魔女 小熊秀雄

 今日は、小熊秀雄の「魔女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ネオン管が光り輝く近代的未来像の街……「東京の三月の夜の街」を活写した、奇妙な叙事詩なんですが、これは、おそらく中盤と後半が書かれないまま未完作となったものなんです。最後の一文は「未完」で終わるんですが、描こうとしたのは……「嵐のやうにとんでゆく」「激しさと乱暴さと不気味さ」をもつ「悪魔的」な男たちに「恋する」「女」が「悪魔と魔女と聖母」の三者と共に滅んでいってしまった、そういう叙事詩、だったはずなんです。物語と言うよりも、即興で詠まれる詩の断片の集成でした。たぶん。前編が終わらないうちに未完となった作品なので、もっと違う話しなのかもしれないんですが。
 作中に、ウラジーミル・マヤコフスキーを愛読する登場人物が現れます。カジミール・マレーヴィチの混沌とした立体未来主義絵画みたような、謎めいた空間を徘徊する悪魔の描写が美しい、詩なのでした。後半では、おそらくリア王の滅びに似た物語を描こうとしたのでは、と思いました。アンチクライマックスの典型のような終わり方をする、未完の長詩でした。
  

0000 - 魔女 小熊秀雄

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

機会 宮沢賢治

 今日は、宮沢賢治の「機会」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの一頁の詩なんです。賢治といえば自然界や銀河を描いた詩が多いと思うんですが、こんかいは相聞の詩で、ちょっと珍しい作品に思います。
 むつかしい言葉を調べてみました。
 愛憐
 

0000 - 機会 宮沢賢治

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約1頁 ロード時間/約5秒)
 

熊 新美南吉

 今日は、新美南吉の「熊」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 北海道の、おおきな熊のことを書いた詩です。雄大さと寂しさの同居した生のありさまが描かれます。なんだか不思議な詩でした。
   

0000 - 熊 新美南吉

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

疲れやつれた美しい顔 中原中也

 今日は、中原中也の「疲れやつれた美しい顔」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはほんの一頁の詩です。疲れやつれた美しい顔……を、たとえる時の詩の言葉が印象に残りました。中原中也の詩を読み通してみたくなるような一篇の詩でした。
 

0000 - 疲れやつれた美しい顔 中原中也

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
中原中也の詩集は「山羊の歌」がお薦めです。……「香となつて籠る壺」。

ありとあらゆるわが思 ダンテ

 今日は、ダンテの「ありとあらゆるわが思」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 近代におけるダンテの翻訳家と言えば、 山川丙三郎と上田敏が有名かと思うんです。これを実際に読んでみると、雅文で難読な文体のために、読んでいて今ひとつ意味内容が掴めないところがあるんです。詩や文学は答えが明瞭なものはほとんど無いので、上田敏の文体はダンテの文学性に一致したものなのでは、というように思う訳詩でした。ダンテのモチーフとした最愛の女性はベアトリーチェで、このダンテとベアトリーチェの関係性も曖昧なものであって、謎めいているんです。短い詩作品なので、読み通すのは簡単なんですが、けっきょく何を告げているのかは、どこまでも謎ということが目に見えてきて、神曲の全体や、とくに神曲の天堂篇もじつは、この詩のように謎にあふれているのでは、と思いました。
むつかしい言葉を調べてみました。
らうがはし 詮術せんすべ
 

0000 - ありとあらゆるわが思 ダンテ

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 

窓 リルケ

 今日は、リルケの「窓」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは堀辰雄が愛読した詩で、堀辰雄が同時代の作家に比べて群を抜いて洗練された文体である理由は、リルケの詩を和訳していたからなのかと、思いました。リルケは親の意向で陸軍の学校に入れられるのですが、十代の終わりにそこを去ってから、ドイツ語で詩を書きはじめたそうです。堀辰雄の文学の秘密はリルケにあったのか……と思いました。みごとな詩の数々でした。
quomark03 - 窓 リルケ
かの女は窓にもたれたまま、
何もかも任せ切つたやうな気もちで、
うつとりと、心を張りつめて、
夢中で何時間も過すのだ。quomark end - 窓 リルケ

0000 - 窓 リルケ

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)