必要以上のもの 豊島与志雄

 今日は、豊島与志雄の「必要以上のもの」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは、翻訳家の豊島与志雄の随筆です。豊島与志雄は不思議な随筆を書くんです。ほとんど面識が無かったB君との思い出を語っていて、B君が言っていた妙なことを書き記したり、あるいは人生に於いて「必要なもの」と「必要以上のもの」について論じている。ある時期に渇望していたものというのが、じつは人生でまったく役に立たないものだったりする。豊島与志雄はこう書きます。
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 私の経験から云えば、最大級に最も欲しかったものは、或る時は、不吉な因縁話のからんでいる小式部人形だったし、或る時は、四五尺の大きさの梟の剥製だったし、或る時は、幽霊が出ると云う青江の妖刀だったし、或る時は、ちょっと奇異な形をした丈余の自然石だった。つまらないものばかり欲しがってる…………quomark end - 必要以上のもの 豊島与志雄
 
 当時は貧しかったから、ほんとうなら現金が必要だったはずなのに、意味の無いものを渇望してしまった、「それは単なる人形や剥製や刀や石でなく、無限の拡がりを持ち得る或物だったのである」のだそうです。豊島与志雄は、奇妙な「石」のことが好きでしょうがなかった。B君と話した思い出の中にも、石について論じあったことを書き記していました。このあと、B君の恋愛について描いているのですけれども、みごとな描写でした。この一文が印象に残りました。
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 必要ではなかったが必要以上のものであったろうquomark end - 必要以上のもの 豊島与志雄
 

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