほか、さくらの夫・諏訪博、草団子店を経営する叔父・竜造と叔母・つね、博が勤務する中小企業の印刷会社﹁株式会社朝日印刷所[注 6]﹂の社長で寅次郎の幼馴染・タコ社長こと桂梅太郎[注 7]、帝釈天の御前さま、寺男で寅次郎の舎弟・源公などがいた。マドンナとして複数回登場した女優もいるが、リリー、歌子︵吉永小百合︶、泉以外は、別人の役で出演している。おいちゃんこと叔父・竜造役は初代が森川信、2代目は松村達雄、3代目は下條正巳が演じた。その他、毎回役柄は違うものの、サブキャラクターとしてレギュラー出演する俳優も多く存在した。
青年時代に、実際にテキ屋体験がある渥美ならではの見事な口上も、ファンの楽しみであった。また、このシリーズは原則としてお盆と正月の年2回公開されたが、お盆公開の映画の春から夏への旅は、南から北へ、正月公開の秋から冬への旅は、北から南へ旅することが多かった。画面に映し出される日本各地の懐かしい風景が、シリーズの魅力の一つでもある。
なお、第48作まで一貫してエンドロール表示は設定されず、出演キャストや制作スタッフ等の字幕表示はオープニングでされた。また日本映画の主流がビスタサイズ画面やドルビーステレオ音響に移り変わった後でもシネマスコープ、モノラル音声を使用し続けていた[24]。
登場人物(映画)
レギュラー
車寅次郎
演 - 渥美清
主人公。葛飾柴又の帝釈天門前にある老舗の団子屋﹁本家とらや老舗﹂(40作以降は﹁本家くるま菓子舗﹂)の5代目主人、車平造と、芸者の菊との間に生まれた。生年月日は1940年︵昭和15年︶11月29日[注 8]。第1作の年齢の設定は41歳[注 9]。生後まもなく平造とさくらの実母に育てられるが、14歳の時[注 10] に中学校を中退[注 11]。第35作では葛飾商業学校同窓会からのハガキに対し、﹁卒業してねぇのに何で会費払わなくちゃなんねぇんだ﹂と言っている。第26作で旧制の中学2年の時に、﹁芸者の子供だから教育がなっていない﹂と校長に言われたことに腹を立て、体育祭の日に酒を飲んだあげく校長を殴り退学になったと、定時制高校の学生に話している。また、同作で定時制高校に編入したいと願書を書いているが、中学校中退だからと断られている[注 12]。14歳で父とケンカをして家を飛び出し、放浪の果てにテキヤとなり、その際の経緯は第39作の夢のシーンで断片的ながら映像化されている。寅次郎の家出の数年後に平造は死去し、第11作で27回忌を迎えている。それから20年後の1969年︵昭和44年︶[25]、柴又帝釈天︵経栄山題経寺︶の庚申︵こうしん︶の日︵帝釈天の縁日︶に柴又に帰省して父の団子屋に戻って来て以来、年に数回とらやにふらりと帰って来ては家出を繰り返している。家を飛び出してから全国各地を回って祭りなどで物を売りさばくのが日課。商売柄、口が非常に達者で、思いつきやデタラメに作り上げた会話で人を笑わせる、快活で明朗な性格である一方、中身は子供のままで、感情が顔に出やすく、ちょっとしたことで頭に血が上り、激昂すると女子供相手にも容赦なく手を上げようとする程に大人気ない性格の為、しょっちゅうケンカ沙汰になる。また、美女を目にした途端にのぼせ上がり、それが毎度色恋沙汰を引き起こす。人情に厚く、義理堅いという根は真面目な面もあり、家族のことも大切に思っているが、孝行しよう、真面目に働こうと必死になるたびに、気持ちのすれ違いや他者との誤解から、空回りしてケンカが起きることもしばしば。小学校までしかまともに教育を受けておらず、手紙なども文法は丁寧ながら字体は辛うじて通じるなど、漢字もあまりまともに読み書きができない︵例えば、封建主義を﹁ふうけんしゅぎ﹂、喫茶店を﹁きっちゃてん﹂と呼ぶ等︶。和食党で好物は芋の煮っころがしやがんもどき。歌はうまく、旅先で鼻歌、替え歌を口ずさんだり、上機嫌なときは笑顔で歌い出したりする。鈍行列車を好み、速い乗り物は苦手であるが第25作と第42作では飛行機、第46作では新幹線に騒動の末、乗っている。日本各地をテキヤ稼業で旅しているので、国内の名所には詳しいが、一方で外国を毛嫌いしてる部分も多く、成り行きで旅行したウィーンでも、辛うじて﹁ありがとう﹂のドイツ語・﹁ダンケ﹂を覚えられただけである。旅先でも腹違いの妹・さくらのことを常に気にかけている。
寅次郎の名は、映画監督の斎藤寅次郎にちなみ、車は非人頭が代々受け継いだ名前﹁車善七﹂からとの解釈があるが[26]、監督の山田洋次はそれを否定して、当初姓に考えた﹁轟﹂が物々しいのでそこから1字とって姓は車に、寅は落語の熊さんから転じたもので、さらに次男だから次郎をつけて寅次郎としたと説明している[27]。また渥美清が幼少期を過ごした上野車坂という説もある[28]。寅次郎の方は柴又の兵隊寅、若しくは喜劇の神様で斎藤寅次郎監督から由来していると山田監督は述べている[29]。育ったなおドラマ版では一獲千金を狙って奄美大島までハブを取りに行ったところ、逆に噛まれた事で、雄二郎の頭を叩きながらそのまま亡くなって行くという悲劇的な最期を迎える。
映画版では第48作ラストで旅に出て以降は、とらやに帰ってきておらず、どこを旅して暮らしているのか長らく不詳のままになっていることが第50作の満男たちの回想等により明らかになる。
諏訪さくら
演 - 長山藍子︵ドラマ版︶→倍賞千恵子
とらやの先代の主人、平造の長女で、寅次郎の腹違いの妹。本名は櫻。性格と容姿は寅次郎とは似ても似つかない。幼い頃、寅次郎が家出をした時に、最後の最後まで引き留めようとし、寅次郎が家出をして間もなく両親と残された秀才の兄を亡くし、叔父の竜造夫婦に育てられ、20年後、たった一人の異母兄の寅次郎と再会。寅次郎の一番の理解者でありながら、毎度ドタバタを起こすことに冷や汗をかく。いつか寅次郎がカタギの生活に戻ってくれることを祈っている。幼い頃は松竹歌劇団に入ることを夢見ていた。第一作では高校卒業後、一流企業の丸の内オリエンタル電機のOLとして勤務し、上流階級の御曹司とお見合いをしたが、同席した寅次郎の職業と下品なおしゃべりが原因で破談となる。その後、家の裏手の印刷工場で働いている職工の諏訪博と結婚して満男を産む。結婚後は洋裁を内職としていたがとらやが﹁くるまや﹂に変わってからは店を切り盛りするようになる。ウナギがあまり好きではない。
諏訪博︵博士︶
演 - 井川比佐志︵ドラマ版︶→前田吟
さくらの夫。満男の父。岡山県高梁市生まれ。父親は大学教授で、博自身は家庭環境としては高等教育を受けられる立場にあったが、父親と対立し高校を中退して家出したことで機会を逸し、新宿でくすぶっていたときにタコ社長と出会い、中小企業の印刷工場の職工として生計を立てる。主任技師[30] の立場にあり、独立を考えて退職しようとしたことがある(第六作﹁男はつらいよ 純情篇﹂)。妻のさくらとは恋愛結婚。会社の寮からさくらの部屋が丸見えで、さくらに思いを馳せていた。当初寅次郎には﹁大学を出ていない﹂という理由でさくらとの結婚を反対されていた。冷静な性格で博識。寅次郎を理屈で諌めたり助言したりするが、あまり通用しない。岩波書店の﹃世界﹄や労働問題の雑誌を抱えていることが多い。息子の満男には能力以上の期待をかけている。焼きなすが好物。喫煙者。実兄が二人いる[31]。
