グーセフ チェーホフ

 今日は、チェーホフの「グーセフ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 坂口安吾も愛読した、アントン・チェーホフの本を読んでみました。400人もの船員がのりこんだ、とても大きな船の様子が描きだされます。船には、どうも妙な男たちがいるんです。船のなかのようすが、大陸全体を暗喩しているかのような、不思議な描写もあるんです。男たちが故郷を回想する場面がみごとなんです。ぼくはアントン・チェーホフの「妻」の難民支援を描きだした小説が、驚くべき傑作だと思うんですが、氏の描きだす郷土愛に、とくべつな魅力があるように思います。
 屈強な男たちが船上で賭けカルタをしている。さっきまで盛んに話していた男が、とつぜん動かなくなる。グーセフも、海の熱波にやられてもうほとんどものを食うこともできないでいる。終盤の弔いの物語と情景描写が圧巻でした。
  

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 グーセフやその仲間たちも船から見たであろう情景を描きだす、最後の一文がみごとな文学作品でした。本文こうです。 
quomark03 - グーセフ チェーホフ
  そのとき天の方では、日の沈む側に雲がむらがっていた。その一つは凱旋門に似ていて、次のはライオンに、三番目のは鋏に似ている。……雲の後ろから、幅のひろい緑色の光が射して、空のなかばまでとどいている。暫くすると、この光に紫色の光が来て並ぶ。その隣には金色のが、それから薔薇色のが。……空はやがて柔かな紫丁香花色ライラックになる。この魅するばかりの華麗な空を見て、はじめ大洋はしかめ面をする。が間もなく海面も、優しい、悦ばしい、情熱的な——とても人間の言葉では名指すことも出来ぬ色合になる。quomark end - グーセフ チェーホフ