魚河岸 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「魚河岸」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはなんだか妙な小説で、芥川龍之介の代表作に特徴的な、異変というのが見受けられない、地味な作品なんです。俳人と洋画家と蒔絵師という三人が気分よく酔いどれているところで見たことのない洋食屋に入っていった。そこに突然やってきた「中折帽をかぶった客」というのが不気味な男で、友人同士の間に割り込んで横柄に注文をすると煙草をふかしはじめた。これにあてられてしまって、みんな静まりかえってしまって興ざめとなった。それまで楽しくすごしていろいろ語らいあっていたのに急に空気が悪くなってしまった。「話ははずまなかった。この肥った客の出現以来、我々三人の心もちに、妙な狂いの出来た事は、どうにも仕方のない事実だった。」この男の正体は、とくにどうでも良いようなものだったんですが、とにかく気分が沈んでしまった。
 主人公の保吉の書斎にはロシュフコーの格言集が、置かれている、というところで、起承転結もとくになく、物語は終わるのでした。ちょっとロシュフコーが読みたくなって、ネットで調べてみると、ここに代表的な格言と要約がまとめてありました。読んでみると、こんかいの芥川龍之介はロシュフコーの思想について考えながら、この小説を書いたことは明らかだなと、なんだか腑に落ちるところがありました。
  

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