トロッコ 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「トロッコ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この作品は有名な短編文学なんですけど、すこし奇妙なことが書いてあるように思いました。芥川龍之介は中国の古い怪異譚をリライトした物語がいくつかあって、それはもっと劇的で分かりやすいです。トロッコはそれらよりも地味な物語です。
 仕事にならないところから、仕事を見る子どもの話しなんです。仕事の手伝いをやってみたくて、じっさいにトロッコを押す仕事をさせてもらうんですけれど、目的や意図は大人のそれとは異なっている。こういうのは現代でも起きているはずで、ゲーム業界で起きていることは、現実の仕事でも起きてゆく。たいていは遊びのほうが仕事よりも潮流を先取りしているように思います。古い物語を読んでいると、今の仕組みがちょっと見えるような気がしました。よく読んでみると、主人公は大人になってから肉体労働者ではなくデスクワークの仕事に就いているんですよ。そこがなにか印象に残りました。幼時から大人への変化のみならず、時代そのものの変化についても描いているように思いました。
 幼いころは、そういえば知らない町を歩くことがなにかとても特別なことに思えたのだ、というのを思いだしました。
 

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