不可能 エミール・ヴェルハーレン

 今日は、エミール・ヴェルハーレンの「不可能」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 上田敏の絢爛な訳詩では見えにくい箇所があったので、フランス語の原詩を捜し出して翻訳を試みました。上田敏の翻訳では見えがたくなっているところは……
「変われ!立ち上がれ! これが最も深遠な掟だ」
Changer ! Monter ! est la règle la plus profonde.
という自己超越してゆく力強い意志の、表出するところで、この詩の言葉がなんだか美しく感じました。
 

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追記  AIに「以下の詩を、子どもが感動するような、分かりやすい現代語で翻訳してみて」と依頼すると、なかなかおもしろい訳詩を出してくれました。いちど試してみてください。
 

■ L’IMPOSSIBLE 抄録
 
Homme, si haut soit-il ce mont inaccessible,
Où ton ardeur veut s’élancer
Ne crains jamais de harasser
Les chevaux d’or de l’impossible.
(略)
Changer ! Monter ! est la règle la plus profonde.
L’immobile présent n’est pas
Un point d’appui pour le compas
Qui mesure l’orgueil du monde.

 
■ L’IMPOSSIBLE 全文
 
Homme, si haut soit-il ce mont inaccessible,
Où ton ardeur veut s’élancer
Ne crains jamais de harasser
Les chevaux d’or de l’impossible.
 
Monte plus loin, plus haut, que ton esprit retors
Voudrait d’abord, parmi les sources,
À mi-côte, borner sa course ;
Toute la joie est dans l’essor !
 
Qui s’arrête sur le chemin, bientôt dévie ;
C’est l’angoisse, c’est la fureur,
C’est la rage contre l’erreur,
C’est la fièvre, qui sont la vie.
 
Ce qui fut hier le but est l’obstacle demain ;
Dans les cages les mieux gardées
S’entredévorent les idées
Sans que jamais meure leur faim.
 
Changer ! Monter ! est la règle la plus profonde.
L’immobile présent n’est pas
Un point d’appui pour le compas
Qui mesure l’orgueil du monde.
 
Que t’importe la sagesse d’antan qui va
Distribuant, comme des palmes,
Les victoires sûres et calmes,
Ton rêve ardent vole au delà !
 
Il faut en tes élans te dépasser sans cesse,
Être ton propre étonnement,
Sans demander aux dieux, comment
Ton front résiste à son ivresse.
 
Ton âme est un désir qui ne veut point finir ;
Et tes chevaux de l’impossible,
Du haut des monts inaccessibles,
— Eux seuls — la jetteront dans l’avenir.

 
以下より引用
https://fr.wikisource.org/wiki/Les_Forces_tumultueuses/Texte_entier#L%E2%80%99IMPOSSIBLE

細雪(72)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その72を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 細雪は父母の描写の機会が少ないのですが、今回は二十三回忌と母の面影のことが記されます。
 現代でも追善供養の一周忌が行われていると思いますが、百年前だと6回ほど三十三回忌まであったそうです。
「案内状の内容は、父の十七回忌と母の二十三回忌の法要を営むに付、来る九月廿四日の日曜日午前十時に下寺町善慶寺へ」と本文に記していました。
 今回は父と母の思い出のことが、あまたに書き記してありました。父は派手好きでお茶屋遊びが好きだったそうで「父がぱっぱっとした豪快な気象であるのに反し、母は京都の町家の生れで、容貌ようぼう、挙措、進退、すべてが「京美人」の型にまっており、互の性質に正反対なところのあるのが、いかにも好い取り合せ」の夫婦であったことが書いてありました。おおよそ百年前の雅な家柄や死生観が見えてくる、細雪のひとつの特徴が出ている章に思いました。細雪はあと30回ほどで完結します。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

山遊び 木下利玄

 今日は、木下利玄の「山遊び」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 古典や近代文学の魅力は、現代作品よりも自然界の描写が色濃いというのと、一茶や芭蕉のように、徒歩の旅の描写が秀逸であるというのが、あるんだと思います。
 100年前の旅と言えば徒歩が中心だったのでは、というように思う随筆でした。
 木下利玄は武家の子孫の歌人で、当時としてはそれほど早世では無いのですが、中年期に肺結核で亡くなっていて、健脚でも頑丈でもないはずなのですが、山遊びで岡山の足守から山のほうへと散策するところを描きだしています。家族や友人たち「十六人」もの人数で「妙見山へ茸狩に行く」ところを描いています。
 読んでいるだけで、山を散策したような気分になる、すてきな随筆でした。
 小雨にうたれながらも、竹の籠にキノコをいくつも入れてゆくさまが描かれます。山小屋で和食と松茸料理を楽しんだ。人間を豊かにするものが自然界以外は存在しないというような時代で、自然界へのまなざしがちょっと現代人とまったく違うのだ、という感じがする、のんびりとしたエッセーでした。緑豊かで四季のある日本、というのの内奥が見えてくる明治四十四年の随筆でした。
  

