スペードの女王 プーシキン

 今日は、プーシキンの「スペードの女王」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは怪談の名手の岡本綺堂が翻訳したプーシキンの怪異譚なんですけれども、ギャンブルにからんで、ストーカー的あるいは詐欺師的な恋愛の気配が描かれていって、興味を惹かれます。
 かつて若い頃に賭け事に狂ったことがあるおばあさんというのがいて、その人が賭けカルタの秘密というのを知っている、らしいんです。本文こうです。
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  生涯に二度と骨牌をしないという誓言をさせた上で、三枚の切り札の秘密を彼に授けて、順じゅんに賭けるように教えたquomark end - スペードの女王 プーシキン
 
 これ……数学者とか暗記力の高い人って、賭けカードゲームにほぼ必勝する方法をほんとに知ってるんですよね。youtubeで、じっさいに必勝法を知っているプロのギャンブラーがいて、この必勝法の解説をしていたりして、聞いていると面白いんですけど、ようするにカードを全体的に暗記して残りのカードがなにかを確率的に見抜けるらしいです。
 この物語では、もっとこう圧倒的に勝ってしまう技がどうもあるらしい。それでギャンブルに強く惹きつけられてしまう。このプーシキンの小説は、ギャンブルに絡んで、必勝カルタの秘密を暴きたい詐欺師的な男ヘルマンと、淳朴な美少女リザヴェッタとの恋愛ゲームが記されているのも読んでいて楽しかったです。
 ここからはネタバレなので未読の方は読み飛ばしてもらいたいんですが……おもしろいのは、詐欺師まる出しの男であっても、リザヴェッタは彼を人間として扱うところなんですよ。彼の本心がギャンブルで大金を稼ぐ拝金主義にあって非人間的であるとわかったあとにも、彼を助けようとしたりする。読者としても、ヘルマンがどうなるのか、かなり気になるんです。
 文学は、余り尽くしたものを中心に描くのだ、とか思いました。
 読み終えたあとから考えると、リザヴェッタのような、地味な考え方や生き方には、あきらかにこう、強さがある……と思いました。

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