細雪(39)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その39を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 前回の洪水で、やっと被害は止んだところなんですが、その後の安否確認や来訪の様子が描かれています。新聞と電話だけを使う八十数年前の社会が描かれます。
 東京に住みはじめた雪子が、幸子や悦子の様子を見舞いにやってきました。報道で知ったことと、現実の場が食い違っていて、これに驚く雪子なのでした。雪子は悦子と災害の様子について話し、隣家のシュトルツ一家と交流します。ローゼマリーは日本語のイントネーションがみごとなんですが、東京と京都のちがいが分からなかったりするのでした。次回に続きます。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 
 

細雪(38)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その38を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 谷崎文学と言えば、現実では考えられないような奇想の事件が起きることが最大の特徴だと思うんですが、今回の「細雪」は日帝の検閲を免れる必要があったので、騒乱を起こさない、現実的な物語になっているんです。大洪水という罹災が起きても、そこで事件らしい事件が起きない、静かな展開になっていました。
 妙子を助けに来た、貞之助と板倉は、洪水のあと泥土で塞がった街を移動して、なんとか家に帰りつくのでした。
 罹災の翌日、家族は運よく穏やかに過ごすことが出来て、体調も数日で治った。水害に遭った妙子には、罹災の恐怖だけ残っていて、雨音に恐怖を感じてしまうことがあった、という記載が印象に残りました。敗戦して空襲が終わったあと、平和になってから読まれた本なのでした。
  

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■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 
 

細雪(37)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その37を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 大嵐の中、ぶじ帰って来た妙子だったのですが、いったい豪雨の時に何が起きていたのか、これが語られてゆくのでした。
 じつは学校が休みだというので、のんびり珈琲を飲みにいってしまったのが、運悪く遭難に繋がってしまった。級友の家の中まで水で浸かってしまうんですが、はじめのほうはまだ余裕がある状態だったんです。しかし浸水が酷くなってくるともうみんな危険なことになっていて、そこからはどう脱出するのかで精一杯になります。
 妙子は偶然にも、米国から帰ってきた板倉と豪雨の中で出会うのでした。板倉は妙子の居場所を突き止めて、命がけで駆けつけたので、ありました。次回に続きます。
  

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■登場人物
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細雪(36)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その36を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 洪水は終わりつつあるんですが、なぜだか妙子(こいさん)と貞之助が帰ってこない。妙子の恋人である奥畑は彼女を探しにゆくのでした。
 不安な状況でも、風雅な暮らしをしていたことを思いだしてみたり、隣家の幸福な気配が垣間見られたりしているうちに、妹の妙子をちゃんと奥畑と結婚させてあげようというように、姉の幸子は思うのでした。戦時中に男が不在になった世界で、一家を守る役割の幸子こそが、どうもこの物語の中心にあるようです。
 ずいぶん時間が経ってから、やっと泥まみれの貞之助と妙子が帰ってきた。妙子はどうも大変な思いをしたようで、家に帰りついてすぐに泣いてしまった。
「………えらい目に遭うたけど、板倉に助けて貰うてん」
ということで、いったいどういうことになったのかまだ分からないんですが、次章に続きます。
  

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細雪(35)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その35を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ようやく水難の危機が退いてきたのでした。本文こうです。
quomark03 - 細雪(35)谷崎潤一郎
  雨のあとでひとしお青々としている庭の芝生の上に、白いちょうが二匹舞っており、ライラックと栴檀せんだんの樹の間の、雑草の中の水溜みずたまりにはとが降りて何かをあさり歩いているquomark end - 細雪(35)谷崎潤一郎
 
 それから、被害がどの程度であったかが、記されてゆくのでした。電車もバスもタクシーも徒歩も使って、泥だらけになって食料を調達してきた人が描かれ、それから子どもの悦子が学校からぶじ帰って来たり、風説に惑ったり、地下で被害が出たり、場所によってはなんの水害もなく美しいままの状態であったり、と妙な光景も描かれるのでした。
 妙子を救いに行ったはずの貞之助は前回、この物語にしてはめずらしく雄雄しい姿で出かけていったのに、なぜか貞之助が帰ってこない。どうもこの細雪は、四姉妹の女性だけが主人公で、戦時中における男が不在の世界を描いているんだなあと、思いました。隣家のシュトルツ婦人も、夫が帰ってこないままなので惑っています。
 それから奥畑がやってきて、恋人の妙子が見つからないということで、これを心配しているんですが、どうもこの状況を利用して、四姉妹に取り入ろうとしているのではないかというように警戒されているのでした。なんとも妙なことを書くもんだなあと思いました。
 幸子は、夫や妹がまだ帰ってこないので不安になっているんです。次回に続きます。
 

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細雪(34) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その34を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 学校に行ったまま、安否が分からなくなった妙子を探して、父の貞之助は洪水が起きている本山駅の周辺を歩きつづけています。大河が氾濫したかのような「川でなくて海、———どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海である。」けっきょく貞之助は大水によって立ち往生している汽車の中に入りこんで、水の引くのを待つしか無くなった。
 駅の中に避難している人々の描写が、ほんとうに谷崎がこの現場を見て帰ってきて書いたような、克明な描き方でした。なぜか線路のところに、どこかの犬が洪水と雨の中を迷子になっていて、これをみんなで助け出し、貞之助は家から持ってきていたブランデーを飲んで煙草を吸う場面がありました。半島の家族たちが汽車の中で避難している描写があり、妙子の通っている小学校が遠くに見えるけれども、大水のためにどうにもならない。今まで楽しそうだった学生も「事態が笑いごとでなくなりつつある」状況に疲弊しはじめている。「窓の外では濁流と濁流とが至る所で衝突し」ている。妙子のことを思って、貞之助はこう感じます。「今から一箇月前、先月の五日に「雪」を舞った時の妙子の姿が、異様ななつかしさとあでやかさを以て脳裡のうりに浮かんだ。」 数時間ほどしてやっと水がすこしだけ引いてきた。この前後の描写がみごとだと思いました。
quomark03 - 細雪(34) 谷崎潤一郎
  一心に外を見守っていた間に、はっと胸を躍らせるようなことが起っていた。と云うのは、いつの間にか線路の南側の方の水が減って行って、ところどころ砂があらわれて来たのである。反対に北側の方はいよいよ水が殖え、波が上りの線路を越えて、此方の線路へ打ち寄せつつあった。
「此方側は水が減ったぞ」
と、生徒の一人が叫んだ。
「あ、ほんとうだ。おい、これなら行けるぞ」quomark end - 細雪(34) 谷崎潤一郎
  
 まだ濁流が続いていて油断できない状況で、妙子の女学校にようやっと辿りついた貞之助なのでした。次回に続きます。
  

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