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正直な泥棒 ドストエーフスキイ

 今日は、ドストエフスキーの「正直な泥棒」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 
 家政婦さんしか居ない家に一人で住んでいる主人公がある日、小さな部屋を貸すことになった。間借り人はアスターフィ・イヴァーヌイチという名の男で、彼はおとなしくて「なかなか世間馴れた男」で、ごく小さい部屋を借りて「仲よく暮らしはじめた」のでした。
 ところが、そこに手品師のような泥棒がやってきて、みんなが見ている前で、「毛皮外套」を一瞬で盗んで行ってしまった……。
 

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追記  泥棒を追いかけてみたのですが、完全に逃げられてしまいます。3人は、どうしてあんなに簡単に外套を盗まれてしまったのか、いろいろ考えてみたり、話しあったりするのでした。そのうちに、間借り人のアスターフィ・イヴァーヌイチが、数年前に起きた、不思議な泥棒の話をしはじめるのでした。
 ドストエフスキーの得意技は作中作で、物語の中に物語を二重三重に、積み重ねてしまうところにあると思います。
 男はある日、貧しい男を自分の部屋になんとなく泊めてやった。しかしその一文無しの大酒飲みのエメーリャという居候がだんだん増長してしまって、どうしても長居させてやるわけにもゆかなくなった。働けといってもどうにも働けない。エメーリャはもはや門の前で寝そべるだけになったりした。
 いくら説法しても、ずっと飲んでは寝そべるだけになってしまった。ある日、男はズボンが無くなってしまっておどろく。『おい、エメーリャ。お前なにか困ることがあって、おれの新しいズボンを取りゃしなかったかい』と聞いても、本人は盗っていないと言うのでした。それから青い顔になったり、部屋中のものを探したり、これからは働くと言ってみたりと、右往左往するのでした。いちど追い出してみたけれども、けっきょくは、また長居させてやることにした。やがて身体に無理がきて寝込んでしまう。終盤の、貧しい者の正直な告白に圧倒される名作でした。
 

快走 岡本かの子

 今日は、岡本かの子の「快走」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはごく短い作品なんですが、戦時体制下の家族の暮らしと、詩的な心象の両面が見えてくる、近代小説でした。風景の描写が念入りで、とかく美しいように思います。道子は日々の暮らしの中で、あるアイディアを思いついてそれに夢中になるのでした。「ほんとうに溌剌はつらつと活きている感じがする」という一文が印象に残る、道子と家族の物語でした。
 

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日本国憲法

 今日は「日本国憲法」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  これは戦後すぐから1946年11月にかけて作られた日本国憲法です。戦争の加害と被害を繰り返さないということを中心にして考えられた憲法で、精読するには十年以上はかかるのかと思うのですが、通読は意外と容易で、ほぼ1時間くらいで読める本になっています。
 憲法の前文や本文に記された「自由のもたらす恵沢」や「個人として尊重される」それから憲法がみとめる自由を「濫用してはならない」あるいは「意に反する苦役に服させられない」という文章が印象に残ります。
 戦前戦中の近代文学の時代から極端に変わったのは「検閲は、これをしてはならない」「思想及び良心の自由」「学問の自由は、これを保障する」という言論の自由の箇所かと思います。三木清の生きた時代にこのような法があれば、氏は獄死せずに済んだのではというように思いました。
 また憲法前文には他国の人々が「平和のうちに生存する権利を」持っているべきであるという政治的意志のことが書かれてあり、世界人権宣言と同様に、日本に生きるあらゆる人にも憲法による自由が保障されるのだというように思いました。
 

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追記  本文がむずかしすぎて読めないばあいは、第1条から第7条までをいったん脇に置いて、憲法8条から読みはじめると良いのではと思います。また「子どもとおとなの日本国憲法」という本がインターネット上にも公開されているので、参考にしてみてください。