なお、ドラマ版と映画版では設定が大きく異なる。ドラマ版では町医者で、寅次郎が恩師・坪内先生︵東野英治郎︶の家を訪ね、先生宅で飲み食いが過ぎ博士の働く病院に担ぎ込まれる、それがきっかけで見舞いに来たさくらと出会い恋愛結婚をする。眼鏡にスーツ姿の厳格な見た目なのに対し結婚後は寅次郎を﹁兄さん﹂と呼び唯一謙虚で常に謙っているが、寅次郎が茶の間で暴れたときには柔道の技で押さえ込むことができる唯一の人物。博識で、寅次郎に時折知的な助言をする点は映画版に引き継がれている。またこのドラマ版の博士の設定は﹃続・男はつらいよ﹄の藤村薫(山崎努)に引き継がれる。
車竜造︵おいちゃん・おじちゃん︶
演 - 森川信︵ドラマ版、第1作 - 第8作︶→松村達雄︵第9作 - 第13作︶[注 13]→下條正巳︵第14作 - 第48作︶
寅次郎の叔父。葛飾柴又の帝釈天にある老舗の団子屋﹁とらや﹂の6代目主人。兄の平造︵寅次郎とさくらの父親︶の死後、団子屋を引き継いだ。平造が夢の中で枕元に立ち、﹁寅次郎とさくらのことを頼む﹂と言い残してから、責任を持って二人の親代わりをしている。若い頃は満洲に行って馬賊になることを夢見ていた。基本的な設定は同じものの演じる俳優によって性格がやや異なり、コメディアンの森川が演じた当初は寅次郎と同様にどこか抜けた喜劇的キャラクターで、店の営業中に昼寝をするなどして、妻のつねからあきれられる事も多い。幾度と色恋沙汰でドタバタを起こす寅次郎に冷や汗をかきながらも、寅次郎の口車に乗せられるボケた一面もある。毎回ドタバタを繰り返す寅次郎に﹁バカだねえ…寅は﹂﹁バカだね、全く…﹂﹁知らねえよ。俺ァ﹂とぼやいたり、寅次郎の奇行が頭痛の種となってさくらに対して﹁枕、さくら取ってくれ﹂と言い違うのも口癖となっている。寅次郎が調子に乗ってふざけた時に頭に血がのぼってケンカになってしまうこともしばしばであった。松村になってからは、やや大人しいおいちゃんになり、パチンコ好きという設定が加えられた。民藝出身の下條正巳になると、これまでのマイペースなキャラクターとは異なり店の切り盛りも勤勉にこなす、ややシリアス寄りのキャラクターへ傾いている。名物の草団子を丹念に仕込む描写も下條から多く見られるようになる。つねが母親のように寅次郎に愛情を注ぐのに対し、長らく風来坊としてテキヤ生活を送る寅次郎に深刻に悩みながら、しばし黙り込んで厳しく当たるようになる。﹁お前には関係ない話だ、黙ってろ﹂と厳しく寅次郎に苦言を呈する事も日常となった。これは、コメディアンの森川、正統派俳優の下條と、演じた俳優それぞれの持ち味を生かした上での山田の演出の変更で性格設定が異なる為である。なお松村は第6作で医師役で出演。おいちゃん役を降板してからもゲスト役で出演。第50作では亡くなり遺影として登場している。
車つね︵おばちゃん︶
演 - 杉山とく子︵ドラマ版︶→三崎千恵子
寅次郎の叔母。昔ながらの元気なおばちゃん。感情豊かで涙もろい。実の母親のように寅次郎に愛情を注ぎ、さくらとともに寅次郎の理解者。料理上手で寅次郎が帰ってくると好物のがんもどきの煮ものや芋の煮っころがしを作り、寅次郎が連れてきたマドンナや珍客に対しても得意の家庭料理で歓待する。寅次郎の夢の中や、旅行に行くとき以外は着物姿である。昔は日本橋の呉服屋の女房になることを夢見ていた。夫の竜造とは恋愛結婚[注 14]。子どもがないこともあってか、寅次郎を﹁寅ちゃん﹂と呼ぶ数少ない人物︵第1作の初対面では﹁寅ちゃん﹂だったが、第1作から第8作までは﹁寅さん﹂だった。第9作から寅ちゃんに統一された︶。さくら同様、ウナギがあまり好きではない。第50作では亡くなり遺影として登場している。
諏訪満男
演 - 石川雅一︵第1作のみ︶→中村はやと︵第2作 - 第8作、第10作 - 第26作︶沖田康浩︵第9作のみ︶→吉岡秀隆︵第27作 - 第50作︶
1969年︵昭和44年︶生まれ[注 15]。第1作︵1969年︿昭和44年﹀︶の終盤に誕生。さくらと博の長男で一人っ子。寅次郎からは甥にあたる。両親の期待を一身に受けて育つが、大学受験に失敗、代々木の予備校に通う浪人生活を送り︵第42、43作・1989年︿平成元年﹀、第43作・1990年︿平成2年﹀に城東大学経済学部経営学科に入学、卒業し中小企業の靴の製造・卸売業の営業職に就職︵47作・1994年︿平成6年﹀︶する。浪人中に、後藤久美子演じる及川泉に恋をする。第46作で就職活動に失敗した際に本当は大学に行きたかった訳ではなく、さくらが博は大学に行けなかったので代わりに自分が行くように押し付けられたと語っている。第46、47作では別のマドンナに恋をし、第48作の台詞では何人もの女性と付き合っており後半は事実上の主役になった。吉岡秀隆に代わった第27作より、寅次郎との絡みのシーンが増えている。第17作︵1976年︿昭和51年﹀︶で小学校入学で第34作︵1984年︿昭和59年﹀︶で中学校に入学という矛盾が見られる[注 16]。第50作では小説家となっており、妻とは死別し一人娘と暮らしている。
桂梅太郎[注 7]︵タコ社長︶
演 - 太宰久雄
とらやの裏に構える中小企業の印刷会社工場﹁株式会社朝日印刷所﹂︵第2作までは﹁共栄印刷株式会社﹂︶の社長。とらやの人々とは家族ぐるみの付き合い。印刷工からたたき上げで戦後の1946年︵昭和21年︶に独立して経営者にまで上り詰めたものの、常に資金繰りと人手不足に頭を悩ませており、経営難をとらやの面々に愚痴っている。しかし社長相応の実入りはあるようで、キャバレーで遊んだり、ゴルフを嗜んだりする他、寅次郎にも何かと融通している。お人好しな性格でお調子者のため、軽はずみで口走ることが多く、そのことで毎度寅次郎の怒りを買い、時々とらやの庭で二人で乱闘を演じることもあるが、根っこのところでは寅さんと相性は悪くない。さくらと博の結婚式では仲人をつとめたが、手形の支払いのためにあやうく挙式に遅れそうになって寅さんに叱られた。毎度トラブルに見舞われた際に﹁コロっと忘れてた﹂﹁オラ知らねぇよ﹂と、その場から逃げることが多い。妻とは見合い結婚だが、見合いをしたのは別人で妻の妹だった。仲人を問いつめるが仲人に借金をしており言うことを聞かざるをえず、姉の方と結婚する。妻との間に4人の子供がいるが、長女のあけみ︵演・美保純︶が年頃になってトラブルメーカーとなったことがより悩みを増やしている。シリーズ全般におけるコミックリリーフ的キャラクター。第50作ではパンフレット記載の前田吟のインタビューの裏設定では博が定年退職した後、亡くなったことになっており、その影響で裏の印刷工場もアパートになっている。[32]
源公・源ちゃん︵愛称で名は源吉[注 17]︶
