放心教授 森於菟

 今日は、森於菟の「放心教授」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この「放心教授」では風刺絵のように、偉い教授をなんだか無意味にこき下ろす小説なのかと思って読んでいたら、そうではなくて自分で自分をこき下ろすという奇妙な語りの、作品でした。世間にうとくて、つねに放心しっぱなしの教授が、ドイツで学問をしたり観光をしたりした、というのが描かれます。昔はいまと違って、ヨーロッパでは歩いているだけでなんだか蔑視されたり冷笑されてしまう、という体験を記したり、道中でやっていたオシャレとかについていろいろ書いていました。
 東京の電車のなかで見知らぬ娘たちに笑われた、その理由は、服を裏表に着てしまっていた……。これは落語の笑いを小説にしたような作品かと思ったんですが、どうも実話として書かれたようです。ちょっと漱石の『坊っちゃん』に似ている、奇妙に魅惑的な随筆でした。
 

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