じいさんばあさん 森鴎外

 今日は、森鴎外の「じいさんばあさん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 森鴎外の代表作と言えば「高瀬舟」や、史伝小説がいろいろあると思うんですが、今回は昔話と史伝が入り混じったような文体で、1809年の文化六年の老夫婦のことを描きだします。美濃部伊織というおじいさんと、妻「るん」の、不思議な物語です。
「この翁媼おうおん二人の中の好いことは無類である」。「二人の生活はいかにも隠居らしい、気楽な生活」をしていたのですが、二人には壮絶な過去があって、それを繙くところから物語の中盤が始まります。ある偶然から、若き日の美濃部伊織は、妙な逸品を手に入れることになって、これを買うときに無理な借金をして、貸し手との間に不和が生じてしまった……。掌編なんですが、オチがみごとですてきな小説でした。
 

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追記  ここからはネタバレですので、近日中に読み終える予定の方は、ご注意ねがいます。美濃部伊織は、金貸し男の無礼が許せずに、刀で切りつけてしまい、罪を犯して流罪となりました。伊織とるんは長らく生き別れとなっていたのですが、徳川家治の御追善によって罪を赦されて、三十七年ぶりに江戸で邂逅し、それから幸福に暮らすのでした。