演 - 佐藤蛾次郎︵第8作を除く︶
柴又題経寺の寺男。寅次郎の幼友達で孤児。ドラマ版の名前は雄二郎。寅次郎の舎弟、寅次郎を﹁兄貴﹂として慕っており、最終回で寅次郎がハブに噛まれて死ぬのを看取る。映画版では源公の設定は一部川又登︵津坂匡章︶へと引き継がれる。大阪出身で関西弁を話す。母親は彼を生んですぐに消えてしまった[33]。寅次郎を﹁兄貴﹂と呼び、成人後も寅次郎にあごで使われる関係だが、時に﹁逆襲﹂することがある。第1作から登場しているがシリーズ初期ではとらやの従業員や寅の商売を手伝っていた。また当初は常識人であったが、シリーズが進むにつれて、どこかとぼけたキャラクターになっていった。台詞もほとんど喋らないが、独特の風貌と所作で、可笑しみを与えている。劇中で正式に題経寺の丁稚として働く経緯が出てくるのは﹁男はつらいよ 純情篇﹂から。
御前様︵ごぜんさま︶
演 - 笠智衆︵第1作 - 第45作︶→笹野高史(第50作)
柴又題経寺[注 18] の住職。姓は坪内。正式には日奏上人だが、とらやをはじめ近所の人々からは親しみを込めて御前様と呼ばれている。人格者であり、幼いころからの寅さんの理解者であるが、世間知らずでとぼけたところもある。とらやの面々は寅さんのことでトラブルがあると御前様のところに相談や愚痴を言いにいき、御前様はそれを受けて時として寅さんを叱りつけることもある。寅さんはまったく頭が上がらない。﹁困ったぁ﹂が口癖。ルンビニー幼稚園[注 19] の園長でもある。
第1作で写真撮影のかけ声﹁チーズ﹂の代わりに﹁バター﹂と言い、後に寅次郎が﹃男はつらいよ 柴又慕情﹄などで使用している。
準レギュラー
リリー︵松岡リリー、松岡清子︶
演 - 浅丘ルリ子︵第11作、第15作、第25作、第48作 - 第50作︶
マドンナ。
スナックやキャバレーなどでドサ回りをしながら活動している三流歌手。気が強く心優しい女性。一時寿司屋の主人・石田良吉︵演:毒蝮三太夫︶と結婚しそこの店の女房となるが、性分に合わず離婚してしまう。寅次郎の理解者であると同時に、多くのマドンナと異なり堅気でないという点で寅次郎とつり合いの立場にあり、相思相愛となる女性の一人。
浅丘は第48作の出演で具合の悪そうな渥美清の姿を見て﹁もしかしたらこれが最後の作品になるかもしれない﹂と思い、監督の山田洋次に﹁最後の作品になるかもしれないから、寅さんとリリーを結婚させてほしい﹂と懇願したと後のインタビューで語っている[34]。
及川泉
演 - 後藤久美子︵第42作 - 第45作、第48作 - 第50作︶
満男の高校時代のブラスバンド部の後輩で交際相手/マドンナ。第48作で医師の卵と結婚することになるが岡山県の風習で満男が車を後退させた為破談となってしまう。彼女は満男に怒るが、それよりも﹁なぜ彼が婚礼の邪魔をしたのか﹂真相を聞くことが大事と、礼子に陳謝してすぐ津山を後にして、博から満男の居場所を聞き、奄美諸島まで追いかけて尋問。満男の気持ちを知り、彼女は納得した。第50作では国際結婚して2人の子供がおり国連難民高等弁務官事務所に勤務、生活の拠点は欧州にある。
桂あけみ
演 - 美保純︵第33作 - 第39作、第50作︶
タコ社長の娘。第6作﹃純情篇﹄で一度だけ登場したタコ社長の自宅で登場した2人いる女の子のうちのどちらかがあけみ。
明るく陽気な性格で、蓮っぱなところがある。
博に気性が似ている会社員・慎吾と結婚するが、﹁真面目過ぎてつまらない﹂といい、梅太郎と衝突。慎吾とは全く違うタイプの寅次郎に憧れるが、寅次郎は﹁社長︵梅太郎︶の娘だからダメだ﹂と拒否してしまう。自由奔放な寅次郎に憧れる一方、マドンナにつられて勝手すぎる行動に困惑、さくらの指図もあって寅次郎にダメ出しする一面もあった。第50作で再登場し、浩介という息子がおり、騒動を起こし出ていく姿を、父親のタコ社長そっくりだと博には言われている。
川又登
演 - ︵津坂匡章︶︵ドラマ版、第1作、第2作、第4作、第5作、第9作、第10作、第33作︶︵第33作は﹁秋野太作﹂名義で出演︶
寅次郎の舎弟。
寅次郎を﹁兄貴﹂として慕う。八戸出身。しかし、後にテキ屋稼業から足を洗い結婚して所帯を持ち、盛岡で食堂を営むようになる。寅次郎との再会を喜び妻に紹介するが、﹁彼の今後のために﹂と寅次郎は心を鬼にして距離を置くことにした。
三平ちゃん
演 - 北山雅康︵第40作 - 第50作︶
本家くるま菓子舗︵くるまや︶の男店員。関西弁を話す。第46作以降から加代とコンビで出演することになった︵第49作特別編含める︶。第50作では改装されたカフェくるまやの店長となっている。
お菊
演 - 武智豊子︵ドラマ版︶→ミヤコ蝶々︵第2作、第7作︶
寅次郎の母。
元は深川の芸者であり、寅次郎の父親と内縁関係で寅次郎を生む。ただし実際に寅次郎の養育には関わっていない。現在は京都で連れ込みホテルを経営している。女手一つで世智辛い世の中を生きてきたため気が強く、息子とは顔を合わすたびにケンカをしてしまう。
諏訪飈一郎︵ヒョウイチロウ︶
演 - 志村喬︵第1作、第8作、第22作︶
博の父で北海大学農学部教授でのちに名誉教授[35]。大学ではインド古代哲学の教鞭を執っていた。物静であるが、博の人生選択に強く対立し反発を受け、博の家出を招く。博とさくらの結婚式で久しぶりに親子対面し、和解を果たす。この博の結婚式で父としての不明を詫びる感動的なスピーチをし、感極まった寅次郎やとらやの面々は泣き出してしまった。第6作では退職し、博が退職金80万をを借りようとしたが断りの葉書がさくらたちの所へ届くシーンがある。第8作では大学を辞めて岡山の郷へ戻っており、妻を亡くし葬儀が営まれる中で研究一筋だった自身の過去を振り返って、家族の大切さ、人生のはかなさを放浪暮らしの寅次郎に切々と説く[35]。第22作では旅をしていたところ、やはり旅の途中の寅次郎と偶然出会い、しばらく行動を共にする。寡黙な知的人物で、寅次郎とはまったく対称的な性格であるが、寅次郎の素直な性格をかなり好んでいるようで、不思議に通じあうものをもっている。寅次郎のことを﹁大人物﹂と表現している。22作出演後、演じる志村喬の死去︵1982年︶と共に設定上でも死去。32作目には三回忌の法要が行われる。
坪内冬子
演 - 光本幸子︵第1作、第7作、第46作︶
御前様の娘で寅次郎の幼なじみ。マドンナとして初登場した第1作時は奈良で三か月病気の静養をしていた。幼い頃に寅次郎に出目金とあだ名を付けられイジめられた過去があるが、見違えるほど美しく成長した冬子を前に、寅次郎は恋心を抱くが、大学の先生と結婚する。以後も度たび登場する。
及川礼子
演 - 夏木マリ︵第42作 - 第45作、第48作 - 第50作)
泉の母。バーのオーナーをしている。
夫であった一男︵泉の父︶とは性格の不一致から離婚してしまい、泉は満男とともに一男を連れ戻しに、一男の恋人のいる日田へ出向くが、一男と新恋人の二人を見て説得を断念した。
