癩院記録 北條民雄

 今日は、北條民雄の「癩院記録」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 近代日本文学には、病について描きだした文学作品が多いと思います。正岡子規の「病牀六尺」が有名です。子規がつねづね投稿していた文芸誌「ホトトギス」は赤い血を吐いて鳴く鳥にたとえてホトトギスという名を用いたらしいですし、闘病文学というのが近代の文学の、ひとつの中心にあったように思うんです。
 徳冨蘆花の「不如帰」は結核を描きだしていて、他にも泉鏡花が少年の病を美しく描きだすのも印象深いです。精神病院を描いた作家としては芥川「河童」や夢野久作の「ドグラ・マグラ」それから島崎藤村の「ある女の生涯」などがあります。藤村をいつか読んでみようと思います。
 北条民雄は、ハンセン病を患いながら病状について描き続けた作家で、代表作は「いのちの初夜」です。今回の「癩院記録」はもうすこし実話を中心にした、随筆なんです。まず、ハンセン病の施設に入所するところから描きだします。当時は不治の病として考えられていました。北条民雄の特徴的なのは、自分が過酷な病に陥りつつも、医者のまなざしを重んじていて、自分の環境も客観的に観測しているところがすごいと思うんです。それでいて冷徹では無く、仲間の患者たちの生のありようを描きだしています。
 

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