一男をあきらめた後、新たな婚約者を得るが泉は複雑な思いであった。出奔して寅次郎に宥められて帰宅後、母の婚約者を継父として受け入れる。その後、彼女の病気で泉は勤めていた楽器店を退職している。
第48作での一件で満男に対して反感を持ち、電話でさくらに苦言を訴えたが、その後は二人の交際を認めた。
加代ちゃん
演 - 鈴木美恵︵第46作 - 第49作︶
本家くるま菓子舗︵くるまや︶の女店員。毎度、たまにしか帰らない寅次郎を忘れて店の家人と思わず﹁誰ですか?﹂と言われ、三平に窘められてしまう。
友ちゃん
演 - 脇山邦子︵第2作 - 第5作︶
本家とらや老舗の女店員
サブキャスト
●吉永小百合 - 鈴木歌子(旧姓・高見歌子︶役。第9作と第13作にマドンナとして登場。
●東野英治郎 - 寅次郎の商業学校時代の恩師・坪内散歩役。ドラマ版でも担当。
●悠木千帆(後の樹木希林) - 木曾の旅館の仲居役。
●米本善子 - 本家とらや老舗の初代女店員役。
●左卜全 - 湯の山温泉の番頭徳爺役。
●野村昭子 -湯の山温泉の仲居お澄役。
●赤塚真人 - マドンナのばあやの孫、知床の漁師マコト、警官役など。
●関敬六 - 第1作でさくらの結婚式の司会者。シリーズ後半は、タクシー運転手、ウイーンのツアー客、テキヤ仲間ポンシュウ役など多数。
●桜井センリ -龍野市観光課長、平戸の教会の神父、結婚式場係員、大観覧車係員、芸能プロ社員三田、タクシー運転手、上海軒主人、麒麟堂、島の住職、委託駅員役など。
●佐山俊二 -蓬莱屋のちに備後屋、不動産屋、マンションの管理人、長万部の熊吉役など。
●河原崎國太郎 - マドンナの画家の恩師役。
●米倉斉加年 - シリーズ前半は轟︵または青山︶巡査役でたびたび出演、東大助教授、証券会社課長、夢のシーンで海賊の手下、ガンマン役など。
●柄本明 - 陶芸家の弟子、ノイローゼのサラリーマン役など。
●笹野高史 - 下田の長八、区の結婚紹介所員、アパートの大家、旅館主人、泥棒、車掌、ホモのライダー、泉の父親の同僚内藤、釣り人、島の警官、新郎の叔父役など。第50作では笠智衆の次代の御前様を演じた。
●梅野泰靖 - 博の長兄・毅、タンカーの船長役など。
●穂積隆信 - 博の次兄・修役。
●八木昌子 - 博の姉・信子、菜穂の母親役など。
●すまけい - 嘉穂劇場の男、船長︵鳥羽、知床︶、病院長、花嫁行列の父親、製靴会社の専務役など。
●犬塚弘 - 交番の警官、小学校の同級生、タクシーの運転手役など。
●じん弘 - 看板屋の親方、東北弁のツアー客、地方駅の駅長、テキヤ仲間役など。
●大村崑 - マドンナの弟が勤めた会社の主任役。
●柳家小さん - ラーメン屋の主人役。
●イッセー尾形 - 病院の医師、車掌、警官、海外旅行会社社員、ローカル線の老乗客役など。
●笠井一彦 - 朝日印刷所工員・中村役で準常連、第15作以降第48作まで34作に出演。
●マキノ佐代子 - 朝日印刷所事務員兼工員ゆかり役は準常連、他に婚約者、女子大生、証券会社相談係嬢役など。
●石井愃一 - 朝日印刷所工員役。
●石川るみ子 - 朝日印刷工場工員役。
●谷よしの - シリーズ当初は近所の人、その後は花売り、行商、仲居、田舎の老婆役などシリーズで計36作品に出演。28作にクレジットされている。1本で3役の時もあり。
●出川哲朗 - 近所の板前、地方の祭りやテキヤの若衆役など。第50作では満男の小説の出版社の編集者役で出演。
●吉田義夫 - 旅の一座の座長、映画冒頭の夢のシーンで常連悪役、父親役など。
●岡本茉利 - 一座の娘役大空小百合、観光船のガイド、日本画家のお手伝い、夢のシーンでカスバの娘および召使い、熊本の春子、朝日印刷所の事務員、大洲の仕出し屋の店員、伊勢原市病院の看護婦役など。
●三木のり平 -伊予大洲藤堂家の執事吉田六郎太役など。
●あき竹城 - スルメ工場のおばさん、親方の新妻役など。
●広川太一郎 - 第1作でさくらのお見合い相手役。
●大杉侃二朗 - 寅の飲み友達、﹁菊の湯﹂の親父、車掌、入院患者、屋台のラーメン屋、福井の駅員、旅の一座の座員役など。
●津嘉山正種 - オープニングでは画家、サックス奏者、ボクサー、通行人役など常連。その後は沖縄の知念医師、 陶芸家の弟子、証券会社部長、泉の母の恋人役など。
●石井均 - 平戸の船長、佐賀の遺跡保存会員役など。
●アパッチけん - オープニングで測量技師役。島の小学校卒業生の青年役など。
●佐野浅夫 - 詐欺師役。
●神戸浩 - 島の連絡船係、宿屋の従業員、リリーの家のお手伝い役など。
●寺尾聰 - 龍野市観光課員、警官、泉の父親役など。
●久米明 - 龍野市長役。
●石倉三郎 - そば屋の店員役など。
●大滝秀治 - 寺の住職、旅僧、古書店主役など。
●光石研 - 島の小学校卒業生の青年役など。
●川合みどり - 源公の友達、ウエイトレス、店員、女客、記者、カメラ助手、旅館の売店係、乗客、ホステス、結婚式場の着付け係、花嫁行列の付き添い、夢のシーンの女など多数の役に出演。
●田中世津子 - 初代ポンシュウの新妻、長崎五島の旅館の仲居、名古屋のアパートの隣人、大分日田の酒屋のおかみ役など。
●山崎一 - たんか売の客役。
●古本新之輔 - 満男の大学の友人役。
●田中邦衛 - 小学校の教員役、鹿児島での海上タクシー(漁船)船長役。
主題歌
映画シリーズ一覧
未撮影作品
1996年12月28日公開予定[43]﹃男はつらいよ 寅次郎花へんろ﹄
︵マドンナ‥田中裕子 ロケ地‥高知県 原作‥室生犀星﹃あにいもうと﹄[注 20]︶
タイトルは早坂暁の小説、花へんろからで、渥美がお遍路に興味を持っていたこともヒントになっている[44]。
シリーズ第49作のマドンナは田中裕子で、その兄役で西田敏行が出演の予定だった[45]。
兄弟のストーリーは後の﹃虹をつかむ男 南国奮斗篇﹄で生かされている。
物語は、妹が中絶した子供の父親が寅さんかと兄が疑い、それから寅さんがこの兄妹の後見人になる、また満男シリーズの完結編として泉と満男を結婚させ、甥の結婚を見届けた寅次郎は放浪の終焉を宣言し、第50作に繋げる予定だった[46][47]。あるいは。妹(田中)は兄(西田)の反対を押し切ってアメリカ人と結婚。結婚に失敗して帰国。兄は工事現場で働く粗暴な男でその妹への思いが強く辛く当たってしまい、その間を寅さんが取り持つ予定だったともいわれる[45]。
秋からの撮影を控えており、1996年6月27日には打ち合わせでタイトル、大まかなストーリーは伝えており[48][49] 満男役の吉岡秀隆も同年公開の﹁学校II﹂をやっている時に、山田が﹁秋にまたやるよ﹂と49作目の話をしていたと語っている[50]。
ロケ地となるはずだった高知県安芸市伊尾木地区に2002年に開業した土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線伊尾木駅のイメージキャラクター﹁いおき トラオくん﹂が寅次郎をモチーフにしたのはこの経緯によるものである。
1997年12月27日公開予定 タイトル不明
︵マドンナ‥黒柳徹子[47] ロケ地‥未定[注 21]︶
山田洋次は、寅次郎はテキ屋を引退、幼稚園の用務員になり、子供たちとかくれんぼをしている最中に息を引き取り、町の人が思い出のために地蔵を作るという構想を早くから持ち[51][52] 第49作から直結するストーリーだった。黒柳も冗談に﹁最後のマドンナは黒柳徹子さんだ﹂と山田から言われていたと林真理子の対談で明かしている[53]。
このことは1990年8月25日に放送されたTBS﹃クイズダービー﹄︵第754回︶の第7問︵三択問題︶で出題されており、遅くとも同年時点でこの構想があったことがわかる。
幻のマドンナ歌子三部作
NHK衛星第2の番組︵1991.9.30放送︶の中で吉永小百合と山田洋次の対談が行われ山田は﹁また、寅次郎と歌子︵吉永小百合︶が再会したらどうなるかって、しょっちゅう考えているんですよ﹂と語っており、ストーリーは﹃歌子が手話の通訳となり働いている。偶然再会した寅さんは歌子から手話を習い、物語の最後に、手話で歌子に自分の気持を伝える。それが通じたかどうかは分からないというストーリー﹄[54] だったが吉永の撮影スケジュールが合わず﹁それに、同じ役を何度もやると、私自身がマンネリになるんじゃないかと﹂﹁もう一度、出演するべきでした。最後ということが分かっていたらどんな形でも出たかった。後悔しています﹂と吉永は語っている[55]。
虹をつかむ男
﹃男はつらいよ 寅次郎花へんろ﹄が公開予定だった1996年12月28日にほぼ同じキャストで﹃虹をつかむ男﹄が渥美清への追憶映画として公開された。BGMやエンディングも本作のものが使用されている。倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆の3人はこの映画でも親子役であり、渥美清もCGではあるが、1シーンだけ登場している。
寅次郎ハイビスカスの花 特別篇
1997年に公開された『寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』は、根強い寅さん人気に応える形で作られた作品である。満男が寅さんを回想する内容で、タイトルになっている第25作『寅次郎ハイビスカスの花』だけではなく、第11作『寅次郎忘れな草』、第15作『寅次郎相合い傘』のシーンが使われている。映像技術の進歩によって制作できた作品とも言え、満男が見た幻として寅さんが既存映像の流用によるCG合成で登場した。主題歌を八代亜紀が歌っている。
テレビ放送
映画の全作品(当時)連続放送
エピソード
京成電鉄が施設内撮影を許可︵イメージ︶
●第1作の観客動員数は54万3000人と微妙な成績だったが、安定したシリーズ映画を欲していた松竹は早々に続編を決定。徐々に動員数を伸ばし人気シリーズとなった。特に約90万人から約150万人へ大飛躍した第8作がポイントとなり、以後の40作品で140万~240万人を動員し続ける空前絶後のヒットを記録する。継続を決めた第5作、90万人台から48作までで延べ7957万3000人の観客を動員している。
●御前様役を演じていた笠智衆は、第45作︵1992年︶終了直後に亡くなっている。しかし第46作で、御前様の娘・冬子役の光本幸子が久々に出演、さくらと冬子が御前様の近況の会話をする描写があるほか、第47作ではさくらが源公に﹁御前様お元気?﹂と聞くシーンもあり、御前様は健在であるという設定になっている。第50作では笠智衆の次代の御前様としてシリーズで多種の役柄を演じた笹野高史が努めた。
●オープニングテーマの前に始まる、寅次郎が旅先で見る様々な夢は、全撮影の最後に撮影されている。夢のシーンは﹃科学者の寅次郎が怪獣を倒す﹄等の、本編とは全く関係のない話が多い。なお、出演者には直前まで内容は秘密にされていたという。
●山田洋次が柴又を知ったのは、﹃下町の太陽﹄を監督する際、作家の早乙女勝元に教授してもらうために早乙女宅を訪問し、すぐそばにあった帝釈天を案内されたのがきっかけである。それまで舞台をどこにするか決めるために様々な所を歩き回り、一時は舞台が浦安に決まりかけていたと言うが、柴又に来た時に﹁渥美ちゃんがふらっと出て来そうだね﹂と盛り上がって、舞台が柴又に決まったと言う[65]。
●フジテレビで、登場人物を動物に置き換えたテレビアニメ版﹃フーセンのドラ太郎﹄が放送された。また、TBSでもテレビアニメ版が放送され、映画シリーズ9作品に出演した岡本茉利がさくらの声を演じている。これらのアニメ版はそれぞれ制作会社も制作時期も異なり、関連性はない。
●源公役の佐藤蛾次郎は、第8作だけはポスターに名を連ねたものの、撮影直前に交通事故にあい緊急入院したため出演していない。
●映画の舞台に使用した柴又の団子屋が、実際に﹁とらや﹂に屋号を変更したため、作中の﹁とらや﹂の屋号は、第40作から﹁くるまや﹂に変わる。
●出川哲朗は若手時代に、第37作から第41作の5作品に端役で出演し、全ての出演シーンでなぜかはちまきをしている。第37作・第39作ではセリフもある。本人のコメントによると、撮影現場で渥美清に﹁君は普段何をしてるのかね?﹂と尋ねられたという。また、第37作ではエド・はるみも端役で出演している。第50作では出版社の編集者役で出演した。
●第46作には、本作と同時上映として製作されていた﹃釣りバカ日誌﹄の主人公である西田敏行演じるハマちゃんがカメオ出演している。釣具を背負ったハマちゃんが釣りに向かう途中、くるまやの前を通って、おばちゃんと会話を交わすというもので、松竹の二大シリーズ間でクロスオーバーが行われた。
●2001年︵平成13年︶8月4日、奇しくも渥美清の5回目の命日に、柴又八幡神社古墳において帽子や顔の輪郭などが﹁寅さん﹂にそっくりな埴輪が出土した[66]。その後、複製が寅さん記念館に展示された。この埴輪は下総型人物埴輪と呼ばれる6世紀後半のもので埴輪としても帽子を被っており、大きさは約35cmで、この埴輪を見た山田洋次は驚いたという[66]。新聞で紹介されたときは﹁君は寅さんのご先祖様かい?﹂という見出しがついた。
●1986年8月は、山田洋次監督の﹃キネマの天地﹄が公開されたため、﹃男はつらいよ﹄シリーズは制作されていないが、寅さんファミリー総出演である。主人公の小春︵演‥有森也実︶の父親である喜八を﹁渥美清﹂が演じ、親子役で﹁倍賞千恵子﹂がゆき︵弘吉の妻︶、﹁前田吟﹂が弘吉︵ゆきの夫、都電の運転手︶、﹁吉岡秀隆﹂が満男︵息子︶。その他でも健二郎︵演‥中井貴一︶の下宿のおかみ︵貞子︶を﹁三崎千恵子﹂、健二郎の父親︵島田庄吉︶を﹁下條正巳﹂、留置場の男︵留吉︶を﹁佐藤蛾次郎﹂、撮影所の小使︵トモさん︶を﹁笠智衆﹂が演じている。
●正月映画としての公開が毎年の恒例︵1990年以降。1971~1989年は1988年を除き毎年お盆と正月の公開︶だったことから、﹁寅さん﹂は冬の季語にもなっている。
●1997年11月、舞台である柴又に、葛飾区の公営記念館﹁葛飾柴又寅さん記念館﹂がオープンし、営業中である。
●長野県小諸市には、渥美清こもろ寅さん会館という記念館があったが入館者の減少と渥美と親交のあった館長の死去により2012年冬より休館となっている[67][68]。
●京成電鉄は初回より撮影に協力。日本の鉄道事業者で初めて鉄道施設内での撮影を可能とした︵当時は日本国有鉄道でも鉄道施設内の撮影は例外を除き認められていない︶。
●ヒロイン役には山口百恵も考えられていた。山田によると、既に山口は映画作品には出演していなかった時期のため断念した[69]。
●渥美の死去により、2代目寅さんの誕生が噂され、片岡鶴太郎や西田敏行らが候補とされた。実際に報道もされたが、﹁寅さん=渥美清﹂という山田監督の意向もあってお蔵入りとなっている。1996年・1997年には、本シリーズに代わる新たな松竹正月映画として、西田主演、山田監督、寅さんファミリーと呼ばれる常連出演者勢ぞろい、男はつらいよとほぼ同じスタッフが参加した﹃虹をつかむ男﹄が公開された。その後の松竹の看板正月映画は、1988年から2009年まで続いた、西田主演で山田洋次が脚本家としても携わる﹃釣りバカ日誌﹄シリーズに受け継がれることとなる。
●48作中9作がキネマ旬報・ベストテンに入選している。同ベストテンでは、プログラムピクチャーシリーズ︵﹃駅前﹄﹃社長﹄﹃若大将﹄など︶やその他時代劇も含め、シリーズ物の映画はほとんど無視される傾向がある。同様に高く評価された﹃仁義なき戦い﹄は、ストーリーが進行・完結していくタイプの五部作であり、永劫回帰型のシリーズとして何度もランクインしたのは本シリーズのみといって良い。
●特に、ブラジルのサンパウロにある日本人街﹁リベルダージ﹂の映画館では、1990年代に至るまで最新作が毎作上映されていた。なお、ブラジルの法律で﹁8歳以上指定作品﹂となっていた。
●また、同じく1990年代までは、日本航空の機内で最新作が上映されていた。また日本航空は海外ロケの製作協力もしていた。
●蓮實重彦は﹁寅さんが出て来たことによって、いかに松竹の多くの才能・新人監督が消えているかということ。実際に出て来ていながらも社会的に抹殺されていたかということは、おさえておかなければいけないと思う﹂と評している[70]。
●721年︵養老5年︶に作成された﹁正倉院古文書正集︵しょうそういんこもんじょせいしゅう︶第二十一巻﹂に収録された下総国葛飾郡大嶋郷戸籍 ︵しもうさのくにかつしかぐんおおしまごうこせき︶の中に、姓は﹁孔王部︵あなほべ︶﹂、名は﹁刀良︵とら︶﹂という33歳の男性と、別の世帯に同姓の﹁佐久良賣︵さくらめ︶﹂という34歳の女性の名があり、話題となったことがあった。
●2015年11月7日、男はつらいよのロケ地となった国内外12地域の観光関係者が柴又に集まり、﹁寅さんサミット﹂が初めて開催された[71]。
●スリランカでは日本文化への理解や関心を促進することを狙って2017年から現地語吹き替え、英語字幕によるテレビ放送が開始された[72]。
シリーズのロケ地
﹃男はつらいよ﹄シリーズの撮影はほぼ日本全国で行われているが、高知県と富山県と埼玉県では撮影が行われていない。
ただし、高知県では第49作の撮影が決定していた。また、セリフ上では第8作で高知へ行ったということになっている。また、第50作目の舞台は富山県が最有力候補であった[47]。このことから、本作と縁が全くなかったのは埼玉県と言うことになる︵寅さんは群馬県に縁がなかったかに思えるが、14作﹁寅次郎子守唄﹂及び25作﹁寅次郎ハイビスカスの花﹂ではスポット的に登場している︶。
高知県と富山県では後に、﹃男はつらいよ﹄以後松竹の看板映画シリーズになった﹃釣りバカ日誌﹄において、連続して撮影が行われた。
本作ファンの著名人
政治家等
●小渕恵三︵日本第84代内閣総理大臣︶
寅さんファンクラブ会員No.1。
●金日成︵朝鮮民主主義人民共和国主席︶
日本議員訪朝団との懇親会の席などで寅さんのテキ屋叩き売りを物まねして場を笑わせた。また、﹁日本を訪問することがあったら必ず柴又にいく﹂と周囲に話していた。
●金正日︵朝鮮労働党総書記︶
日本映画を愛好している。
●昭和天皇︵日本第124代天皇︶
ビデオを全巻持っていた。
芸能人・文化人
有名なシーン・セリフ
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有名なシーン
﹁寅のアリア﹂
︵第15作・男はつらいよ 寅次郎相合い傘︶
リリーをキャバレーまで送った寅次郎は、そのあまりの環境の劣悪さに驚き、肩を落としてとらやに帰って来る。﹁俺にふんだんに銭があったら…﹂寅次郎は大ステージで歌い上げるリリーの姿を想像し、臨場感たっぷりにさくらたちへ語って聞かせる。寅次郎の切ないまでの愛情が渥美清の演技によって表現されている。山田洋次によれば[75]、後日リリー役の浅丘ルリ子がこのシーンを見て涙を流していたという。このシーンに限らず、渥美清独特の語り口によってなされる“一人語り”はスタッフの間から﹁寅のアリア﹂と呼ばれていた。
﹁メロン騒動﹂
︵第15作・男はつらいよ 寅次郎相合い傘︶
寅次郎の世話になった男から高級メロンをもらったとらやの面々。切り分けて食べ始めたところへ寅次郎が外出から戻ってくる。寅次郎の分をうっかり勘定に入れ忘れていたことに気付いた一同は、大慌てで場を取り繕うとする。そんなとらやの人々を﹁心が冷たい﹂と一方的に激しく詰り、さくらが必死で謝っても、痺れを切らしたおっちゃんが寅次郎の分のメロン代を渡そうとしても、ネチネチと悪態をつき続け、しまいにはおばちゃんが泣き出してしまう。そんな寅次郎を見かね、リリーが核心を突いた言葉で一喝した事で2人は大喧嘩となる。逆上した寅次郎が飛び出していった後、リリーはつい大人げない事をしてしまったととらや一同に謝るが、とらやの人々からは﹁たまにはあれくらい言ってやらないと﹂﹁寧ろ、自分達が言いたかった事を言ってくれてスッとした﹂と感謝された。
以降のシリーズでも作中でマドンナとなる人物が正論で寅次郎の身勝手を咎め、感情的になった寅次郎がそれに憤慨して口論や取っ組み合いにもつれ込んでしまうという、このシーンをオマージュしたような場面がしばしば見受けられる。
﹁相合い傘﹂
︵第15作・男はつらいよ 寅次郎相合い傘︶
先述のメロン騒動でリリーと大喧嘩した後、題経寺の鐘撞き堂で源ちゃんに買いに行かせたラーメンをやけ食いしながら不貞腐れていた寅次郎であったが、そこへ雷が鳴り始め、夕立が降ってきた事で不意にリリーの事が心配になり、とらやへと戻ると、リリーが仕事へ言った事をさくらから聞き、素直でない態度をとりながらも気が気でない様子を見せる。そんな寅次郎を察したさくらとおばちゃんが傘を渡し、リリーを迎えに行くように促すと、寅次郎は口では文句を言いながらも、柴又の駅まで迎えに行く。駅では雨宿りをしながら困っていたリリーが寅次郎の姿を見つけると嬉しそうに駆け寄り、相変わらずたどたどしくも意地を張ろうとする寅次郎と、からかうリリーのやり取りが交わされながら、2人は夜の参道を相合い傘で歩いていく。
この場面は同作のタイトルにもなった名場面であり、﹃メロン騒動﹄と合わせて、自己中心的で大人気なくも根は優しい寅次郎の人となり、そしてどんなに大喧嘩をしても心の底で相手を気遣い合う寅次郎、リリーの絆の深さを象徴したエピソードとしてセットで有名となっている。
﹁ぼたんの涙﹂
︵第17作・男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け︶
芸者のぼたんが200万円の大金を騙し取られるが、法の盲点を突いたやり口になす術が見つからない。悲嘆に暮れるぼたんを横目に寅次郎はすっと立ち上がり、優しく別れの言葉を告げてとらやを飛び出していく。相手のところへ殴り込みに行こうとする寅次郎の捨て身の愛情に触れたぼたんは、幸福の涙を流す。
有名なセリフ
﹁男はつらいよ﹂シリーズには、繰り返し使用されるセリフが多数ある。以下はその代表例である。
﹁それを言っちゃあおしまいよ﹂
ケンカの際においちゃんが言う﹁出てってくれ﹂に対して寅次郎が返すセリフ。第1作で渥美清がとっさに放ってしまったアドリブだったが、セリフの持つ意味に感心した山田洋次がその後、脚本に多用するようになった[76]。
﹁相変わらずバカか?﹂
柴又に帰ってきた寅次郎が、備後屋などの顔なじみと交わす挨拶。これも元々は渥美清のアドリブであった。
﹁労働者諸君!﹂
寅次郎が、とらやの裏にある朝日印刷の印刷工に向かってかける言葉。マドンナに寅次郎の想いが伝わったと思い込み、寅次郎の機嫌が良い時にかけられることが多い。
﹁おいちゃん、店じまいにするか﹂
旅先で出会ったマドンナがとらやに訪れ、近所の者が見物したさに集まったときに、とらやを臨時休業にすることが多い。寅次郎が客に向かって、満面の笑みで﹁今日はもうおだんご売り切れなの﹂と言って、店を閉めるパターンもある。
﹁今夜はこのへんでお開きってことにするか﹂
とらやの茶の間で妄想などを含んだ語りが終わり、自分の部屋に上がる際に言い残す言葉。
﹁お前、さては︵さしずめ︶インテリだな?﹂
寅次郎が言い合いで負けた時や、自分が理解できないことを言われた時によく使用する。寅の知識や才覚が、半生の中で身についたことを証明する台詞とも考えられる。
﹁結構毛だらけ猫灰だらけ﹂
商売の啖呵から派生している、寅次郎の口癖。投げやりになったり、すねている際などに吐くこともある。その後に﹁お尻の周りは糞だらけ﹂と続く場合が多い。
﹁たいしたもんだよ蛙の小便 見上げたもんだよ屋根屋のふんどし﹂
これも商売の啖呵から派生している、寅次郎の口癖。相手に感心したことを茶化して言うことが多い。﹁たいしたもんだよ﹂は﹁田へしたもんだよ﹂との掛詞になっている。
﹁四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水、粋な姉ちゃん立ち小便﹂
﹁ヤケのヤンパチ日焼けのなすび、色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯がたたないよときやがった﹂
﹁四角四面は豆腐屋の娘、色は白いが水臭い﹂
寅次郎が的屋商売でよく使う口上である。
テレビアニメ
キャスト(テレビアニメ)
スタッフ(テレビアニメ)
小説版
﹃けっこう毛だらけ-小説・寅さんの少年時代﹄︵けっこうけだらけ しょうせつ とらさんのしょうねんじだい︶は、山田洋次による日本の小説。﹃男はつらいよ 寅さんDVDマガジン﹄創刊号の第1号より最終号の第50号まで連載された。
映画シリーズの監督や脚本を務めた山田により、執筆される[77]。映画版のストーリーを単純にそのままノベライズしたものではなく、主人公の車寅次郎の少年時代を描いた完全なオリジナルストーリーとなる。映画でも断片的に語られたことはあったが寅次郎の出生時の逸話が描かれるなど[77]、小説版によって初めて明かされる設定なども少なくない。寅次郎の少年時代を中心にストーリーが展開するため、時代設定は映画版よりかなり前となっている[77]。なお、山田が小説を執筆するのは、本作が初めてとなる[77]。なお、本作は主人公が一人称で語る形式を採るため、山田は他の一人称の作品を参考に研究を重ね、工夫を凝らした[77]。
その後、改稿・加筆を経て﹃悪童 小説 寅次郎の告白﹄︵ワルガキ しょうせつ とらじろうのこくはく︶と改題し、講談社より2018年9月7日に刊行、﹃少年寅次郎﹄と題してNHK総合テレビ﹁土曜ドラマ﹂で2019年にテレビドラマ化された。
ラジオ番組
「みんなの寅さん」と題し、山田洋次監督50周年プロジェクトと文化放送開局60周年の企画として、2011年4月4日より2013年3月29日まで文化放送で『吉田照美 ソコダイジナトコ』の箱番組として午前8時13分頃~8時20分頃に放送していた。月曜から水曜は歴代マドンナやファンを招いてのトーク、木曜と金曜は前述の小説『けっこう毛だらけ』を倍賞千恵子による朗読で放送していた[注 22]。また、2011年10月9日より2012年4月1日まで本放送を聴く事が出来ないリスナーのために、本放送を再編集した『みんなの寅さん日曜版』を日曜日9時30分から9時55分の25分番組として放送していた。
2013年4月より週一回化されて『続・みんなの寅さん』とタイトルを改め、同年4月7日より9月29日まで日曜日16時00分~16時30分の30分番組となるが、同年10月6日から2014年3月30日までは放送枠を変更して17時00分〜17時27分の27分番組に。2014年4月6日から9月28日まで『新・みんなの寅さん』へとタイトルを改めたが、同年9月30日からタイトルを『みんなの寅さん』に戻して火曜日19時05分〜19時15分の10分番組として2015年3月24日まで放送し、同年4月4日から土曜日6時40分〜6時50分に放送枠を再度変更と続いてきたが、2016年9月24日放送分をもって終了することになった。
その他
葛飾区郷土と天文の博物館で発表された奈良時代のトラ(孔王部小刀良)とサクラ(孔王部佐久良売)の名が発見された話が世間でも話題に上がった[78]。
パチンコ
- CR男はつらいよ(1999年、サミー)
- CR男はつらいよ 寅次郎人情篇(2011年、三洋物産)
関連作品
- 映像作品
-
- 書籍
-
- 浪曲化
-
- 玉川太福により、浪曲化(〽付け)されている(山田洋次クレジット)
パロディ&オマージュ作品
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●フーセンのドラ太郎 - ﹃男はつらいよ﹄のアニメ版ということで、同作品のキャラクターを猫と鼠が演じた1981年放送のアニメーション。
●ゲゲゲの鬼太郎 - ︵第2シリーズ41話 霊形手術︶霊形手術によっていろんな顔に変えられるすべを手に入れた登場人物が、次々と映画俳優︵高倉健、アラン・ドロンなど︶の顔に変えていく中に寅さん︵というより渥美そのもの︶ が現れる。他にもねずみ男が、寅さんと同様の格好をして放浪する回がある。その際、寅さんのおなじみのセリフを話す。
●ガンバの冒険 - ︵11話 ペテン師トラゴローを追え︶ - 寅さんをモチーフにした﹁トラゴロー﹂というキャラクターが登場している。
●きらりん☆レボリューション - 寅さんに似た格好をしている﹁ふーさん﹂が登場している。
●地獄先生ぬ〜べ〜 - 原作のエピソードで、マウスが増殖し誰も手がつけられなくなるという話で、そのマウスを売る男が寅次郎をモチーフにしている。ただ、諸悪の根源という意味合いから、実際の寅さんよりも悪人面に描かれている。
●まじめにふまじめ かいけつゾロリ ︵89話 えっ!ゾロリのいもうと?︶- 寅さん、さくら、おいちゃん、おばちゃん、たこ社長を意識したキャラクターが登場している。
●魔弾戦記リュウケンドー - 随所に本作へのオマージュがちりばめられており、特に登場人物の一人﹁ガジロー﹂は、佐藤蛾次郎が演じた源公そのままのキャラクターで、佐藤の実子・佐藤亮太が演じている。
●サラリーマンNEO︵NHK︶ - キャラシリーズに﹁渥美トラ次郎﹂という渥美と寅次郎をかけた虎模様の猫が登場する。
●超力戦隊オーレンジャー - 第43話に登場したマシン獣﹁バラペテン﹂は、人間体として寅さんに似た﹁フーテンの熊﹂に化けることができる。
●炎神戦隊ゴーオンジャー - 第21話に登場した﹁フーセンバンキ﹂は、公式ホームページによるとフーテンとフーセンをかけており、寅さんに似た言動や帽子、カバンを持っている。その声も、寅さんの物まね芸人である原一平が担当している。
●ぜんまいざむらい - 寅さんの名前を意識した﹁どろぼう猫の虎次郎﹂という猫が登場した︵虎も猫科の動物で猫に虎とつける話は本作の映画にもある︶。
●天才てれびくんMAX- 天てれドラマ﹁ダーリンは11さい?!﹂の最終話に寅次郎を意識したキャラクターが登場する。
●大!天才てれびくん-ドラまちがいの﹃熊次郎 おとこ旅 〜人情編〜﹄は本作を意識したタイトル、ストーリーである。
●サントリー﹃オランジーナ﹄のテレビCM﹁ムッシュはつらいよ﹂︵2012年︶ - 舞台をフランスに移し、車寅次郎をモチーフにした﹁TORA﹂︵演‥リチャード・ギア︶、源公をモチーフにした﹁GEN﹂少年が登場する[80]。
●講談社﹃ウルトラアイ﹄ - トラさんという寅次郎に口調も含めて似たサブキャラが登場する。
●パズドラ (テレビアニメ) -(29話 トラゴンはつらいよ[81]) - トラゴンが、寅さんと似た格好をして家出をする。また、寅さんのおなじみのセリフを話す。
●また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ- 登場人物設定を含め随所にオマージュが見られる。
●ONE PIECE - 寅さん似た名前は﹁トキカケ﹂﹁茶豚﹂
脚注
注釈
(一)^ 読みは﹁たつぞう﹂。
(二)^ 第一回で寅は葛飾のおじちゃん、かつおじと呼ぶ。
(三)^ 当初、制作発表で﹁1時間枠のドラマで1年間続け、NHKの大河ドラマを上回る大作とする﹂と豪語し、脚本を担当した早坂が第6回ギャラクシー賞を受賞するなど作品の質が評価された反面、明治期の北海道開拓民の過酷な生活を描いた作品という性質上、娯楽性に乏しいために視聴率が大幅に低迷したことが問題視され、打ち切らざるを得なくなったという[19]。
(四)^ これについて、寅さんは貴種流離譚でプレテクスト︵既存のテクスト︶は﹃坊つちやん﹄で、﹁マドンナ﹂と呼ばせているのも﹃坊つちやん﹄が深々と影響しているとも評論されている[22]。
(五)^ ﹃寅次郎夢枕﹄の千代や、いわゆる﹁リリー三部作﹂︵﹃寅次郎忘れな草﹄、﹃寅次郎相合い傘﹄、﹃寅次郎ハイビスカスの花﹄︶のリリー、﹃寅次郎あじさいの恋﹄のかがり、﹃口笛を吹く寅次郎﹄の朋子、﹃知床慕情﹄のりん子、﹃浪花の恋の寅次郎﹄のふみ、﹃寅次郎の告白﹄の聖子、﹃寅次郎の青春﹄の蝶子、﹃寅次郎の縁談﹄の葉子など。
(六)^ 第1作、第2作では共栄印刷株式会社、第3作以降では朝日印刷株式会社とも呼ばれることがある
(七)^ ab第1作では小倉梅太郎、第6作では堤梅太郎
(八)^ 生年月日は第26作入学願書の記入内容によっている。ただし劇中での寅さんの身内や知り合いの話の中で生まれは1928年︵昭和3年︶、1936年︵昭和11年︶等あり謎である。
(九)^ 30代の説もある。
(十)^ 16歳の時という説がある。
(11)^ 旧制中学校や葛飾商業学校を中退という説もある。
(12)^ 6.3.3制以前の中等学校の一種であった旧制中学校または商業学校を2年で中退したから中学校中退扱いになるという理由である。この場合、寅次郎を昭和9年以前の出生にしないと矛盾が生じる。{9}参照
(13)^ 松村はサブキャラクターとして、医者︵柴又、吉野︶、定時制高校の教師︵第26作︶、お寺の住職︵第32作︶、教授役︵第35作︶などでも出演した。
(14)^ 第30作では竜造︵俳優は下條正巳︶とは見合いで﹁会ったらカマキリみたいな男だった﹂と発言している。
(15)^ 劇中で一浪して1994年︵平成6年︶3月に4年制大学を卒業しているのであれば1970年︵昭和45年︶4月2日から1971年︵昭和46年︶4月1日までの間に生まれたという説も考えられ、第46作では﹁1970年10月10日﹂と書かれている。
(16)^ 1969年︵昭和44年︶4月2日から1970年︵昭和45年︶4月1日生まれと考えた場合に小学校入学は1976年︵昭和51年︶で間違いないが中学校入学は1982年︵昭和57年︶である。城東大学のロケ地は東京薬科大学、就職先の光陽商事株式会社は実在している企業で現在は社名変更してアバンス株式会社である。
(17)^ HDリマスター版DVD音声ガイドで役名が﹁源吉﹂とされている。姓は不明。
(18)^ 柴又帝釈天のこと。
(19)^ ﹁柴又帝釈天付属ルンビニー幼稚園﹂として実在する。東京都葛飾区柴又7丁目10−30
(20)^ 最初に提示されたタイトルが﹃愚兄賢妹﹄であったように、この作品とその映画﹃あにいもうと﹄がシリーズの原型ともいわれる。兄弟愛の深さ、川の側の家が舞台でバスが電車に代わっただけである。
(21)^ 実際は富山県が最有力候補であった[47]。
(22)^ 小説を単行本化した﹃悪童﹄の特装版の特典として、この時の朗読の音源から19話ほどを抜粋して2枚組CDに収録した。
出典
関連項目
外部リンク
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